JP3665775B2 - 新規ヒトトポイソメラーゼ2α阻害蛋白質及びその利用 - Google Patents

新規ヒトトポイソメラーゼ2α阻害蛋白質及びその利用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子及びその利用に関する。以下、ヒトトポイソメラーゼ2αをTOPIIα、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子をITIIαと記載する。より詳細には、本発明は、TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるITIIα、該ITIIαのアンチセンスオリゴヌクレオチド、該ITIIαを認識する抗体、並びにそれらを用いた薬剤に関する。さらに本発明は、上記ITIIαとTOPIIαとの相互作用を阻害する物質をスクリーニングする方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
DNAトポイソメラーゼは、細菌からヒトに至るほとんどすべての生物に存在し、細胞の増殖に必要不可欠な酵素である。特に、II型のトポイソメラーゼ(トポII又はTOPIIとも称する)は、細胞内で転写、アポトーシス、細胞分化、がん化などと関連することが明らかにされてきた。TOPIIは、複製や転写などによるDNA内の過剰なねじれをほどいたり(relaxation活性)、染色体の凝縮や分離、分配時におけるDNA間の絡まり、もつれを除去する(decatenation活性)機能を有する。
【0003】
大腸菌では、DNAジャイレース(TOPII)のスーパーコイリング活性(弛緩型DNAを超らせん型DNAに変換させる活性)を阻害するタンパク質(GyrI)が見い出されている。そこでTOPIIの機能を調節するタンパク質がヒトにも存在する可能性があると考えて,HeLa細胞からGyrI相同タンパク質を探索した。その結果、TOPIIαと結合し、その活性を阻害するタンパク質(ITIIα)が見出された。
【0004】
TOPIIαは、発現動態が細胞の増殖や腫瘍化に深く関与していることから、基礎から臨床的な分野まで広く関心を集めてきた。TOPIIαと相互作用する因子についても精力的に調べられ、超らせん化因子、p53、casein kinase、c-Jun、sgs1、Rbタンパク質など多数のタンパク質が報告されている。このように、TOPIIαの機能調節因子を見い出すことは、細胞周期に関連する新しい癌抑制遺伝子産物の発見や、発癌機構の解析につながると考えられる。
【0005】
また、トポイソメラーゼは、抗癌剤のターゲットであるが、従来の抗癌剤はトポイソメラーゼとの反応中間体であるクリーバブル複合体の状態でその機能を停止させるため、結果的に切断されたDNAを生じる。これが副作用の要因の一つと考えられている。TOPIIαの調節因子を見い出すことは、新しい抗癌剤のターゲットに有用であり、クリーバブル複合体を形成しない副作用の少ない抗癌剤の開発に大きく貢献できる。
【0006】
正常細胞のTOPIIαの発現量は、S期で緩やかに増加し、G2/M 期で急激に増加してM/G1移行期に急速に分解することが報告されている。一方、癌細胞のTOPIIαの発現量は、細胞周期を通じて常に一定量細胞内に存在することが知られている。正常細胞と腫瘍細胞でTOPIIαの発現量に認められるこのような違いを解明することは、ガン化のメカニズムの解析にも発展する可能性を含んでいると考えられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、TOPIIαと結合するタンパク質であるITIIαの生理的機能を解明することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、ITIIαの生理的機能に基づいた新規な薬剤を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、TOPIIαとITIIαとの相互作用を利用して、新規な医薬品をスクリーニングする方法を提供することを解決すべき課題とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、先ず、HeLa細胞から見い出したITIIαの機能の解明を試みた。その結果、ITIIαはTOPII活性を阻害することが判明し、細胞周期に依存してTOPIIαの機能を制御している可能性が示唆された。そこで、本発明者らはさらに、ITIIαの生理的機能、特にITIIαの強制発現およびアンチセンスによる発現抑制が細胞(TOPIIαの発現量)に与える影響、ITIIαの発現量とTOPIIαの発現量との相関性の有無、さらには正常細胞と腫瘍細胞におけるその発現量の相違の有無を検討した。その結果、ITIIαの強制発現により細胞にアポトーシスが誘導されること、ITIIαの発現抑制によりTOPIIαの発現が増大すること、さらに正常細胞と腫瘍細胞ではTOPIIαとITIIαの発現量が相違していること等を見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0009】
即ち、本発明によれば、下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒトトポイソメラーゼ2α結合因子を含むヒトトポイソメラーゼ2α阻害剤が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0010】
本発明の別の態様によれば、配列番号1に記載のアミノ酸配列における部分アミノ酸配列を有するタンパク質を含む、ヒトトポイソメラーゼ2α阻害剤が提供され、例えば、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む、ヒトトポイソメラーゼ2α阻害剤が提供される。
本発明の別の態様によれば、下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒトトポイソメラーゼ2α結合因子を含むアポトーシス誘導剤が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、バキュロウイルスを用いて昆虫細胞で発現させた組み換えタンパク質であることを特徴とする、下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒトトポイソメラーゼ2α結合因子が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0012】
本発明のさらに別の態様によれば、下記の何れかの塩基配列中の連続する5から100の塩基配列のアンチセンス配列から成るアンチセンスオリゴヌクレオチドが提供される。
(a)配列番号2に記載の塩基配列列;又は
(b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基が欠失、置換及び/又は挿入した塩基配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるタンパク質をコードする塩基配列:
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子の阻害剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、ヒトトポイソメラーゼ2αの発現増強剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、アポトーシス誘導剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、上記アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、抗癌剤が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒトトポイソメラーゼ2α結合因子を認識する抗体、又はその断片が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0015】
本発明のさらに別の態様によれば、被験物質の存在下において、下記の何れかのアミノ酸配列を有するヒトトポイソメラーゼ2α結合因子と、ヒトトポイソメラーゼ2αとの相互作用を測定し、該相互作用を阻害する物質を選択することを特徴とする、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子の阻害剤のスクリーニング方法が提供される。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
好ましくは、被験物質は、低分子化合物、抗体、オリゴヌクレオチド、又はそれらのライブラリーである。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、上記方法により得られる、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子の阻害剤が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(1) ITII α及びそれを含む薬剤
本発明は、ITIIαを有効成分として含む薬剤に関するもので、該薬剤は、TOPIIα阻害剤又はアポトーシス誘導剤として使用できる。本発明で用いるITIIαは、以下の何れかのアミノ酸を有する。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0018】
本明細書において、「配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。[
【0019】
本明細書において「TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列」とは、該アミノ酸配列を有するタンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質と同程度又はそれ以上の親和性でTOPIIαと相互作用してその活性が阻害されることを意味する。TOPIIαの活性の阻害は、適当な方法でアッセイすることができる。
【0020】
TOPIIαの活性の阻害は、例えば、TOPIIαのRelaxation活性及びDecatenation活性に対する阻害作用を測定することにより評価することができる。例えば、Decatenation活性の測定には、基質にキネトプラストDNAを用い、Relaxation活性の測定には、基質にスーパーコイリングDNAを用いてアッセイを行うことができる。活性に対する阻害効果は、例えば、ITIIαを加えなかった時の反応後のDNA量を100%としてITIIαを加えた時のDNA量を相対的に算出することにより評価することができる。
【0021】
本発明では、配列番号1に記載のアミノ酸配列における部分アミノ酸配列を有するタンパク質を、TOPIIα阻害剤として使用することができる。部分アミノ酸配列の長さは特に限定されず、例えば、5アミノ酸残基から100アミノ酸残基、好ましくは5アミノ酸残基から50アミノ酸残基、さらに好ましくは、5アミノ酸残基から30アミノ酸残基、特に好ましくは5アミノ酸残基から20アミノ酸残基程度である。そのような部分アミノ酸配列を有するタンパク質としては、例えば、配列番号10に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。このような部分アミノ酸配列を有するタンパク質は、ペプチド合成機を用いた通常のペプチド合成法により作製することができる。
【0022】
次に、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の入手・製造方法について説明する。配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の入手・製造方法は特に限定されず、天然由来のタンパク質でも、化学合成したタンパク質でも、遺伝子組み換え技術により作製した組み換えタンパク質の何れでもよい。比較的容易な操作でかつ大量に製造できるという点では、組み換えタンパク質が好ましい。
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質を製造するには、該タンパク質をコードする塩基配列(例えば、配列番号2に記載の塩基配列)を有するDNAを作製し、これを好適な発現系に導入することにより目的タンパク質を製造することができる。
【0023】
配列番号2に記載の塩基配列を有するDNAは、ヒト由来(例えば、HeLa細胞由来など)のcDNAライブラリーを、配列番号2に記載の塩基配列の情報に基づいて設計した好適なプライマー又はプローブを用いてスクリーニングすることにより入手できる。スクリーニングはプラークハイブリダイゼーション等で行うことができる。あるいは、ヒト由来(例えば、HeLa細胞由来など)のcDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号2に記載の塩基配列の情報に基づいて設計した好適なプライマーを用いてPCRを行うことにより、目的遺伝子を直接クローニングすることもできる。
【0024】
組み換えタンパク質を発現させるための発現系(遺伝子を含む発現ベクターとその宿主)は当業者に公知である。
DNAを宿主細胞中で発現させるためには、まず、該DNAを発現ベクター中のプロモーターの下流に挿入し、次いでこの組み換え発現ベクターを、当該発現ベクターに適合した宿主細胞中に導入する。
【0025】
細菌用の発現ベクターとしては、pGEMEX−1(Promega社製)、pQE−9(QIAGEN社製)、pQE−30(QIAGEN社製)、pRSET(Invitrogen社製)、pLEX(Invitrogen社製)、pTrcHis(Invitrogen社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pET(Novagen社製)などが挙げられ、酵母用の発現ベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、Ycp5O(ATCC37419)、pHS19、pHS15等が挙げられ、バキュロ用の発現ベクターとしては、pFastBac(GibcoBRL社製)、pVL1392(Invitrogen社製)等が挙げられ、動物細胞用の発現ベクターとして、例えば、pcDNAI、pcDM8(フナコシ社)、pcDNAI/AmP(Invitrogen社製)、pREP4(Invitrogen社製)などや、組換えウイルス作成用発現ベクター、例えば、pMFG(Takara社製)、pAdex(Takara社製)などが挙げられる。
【0026】
細菌用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、例えば、trpプロモーター(P trp)、T7プロモーター、lacプロモーター(P lac)、PLプロモーター、PRプロモーター、PSEプロモーター等の大腸菌やファージ等に由来するプロモーター等を挙げることができる。酵母用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、例えば、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal1プロモーター、gal10プロモーター、ヒートショックタンパク質プロモーター、MFα1プロモーター、CUP1プロモーター等を挙げることができる。バキュロ用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、例えば、ポリヘドリンプロモーター等を挙げることができる。動物細胞用の発現ベクターに用いることができるプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモーター、アデノウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、SRαプロモーター、アクチンプロモーター等を挙げることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
【0027】
宿主細胞としては、目的タンパク質を発現できるものであれば特に制限されず、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞などが挙げられる。より具体的には、エッシェリヒア属、セラチア属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、シュードモナス属、バチルス属、ミクロバクテリウム属等に属する細菌、クルイベロミセス属、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、トリコスポロン属、シワニオミセス属等に属する酵母、ナマルバ細胞、HeLa細胞COS1細胞、COS7細胞、CHO細胞、293細胞などの動物細胞、Sf9、Sf21、HiFiveなどの昆虫細胞等を挙げることができる。
【0028】
組換えベクターの宿主への導入方法は、例えば、リン酸カルシウム法、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法、リポフェクション法などが挙げられ、宿主細胞の種類に応じて適宜選択することができる。
【0029】
本発明では、バキュロウイルスを用いて昆虫細胞で発現させた組み換えタンパク質を使用することが好ましい。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、タンパク質を発現させることができる(例えば、Baculovirus Expression Vectors, A Laboratory Manua1;及びカレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Bio/Technology, 6, 47(1988)等に記載)。
【0030】
バキュロウイルスとしては、例えば、ヨトウガ科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔バキュロウイルス・エクスプレッション・ベクターズ、ア・ラボラトリー・マニュアル、ダブリュー・エイチ・フリーマン・アンド・カンパニー(W. H. Freeman and Company)、ニューヨーク(New York)、(1992)〕、Trichoplusia niの卵巣細胞であるHiFive(インビトロジェン社製)等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法又はリポフェクション法等を挙げることができる。
【0031】
上記のようにして作製した目的DNAを有する組み換え発現ベクターを保有する形質転換体を培地に培養し、培養物中に目的タンパク質を生成蓄積させ、該培養物より目的タンパク質を採取することにより、組み換えタンパク質を単離することができる。
【0032】
形質転換体の培養物から、目的の組み換えタンパク質を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。例えば、組み換えタンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース、DIAION HPA-75(三菱化成社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィ一法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
【0033】
配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有するタンパク質は、配列番号1に記載のアミノ酸配列及び配列番号2に記載の塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜製造することができる。例えば、化学合成、PCR等を含む遺伝子工学的手法、突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法で、作製することもできる。具体的には、配列番号2に記載の塩基配列を有するDNAを利用し、これらDNAに変異を導入することにより変異DNAを取得することができる。
例えば、配列番号2に記載の塩基配列を有するDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法等を用いて行うことができる。
【0034】
遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、モレキュラークローニング第2版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー、Nucleic Acids Research, 10, 6487, 1982、Nucleic Acids Research, 12, 9441, 1984、Nucleic Acids Research, 13, 4431, 1985、Nucleic Acids Research, 13, 8749, 1985、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409, 1982、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488, 1985、Gene, 34, 315, 1985、Gene, 102, 67, 1991等に記載の方法に準じて行うことができる。
上記した方法により、配列番号2に記載の塩基配列において変異を有する塩基配列を有するDNAを入手し、このDNAを上記と同様に発現させることにより、目的タンパク質を製造することができる。
【0035】
本発明の薬剤は、TOPIIα阻害剤として使用でき、その具体的用途は特に限定されないが、例えば、アポトーシス誘導剤として使用することができる。
【0036】
アポトーシス(apoptosis)は古典的細胞死である壊死(ネクローシス、necrosis)とは形態学的に異なる細胞死として最初に発見され定義され、その後の研究からアポトーシスの誘導および抑制は遺伝子によって支配される、いわゆるプログラムされた細胞死であることが判ってきた。アポトーシスでは細胞の活性化に伴い、複雑な生化学反応が起こり、種々のタンパク質やDNAの分解酵素が産生され、これが自身の細胞に作用して細胞死がもたらされる。アポトーシスは正常な発生・分化に不可欠な生理的細胞死であり、正常な生体組織の細胞回転などにおいて個々の細胞に起こっている。そのため、アポトーシスが過剰に減少すると多くの機能障害の原因になることが判明している。例えば、アポトーシスの減少に起因する疾患としては悪性腫瘍(癌)、白血病、自己免疫性疾患、ウイルス感染疾患(HIV感染など)、増殖性皮膚疾患、慢性関節リウマチ、自己免疫疾患、肝炎、腎疾患等を挙げることができる。従って、本発明のアポトーシス誘導剤は、これらのアポトーシスの減少に起因する疾患の治療及び/又は予防剤として使用することができる。
【0037】
アポトーシスの形態学的特徴として、周囲の細胞との接触の欠乏、細胞質の濃縮化、エンドヌクレアーゼの活性に関連したクロマチンの凝縮及び核凝縮、核の分節化等を挙げることができ、更に、細胞表面の微絨毛の消失及び細胞表面の平滑化(細胞表面の水泡形成:membraneblebbing )等も観察される。また、エンドヌクレアーゼ活性により、DNAが断片化する現象も観察され、細胞自体がアポトーシス小体とよばれる細胞断片を形成し、この形成されたアポトーシス小体が、迅速に周囲の細胞やマクロファージ等により貪食分解され、アポトーシスが起こるとされている。従って、アポトーシスの確認は、例えば、細胞から抽出したDNAの断片化と細胞の形態的な観察などで行うことができる。
【0038】
本発明の薬剤を医薬として使用する場合には、一般的には、有効成分としてのITIIαと製剤用添加物(担体、賦形剤など)とを含む医薬組成物の形態で提供される。
本発明の薬剤は、ヒトを含む哺乳動物に医薬として投与することができる。本発明の薬剤の投与経路は特に限定されず、経口投与または非経口投与(例えば、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔などへの粘膜投与、または吸入投与など)の何れでもよい。
【0039】
本発明の薬剤の形態は特に限定されず、経口投与のための製剤としては例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などが挙げられ、非経口投与のための製剤としては例えば、注射剤、点滴剤、座剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経皮吸収剤、点鼻剤、点耳剤などが挙げられる。
本発明の薬剤の形態、使用すべき製剤用添加物、製剤の製造方法などは、いずれも当業者が適宜選択可能である。
本発明の薬剤の投与量は、患者の性別、年齢または体重、症状の重症度、予防または治療といった投与目的、あるいは他の合併症状の有無などを総合的に考慮して適宜選択することができる。投与量は、一般的には、0.001μg/kg体重/日〜1000μg/kg体重/日、好ましくは0.001μg/kg体重/日〜100μg/kg体重/日である。
【0040】
本発明の薬剤はまた、医薬としてだけではなく、TOPIIα阻害剤又はアポトーシス誘導剤として実験用の試薬などとしても有用である。本発明の薬剤を試薬として使用する場合、一般的には、有効成分としてのITIIαは適当な溶媒などに溶解した形態で提供される。
【0041】
(2)アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、下記の何れかの塩基配列中の連続する5から100の塩基配列のアンチセンス配列から成るアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
(a)配列番号2に記載の塩基配列列;又は
(b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基が欠失、置換及び/又は挿入した塩基配列を有し、TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるタンパク質をコードする塩基配列:
【0042】
本明細書において「配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基が欠失、置換及び/又は挿入した塩基配列」における「1から数個」の範囲は特には限定されないが、特に好ましくは1から5個程度を意味する。
【0043】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、上記の何れかのアミノ酸配列をコードするDNA配列中の連続する5から100の塩基配列に対して相補的な、またはハイブリダイズするヌクレオチドであって、DNA又はRNAのいずれであっても良く、また機能に支障がない限りにおいて修飾されたものであっても良い。
本明細書で言う「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、DNA又はmRNAの所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドがすべて相補的であるもののみならず、DNA又はmRNAとオリゴヌクレオチドとが安定にハイブリダイズできる限り、多少のミスマッチが存在してもよい。
【0044】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、例えば、配列表の配列番号9に示す塩基配列(TAGCAGGTCCGACAT)を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。本明細書での実施例では、このような塩基配列のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、非常に効果的にITIIαの発現を抑制することができた。なお、本発明で用いるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ITIIαの発現を抑制できるものであれば、上述したものに限定されない。
【0045】
なお、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾されていてもよい。適当な修飾を施すことにより、当該アンチセンスオリゴヌクレオチドは生体内で分解されにくくなり、より安定してITIIαを阻害できるようになる。このような修飾されたオリゴヌクレオチドとしては、S−オリゴ型(ホスフォロチオエート型)、C−5チアゾール型、D−オリゴ型(フォスフォジエステル型)、M−オリゴ型(メチルフォスフォネイト型)、ペプチド核酸型、リン酸ジエステル結合型、C−5プロピニルピリミジン型、2−O−プロピルリボース、2’−メトキシエトキシリボース型等の修飾型のアンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0046】
さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、リン酸基を構成する酸素原子の少なくとも一部がイオウ原子に置換、修飾されているものでもよい。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性、水溶性、RNAへの親和性に特に優れている。リン酸基を構成する酸素原子の少なくとも一部がイオウ原子に置換、修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、例えば、S−オリゴ型等のオリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0047】
また、アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基数は、50以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。塩基数があまりに多くなると、オリゴヌクレオチドの合成の手間とコストが増大し、また、収率も低下する。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドの塩基数は5以上であり、9以上であることが好ましい。塩基数が4以下の場合には、標的遺伝子に対する特異性が低下して好ましくないためである。
【0048】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド(又はその誘導体)は常法によって合成することができ、例えば、市販のDNA合成装置(例えばApplied Biosystems社製など)によって容易に合成することができる。合成法はホスホロアミダイトを用いた固相合成法、ハイドロジェンホスホネートを用いた固相合成法などで得ることができる。
【0049】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ITIIαの阻害剤、TOPIIαの発現増強剤、アポトーシス誘導剤、並びに抗癌剤として使用することができる。なお、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌細胞に特異的にアポトーシスを誘導することにより抗癌作用を発揮することができるものと考えられる。
【0050】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを医薬として使用する場合には、一般的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドと製剤用添加物(担体、賦形剤など)とを含む医薬組成物の形態で提供される。
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトを含む哺乳動物に医薬として投与することができる。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与経路は特に限定されず、経口投与または非経口投与(例えば、筋肉内投与、静脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、鼻腔などへの粘膜投与、または吸入投与など)の何れでもよい。
【0051】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの製剤形態は特に限定されず、経口投与のための製剤としては例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、粉末剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤などが挙げられ、非経口投与のための製剤としては例えば、注射剤、点滴剤、座剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経皮吸収剤、点鼻剤、点耳剤などが挙げられる。アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む薬剤の形態、使用すべき製剤用添加物、製剤の製造方法などは、いずれも当業者が適宜選択可能である。さらに持続性、膜透過性を高めるアンチセンス封入素材を用いることもできる。例えば、リポゾーム、ポリ−L−リジン、リピッド、コレステロール、リポフェクチル又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0052】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与量は、患者の性別、年齢または体重、症状の重症度、予防または治療といった投与目的、あるいは他の合併症状の有無などを総合的に考慮して適宜選択することができる。投与量は、一般的には、0.1μg/kg体重/日〜100mg/kg体重/日、好ましくは0.1μg/kg体重/日〜10mg/kg体重/日である。
【0053】
(3) ITII αを認識する抗体
本発明の抗体は、以下の何れかのアミノ酸配列を有するITIIαを認識する。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
【0054】
本発明の抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、その作製は定法により行なうことができる。
【0055】
例えば、ITIIαを認識するポリクローナル抗体は、ITIIα又はその部分ペプチドを抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより得ることができる。例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫することができる。免疫感作の方法は当業者に公知であり、例えば抗原を1回以上投与することにより行うことができる。抗原投与は、例えば7〜30日間隔で2〜3回投与すればよい。投与量は1回につき、例えば抗原約0.05〜2mg程度とすることができる。投与経路も特に限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができるが、静脈内、腹膜腔内もしくは皮下に注射することにより投与することが好ましい。また、抗原は適当な緩衝液、例えば完全フロイントアジュバントまたは水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができるが、投与経路や条件等に応じてアジュバントを使用しない場合もある。
【0056】
免疫感作した哺乳動物を一定期間飼育した後、該哺乳動物の血清をサンプリングし、抗体価を測定する。抗体価が上昇してきたら、例えば100μg〜1000μgの抗原を用いて追加免疫を行なう。最後の投与から1〜2ケ月後に免疫感作した哺乳動物から血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の常法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、本発明のタンパク質を認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
【0057】
ITIIαを認識するモノクローナル抗体のグロブリンタイプは特に限定されず、例えばIgG、IgM、IgA、IgE、IgD等が挙げられる。モノクローナル抗体を産生する細胞株は特に制限されないが、例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマとして得ることができる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、以下のような細胞融合法によって得ることができる。
【0058】
抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等を使用する。抗原としては、本発明のタンパク質又はその部分ペプチドを使用する。免疫動物としてはマウス、ラット等を使用でき、これらの動物への抗原の投与は常法により行う。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原である本発明のタンパク質との懸濁液もしくは乳化液を動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫化する。免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とを公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合してハイブリドーマを作製することができる。
【0059】
細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選択にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用する。細胞融合により得られるハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングする。さらに必要に応じて、ITIIα又はその部分ペプチドを用いた酵素免疫測定法によりスクリーニングを行なうことにより、ITIIαを特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞株を得ることができる。
【0060】
このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
【0061】
本発明の抗体を用いて、ITIIαを免疫測定するための方法としては、例えば酵素免疫測定法、ラジオイムノアッセイ、蛍光免疫測定法、発光免疫測定法等を挙げることができる。
【0062】
また、上記した抗体の断片も本発明の範囲内である。抗体の断片としては、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント等が挙げられる。
さらに、上記した抗体の標識抗体も本発明の範囲内である。即ち、上記のようにして作製した本発明の抗体は標識して使用することができる。抗体の標識の種類及び標識方法は当業者に公知である。例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼなどの酵素標識、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)又はTRITC(テトラメチルローダミンBイソチオシアネート)等の蛍光標識、コロイド金属および着色ラテックスなどの呈色物質による標識、ビオチンなどのアフィニティー標識、あるいは125Iなどの同位体標識などを挙げることができる。本発明の標識抗体を用いた酵素抗体法、免疫組織染色法、免疫ブロット法、直接蛍光抗体法又は間接蛍光抗体法等の分析は当業者に周知の方法により行うことができる。
【0063】
(4) ITII αの阻害剤のスクリーニング方法
本発明は、被験物質の存在下において、下記の何れかのアミノ酸配列を有するITIIαと、TOPIIαとの相互作用を測定し、該相互作用を阻害する物質を選択することを特徴とする、ITIIαの阻害剤のスクリーニング方法に関する。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列を有し、TOPIIαと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
ITIIαと、TOPIIαとの相互作用を測定し、該相互作用を阻害する物質を選択するためには、例えば、ITIIαの活性(TOPIIα活性の阻害作用)を阻害する物質を選択することができる。具体的なスクリーニング系としては、例えば、基質DNA、TOPIIα、ITIIα、さらに被験物質を加えて、TOPIIαの活性が回復するかどうかを検出するスクリーニング系が挙げられる。
【0064】
本発明で用いる被験物質としては任意の物質を使用することができ、その種類は特に限定されない。被験物質の具体例としては、低分子化合物、抗体又はオリゴヌクレオチドでもよいし、天然物抽出物でもよく、あるいは化合物ライブラリー、ファージディスプレーライブラリーもしくはコンビナトリアルライブラリーでもよい。化合物ライブラリーの構築は当業者に公知であり、また市販の化合物ライブラリーを使用することもできる。被験物質としては、低分子化合物、抗体、オリゴヌクレオチド、又はそれらのライブラリーが好ましい。
また、本発明のスクリーニング方法により得られる、ITIIαの阻害剤も本発明の範囲内である。
【0065】
本発明のスクリーニング方法では、被験物質の存在下において、ITIIαとTOPIIαとの相互作用を測定する。相互作用の測定方法は特に限定されない。また、上記相互作用それ自体を直接的に測定してもよいし、TOPIIα活性を測定することにより、上記相互作用を間接的に測定することもできる。
【0066】
例えば、TOPIIα活性の測定方法としては、例えば、TOPIIαのRelaxation活性及びDecatenation活性に対する阻害作用を測定することにより評価することができ、その測定方法は前述の通りである。
一般的には、同一のアッセイ系を被験物質の非存在下でも行い、被験物質の存在下の場合と非存在下の場合の両者における上記相互作用を測定し、両者を比較することにより、被験物質が上記相互作用を阻害しているかどうかを判別することが好ましい。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【0067】
【実施例】
実施例1
(I)実験方法
(i)使用した細胞株リスト
Sf9, High Five(両者は昆虫細胞)
HeLa, COS-1, HL60(東大医科研より分与)、 Jurcat(東大医科研より分与)
また、以下の4株は理研ジーンバンク・細胞開発銀行より購入した:CW-2(大腸癌細胞株), TUHR4TKB(腎癌細胞株), TGBC2TKB(胆嚢癌細胞株), TT1TKB(直腸癌細胞株)
【0068】
(ii)遺伝子のクローニング
HeLa細胞由来cDNAライブラリーを鋳型にして、以下のプライマーを用いてPCR(94℃で30秒後、94℃で30秒、50℃で1分及び72℃で2.5分を30サイクル行い、さらに72℃で3分反応)を行った。
センス;5'-TTGGTACCATGTCGGACCTGCTACTACTGGGCCTGATT-3'(配列番号3)、
アンチセンス;5'-TTGGTACCTTACTCCTTGCCCTTCTCAGGGGCAGT-3'(配列番号4)
【0069】
増幅させたDNAフラグメントをプラスミドベクターSRHisBのKpnI部位に組み込み、ITIIα発現プラスミド(pRC1)を構築した。
【0070】
(iii)ITIIαの細胞内への導入
ITIIαは、COS-1細胞(African green monkey kidney cell line CV-1細胞をorigin-defective SV40 DNAで転換した細胞)内で発現させた。500 μl のCOS-1細胞(6×106細胞/ml)に16μgのpRC1を加えて10分間氷中に静置後、エレクトロポレーション(276 V、975μF)を行った。37℃で10分間(5% CO2)保温後、9 mlの培地(D-MEM、10%FBS)に添加し、450μl をChamber slides (Nunc) に分注して、3日後後、間接蛍光抗体法により細胞内の局在を測定した。
【0071】
(iv)間接蛍光抗体法
細胞をphosphate-buffer saline (PBS)で洗浄後、3.7% ホルムアルデヒド(PBS中)を加えて10分間氷上に静置して細胞を固定した。その後、PBSで洗浄して50、75、95%エタノールを順次添加して最後にPBSで洗浄した。これまでの操作は、全て氷上にて行った。以後の操作は室温にて行った。細胞にBlocking buffer (5% 正常ヤギ血清(PBS中)) を添加して30分間静置した。その後、1次抗体(anti-T7 tag(1:3000に希釈) , anti-TOP2αAb-2 (1.6μg/400μl; Neomarkers) antibody in blocking buffer)を加えて1時間静置した。そしてPBSで5分間ずつ3回洗浄した。次に、FITC (1.5μg/ml) または、Texas red (1.5 μg/ml)-conjugated2次抗体を加えて1時間静置した。PBSで5分間ずつ3回洗浄後、PBS に1μg のbis-benzimide (Hoechst 33258)を加えた溶液を添加してDNA染色を行った。その後、サンプルはVectorshield (Vector Inc.) で保存して、Olympus PROVIS AX70蛍光顕微鏡で観察した。
【0072】
(v)抗体作製と精製
ITIIαのアミノ酸配列246-GASSRGWDDGDTRSEHSYSESG-267(ペプチド1)(配列番号5)、302-LWEPTAPEKGKE-313(ペプチド2)(配列番号6)を抗原としてウサギを用いて抗血清を採取した。各ペプチドを用いてペプチドカラムを調製し、抗血清から抗体を精製した。4 ml の抗血清から、ペプチド1由来の抗体1.38 mg/ml (5 ml)とペプチド2由来の抗体2.4 mg/ml (5 ml)を調製した。
【0073】
(vi)昆虫細胞によるITIIαの発現系の構築
蛋白質発現系には、BAC-TO-BAC Baculovirus Expression Systems (Gibco, BRL) を用いて行った。hgyrI遺伝子は、以下のプライマーを設計してPCR法(94℃で2分後、94℃で30秒及び68℃で3分を30サイクル行い、さらに68℃で3 分反応)によって増幅した。鋳型にはpRC1を10 ng使用した。
センス;5'-CGCGGTCCGAAACCATGTCGGACCTGCTACTACTG-3'(配列番号7)、
アンチセンス;5'-ATCGGACCGCTCCTTGCCCTTCTCA-3'(配列番号8)
【0074】
目的遺伝子をpFASTBAC HtbベクターのRsr IIサイトに組み込んで、トランスファーベクター(pRC2)を構築した。8.5ng のpRC2を 100μlのDH10BAC コンピテント細胞に導入して37℃で24時間培養した。コロニーを2 mlのLB medium (50μg/mlカナマイシン, 7μg/mlゲンタマイシン, 10μg/mlテトラサイクリン)に培養後、組み換えbacmid DNAを調製し、40μlのTEに溶解させた。50 units/mlペニシリンと50μg/mlストレプトマイシンを含む2mlのSF-900 II SFMにSF9細胞を1 × 106細胞 (6-well plate)に調製した。27℃で1時間培養した後、0, 5, 10μlのbacmid DNAを100μlの抗生物質を含まないSF-900 II SFMに溶解させた。6μlのCell FECTIN Reagentを他の100μlの抗生物質を含まないSF-900 II SFMに添加し、室温で30分間インキュベートした。その後、抗生物質を含まない800μlのSF-900 II SFMを加えて、同様の培地で洗浄した細胞に滴下した。27℃で5時間培養した後、2ml の抗生物質入りのSF-900 II SFMを加えて、27℃で72時間培養した。上清液を回収し、3000 rpmで5分間遠心後、再度、上清液を回収して組み換えウイルス液とした。1×106細胞のSF9細胞に組み換えウイルス液500μlを加えて、27℃で1時間培養した後、1.5 mlの抗生物質入りのSF-900 II SFMを加えた。27℃で4日間培養して、上清を遠心後、同様の操作を行い、組み換えウイルスの増幅を行い、109 PFU/mlのウイルス液を調製した。その際、残った細胞からタンパク質を抽出して目的遺伝子の発現をウェスタンブロッティングで確認した。タンパク質の大量発現は、SF9細胞からHigh Five細胞にかえて109 PFU/mlのウイルス液を加えて行った。細胞を回収後に、SDS-PAGEで蛋白質の発現を確認した。
【0075】
(vii)ITIIαの精製
ペプチド2由来の抗体12 mg をCNBr-activated Sepharose4B(膨潤1 ml)に結合させたペプチド抗体を調製した。目的のタンパク質を発現しているHigh Five細胞(1 x 108細胞)を回収後、2 mlのRX buffer (100 mM KCl, 3 mM NaCl, 3.5 mM MgCl2, 1.25 mM EGTA, 100 mM HEPES (pH 7.3), 1 mM PMSF)に縣濁して超音波破砕した。40,000 rpmで1時間遠心した後に、RX bufferで平衡化した抗体カラムに添加して、4℃で50分間静置後、RX buffer、0.1% Triton X-100で順次洗浄した。50 mM Glysine を含む0.1% Triton X-100、5 mlで溶出してすぐに中和した後、50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 25% Glycerol, 0.5 mM DTT, 1 mM EDTAで透析した。
【0076】
(viii)TOPIIαの活性測定
Decatenation 活性の測定は、基質にキネトプラストDNA(0.175 μg/assay)を用い、Relaxation活性の測定は、基質にpUC19(0.3 μg/assay)を用いた。ともに、TOPIIαを1U/assay (30μl; 50 mM Tris-HCl (pH 7.5), 120 mM KCl, 10 mM MgCl2, 0.5 mM ATP, 0.5 mM DTT, 30μg/ml nuclease free BSA) 使用し、37℃で60分間反応させた。
【0077】
(ix)プラズモン共鳴法を用いた相互作用の解析
プラズモン共鳴法による測定は、IAsys plusを用いて行った。固相化用のキュベットにはCMデキストランキュベットを使用して、ITIIαを固相化した。固相化法および測定方法は、IAsys plus添付のプロトコールに準じて行い、267 arc seconds 相当固相化した(200 arc seconds = 1 ng/mm2)。TOPIIαを2.9〜22.2nMの範囲内で添加し、このデータをFASTfitにて解析し、会合速度定数(kass)、解離速度定数(kdiss)および解離平行定数を算出した。
【0078】
(x)アポトーシスの検出
アポトーシスの検出は、TUNEL法(In situ Apoptosis Detection Kit;宝酒造(株))、アポトーシスによって切断されたPARPを認識する抗体を用いた間接蛍光抗体法、DNAのladderの検出、Laser Scanning Cytometry (LSC; オリンパス光学工業(株))による解析で行った。
【0079】
(xi)アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞内への導入
ITIIα遺伝子の1〜15残基に対してS-oligoアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計した。合成は、BIOGNOSTIK社に外注した。アンチセンスの細胞内への導入は、Lipofectin (Gibco, BRL) を用いて行った。1 ml の無血清培地にアンチセンスを1μMになるように加えた。他の1 ml の無血清培地にLipofectinを 25μl 加えた。両者を混合して室温で15分間静置した。この間、前日に1×106細胞(60 mm 培養皿)に培養した細胞をPBS (-) で2回洗浄し、15分後に混合溶液を滴下した。37℃、5% CO2インキュベーターに移して4時間培養した。その後、血清入りの培地を等量加えて培養し、24、48、72時間後に細胞の状態をチェックした。
【0080】
(II)結果
(i)ITIIαの塩基配列およびアミノ酸配列を、図1、配列番号1及び2に示した。
(ii)ITIIαの過剰発現による細胞に与える影響
ITIIαのN末端にT7-tagをつけてCOS-1細胞で過剰発現させ、間接蛍光抗体法でその局在を調べた結果、図2(B)に示したように核外に局在した(ITIIαは、FITC標識で緑色、TOPIIαは、テキサスレッド標識で赤色、核は、Hoechst染色で青色に表示している。)。その際、本来核内に存在するTOPIIαもITIIαと同様に核外に存在した。また、ITIIαをCOS-1細胞で過剰発現させた場合、上記に示した細胞以外に核の断片および縮小した細胞も同時に観察された。このような細胞は、アポトーシスをおこしている可能性が考えられたため、TUNEL法およびアポトーシスの時に生じるポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)の切断を特異的に認識する抗体を用いて、核の断片および縮小した細胞がアポトーシスを起こしているかどうか検討した。図3(A)に示したようにTUNEL法の結果からFITC-dUTP標識(緑色)で検出されるTUNEL陽性細胞が確認された。また、図3(B)より、PARPの切断も間接蛍光抗体法の結果から確認された。
【0081】
以上の結果から、ITIIαをCOS-1細胞で過剰発現させた場合に、アポトーシスを生じる細胞が検出された。尚、ITIIαの発現は、抗T7-tag抗体を用いたイムノブロットで確認した。イムノブロットの結果(図2(A))より、推定分子量38.6k(T7-tag融合したITIIα)より大きい分子量(47.5k)で検出されたことからITIIαの発現には、何らかの修飾が付加されている可能性が示唆された。
【0082】
(iii)昆虫細胞を用いたITIIαの発現系の構築と精製
ITIIαの発現は、BAC-TO-BAC Baculovirus Expression Systemsを用いて行った。タンパク質の発現(矢印)をCBB染色で確認した(図4(A))。精製は、ITIIα抗体カラム(実験方法参照)を用いて行った。溶出した各フラクション(1〜8)は、透析後、SDS-PAGE、銀染色を行ってタンパク質の精製を確認した(図4(B))。発現したITIIαの分子量は、60.5kで検出され、推定分子量41.2k(His-tag融合したITIIα)より大きい分子量で検出されたことから、COS-1細胞で発現した時と同様に、ITIIαは何らかの修飾が付加されている可能性が示唆された。
【0083】
(iv)組み換えITIIαによるTOPIIα活性の阻害作用
昆虫細胞およびバキュロウイルスを用いて発現させたITIIαが、TOPIIαの活性(Relaxation、Decatenation)に対して阻害作用を示すかどうか検討した。Decatenation活性の測定には、基質にキネトプラストDNAを用い(図5(A))、Relaxation活性の測定には、基質にスーパーコイリングDNA(図5(B))を用いた。活性に対する阻害効果は、ITIIαを加えなかった時の反応後のDNA量を100%としてITIIαを加えた時のDNA量を相対的に算出した。ITIIαは、TOPIIαの両活性に対して濃度依存的に阻害した。図5(B)に示したように基質DNAにITIIαを加えても基質DNAの電気泳動後の結果に影響を示さなかったことから、ITIIαは、DNAと直接結合しないことが示唆された。
【0084】
(v)細胞周期におけるITIIαの発現量の推移と細胞内の局在
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1-RBG)を72時間低血清培地(0.4% FBS、non-essential amino acidsを含むD-MEM)で培養して、その後15% FBSになるように血清を添加した。この時点を0時間として4時間おきに32時間まで細胞を回収してレーザースキャニングサイトメーター(LSC)を用いてDNAの含有量をヒストグラム、およびG0/G1、S、G2/M期の含有率を%で示した(図6(A))。細胞周期が正常に機能していることを確認して、各時間でのITIIαとTOPIIαの発現を抗ITIIαおよび抗TOPIIα抗体で検出し、NIH Imageを用いてそのタンパク質量を定量した(図6(B))。最大発現量を100%として各時間の発現量を相対的に示した。その結果、ITIIαはG1/S、G2/M期を通じてG0期の約4倍、発現量が増加し、G0期を除いては常に一定レベルの発現量を有していることが明らかになった。これに対してTOPIIαは、S期後期から発現が確認され、ITIIαの発現量とともに測定開始32時間目で最大発現量を示した。さらに8時間後から28時間まで4時間ごとのITIIαとTOPIIαの細胞内の局在を間接蛍光抗体法で検出した(図6(C))。その結果、ITIIα は、G1/S期には細胞質に局在し、G2/M期から核内に局在する細胞が認められた。そこで、G2/M期以降にITIIαが核内に存在するかどうか確かめるため、血清添加32時間後の細胞から核分画を調製して、核内でのITIIαの発現について抗ITIIα抗体を用いて検討した。その結果、調製した核分画にITIIαの存在が確認され(図6(D))、細胞周期に応じてITIIαが、核内へ移行していることが示唆された。この時、抗ITIIα抗体の抗原として用いたペプチドを過剰量添加してバンドが消失したことから、核分画で検出したバンドがITIIαに相当することを明らかにした。
【0085】
(vi)ITIIαとTOPIIαの相互作用の検討
ITIIα抗体カラムを用いて、ITIIαにTOPIIαが結合するかどうか検討した。正常ヒト皮膚線維芽細胞を72時間低血清培地で培養して、その後15% FBSになるように血清を添加した。血清添加24、28、32時間後の細胞をRX buffer(実験方法参照)2 mlに懸濁後、超音波破砕を行い遠心分離した上精液を抗体カラムに加えた。抗体精製と同様の方法(実験方法参照)でカラムを洗浄して、500μMの溶出液で順次溶出した。溶出液(Elution 1,2)は、TCA処理後、ITIIα抗体およびTOPIIα抗体を用いてイムノブロットを行った結果、ITIIαとTOPIIαが検出され(図7)、両タンパク質が相互作用していることが示唆された。
TOPIIαを2.9、5.9、11.6、14.8、17.4、22.2nMで添加し、TOPIIαは濃度依存的に、ITIIαと相互作用することを確認した(図8(A))。両者の会合速度定数(kass;M-1S-1=4.2 x 105)、解離速度定数(kdiss;S-1=1.6 x 10-3)および解離平行定数(KD;M=3.8 x 10-9)を算出した結果、ITIIαとTOPIIαの相互作用を確認した。
【0086】
(vii)アンチセンスオリゴヌクレオチドの設計部位
アンチセンスオリゴヌクレオチドの配列決定は、一般に15〜20 merで、翻訳開始のATGコドン付近の20 mer、ATGから15〜20 mer、または第1エクソンと第1イントロンの境界を含む20 merが有効であることが多い。しかし、今回は、genomic DNAのシークエンスがわかっていなかったので、ATGから15〜20 merの塩基配列を選択した。塩基数の決定には、配列中のGC含有率が50% 以上を有し、Gが3つ以上連続する配列は、アンチセンス効果以外の細胞増殖抑制効果を有しているという報告もあることから避けた。またアンチセンス自体がヘアピン形成をしない配列を考慮して、以下の15merを選択した。5'-TAGCAGGTCCGACAT-3'(配列番号9)。作製したアンチセンスの細胞内への導入は、Lipofectinを用いて行った。Lipofectinによるオリゴヌクレオチドの細胞内への取り込みは、FITC標識のセンスオリゴヌクレオチド(アンチセンスのreverse complement)を用いて確認した。
【0087】
(viii)アンチセンスオリゴヌクレオチド効果によるITIIαの発現量およびその局在
正常ヒト皮膚線維芽細胞に、Lipofectinを用いてITIIαのアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入した。導入48時間後、細胞内のITIIαのタンパク質量をイムノブロットで検出した結果、アンチセンス処理した細胞のITIIαは、コントロールのオリゴヌクレオチドを導入した細胞のタンパク質量と比較して66%以上減少した(図9(A))。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度依存的にITIIαのタンパク質量は減少した(図9(B))。83、125、167、250nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加したとき、ITIIαのタンパク質量は6.1、47.1、64.7、83.5%のように減少した。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、導入12時間後にITIIαの発現量の減少が認められ、その際TOPIIαの発現量は増加した(図9(C))。この現象は、癌細胞(A549)を用いても同様の結果が認められ、その際、TOPIの発現量に変化は認められなかった(図9(D))。以上の結果より、アンチセンスでITIIαのタンパク質量が減少するのに伴い、TOPIIαの発現量が増加が認められた。この時、間接蛍光抗体法によって、TOPIIαの細胞内の局在を検出すると、核から細胞質にわたって広範囲にその局在が確認できた(図9(E))。
【0088】
(ix)癌細胞でのITIIαとTOPIIαの発現量の比較
ITIIαの発現量を抑制することによって、TOPIIαの発現量が増加することが示唆された。TOPIIαは、正常細胞より癌細胞で発現量が高いことが報告されていることから、ITIIαの発現量は、正常細胞より癌細胞で低いことが推測された。そこで、正常ヒト皮膚線維芽細胞と癌細胞(HL60、Jurcat、HeLa、腎癌、直腸癌、胆嚢癌、大腸癌)でITIIαとTOPIIαのタンパク質量をイムノブロットで検出(図10)し、正常細胞の両タンパク質量を1として、癌細胞でのタンパク質量を相対的に比較した(表1)。腎癌でのITIIαのタンパク質量は、正常細胞に比べて大きな差は認められなかったが、その他、測定した癌細胞は、正常細胞よりITIIαのタンパク量は約2〜3倍低く、逆にTOPIIαのタンパク量は2〜3倍増加していた。
【0089】
【表1】
Figure 0003665775
【0090】
(x)アンチセンスオリゴヌクレオチドによる癌細胞に対する効果
ITIIαは、癌細胞で正常細胞より発現量は低く、逆にTOPIIαは、癌細胞で正常細胞より発現量は高かった。さらに、アンチセンスで正常細胞のITIIαの発現量を抑制すると、TOPIIαの発現量が増加することが確かめられた。HeLa細胞と正常ヒト皮膚線維芽細胞に対してアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、導入48 時間後の細胞をLSCで解析した結果、正常細胞は、GI/S arrest を起こしたが、細胞数の減少はなかった。これに対して、HeLa細胞は、細胞数が減少し、計測した細胞の1/3がアポトーシスを起こしていた(図11(A))。また、アンチセンス導入24、48、69時間後の細胞を調製してDNA のladder(図11(B))、および48時間後の細胞についてPARPの切断有無を確かめた(図11(C))結果、アンチセンスを導入した癌細胞は、アポトーシスをおこし、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、癌細胞を特異的にアポトーシスに誘導する可能性が示唆された。次に、HeLa細胞以外の細胞で癌細胞でアンチセンスオリゴヌクレオチドによる効果が認められるかどうかを検討した。肺癌(図11(D))、大腸癌(図11(E))で検討したところ、両者ともにアンチセンスオリゴヌクレオチド導入24時間後に明らかに細胞数の減少が認められ、アポトーシスの指標としてDNA のladderも検出された。今回の結果は、癌細胞にアンチセンスを作用させると、細胞内のTOPIIαが過剰になり、アポトーシスを起こし、正常細胞でアポトーシスがおこらなかった原因として、正常細胞では癌細胞と比較して相対的にTOPIIαの発現量が低いため、アンチセンス効果でTOPIIαの発現量が増加しても、GI/Sチェックポイント機構が作用して、細胞死まで至らないのではないかと考えられる。
【0091】
実施例2:ITIIαの合成ペプチドによるTOPIIαの阻害作用
ITIIαのN末端側から20残基ごとに(10残基overlap)合成ペプチドを作製し、TOPIIα活性(Relaxation、Decatenation 活性)の阻害作用を測定した。なお、TOPIIα活性は、実施例1の(viii)TOPIIαの活性測定に記載した方法と同様にして測定した。
その結果、アミノ酸配列132 〜151(VTATFPYTTILSIWLATRRV)(配列番号10)が最も強く阻害作用を示した。結果を図12に示す。なお、この配列以外でもTOPIIα活性を阻害する合成ペプチドが認められた。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、TOPIIαと結合するタンパク質であるITIIαの生理的機能が解明された。本発明によれば、ITIIαの生理的機能に基づいた新規な薬剤を提供することが可能になり、また、TOPIIαとITIIαとの相互作用を利用して、新規な医薬品をスクリーニングする方法を提供することが可能になった。
【0093】
【配列表】
Figure 0003665775
【0094】
Figure 0003665775
Figure 0003665775
【0095】
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Figure 0003665775
Figure 0003665775
【0096】
Figure 0003665775
【0097】
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【0098】
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【0099】
Figure 0003665775
【0100】
Figure 0003665775
【0101】
Figure 0003665775
【0102】
Figure 0003665775
【0103】
Figure 0003665775

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ITIIαの塩基配列およびアミノ酸配列を示す。
【図2】図2は、ITIIαの過剰発現による細胞内の局在を示す。
COS-1細胞でITIIαを発現後、抗T7抗体を用いてイムノブロットによりITIIαの発現を確認した(図2(A))。また、ITIIαの過剰発現による細胞内の局在を示した(図2(B))。
【図3】図3は、ITIIαの過剰発現によるアポトーシスの検出を示す。
ITIIαを発現したCOS-1細胞で、間接蛍光抗体法よりPARPの切断が検出された(図3(A))。また同様に、TUNEL法よりTUNEL陽性の細胞が検出された(図3(B))。
【図4】図4は、昆虫細胞によるITIIα発現系の構築および精製を示す。
昆虫細胞によるITIIαの発現は、BAC-TO-BAC Baculovirus Expression Systemsを用いて行った。発現タンパク質(矢印)をCBB 染色で確認した(A)。
ITIIαの精製は、ITIIα抗体カラム(2.5 mg の精製抗体をCNBr-activated Sepharose 4B(0.5 g)に固定化して調製)を用いて行った。溶出した各フラクション(1〜8)は透析後、SDS-PAGE、銀染色を行ってタンパク質の精製を確認した(B)。
【図5】図5は、組み換えITIIαによるTOPIIα活性の阻害作用を示す。
昆虫細胞、バキュロウイルスを用いて発現させた精製ITIIα(図4、フラクション3)が、TOPIIαの活性(Relaxation, Decatenation)に対して阻害作用を示すかどうか検討した。(A) Decatenation 活性の測定。基質にキネトプラストDNA(0.175μg/assay)を用いた。(B) Relaxation活性の測定。基質にpUC19(0.3μg/assay)を用いた。
【図6】図6は、細胞周期におけるITIIαの発現量の変化と細胞内の局在を示す。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(NB1-RGB)を72時間低血清培地(0.4%FBS, non-essential amino acids を含むD-MEM)で培養し、その後、15%FBSになるように血清を添加した。この時点を0時間として4時間おきに32時間まで細胞を回収し、レーザースキャニングサイトメーターによるDNAの含有量をヒストグラム、およびG1/G0,S,G2/M期の含有率を%で示した(A)。イムノブロットによりITIIαとTOPIIαのタンパク質の発現、およびNIH Imageを用いてその発現量を測定した(B)。8時間後から4時間おきに28時間までITIIαとTOPIIαの細胞内の局在を検出した(C)。血清添加32時間後の細胞を回収し、細胞質および核分画を以下の方法で調製した。細胞をPBS(-)で2回洗浄し,400μlの溶液A(360 μlのNuclear isolation buffer (NIB) に40μl の10% (v/v) Triton X-100を添加)に縣濁した。氷中に5分間静置後,遠心(1000 gで90秒)した。上清液を細胞質分画とし,沈澱物は360μl の溶液B(0.35 M NaClを含むNIB (30 mM Tris-HCl (pH 7.5), 1.5mM MgCl2, 10 mM KCl, 20% (v/v) glycerol))に縣濁して、氷中に30分間静置した。その後、遠心(10,000 g×5分)し、上清液を核分画とした。▲がTOPIIα、△がITIIαのバンドを示す。また,抗ITIIα抗体の抗原として使用したペプチドを過剰量添加して、両分画のバンドがITIIαに相当することを検討した(D)。
【図7】図7は、抗ITIIα抗体カラムを用いたITIIαとTOPIIαの相互作用の検討を示す。
ヒト皮膚線維芽細胞(1×108細胞)を超音波破砕後、超遠心を行い、その上清液を抗ITIIα抗体−アフィニティーカラムに流した。洗浄後、TritonX-100を含んだ50 mMグリシン溶液(pH 2.5)で溶出して直ちに中和後、透析した。その後、サンプルは、抗ITIIα抗体および抗TOPIIα抗体を用いてイムノブロットを行った。
【図8】図8は、プラズモン共鳴法を用いたITIIαとTOPIIαの相互作用の検討を示す。
プラズモン共鳴法による測定は、IAsys plusを用いて行った。固相化用のキュベットにはCMデキストランキュベットを使用して、ITIIαを固相化(267 arc seconds)した。TOPIIαを2.9〜22.2nMの範囲内で添加し、このデータをFASTfitにて解析し、会合速度定数(kass)、解離速度定数(kdiss)および解離平行定数を算出した。
【図9】図9は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるTOPIIαの発現量およびその局在を示す。
正常ヒト皮膚線維芽細胞(1×106細胞/ml)にセンス、センスリバース、ランダムおよびアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、48 時間後、抗ITIIα抗体を用いてイムノブロットを行い、細胞内のITIIαの発現量を測定した。また、アンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度をかえてITIIαの発現量の変動を測定した。さらに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを導入後、細胞内のITIIαおよびTOPIIαの発現量を経時的に測定し、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるTOPIIαの局在の変化は間接傾向抗体法を用いて検出した。
【図10】図10は、正常細胞(ヒト皮膚線維芽細胞)とがん細胞(Jurcat 、HL60、HeLa、腎癌、直腸癌、胆嚢癌、大腸癌)でのITIIαとTOPIIαの発現量の比較を示す。
ITIIαの発現量は、がん細胞では正常細胞に比べて、2〜3倍減少し、TOPIIαは、逆に2〜3倍増加した(表1)。
【図11】図11は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正常細胞と癌細胞に対する作用効果を示す。
正常細胞(NB1-RGB)と癌細胞(HeLa) に対して2μM のアンチセンスをリポフェクチン法で導入した。48 時間後、LSCで解析した(A)。アンチセンス導入24、48、69時間後、正常細胞と癌細胞を回収してDNAのladderを検出した(B)。さらに、アンチセンス導入48時間後の癌細胞について、間接蛍光抗体法により、PARPの切断の有無を測定した(C)。
【図12】図12は、ITIIαの合成ペプチドによるTOPIIαの阻害作用の検出を示す。
ITIIαのアミノ酸配列132 〜151(VTATFPYTTILSIWLATRRV)が濃度依存的にTOPIIα活性を阻害した。Relaxation活性については、20μMでほぼ完全に阻害した(A)。Decatenation活性については、100μMでも完全に阻害しなかった(B)ことから、両活性に対して感受性の違いが認められた。

Claims (10)

  1. 下記の何れかのアミノ酸配列から成るヒトトポイソメラーゼ2α結合因子を含むヒトトポイソメラーゼ2α阻害剤。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列から成り、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
  2. 配列番号10に記載のアミノ酸配列から成るタンパク質を含む、ヒトトポイソメラーゼ2α阻害剤。
  3. 下記の何れかのアミノ酸配列から成るヒトトポイソメラーゼ2α結合因子を含むアポトーシス誘導剤。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列から成り、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
  4. 配列番号9に記載の塩基配列を含み、かつ下記の何れかの塩基配列中の連続する15から25の塩基配列のアンチセンス配列から成り、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子(ITIIα)の発現を抑制できるアンチセンスオリゴヌクレオチド。
    (a)配列番号2に記載の塩基配列;又は
    (b)配列番号2に記載の塩基配列において1から数個の塩基が欠失、置換及び/又は挿入した塩基配列から成り、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるタンパク質をコードする塩基配列:
  5. 請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子の阻害剤。
  6. 請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、ヒトトポイソメラーゼ2αの発現増強剤。
  7. 請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、アポトーシス誘導剤。
  8. 請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、抗癌剤。
  9. 被験物質の存在下において、下記の何れかのアミノ酸配列から成るヒトトポイソメラーゼ2α結合因子と、ヒトトポイソメラーゼ2αとの相互作用を測定し、該相互作用を阻害する物質を選択することを特徴とする、ヒトトポイソメラーゼ2α結合因子の阻害剤のスクリーニング方法。
    (a)配列番号1に記載のアミノ酸配列;又は
    (b)配列番号1に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸が欠失、置換及び/又は挿入したアミノ酸配列から成り、ヒトトポイソメラーゼ2αと相互作用してその活性を阻害することができるアミノ酸配列:
  10. 被験物質が、低分子化合物、抗体、オリゴヌクレオチド、又はそれらのライブラリーである、請求項9に記載の方法。
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