JP3665264B2 - 超電導コイルを用いた電気音響変換素子 - Google Patents

超電導コイルを用いた電気音響変換素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導コイルを備えた電気音響変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気音響変換素子には電気から音響に変換する素子としてスピーカ、音響から電気に変換する素子としてマイクロフォンがある。一般的に動電型と称されるスピーカはコロナ社刊「音響振動工学」に詳細が述べられている。このスピーカは磁石、磁気回路、ムービングコイルおよび振動伝達機構から構成される。一般的に磁石には永久磁石を使用し、永久磁石は磁性体を用いた磁気回路に接続され、ムービングコイルは磁気回路のギャップ中に配置される。ムービングコイルには磁石によって発生した磁場が印加され、外部から入力される交流電流により磁場と電流の外積ベクトルの方向にローレンツ力が発生し、ムービングコイルが振動する。ムービングコイルの振動はコーン等の振動伝達機構により空気等の媒質に伝達され、音波となって出力される。
【0003】
ムービングコイルが発生するローレンツ力は、ムービングコイルに使用する導体の通電電流と磁束密度の外積を導体全長に渡って積分した値となる。したがって、駆動力を増大させるには、ムービングコイルに使用する導体を長くする方法、ムービングコイルの通電電流を大きくする方法、またはムービングコイルに印加する磁場を大きくする方法が考えられる。ムービングコイルに使用する導体を長くする方法では、ムービングコイルの質量が大きくなるので、ムービングコイルの機械的インピーダンスが大きくなり、スピーカとしての出力効率や周波数応答性が悪化する。ムービングコイルの通電電流を大きくするという方法では、大出力のムービングコイル通電電源やジュール発熱を冷却できる構造のムービングコイルが必要となる。磁場を大きくするという方法では、ムービングコイルの位置における磁場は1.5テスラ程度が上限であり、永久磁石を使用する限り、磁場を大きくするという方法には限界がある。しかし、磁場の発生手段として永久磁石に換えて超電導コイルを使用し、超電導コイルとムービングコイルについて効率のよい形状と配置を採用することにより、ムービングコイルに印加される磁場を増大させることが可能である。超電導コイルを用いた電気音響変換素子の例としては特開平1−106699号公報がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電気音響変換素子の磁場発生の手段として超電導コイルを用いた場合、永久磁石を用いた場合と比較して、磁場をより大きくすることができるため、出力を増大させることが可能である。しかし、スピーカにおいてはムービングコイルには交流電流を通電するため、交流磁場が発生する。この交流磁場が渦電流を超電導コイルに誘導し、渦電流のジュール発熱により超電導コイルの温度が上昇してしまう。超電導コイルの温度が上昇すると超電導コイルがクエンチ(速やかな常電導転移)を起こし、磁場を発生できなくなるという問題がある。
本発明は、従来技術のこのような問題点に鑑み、大出力を安定して発生することのできる電気音響変換素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、磁場発生手段として超電導コイルを用いて電気音響変換素子の高出力化を実現するとともに、超電導コイルの外側を低抵抗金属で構成される渦電流低減層で囲うことにより超電導コイルに発生する渦電流を低減し、クエンチを起こさない高安定な磁場発生手段とすることにより、高安定な電気音響変換素子を実現した。
【0006】
すなわち、本発明による電気音響変換素子は、所定の空隙を持って対向し互いに逆方向に直流磁場を発生する2個のリング状超電導コイルと、前記2個のリング状超電導コイル間に当該2個のリング状超伝導コイルの発生する磁場の径方向成分が最大となる位置に配置されたリング状ムービングコイルと、ムービングコイルに接続された振動板と、2個のリング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明による電気音響変換素子は、また、所定の空隙を持って対向する2個のリング状ムービングコイルと、2個のリング状ムービングコイルの間に配置された直流磁場を発生するリング状超電導コイルと、2個のリング状ムービングコイルにそれぞれ接続された2個の振動板と、リング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含み、2個のムービングコイルは互いに逆位相で振動することを特徴とする。
【0008】
2個のムービングコイルを互いに逆位相で振動させる方法としては、互いに同方向に巻回した2個のムービングコイルを直列接続する方法、互いに逆方向に巻回した2個のムービングコイルに逆方向に信号電流を流す方法などがある。
本発明による電気音響変換素子は、また、所定の空隙を持って対向し機械的に連結された2個のリング状ムービングコイルと、2個のリング状ムービングコイルの間に配置された直流磁場を発生するリング状超電導コイルと、ムービングコイルに接続された振動板と、リング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含むことを特徴とする。
【0009】
この場合、2個のムービングコイル同位相で振動する。2個のムービングコイル同位相で振動させる方法としては、互いに逆方向に巻回した2個のムービングコイルを直列接続する方法、互いに同方向に巻回した2個のムービングコイルに逆方向に信号電流を流す方法などがある。
渦電流低減層は極低温に冷却されていてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下ではスピーカを例にとって本発明の電気音響変換素子について説明するが、本発明はスピーカだけでなくマイクロフォンにも同様に適用できる。
【0011】
〔実施の形態1〕
図1は、本実施の形態によるスピーカの動作原理図を説明するための図である。まず、図1を用い、本発明の動作原理と超電導コイルを使用した場合の利点を説明する。2個のソレノイド形状の超電導コイル1a,1bは同一形状であり、所定の間隔で同軸上に配置される。超電導コイル1aと1bは電気的に直列に接続されるが、互いに通電方向が逆であるため、超電導コイル1a,1bの間の空間にカスプ型磁場を生成する。ムービングコイル11はソレノイド形状の常電導コイルであり、超電導コイル1a,1bの発生するカスプ型磁場の径方向成分が最大となる位置と重なるように配置される。ムービングコイル11は振動伝達部22を介して、振動板21と機械的に結合されている。超電導コイル1a,1bに直流電流を通電すると、カスプ型磁場が発生し、ムービングコイル11にはほぼ径方向成分のみの磁場が印加される。このとき、ムービングコイル11に交流電流を通電すると、ムービングコイル11には磁場の径方向成分と交流電流との作用によりローレンツ力が発生し、通電した交流電流と同じ周波数で振動する。この振動は振動伝達部22を介して振動板21に伝達され、振動板21はこの振動を外部の媒質に音波として伝達する。
【0012】
この例では、一例として超電導コイル1a,1bの内径を100mm、外径を400mm、軸方向厚みを150mm、通電電流密度を100A/mm2、超電導コイル1a,1b間の間隙を100mmになるように配置した。また、ムービングコイル11の中心直径を240mmとした。このような配置において、超電導コイル1a,1bの発生する径方向磁場はムービングコイル11の巻線の中央において約4.1Tであった。磁気回路を備えた永久磁石では最大でも1.5T程度しか磁場を発生できないことと比較すると、その約2.7倍の磁場を発生可能であることがわかる。ムービングコイル11が発生するローレンツ力はムービングコイル11に使用する導体の通電電流と磁束密度の外積を導体全長に渡って積分した値となるので、超電導コイルを使用した場合と永久磁石を使用した場合と比較すると、超電導コイルを使用した場合は出力が約2.7倍であり、超電導コイルを用いることにより高出力化が可能となった。
次に、本実施の形態のスピーカについて詳細な構造を説明する。
【0013】
図2に上記スピーカの断面図を示す。超電導コイル1a,1bはニオブチタン合金を超電導材料とする超電導線を用いたソレノイドコイルである。超電導コイル1a,1bの外側には銅を材料とする輻射シールド3a,3b、ステンレスを材料とする真空容器4a,4bが配置されている。真空容器4a,4bと輻射シールド3a,3bは紙面の縦方向に常温常圧ボアが貫通した構造である。超電導コイル1a,1bは冷凍機5a,5bの第2段と結合され、約4Kに熱伝導により冷却され、超電導状態となる。また、輻射シールド3a,3bは冷凍機5a,5bの第1段により約40Kに冷却される。真空容器4a,4bの内部は気体分子による伝熱を防止するため真空であり、輻射シールド3a,3bは真空容器4a,4bからの輻射熱を遮蔽することにより、常温である真空容器4a,4bから超電導コイル1a,1bへの熱の侵入を抑制している。超電導コイル1a,1bと輻射シールド3a,3b、および、輻射シールド3a,3bと真空容器4a,4bの間はそれぞれFRP製の荷重支持体6a,6b;7a,7bにより連結され、超電導コイル1a,1bおよび輻射シールド3a,3bの荷重を真空容器4a,4bが支持する構造となっている。超電導コイル1aと1bは直流電流を通電した場合に反発力を発生するので、それぞれの超電導コイルの荷重を支持する真空容器は連結棒31で機械的に固定されている。
【0014】
ムービングコイル11は超電導コイル1a,1bの発生するカスプ型磁場の径方向成分が最大となる位置に配置され、外部から交流電流を通電できる構造である。ムービングコイル11は振動伝達部22を介して振動板21と結合され、振動板21はベローズを用いたバネ32を介して真空容器4aに連結されている。以上のような構成により、超電導コイル1aおよび1bに外部から直流電流、ムービングコイル11に交流電流を通電するとスピーカとして機能する。
【0015】
本実施の形態においては、ムービングコイル11の発生する交流磁場を低減し、超電導コイル1a,1bの温度上昇を抑制するために、真空容器4a,4bの外側に渦電流低減層2a,2bを設置した。渦電流低減層2a,2bが交流磁場を効果的に低減するためには、層の厚さを表皮厚さ以上とする必要がある。表皮厚さとは金属に交流磁場が作用した場合において、交流磁場の振幅が1/eに減衰するために必要な金属層の厚みを指し、(2/μσω)1/2で表される。ここでμは使用する金属の透磁率、σは電気伝導率、ωは交流磁場の角周波数を表す。
【0016】
本実施の形態においては最低周波数を100Hzとし、渦電流低減層2a,2bには銅を用いるため、μは1.257×10-6、σは5×107、ωは6.283×10-2となり、表皮厚さは約7.1mmである。したがって、本発明における渦電流低減層はこれより厚い10mmとした。以上のように渦電流低減層2a,2bを設置することで、超電導コイル1a,1bをクエンチすることがなく、高安定化を図ることができた。
【0017】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態のスピーカの動作原理と超電導コイルを使用した場合の利点は実施の形態1と同様である。ただし、本実施の形態においては超電導コイル、ムービングコイルの配置は図1を横倒しにしたような配置となっている。
【0018】
スピーカの断面図を示す図3を用いて、本実施の形態のスピーカについて詳細な構造を説明する。超電導コイル1a,1bはニオブチタン合金を超電導材料とする超電導線を用いたソレノイドコイルである。超電導コイル1a,1bは液体ヘリウム34を溜めることのできる断熱真空容器8a,8bに収納され、断熱真空容器8a,8b内部に液体ヘリウム34を溜めることにより超電導コイル1a,1bは超電導状態となる。断熱真空容器8a,8bは互いに上部連結管9、下部連結管10で連結されており、液体ヘリウム34の液面高さが同じになるような構造である。断熱真空容器8aには液体ヘリウム34を補給するための液体ヘリウム補給口33が設けられている。断熱真空容器8a,8bは横方向に貫通した常温常圧ボアを備える。超電導コイル1a,1bと断熱真空容器8a,8bの間はそれぞれFRP製の荷重支持体6a,6bにより連結され、超電導コイル1a,1bの荷重を断熱真空容器8a,8bが支持する構造となっている。超電導コイル1aと1bは直流電流を通電した場合に反発力を発生するので、それぞれの超電導コイルの荷重を支持する真空容器は連結棒31で機械的に固定されている。
【0019】
ムービングコイル11は超電導コイル1a,1bの発生するカスプ型磁場の径方向成分が最大となる位置に配置され、外部から交流電流を通電できる構造である。ムービングコイル11は振動伝達部22を介して振動板21と結合され、振動板21はベローズを用いたバネ32を介して断熱真空容器8aに連結されている。以上のような構成により、超電導コイル1aおよび1bに外部から直流電流、ムービングコイル11に交流電流を通電すると本発明はスピーカとして機能する。
【0020】
本実施の形態においては、ムービングコイル11の発生する交流磁場を低減し、超電導コイル1a,1bの温度上昇を抑制するために、渦電流低減層2a,2bを超電導コイル1a,1bの表面に設置した。渦電流低減層2a,2bは液体ヘリウム34の中にあるため温度が低く、電気伝導度が高くなるため効果的に交流磁場を低減することができる。
【0021】
本実施の形態においては最低周波数を100Hzとし、渦電流低減層2a,2bには約4.2Kに冷却された銅を用いるため、μは1.257×10-6、σは1×1010、ωは6.283×10-2となり、表皮厚さは約0.5mmである。したがって、本発明における渦電流低減層はこれより厚い1mmとした。以上のように渦電流低減層2a,2bを設置することで、超電導コイル1a,1bをクエンチすることがなく、高安定化を図ることができた。
〔実施の形態3〕
図4は、本発明の他の実施の形態によるスピーカの動作原理図を説明するための図である。まず、図4を用い、本実施の形態のスピーカの動作原理と超電導コイルを使用した場合の利点を説明する。
【0022】
2個のソレノイド形状のムービングコイル11a,11bは同一形状であり、所定の間隔で同軸上に配置される。ムービングコイル11a,11bは電気的に直列に接続され、通電方向は同一である。超電導コイル1はソレノイド形状であり、ムービングコイル11a,11bの間に配置される。ムービングコイル11a,11bは振動伝達部22a,22bを介して、振動板21a,21bと機械的に結合されている。超電導コイル1に直流電流を通電すると、ムービングコイル11a,11bに磁場が印加される。このとき、ムービングコイル11a,11bに交流電流を通電すると、ムービングコイル11a,11bには磁場の径方向成分と交流電流との作用によりローレンツ力が発生し、通電した交流電流と同じ周波数で振動する。この振動は振動伝達部22a,22bを介して振動板21a,21bに伝達され、振動板21はこの振動を外部の媒質に音波として伝達する。
【0023】
本実施の形態では一例として、超電導コイル1の内径を100mm、外径を400mm、軸方向厚みを150mm、通電電流密度を100A/mm2とした。また、ムービングコイル11a,11bの中心直径を240mmとし、超電導コイル1の表面とムービングコイル11a,11bの巻線中央との距離を50mmとした。このような配置において、超電導コイル1の発生する径方向磁場はムービングコイル11a,11bの巻線の中央において約2.1Tであった。磁気回路を備えた永久磁石では最大でも1.5T程度しか磁場を発生できないことと比較すると、約1.4倍の磁場を発生可能であることがわかる。したがって出力も約1.4倍であるが、ムービングコイルは2個あるので出力はさらに倍となる。
【0024】
ムービングコイル11a,11bは同形状で直列に接続され、通電方向は同一である。一方、ムービングコイル11a,11bに作用する磁場の径方向成分は絶対値が同じであるが、方向が逆である。したがって、ムービングコイル11a,11bは互いに逆位相で振動する。この場合、超電導コイル1に作用する電磁力は互いにキャンセルされるため、荷重支持体を小さくでき、超電導コイル1への熱侵入を小さくできるというメリットがある。
【0025】
次に、本発明のスピーカについて詳細な構造を説明する。図5に、上記スピーカの断面図を示す。超電導コイル1はニオブチタン合金を超電導材料とする超電導線を用いたソレノイドコイルである。超電導コイル1の外側には銅を材料とする輻射シールド3、ステンレスを材料とする真空容器4が配置されている。真空容器4と輻射シールド3は紙面の縦方向に常温常圧ボアが貫通した構造である。超電導コイル1は冷凍機5の第2段と結合され、約4Kに熱伝導により冷却され、超電導状態となる。また、輻射シールド3は冷凍機5の第1段により約40Kに冷却される。真空容器4の内部は気体分子による伝熱を防止するため真空であり、輻射シールド3は真空容器4からの輻射熱を遮蔽することにより、常温である真空容器4から超電導コイル1への熱の侵入を抑制している。超電導コイル1と輻射シールド3、および、輻射シールド3と真空容器4の間はそれぞれFRP製の荷重支持体6,7により連結され、超電導コイル1および輻射シールド3の荷重を真空容器4が支持する構造となっている。
【0026】
ムービングコイル11a,11bは超電導コイル1を挟み込むように配置され、外部から交流電流を通電できる構造である。ムービングコイル11a,11bは電気的に直列に接続され、通電方向は同一である。ムービングコイル11a,11bは振動伝達部22a,22bを介して振動板21a,21bと結合され、振動板21a,21bはベローズを用いたバネ32a,32bを介して真空容器4aに連結されている。以上のような構成により、超電導コイル1に外部から直流電流、ムービングコイル11a,11bに交流電流を通電すると振動板21aと振動板21bはそれぞれ逆位相で振動し、本発明はスピーカとして機能する。
【0027】
本実施の形態においては、ムービングコイル11a,11bの発生する交流磁場を低減し、超電導コイル1の温度上昇を抑制するために、真空容器4の外側に渦電流低減層2を設置した。渦電流低減層2が交流磁場を効果的に低減するためには、層の厚さを表皮厚さ以上とする必要がある。表皮厚さとは金属に交流磁場が作用した場合において、交流磁場の振幅が1/eに減衰するために必要な金属層の厚みを指し、(2/μσω)1/2で表される。ここでμは使用する金属の透磁率、σは電気伝導率、ωは交流磁場の角周波数を表す。本実施の形態においては最低周波数を100Hzとし、渦電流低減層2には銅を用いるため、μは1.257×10-6、σは5×107、ωは6.283×10-2となり、表皮厚さは約7.1mmである。したがって、本発明における渦電流低減層はこれより厚い10mmとした。以上のように渦電流低減層2を設置することで、超電導コイル1をクエンチすることのない、高安定なスピーカを実現することができた。
【0028】
なお、本実施の形態の変形例として、図3に示した例と同様に渦電流低減層2を超伝導コイル1の表面に設置し、超伝導コイル1を冷却する液体ヘリウム等の冷媒によって渦電流低減層2を極低温に冷却する構造としてもよい。渦電流低減層2を極低温に冷却する構造とすると、渦電流低減層2として用いる金属層の厚みを低減することができる。
【0029】
〔実施の形態4〕
図6は、本発明の他の実施の形態によるスピーカの動作原理図を説明するための図である。まず、図6を用い、本実施の形態のスピーカの動作原理と超電導コイルを使用した場合の利点を説明する。
【0030】
2個のソレノイド形状のムービングコイル11a,11bは同一形状であり、所定の間隔で同軸上に配置される。ムービングコイル11a,11bは電気的に直列に接続されるが、通電方向は逆である。超電導コイル1はソレノイド形状であり、ムービングコイル11a,11bの間に配置される。ムービングコイル11a,11bは振動伝達部22a,22bおよび振動伝達部連結棒23を介して、振動板21と機械的に結合されている。超電導コイル1に直流電流を通電すると、ムービングコイル11a,11bに磁場が印加される。このとき、ムービングコイル11a,11bに交流電流を通電すると、ムービングコイル11a,11bには磁場の径方向成分と交流電流との作用によりローレンツ力が発生し、通電した交流電流と同じ周波数で同位相で振動する。この振動は振動伝達部22a,22bを介して振動板21a,21bに伝達され、振動板21はこの振動を外部の媒質に音波として伝達する。
【0031】
本実施の形態では一例として、超電導コイル1の内径を100mm、外径を400mm、軸方向厚みを150mm、通電電流密度を100A/mm2とした。また、ムービングコイル11a,11bの中心直径を240mmとし、超電導コイル1の表面とムービングコイル11a,11bの巻線中央との距離を50mmとした。このような配置において、超電導コイル1の発生する径方向磁場はムービングコイル11a,11bの巻線の中央において約2.1Tであった。磁気回路を備えた永久磁石では最大でも1.5T程度しか磁場を発生できないことと比較すると、約1.4倍の磁場を発生可能であることがわかる。したがって出力も約1.4倍であるが、ムービングコイルは2個あるので出力はさらに倍となる。
【0032】
次に、本発明のスピーカについて詳細な構造を説明する。図7に、上記スピーカの断面図を示す。超電導コイル1はニオブチタン合金を超電導材料とする超電導線を用いたソレノイドコイルである。超電導コイル1の外側には銅を材料とする輻射シールド3、ステンレスを材料とする真空容器4が配置されている。真空容器4と輻射シールド3は紙面の縦方向に常温常圧ボアが貫通した構造である。超電導コイル1は冷凍機5の第2段と結合され、約4Kに熱伝導により冷却され、超電導状態となる。また、輻射シールド3は冷凍機5の第1段により約40Kに冷却される。真空容器4の内部は気体分子による伝熱を防止するため真空であり、輻射シールド3は真空容器4からの輻射熱を遮蔽することにより、常温である真空容器4から超電導コイル1への熱の侵入を抑制している。超電導コイル1と輻射シールド3、および、輻射シールド3と真空容器4の間はそれぞれFRP製の荷重支持体6,7により連結され、超電導コイル1および輻射シールド3の荷重を真空容器4が支持する構造となっている。
【0033】
ムービングコイル11a,11bは超電導コイル1を挟み込むように配置され、外部から交流電流を通電できる構造である。ムービングコイル11a,11bは電気的に直列に接続されるが、通電方向は逆である。ムービングコイル11a,11bは振動伝達部22a,22bおよび振動伝達部連結棒23を介して振動板21と結合され、振動板21はベローズを用いたバネ32を介して真空容器4aに連結されている。以上のような構成により、超電導コイル1に外部から直流電流、ムービングコイル11a,11bに交流電流を通電すると振動板21は振動し、本発明はスピーカとして機能する。
【0034】
本実施の形態においては、ムービングコイル11a,11bの発生する交流磁場を低減し、超電導コイル1の温度上昇を抑制するために、真空容器4の外側に渦電流低減層2を設置した。渦電流低減層2が交流磁場を効果的に低減するためには、層の厚さを表皮厚さ以上とする必要がある。表皮厚さとは金属に交流磁場が作用した場合において、交流磁場の振幅が1/eに減衰するために必要な金属層の厚みを指し、(2/μσω)1/2で表される。ここでμは使用する金属の透磁率、σは電気伝導率、ωは交流磁場の角周波数を表す。本実施の形態においては最低周波数を100Hzとし、渦電流低減層2には銅を用いるため、μは1.257×10-6、σは5×107、ωは6.283×10-2となり、表皮厚さは約7.1mmである。したがって、本発明における渦電流低減層はこれより厚い10mmとした。以上のように渦電流低減層2を設置することで、超電導コイル1をクエンチすることのない、高安定なスピーカを実現することができた。
【0035】
なお、本実施の形態の変形例として、図3に示した例と同様に渦電流低減層2を超伝導コイル1の表面に設置し、超伝導コイル1を冷却する液体ヘリウム等の冷媒によって渦電流低減層2を極低温に冷却する構造としてもよい。渦電流低減層2を極低温に冷却する構造とすると、渦電流低減層2として用いる金属層の厚みを低減することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、スピーカの磁場発生部として超電導コイルを用い、超電導コイルの周囲には渦電流低減層を設けることにより、大出力で高安定のスピーカを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1によるスピーカの動作原理図説明図。
【図2】実施の形態1のスピーカの断面図。
【図3】実施の形態2のスピーカの断面図。
【図4】実施の形態3によるスピーカの動作原理図説明図。
【図5】実施の形態3のスピーカの断面図。
【図6】実施の形態4によるスピーカの動作原理図説明図。
【図7】実施の形態4のスピーカの断面図。
【符号の説明】
1…超電導コイル、1a…超電導コイル、1b…超電導コイル、2…渦電流低減層、2a…渦電流低減層、2b…渦電流低減層、3…輻射シールド、3a…輻射シールド、3b…輻射シールド、4…真空容器、4a…真空容器、4b…真空容器、5…冷凍機、5a…冷凍機、5b…冷凍機、6…荷重支持体、6a…荷重支持体、6b…荷重支持体、7…荷重支持体、7a…荷重支持体、7b…荷重支持体、8a…断熱真空容器、8b…断熱真空容器、9…上部連結管、10…下部連結管、11…ムービングコイル、11a…ムービングコイル、11b…ムービングコイル、21…振動板、21a…振動板、21b…振動板、22…振動伝達部、22a…振動伝達部、22b…振動伝達部、23…振動伝達部連結棒、31…連結棒、32…バネ、32a…バネ、32b…バネ、33…液体ヘリウム補給口、34…液体ヘリウム。

Claims (4)

  1. 所定の空隙を持って対向し互いに逆方向に直流磁場を発生する2個のリング状超電導コイルと、
    前記2個のリング状超電導コイル間に当該2個のリング状超伝導コイルの発生する磁場の径方向成分が最大となる位置に配置されたリング状ムービングコイルと、
    前記ムービングコイルに接続された振動板と、
    前記個のリング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含むことを特徴とする電気音響変換素子。
  2. 所定の空隙を持って対向する2個のリング状ムービングコイルと、
    前記2個のリング状ムービングコイルの間に配置された直流磁場を発生するリング状超電導コイルと、
    前記2個のリング状ムービングコイルにそれぞれ接続された2個の振動板と、
    前記リング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含み、前記2個のムービングコイルは互いに逆位相で振動することを特徴とする電気音響変換素子。
  3. 所定の空隙を持って対向し機械的に連結された2個のリング状ムービングコイルと、
    前記2個のリング状ムービングコイルの間に配置された直流磁場を発生するリング状超電導コイルと、
    前記ムービングコイルに接続された振動板と、
    前記リング状超電導コイルを包囲するように配置された低抵抗金属からなる渦電流低減層とを含むことを特徴とする電気音響変換素子。
  4. 請求項1,2又は3記載の電気音響変換素子において、前記渦電流低減層は極低温に冷却されていることを特徴とする電気音響変換素子。
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