JP3664384B2 - 微小金属複合中空球体およびその製造方法 - Google Patents

微小金属複合中空球体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い微小金属複合中空球体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、微小な金属の球体を製造する方法としては、1種以上の金属塩を含む溶液を噴霧して液滴にし、該液滴を該金属塩の分解温度より高く、また酸化物を生成する場合には、該酸化物の分解温度より高く、かつ該金属塩を構成する金属の融点より低い温度で加熱することを特徴とする噴霧熱分解製造方法が提案されている(特開平8−170112)。
【0003】
また、金属の中空球体の製造方法としては、金属板を塑性変形することにより金属の中空球体を形成する方法が提案されている(特開平8−66731)。
【0004】
また、芯材に球状の高分子有機物を用い、その表面に金属を被覆し、加熱することにより芯材の高分子有機物を分解し、ガス化し、金属の中空球体を形成する方法が提案されている(特開平6−7670)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような金属のみで構成される微小な金属の中空体ではなく、無機物の天然ガラスを芯材とし、該芯材に金属を被覆してなる、真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い新規な微小金属複合中空球体およびその製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の微小金属複合中空球体は、無機物の天然ガラスを芯材とし、該芯材に金属を単層もしくは多層に被覆してなる、真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い中空の球状微粒子である。
【0007】
その真球度合は、0.5〜5%、好ましくは1〜2%であり、その表面粗さ度は、0.01〜0.2%、好ましくは0.02〜0.1%である。
【0008】
また、その粒径は、14〜100μm、好ましくは30〜100μmであり、金属の被覆厚は、粒径の5〜40%でかつ5μm以上、好ましくは10〜20%でかつ5μm以上である。
【0009】
さらに被覆する金属の主成分は、ニッケル、鉄、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウム、好ましくはニッケル、銀、銅、金、アルミニウム、さらに好ましくはニッケル、銅である。
【0010】
耐熱温度は、被覆する金属の溶融温度未満である。
【0011】
本発明の微小金属複合中空球体は、無機物の天然ガラスの芯材に金属を被覆し、該金属被覆芯材を被覆した金属の溶融温度以上で空中で加熱することで製造する。また、上記の製造方法により得られるすべての製造物も含まれる。
【0012】
本発明の微小金属複合中空球体は、無機物の天然ガラスを芯材とし、該芯材に金属を被覆してなる中空の球状微粒子である。無機物の天然ガラスは、火山噴出物が堆積したものであり、塊状のものや、粒状のものがある。塊状のものは松脂岩、黒曜岩、真珠岩などがあり、粉砕することで芯材になる。また粒状のものはシラスがあり、そのまま芯材となる。さらにこの粒状のシラスを粉砕したものも芯材となる。
【0013】
これらの芯材は、水分を含有しており、加熱することで発泡し、焼成発泡体となる。焼成発泡体は、パーライト、シラスバルーン、微粒シラスバルーンなどがある。パーライトは、前記塊状のものを粉砕し、加熱し、発泡させたものである。シラスバルーンは、前記粒状のシラスを加熱し、発泡させたものである。微粒シラスバルーンは、前記粒状のシラスを粉砕し、加熱し、発泡させたもののうち、特に20μm以下の粒径のものである。
【0014】
焼成発泡体は、流動層式加熱炉や電気炉を用いて、芯材を高温で加熱し発泡させて製造する。ただし、これらの方法に限定されるものではない。流動層式加熱炉とは、特許第849394号または特許第3028474号に開示してあるような流動焼成炉のことである。砂またはセラミックスボールを流動媒体として、原料を流動化ガスに同伴させて流動層底部のガス分散板を通して供給し、製品は排ガス中からサイクロンにより分離回収する。焼成に必要な熱量は、流動化ガスである空気に燃料ガスを混合して流動層に吹き込み、流動層内で燃焼する内燃方式によって供給する。
【0015】
特に発明者らは、原料に粒状のシラスまたは粒状のシラスを粉砕したものを用い、これを加熱し、発泡させたシラスバルーンまたは微粒シラスバルーンの製造に関して特許を有している。(特許第2562788号、特許第3028474号)。
【0016】
金属被覆芯材とは、芯材に金属を被覆したものをいう。
【0017】
真球度合とは、次のような方法により真球度を測定し、これと粒子直径との比とする。初めに、真球度の測定は、JIS B 1501に玉軸受用鋼球の測定方法として規定されている。これによると真球度は、測定する鋼球1個を真円度測定器で互いに90°をなす2又は3赤道平面上の鋼球表面の輪郭を測定し、それぞれの最小外接円から鋼球表面までの半径方向の距離の最大の値として求めるとある。また、その鋼球の大きさが0.3mm以上のものについて規定してある。
【0018】
本発明の微小金属複合中空球体は微小で、0.3mm未満のものもあるため、上記のJISに準拠した次の方法で真球度を測定した。電子顕微鏡により粒子画像を得て、1赤道平面についてのみ、その真円度を画像処理により測定し、真球度の値とした。そして、これと粒子直径との比を真球度合とした。ここで真円度とは、被測定物の輪郭を、その被測定物の重心を中心とした二つの幾何学的円で挟んだとき、同心二円の間隔が最小となる場合の二円の半径差で表す。
【0019】
具体的には、先ず微小金属複合中空球体のデジタル画像を、電界放射走査電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM−6330F)を用いて、一つの点が256階調以上の分解能で得る。また、前記デジタル画像に表示される粒子画像は、少なくともその直径が500個以上の点で表示されるような解像度で得る。
【0020】
次にSobelのエッジ検出法を用いて、画像の階調が著しく変化する粒子画像と背景との境界、すなわち輪郭線を強調する。Sobelのエッジ検出法は、ある任意の点と、この点の縦横の走査方向に隣接する2点との階調差をそれぞれ2乗し、その2つの解の和をとり、その平方根を前記任意の点の新しい階調とするものである。任意の点の階調をd(i,j)、これに縦横の走査方向に隣接する2点の階調をd(i+1,j)とd(i,j+1)としたとき、前記任意の点の新しい階調D(i,j)は数1により求める。
【0021】
【数1】
Figure 0003664384
(i:デジタル画像のX座標、j:デジタル画像のY座標)
【0022】
次に2値化して粒子画像の輪郭線を得る。ここで、明らかに輪郭線を構成する点でないものは削除する。次に得られた輪郭線に囲まれている領域の重心を求める。この重心と、円の外周を構成する各点との距離を測定する。得られた距離で最長のものを、前記同心2円の外側の円の半径Rmaxとする。また、最短のものを、前記同心2円の内側の円の半径Rminとする。真球度合は数2により求める。
【0023】
【数2】
Figure 0003664384
真球のものは、その真球度合が0%となる。
【0024】
表面粗さ度とは、次のような方法によりJIS B 0601に規定されている算術平均粗さRaを測定し、これと粒子直径との比とする。算術平均粗さRaは、基準面に対する高さの凹凸の度合い表すものである。
【0025】
算術平均粗さRaを、光波干渉を利用した表面構造解析顕微鏡(zygo製 New View 5032、ソフトウェア:MetroPro バージョン7.3.4)を用いて測定する。基準面は、例えば本発明の微小金属複合中空球体の場合、これの高周波成分である表面粗さ成分を除去した球体の曲面となる。使用する表面構造解析顕微鏡では、特に設定しない限り、基準面は被測定物を設置するステージと平行で、かつ被測定物と少なくとも一部分が重なる平面に設定されている。このため、基準面を球体表面の曲面に変更する必要がある。これを実現するために、表面構造解析顕微鏡の”Removed”というパラメータを”Sphere”に設定する。
【0026】
表面構造解析顕微鏡のシステムの倍率は1000倍である。平面のX軸とY軸の分解能は、それぞれ0.64μmである。また垂直軸方向の分解能は0.1nmである。測定範囲は、微小金属複合中空球体を設置したときに、高さが一番高い所を中心とした半径14μmの円の内部とする。表面粗さ度は、算術平均粗さをRa(単位:μm)、微小金属複合中空球体の半径をr(単位:μm)で表したとき、数3により求める。
【0027】
【数3】
Figure 0003664384
【0028】
耐熱温度とは、被覆した金属の溶融温度未満であり、微小金属複合中空球体を加熱したときに、中空であることが保持される上限の温度である。好ましくは、芯材が溶融する温度未満であり、さらに好ましくは芯材が軟化する温度未満である。
【0029】
無機物の天然ガラスからなる芯材の溶融温度は、1200〜1300℃である。また、その軟化温度は900〜1000℃である。
【0030】
微小金属複合中空球体の製造工程フローチャートを、図1に示し説明する。
【0031】
芯材1は、無機物の天然ガラスである。この天然ガラスは、火山噴出物が堆積したもので、塊状のものや、粒状のものがある。塊状のものは、松脂岩、黒曜岩、真珠岩などがあり、粉砕することで芯材1となる。また粒状のものは、シラスがあり、そのまま芯材1となる。さらにこの粒状のシラスを粉砕したものも芯材1となる。前記芯材1を、ふるいを用いて所望の粒径に選別する。
【0032】
芯材1に被覆する金属は、特に制限されないが、具体的にはニッケル、鉄、銀、銅、金、パラジウム、アルミニウムから選ばれた少なくとも1つからなる金属または合金など、取り扱いの容易な金属を用いる。また、これらの金属または合金の酸化物、水素化物、窒化物などでもよい。
【0033】
芯材1に金属を被覆する方法は、真空下で金属を被覆するPVD法またはCVD法あるいはドライブレンディングマイクロカプセル化法あるいは無電界メッキ法があげられる。例えば、無電界メッキ法により、ニッケルとリンの合金を被膜する場合は、以下のように行う。
【0034】
先ず少量の3−アミノプロピルトリエトキシシランをエタノールに溶解させた溶液を、芯材1に添加し撹拌する。これを濾過した後、付着している溶液を除去するため、エタノールで洗浄する。その後、凝集を避けるため、エタノールを添加し、そのまま110℃で一昼夜乾燥する。
【0035】
次に塩化パラジウムと塩酸を蒸留水に溶解させた溶液を、上記処理を施した芯材1に添加し、撹拌する。これを濾過した後、付着している溶液を除去するため、蒸留水で洗浄する。さらに、次亜リン酸ナトリウムを蒸留水に溶解させた溶液を添加し、撹拌し、濾過し、洗浄する。
【0036】
上記処理を施した芯材1を、メッキ浴に投入する。このメッキ浴は、リンゴ酸、コハク酸、硫酸ニッケル6水塩および水酸化ナトリウムを蒸留水に溶解した溶液で、常に任意の温度に制御している。芯材1を投入したメッキ浴を攪拌しながら、還元剤を定量ポンプで供給する。還元剤は、次亜リン酸ナトリウムを蒸留水に溶解した溶液である。メッキ処理中は、pH調整液を添加して、設定したpHに制御する。pH調整液は、水酸化ナトリウムを蒸留水に溶解させた溶液である。pHの値が変化しなくなるまで反応させた後、濾過して金属被覆芯材2を得る。これを蒸留水で洗浄した後、エタノールを添加し、そのまま一昼夜乾燥する。
【0037】
ここで被覆する金属の厚さは、例えば、上記の無電界メッキの場合は、金属被覆工程における芯材1の投入量や、メッキ浴濃度で制御する。例えば、投入量で制御する場合は、あらかじめ芯材1を一定量投入した場合の被覆した金属の厚さを把握しておく。芯材1の投入量が倍になると、芯材1の一粒に被覆される金属の量は、約半分になる。このことより、芯材1の粒径を考慮すれば、被覆する金属の厚さを制御できる。
【0038】
さらに、上記の金属被覆工程を、異なる金属種で複数回行うことにより、複数金属の多層構造を構築することが可能である。
【0039】
加熱工程1は、金属被覆芯材2を加熱することにより、芯材に存在する水分をガス化し中空にする。またこのときの膨張力により、形状を真球状に形成する。また同時に、被覆した金属のすべて、あるいは被覆した金属の表面を溶融し、表面を滑らかに形成し、微小金属複合中空球体3を得るものである。
【0040】
加熱する方法として、流動層式加熱炉や電気炉などを用いる方法がある。例えば、縦型の電気炉を用いて空間を上昇させ、加熱する方法の概念図を図2に示し以下に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
先ず記録用熱電対24を、炉本体23が最も高温になる高温域32に設置する。設置した記録用熱電対24が所望の温度になるように、加熱器26の温度を制御用熱電対25により制御する。その後、記録用熱電対24を内壁近傍に移動し設置する。この場所で高温域32の温度変化を監視し、一定になるように加熱器26の温度を制御用熱電対25によって制御する。上記の温度制御により、高温域32の温度を、被覆した金属の溶融温度以上に設定する。
【0042】
次にガス供給路27から不活性ガスを供給して、炉内を不活性雰囲気に置換する。供給するガスは、アルゴンガス、窒素ガスなどである。供給するガスは、外部からの酸素が入り込まず、かつ供給する粒子が、炉本体23を上昇する程度の流量で供給する。供給するガスは、特に限定されないが常温で供給する。
【0043】
上記金属被覆工程で得られた金属被覆芯材2を、原料投入ホッパー21に投入する。スクリューフィーダ22から金属被覆芯材2をガス供給路27に定量的に供給する。このとき、炉内において金属被覆芯材2同士の接触ができるだけ起こらない程度の速度で供給する。不活性ガスと共に、炉本体23に投入された金属被覆芯材2は、炉内を上昇し、高温域32を通過する際に加熱される。このため金属被覆芯材2の芯材に存在する水分がガス化し、金属被覆芯材2を中空にするとともに、内部に大きな膨張力が発生する。この膨張力は、被覆した金属を塑性変形させ、真球状に形成する。この作用は、芯材が軟化し、発泡するときに、その外殻が内部の膨張力を、被覆した金属にほぼ均等に分散させることによるものである。また同時に、被覆した金属のすべて、あるいは被覆した金属の表面が溶融し、金属の表面を滑らかに形成する。
【0044】
加熱された金属被覆芯材2は、さらに炉内を上昇し、炉の上部の内壁に接触する前に、冷却器29により冷却された低温域33で冷却され凝固し、微小金属複合中空球体3となる。ここで加熱された金属被覆芯材2が特に冷却されなくても、炉の上部の内壁に接触するとき、すでに凝固しているような場合は、冷却器29および低温域33は無くても良い。
【0045】
微小金属複合中空球体3は、さらに炉内を上昇し、バグフィルター30に送られる。気体はバグフィルター30を通過し、ガス排出路31から排気される。微小金属複合中空球体3は、バグフィルター30に捕捉され、製品回収ホッパー28に落下して回収される。
【0046】
【発明の実施の形態】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
実施例1
原料のシラスは、清新産業(株)製のAS−60を用意した。これをJIS Z8801における呼び寸法が38μmと45μmのふるいを用いて選別した。得られたシラスの電子顕微鏡による粒子写真を図3に示す。
【0048】
実施例2
実施例1で得られたシラス0.4gを用いた。先ず3−アミノプロピルトリエトキシシラン1gをエタノールに溶解させて1000mlにした。この溶液20mlに、シラスを入れ、10分間撹拌した。これを濾過した後、付着している溶液を除去するため、エタノール20mlで3回濾過洗浄した。その後、凝集をさけるため、20mlのエタノールを添加し、そのまま110℃で一昼夜乾燥した。
【0049】
次に塩化パラジウム25mgと塩酸0.25mlを蒸留水に溶解させ1000mlにした。この溶液20mlに、前処理を施したシラスを入れ、10分間撹拌した。これを濾過した後、付着している溶液を除去するため、蒸留水50mlで3回濾過洗浄した。さらに、次亜リン酸ナトリウム2gを蒸留水20mlに溶解させた溶液に入れて10分撹拌し、濾過した。
【0050】
上記処理を施したシラスをメッキ浴に投入した。このメッキ浴は、リンゴ酸30g、コハク酸30g、硫酸ニッケル6水塩25gおよび水酸化ナトリウム37gを蒸留水に溶解して1000mlにした溶液である。メッキ浴の温度は80℃に制御した。シラスを投入したメッキ浴を、300rpmで攪拌した。還元剤は、次亜リン酸ナトリウム30gを蒸留水に溶解して1200mlにした溶液であり、毎分4mlでメッキ浴に供給した。メッキ処理中は、pH調整液を添加してpHの値を6に制御した。pH調整液は、水酸化ナトリウム20gを蒸留水に溶解させ1000mlにした溶液である。
【0051】
pHの値が変化しなくなるまで約7時間反応させた。反応終了後に、濾過し、蒸留水1000mlで濾過洗浄した。その後、凝集を避けるため100mlのエタノールを添加し、そのまま110℃で一昼夜乾燥した。回収されたニッケルとリンの合金メッキを施したシラスは、5.7gであり、被覆された金属の厚さは、平均20.3μmであった。真球度合は平均24.8%で、表面粗さ度は0.45%であった。得られたニッケルとリンの合金を被覆したシラスの電子顕微鏡による粒子写真を図4に示す。
【0052】
実施例3
実施例2で得られた、ニッケルとリンの合金を被覆した金属被覆芯材5gを用いた。加熱する方法は、炉本体23の断面直径が5.2cmで、加熱器の長さが70cmである縦型の電気炉を用いた。また、金属被覆芯材は、空間を上昇させる方法により加熱した。
【0053】
先ず金属被覆芯材を、原料投入ホッパー21に投入し、スクリューフィーダ22から毎分0.3gでガス供給路27に定量的に供給した。炉本体23の高温域32は、1400℃に設定した。また、ガス供給路27には毎時6立方メートルの流量でアルゴンガスを供給した。製品回収ホッパー28から回収された金属被覆球体は4.1gであった。粒径は平均92.3μmで、金属の厚さは平均16.8μmで粒径の18.2%であった。また、真球度合は1.89%で、表面粗さ度は0.093%であった。得られた微小金属複合中空球体の電子顕微鏡による粒子外観写真を図5に、粒子断面写真を図6に示す。また、フィールドエミッション形オージェマイクロプローブ(日本電子(株)製 JAMP−7800)で成分を分析したところ、ニッケル:リンの組成比が、8:2(重量比)であった。
【0054】
実施例4
実施例1と同様の原料を細かく粉砕したものを、JIS Z 8801における呼び寸法が20μmのふるいで20μm以下に選別したものを芯材に用いた。これに実施例2と同様の方法で銅を7μmの厚さ被覆し、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1200℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。小さいものは粒径が16.3μmで、その金属の厚さが6.1μmで粒径の37.5%であった。また、真球度合は0.62%で、表面粗さ度は0.198%であった。
【0055】
実施例5
実施例4で用いた芯材に、実施例2と同様の方法で銀を12μmの厚さ被覆し、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1200℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。粒径は平均32.3μmで、金属の厚さは平均10.5μmで粒径の32.5%であった。また、真球度合は1.05%であった。
【0056】
実施例6
実施例1と同様の原料を、JIS Z 8801における呼び寸法が45μmと53μmのふるいで選別したものを芯材に用いた。これに実施例2と同様の方法でニッケルとリンの合金を被覆し、さらにこの表面に実施例2と同様の方法で鉄を被覆したものを、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1700℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。粒径は平均99.3μmで、金属の厚さは平均10.7μmで粒径の10.8%であった。また、表面粗さ度は0.011%であった。
【0057】
実施例7
実施例6で用いた芯材に、実施例2と同様の方法で金を被覆し、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1200℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。粒径は平均92.8μmで、金属の厚さは平均5.2μmで、粒径の5.6%であった。また、表面粗さ度は0.023%であった。
【0058】
実施例8
実施例1で得られた芯材に実施例2と同様の方法でアルミニウムを被覆したものを用い、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1000℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。真球度合いは4.8%であった。
【0059】
実施例9
実施例1で得られた芯材に実施例2と同様の方法でパラジウムを被覆したものを用い、電気炉に投入する金属被覆芯材とした。炉本体23の高温域32を1700℃に設定した以外は、実施例4と同様の方法を用いて微小金属複合中空球体を得た。表面粗さ度は0.18%であった。
【0060】
実施例10
実施例3で得られた微小金属複合中空球体を、窒素ガス雰囲気の電気炉で700℃に加熱し、冷却後マイクロスコープで外観を観察した。その結果、加熱前の外観を保持しており、少なくとも700℃の耐熱温度を有していることを確認した。
【0061】
【発明の効果】
本発明は、無機物の天然ガラスを芯材とし、該芯材に金属を被覆して、これを加熱することで、真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い新規な微小金属複合中空球体およびその製造方法を提供するものである。
【0062】
芯材となる無機物の天然ガラスは、自然界に豊富に存在する。例えばシラスなどは南九州に大量に賦存しており、安価に入手できる。またこの芯材は、溶融温度は1200〜1300℃で、軟化温度は900〜1000℃と耐熱性に優れている。
【0063】
また金属の被覆は、PVD法またはCVD法あるいはドライブレンディングマイクロカプセル化法あるいは無電界メッキ法などを利用することで可能になる。本発明では、微小なものに金属の被覆が可能で、一度に大量に処理でき、表面状態も比較的滑らかに仕上がる無電界メッキが特に適している。
【0064】
本発明の最大のポイントは、金属を被覆した中実の芯材を加熱することで、中空に発泡させ、真球状に、かつ表面を滑らかに形成することである。流動層式加熱炉や電気炉等を用いて加熱することで、芯材の内部に存在する水分をガス化し、中空に発泡させる。またその膨張力により、被覆した金属を塑性変形させ、真球状に形成する。この作用は、芯材が軟化し発泡するときに、その外殻が内部の膨張力を、被覆した金属にほぼ均等に分散させることによるものである。このため、芯材の形状は特に真球状である必要はなく、芯材の選別が簡素化できる。また同時に、被覆した金属のすべて、あるいは被覆した金属の表面を溶融させ、表面を滑らかに形成するため、加熱前の金属の表面の凹凸が加熱後は小さくなる。
【0065】
このように真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い高付加価値で新規な微小金属複合中空球体を提供することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造工程のフローチャートである。
【図2】粒子が下から上へ移動する加熱工程の概念図である。
【図3】シラスの、電子顕微鏡による粒子写真である。(実施例1)
【図4】ニッケルとリンを被覆したシラスの、電子顕微鏡による粒子写真である。(実施例2)
【図5】被覆した金属の溶融温度以上で加熱した微小金属複合中空球体の、電子顕微鏡による粒子外観写真である。(実施例3)
【図6】被覆した金属の溶融温度以上で加熱した微小金属複合中空球体の、電子顕微鏡による粒子断面写真である。(実施例3)
【符号の説明】
1 :芯材
2 :金属被覆芯材
3 :微小金属複合中空球体
21:原料投入ホッパー
22:スクリューフィーダー
23:炉本体
24:記録用熱電対
25:制御用熱電対
26:加熱器
27:ガス供給路
28:製品回収ホッパー
29:冷却器
30:バグフィルター
31:ガス排出路
32:高温域
33:低温域

Claims (2)

  1. 無機物の天然ガラスの芯材に金属を被覆し、該金属被覆芯材を被覆した金属の溶融温度以上で空中で加熱することからなる真球度合が小さく、表面粗さ度が小さく、耐熱温度が高い微小金属複合中空球体の製造方法。
  2. 無機物の天然ガラスの芯材に金属を被覆し、該金属被覆芯材を被覆した金属の溶融温度以上で空中で加熱する製造方法により得られる微小金属複合中空球体。
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