JP3663901B2 - 電動パワ−ステアリング装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動パワ−ステアリング装置の制御装置に関し、特に操舵トルクを検出するトルクセンサから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器やトルク信号増幅器の故障を検出できる電動パワ−ステアリング装置の制御装置の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワ−ステアリング装置には、操向ハンドルの操作によりステアリングシヤフトに発生する操舵トルクを検出し、その検出信号に基づいてCPUにより必要とする操舵補助力を演算し、演算された操舵補助力の値に応じてモ−タを駆動し、操舵軸に取り付けられた減速機構を介して舵取機構を駆動するように構成されたものがある。
【0003】
この種の電動パワ−ステアリング装置では、検出された操舵トルクに基づいて操舵補助力が決定されるから、トルクセンサが故障して異常な信号が出力されると、運転者が予期しない操舵補助力が発生する危険があつた。このため、従来はトルクセンサの出力値が通常の出力値の範囲内か否かを判定し、通常の出力値の範囲を越えたとき異常と判定し、制御回路の動作を停止させるようにしたものがある。
【0004】
しかし、トルクセンサの故障には、トルクセンサの出力値が通常の出力値の範囲内にありながら一定値に固定されてしまう故障もあり、また、トルクセンサは正常であつても、その後段に配置されているA/D変換器が故障している場合もあり、上記したようなトルクセンサの出力値が通常の出力値の範囲を越えたときに異常と判定するだけでは故障を正確に判定することはできない。
【0005】
そこで、トルクセンサの出力値が、所定の時間継続して所定の基準値よりも小さい場合、トルクセンサ或いはA/D変換器の故障と判定する方法が提案されている(特開平1−262256号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、操舵トルクは常に変動しているとは限らず、停車中や高速走行中は操舵トルクの変動幅は小さい。このような場合は、A/D変換器は故障していないにも拘らず、トルクセンサの出力値が所定の時間継続して所定の基準値よりも小さいため、上記した故障判定方法によればA/D変換器の故障と誤つて検出することになる。また、故障判定の基準とする時間幅や操舵トルクの変動幅の基準値の設定如何によつては、故障が発生しているにも拘らず検出できない場合もあり得る。以下、この点について説明する。
【0007】
第1に、A/D変換器の故障では、出力値が一定に固定されるとは限らない。A/D変換器の入力端において信号電流がリ−クし、信号レベルがドリフトするような故障も考えられる。A/D変換器において信号レベルがドリフトすると、ステアリング機構が中立位置にありながら、あたかも操向ハンドルが操作されてトルク信号が入力されたように認識され、ステアリングホイ−ルが勝手に回転してしまう現象(セルフステア)が発生するという不都合が生ずる。
【0008】
このような信号電流のリ−クは、例えば、半導体集積回路の製造工程でA/D変換器を構成する回路に塵が付着して欠陥があるままに製造され、検査によつても欠陥が発見されないまま出荷されたような場合が考えられる。このような場合には、使用中に欠陥部にストレスが加わり、リ−ク電流が発生したりリ−ク電流が増加する。
【0009】
第2に、制御装置に入力されたトルク信号は、トルクセンサ或いはA/D変換器の異常検出のために、モ−タ制御に使用するトルク信号と異常検出に使用するトルク信号との2系統に分けられる。そして、モ−タ制御用のトルク信号はフィルタ、増幅器、及びA/D変換器を経てCPUに入力され、異常検出用のトルク信号はフィルタ及びA/D変換器を経てCPUに入力される。
【0010】
このため、モ−タ制御用のトルク信号は、増幅器やその周辺回路などの故障により増幅器の増幅度が変化しても、その増幅度の変化などの異常が検出されないままに信号処理がされ、適正な操舵補助力を付与するようなモ−タ制御ができなくなつてしまうという不都合が生ずる。
【0011】
第3に、A/D変換器内部のレジスタのデ−タを記憶するビットが故障で特定の値に固定され、そのビットに記憶されるべきデ−タが欠落することが考えられる。もしも、この故障したビットが「1」に固定された場合は、そのビットのデ−タが本来は「0」である場合であつても「1」と誤認されてCPUで演算される。このため、ステアリング機構が中立位置にありながら、あたかもトルク信号が入力されたように認識され、ステアリングホイ−ルが勝手に回転してしまう現象(セルフステア)が発生するという不都合が生ずる。
【0012】
このようなレジスタのビットの故障は、例えば、半導体集積回路の製造工程でレジスタを構成する回路に塵が付着したままに製造され、検査によつても欠陥が発見されないままに出荷されたような場合が考えられる。このほか、ノイズ、電磁波などの原因によりビットが破壊され、レジスタが機能不全となる場合が考えられる。
【0013】
この発明は、上記課題を解決した電動パワ−ステアリング装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、電動モ−タと、前記電動モ−タの駆動を制御する制御手段と、前記電動モ−タを駆動するモ−タ駆動回路とを備え、トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記電動モ−タを駆動制御してステアリング系に補助トルクを付与する電動パワ−ステアリング装置の制御装置において、トルク信号を増幅する所定の増幅度Gを持つ増幅器と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、演算制御器から構成される異常検出手段を備え、前記異常検出手段は、前記トルクセンサにより検出されたトルク信号を前記増幅器により増幅した後、前記A/D変換器によりA/D変換した第1の値と、検出されたトルク信号を増幅することなく前記A/D変換器によりA/D変換した値に前記増幅器の増幅度Gを乗算した第2の値とを比較し、第1の値と第2の値との差が予め設定された所定値以上であり、且つ予め設定された所定時間以上経過したとき、前記A/D変換器又は増幅器の異常と判定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2の発明は、電動モ−タと、前記電動モ−タの駆動を制御する制御手段と、前記電動モ−タを駆動するモ−タ駆動回路とを備え、トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記電動モ−タを駆動制御してステアリング系に補助トルクを付与する電動パワ−ステアリング装置の制御装置において、トルク信号を増幅する所定の増幅度Gを持つ増幅器と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、演算制御器から構成される異常検出手段を備え、前記異常検出手段は、前記トルクセンサにより検出されたトルク信号を前記増幅器により増幅した後、前記A/D変換器によりA/D変換した第1の値と、検出されたトルク信号を増幅することなく前記A/D変換器によりA/D変換した値に前記増幅器の増幅度Gを乗算した第2の値との比率を求め、第1の値と第2の値との比率が予め設定された所定値以上であり、且つ予め設定された所定時間以上経過したとき、前記A/D変換器又は増幅器の異常と判定することを特徴とする。
【0016】
そして、前記制御手段は、前記異常検出手段によりA/D変換器又は増幅器の異常が検出されたときは、電動モ−タの駆動を停止するようにモ−タ駆動回路を制御し、及び/又はモ−タ駆動回路への給電を遮断するように回路遮断要素を制御するとよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を説明する。まず、A/D変換器の入力端において信号電流がリ−クしている場合の検出方法について説明する。
【0018】
この種の電動パワ−ステアリング装置の制御装置は、一般的にマイクロプロセッサ(以下、CPUという)で構成されている。CPUにはA/D変換器が組み込まれているものもあり、またCPUの外にA/D変換器を設けてCPUで制御するものもあるが、機能においては差異がない。いずれにしても、A/D変換器は、複数の入力端子から入力される信号をマルチプレクサで切り換え、単一のA/D変換回路により変換処理するように構成されているものが一般的である。
【0019】
図1は、この種のA/D変換器の基本回路を示すブロツク図で、複数のアナログ入力信号AN1 〜AN4 はマルチプレクサ101で切り換えられ、いずれか1つのアナログ入力信号ANn がサンプルホ−ルド回路102に入力される。サンプルホ−ルド回路102は入力されたアナログ信号ANn を保持する。
【0020】
A/D変換器120は逐次比較型のA/D変換器で、コンパレ−タ103と逐次比較型のレジスタ104、D/A変換器105、及びタイミング制御部106から構成される。
【0021】
CPUからタイミング制御部106にA/D変換開始コマンドADSが入力されると、レジスタ104の内容に関係なくフルスケ−ル(全ビットが「1」である値)の1/2の値が参照値として出力され、D/A変換回路105によりアナログ信号に変換された上でコンパレ−タ103の参照信号端子(−)に入力される。コンパレ−タ103はサンプルホ−ルド回路102から入力されたアナログ信号ANn とアナログ信号に変換されたフルスケ−ルの1/2の参照値とを比較する。
【0022】
アナログ入力信号ANn が1/2フルスケ−ル参照値よりも大きければレジスタ104の最上位ビット(MSB) を「1」にセツトし、1/2フルスケ−ル参照値よりも小さければ「0」にセツトする。以下、アナログ入力信号ANn を、1/4フルスケ−ル参照値、1/8フルスケ−ル参照値等と順次比較を繰り返し、その比較結果の大小によりレジスタ104の最下位ビット(LSB) までビット「1」/「0」を決定する。これにより入力されたアナログ信号ANn はデジタル信号に変換される。変換が終了すると、タイミング制御部106から変換終了信号ADFがCPUに出力され、デ−タバス107から変換されたデジタル信号が出力される。
【0023】
図2は前記したA/D変換器120を含むトルク信号処理回路の構成を示すブロツク図である。トルク信号処理回路16はフィルタ111、増幅器113、マルチプレクサ101、及び先に説明したA/D変換器120から構成される。
【0024】
トルクセンサから入力されたトルク信号Ts は、モ−タ制御に使用する制御用トルク信号と、異常検出に使用するトルク信号との2系統に分けられ、モ−タ制御用のトルク信号はフィルタ111、増幅器113、マルチプレクサ101、A/D変換器120を経て、デ−タバス107からCPUに入力され、異常検出用のトルク信号はフィルタ111、マルチプレクサ101、A/D変換器120を経てデ−タバス107からCPUに入力されるように構成されている。
【0025】
以下、トルク信号処理回路のA/D変換器120の入力端における信号電流のリ−クの検出、増幅器113の増幅度の変化の検出、及びA/D変換器120におけるデ−タの欠落の検出について説明する。
【0026】
[A/D変換器の入力端における信号電流のリ−クの検出]
トルクセンサから入力されるトルク信号をTs 、増幅器113の増幅度をGとすると、マルチプレクサ101を経てA/D変換器120に入力される制御用トルク信号Tc 及び異常検出用トルク信号Te は以下の通りとなる。
【0027】
制御用トルク信号Tc =(Ts ×G)
異常検出用トルク信号Te =Ts
今、A/D変換後の異常検出用トルク信号Te に増幅器113の増幅度Gを乗算すると、A/D変換器が正常であるならば、その値はTe =(Ts ×G)となり、制御用トルク信号値Tc =(Ts ×G)に等しくなる。
【0028】
しかし、A/D変換器120の異常、即ち図1においてコンパレ−タ103の入力端子103aから入力信号がリ−クした場合は、入力信号レベルにオフセット電圧Voff が発生するから、制御用トルク信号Tc 及び異常検出用トルク信号Te は、それぞれ以下の通りとなる。
【0029】
制御用トルク信号Tc =(Ts ×G−Voff )
異常検出用トルク信号Te =(Ts −Voff )
先と同じく、A/D変換後の異常検出用トルク信号Te =(Ts −Voff )に増幅器の増幅度Gを乗算すると[(Ts −Voff )×G]となり、これは制御用トルク信号Tc =(Ts ×G−Voff )とは値が異なる。
【0030】
したがつて、A/D変換後の異常検出用トルク信号Te に増幅器113の増幅度Gを乗算し、制御用トルク信号値Tc と比較することで、A/D変換器120の入力端における信号電流のリ−クを検出することができる。
【0031】
[トルク信号増幅器の増幅度の変化の検出]
入力トルク信号をTs 、増幅器113の増幅度をGとすると、A/D変換器120に入力される信号は以下の通りとなる。
【0032】
制御用トルク信号Tc =(Ts ×G)
異常検出用トルク信号Te =Ts
今、A/D変換後の異常検出用トルク信号Te に増幅器113の増幅度Gを乗算すると、その値はTe =(Ts ×G)となり、制御用トルク信号の増幅器113又はその周辺回路が正常であるときの制御用トルク信号値Tc =(Ts ×G)に等しくなる。
【0033】
しかし、トルク信号増幅器113又はその周辺回路の故障により増幅度Gが変化し、増幅度がGerr になつたとすると、A/D変換器120に入力される信号は以下の通りとなる。
【0034】
制御用トルク信号Tc =(Ts ×Gerr )
異常検出用トルク信号Te =Ts
即ち、増幅器113又はその周辺回路の故障により、増幅器113の増幅度がGerr になつたときは、A/D変換後の制御用トルク信号Tc =(Ts ×Gerr )は、A/D変換後の異常検出用トルク信号Ts に増幅器113の増幅度Gを乗算した値(Ts ×G)に一致しなくなる。
【0035】
したがつて、A/D変換後の異常検出用トルク信号Ts に増幅器113の増幅度Gを乗算し、制御用トルク信号値Tc =(Ts ×Gerr )と比較することで、増幅器113、又はその周辺回路の異常を検出することができる。
【0036】
[A/D変換器におけるデ−タの欠落の検出]
A/D変換器120の逐次比較型レジスタ104が、8ビット構成の場合について説明する。図3はA/D変換器の8ビットレジスタの内容を示す図で、アスタリスク「*」はそのビットが「1」又は「0」であることを示す。また、図3ではその中の最下位ビット(LSB) から4番目のビットKが破壊されて「1」に固定されている状態を示している。
【0037】
ここで、先に説明したA/D変換器の入力端における信号電流のリ−クの検出手法を適用して、デ−タの欠落の検出が可能であることを検証する。
【0038】
まず、入力トルク信号をTs 、増幅器113の増幅度Gを2(G=2)とすると、A/D変換器に入力される信号は以下の通りとなる。
【0039】
制御用トルク信号Tc =Ts ×G=2Ts
異常検出用トルク信号Te =Ts
また、トルク信号Ts をA/D変換した値が、2進数で(00000100)と表される値であるとする。
【0040】
A/D変換器のレジスタ104に記録された制御用トルク信号Tc =2Ts は、2×(00000100)であるから、2進数で(00001000)と表わされ、A/D変換器の8ビットレジスタの内容は、図4に示すように最下位ビット(LSB) から4番目のビットが「1」となる。このとき、A/D変換器のレジスタが、先に図3で説明した最下位ビット(LSB) から4番目のビットKが破壊されて「1」に固定された状態にあるときは、そのビットKと重複する。
【0041】
一方、A/D変換器のレジスタ104に記録された異常検出用トルク信号Te =Ts は2進数で(00000100)と表され、A/D変換器のレジスタの内容は最下位ビット(LSB) から3番目のビットが「1」となる。このとき、A/D変換器のレジスタ104が、先に図3で説明した最下位ビット(LSB) から4番目のビットが破壊されて「1」に固定された状態にあるときは、そのレジスタに記録された異常検出用トルク信号Te =Ts に、破壊されたビットKの値「1」が加算されるから図5に示すビット内容となり、2進数で(00001100)と表される。
【0042】
図5に示す2進数で(00001100)と表されるビット内容の異常検出用トルク信号に増幅器113の増幅度G=2を乗算すると、2進数で(00011000)と表され、A/D変換器のレジスタ104の内容は最下位ビット(LSB) から4番目及び5番目のビットが「1」となり、図6に示すビット内容となる。これは図4に示す制御用トルク信号Tc =2Ts のビット内容と異なる。
【0043】
したがつて、トルク信号Ts に増幅器の増幅度Gを乗算した値をA/D変換した結果のレジスタの内容と、異常検出用トルク信号をA/D変換した値に増幅度Gを乗算した結果のレジスタの内容とを比較することで、A/D変換器のレジスタのデ−タの欠落などレジスタの故障を検出することができる。
【0044】
図7は、この発明を適用するに適した電動パワ−ステアリング装置の構成の概略を説明する図で、操向ハンドル1の軸2は減速ギア3、ユニバ−サルジョイント4a、4b、ピニオンラツク機構5を経て操向車輪のタイロツド6に結合されている。軸2には操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ8が設けられており、また、操舵力を補助するモ−タ23がクラツチ7、減速ギア4を介して軸2に結合している。
【0045】
パワ−ステアリング装置を制御する制御装置は、コントロ−ルユニット10に纏められている。バツテリ13からイグニッションキ−12を経て電力が供給される。コントロ−ルユニット10は、トルクセンサ8で検出された操舵トルクと車速センサ9で検出された車速に基づいて操舵補助指令値の演算を行い、演算された操舵補助指令値に基づいてモ−タ23に供給する電流を制御する。
【0046】
また、クラツチ7もコントロ−ルユニット10により制御される。クラツチ7は通常の動作状態では結合しており、コントロ−ルユニット10によりパワ−ステアリング装置の故障と判断された時、及び電源がOFFとなつている時には切離される。
【0047】
図8は、コントロ−ルユニット10のブロツク図である。11はCPU、12はイグニッションキ−、13はバッテリ、14はイグニッションキ−のオン/オフ状態を検出するキ−オン検出回路、15は制御系に定電圧を供給する定電圧回路、16は先に図2により説明したトルク信号処理回路であり、図2で説明した回路要素と同一要素には同一符号を付してある。
【0048】
18はフエ−ルリレ−でトランジスタTR1 より作動され、ノ−マルオ−プン接点18aを備えている。21は電界効果トランジスタFET1 〜FET4 をHブリツジ接続して構成したモ−タ駆動回路、22はFET1 〜FET4 のゲ−トを駆動するゲ−ト駆動回路、23はステアリング系に操舵補助力を供給するモ−タ、24はモ−タ電流を検出するモ−タ電流検出回路で、抵抗R2 の両端に現れる電位差からモ−タ電流を検出する。検出されたモ−タ電流値はCPU11に入力され、モ−タ電流のフ−ドバック制御が行われる。
【0049】
CPU11には定電圧回路15から定電圧Vccが供給され、CPU11の入力ポ−トにはトルク信号処理回路16で処理された信号出力が入力されるほか、車速センサ9からの車速信号、イグニッションキ−12のオン/オフ状態を検出するキ−オン検出回路14からの検出信号、モ−タ電流検出回路24からの検出信号などが入力される。
【0050】
CPU11の出力ポ−トにはフエ−ルリレ−18を駆動するトランジスタTR1 のベ−スが接続され、また、ゲ−ト駆動回路22が接続される。
【0051】
次に、以上の構成の動作の概略を説明する。イグニッションキ−12がオンとされ、その状態がキ−オン検出回路16により検出されると、検出信号はCPU11に入力される。CPU11はトランジスタTR1 を導通状態に設定し、フエ−ルリレ−18を励磁するから、リレ−のノ−マルオ−プン接点18aは閉じ、モ−タ駆動回路21はバッテリ13から給電されて動作可能な状態に設定される。
【0052】
以後、通常のモ−タ駆動制御が行われる。即ち、CPU11はトルクセンサ8で検出されたトルク信号Ts をトルク信号処理回路16で処理して得られたトルクデ−タ、及び車速センサ9で検出された車速信号Vs から得られた車速デ−タなどに基づいて操舵補助量を決定し、決定された操舵補助量に対応した所定時間幅のPWM信号、及びモ−タ回転方向信号をゲ−ト駆動回路22に出力する。ゲ−ト駆動回路22はモ−タ駆動回路21のFET1 〜FET4 をオン/オフ制御してモ−タ23を回転させ、操舵補助が行われる。
【0053】
図9は、CPU11で実行される制御動作を説明するフロ−チヤ−トで、特にトルク信号処理回路16における制御動作と、その結果に基づくモ−タ制御動作とフエ−ルリレ−18の制御動作を示すものである。
【0054】
制御動作が開始されると、まず増幅器113により増幅されたトルク信号Ts を読み込み、A/D変換して第1の信号を得る(ステツプP1)。次に増幅器113を通さないトルク信号Ts を読み込み、A/D変換して得たデ−タに増幅器113の増幅度Gを乗算して第2の信号を得る(ステツプP2、P3)。
【0055】
第1の信号と第2の信号との差を求め、その差が予め設定された所定値以上か否かを判定する(ステツプP4、P5)。ステツプP5の判定で、第1の信号と第2の信号との差が予め設定された所定値以下であればステツプP1に戻り、次の入力トルク信号の処理に移る。また、ステツプP5の判定で、第1の信号と第2の信号との差が予め設定された所定値以上であれば、予め設定された所定時間以上を経過したか否かを判定する(ステツプP6)。
【0056】
ステツプP6の判定で、予め設定された所定時間以上を経過していないときはステツプP1に戻り、次の入力トルク信号の処理に移る。また、ステツプP6の判定で、予め設定された所定時間以上を経過した場合は、増幅器113及び/又はA/D変換器120の異常と判定されるから、モ−タ駆動回路21によるモ−タの駆動制御を停止し、トランジスタTR1 を不導通としてフエ−ルリレ−18の励磁を解き、ノ−マルオ−プン接点18aを開いてモ−タ駆動回路21への給電を遮断する。
【0057】
以上説明したフロ−チヤ−トでは、第1の信号と第2の信号との差を求め、その差が所定値以上で且つ所定時間以上経過したとき、増幅器及び/又はA/D変換器の異常と判定しているが、これに代えて、第1の信号と第2の信号との比率を求め、比率が所定値以上で且つ所定時間以上経過したとき、増幅器及び/又はA/D変換器の異常と判定するようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明の電動パワ−ステアリング装置の制御装置によれば、検出されたトルク信号を増幅度Gの増幅器により増幅した後、A/D変換した第1の値と、検出されたトルク信号を増幅することなくA/D変換した値に増幅器の増幅度Gを乗算した第2の値とを比較し、第1の値と第2の値との差、或いは第1の値と第2の値との比率が予め設定された所定値以上であり、且つ予め設定された所定時間以上経過したとき、前記A/D変換器或いは増幅器の異常と判定するものである。これにより、停車中や高速走行中など操舵トルクの変動幅が小さい場合でも、A/D変換器や増幅器の異常を誤りなく正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の制御装置の回路構成を示すブロツク図。
【図2】トルク信号処理回路の構成を示すブロツク図。
【図3】A/D変換器のレジスタの内容を示す図(その1)。
【図4】A/D変換器のレジスタの内容を示す図(その2)。
【図5】A/D変換器のレジスタの内容を示す図(その3)。
【図6】A/D変換器のレジスタの内容を示す図(その4)。
【図7】電動パワ−ステアリング装置の構成の概略を説明する図。
【図8】コントロ−ルユニットのブロツク図。
【図9】CPUで実行される制御動作を説明するフロ−チヤ−ト。
【符号の説明】
10 コントロ−ルユニット
11 CPU
12 イグニッションキ−
13 バッテリ
16 トルク信号処理回路
18 フエ−ルリレ−
18a ノ−マルオ−プン接点
21 モ−タ駆動回路
22 ゲ−ト駆動回路
23 モ−タ
24 モ−タ電流検出回路
101 マルチプレクサ
102 サンプルホ−ルド回路
103 コンパレ−タ
104 レジスタ
105 D/A変換器
106 タイミング制御部
111 フィルタ
113 増幅器
120 A/D変換器
Claims (4)
- 電動モ−タと、前記電動モ−タの駆動を制御する制御手段と、前記電動モ−タを駆動するモ−タ駆動回路とを備え、トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記電動モ−タを駆動制御してステアリング系に補助トルクを付与する電動パワ−ステアリング装置の制御装置において、
トルク信号を増幅する所定の増幅度Gを持つ増幅器と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、演算制御器から構成される異常検出手段を備え、
前記異常検出手段は、前記トルクセンサにより検出されたトルク信号を前記増幅器により増幅した後、前記A/D変換器によりA/D変換した第1の値と、検出されたトルク信号を増幅することなく前記A/D変換器によりA/D変換した値に前記増幅器の増幅度Gを乗算した第2の値とを比較し、第1の値と第2の値との差が予め設定された所定値以上であり、且つ予め設定された所定時間以上経過したとき、前記A/D変換器又は増幅器の異常と判定すること
を特徴とする電動パワ−ステアリング装置の制御装置。 - 電動モ−タと、前記電動モ−タの駆動を制御する制御手段と、前記電動モ−タを駆動するモ−タ駆動回路とを備え、トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づいて前記電動モ−タを駆動制御してステアリング系に補助トルクを付与する電動パワ−ステアリング装置の制御装置において、
トルク信号を増幅する所定の増幅度Gを持つ増幅器と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、演算制御器から構成される異常検出手段を備え、
前記異常検出手段は、前記トルクセンサにより検出されたトルク信号を前記増幅器により増幅した後、前記A/D変換器によりA/D変換した第1の値と、検出されたトルク信号を増幅することなく前記A/D変換器によりA/D変換した値に前記増幅器の増幅度Gを乗算した第2の値との比率を求め、第1の値と第2の値との比率が予め設定された所定値以上であり、且つ予め設定された所定時間以上経過したとき、前記A/D変換器又は増幅器の異常と判定すること
を特徴とする電動パワ−ステアリング装置の制御装置。 - 前記制御手段は、前記異常検出手段によりA/D変換器又は増幅器の異常が検出されたときは、電動モ−タの駆動を停止するようにモ−タ駆動回路を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワ−ステアリング装置の制御装置。
- 前記制御手段は、前記異常検出手段によりA/D変換器又は増幅器の異常が検出されたときは、モ−タ駆動回路への給電を遮断するように回路遮断要素を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワ−ステアリング装置の制御装置。
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