JP3663331B2 - 電子装置における文字入力装置、その方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、固定電話、電卓、電子辞書、携帯端末などの電子装置において、習得しやすく操作量の少ない文字入力装置、方法、及び、その記録媒体を関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本明細書では、「あ」「い」「う」などの1文字を入力することを「文字入力」と定義し、「東京」「会議」「雨」「鈴木」などの文字を入力することを「単語入力」と定義する。
【0003】
近年、インターネット上で提供されているサービスに携帯電話からアクセスできるような環境が整えられ、メールの読み書きや、天気、株価、時刻表のデータなどを、いつでも何処からでも実現できるようになった。上記サービスを実現するために、携帯電話は従来の音声通信機能の他に、情報処理能力を有するようになった。Webページのアクセス、住所録、スケジュール管理などのアプリケーションは、ROMに格納されているプログラムをRAMにロードし、プログラムとして実行することで実現される。
【0004】
Webページへのアクセスを行うために、プログラムは、HTTPと呼ばれるプロトコルに従ったバケットを作成し、データ通信手段を通じて、インターネット上のサーバにデータ送信要求を送信する。そして、サーバから送られたデータを受信部で受信し、パケットとして再構成し、html文章と呼ばれるデータとしてRAMに一旦格納する。プログラムは、TAGと呼ばれる識別子を手がかりに、内容の解析を行い、表示用のデータ作成後、内容を表示部に提示する。
【0005】
目的のWebページを取得するためには、通常ポータルと呼ばれる起点のWebページから順番に関連するWebページへのアクセスを繰り返す。利用者は、キーや、ダイアル、ジョイスティックなどの選択手段で、関連情報へのポインターを意味するアンカーを選択する。一度アクセスしたWebページは、ULRをブックマークとして登録することにより、次回のアクセスの手間を省くことが可能となる。
【0006】
初めてのページへのアクセスは、URLを知っている場合には、URLを入力し、知らない場合にはサーチエンジンと呼ばれるシステムに、キーワードを与えて、該当するWebページを検索する。
【0007】
また、住所録に登録されている人の電話番号を検索するには、その人の氏名や住所などをキーワードとして入力することにより検索できる。
【0008】
携帯電話での、検索用のキーワードや氏名の入力は、通常のコンピュータのキーボードと比較して、携帯電話の筺体の大きさではキーの数が大幅に削減されているため、困難な作業となってしまった。そのため、携帯電話での文字入力手段として、ペン入力によりオンライン手書き文字認識と組み合わせる方法も提案されているが、両手を必要とするため、鞄等の荷物を持っているときに使用できない。
【0009】
それゆえ、携帯電話上に適した片手で文字入力を可能とする方法が提案されており、それらは大きく3つに分類できる。
【0010】
(第1の従来方法)
第1の方法は、1つのキーに複数のキーの意味を持たせ、そのキーを押した回数で、文字の入力を行う方法(特願平7−274247号)、あるいは、1回目のキー入力でそのキーに割り当てられている候補を提示し、2回目のキー入力で文字を選択する方法(特願平7−322358号)等である。
【0011】
通常、上記方法で平仮名入力を行い、その後、かな漢字変換により単語入力を実現する。
【0012】
最近では、最初のキーを押した時点で、単語の入力予測を行い、候補を表示部に提示し、利用者が選択することで単語の入力を行う方法も存在する。この方法は、1文字入力するために複数回、キーを押す動作を必要とし、また、どのキーを押せばよいのか考える必要があり、容易に習得することを困難とする。
【0013】
(第2の従来方法)
第2の方法は、筺体横にダイアルを設け、そのダイアルを回すことで、表示部の入力用の文字や単語などを切り替え、ダイアルを押し込んだり、決定キーを押すことで選択する方法(特願平9−212281号、特願平9−233528号)である。
【0014】
この方法は、習得は容易であるが、文字入力時のダイアルを回す量が多く、負荷が大きい。
【0015】
(第3の従来方法)
第3の方法は、音声認識を用いる方法である。そのまま使用すると、雑音の大きいところでは誤認識が生じるため、キー入力による候補の絞り込みを行うことで、誤認識を軽減する方法(特願平11−17813号)が提案されている。
【0016】
しかし、1つのキーに複数の意味を持たせているため、例えば、2のキーを押した場合は、「か」「が」行の単語で開始される単語のみ認識エンジンへ登録することで、候補を絞り込みできるが、絞り込みの範囲が大きいので誤認識の可能性がある。
【0017】
(その他の従来方法)
また、キーに押下を検知する以外のスイッチやセンサを付与して、指示機能を実現する特許も提案されている(特願平11−194872号)。
【0018】
さらに、近年、電話をかけた相手の電話番号がわかるサービスが行われ、電話内の記録手段に名前と電話番号を登録しておくと、電話をかけた相手が既知の場合には、音声合成で読み上げる装置も開発された。据え置き用の電話において、相手の電話番号と名前の入力方法は、上記で述べた携帯電話と同様に、キーを押す必要があり、容易な文字入力方法を課題としている。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来方法では、片手で使用できない、入力時の操作量が多い、使用方法を理解することが困難等、いずれかの問題を有する。
【0020】
そこで本発明は、電子装置に適用でき、習得が容易で、片手で操作可能であり、入力時の操作量が少ない、文字入力装置、方法、記録媒体を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力装置であって、前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知手段と、前記接触検知手段から出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算手段と、文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段と、前記特徴量計算手段で計算した特徴量と、前記特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識手段とを有し、前記特徴量計算手段は、入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とすることを特徴とする文字入力装置である。
【0022】
請求項2の発明は、前記利用者が入力すると予測される単語を記憶した単語記憶手段と、前記文字認識手段が認識した1つ以上の入力対象体を用いて、前記単語記憶手段を検索し、前記利用者が入力しようとした単語の候補の絞り込みを行う候補絞り込み手段と、前記候補絞り込み手段によって検索した一、または、複数の単語の候補を前記表示手段に表示し、この表示された単語の候補の中から前記利用者から確定指示を受けた単語を、前記利用者が入力したい単語とする確定手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の文字入力装置である。
【0023】
請求項3の発明は、アプリケーションやサービス毎に単語記憶手段を有し、前記利用者が使用しているアプリケーションやサービスを判定し、それに対応する単語記憶手段を選択する辞書選択手段を有することを特徴とする請求項2記載の文字入力装置である。
【0024】
請求項の発明は、文字入力を必要とする状況かどうか判定を行い、文字入力を必要とする場合には電源供給を行い、文字入力を必要としなくなった場合には電源供給を停止する節電手段を有することを特徴とする請求項1記載の文字入力装置である。
【0025】
請求項の発明は、複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力方法であって、前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知ステップと、前記接触検知ステップにおいて出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算ステップと、前記特徴量計算ステップで計算した特徴量と、文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識ステップと、を有し、前記特徴量計算ステップは、入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とすることを特徴とする文字入力方法である。
【0026】
請求項の発明は、複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力方法を実現するプログラムを記録した記録媒体であって、前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知機能と、前記接触検知機能において出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算機能と、前記特徴量計算機能で計算した特徴量と、文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識機能と、を実現し、前記特徴量計算機能は、入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とするするプログラムを記録したことを特徴とする文字入力方法の記録媒体である。
【0027】
本発明の請求項1,5,6によれば、入力キー上で指を動かすことで文字入力を実現するので、親指以外の4本の指で筺体を保持し、親指を動かすことにより片手での入力が実現できる。また、親指で指文字を描くことで入力を実現するため使用方法の習得は容易であり、複数回キーを押したり、ダイアルを多く回転させる必要もなく、利用時の負荷は小さい。
【0028】
請求項2の発明では、認識した文字、記号、コマンドなどの入力対象体から単語の入力予測を行うことで、複数の文字を1度に入力でき、文字入力の手間を削減できる。
【0029】
請求項3の発明では、利用者が使用しているサービスやアプリケーションにより、入力予測用の辞書を選択することで、候補を大幅に絞り込むことが可能となり、選択時の指示の負荷を下げることが可能となる。
【0030】
請求項の発明では、文字認識が必要なときだけ、センサや周辺回路等への電源供給を行うことにより、バッテリーの節電が可能となる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0032】
<第1の実施例>
本実施例の文字入力装置は、入力キーに接触センサ(以下、センサという)を有し、データ通信機能を有する携帯電話上でプログラムとして実現される。
【0033】
本実施例を実現するための装置の構成を示す。
【0034】
基本構成の前提としての携帯電話は、図11に示すような従来の携帯電話と同様の回路で構成する。
【0035】
例えば、通信回路223は、基地局224とデータの送受信を行い、呼の接続管理や信頼性のあるデータの送受信を行う。また、マイク220から入力された音声をデジタル信号に変換221し、デジタルデータの圧縮222を行い、通信手段223を通じて近接の基地局224に送信される。また、通信回路223で受信された信号は、伸長回路225で元の信号に戻され、DA変換回路226でアナログ信号に変換され、スピーカ227から出力される。
【0036】
さらにデータ送受信を行うために、図10に示すようなプログラムの実行を行うための次の構成を有している。
【0037】
CPU201、プログラム、ユーザーデータ、辞書データを記憶するROM203、一時的な変数やデータを格納するRAM202、データ通信を行うデータ通信部204、データの表示を行う表示部205、数字を入力するためのキー入力部206、メニューの選択を行う選択指示部207の構成を携帯電話に組み込む。
【0038】
(文字入力の構造)
文字入力に関する部分に関して詳細に説明する。
【0039】
図1は、携帯電話の筺体表面上に設けられたキー入力部206のキーの配置を示すものである。
【0040】
符号101は、表示部であり、各種の情報を表示する。
【0041】
符号102は、カーソル移動用の指示デバイスのジョイスティックであり、小型のジョイスティックである。これを前後左右に傾けることにより、その方向に表示部101に表示されるカーソルの移動を実現する。また、押込むことにより決定を指示する。
【0042】
符号103は、モード切り替え用ボタンであり、このボタンを押すことによりアプリケーションを切り替える。
【0043】
符号104は、入力キーであり、電話番号の数字の入力用のキーである。キーの数、配置の数は機種毎によって異なるが、ダイアルを行う数字の部分は規格が存在し、各機種共通である。本実施例の説明では、1つのキー104に1つのセンサをそれぞれ配置する。1つのキー104にセンサは複数配置しても構わない。図1の例では、横3つ縦4つの合計12個のセンサを使用する。また、複数のセンサに同時に接触した場合は、接触した全てのセンサの値が変化するものとする。
【0044】
図2は、キー104に関する断面図である。
【0045】
キー104が押されたことにより2つの導体112が接触し、電流が流れることにより検出できる。キー104の押下は、キー104に指が接触したぐらいでは、反応しないように調整する。キー104への指の接触、すなわち、接触センサとしての機能は、キー104の裏面に静電容量変化検出センサ111を配置することで可能となる。センサは、2つの電極板を向き合わせ、電圧を印加する。図3はキー104を裏側から見たものであり、中心にキー104の押下を検出する導体112とそのまわりに電極板111を備える。
【0046】
利用者がキー104に接触すると、2つの電極板111の間の距離が変化し、容量が変化することによりセンサの出力電圧が変化する。出力電圧をコンパレータで基準電圧と比較することで、キー104の接触を検知できる。この場合、キー104の押下より早く接触を検知できるように基準電圧の調整を行う。これにより、利用者が明示的に押したキー104の押下と、文字入力のために指を動かして接触した場合を区別することが可能となる。
【0047】
また、静電容量変化検出センサ111の代わりに感圧導電ゴムを用いる方法も考えられる。感圧導電ゴムは加わる力に応じて段階的に抵抗値が変化し、それにより出力電圧が変化する。
【0048】
図4は、入力キー104上での指の動きの例を示す。
【0049】
この例では「イ」を指文字で描いた例である。矢印は指を動かす向きである。また、2本あるのは最初のストロークを描いた後、一旦指を筺体から離し、再び筺体に指を接触させストロークを描いたことを示す。本例では、最初のストロークでキー(センサ)104の「2」,「3」,「4」,「5」,「7」の番号の値が、指の動きに応じて変化する。次に、キー(センサ)104の「2」,「5」,「8」,「0」の番号の値が指の移動に伴い値が変化する。
【0050】
(文字入力処理手順)
文字入力の処理手順を図5のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
最初のセンサ出力変化からのセンサの出力値を、センサ入力部208を通じてRAM202に格納する(ステップ301)。
【0052】
1文字の入力終了の検知は、ジョイスティック102などの特別なキー、あるいは、最後のセンサ出力から一定時間の経過をタイマーで検知する(ステップ302)。
【0053】
文字入力終了検知後、ROM203に格納されている計測データを用いて特微量を作成する(ステップ303)。特微量は反応したセンサと時間を分割しインデックスを付与したものを軸とした2次元のマトリクスを作成し、センサの反応回数のヒストグラムを作成し、その値を正規化したものを使用する。
【0054】
図6にヒストグラムの例を示す。横軸はセンサの番号、縦軸は入力開始から終了までの時刻を8つのセグメントに分割したものであり、入力開始の時点はt1に終了の時点はt8に含まれるように8つに分割する。マトリクスの値はその時間にセンサの出力が変化した回数を示す。
【0055】
本実施例では、接触センサの出力をオンとオフの値を出力する構成で説明しているが、センサの出力電圧をそのままAD変換し、連続的に変化する値として取り込み、マトリクスの値をその時間内にセンサ出力値の合計として特微量を作成する方法もあり得る。
【0056】
特微量作成後、ROM203に格納されている辞書データの各項目と類似度を計算し(ステップ304)、もっともスコアの高い項目を認識された文字として扱う。類似度の計算方法は、部分空間法で実現できる。部分空間法を含めた辞書の表現と類似度定義は、文献「パターン認識と部分空間」、産業図書、1986や「パターン認識理論」、森北出版、1989に記載されている。
【0057】
本実施例の特微量作成方法や類似度の計算方法は1例であり、他の既存の方式を使用しても本発明の機能を損ねることはない。
【0058】
認識結果はスコア順に並べ替え、第1候補を表示部101に認識結果として提示する(ステップ305)。
【0059】
利用者は、認識結果が所望の文字と異なる場合は、ジョイスティック102を下方に動かし、第2の候補以降を順に表示部に提示する(ステップ306)。
【0060】
所望のものが存在した場合は、その候補を表示しているときに、ジョイスティック102を押し込むことで決定する。
【0061】
以上により、入力キー104上で指を動かすことにより文字入力を可能とする携帯電話の提供が可能となる。
【0062】
(変更例1)
本実施例では、選択方法にジョイスティック102を用いているが、他の手段としてダイアルや、移動専用のキー等を利用しても同等の効果を得られる。
【0063】
(変更例2)
携帯電話でなく家庭用や事務用の一般の固定電話でも同様に実現できる。また、親機と子機で構成される場合は、どちらの装置で実現しても本実施例の効果に違いはない。
【0064】
また、電話に限らず、数字キーを有する電卓、電子辞書、携帯端末においても本実施例は適用できる。
【0065】
(変更例3)
本実施例と従来の数字キーに文字キーを併用する従来技術とを組み合わせることもあり得る。
【0066】
(変更例4)
本実施例では、文字入力を対象として説明したが、認識用辞書に文字や記号ではなくジェスチャーを登録しておくことで、指文字で指示命令を行うことが可能となり、何回もメニューを選択しなくても簡単にコマンドを発することが可能となる。
【0067】
<第2の実施例>
第1の実施例と異なる部分を図7のフローチャートを用いて説明する。
【0068】
例えば、最初に利用者が指文字で「し」を描き、その結果「し」が認識されたとすると(ステップ316)、入力予測辞書を検索し、「し」で開始されている単語の一覧を取得し(ステップ317)、各単語に優先順位をつけ、表示部101に優先度の高い順に表示する(ステップ318)。優先順位は、過去の参照された回数を使用する。
【0069】
ここで利用者がジョイスティック102を用いて表示されている候補を選択し、押し込むなどの確定要求を行えば(ステップ319)、その単語をアプリケーションへ渡す。
【0070】
利用者が、確定要求行為を行わず、再度指文字で「3」を描き、その結果「3」が認識されたとすると(ステップ316)、「し」で開始されている単語で「3」を有する単語を検索し(ステップ317)、該当するものの優先度を計算し、前回と同様に表示部101に提示する(ステップ318)。
【0071】
ここで候補が「新宿3丁目」と1つだけになった場合は、ジョイスティク102を押し込むなどの確定要求により(ステップ319)、その単語を、認識結果として表示している単語をアプリケーションへ渡す。候補が存在しない場合は、その旨を利用者に告げて終了する。また助詞などを入力するために、特定のキーを準備し、そのキーが押下された場合には、認識結果の文字をそのままアプリケーションに渡す。
【0072】
選択された単語に関して、ROM203に記録しているアクセス頻度情報を更新する(ステップ320)ことにより、次回優先順位を変更することが可能となる。
【0073】
本実施例の新宿3丁目では、「しんじゅくさんちょうめ」と11回の入力が2回に減らすことが可能となった。以上により、指文字と単語選択作業により、入力に要する操作の量を減らすことが可能となる。
【0074】
<第3の実施例>
第2の実施例と異なる部分を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0075】
アプリケーションが実行されると、起動したアプリケーションの識別子を取得する(ステップ332)。
【0076】
次に、ROM203に格納しているアプリケーション識別子と入力予測辞書対応テーブルを調べ、どの辞書がふさわしいか決定する(ステップ327)。アプリケーションが登録されていない場合は、デフォルトの辞書を使用する。
【0077】
あるいは利用者に質問し、辞書を指定してもらい、対応付けをROM203に新規に登録すれば、次回はその辞書を使用することが可能となる。
【0078】
第2の実施例と同様に、指の動きにより文字入力が行われ、認識が行われると(ステップ326)、その文字を用いて上記で選択した入力予測用の辞書を検索し該当する候補を取得する(ステップ328)。
【0079】
起動しているアプリケーションが、住所録などの場合は、入力予測辞書を使用する代わりに、住所録に登録されているデータを用いて予測を行う。
【0080】
以上により、アプリケーション毎に入力予測辞書を選択することにより、単語を確定するまでの操作の量を減らすことが可能となる。
【0081】
<第4の実施例>
なお、第4の実施例は、本願発明の技術的範囲には含まれない。
第1の実施例と異なる部分を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0082】
第1の実施例と同様に、指の動きにより文字入力が行われ、候補の提示が行われると(ステップ345)、全体の音声認識エンジン用の辞書データから、認識された単語で開始されるデータを選択し(ステップ347)、それらを音声認識エンジンの認識用の単語として登録する(ステップ348)。
【0083】
例えば「し」が指文字として入力されたとすると、認識エンジンには、「しながわ」「しんじゅく」「しぶや」など「し」で開始されるものを登録する。そして、入力確定指示(ステップ348)をトリガーに、音声の取り込みと認識エンジンの動作を開始することにより、認識率の向上と節電効果が期待できる。
【0084】
また、最初の文字が決まっているような状況では、そのようにアルゴリズムを変更することで、認識率の向上と計算速度の向上が期待できる。
【0085】
以上により、指文字入力の結果と音声認識を組み合わせることにより、従来と比較して少ない指示で単語の入力を行うことが可能となる。
【0086】
<第5の実施例>
なお、第5の実施例は、本願発明の技術的範囲には含まれない。
第1の実施例と異なる部分を図10のフローチャートを用いて説明する。
【0087】
第1の実施例と同様に、指の動きにより文字入力が行われ、利用者が指文字の最後の場所でキーを押したとする。本実施例では、キーの押下により入力終了を検知する(ステップ352)。
【0088】
例えば、利用者が指で「し」を描き、「6」のキー104の上で指が停止した状況で、「6」のキー104を押した場合に、「6」のキー104押下を確定要求と解釈し、それまでのデータを用いて特微量を作成する(ステップ353)。各文字と終了位置のキー104に関する情報をテーブルとして、予めROM203などに格納しておく。押されたキー104を手がかりに、前記テーブルを検索し、該当する文字識別子を取得する(ステップ354)。
【0089】
例えば、「6」が押された場合には、「い」「お」「か」「し」……などの文字情報を取得し、該当する文字のみ類似度の計算を行うことにより、計算速度の向上と認識率の向上が期待できる。
【0090】
以上により、入力確定を示すキー押下により、どのキー104が押下されたかという情報を利用することで、認識率の向上が期待できる。
【0091】
<第6の実施例>
第1の実施例と異なる部分を図11のフローチャートを用いて説明する。
【0092】
本実施例では、文字入力装置を内蔵した携帯電話に、予めセンサや周辺回路の電源を入力したり切断したりする節電回路を準備し、入力や切断を実行する手順をサブルーチンとして組込んでおく。
【0093】
例えば、文字入力を促すサブルーチンの最初では、電源を入れるサブルーチンをコールし(ステップ361)、ダイアログを表示したり、カーソルやポインタの形状を変更することで、利用者に入力を促し(ステップ362)、センサ入力終了後(ステップ364)に電源を切断するサブルーチンをコールすることで実現できる。
【0094】
以上により、文字入力が必要なときのみ回路を駆動するので節電効果が期待できる。
【0095】
<第7の実施例>
上記実施例は、携帯電話での文字入力を対象としていたが、家庭や事務所での据え置き型の固定電話にも適応可能である。例えば、表示部を有するコードレスの子機に本実施例を適応すれば、電話番号の登録を容易に行うことが可能である。
【0096】
また、電話に限らず、数字キーを有する電卓、電子辞書、携帯端末においても本発明は適用できる。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、利用者は文字入力のためには入力キー上で指文字を描くことにより実現できるので、片手で実現でき、使用方法の習得は容易である。また、指文字を描くための操作量はキーを複数回押したり、ダイアルを回したりすることと比較して、操作量が少なくできる。
【0098】
また、入力予測を行うことにより、単語の入力に必要な操作の低減できる。
【0099】
さらに、節電機能を有することにより、本発明を具備した電子装置の利用時間を長くするできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例の携帯電話の筺体上の入力キー配置の一例を示す平面図である。
【図2】 センサ付き入力キーの断面図である。
【図3】 センサ付き入力キーの裏側から見た図である。
【図4】 文字入力を行うための指の動きの一例を示す図である。
【図5】 第1の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図6】 特微量を示すヒストグラムの例を示す図である。
【図7】 第2の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図8】 第3の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図9】 第4の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図10】 第5の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図11】 第6の実施例の処理手順であるフローチャートである。
【図12】 第1の実施例の情報処理部分を示すブロック図である。
【図13】 第1の実施例の通信機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
104 入力キー
111 キー押下検出スイッチ
112 センサ

Claims (6)

  1. 複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力装置であって、
    前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知手段と、
    前記接触検知手段から出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算手段と、
    文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段と、
    前記特徴量計算手段で計算した特徴量と、前記特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識手段と、
    を有し、
    前記特徴量計算手段は、
    入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とする
    ことを特徴とする文字入力装置。
  2. 前記利用者が入力すると予測される単語を記憶した単語記憶手段と、
    前記文字認識手段が認識した1つ以上の入力対象体を用いて、前記単語記憶手段を検索し、前記利用者が入力しようとした単語の候補の絞り込みを行う候補絞り込み手段と、
    前記候補絞り込み手段によって検索した一、または、複数の単語の候補を前記表示手段に表示し、この表示された単語の候補の中から前記利用者から確定指示を受けた単語を、前記利用者が入力したい単語とする確定手段と、
    を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の文字入力装置。
  3. アプリケーションやサービス毎に単語記憶手段を有し、
    前記利用者が使用しているアプリケーションやサービスを判定し、それに対応する単語記憶手段を選択する辞書選択手段を有する
    ことを特徴とする請求項2記載の文字入力装置。
  4. 文字入力を必要とする状況かどうか判定を行い、文字入力を必要とする場合には電源供給を行い、文字入力を必要としなくなった場合には電源供給を停止する節電手段を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の文字入力装置。
  5. 複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力方法であって、
    前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知ステップと、
    前記接触検知ステップにおいて出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算ステップと、
    前記特徴量計算ステップで計算した特徴量と、文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識ステップと、
    を有し、
    前記特徴量計算ステップは、
    入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とする
    ことを特徴とする文字入力方法。
  6. 複数の入力キーが配置され、表示手段を有する電子装置における文字入力方法を実現するプログラムを記録した記録媒体であって、
    前記入力キーに対する利用者の指の接触を感知し、その接触した入力キーに対応して接触信号を出力する接触検知機能と、
    前記接触検知機能において出力された接触信号の組み合わせに基づいて特微量の計算を行う特徴量計算機能と、
    前記特徴量計算機能で計算した特徴量と、文字、記号、コマンド等の入力対象体の特徴量を記憶する特徴量記憶手段に記憶された特徴量との類似度を計算し、その類似度の高い入力対象体を前記利用者の入力した入力対象体と認識する文字認識機能と、
    を実現し、
    前記特徴量計算機能は、
    入力キーの番号と、時間を分割しインデックスを付与したものを軸としたマトリクスを作成し、文字入力終了検知後、前記接触信号に対応した入力キーの反応回数のヒストグラムを前記マトリクス上で作成し、その値を正規化したものを特徴量とするプログラムを記録した
    ことを特徴とする文字入力方法の記録媒体。
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