JP3663228B2 - ニューロプシンに対する抗体 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、セリンプロテアーゼ活性を有する新規な蛋白質であるニューロプシンを抗原として得られる抗体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
学習や記憶といった脳の機能の解明は従来より多くの研究者の関心を引きつけてきたが、脳内の組織の一つである海馬が学習・記憶に重要な役割を果たしていることが、記憶障害を起こした患者の臨床神経心理学的な検討及び破壊実験・電気生理学的実験に代表される実験動物を用いた研究から明らかになってきた。
【0003】
一方、海馬は長期増強や、長期減少、発作、興奮といった脳の可塑性に関係する多くの事象と関連していることも知られている。
外的要因の一時的な変化が起こると中枢神経系は感覚系を介して活動状態を変えるが、外的要因の変化が除かれた後にも神経系の変化が持続するような場合、このような脳の性質を「脳の可塑性」と呼ぶ。つまり、学習・記憶をする際、一時的な経験により脳の機能状態が長期間にわたり持続的に変化しうるのは「脳の可塑性」によると考えられている。
【0004】
発作や長期増強が引き起こされた脳から得られた海馬cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、脳の可塑性に関係すると思われる多くの遺伝子が見いだされており、それらの遺伝子の中にはいくつかの転写因子の遺伝子が含まれていた(ネイチャー(Nature)第363巻第718〜722頁(1993年)におけるNediviらの報告、ネイチャー(Nature)第361巻第453〜457頁(1993年)におけるQianらの報告、ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(J. Neurosci)第13巻第4776〜4788頁(1993年)におけるWorley らの報告、参照)。また、脳の刺激によってmRNAレベルが変化することが、プロテインキナーゼ、GABA Aレセプターβアイソフォーム、c−fos、c−jun(前出のWorleyらの報告参照)及び神経指向性の因子についても観察された(ニューロン(Neuron)第7巻第165〜176頁(1991年)におけるErnfors らの報告、ニューロン(Neuron)第8巻第1127〜1138頁(1992年)におけるDugich-Djorjevicらの報告、ニューロン(Neuron)第6巻第937〜948頁(1991年)におけるIsacksonらの報告、ニューロン(Neuron)第9巻第539〜548頁(1992年)におけるMackler らの報告、モレキュラー・ブレイン・リサーチ(Mol. Brain Res. )第13巻第27〜33頁(1992年)におけるRocamoraらの報告、参照)。これらのことから、明らかに多くの蛋白質が記憶や退行的な疾患(例えばアルツハイマー病)、発達、再生及び脳の機能不全(例えば癲癇)のような海馬の可塑的な出来事に関与していると見られている。
【0005】
セリンプロテアーゼも中枢神経系において神経の活性化に依存して誘発されてくる蛋白質であり、発達や退縮のような脳の可塑的な事象に関係していると考えられている(トレンズ・イン・ニューロサイエンス(Trends Neurosci.)第11巻第541〜544頁(1988年)におけるMonardらの報告、前出のQianらの報告、参照)。
【0006】
そこで、塩坂(本発明の発明者)は、海馬の機能発現のために特異的に発現している新たなセリンプロテアーゼを同定するため、セリンプロテアーゼのキーとなるアミノ酸配列を基にしたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて一連の逆転写ポリメラーゼチェイン反応法を行う中から、新たな蛋白質ニューロプシンをコードする遺伝子配列を見いだすことに成功した。尚、ニューロプシン及びその遺伝子配列等については、別途、特許出願中であり、未だ公知化されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかるニューロプシンを認識することは、脳の機能即ち記憶や学習機構等の解明の手がかりを与え、更に退行的な疾患(例えばアルツハイマー病)、脳の機能不全(例えば癲癇)あるいは免疫不全を解決する上で非常に有用であるため、かかるニューロプシンを認識できる物質の開発が望まれていた。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、脳の可塑性に関与する新規なタンパク質であるニューロプシンの検出を可能とする抗体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明の第1は、列表の配列番号1のアミノ酸配列で示される新規なニューロプシンに対する新規な抗体に関するものであり、本発明の第2は、列表の配列番号2に示す新規なアミノ酸配列を含む蛋白質に対する新規な抗体であって、配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を抗原として用いる抗体に関するものである。
【0010】
ここで、ニューロプシンとは、脳の海馬中に特異的に存在する新規な蛋白質であり、塩坂(本発明者の一人)によりそのアミノ酸配列及び遺伝子配列が決定されたものである。このニューロプシンは、配列表の配列番号1に示すようなアミノ酸配列を有する物質である。
【0011】
このニューロプシンに対する抗体は、ニューロプシンそのものを免疫原として用いてもよいが、配列表の配列番号1に示すニューロプシン分子中の5〜30個、あるいはそれ以上の連続するアミノ酸残基からなる部分ペプチド(例えば、配列表の配列番号2)を抗原として用いてもよい。
【0012】
このニューロプシンは、これをコードする遺伝子配列(配列表の配列番号3)が塩坂(本発明者の一人)により解明されたことから、遺伝子組み換えの技法によりバクテリアや昆虫細胞、哺乳動物細胞等の細胞内で発現させることによって得られるほか、通常のペプチド合成の手法によって合成することも可能である。
【0013】
ニューロプシンに対する抗体を得るには、このペプチドをそのまま動物に免疫してもよいが、部分ペプチドを用いる場合には、通常このペプチドとウシ血清アルブミン(BSA)やスカシガイヘモシアニン(KLH)等のキャリアー蛋白質とを化学的に架橋したものを動物に免疫した方が好ましい。動物としては、通常、抗体産生に利用されるウサギ、ヤギ、ヒツジ、ラット、モルモット等の他、マウスを用いてもよい。
【0014】
得られた抗血清から、例えば、次のようにして本発明の抗体を調製する。即ち、抗血清を33%飽和硫安で沈殿させ、イムノグロブリンG(IgG)画分を得る。BSA等のキャリアー蛋白質を用いた場合には、これらキャリアー蛋白質に対する抗体も含まれていると考えられるので、このような場合にはこのIgG画分を、キャリアー蛋白質を結合させたセファロースカラムに通してキャリアー蛋白質に対する抗体を吸着させ、通過画分を回収する。このようにして得た画分には抗キャリアー蛋白質抗体を含まない目的とする抗体を含む画分を回収できる。さらに、この画分を用いてニューロプシンを結合させたセファロースカラムに通し、アフィニティークロマトグラフィーを行えば、精製抗ニューロプシン部分ペプチド抗体、即ちニューロプシンに対する抗体を得ることができる。
【0015】
ニューロプシンに対する抗体はまた、マウス、ラット等に免疫後、その脾臓細胞を取り出し、適当なミエローマ細胞と融合させることによって抗体を産製する融合細胞を作出し、モノクローナル抗体として得ることもできる。
さて、このようにして得られた抗体がニューロプシンを認識するかどうか確認するためには、例えば、以下に述べるような公知のイムノブロッティング法を用いればよい。即ち、ニューロプシン若しくはその部分ペプチドを含む試料を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)にかけ、泳動後、ゲル内の蛋白質をニトロセルロース膜に転写させる。次にこの膜を、上述のようにして得られた抗体(一次抗体)とインキュベートした後、ペルオキシダーゼ結合二次抗体を用いて、一次抗体と特異的に反応する蛋白質バンドを発色させるのである。
【0016】
一方、本発明に係る抗体を用いて免疫組織化学的染色を行えば、組織内におけるニューロプシンの局在を知ることができ、刺激によるニューロプシンの発現の変化を見ることによって学習・記憶に関するニューロプシンのより正確な役割を知ることができる。
【0017】
本発明に係る記抗体を用いた組織切片の免疫組織化学的染色は、通常の方法に従えばよい。例えば、組織標本をパラフィンに包埋した後、切片をスライドグラスに固定し、本発明に係る抗体(一次抗体)とインキュベートする。一次抗体と特異的に反応する抗原は、ビオチン結合二次抗体及びアビジン結合ペルオキシダーゼを用いて発色させることにより、容易に識別できる。
【0018】
本発明に係る抗体は、マウスのニューロプシンのみでなく、ヒトのニューロプシンとも反応することから、放射免疫測定法(RIA法)や、酵素免疫測定法(EIA法)によるヒト体液中のニューロプシンの測定にも用いることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例について説明する。
[実施例1] ニューロプシンに対する抗体の作製
(1−1)抗原の作製
ニューロプシンのcDNA配列は配列表の配列番号3の通り塩坂(本発明の発明者)により既に決定されており、また、そのアミノ酸配列も配列表の配列番号1の通り分かっていることから(但し、未だ公知化されていない)、常法によりcDNAを合成した。
【0020】
まず、制限酵素NotIで切り出したニューロプシンcDNAを同じくNotIで切断したプラスミドベクターpGEX(ファルマシア社(製))と混ぜ合わせ、T4リガーゼを用いて組み込み、大腸菌にトランスフェクトした。
この大腸菌を5mlのアンピシリン加LB培地で37℃一晩振盪培養した。これをさらに1lのLB培地に加えて37℃4時間振盪培養し、500Mのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を1ml加え3時間振盪培養した。
【0021】
このようにして得た培養液を4℃で9000rpm15分間遠心分離し、沈殿をリン酸緩衝塩化ナトリウム液(PBS)で3回洗浄した。その後、1mM EDTA、2%TritonX−100を加えた20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)20mlを加え、−20℃で一晩放置した。そして、この液に対し3分間の超音波処理を2回行って菌体を破壊し、4℃で15000rpm15分間遠心分離し、沈殿を得た。
【0022】
得られた沈殿を少量のPBSに溶解し、これをネイチャー(Nature)第227巻第680〜685頁(1970年)における Laemmliらの方法に従ってSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)を行い、分子量約55KDの蛋白画分を切り出し、電気泳動的にゲルより流出した。ここで得られた蛋白は、グルタチオン−S−トランスフェレース(GST)とニューロプシンの融合蛋白質であった。
【0023】
これをPBSで透析し免疫原(抗原)とした。この免疫原は100μlずつ分注して凍結し、保存した。
(1−2)ニューロプシンに対する抗体の調製
上記(1−1)で得た免疫原(ニューロプシンを含む溶液)と、等量のフロイント・コンプリートアジュバントを混合して乳濁化させ、ニュージーランドホワイトラビットの皮下に100μg抗原/匹を投与し、免疫を行った。2週、3週、4週後に同様に抗原を投与した後、さらに1週間間隔で投与を継続した。初回投与後6週目以降から採血を開始した。採血は耳動脈より1匹当り50mlとし、静置後遠心分離して抗血清を得た。
【0024】
得られた抗血清100mlに33%飽和になるように硫酸アンモニウムを加え、IgG画分を沈殿させ、遠心分離によって回収した沈殿を50mlのリン酸塩緩衝塩化ナトリウム液(PBS)に溶解し、PBSで一晩透析することにより、ニューロプシンに対する抗体を含む溶液を得た。
[実施例2]イムノブロッティング
Time Saver cDNA Synthesis Kit(ファルマシア社製)を用いて合成したニューロプシンcDNA(1333bp、配列番号3)をバキュロゴールドトランスフェクションキット(藤沢薬品工業株式会社(製))を用いてpVL1392(同キットの一部に組み込まれているもの)にトランスフェクトし、組換え発現ベクターを作製した。
【0025】
細胞の形質転換は、昆虫細胞(High5)を培養した培養皿から培地を吸引し、1〜2PFU(プラークフォーミングユニット)のpVL1392ベクターを加えて27℃で1時間静置した後、再度培地を加えて27℃で2〜3日間培養することによって行った。
【0026】
このようにして得られた形質転換細胞(ニューロプシンcDNAを組み込んだpVL1392ベクターを導入した昆虫細胞(High5))1×105 個をSDSポリアクリルアミド電気泳動用緩衝液1mlに懸濁し、100℃で5分間加熱処理し、抗原溶液とした。別に分子量マーカー LMW Kit E(ファルマシア社(製))を同様に処理し、これを分子量マーカーとして使用した。
【0027】
上記抗原溶液10μl及び分子量マーカー10μlを前出の Laemmliらの方法により12.5%ポリアクリルアミドゲル1枚に添加し、15mA、100分間室温で電気泳動し、セミドライタイプの転写装置であるザルブロットII(ザルスタット社(製))を用い、ブロッティング用メンブレンであるBLOTTING用デュラポアGVHP(ミリポア社(製))に200mA、1時間室温で転写した。
【0028】
転写後、分子量マーカーを転写したメンブレンはクマシブリリアントブルー染色液に浸し、染色した後、脱色液にて脱色した。
抗原を転写したメンブレンは、10%スキムミルクで4℃一晩ブロッキングした後、実施例(1−2)で作製した抗体をPBSで100倍希釈して、この液にメンブレンを浸し、4℃で一晩反応させた。0.05%ツイーン20を含むPBSで洗浄した後、1%ウシ血清アルブミンを含むPBSで1000倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG((株)医学生物学研究所(製))に室温で1時間反応させ、再度洗浄し、0.05%の3,3’ヂアミノベンチジン4塩酸塩と0.45%の過酸化水素を含むPBSに浸けたとき、分子量33KDにバンドを生じた。これはニューロプシンに対応するものである。
【0029】
一方、ベクターを導入しない昆虫細胞(High5)を同様に処理してブロッティングを行ったとき、対応する位置にバンドは生じなかった。
以上のイムノブロッティングの結果を図1に示す。図1のレーンMは分子量マーカーを表し、レーン1及び2はニューロプシンのcDNAを組み込んだpVL1392ベクターを導入した昆虫細胞(High5)を抗原として用いた結果を表す。レーン3は、ベクターを導入しない昆虫細胞(High5)を抗原として用いた結果を表す。
【0030】
この図1の結果から、ニューロプシンの遺伝子を組み込んだ細胞を抗原とした場合にのみ反応が見られることから、当該抗体がニューロプシンを認識していることが証明された。
[実施例3]免疫組織化学染色
実施例1で得た抗体がニューロプシンを認識するかどうかを確認するために、以下に述べるような公知の免疫組織化学染色を行った。
【0031】
即ち、ニューロプシンを発現している細胞を4%パラフォルムアルデヒド含0.1%Mリン酸緩衝液などの固定液にて固定し、抗体希釈液(1%ウシ血アルブミン含リン酸緩衝生理食塩水)にて1000倍に希釈した本抗体を用いて、4℃、1夜、湿潤箱内にて反応させた。未反応の抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、蛍光物質を標識した抗IgG抗体もしくはペルオキシダーゼなどを利用した発色法によってニューロプシンを同定した。
【0032】
図2はこのようにして発色させた免疫組織化学染色の写真である。この写真において、輪郭の薄い球状体は発現ベクターを感染させた昆虫細胞であり、その中に見られる白い球状体がニューロプシンの免疫反応産物(発現ベクターを感染させた昆虫細胞によって産生されたニューロプシン)である。
[実施例4]酵素免疫測定法
(4−1)マイクロプレート型試薬の作製
実施例1で得たニューロプシンに対する抗体を0.1%アジ化ナトリウムを添加した0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に透析し、同緩衝液で蛋白濃度0.01mg/mlに調製した。この液を96穴マイクロプレート(ヌンク社製マキシソープ)の各ウエルに100μlずつ添加し、4℃で約18時間静置して抗体を結合させた。
【0033】
抗体結合後、ウエル内の溶液を除き、1%ウシアルブミン(BSA)と10%ショ糖を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)300μlを加えて37℃で2時間静置反応させ、マイクロプレートのウエルの抗体未結合部分をブロックした。このブロッキングは、以後の反応工程において標識抗体がマイクロプレートの壁面に非特異的に結合することにより、測定系の定量性が損なわれないようにするために行った。
【0034】
ブロッキングの後、ウエル内のブロッキング液を除き、室温で完全に風乾させ、マイクロプレート型試薬を得た。
(4−2)ペルオキシダーゼ標識抗体の作製
実施例1で得たニューロプシンに対する抗体のIgG分画を0.1M酢酸緩衝液(pH4.2)に透析し、蛋白濃度を5mg/mlとなるように調製した後、総蛋白量の3%のペプシンを加えて37℃で一晩攪拌し反応を行った。2Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を適量加えて反応を停止させた後、0.2M塩化ナトリウムを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したウルトロゲルAcA44(LKB社(製))カラム(2.0×60cm)でゲルろ過を行い、F(ab’)分画2.5mgを得た。
【0035】
スクシミジル 4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(ジーベンケミカル社(Zieben Chemical Co. Ltd.)製)を用いたヒンジ法(ジャーナル・オブ・イムノアッセイ(J. Immunoassay)第4巻第209頁(1983年))に従い、POD[Horseradish peroxidase:シグマ社(製))を、上記で得た抗ニューロプシン抗体のIgG/F(ab’)にSH基を介して結合させて、ペルオキシダーゼ標識抗体を得た。
(4−3)検量線の作製
実施例1で得たニューロプシンとGSTの融合蛋白をPBSで希釈し、6〜100μg/ml(6、12、25、50、100μg/ml)の溶液をそれぞれ調製し、この液100μlを上記(4−1)で作製したマイクロプレート型試薬に分注した。同時にPBSのみを100μl分注し、盲検とした。以上の反応系を室温にて1時間静置し、反応終了後PBSで3回洗浄後、同緩衝液をよく取り除いた。
【0036】
上記(4−2)で作製したペルオキシダーゼ標識抗ニューロプシン抗体を0.1%BSA、0.15MNaClを添加した10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)にて250〜1000倍に希釈し、上記で抗原・抗体反応させたマイクロプレートに各ウエル100μlずつ分注して室温にて1時間静置後、PBSにて3回洗浄後、同洗浄液を除いた。
【0037】
テトラメチルベンチジン2塩酸塩(シグマ社(製))を10mMクエン酸緩衝液(pH6.8)に溶解し、1.6mMの溶液を作製した。この液と、過酸化水素を10mMクエン酸緩衝液(pH6.8)で希釈して10mMとした溶液を等量混合して酵素基質液とした。
【0038】
ペルオキシダーゼ標識抗ニューロプシン抗体で処理したマイクロプレートの各ウエルにつき上記酵素基質液を100μlずつ分注し、室温にて10〜20分間静置後、1.5Nリン酸を1ウエルにつき100μlずつ分注し、pHを下げることによりペルオキシダーゼの酵素活性を停止させた。
【0039】
こうしてマイクロプレートの各ウエルに生じた発色の程度は、吸光度計(東ソー社(製)MPR−A4)にて波長450nmでの吸光度を測定することにより検出した。その結果を下記表1及び図3に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003663228
【0041】
(4−4)ニューロプシンの濃度測定
図3を検量線として用いることにより、体液その他の溶液中のニューロプシンの濃度を測定することができる。
[参考例]ニューロプシンをコードする遺伝子のクローニングと塩基配列決定
(参1−1)RT−PCR
NGF−γのセリンプロテアーゼドメイン中に保存されているアミノ酸残基His65とSer213 の領域に対応する、下記表2に示すような2種類のPCRプライマーを合成した。
【0042】
【表2】
Figure 0003663228
【0043】
Balb/cマウス(5週齢、雄)の海馬よりFast Track mRNA抽出キット(Invitrogen社(製) )によりmRNAを抽出し、2μg のmRNAを使ってランダムプライマー法により逆転写酵素により一本鎖cDNAを合成した。引き続き Taq DNAポリメラーゼ(宝酒造社(製))により、上記PCRプライマーを使いPCRを行った。PCRは94℃で2分の熱処理の後、94℃で1分、50℃で2分、72℃で3分のサーマルサイクルを40回繰り返し、最後に72℃で10分の条件で行った。PCR産物は、その後アガロース電気泳動により分析し、約0.4kb−0.5kbのサイズのバンドを確認したので、ゲルより切り出し、DNAを抽出した。抽出したDNAはその後Klenow酵素により平滑末端にし、あらかじめ HindIII/Xholで切ったpBluescript II KS +(Stratagene社)を同様の方法で平滑末端にしたものにつないだ。このDNAサンプルは引き続き、DH5αに形質転換した。
【0044】
このようにして得られたクローンをB41と名付け、その全塩基配列をジデオキシ法により決定した。その結果を配列表の配列番号4に示す。B41はホモロジー検索の結果、ヌクレオチドレベルでNGF−γと32%、EGF−BPと40%、tPAと47%、NGF−αと50%のホモロジーがある新規なセリンプロテアーゼであることが推定された。以後、B41クローンは完全長のcDNAを得るためのプローブとした。
(参1−2)cDNAライブラリーの作製とスクリーニング
上記の海馬から得られた2μg のmRNAよりTime Saver cDNA合成キット(Pharmacia社(製))でcDNA合成を行い、EcoRI/NotIアダプターを両端に付け、λgt10ファージベクターにつないで、Gigapack II packaging extract(Stratagene 社(製))を用いてパッケージした。約2×107 のライブラリーができた。
【0045】
約4×105 プラークを Hybond-N+(Amersham社(製))のメンブレンフィルターに写し、以下のようにプラークハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。すなわちハイブリダイゼーションの条件は5×SSPE、2×Denhardt液、0.1%SDS、40%ホルムアミドに250μg/mlの変性サケ精巣DNAを加え、42℃で6時間のプレハイブリダイゼーションを行った。その後、ランダムプライマー法により32PdCTP(Amersham社(製))でラベルしたB41プローブを加え、引き続き同じ条件で18時間ハイブリダイゼーションを行った。その後フィルターを65℃の2×SSC、0.1%SDSを含む液で数回洗い、風乾後、オートラジオグラフィーでポジティブクローンを選別した。その結果、6個のポジティブクローンが得られた。各プレートライセートよりファージを精製して、さらにファージDNAを抽出し、インサートをサイトにサブクローニングし、制限酵素マッピング、塩基配列決定に供した。
(参1−3) ニューロプシン遺伝子
制限酵素マッピングの結果(図4参照、図4にて、BはBamHI、XはXbaI、RはRsaI、PはPstIである)、得られた6個のクローン(NP5、NP1、NP3、NP4、NP6、NP8)はそれぞれオーバーラップすることがわかり、このうちNP5が一番長く、約1.3kbのインサートを含むことがわかった。他は約0.8kbであったので、NP5についてさらに解析し、全塩基配列を決定した。その結果、配列表の配列番号3に示すように、全長は1333bpで、780bpからなるオープンリーディングフレームが判明した。翻訳開始コドンはnt487−489(ATG)、又終始コドンはnt1267−1269(TGA)と推定される。即ち、486bpからなる5’非コーディング領域と64bpからなる3’非コーディング領域(終始コドンとポリAを含む)に挟まれた780bpからなるコーディング領域を含むことがわかった。これはアミノ酸残基260個からなり、その配列から推定される分子量は約2万6千ダルトンと判明した。このタンパク質をニューロプシンと命名した。
【0046】
配列表の配列番号1には、塩基配列から演繹されるニューロプシンのアミノ酸の一次構造を示す。ニューロプシンはアミノ酸配列レベルでのホモロジー検索の結果、EGF−BPと約43%、NGF−γと41%、NGF−αと39%、トリプシン38%、tPAと18%のホモロジーがあることがわかり、セリンプロテアーゼの一種と推定された。このことはHis73 、Asp120、Ser212 とセリンプロテアーゼに特徴的なアミノ酸が含まれていることからも推定される。さらにアミノ酸110−112に、Asn−Asn−Serと糖鎖結合部位を含み糖タンパク質であることも推定される。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明に係るニューロプシンに対する抗体によれば、免疫組織化学的手法を用いることにより、脳内におけるニューロプシンの存在を検出できるほか、酵素免疫測定法を用いることにより、体液その他溶液中のニューロプシンの濃度の測定に利用できるという効果が得られる。
【0048】
また、ニューロプシンを認識することは、脳の機能即ち記憶や学習機構等の解明の手がかりを与え、更に退行的な疾患(例えばアルツハイマー病)、脳の機能不全(例えば癲癇)あるいは免疫不全を解決する上で非常に有用であるため、本発明に係るニューロプシンに対する抗体は利用価値が高いものである。
【0049】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:260
配列の型:アミノ酸
トポロジー:不明
配列の種類:蛋白質
配列:
Figure 0003663228
Figure 0003663228
配列番号:2
配列の長さ:121
配列の型:アミノ酸
トポロジー:不明
配列の種類:蛋白質
配列:
Figure 0003663228
配列番号:3
配列の長さ:1333
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列:
Figure 0003663228
配列番号:4
配列の長さ:411
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列:
Figure 0003663228

【図面の簡単な説明】
【図1】 ニューロプシンに対する抗体を用いたイムノブロッティングの結果を示す説明図(メンブレンの写し)である。
【図2】 ニューロプシンに対する抗体を用いた免疫組織化学染色の写真である。
【図3】 ニューロプシンの濃度測定に用いる検量線のグラフである。
【図4】 参考例の(参1−2)で得られた6個のクローンの制限酵素地図である。

Claims (2)

  1. 列表の配列番号1のアミノ酸配列で示される新規なニューロプシンに対する新規な抗体。
  2. 列表の配列番号2に示す新規なアミノ酸配列を含む蛋白質に対する新規な抗体であって、
    配列表の配列番号2に示すアミノ酸配列を抗原として用いる抗体
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