JPH10510422A - チロシンリン酸化タンパク質に結合する新規なタンパク質ドメイン - Google Patents

チロシンリン酸化タンパク質に結合する新規なタンパク質ドメイン

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JPH10510422A JP8517613A JP51761396A JPH10510422A JP H10510422 A JPH10510422 A JP H10510422A JP 8517613 A JP8517613 A JP 8517613A JP 51761396 A JP51761396 A JP 51761396A JP H10510422 A JPH10510422 A JP H10510422A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、一般に、チロシンリン酸化タンパク質と結合する新規なタンパク質ドメインに関する。より具体的には、本発明は、ホスホチロシンに結合する非SH2タンパク質ドメインを提供する。本発明はまた種々の複合ポリペプチドを提供する。該複合ポリペプチドは、これら複合ポリペプチドチロシンリン酸化タンパク質と結合する能力を保持できるようにこれらのドメインを含んでいる。本発明はまたこれらポリペプチドをコードする核酸を提供する。典型的にはこれら核酸はまた、発現のためのプロモーターおよび、発現される複合タンパク質のアミノまたはカルボキシ末端に融合ペプチドをコードするセグメントを含むことができる。本発明に含まれるものはまた、これらポリペプチドおよびそれらを発現することができる細胞の調製方法である。さらにまた本発明に含まれるものは、研究、診断および治療的用途においてこれらポリペプチドを使用する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 チロシンリン酸化タンパク質に結合する新規なタンパク質ドメイン 本発明は、チロシンリン酸化タンパク質と特異的に結合する新規なタンパク質 ドメインに関する。特に、本発明は、ホスホチロシンに結合する非SH2タンパ ク質ドメインを提供する。本発明はまた、これらのドメインを含む種々の複合ポ リペプチドを提供し、該複合ポリペプチドは、チロシンリン酸化タンパク質に結 合する能力を保持するように提供する。本発明はまた、これらのポリペプチドを コードする核酸を提供する。典型的には、これらの核酸はまた、発現用プロモー ターおよび発現された複合タンパク質のアミノ末端またはカルボキシ末端に融合 ペプチドをコードするセグメントを含めることができる。また本発明に含まれる ものは、これらのポリペプチドおよびそれらを発現することができる細胞を製造 する方法である。さらにまた、診断的および治療的応用としてこれらのポリペプ チドを用いる方法である。 本発明は、アメリカ国立衛生研究所による許可番号R01HL32898号およびK11HL0 2714号のもと、アメリカ合衆国政府の支援を受けて達成した。アメリカ合衆国政 府は本発明に関して一定の権利を有する。 発明の背景 レセプターのシグナル伝達経路については熱心な研究が行われてきた。これら のシグナル伝達経路をさらに一層理解することによって、多くの疾患の治療にお いて新規、かつより効果的な薬剤をデザインすることができる。特に興味深いも のは、成長因子および関連するレセプターのシグナル伝達経路、並びに細胞生長 及び細胞分化におけるそれらの役割である。細胞質膜上のある成長因子とそのレ セプターとの結合は、多様な生化学的反応を刺激することができる。これらの反 応には、イオン流における変化、種々のキナーゼの活性化、細胞形状の変化、種 々の遺伝子の転写および細胞代謝における酵素活性の調節が含まれる。 特に、外部リガンドとの結合時に、レセプターは、特定のチロシン残基の自家 リン酸化(auto-phosphorylate)を経るか、及び/又は他のタンパク質をリン酸 化するかもしれない。このチロシンリン酸化によって、リン酸化チロシン及び隣 接残基を認識する特異的なドメインを有する細胞質シグナル伝達タンパク質に対 する結合部位が生じる。いったん結合すると、これらのシグナル伝達タンパク質 は順をおって活性化することができる。その後、活性化されたシグナル伝達タン パク質は下流の過程に影響を与えることができる。Pawson & Gish,Cell 71:359 -362(1992)。 SH2(これはrc相同(Src Homologous)を意味する)ドメインは、Sr cチロシンキナーゼの非触媒性領域の100残基と類似するアミノ酸配列であり 、種々のシグナル伝達分子に存在する。Sadowskiら、Mol.Cell.Biol.6:4396( 1986)。SH2ドメインは、ホスホチロシンおよび特定の隣接残基を認識するこ とによって、チロシンリン酸化ターゲットに結合する機能的タンパク質モチーフ である。J.A.Escobedo ら、Mol.Cell.Biol.11:1125(1991); L.C.Cantleyら 、Cell 64:281(1991); T.Pawson & G.D.Gish,Cell 71:359(1992); S.Zhouら 、Cell 72:767(1993); G.Waksman,S.E.Shoelson,N.Pant,D.Cowburn,J. Kuriyan,Cell 72:779(1993)。成長因子、サイトカインおよび腫瘍誘発因子によ るチロシンキナーゼの活性化は、したがって シグナル伝達複合体中にSH2ド メイン含有タンパク質をそのチロシンリン酸化ターゲットとともに集合させるス イッチとして作用し、これによって下流のエフェクターが活性化される。 SH2ドメインを含むチロシンキナーゼ結合ドメインを用いることが、細胞内 のチロシンキナーゼのターゲットを同定する方法、及び、ゆえに細胞のシグナル 伝達経路における中間体を同定する方法において検討されている。Schlessinger らのPCT特許出願WO92/13001号を参照のこと。 SH2リン酸化リガンドの調節系に影響を与えるか、またはSH2リン酸化調 節系でSH2結合に影響を与える化合物をスクリーニングするか、及びSH2結 合リンタンパク質の存在をアッセイするのに、SH2ドメインおよびサブドメイ ンを特異的に用いることが概括的に記載された。A.J.Pawson の米国特許第5,35 2,660号を参照のこと。 特定のSH2含有タンパク質はSHC遺伝子産物を含む。SHC(これはSH 2、コラーゲン(ollagen)を意味する)遺伝子は、多数の成長因子(例えば PDGF、EGFおよびFGF)に応じてリン酸化されるチロシンであって、さ らに成長因子レセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼからRasへとシ グナルを伝達する仲介物質として考えられている、46- および52- kDタンパク 質として発現される形質転換タンパク質をコードする。G.Pelicciら、Cell 70: 93-104(1992);M.Rozakis-Adcockら、Nature 360:689(1992)。 したがって、これらSH2ドメインおよび細胞のシグナル伝達経路におけるそ れらの役割の研究に、多大な注目が向けられてきた。しかしながら、SH2ドメ インおよびそれらを含むタンパク質が、そのような経路の唯一のホスホチロシン 結合仲介物質ではない。したがって、これらの経路およびそれらを制御する能力 の研究には、他のホスホチロシン結合ドメインの同定および性質が必要である。 本発明は、このような要求および他の要求を満たすものである。 発明の要旨 本発明の一面は、非SH2ホスホチロシン結合(“PTB”)ドメインを含む 単離ポリペプチドを提供する。そのようなポリペプチドは、非SH2PTBドメ インを介してチロシン−リン酸化タンパク質と結合することができる。単離ポリ ペプチドは、SHCタンパク質のPTBドメインのアミノ酸配列と実質的に相同 なアミノ酸配列を含むのが好ましく、さらにより好ましくは、ポリペプチドは、 SHC PTBドメインまたはSHC様(“SCK”)PTBドメインのいずれ かのアミノ酸配列を含むのがよい。ポリペプチドは融合タンパク質形でも、それ に結合した検出可能な基を含んでもよい。 他の態様として、非SH2 PTBドメインをコードするセグメントを含む単 離核酸を提供する。核酸は、SHC PTBドメインをコードするヌクレオチド 配列と実質的に相同なヌクレオチド配列を含むのが好ましく、より好ましくはS HC PTBドメインまたはSCK PTBドメインをコードするヌクレオチド 配列を含むのがよい。核酸配列はさらに、PTBドメインをコードするセグメン トに融合させた異種タンパク質をコードするセグメントを含むことができる。ま たプロモーター配列と機能的に結合した上記の核酸を含む発現ベクターも提供す る。 また、本発明のポリペプチドを調製する方法も提供する。この方法は、適切な 発現ベクターに本発明の核酸を挿入し、宿主細胞が非SH2PTBドメインを発 現できるように、この発現ベクターを該宿主細胞にトランスフェクト(transfect )し、さらに非SH2PTBドメインを回収することを含む。 SHCまたはSCK PTBドメインをコードするヌクレオチド配列のうち、 連続する少なくとも15個のヌクレオチドを含む核酸プローブを、さらに提供す る。このプローブは検出可能な基を結合している。 また、タンパク質が、PTBドメインのリン酸化リガンドであるか否かを決定 する方法を提供する。この方法は、タンパク質と本発明のポリペプチドとを接触 させ、タンパク質にポリペプチドが結合することを検出することを含む。ポリペ プチドがタンパク質と結合すれば、該タンパク質はPTBドメインのリン酸化リ ガンドであることを示す。 関連する面として、本発明は、被験化合物が細胞の成長因子活性化シグナル伝 達経路の拮抗薬であるか否かを決定する方法を提供する。この方法は、成長因子 の存在下で、被験化合物と細胞を接触させることを含む。その後、細胞を溶解し (lyse)、細胞溶解物(lysate)をアッセイし、溶解物中のあるタンパク質がP TBドメインに対するリン酸化リガンドであるか否かを決定する。リン酸化リガ ンドが存在しなければ、該化合物は成長因子活性化シグナル伝達経路の拮抗薬で あることを示している。 また別の関連する面として、本発明は、被験化合物がPTBドメイン/リン酸 化リガンド調節系の作動薬であるか、又は拮抗薬であるかを決定する方法を提供 する。この方法は、被験化合物をPTBドメイン、及び該PTBドメインと相互 作用してPTBドメイン/リン酸化リガンド複合体を形成することができるリン 酸化リガンドを含むポリペプチドとともに、該複合体の形成が許容される条件下 でインキュベートする工程を含む。形成したPTBドメイン/リン酸化リガンド 複合体の量を決定し、被験化合物の非存在下で形成されたPTBドメイン/リン 酸化リガンド複合体の量と比較する。被験化合物の非存在下で形成した複合体の 量に対する被験化合物の存在下で形成された複合体の量の増減は、被験化合物が PTBドメイン/リン酸化リガンド調節系の作動薬または拮抗薬の何れであるか を示す。 また別の面として、成長因子依存性細胞刺激を阻害する方法を提供する。この 方法は、細胞を本発明のポリペプチドの有効量と接触させることを含む。 さらに別の態様として、異なるタンパク質の混合物からPTBドメインに対し て実質的に純粋なリン酸化リガンドを得る方法が提供される。この方法は、異な るタンパク質の混合物を、固形支持体に固定したPTBドメインと接触させ、そ れによってリン酸化リガンドがPTBドメインに結合する工程を含む。固形支持 体を洗浄して未結合タンパク質を除去し、その後、リン酸化リガンドを固形支持 体から溶出させる。 また、細胞増殖性疾患を罹患している患者を治療する方法も提供する。この方 法は、患者に本発明のポリペプチドを有効量投与することを含む。また、この方 法は、患者から細胞を取り出し、非SH2 PTBドメインを含むペプチドをコ ードする核酸をこの細胞にトランスフェクトし、該核酸を取り込んだ細胞を選別 し、その細胞を患者に再移植する工程を含むことができる。そのような細胞増殖 性疾患には、例えばアテローム動脈硬化症、炎症性関節疾患、乾癬、再狭窄(re stinosis)および癌が含まれる。 図面の簡単な説明 図1は、ホスホチロシンに対する抗体を用いたイムノブロットである。このブ ロットは、SHCと成長因子(PDGFおよびFGF)でインビボ刺激された1 45kDのチロシンリン酸化タンパク質との会合を例証する。これは免疫前血清 (“PRE”)またはSHCに対する抗血清(“抗SHC”)で免疫沈降させ、 さらにホスホチロシンに対する抗体でイムノブロット分析を行った。黒矢印は、 52kDのSHCタンパク質および線維芽細胞で認められる66kDのSHC関 連タンパク質を示す。pp145タンパク質は白矢印で示す。各レーンは、SH Cに対する抗血清を用いて免疫ブロッティングで測定した等量のSHCを含む。 図2は、pp145へのSHCの結合を示す。パネルAは、休止(−)または PDGF刺激(+)Balb/c 3T3細胞の細胞溶解物(“LYSATE” )またはその抗SHC免疫沈降物(“SHC IP”)中のタンパク質への完全 な長さのSHCの結合を示す。パネルBは、PDGF刺激線維芽細胞の溶解物ま たはその抗SHC免疫沈降物中のpp145タンパク質を示す。これは、32P標 識化SHC(左)、SH2ドメイン欠失SHC(“SHCΔSH2”、残基1か ら377、中央)または単離SHC SH2ドメイン(“SH2”、残基378 から473、右)でブロットした。パネルCは、SHCタンパク質のpp145 結合ドメインの欠失マッピングを示す。表示した残基に対応するSHCフラグメ ントを、32P標識化GST融合タンパク質として、さらに上記のようにプローブ として調製した。SHCタンパク質の構成は表示のとおりで、2つの翻訳開始部 位、GRB2結合部位(“GRB2”)、PTBドメイン(斜線枠)、コラーゲ ンドメイン(縦線枠)およびSH2ドメイン(斑点枠または白色領域)を含む。 また、3つの代表的なプローブを用いたPDGF刺激線維芽細胞溶解物の抗SH C免疫沈降物のブロットも示している。パネルDはPTBドメインの結合を示す 。IHAエピトープタグを含むGST−SHCΔSH2融合タンパク質を活性化 B細胞の溶解物とインキュベートし、その後IHAに対するモノクローナル抗体 を用いた免疫親和性(immunoaffinity)クロマトグラフィーで精製した(“PT B−IHA+溶解物”)。流出物中にpp145が存在しないこと、および溶出 物中に存在することによって結合の存在が示される。コントロール(“溶解物単 独”および“PTB−IHA単独”)は結合の存在を示さない。出発材料(“出 発物”)、カラム流出物(“流出物”)およびSDS溶出物(“溶出物”)を、 上記のように32P標識化PTBドメインプローブでブロットすることによって調 べた。レーン内の矢印はレーンについての標識の正確な列を示している。 図3は、SHCとpp145との結合におけるホスホチロシンのかかわり合い を示す。パネルAでは、PDGF刺激線維芽細胞から得た抗SHC免疫沈降物中 のタンパク質をニトロセルロースに固定し、PTPアーゼ抑制物質であるオルト バナジウム酸ナトリウムの存在下(“PTPアーゼ+バナジウム酸塩”)、非存 在下でチロシン特異的ホスファターゼ(“PTPアーゼ”)で処理した。続いて フィルターを32P標識化GST−SHCでブロットする(“32P−SHCブロ ット”)(上)か、又はホスホチロシンに対する抗体でイムノブロットを施した (“APTブロット”)(下)。パネルBでは、PDGF刺激細胞の溶解物を、 ホスホチロシン(“P−TYR”)またはホスホセリン(“P−SER”)の表 示濃度の存在下、32P標識化GST−SHCでブロットした。 図4は、SHCおよびSCKのアミノ酸配列の比較を示す。SHCの11から 432の残基とSCK部分的クローンとの比較が示されている。太字の大文字は 同一の残基を示す。SHC(図2、パネルC)およびSCKのPTBドメインは 枠で囲まれている。SH2ドメインには下線が付されている。星印はPTBドメ インのFLVRES様配列を示す。アミノ酸残基の略語は次のとおりである:A はAla、CはCys、DはAsp、EはGlu、FはPhe、GはGly、H はHis、IはIle、KはLys、LはLeu、MはMet、NはAsn、P はPro、QはGln、RはArg、SはSer、TはThr、VはVal、W はTrpおよびYはTyrである。 図5A、5Bおよび5Cは、PTBドメインを含むSCK部分タンパク質のヌ クレオチド配列および推定アミノ酸配列を示す。SCKPTBドメインの末端お よび該ドメインをコードするヌクレオチド(図に示すようにヌクレオチド位10 0−651)を矢印で示す。 図6A、6Bおよび6Cは、SHCタンパク質ののヌクレオチド配列および推 定アミノ酸配列を示す。該アミノ酸配列は、pp145と結合するSHCのアミ ノ酸残基46から232に対応する、186アミノ酸SHC PTBドメインを 含む。SHC PTBドメインの末端を矢印で示す(図に示すようにヌクレオチ ド位136から693)。 好ましい実施態様の説明 I.一般的説明 A.SHCタンパク質 先に考察したように、SHC遺伝子は、多数の成長因子に応じてチロシンがリ ン酸化される2つの形質転換タンパク質をコードする。このタンパク質は成長因 子レセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼからRasへシグナルを伝達 する仲介物質と考えられてきた。 SHC遺伝子の完全な長さのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列は以前 に報告されている。Pelicci ら、Cell 70:93-104(1992)を参照のこと。さらに、 この配列内で同定されたものは、1)COOH−末端のSH2ドメインであって 、これは、活性化成長因子レセプターのようなチロシンリン酸化ターゲットと結 合 する、2)その分子の中央にあるヒトアルファ−1コラーゲンと相似点をもつ領 域であって、これはGRB2アダプタータンパク質に対する結合部位を含む、お よび3)以前には未知であった機能をもつ232残基のNH2−末端、である。 しかしながら驚いたことには、SHCタンパク質のこのNH2−末端領域内に、 SH2ドメインと同じ態様でチロシンリン酸化タンパク質に結合することができ るドメインが存在することが分かった。このホスホチロシン結合ドメイン(“P TB”)は、そのターゲットタンパク質のチロシンリン酸化型に特異的に結合す る。さらに、ホスホチロシン結合ドメイン(“PTB”)のアミノ酸配列は、既 知のSH2ドメイン類のいずれのアミノ酸配列とも類似しない。 1.SHC結合の分析 PTBドメインの同定は、成長因子刺激細胞のSHCタンパク質と一緒に免疫 沈降するタンパク質の研究とともに始まった。約145kDのチロシンリン酸化 タンパク質(包括的にpp145と称される)のいくつかが、血小板由来成長因 子(PDGF)または線維芽細胞成長因子(FGF)で処理した細胞の抗SHC 免疫沈降物中に存在したが、未刺激細胞の抗SHC免疫沈降物では認められなか った(図1)。同様なチロシンリン酸化タンパク質が、IgMに対する抗体で刺 激したB細胞、活性化T細胞、インターロイキン6(IL6)で刺激したHep G2ヘパトーマ細胞、及び白血病抑制因子(LIF)で刺激したCCE胎児幹細 胞でSHCと結合していた。pp145タンパク質の数と電気泳動移動度は、異 なる細胞タイプ間で僅かに変動した。これらは互いに異なるタンパク質であるか もしれないし、またはリン酸化の量が異なる同じタンパク質であるかもしれない 。これらのタンパク質は全て、同じ態様でSHCに結合するように見える。線維 芽細胞のpp145タンパク質またはB細胞のpp145は、SHC、ホスホリ パーゼCガンマ、Rasグアノシントリホスファターゼ活性タンパク質(Ras GAP)、グアニンヌクレオチド交換因子サンオブセブンレス(Son-of-Sevenl ess)(SOS)、インシュリンレセプター基質1(IRS−1)、グアニンヌクレ オチド交換因子C3G、形質転換タンパク質eps15またはPDGFもしくは FGFレセプターに対する抗体とのイムノブロットでは認められなかった。 SHCのpp145との結合の特性を調べるために、SDS−ポリアクリルア ミドゲル電気泳動(PAGE)によって細胞溶解物からタンパク質を分離し、ニ トロセルロースに移し、32P標識化グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GS T)−SHC融合タンパク質とインキュベートした。32P標識化GST−SHC は、PDGF刺激線維芽細胞の溶解物から得られた約180、145および12 0kDの3つのタンパク質と特異的に結合したが、非刺激細胞の溶解物のタンパ ク質とはいずれも結合しなかった(図2、パネルA)。180kDのバンドは自 家リン酸化PDGFレセプターとともに移動し、145kDバンドは図1で同定 した主要なpp145タンパク質とともに移動したが、120kDタンパク質の 正体は不明である。32P−GST−SHCプローブはまた、PDGF刺激細胞の 抗SHC免疫沈降物中に存在する145kDタンパク質と結合したが、非刺激細 胞の免疫沈降物中のいずれのタンパク質とも結合しなかった(図2、パネルA) 。したがって、32P−SHCプローブは明らかに同じ145kDタンパク質又は 、インビボでSHCに付随しているタンパク質と結合する。これらの実験から、 SHCがpp145と直接結合し、SHCとpp145のインビトロでの相互作 用はインビボでのPDGF刺激を必要とすることがわかる。 2.SHCタンパク質の欠失分析 pp145の結合に対応するSHCタンパク質領域をマッピングするために、 種々のドメインが欠失した32P標識化GST−SHCプローブを調製した。SH CのSH2ドメインの欠失は、PDGF刺激細胞の溶解物中のp180とp12 0との結合をもたらさなかったが、細胞溶解物中のpp145または抗SHC免 疫沈降物中のpp145のいずれの結合にも影響を与えなかった(図2、パネル B)。さらに、単離SHC SH2ドメインは、p180およびp120と結合 したが、pp145とは結合しなかった(図2、パネルB)。したがって、p1 20およびp180とSHCとの結合は、SH2ドメインに起因するものである が、pp145とSHCとの結合はSH2ドメインを必要としない。また別の欠 失分析によって、pp145と結合するSHCの46から232残基を表す18 6アミノ酸フラグメントが同定された(図2、パネルC)。このフラグメントは pp145に特異的に結合し、PDGF、FGFで刺激した細胞または活性化B 細胞から得た、溶解物または抗SHC免疫沈降物のニトロセルロースフィルター 結合アッセイでは他のいずれのタンパク質とも結合しなかった。SHCタンパク 質のこの領域はまた、溶液結合アッセイで特異的にpp145と結合した(図2 、パネルD)。pp145結合ドメイン(以下“PTBドメイン”と称する)は 、SHCタンパク質のNH2−末端部分に位置し、これについては、これまでど のような機能も知られてはいなかった。 SHCもpp145も成長因子刺激細胞でチロシンがリン酸化されるので、こ れら2つの分子の結合特性、およびチロシンリン酸化によってそれらがどのよう な影響を受けるのかをさらに調べた。ホスホチロシンは、ホスホチロシンに対す る抗体を用いたバキュロウイルス由来GST−SHCタンパク質プローブのイム ノブロットでは検出されず、かつチロシン特異的ホスファターゼでGST−SH Cプローブを処理してもpp145との結合に影響を与えなかった。したがって 、SHCのチロシンリン酸化は結合に必要ではない。pp145のリン酸化とS HCとの結合の関係を調べるために、抗SHC免疫沈降物由来のpp145をP DGF刺激細胞からニトロセルロースに移し、チロシン特異的ホスファターゼで 処理した。固定pp145の脱リン酸化により、32P標識化GST−SHCとの 結合が完全に消失した(図3、パネルA)。この作用を、チロシンホスファター ゼ抑制物質、オルトバナジウム酸ナトリウムを含ませることによって防止した。 逆に、SHCと結合しないはずである非刺激細胞のpp145を、組換えPDG Fレセプターでリン酸化したとき、その後、このpp145はSHCタンパク質 SHCのPTBドメインに結合した。したがって、SHCとpp145との結合 は、pp145がチロシンでリン酸化されることを必要とする。さらに、PTB とpp145との結合メカニズムを調べるために、細胞溶解物中のタンパク質を SDS−PAGEで分離し、ニトロセルロースに移し、ホスホチロシン存在下で32 P標識化GST−SHCとpp145との結合について分析した。GST−S HCとpp145との結合は、高濃度のホスホチロシンによって競争的に抑制さ れたが、同様な濃度のホスホセリンでは抑制されなかった(図3、パネルB)。 ホスホチロシンはまた、SHCのp180およびp120との結合を抑制したが 、これはSH2ドメイン依存相互反応である。これらの実験から、PTB領域と pp145との結合は、SH2ドメインの結合と同様に、ホスホチロシンの認識 を必 要とすることが示唆されている。 総合すれば、これらの結果から、(i)SHCのPTBドメインはpp145 と特異的に結合するが他のタンパク質とは結合しないこと、(ii)この相互作 用には種々の成長因子による細胞の刺激が必要であること、(iii)PTBド メインはpp145のチロシンリン酸化型を特異的に認識することがわかる。こ の特異性の組み合わせは、SH2ドメインのそれと機能的に類似している。さら にまた、pp145は、免疫沈降物中のSHCと複合体を形成しているときは効 果的に脱リン酸化することができないことが観察された。このことから、PTB ドメインは、SH2ドメインのように、ホスファターゼ作用からpp145のホ スホチロシンを保護することを示唆された(Birgeら、J.Biol.Chem.267:10588 -10595(1992))。しかしながら、PTBドメインは、明らかにSH2ドメインと は異なる構造を有する。SHCのPTB領域のアミノ酸配列は、既知のSH2ド メイン類のいずれとも異なっている。ただ1つの認識可能な配列類似性は、PR BドメインのNH2−末端の先端に存在する短いモチーフ、GVSYLVRであ り、これはSH2ドメインにおけるホスホチロシン結合のためのコンセンサス配 列、G(SまたはT)FLVRESといくぶん類似する(図4)(Mayerら、Mol .Cell.Biol.,12:609(1992))。しかしながら、このモチーフにおけるアルギニ ン(SHCのR55)のロイシンへの変異は、PTBドメインのpp145への 結合に影響を与えなかった。一方、SH2ドメインにおける同様な変異は、チロ シンがリン酸化ターゲットへの結合を消失させる(Marengere & Pawson,J.Bio l.Chem.,267:22779-86(1992);Bibbinsら、Mol.Cell.Biol.,13:7278-87(199 3); S.Katzav,Oncogene,8:1757-63(1993))。PTBドメインの残余部分は、 既知のSH2ドメインに存在する高度に保存された残基またはモチーフ(これら のいくつかはSH2ドメインの機能のために重要である)と殆どまたは全く配列 類似性をもたない。予想されるPTBドメインの二次構造も、SH2ドメインの それと異なっている。したがって、PTBドメインのホスホチロシンの結合がベ ースとする構造的基礎は、既知のSH2ドメインのそれとは顕著に異なることは 明白である。 B.相同なSCKタンパク質の識別 PTBドメインのDNA配列とコンピューターデータベースの配列との比較に よって、推定PTBドメインを含む遺伝子が明らかになった。この遺伝子の部分 的クローン、EST03775は最初、ヒト脳cDNAクローンから発現された 配列タグの配列分析(sequencing)によって得られた(Adamsら、Nature Genetics 4:256-267(1993))が、推定シグナル伝達分子としては認識されなかった。特に、 305bpセグメントのみが報告されただけであった。ヒト胎盤およびHepG 2 cDNAライブラリーをEST03775でスクリーニングすることによっ て、SHCのそれらと類似するPTBドメインおよびSH2ドメインを有するタ ンパク質をコードする、より大きな部分クローンを同定した。これを本明細書で はSCK(−lie、SHC様)と称する(図4)。PTBドメインの 保存領域は、pp145と結合したPTBドメインと相関性があった。SCKの PTBドメインの同定によって、PTBドメインは1つ以上の遺伝子に存在する ことが明らかになった。ノーザンブロット分析により、SCK mRNAの組織 分布がSHCのそれと異なることが実際にわかった。SCK mRNA発現は、 他の組織よりも肝臓で遙かに高く、さらに脳にも存在する。SHC mRNA発 現は、肝でも他の組織とほぼ同じであるが、脳では極めて低い。 これらのデータは、成長ホルモンによる細胞の刺激がpp145のチロシンリ ン酸化をもたらし、その後、このpp145がそのPTBドメインを介してSH Cと結合するというモデルと一致する。このようにして、PTBドメインは、S HCのSH2ドメインまたは他のシグナル伝達タンパク質と同じように、シグナ ル伝達複合体の会合を誘導する。このシグナル伝達経路はまた、本明細書ではP TBドメイン/リン酸化リガンド調節系と称される。したがって、pp145、 SHCPTBドメインのターゲットも、重要なシグナル伝達分子である。SHC は成長因子レセプターおよび非レセプターチロシンキナーゼをRasの活性化に 結び付けると提唱されている。すなわち、この結合の1つのメカニズムは、SH CのGRB2、即ちアダプタータンパク質との複合体の形成、およびSOS、R asのためのグアニンヌクレオチド交換因子との複合体の形成である(Eganら、N ature,363:45-51(1993))。したがって、pp145は、SHCとのその付随性 によってRasシグナル伝達の調節にも加わることができる。 II.PTBドメインを含むポリペプチド 本発明の1面として、本発明は、非SH2PTBドメインを介してチロシンリ ン酸化タンパク質に結合することができる単離ポリペプチドを提供する。非SH 2PTBドメインは、チロシンリン酸化タンパク質に特異的に結合できるタンパ ク質ドメインであるが、既知のSH2配列で見出されたものとは異なるアミノ酸 配列を含む。 “単離した”および実質的に“純粋な”という用語は、自然の状態ではともに 存在するタンパク質または汚染物質から分離したタンパク質、ポリペプチドおよ び核酸に対して互換的に用いられる。タンパク質またはポリペプチドが、これら タンパク質を含む組成物の総タンパク質含有量の約50%以上、典型的には総タ ンパク質含有量の約60%をこれらタンパク質が構成するとき単離したという。 より典型的には、実質的に純粋なタンパク質は総タンパク質の約75%から約9 0%を構成するであろう。好ましくは、このタンパク質は、組成物中の総タンパ ク質の約90%を越えて、より好ましくは95%を越えて構成するであろう。 本発明のポリペプチドの単離及び精製は、当技術分野で周知の方法で行うこと ができる。例えば、ポリペプチドは、所望の純度を達成するのに、容易に利用で きるクロマトグラフィー法、例えばイオン交換、疎水性相互反応、HPLCまた は親和性クロマトグラフィーを用いて精製することができる。親和性クロマトグ ラフィーは、所望のポリペプチドの特異的活性、例えばホスホチロシン結合を利 用することが可能であるので特に魅力的である。 典型的なポリペプチドは、SHC PTBドメインまたはそのホスホチロシン 結合フラグメントのアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列を有するであろ う。本明細書で用いられる“PTBドメイン”という用語は、SHC非SH2ホ スホチロシン結合ドメインのアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列を有す るポリペプチドドメインを指す。このSHC非SH2ドメインは、SHCタンパ ク質のアミノ酸配列のアミノ酸残基46−232からなる。また、SCKタンパ ク質のPTBドメインを含む配列も含まれる。 実質的に相同であるとは、アミノ酸配列がSHC PTBドメインと少なくと も約50%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95 %相同であることを意味する。好ましいポリペプチドの例として、SHCまたは SCKタンパク質由来のものであって、図4に示す配列をもつもの、SCKおよ びSHC PTBドメインについては(それぞれ図5および6に示す)、または そのホスホチロシン結合フラグメントが挙げられる。したがって、本発明内に含 まれるものは、SHCおよびSCK PTBドメイン配列のアミノ酸変種である が、但しこれら変種がチロシンリン酸化タンパク質と結合する能力を保持してい ることを条件とする。これらの変種は、挿入、欠失および他のアミノ酸による置 換を含んでもよい。他の配列修飾とともにグリコシル化修飾、量の増減またはグ リコシル化変更も含まれる。したがって、これらペプチドのアミノ酸変種、例え ば類似体は、一般に、SHCまたはSCK PTBドメインのいずれかのアミノ 酸配列と実質的に同等である。 本発明のポリペプチドはまた、図4に示したPTBドメインに対して作製した 抗体と結合する能力によって特徴づけることができる。これらの抗体は、PTB ドメインと相同なポリペプチドを認識する。相同なドメインにはPTBドメイン 類が包含されるが、他のホスホチロシン結合ドメイン、例えばSH2ドメインは 含まない。種々のイムノアッセイ形式を用いて、特定のタンパク質またはドメイ ンと特異的に免疫反応する抗体を選別することができる。例えば、固相ELIS Aイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応するモノクローナル抗体を 選別するために日常的に用いられている。特異的免疫反応性を決定するために用 いることができるイムノアッセイ形式および条件の詳細については、Harlow & L ane(1988)、Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publicati ons刊、ニューヨークを参照されたい。PTBドメインおよびPTBドメインを 含むポリペプチドに対する抗体については下記で極めて詳細に考察する。 上記ペプチドのホスホチロシン結合フラグメントは、当技術分野で周知の方法 によって同定かつ調製することができる。例えば、選択的タンパク質分解消化、 組換え欠失法またはペプチド合成法を用いて、ホスホチロシン結合が可能な特定 のフラグメントを同定することができる。例えばSambrookらの文献を参照のこと 。典型的には、そのようなフラグメントは、約50アミノ酸より短いもの、より 典型的には約20アミノ酸より短いもの、さらに好ましくは約6から約15アミ ノ 酸を含むであろう。 さらにまた、PTBドメイン以外のホスホチロシン結合ドメインを含まない本 発明のポリペプチドを提供することが望ましいであろう。例えば、PTBドメイ ン結合にのみ焦点を合わせることを所望するが、ターゲットタンパク質が多数の 異なるリン酸化チロシン残基を有する場合である。このような場合、他のホスホ チロシン結合ドメイン、例えばSH2ドメインを欠く欠失ペプチドを、当技術分 野で周知の組換えDNA技術によって調製することができる。 本発明のポリペプチドは単離ポリペプチドとして用いるか、又は融合タンパク 質としても存在することができる。一般に、“融合タンパク質”とは、正常な状 態では単一タンパク質として融合していない2つの別々の異種タンパク質から構 成された複合タンパク質を指す。したがって、融合タンパク質は、類似した2つ の相同な配列の融合も含むが、但しこれらの配列が正常な状態では1つに融合さ れていないことを条件とする。融合タンパク質は、一般に組換え核酸手法、すな わち、PTBドメインを含むポリペプチドをコードするセグメントと1つ以上の 異種タンパク質をコードするセグメントとを含む融合遺伝子の転写および翻訳の 結果としてか、または当技術分野で周知の化学的合成手法のいずれかで製造でき る。 これらの融合タンパク質は、由来するタンパク質の特性または活性の組み合わ せを示すように調製できる。典型的な融合タンパク質には、レポーターポリペプ チド、例えば基質、補助因子、抑制因子、親和性リガンド、抗体結合エピトープ タグまたはアッセイ可能な酵素に融合させたPTBドメインを含むポリペプチド が含まれる。タンパク質内の特異的なチロシンリン酸化部位を認識かつ結合する その能力のために、PTBドメインは、親和性リガンドとして作用し、融合タン パク質の活性をチロシンリン酸化タンパク質に直接誘導することができる。レポ ーターペプチド/PTBドメイン融合の場合には、このことによってPTBドメ インに結合するチロシンリン酸化タンパク質の存在および/または位置の決定が 容易になるであろう。また、容易に精製することができるハイブリッドタンパク 質、すなわち親和性リガンドまたは抗体結合エピトープに融合させたポリペプチ ドを提供し、その後、これを周知の親和性精製法を用いて精製または検出するこ とによって、融合タンパク質は、PTBドメインを含むポリペプチドの単離およ び同定を促進することができる。そのような親和性リガンドおよび抗体結合エピ トープの例として、例えばインフルエンザウイルスヘマグルチニン(IHA)エ ピトープタグまたはグルタチオン−S−トランスフェラーゼが挙げられる。他の 典型的な融合パートナーとして、細菌β−ガラクトシダーゼ、trpE、タンパ ク質A、β−ラクタマーゼ、α−アミラーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼおよ び酵母α−接合因子が挙げられる。例えば、Godowskiら、Science 241:812-816( 1988)を参照のこと。 本発明のポリペプチドは種々の手段、例えば組換えまたは合成によって調製で きる。一般に、タンパク質の組換えによる製造技術は、例えばサンブルックらの Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)1−3巻、Sambrookら、コ ールドスプリングハーバー研究所刊(1989))に記載されている。ポリペプチドの 合成技術は一般に、Merrifield,J.Amer.Chem.Soc.,85:2149-2456(1963);At hertonら、Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach、IRL Press 刊、オックスフォード(1989);Merrifield,Science 232:341-347(1986)に記載さ れている。 III.PTBドメインを含むポリペプチドをコードする核酸と それを発現することができる細胞 さらに本発明で提供するのは、非SH2PTBドメインを含むポリペプチドを コードする単離核酸配列である。好ましくは、そのような核酸配列は、SHCま たはSCK PTBドメインをコードする核酸配列と実質的に相同なセグメント を含むであろう。より好ましいものは、図5A〜Cおよび図6A〜Cに示した、 それぞれSCKまたはSHC PTBドメインをコードするヌクレオチド配列を 含む核酸配列である。 核酸について実質的相同性は、セグメントまたはそれらの相補鎖が、適切なヌ クレオチドの挿入または欠失を用いて適切に並べて比較したとき、ヌクレオチド の少なくとも約60%、典型的には少なくとも約70%、より典型的には少なく とも約80%、通常は少なくとも90%、より通常では少なくとも約95%から 98%において同一であることを意味する。また、セグメントが選択的なハイブ リダイゼーションの条件下で、SHCまたはSCKヌクレオチド配列由来の典型 的には連続した少なくとも約20ヌクレオチドを用いて鎖またはその相補物とハ イブリダイズする場合に実質的な相同が存在する。しかしながら、通常はより大 きなセグメント、例えば連続した少なくとも約30ヌクレオチド、より通常では 連続した約40ヌクレオチド、さらに好ましくは連続した50より多いヌクレオ チドが好ましいであろう。特異性が完全に欠如していなければ選択的ハイブリダ イゼーションは存在する。Kanehisa,Nucleic Acid Res.,12:203-213(1984)を 参照のこと。 本発明の核酸にはRNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型および混合ポリマ ー、センス鎖およびアンチセンス鎖の双方が含まれる。さらに、各同一遺伝子座 (isoform)について異なる対立遺伝子もまた含まれる。本発明はまた、天然には 存在しない組換え核酸を提供する。本発明に含まれる核酸は、典型的にはRNA またはDNAまたは混合ポリマーである。DNA組成物は一般には、SHCPT Bドメインのアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列を含むポリペプチドを コードするコード領域を含む。より好ましいものは、図5および6に示すヌクレ オチド配列を含むDNAセグメントであって、これはそれぞれSCKまたはSH C PTBドメインをコードする。 本発明のポリペプチド、またはそのフラグメントをコードするcDNAは、本 発明のポリペプチドを含むPTBをコードする遺伝子を得るために有用なプロー ブとして容易に利用できる。典型的な核酸プローブは、SHCまたはSCK P TBドメインのアミノ酸配列から調製できる。特に、プローブは、比較的低いレ ベルの縮退性、即ち配列をコードする可能な核酸配列が例えば数個または1個を 有するアミノ酸配列セグメントを基にして調製できる。その後、適切な合成DN Aフラグメントを、例えばBeaucage & Carruthers,Tetre.Letts.22:1859-186 2(1981)に記載されたホスホルアミダイト法を用いて調製できる。また、SHC およびSCK PTBドメインコード配列間で比較的保存されているヌクレオチ ド配列を適切なプローブとして用いることができる。その後二本鎖プローブを、 相補鎖を合成して適切な条件下でこれらの鎖をともにハイブリダイズさせるか、 または適切なプライマー配列とともにDNAポリメラーゼを用いて相補鎖を付加 することによって生成することができる。そのようなcDNAプローブは、例え ば周知のPCR技術を用いて、そうした遺伝子のスクリーニングおよびクローニ ングのためのオリゴヌクレオチドプローブおよびプライマーのデザインに用いる ことができる。そのような核酸またはフラグメントは、本発明のポリペプチドを コードするcDNA配列の一部または全部を含むことができる。有効なcDNA プローブは、そのcDNA配列中に連続した15ヌクレオチドを含むが、しばし ばもっと長いセグメントを含むであろう。さらに、これらのプローブは、さらな るヌクレオチド配列、例えばクローニングのために転写プライマー配列または相 補性配列の識別および位置特定を容易にするための検出可能な基を含むことがで きる。 上記のプローブを用いて、新規な対立遺伝子または関連配列を求めて、種々の タイプのcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることができる 。cDNAライブラリーの選択は通常、所望のポリペプチドのmRNAが豊富な 組織源と一致する。ファージライブラリーが通常は好ましいが、プラスミドライ ブラリーも用いることができる。ライブラリーのクローンを平板に広げ、スクリ ーニング用の基質に移し、変性させて所望の配列の有無をプローブで調べる。 本発明の核酸は、完全細胞、細胞溶解物に存在し、また部分的にもしくは実質 的に純粋形または単離形で存在する。一般にそのような“実質的に純粋な”また は“単離した”これら核酸の形態は、これら核酸に通常、付随していない汚染物 質、例えば脂質、タンパク質および他の核酸から分離した核酸を意味する。本発 明の核酸は、約50%より高い割合で純粋であろう。典型的には、本核酸は約6 0%より多く、より典型的には約75%から約90%、さらに好ましくは約95 %から約98%純粋である。 本発明はまた上記の核酸のフラグメントを含む。そのようなフラグメントは一 般に、約15から約150ヌクレオチドのセグメントを含むであろう。これらの フラグメントは、本発明の方法でオリゴヌクレオチドプローブとして有用である か、又は本明細書でまた説明するようにPTBドメインのホスホチロシン結合ポ リペプチドフラグメントをコードするのに用いることができる。さらに提供され るものは、実質的に類似の核酸配列、対立形質変種および上記核酸の天然または 誘導配列である。化学的に変更および置換された核酸、例えば修飾ヌクレオチド 塩基を取り込んだもの、または標識基を取り込んだものも提供する。 PTBドメインを含むポリペプチドをコードするセグメントを含む他に、本発 明の核酸はまた、遺伝子が発現され、実質的に上記で述べたように融合タンパク 質として2つのタンパク質を産生するように、異種タンパク質をコードするセグ メントを含む。 プローブとしてそれらを使用する他に、本発明の核酸はまた本発明のポリペプ チド、すなわち非SH2 PTBドメインを含むポリペプチドの調製で用いるこ とができる。 本発明のポリペプチドをコードするDNAは典型的には、インビトロ細胞培養 への導入及びその培養での発現が可能なDNA構築物に取り込まれるであろう。 しばしば、本発明の核酸を用いて、適切な組換え宿主細胞の産生することができ る。特に、DNA構築物は、単細胞宿主、例えば大腸菌のような細菌での複製に 適切であろうが、培養された哺乳類、植物、昆虫または他のセルラインへの導入 もまた意図される。細菌または酵母への導入のために調製したDNA構築物は典 型的には、当該宿主によって認識される複製系、所望のポリペプチドをコードす る目的のDNAセグメント、ポリペプチドコードセグメントに機能的に結合した 転写及び翻訳開始及び終止調節配列を含むであろう。DNAセグメントが別のD NAセグメントと機能的な関係をもって配置されるとき、DNAセグメントは機 能的に結合しているという。例えば、プロモーターまたはエンハンサーがコード 配列の転写を刺激するならば、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列に 機能的に連結されている。例えば、シグナル配列がポリペプチドの分泌に参画す るプレタンパク質として発現されるならば、該シグナル配列のDNAは、ポリペ プチドをコードするDNAに機能的に結合している。一般に、機能的に結合して いるDNA配列は、連続的であり、シグナル配列の場合には連続的であるととも に読み取り状態にある。しかしながら、エンハンサーは、それらが転写を制御し ようとしているコード配列と連続的である必要はない。結合は、都合のよい制限 部位もしくはアダプターで、またはその代わりに挿入したリンカーでつなぐこと によって達成される。一般に、適切なプロモーター配列の選択は、DNAセグメ ントの発現のために選択された宿主細胞に左右される。適切なプロモーター配列 の例には、当技術分野で周知の原核細胞プロモーターおよび真核細胞プロモータ ーが含まれる。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版)1 −3巻、サンブルックら(Sambrook)、コールドスプリングハーバー研究所刊(198 9)を参照のこと。典型的には、転写調節配列は、宿主によって認識される異種エ ンハンサーまたはプロモーターを含むであろう。適切なプロモーターの選択は宿 主によって左右されるが、例えばtrp、lacおよびファージプロモーター、 tRNAプロモーターおよび糖分解酵素プロモーターのようなプロモーターが知 られており、入手可能である。Sambrookら(1989)を参照のこと。 複製系並びに転写および翻訳調節配列をPTBポリペプチドコードセグメント のための挿入部位とともに含む、簡易に利用できる発現ベクターを用いることが できる。セルライン及び発現ベクターの機能しうる組合せの例は、Sambrookら、 およびMetzger ら、Nature,334:31-36(1988)に記載されている。例えば、ポリ ペプチド発現の選択宿主細胞として昆虫宿主細胞を選ぶ場合、本発明のポリペプ チドをコードするcDNAは、バキュロウイルス発現ベクター(pV−IKS) にクローニングすることができる。その後、組換えバキュロウイルスを用いて適 切な昆虫宿主細胞、例えばSf9をトランスフェクトすることができる。その後 このトランスフェクト細胞は該ポリペプチドを発現することができる。例えば、 D.K.Morrison ら、Cell58649-657(1989)、M.D.Summers & G.E.Smith,A Manu al of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures ,Texas Agriculture Station,College Station, テキサス(1987)を参照のこ と。 問題のDNAセグメントを含むベクター、例えば非SH2 PTBドメインを 含むポリペプチドをコードするものは、周知の方法によって宿主細胞に移すこと ができるが、この方法は用いる宿主の種類によって変動するであろう。例えば、 塩化カルシウム感染法は通常原核細胞に用いられる一方、リン酸カルシウム処理 は他の宿主に用いることができる。Sambrookらを参照のこと。本明細書で用いら れるように“形質転換細胞”という用語は、最初に形質転換された細胞の子孫を 含む。 IV.PTBに結合するタンパク質 PTBドメインによって特異的に認識されるチロシンリン酸化タンパク質をも 本発明が提供する。そのようなタンパク質は一般に、細胞活性化、例えば成長因 子活性化に応じて産生され、PTBドメインに特異的に結合するその能力によっ て同定することができる。したがって、これらのタンパク質を同定し、特徴を明 らかにすることによって、一般に細胞のシグナル伝達経路の理解、性質および操 作を進展させることができる。 特に提供されるのは、分子量約145kDの単離ポリペプチドである。このポ リペプチドは活性化細胞から得られる。活性化細胞は、ヒト並びに非ヒト起源の 線維芽細胞、筋原細胞、B細胞およびT細胞を含む哺乳類細胞を指す。これらの 細胞は一般に、成長因子、例えばPDGF、FGF、EGF、インシュリンおよ びインシュリン様成長因子;サイトカインおよびリンホカイン、例えばインター ロイキン;並びに成長調節および細胞分裂に参画するレセプターに対する抗体お よびリガンドによって活性化される。特異的に活性化された細胞の例には、例え ばPDGF活性化細胞、例えばBalb/c 3T3細胞、FGF活性化筋原細 胞、例えばL6細胞、抗体活性化B細胞、IL−6活性化ヘパトーマ細胞、例え ばHepG2細胞株および白血病抑制因子刺激胎児幹細胞、例えばCCE幹細胞 が含まれる。このポリペプチドは、上記で述べたように、細胞の活性化に際して 1つ以上のチロシン残基がりン酸化されるという特徴をもつ。さらに、このタン パク質は単離SHC SH2ドメインには結合しないが、SHC PTBドメイ ンのアミノ酸配列をもつポリペプチドには結合するであろう。これらのタンパク 質の単離と精製は既知の方法、例えばイオン交換、HIC、親和性クロマトグラ フィー、及びHPLCなどによって実施できる。 細胞の成長因子活性化の特異的シグナルとして、このタンパク質は、本発明の スクリーニング方法において非SH2 PTB結合のための理想的なターゲット を提供する。 V.抗体 本発明のポリペプチドまたはそのフラグメントは、抗体、ポリクローナル抗体 またはモノクローナル抗体のいずれかの製造において有用であろう。これらの抗 体は、適切な脊椎動物宿主、例えはマウスまたはウサギを、このポリペプチドま たはフラグメントであって、これらの単独または付加物と合わせて、免疫するこ とによって製造する。通常は、2回以上の免疫が必要で、最後の注射後数日して 、免疫動物の血液または脾臓細胞を採集する。 ポリクローナル抗体の産生のためには、適切なターゲット免疫系、典型的には マウスまたはウサギが選ばれるが、ヤギ、ヒツジ、雌ウシ、モルモットおよびラ ットも選択できる。実質的に精製された抗原が、該免疫動物に適した方法で決定 された態様で免疫系に与えられる。これらのパラメーターおよび他のパラメータ ーは免疫学研究者には周知である。典型的には注射を、支脚皿、筋肉内、皮内ま たは腹腔内に与える。宿主によって産生された免疫グロブリンを沈澱させ単離し て、さらに親和性精製を含む日常的方法で精製する。 モノクローナル抗体については、適切な動物および実施しようとする免疫プロ トコルを選ぶ。適切な期間の後、これら動物の脾臓を摘出し、個々の脾臓細胞を 典型的には永代化させたミエローマ細胞と適切な選別条件下で融合させる。その 後、細胞をクローンとして分離し、所望の抗原領域に特異的である適切な抗体を 産生しているかについて各クローンの上清を検査する。抗体産生のための技術は 当技術分野で周知である。例えば、Godingら、Monoclonal Antibodies:Princip les & Practice, 第2版、Acad.Press 刊、ニューヨーク;Harlow & Lane,An tibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory 刊、ニュー ヨーク(1988)を参照のこと。他の適切な技術には、リンパ球を抗原ポリペプチド にインピトロ曝露するか、またはファージ又は類似のベクターでの抗体ライブラ リーの選別が含まれる。Huseら、“Generation of Large Combinatorial Librar y of the Immunogloblin Repertoire in Pharge Lambda”,Science 246:1275-1 281(1989)。親和性が108リットル/モル、好ましくは109から1010l/mole またはそれより強いモノクローナル抗体がこれらの方法によって産生される。 作製した抗体は、多数の目的、例えばイムノアッセイプローブとして、ターゲ ットであるチロシンリン酸化タンパク質へのPTB結合を抑制するために、診断 もしくは治療で、または成長因子、ホルモン、サイトカインなどによる細胞活性 化におけるシグナル伝達経路の機能化の更なる解明のために、研究で用いること ができる。 本発明の抗体は修飾して、またはそのまま用いることができる。しばしば、抗 体は、検出可能なシグナルを提供する物質と共有結合また非共有結合で結合させ ることによって標識される。そのような標識には、当技術分野で周知のもの、例 えば本発明のポリペプチドについて以前に述べられたような標識が含まれる。 好ましい抗体は、非SH2であるホスホチロシン結合ドメインを含むポリペプ チドを特異的に認識するものである。より好ましくは、SHC PTBドメイン のアミノ酸配列と実質的に相同なアミノ酸配列をもつポリペプチドに結合する抗 体である。さらにより好ましくは、SHCまたはSCK PTBドメインのアミ ノ酸配列を含むポリペプチドと結合する抗体である。 VI.使用方法 A.診断およびスクリーニング 上記のように、PTBドメインを含むポリペプチドは、チロシンリン酸化タン パク質に結合することができる親和性リガンドとして特に有用であろう。さらに 、タンパク質のチロシンリン酸化は、細胞の機能付与における一般的シグナルで ある。したがって、本発明のポリペプチドには研究における種々の用途とともに 、診断および治療的応用がある。 例えば、PTBドメインを含むポリペプチドは、一般にチロシンリン酸化タン パク質を同定する方法で有用であろう。そのような方法は、シグナル伝達経路、 例えば細胞表面レセプターへのリガンドの結合に続く細胞の活性化に必要なタン パク質の同定を可能にするであろう。特に、これらの方法は、成長因子、ホルモ ン、抗体およびサイトカインによる細胞の活性化に続く下流のシグナルを同定す るのに有用である。 一面として、あるタンパク質がPTBドメインと結合できるか否か、すなわち 該タンパク質がまず第一にチロシンでリン酸化されるか否かを決定するのに、本 発明のポリペプチドを用いることができる。本発明のポリペプチドを用いたチロ シンリン酸化タンパク質の検出は、多くの手段によって達成することができるで あろう。例えば、幾つかの事例では、被験タンパク質を固相支持体、例えばマイ クロタイター・プレートのウエルまたはニトロセルロース膜に固定して用いるこ とができる。支持体の残存基をブロックした後、本明細書で説明するように、被 験タンパク質をPTBドメインを含む適量の標識化ポリペプチドに曝すことがで きる。被験タンパク質に結合した標識が検出されれば、このタンパク質がチロシ ンでリン酸化されていることがわかる。特定の例として、SDS−PAGEに続 いて、ゲルのブロットを適切な固形支持体、例えばニトロセルロースまたはPV DF膜に電気的に移す。その後、残存する膜の未結合領域を適切な不活性タンパ ク質、例えばウシ血清アルブミンでブロックすることができる。緩衝液で洗浄し た後、ブロットをPTBドメイン及び検出基、例えば放射能標識または酵素を含 むポリペプチドと接触させる。ブロットの放射能写真を、同時に泳動させて染色 したSDS−PSGEゲルと比較し、放射能標識化結合タンパク質を同定するこ とができる。SDS−PAGE、電気的ブロッティングおよび放射能写真露光は 当技術分野で極めて周知である。 また、本発明の方法は、インビトロまたはインビボでのチロシンリン酸化タン パク質レベルの有無、増減を検出するために用いることができる。細胞を機能化 するシグナルを検出する能力によって、この機能化に影響を与える化合物のスク リーニングが可能になる。例えば、特定の化合物との接触に反応するチロシンリ ン酸化タンパク質レベルの増減を検出することによって、この化合物が、インビ ボでタンパク質のチロシンリン酸化をもたらす細胞機能の拮抗薬または作動薬で あるか否かを決定できる。 チロシンリン酸化をもたらす機能の作動薬または拮抗薬として作用する化合物 をアッセイするために、細胞を既知の作動薬、既知の拮抗薬および/または拮抗 薬もしくは作動薬である可能性、またはそれらを含む可能性があるテスト化合物 に曝す。作動薬、拮抗薬またはテスト化合物は、化学物質、化学物質の混合物、 生物学的巨大分子、または細菌、植物、真菌もしくは動物細胞もしくは組織のよ うな生物学的材料から作製された抽出物であろう。本明細書で説明するスクリー ニングアッセイに取り入れることによって、チロシンリン酸化をもたらす機能の 拮抗薬又は作動薬として潜在的活性についてテスト化合物を調べる。“作動薬” は活性化細胞でチロシンリン酸化タンパク質レベルを高める一方、“拮抗薬”は チロシンリン酸化タンパク質レベルを減少させるであろう。“作動薬”および“ 拮抗薬”という用語は、本明細書で用いるとき、特定の機能メカニズムを意図し ないであろう。 本発明の方法では多くの場合、本発明のポリペプチドおよび核酸を検出基に共 有結合によって結合または連結して、スクリーニングおよび検出を容易にするこ とができる。有用な検出基、または標識は、一般に当技術分野で周知である。例 えば、検出基は、放射能標識、例えば125I、32Pまたは35S、または蛍光もし くは化学発光基とすることができる。また、検出基は、基質、補助因子、抑制因 子、親和性リガンド、抗体結合エピトープタグまたは分析可能な酵素でもよい。 適切な酵素には、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ または他の容易にアッセイできる酵素が含まれる。これらの酵素群は、化学的手 段またはこれでに述べたように融合タンパク質として発現させることによって、 PTB含有ポリペプチドに結合させることができる。 ある態様として、ある化合物が細胞活性化シグナル伝達経路の作動薬であるか 、拮抗薬であるかを決定する方法を提供する。これらの態様として、スクリーニ ングされるテスト化合物を、活性化の際、チロシンキナーゼによって活性化され 、したがってタンパク質のチロシンリン酸化という特徴をもつ活性化が可能な細 胞とインキュベートすることができる。これらの細胞の個々の例として、PDG F活性化線維芽細胞、FGF活性化筋原細胞、例えばL6細胞、抗体活性化B細 胞、T細胞、IL−6活性化ヘパトーマ細胞、例えばHepG2セルラインおよ び白血病抑制因子刺激胎児幹細胞、例えばCCE幹細胞が挙げられる。 活性化物質、すなわち成長因子に曝した後、細胞を溶解し、PTBドメインを 含む本発明のポリペプチドを用いて、テスト化合物の存在下、活性化に応じて細 胞内のチロシンリン酸化タンパク質レベルが増減するか否かを調べる。好ましく は、溶解物はpp145の存在についてアッセイできる。細胞溶解物の調製方法 は当技術分野で周知である(例えば、Methods in Enzymology,198巻、上掲書を 参照のこと)。典型的には、細胞を緩衝液(例えばトリス−HCl、HEPES )、非イオン性洗浄剤(例えばトゥイーン−20;トリトンX−100)および プロテアーゼ抑制物質(例えばPMSF、アプロチニン、ロイペプチン)の存在 下で均質化する。他の抑制物質、例えばホスファターゼ抑制物質(例えばオルト バナジウム)もまた望ましい。典型的には、問題の細胞タンパク質にとって非変 性的な条件が選ばれる。細胞溶解物を調製する好ましい方法は、溶解緩衝液(2 0mMトリス−HCl、pH7.3、150mM NaCl、1%トリトンX− 100、1mM PMSF、1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、10μg/ mlアプロチニンおよび10μg/mlロイペプチン)を添加し、続いて細胞を 破壊する(振とう又はスクラッピングによる)ものである。細胞溶解物を調製す るときは通常、細胞溶解物中の不溶物質を、は遠心沈澱(例えば10000×g 、15分)によって除去し、清澄な上清を回収する。化合物に曝すことによって 、適切なコントロールと比較して、細胞活性に応じてチロシンリン酸化タンパク 質レベルが増減した場合、該化合物が、細胞活性化シグナル伝達経路のそれぞれ 作動薬または拮抗薬であることがわかる。 添加する作動薬/拮抗薬のが量または濃度分かっている場合、その量または濃 度は該化合物に依存して変動するであろうが、一般には約10pMから100p Mの範囲であろう。典型的には、種々の濃度が用いられるであろう。未知のテス ト化合物の場合には、作動薬/拮抗薬の濃度を決定することは不可能であり、必 要もないであろう。 アッセイでは種々の実験コントロールを加えることがまた望ましい。適切なコ ントロールの例には陰性コントロールおよび陽性コントロールが含まれる。作動 薬活性を調べる場合には、陰性コントロールは、不活性化合物(すなわち作動薬 活性をもたないことが分かっている化合物)と細胞のインキュベート、または添 加化合物の非存在下でのインキュベートを含むことができる。陽性コントロール は、作動薬活性をもつことが分かっている化合物(例えば天然リガンド)と細胞 のインキュベートを含むことができる。当業者には明白な、種々の付加的コント ロールであり、論理的に同様な(相補的ではあるが)コントロールを拮抗薬活性 についてのアッセイに組み込むことができる。コントロールの記載は例示のため であり、限定を目的とするものではない。 より厳密には、本発明のポリペプチドは、ある化合物がPTBドメインとその リン酸化リガンドとの結合の作動薬または拮抗薬であるか否かを決定するための インビトロ系でのモデルとして用いることができる。“リン酸化リガンド”とは 、PTBドメインと相互作用し複合体、例えばpp145またはそのフラグメン トのようなチロシンリン酸化タンパク質を形成することができるタンパク質また はポリペプチドを指す。これらの方法は、PTBドメインを含むポリペプチドお よびPTBドメインと相互作用することができるリン酸化リガンド、例えばpp 145のようなチロシンリン酸化タンパク質を提供して複合体を形成することを 含む。その後、複合体をテスト化合物とインキュベートすることができる。その 後、PTBドメインとリガンドとの間の結合を決定することができる。特定の化 合物に対して反応するリン酸化リガンドと本発明のポリペプチド(PTBドメイ ンを含む)との間の結合レベルの増減は、この化合物がその結合についてそれぞ れ作動薬または拮抗薬であることを示唆する。いくつかの場合、PTBドメイン を含むポリペプチドの導入前に、テスト化合物とリン酸化リガンドとを予備イン キュベートすることが望ましいであろう。予備インキュベートの時間および条件 は一般に、被験化合物によって左右されるであろう。一般に、この予備インキュ ベートは約5分から約1時間であろう。さらに、予備インキュベートのpHおよ び温度は一般に、PTBドメインとタンパク質との結合に最も有効なpHおよび 温度と対応するであろう。したがって、これらの条件はおそらく、PTBドメイ ンが由来する特定のセルラインにとって通常の条件を反映するであろう。 テスト化合物のスクリーニングを容易にするために、固形支持体に固定された チロシンリン酸化リガンドまたはPTBドメインを含むポリペプチドを提供する ことがまた望ましい。適切な固形支持体の例として、アガロース、セルロース、 デキストラン、セファデックス、セファロース、カルボキシメチルセルロース、 ポリスチレン、濾紙、ニトロセルロース、イオン交換樹脂、プラスチックフィル ム、ガラスビーズ、ポリアミンメチルビニルエーテルマレイン酸共重合体、アミ ノ酸共重合体、エチレン−マレイン酸共重合体、ナイロン、及び絹などが挙げら れる。支持体は、例えば試験管、マイクロタイター・プレート、ビーズ、又は試 験紙などの形態でもよい。ポリペプチドまたはリン酸化リガンドと特定の固形支 持体との反応は、当技術分野で周知の方法によって行うことができる。 マイクロタイター・プレートの場合には、テスト化合物をマイクロタイター・ プレートのウエルに添加し、チロシンリン酸化タンパク質と予備インキュベート することができる。その後、PTBドメインを含むポリペプチドをこのマイクロ タイター・プレートのウエルに添加し、PTBドメインとタンパク質との結合を 、例えば検出基の検出によってアッセイすることができる。その後、結合レベル を、適切な陽性および陰性コントロールと比較することができる。また、PTB ドメインを含むポリペプチド、および/または既知の濃度のリン酸化リガンドを 提供することによって、遊離または未結合PTBドメインおよび/またはリン酸 化リガンドをアッセイすることができ、さらに、形成したPTBドメイン/リン 酸化リガンド複合体レベルを、陰性関係によって求めることができる。 さらに、親和性リガンドとして、PTBドメインを含むポリペプチドは、異な るタンパク質混合物からチロシンリン酸化タンパク質を精製するのに有用であろ う。チロシンリン酸化タンパク質の親和性精製は、当技術分野で周知の一般的な 親和性精製法を用いて実施することができる。例えば、本発明のポリペプチドは 適切な固形支持体に結合させることができる。適切な固形支持体には一般的に周 知のもの、例えばセルロース、アガロース、ポリスチレン及びジビニルベンゼン などが含まれる。多くの適切な固形支持体は、例えばシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.,セントルイス、ミズーリー)またはファルマシア社(Pharmacia, ウプサラ、スウェーデン)から市販されており、親和性リガンドを直ちにカップ リングできるように調製されている。 タンパク質の混合物を固形支持体に結合させたポリペプチドと接触させ、それ によってポリペプチドがタンパク質混合物中のチロシンリン酸化タンパク質と選 択的に結合することができる。その後、結合タンパク質を洗浄し非結合タンパク 質を除去できる。最後に、実質的に純粋なチロシンリン酸化タンパク質を、一般 的に知られている溶出プロトコル、例えば、PTBがそのターゲットタンパク質 と結合するのと競争するであろう過剰のホスホチロシンで洗浄することによって 溶出させることができる。 また本発明の非SH2 PTBドメインポリペプチドは、インビボでのPTB 結合に緩衝する小型分子をモデル化するのに用いることができる。特に、X線解 析結晶学法で決定できる既知のアミノ酸配列および三次元構造から得られるPT Bドメインの構造、およびより具体的には実際のホスホチロシン結合部位の構造 を、特定のPTBドメイン、より具体的には正確なホスホチロシン結合部位の合 成類似体および模倣物を生成するのに利用することができる。PTBドメインの 構造的および化学的特徴に対するそれらの類似性をベースに合成した構成要素を 継ぎ合わせる。そのような模倣物および類似体は、細胞のシグナル伝達経路の特 定の局面、例えば成長因子活性化をブロックするか、または抑制するのに用いる ことができ、よって本明細書で述べる方法による治療的処置として有用であろう 。 B.治療 上記の用途に加えて、本発明のポリペプチドおよび核酸は、ヒトまたはヒト以 外の哺乳類の患者の処置のための治療用途に用いることもできる。 個々の例として、本発明のポリペプチドを用いて、細胞の成長因子依存活性化 または刺激を抑制またはブロックすることができ、より明確には成長因子によっ て開始する有糸分裂誘発を抑制するかまたはブロックすることができる。一般に はこれらの方法は、種々の増殖性細胞疾患の治療に、またはそのような治療に有 効な化合物をスクリーニングするのに用いることができる。“増殖性細胞疾患” とは一般に、過剰なもしくは異常な細胞増殖および/または分化をもたらす有糸 分裂誘発シグナル伝達経路の過剰な刺激または活性化を特徴とする疾患を指す。 具体的な疾患には、例えばアテローム動脈硬化症、炎症性関節疾患、乾癬、血管 形成術後の再狭窄および癌が含まれる。本発明の方法および組成物は、例えば甲 状腺癌、乳癌、胃癌および神経芽腫のようなチロシンキナーゼ調節が失われてい る癌の場合に特に有用である。また、本方法および組成物は、予防的処置として 、または予防的処置で有効な化合物をスクリーニングするのに有用であろう。一 般に、そのような予防的処置を施して、例えば移植片拒絶を防止するために免疫 抑制として“正常な”細胞増殖を抑制またはブロックし、かつ肥胖細胞活性化を 伴うアレルギー反応を軽減する。 この系譜では、本発明のポリペプチドのホスホチロシン結合類似体は、成長因 子依存活性化を封鎖するのに有効であろう。上記で述べたように、具体的には、 本発明のポリペプチドのホスホチロシン結合部位に対する合成類似体もまた、本 明細書で述べる処置に用いることができる。 有効な治療のために必要な試薬の量は、本明細書では“有効量”または“治療 上有効量”ともいうが、投与方法、ターゲット部位、患者または試薬を投与され る治療対象者の生理的状態を含む多くの異なる因子に左右されるであろう。した がって、処置用量は安全性と有効性を最適化するために定量する必要があるであ ろう。典型的には、インビトロで用いられる用量は、これらの試薬の本来の場所 での投与のために有用な量の有効な指針を提供するであろう。特定の疾患につい ての有効量の動物実験により、さらにヒト用の用量の予想を示すことになるであ ろう。一般に、本発明のPTBドメイン含有ポリペプチドの治療上有効量は、対 象者の体重の約0.0001から約100mg/kg、より普通には約0.00 1から約0.1mg/kgであろう。種々の考察が、例えば、Gilmanら編、Good man & Gilman's:The Pharmacological Basis of Therapeutics、8版、(1990)、 Pergamon Press刊およびRemington's Pharmaceutical Sciences、7版(1985)、M ack Publishing Co.,刊、イーストン、ペンシルバニアに記載されている。投与 方法もまた上記の参考文献で考察されているが、例えば経口、静脈内、腹腔内ま たは筋肉内投与、および局部、経皮拡散およびエアロゾル投与を含む局所投与が 治療および/または予防的処置のために含まれる。活性物質、すなわちPTBド メイン含有ポリペプチドが、一般に医薬上許容可能な担体をさらに含有する組成 物として投与されるであろう。医薬上許容可能な担体として、水、食塩水、緩衝 液および、例えばメルクインデックス(Merck Index,Merck & Co.,刊、ローウェ ー、ニュージャージー)に記載されている他の化合物が挙げられる。 活性物質の他に医薬組成物の構成成分には、用いる種々の投与方法について当 技術分野で一般的に知られているものが含まれる。例えば、経口用形態として一 般に、粉末、錠剤、ピル、カプセル、ロゼンジおよび液体が挙げられる。同様に 、静脈内、腹腔内または筋肉内製剤は一般に、医薬上許容可能な担体、例えば水 、緩衝液、食塩水などに溶解または懸濁する。さらに、これらの組成物は、生理 的条件に近づけるために必要な、さらなる構成成分、例えばpH調節剤および緩 衝剤、張度調節剤及び湿潤剤などを含むことができる。固形組成物のためには、 通常の無毒な固形担体を用いることができるが、これには、例えば医薬品等級の マンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン ナトリウム、タルク、セルロース、ブドウ糖、ショ糖及び炭酸マグネシウムなど が 含まれる。 投与はまた徐放制御組成物または装置によっても実施でき、これによって活性 成分の緩徐な遊離が長時間にわたって持続的な投与を可能にする。 さらに、チロシンリン酸化、及びその結果のホスホチロシン結合は、細胞のシ グナル伝達経路において重要な役割を果たすので、本発明は、これらの疾患の治 療に外因性の調節メカニズムを提供することができる。特に、特定の疾患の治療 として、特定のPTBドメイン/リン酸化リガンド調節系の変異または調節低下 を伴う遺伝子治療技術を含むことがある。例えば、この調節系の過剰な活性を伴 う疾患の治療では、本発明の方法は、該活性を低下させるのに適用することがで きる。そのような活性の低下は、PTBドメインおよび/またはそのリン酸化リ ガンドをコードする遺伝子の変異を伴うであろう。また、遺伝子治療技術は、罹 患細胞にPTBドメインをコードする遺伝子を導入することを含む。この外から 導入したPTBドメインは過剰な活性をもつまたは過剰に発現されたPTB含有 タンパク質と競争し、したがってそれらが密接な関係を有する調節系に対してダ ウンレギュレーション効果を表すことができる。 遺伝子治療のための手順は、フリードマン(Friedman)、Science 244:1275(1 989)に概説されている。PTBドメインまたはそのドメインの機能的誘導体物を コードする遺伝子的構築物を、これらの遺伝子治療技術で用いることができる。 問題の遺伝子構築物、すなわち非SH2 PTBドメインポリペプチドをコード する核酸の伝達は、治療用ベクターを個々の患者に、典型的には全身投与(例え ば静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または頭蓋内投与)することによってインビボ で達成できる。また、このベクターを用いて、例えばレトロウイルスでクローニ ングした問題の核酸で細胞をトランスフェクトすることによって、生体外で細胞 、例えば個々の患者から摘出した細胞または不特定ドナーの造血幹細胞、ニュー ロンなどに、核酸を伝達することができる。トランスフェクト後、細胞を患者に 再移植することができるが、通常、核酸を取り込んだ細胞を選別した後で実施す る。トランスフェクト細胞を患者に注入することによって、処置しようとしてい る疾患をもたらす特定の調節系について機能不全であった細胞を置換することが できる。 以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明の 単なる例示であって、本発明を限定することを意図するものではない。 実施例 A.SHCとPP145タンパク質とのインビボ会合 ヒトFGFレセプター1を発現するBalb/c 3T3細胞またはL6筋原 細胞(D.E.Johnson,P.L.Lee,J.Lu,L.T.Williams,Mol.Cell.Biol.10: 4728(1990))を、ウシ胎児血清(10%)、抗生物質、及びL6細胞ではさらに G418を800μg/ml含むダルベッコー改変イーグル培地(Dulbecco's mo dified Eagle mediumu)で互いに融合するまで増殖した。BB PDGF(2M )または塩基性FGF(25ng/ml)のいずれかで細胞を37℃で10分刺 激し、さらに溶解緩衝液1ml/106細胞(20mMトリス−HCl(pH8 .0)、137mM NaCl、10%グリセロール、1%トリトンX−100 、1mMオルトバナジウム酸ナトリウム、100mM NaF、10mMピロリ ン酸ナトリウム、1mM EGTA、1.5mM MgCl2、1mM PMS F、0.15単位/mlアプロチニンおよび20μMロイペプチン)で4℃で溶 解した。溶解物を、4℃で10分間、13000gで遠心分離して清澄にした。 免疫沈降物を、W.M.Kavanaugh,A.Klippel,J.A.Escobedo,L.T.Williams, Mol.Cell.Biol.12:3415(1992)にしたがって実施した。本質的にPelicci ら、 Cell 70:93-104(1992)の記載にしたがって、SHC抗体を、細菌で発現したGS T−SHC SH2ドメイン融合タンパク質に対して作製した。 52kD、66kDおよび145kDのタンパク質を抗SHCで免疫沈降させ た。この52kDおよび66kDタンパク質は、線維芽細胞で認められる52k DのSHCタンパク質および66kDSHC関連タンパク質(図1の黒矢印;p p145タンパク質は白色矢印で示される)と一致する。 B.pp145タンパク質へのSHCの結合 PDGF刺激細胞溶解物から得たタンパク質、および休止(−)またはPDG F刺激(+)Balb/c3T3細胞の抗SHC免疫沈降物から得たタンパク質 をSDS−PAGEでアッセイし、ニトロセルロースに移した。プローブとして32 P標識化GST−SHC融合タンパク質を用いてこのフィルターをインキュベ ートした。 公表された配列を基にK562またはSK細胞cDNAのポリメラーゼ連鎖反 応(PCR)によって、SHCの完全な長さのヒトcDNAクローンを得た。配 列分析によって公表配列と異なる2つの相違が明らかになった。1276位でサ イレントTからCへの変化、およびアミノ酸308に一致する枠内アラニン挿入 を生じる3塩基(GCA)の挿入である。すべてのクローンが同じ変化を含むの で、これはおそらく多形現象を表しているのであろう。このcDNAをバキュロ ウイルス発現ベクター(pV−IKS)へクローニングした。このベクターは、 5’から3’方向にグルタチオンSトランスフェラーゼ遺伝子、インフルエンザ ウイルスヘマグルチニン(IHA)エピトープタグ、cAMP依存タンパク質キ ナーゼのための認識配列およびSHC遺伝子を含んでいた。D.K.Morrison ら、 Cell 58:649-657(1989); M.D.Summers & G.E.Smith,A Maual of Methods for Baculovirus Vectors and Insect Cell Culture Procedures 、テキサス農業試 験場、カレッジステーション、テキサス(1987)の記載にしたがって、組換えバキ ュロウイルスでSF9昆虫細胞を感染させてタンパク質を発現した。図2Cに示 したSHCの欠失をPCRによって得て、同じベクターへクローニングした。G ST−SHC融合タンパク質をグルタチオン−アガロースゲルに結合させること によって精製した(K.Guan & J.E.Dixon,Anal.Biochem.192:262-267(1991) )。その後、結合タンパク質を、20mMトリス−HCl(pH7.5)、1m MのDTT、100mM NaCl、12mM MgCl2、0.5mCiガン マ−32P−ATP(6000Ci/mmol)、およびウシの心臓から得たcA MP依存タンパク質キナーゼの触媒性サブユニットの250単位中で1時間室温 でインキュベートした。その後、アガロースビーズを十分に洗浄し、10m グ ルタチオンで溶出した。全ての調製物の比活性は典型的には、>1×107cp m/μgであった。SDS−PAGE分析のクーマシー青染色またはオートラジ オグラフィーのいずれかによって、GST−SHC融合タンパク質の予想サイズ の位置に単一バンドが表示された。等量の総タンパク質を含む免疫沈降物または 細胞溶解物を、SDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロースに移した。 無脂肪ドライミルク(5%)を含むハイブリダイゼーション緩衝液(20mM HEPES(pH7.7)、75mM KCl、0.1mM EDTA、2.5 mM MgCl2、1mM DTTおよび0.05%トリトンX−100)中で 、フィルターを2時間4℃でブロックした。その後、このフィルターをミルク( 1%)およびプローブとして32P標識化GST−SHC融合タンパク質を2.5 ×105cpm/ml含むハイブリダイゼーション緩衝液で4℃で一晩インキュ ベートした。その後、フィルターを1%ミルクを含むハイブリダイゼーション緩 衝液で3回洗浄し、乾燥し、増強スクリーンを用いてX線フィルムを−70℃で 6〜36時間露光した。 PDGF刺激線維芽細胞から得た溶解物または抗SHC免疫沈降物のpp14 5を、32P標識化SHC、SH2ドメインが欠失したSHC(SHCΔSH2、 残基1から377)および単離SHC SH2ドメイン(残基378から473 )でブロットした結果を、それぞれ図2(B)の左、中央および右に示す。 SHC SH2ドメインの欠失によって細胞溶解物から180および120k Dタンパク質との結合が消失したが、145kDタンパク質とのSHCの結合は 影響を受けなかった。単離SHC SH2領域は120および180kDタンパ ク質の双方と結合したが、145kDタンパク質とは結合しなかった。更なる欠 失分析によってSHCの186アミノ酸フラグメント(残基46−232、PT Bドメイン)が導き出された。これは145kDタンパク質と結合し、120ま たは180kDタンパク質とは結合しなかった。 溶液中でのPTBドメインの145kDタンパク質への結合をさらに調べた。 インフルエンザウイルスヘマグルチニン(IHA)エピトープを含むGST−S HCΔSH2タンパク質を活性化B細胞の溶解物とインキュベートし、その後I HAに対するモノクローナル抗体を用いて免疫親和性クロマトグラフィーによっ て精製した。 T.M.Saxton ら、J.Immunol.153:623-36(1994)にしたがってB細胞抗原レセ プターを交差連結させることによって刺激した2.5×107のBal 17細 胞から、溶解物をハイブリダイゼーション緩衝液中で調製した。約250ngの IHAエピトープタグ含有GST−SHCΔSH2タンパク質とともにこの溶解 物を4℃で1時間インキュベートした。続いて、アガロースビーズに共有結合ま たは連結した抗IHAモノクローナル抗体を用いて、混合物を免疫親和性クロマ トグラフィーに付した。50倍のカラム容積のハイブリダイゼーション緩衝液で このカラムを洗浄し、2%SDSで溶出した。出発混合物、カラム流出物および SDS溶出物の等しい分画のタンパク質をSDS−PAGEによって分離し、ニ トロセルロースに移し、32P標識化PTBドメインタンパク質プローブでブロッ トした。B細胞では、pp145は二重体(ダブレット)として認められた。出 発物質、カラム流出物およびSDS溶出物を上記のように32P標識化PTBドメ インプローブでブロットして調べた。 C.SHC−pp145結合におけるホスホチロシンの関与 PDGF刺激線維芽細胞から得た抗SHC免疫沈降物中のタンパク質をニトロ セルロースに固定し、チロシン特異的ホスファターゼ(“PTPアーゼ”)抑制 物質のオルトバナジウム酸ナトリウムの存在下、非存在下でPTPアーゼで処理 した。 ニトロセルロースフィルター上に固定したPDGF刺激線維芽細胞の抗SHC 免疫沈降物を、25mMイミダゾール、pH7.0、50mM NaCl、2. 5mM EDTA、5mM DTT、10μg/mlアセチル化ウシ血清アルブ ミン並びにそれぞれ5単位のLARおよびT細胞チロシン特異的ホスファターゼ 中で30℃で60分間インキュベートした。5mMオルトバナジウム酸ナトリウ ムを添加したことを除いて、同様なサンプルを同じように処理した。その後、フ ィルターを十分に洗浄し、ハイブリダイゼーション緩衝液が1mMのバナジウム 酸塩を含んでいたことを除き、上記と同様に32P−GST−SHCでブロットし た。その後、フィルターを32P標識化GST−SHCでブロットするか、または ホスホチロシンに対する抗体でイムノブロットした。結果を、図3(A)のそれ ぞれ上下に示す。 図3に示した濃度のホスホチロシンまたはホスホセリンの存在下で、32P標識 化GST−SHCでPDGF刺激細胞の溶解物をブロットした。 本発明を、その理解を深めるために詳細に説明したので、当業者にとって、本 開示を読むことによって本発明の範囲から外れることなく種々の変更を為しえる ことは明らかであろう。本出願に引用した全ての出版物および特許文献は、当該 文献が個々に開示している内容と同じような程度で、参考として本明細書に含ま れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 ADU A61K 48/00 ADU C07K 14/47 C07K 14/47 C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/68 A C12Q 1/68 G01N 33/566 G01N 33/566 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AL,AM,AT,AU,BB,BG,BR,B Y,CA,CH,CN,CZ,DE,DK,EE,ES ,FI,GB,GE,HU,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 カバナフ、ウィリアム マイケル アメリカ合衆国 94941 カリフォルニア 州 ミル バレー ラバーン アベニュ 205

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 非SH2ホスホチロシン結合ドメインを含む単離ポリペプチドであって 、非SH2ホスホチロシン結合ドメインが、図4に示すようなSCKホスホチロ シン結合ドメインまたはそのホスホチロシン結合フラグメントのアミノ酸配列を 含む、単離ポリペプチド。 2. ポリペプチドが、さらに該ポリペプチドに融合した異種タンパク質を含 む請求項1記載の単離ポリペプチド。 3. ポリペプチドが、検出可能な基と共有結合している請求項1記載の単離 ポリペプチド。 4. 検出可能な基が放射能標識である請求項3記載の単離ポリペプチド。 5. 検出可能な基が酵素である請求項3記載の単離ポリペプチド。 6. 図4に示すようなSHCホスホチロシン結合ドメインまたはそのホスホ チロシン結合フラグメントのアミノ酸配列と同一または実質的に相同なアミノ酸 配列から本質的になる単離ポリペプチド。 7. 検出可能な基と共有結合している非SH2ホスホチロシン結合ドメイン を含む単離ポリペプチドであって、該ホスホチロシン結合ドメインが、図4に示 すようなSHCホスホチロシン結合ドメインまたはそのホスホチロシン結合フラ グメントのアミノ酸配列から本質的になる、単離ポリペプチド。 8. 検出可能な基が放射能標識である請求項7記載の単離ポリペプチド。 9. 検出可能な基が酵素である請求項7記載の単離ポリペプチド。 10. 異種タンパク質に融合した非SH2ホスホチロシン結合ドメインを含む 単離融合タンパク質であって、該ホスホチロシン結合ドメインが、図4に示すよ うなSHCホスホチロシン結合ドメインまたはそのホスホチロシン結合フラグメ ントのアミノ酸配列から本質的になる、単離融合タンパク質。 11. 図5に示すようなSCKホスホチロシン結合ドメインまたはそのフラグ メントをコードするヌクレオチド配列を含む単離核酸。 12. 核酸がさらに、異種タンパク質をコードするセグメントを含む請求項11 記載の単離核酸。 13. 核酸が、図5に示すようなSCKホスホチロシン結合ドメインをコード するヌクレオチド配列のうち、少なくとも15個の連続したヌクレオチドを含む 請求項11記載の単離核酸。 14. 核酸が検出可能な基と共有結合している請求項13記載の核酸。 15. 検出可能な基が放射能標識および蛍光基から選ばれる請求項14記載の核 酸。 16. 図6に示すようなSHCホスホチロシン結合ドメインまたはそのフラグ メントをコードするヌクレオチド配列と実質的に相同なヌクレオチド配列から本 質的になる単離核酸。 17. 異種タンパク質をコードするセグメントと融合したホスホチロシン結合 ドメインをコードするセグメントを含む核酸であって、該セグメントが、図6に 示すようなSHCホスホチロシン結合ドメインまたはそのフラグメントをコード するヌクレオチド配列から本質的になるホスホチロシン結合ドメインをコードす る単離核酸。 18. 検出可能な基と共有結合した核酸セグメントを含む核酸プローブであっ て、該核酸セグメントが、図6に示すようなSHCホスホチロシン結合ドメイン をコードする配列のうち、少なくとも15個の連続したヌクレオチドから本質的 になる、核酸プローブ。 19. 検出可能な基が放射能標識および蛍光基から選ばれる請求項18記載の核 酸プローブ。 20. プロモーター配列と機能的に連結した核酸を含む発現ベクターであって 、該核酸が請求項11、請求項16、または請求項17記載の核酸である上記発現ベク ター。 21. 非SH2 PTBドメインを含み、それによってチロシンリン酸化タン パク質との結合が非SH2 PTBドメインを介してなされるチロシンリン酸化 タンパク質と結合できるポリペプチドの調製方法であって、請求項11、請求項16 または請求項17記載の核酸を発現ベクターに挿入し、 核酸を発現することができる宿主細胞に発現ベクターをトランスフェクトして 、非SH2 PTBドメインを含むポリペプチドを発現し、さらに 非SH2 PTBドメインを含む発現ポリペプチドを回収するという工程を含 む上記ポリペプチドの調製方法。 22. 宿主細胞が請求項20記載の発現ベクターでトランスフェクトして、それ によって細胞が核酸を発現することができる組換え宿主細胞。 23. 宿主細胞がSf9昆虫細胞および大腸菌から選ばれる請求項22記載の組 換え宿主細胞。 24. 発現ベクターがpV−IKSバキュロウイルス発現ベクターであり、宿 主細胞がSf9昆虫細胞である請求項21記載の方法。 25. タンパク質を請求項1、請求項6、請求項7または請求項10記載のポリ ペプチドと接触させ、さらにポリペプチドとタンパク質との結合を検出するとい う工程を含み、この場合ポリペプチドとタンパク質とが結合することによりタン パク質がPTBドメインのリン酸化リガンドであることがわかる、タンパク質が PTBドメインのリン酸化リガンドであるか否かを決定する方法。 26. タンパク質が固形支持体に結合されていて、ポリペプチドはさらにポリ ペプチドに融合した検出可能な基を含み、さらにポリペプチドとタンパク質との 結合の検出が検出可能基の存在についてアッセイすることによって行われる請求 項25記載の方法。 27. ポリペプチドが固形支持体に結合されている請求項25記載の方法。 28. 細胞をテスト化合物と成長因子の存在下で接触させ、 細胞を溶解し、さらに、 細胞溶解物を調べて、溶解物中のいずれかのタンパク質がPTBドメインに対 するリン酸化リガンドであるか否かを決定するという工程を含み、請求項25記載 の方法にしたがって、リン酸化リガンドが存在しなければ、化合物は成長因子活 性化シグナル伝達経路の拮抗物質であることがわかる、テスト化合物が細胞内の 成長因子活性化シグナル伝達経路の拮抗物質であるか否かを決定する方法。 29. テスト化合物がPTBドメイン/リン酸化リガンド調節系の作動薬であ るかまたは拮抗薬であるかを決定する方法であって、 テスト化合物をPTBドメインを含むポリペプチド、およびPTBドメインと 相互作用することができるリン酸化リガンドを、PTBドメイン/リン酸化リガ ンド複合体の形成が許容される条件下でインキュベートして複合体を形成し、 形成したPTBドメイン/リン酸化リガンド複合体の量を測定し、その量とテ スト化合物の非存在下で形成したPTBドメイン/リン酸化リガンド複合体の量 とを比較し、 テスト化合物の非存在下で形成された複合体の量に対してテスト化合物の存在 下で形成された複合体の量に増減があれば、テスト化合物はPTBドメイン/リ ン酸化リガンド調節系の作動薬または拮抗薬であることがわかる、上記の作動薬 または拮抗薬の決定方法。 30. 細胞を請求項1、請求項6または請求項10記載のポリペプチドの有効量 と接触させることを含む、細胞の成長因子依存刺激をブロックする方法。 31. 異なるタンパク質の混合物を固形支持体に固定したPTBドメインと接 触させ、それによってリン酸化リガンドをPTBドメインに結合させ、固形支持 体を洗浄して未結合タンパク質を除去し、支持体からリン酸化リガンドを溶出さ せるという工程を含む、異なるタンパク質の混合物からPTBドメインに対する 実質的に純粋なリン酸化リガンドを得る方法。 32. 細胞増殖性疾患を罹患している患者に請求項1、請求項6項または請求 項10記載のポリペプチドの有効量を投与することを含む、細胞増殖性疾患を罹患 している患者を治療する方法。 33. 細胞増殖性疾患が、アテローム動脈硬化症、炎症性関節疾患、乾癬、再 狭窄および癌からなる群から選ばれる請求項32記載の方法。 34. 細胞増殖性疾患を罹患している患者から細胞を生体外移植片として取り 出し、非SH2 PTBドメインを含むポリペプチドをコードする核酸を該細胞 にトランスフェクトして、核酸を取り込んだ細胞を選別し、さらに該細胞を当該 患者に再移植するという工程を含む細胞増殖性疾患を罹患している患者を治療す る方法。
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