JP3663167B2 - 燃料タンク防爆機能を備える燃料系統装置および燃料給油方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば航空機に設けられる燃料タンクへの燃料の給油および燃料タンクから発動機などに燃料を供給する燃料系統を利用する燃料タンク防爆機能を備える燃料系統装置および燃料給油方法に関する。
【0002】
本明細書中において,用語「不活性気体」は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンおよびラドンである周期率第18族に属する元素から成る気体と窒素ガスとを含む、燃料タンクの爆発に関与しない気体または燃料タンクの爆発を防ぐ気体であって、他の物質と反応しにくい不活性な気体を意味する。
【0003】
【従来の技術】
燃料タンク防爆の方法の1つとして、燃料タンク内の燃料が存在しない領域である気層領域(以後、この気層領域を「アレージ(ullage)」と呼ぶ)の酸素濃度を所定の基準値よりも低くする方法がある。アレージの酸素濃度が所定の基準値、具体的には9%体積濃度(以後「体積濃度」という用語を省略することがある)を越えると、燃料タンク内において爆発が起こる危険性が急激に高くなる。燃料タンクの爆発の危険性を可及的に低くするためには、アレージの酸素濃度を常に9%以下に維持しなければならない。このような基準値は、たとえば米国航空規則制定諮問委員会(Aviation Rulemaking Advisory Committee;略称:ARAC)による「燃料タンク災害防止・低減に関するレポート」に記載されている。
【0004】
航空機の離陸および上昇時、燃料タンク内には周囲圧力低下によって、周囲圧力に応じた平衡状態となるように航空機の燃料タンク内の燃料に溶存していた酸素を多く含む気体が燃料からアレージに追い出される。このときアレージの酸素濃度は、航空機が地上に駐機しているときの酸素濃度に比べて高くなる。この状態においても、アレージの酸素濃度を常に9%以下に維持するための従来の技術を以下に述べる。
【0005】
図6は、従来の技術の燃料タンク1を示す断面図である。燃料タンク1内のアレージ2における酸素濃度を低減するために、アレージ2に窒素富化空気(Nitrogen Enriched Air ;略称:NEA)を常に送入することによってアレージ2を掃気して、酸素を多く含む空気をベント3から排気する方法がある。
【0006】
図7は、他の従来の技術のスクラビングを示す模式図である。スクラビングは、不活性気体を燃料タンク1A内の燃料4に噴射して、燃料4に溶存する酸素を追い出す燃料内溶存酸素処理方法の1つである。
【0007】
図8は、さらに他の従来の技術のアスピスクラブ5を備える燃料タンク1Bを示す断面図である。アスピスクラブ5は、燃料給油源からの燃料を給油するときに、燃料タンク1B内のアレージ2に予め充填されている不活性気体を混合することによって燃料に溶存する酸素を除去し、酸素濃度の低い燃料と酸素を多く含む気体とに分離する。このようにして燃料タンク1Bに燃料を給油しながら、その燃料の酸素濃度を低下させる。
【0008】
図9は、図8に示すアスピスクラブ5a,5b,5cを備える複数の燃料タンク1a,1b,1cを有する航空機の主翼6の一例を模式的に示す平面図である。各燃料タンク1a,1b,1cには、アスピスクラブ5a,5b,5cがそれぞれ設けられる。地上に駐機している航空機に燃料を給油する前に、各燃料タンク1a〜1c内のアレージに、機上不活性気体発生装置(略称:OBIGGS)7から不活性気体供給路7aを介して供給される不活性気体を充填する。その後、各燃料タンク1a〜1cのアスピスクラブ5a〜5cによって、燃料タンク1a〜1cに酸素濃度の低い燃料を給油する。除去された酸素を含む気体は、ベントライン8を介して主翼6外に排気される。
【0009】
燃料タンク1a〜1cへの燃料の給油が終了した後、アレージの酸素濃度が所定の基準値である9%を越える場合には、OBIGGS7から各燃料タンク1a〜1cのアレージに不活性気体が供給され、この不活性気体によってアレージを掃気する。このようなアレージの掃気は、航空機が離陸して飛行している間も行われ、これによって各燃料タンク1a〜1cのアレージの酸素濃度を9%以下に維持する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示す技術では、燃料タンク1への燃料給油時に、NEAによってアレージ2を掃気して、アレージ2の酸素濃度を9%以下にしても、航空機の上昇による周囲の圧力の低下、および航空機の飛行によって生じる振動による燃料タンク内の燃料のスロッシングなどによって、燃料に溶存する酸素を多く含む気体がアレージ2に追い出されて、アレージ2における酸素濃度が9%を越えてしまう。アレージ2の酸素濃度を9%以下に維持するためには、航空機の飛行中にも常にNEAによるアレージ2の掃気を行わなければならず、飛行中にこのような掃気を行うためにより多くのエネルギが必要となる。
【0011】
図7に示すようなスクラビングでは、燃料タンク1Aに燃料を給油してから、燃料に溶存する酸素の追い出しを行うので、手間がかかる。この技術においても、アレージ2の酸素濃度を9%以下に維持するためには、飛行中も継続してスクラビングを行うか、または図6のような掃気を行う必要があり、いずれにしても酸素濃度維持のために、より多くのエネルギが必要である。
【0012】
また図8に示すアスピスクラブ5によって、燃料から酸素を除去しながら燃料タンク1Bに燃料を給油する場合、アレージ2の酸素濃度が所定の基準値を越える場合には、燃料に溶存する酸素を充分に除去することができず、飛行中にアレージ2の酸素濃度を9%以下に維持することができないので、飛行中にアレージ2の酸素濃度を9%以下に維持するためには、飛行中に不活性気体をアレージ2に供給してアレージ2を掃気する必要がある。
【0013】
また図9に示すようなアスピスクラブ5a,5b,5cによる給油燃料の酸素除去と、OBIGGS7から供給される不活性気体によるアレージの掃気とを組合わせても、アレージの酸素濃度を9%以下に維持するためには、飛行している間も常に燃料タンクにOBIGGS7によって不活性気体を供給して、アレージを掃気しなければならず、このような飛行中の不活性気体の供給およびアレージの掃気のために多くのエネルギが必要となる。
【0014】
図8および図9のアスピスクラブを用いる技術においては、燃料給油前に、燃料タンクに充分に酸素が除去されていない燃料が残っている場合、燃料タンクに残っている燃料を抜き取ってから燃料の給油を行わなければならず、非常に手間がかかる。
【0015】
したがって本発明の目的は、燃料タンクに給油される燃料および燃料タンク内の燃料に溶存する酸素を除去し、飛行中に燃料タンク内のアレージの掃気を行うことなく、前記アレージの酸素濃度を所定の基準値以下に維持することができる燃料系統装置および燃料給油方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、燃料給油源から燃料タンクに燃料を導くための給油路に介在され、給油される燃料の酸素濃度を低減させる酸素濃度低減手段と、
給油路の前酸素濃度低減手段よりも燃料の給油方向上流側に、燃料タンク内の燃料を導き、前記酸素濃度低減手段を再度通過させて燃料タンクに戻すための循環手段と、
燃料給油源から燃料タンクに燃料が給油された後、燃料タンク内の燃料を循環手段によって循環させるように、循環手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とする燃料系統装置である。
【0017】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段によって酸素濃度を低減して、燃料給油源から燃料タンクに燃料が給油された後、制御手段によって循環手段を制御して、燃料タンク内の燃料を給油路の前記酸素濃度低減手段よりも燃料の給油方向上流側に導いて、再度酸素濃度低減手段を通過して戻るように燃料タンク内の燃料を循環させる。このように酸素濃度低減手段によって酸素を除去しながら燃料タンクに燃料を給油し、さらに燃料タンク内の燃料を、再度酸素濃度低減手段を通過するように循環させて酸素を除去するので、燃料タンク内の燃料の酸素濃度を極めて低くすることができる。燃料タンク内の燃料の酸素濃度が極めて低いので、たとえば周囲の圧力の低下および燃料のスロッシングなどによって、燃料タンク内の燃料から燃料タンク内のアレージに酸素が追い出されることがほとんどない。これによって周囲圧力の低下および燃料のスロッシングが起きても前記アレージを掃気することなく、前記アレージの酸素濃度の上昇を可及的に防止して、前記アレージの酸素濃度を所定の基準値以下に維持することができる。
【0018】
請求項2記載の本発明は、燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、不活性気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出する手段であることを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段は、液体燃料である燃料と不活性気体とを混合する。燃料と不活性気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と不活性気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0020】
請求項3記載の本発明は、燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、燃料タンク内の気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出する手段であることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、液体燃料である燃料と燃料タンク内の気体とを混合する。燃料と燃料タンク内の気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と燃料タンク内の気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0022】
請求項4記載の本発明は、燃料の酸素濃度を低減する酸素濃度低減手段を介して、燃料給油源から導かれる燃料を燃料タンクに給油し、
燃料タンク内の燃料を、前に酸素濃度低減手段を再度通過するように循環させることを特徴とする燃料給油方法である。
【0023】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段によって酸素濃度を低減して、燃料給油源から燃料タンクに燃料が給油された後に、燃料タンク内の燃料を、再度前記酸素濃度低減手段を通過して戻るように循環させる。このように酸素濃度低減手段によって酸素を除去しながら燃料タンクに燃料を給油し、さらに燃料タンク内の燃料を、再度酸素濃度低減手段を通過するように循環させて酸素を除去するので、燃料タンク内の燃料の酸素濃度を極めて低くすることができる。燃料タンク内の燃料の酸素濃度が極めて低いので、たとえば周囲の圧力の低下および燃料のスロッシングなどによって、燃料タンク内の燃料から燃料タンク内のアレージに酸素が追い出されることがほとんどない。これによって周囲圧力の低下および燃料のスロッシングが起きても前記アレージを掃気することなく、前記アレージの酸素濃度の上昇を可及的に防止して、前記アレージの酸素濃度を所定の基準値以下に維持することができる。
【0024】
請求項5記載の本発明は、燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、不活性気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出することを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段は、液体燃料と不活性気体とを混合する。液体燃料と不活性気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、液体燃料と不活性気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0026】
請求項6記載の本発明は、燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、燃料タンク内の気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出することを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、液体燃料である燃料と燃料タンク内の気体とを混合する。燃料と燃料タンク内の気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と燃料タンク内の気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の燃料系統装置10の構成を示すブロック図である。燃料系統装置10は、航空機に搭載され、たとえば航空機の主翼の桁およびリブで囲まれる空間内に形成されるインテグラルタンクと呼ばれる燃料タンク30に、燃料給油源100からの液体の燃料に溶存する酸素を除去しながら給油し、さらに燃料タンク30内の燃料31に溶存する酸素を除去し、燃料タンク30内の液体状態の燃料が存在しない気層領域であるアレージ32の酸素濃度を所定の基準値以下にする燃料タンク防爆機能を備えるとともに、航空機に搭載されるジェットエンジンなどの発動機81に燃料を供給する装置である。燃料は航空タービン燃料であり、たとえば低析出点灯油形燃料JetA−1、灯油形燃料JetAおよび広範囲沸点形燃料JetBなどである。
【0029】
燃料系統装置10は、第1バルブ11、第2バルブ12、第3バルブ27、第4バルブ33、給油路13、循環路14、供給路28、ポンプ15、第1センサ16a、第2センサ16b、制御部17、不活性気体供給路18、アスピスクラブ20および窒素富化空気供給源(以後「NEA供給源」と略して表記することがある)50を含んで構成される。
【0030】
第1バルブ11は、燃料給油源100から燃料タンク30に燃料を導くための給油路13に介在されるアスピスクラブ20の、燃料給油源100から燃料タンク30に向かう給油方向A上流側の給油路13に介在され、制御部17の制御に基いて、アスピスクラブ20に対する燃料給油源100および後述する循環路14との接続状態を切換える方向切換バルブである。
【0031】
第2バルブ12は、NEA供給源50からアスピスクラブ20および燃料タンク30内のアレージ32に不活性気体を導くための不活性気体供給路18に介在され、制御部17の制御に基いて、NEA供給源50に対するアスピスクラブ20およびアレージ32の接続状態を切換える。第3バルブ27は、NEA供給源50からアスピスクラブ20に不活性気体を導くための不活性気体供給路18に介在され、燃料タンク30内のアレージ32に配置され、制御部17の制御に基いて、アスピスクラブ20に対するNEA供給源50およびアレージ32の接続状態を切換える。
【0032】
第2バルブ12を、NEA供給源50と燃料タンク30内のアレージ32とが接続されるように切換えると、不活性気体がNEA供給源50からアレージ32に供給される。第2バルブ12および第3バルブ27を、NEA供給源50とアスピスクラブ20とが接続されるように切換えると、不活性気体がNEA供給源50からアスピスクラブ20に供給される。
【0033】
ポンプ15は、燃料タンク30から航空機に搭載される発動機81へ燃料を導くための供給路28に介在され、制御部17からの指令に基いて、燃料タンク30から第1バルブ11および発動機81に向かう供給方向Dに、燃料タンク30内の燃料31を流下させる。循環路14は、一端部がポンプ15よりも供給方向D下流側の供給路28に接続されるとともに、他端部が第1バルブ11に接続される。第4バルブ33は、供給路28の循環路14との接続部よりも供給方向D下流側の供給路28に介在され、制御部17からの指令に基いて、燃料タンク30と発動機81との接続状態を切換える開閉バルブである。本実施の形態において、循環手段は、第1バルブ11、循環路14、供給路28およびポンプ15を含んで構成される。
【0034】
第1バルブ11を、燃料給油源100とアスピスクラブ20とが接続されるように切換えると、燃料給油源100からの燃料が、給油路13を給油方向Aに流下し、アスピスクラブ20に導かれて、燃料タンク30に給油される。第1バルブ11を給油路13と循環路14とを接続するように切換えるとともに、第4バルブ33を、燃料タンク30と発動機81とが接続されないように切換えると、燃料タンク30内の燃料が、ポンプ15によって、第4バルブ33よりも供給方向D上流側の供給路28を供給方向Dに流下し、循環路14を循環方向Bに流下し、第1バルブ11よりも給油方向A下流側の給油路13を給油方向Aに流下し、アスピスクラブ20に導かれる。第1バルブ11を燃料給油源100とアスピスクラブ20とが接続されるように切換えるとともに、第4バルブ33を燃料タンク30と発動機81とが接続されるように切換えると、燃料タンク30内の燃料が、ポンプ15によって、供給路28を供給方向Dに流下して、発動機81に供給される。
【0035】
第1センサ16aは、燃料タンク30内に設けられ、燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度を検出して、制御部17に与える。第2センサ16bは、燃料タンク30内に設けられ、燃料タンク30内のアレージ32の酸素濃度を検出して、制御部17に与える。制御手段である制御部17は、第1バルブ11、第2バルブ12、第3バルブ27および第4バルブ33の接続状態の切換え、ならびにポンプ15の制御を行う。
【0036】
ベントライン19は、燃料タンク30内のアレージ32と燃料タンク30外部とを接続するとともに、アスピスクラブ20と燃料タンク30外部とを接続する。燃料が燃料給油源100から燃料タンク30に給油されると、燃料タンク30における燃料31の占める容積が大きくなり、これによってアレージ32の気体は加圧されて、ベントライン19を介して燃料タンク30外に排出される。また不活性気体がNEA供給源50からアレージ32に供給されると、アレージ32の気体は、不活性気体によって加圧されて、ベントライン19を介して燃料タンク30外に排出される。このようにしてNEA供給源50からの不活性気体によって、アレージ32を掃気する。
【0037】
図2は、アスピスクラブ20を示す断面図である。図2は、理解を容易にするために、部分的に厚みを省略して簡略化して示す。酸素濃度低減手段であるアスピスクラブ20は、アスピスクラブ20に供給された燃料に、不活性気体を混合することによって、燃料に溶存する酸素を除去して、燃料の酸素濃度を低減する。
【0038】
詳細に述べると、まずアスピスクラブ20のエジェクタ部21において、供給された燃料を、流下方向Cに高速で流下させることによって、燃料が有する圧力エネルギを運動エネルギに変換して、燃料の圧力を低下させる。燃料の圧力が低下することによって、燃料に溶存する酸素を含む気体が燃料から追い出される。次にスクラブ部20に不活性気体を導入してスクラブ部20の酸素濃度を低減するとともに、スクラブ部20を流下方向Cに流下する燃料に不活性気体を混合することで、燃料に溶存する酸素を含む気体がさらに追い出される。その後、スクラブ部20を流下する燃料および燃料から追い出された酸素を含む気体は、セパレータ部23に流入して、燃料と気体とが分離されて、気体はベントライン19を介して燃料タンク30外に排出され、酸素濃度が低減された燃料は燃料タンク30に向けて排出される。
【0039】
窒素富化空気供給源50は、液化された不活性気体、たとえば液体窒素が充填されるボンベ、および機上不活性気体発生装置などで実現される。機上不活性気体発生装置(On-Board Inert Gas Generating System;略称:OBIGGS)は、航空機に搭載されるジェットエンジンの圧縮機から取り出したエンジンブリードエアから窒素などの不活性気体を抽出し、窒素富化空気(Nitrogen Enriched Air ;略称:NEA)を生成する装置である。
【0040】
図3は、燃料給油方法の手順を示すフローチャートである。ステップs0で燃料給油方法の手順が開始されて、ステップs1に進む。
【0041】
ステップs1では、制御部17によって、燃料給油源100とアスピスクラブ20とが接続されるように第1バルブ11を切換えるとともに、NEA供給源50とアスピスクラブ20とが接続されるように第2および第3バルブ12,27を切換えて、ステップs2に進む。これによって、燃料給油源100からの燃料がアスピスクラブ20に導かれるとともに、NEA供給源50からの不活性気体がアスピスクラブ20に供給される。
【0042】
ステップs2では、アスピスクラブ20によって、燃料給油源100からの燃料とNEA供給源50からの不活性気体とを混合して、燃料に溶存する酸素を除去しながら、所定の給油量の燃料を燃料タンク30に給油してステップs3に進む。
【0043】
ステップs3では、燃料タンク30に所定の給油量の燃料が給油されると、制御部17によって、供給路28と循環路14とが接続されるように第4バルブ33を切換えるとともに、循環路14と給油路13とが接続されるように第1バルブ11を切換えて、ステップs4に進む。
【0044】
ステップs4では、制御部17はポンプ15を制御して、燃料タンク30内の燃料31を、供給路28、循環路14および給油路13を流下させて、アスピスクラブ20に導く。このように燃料タンク30内の燃料31をポンプ15によって、燃料タンク30、供給路28、循環路14、給油路13、アスピスクラブ20、燃料タンク30という順に循環させて、アスピスクラブ20によって燃料31とNEA供給源50からの不活性気体とを混合し、燃料31に溶存する酸素を除去して、ステップs5に進む。
【0045】
ステップs5では、燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度が所定の値以下、具体的には9%体積濃度(以後「体積濃度」という用語を省略することがある)以下になったとセンサ16によって検出されると、制御部17はポンプ15を制御して、燃料31の循環を終了し、ステップs6に進む。
【0046】
ステップs6では、制御部17によって、NEA供給源50とアレージ32とが接続されるように第2バルブ12を切換え、NEA供給源50から不活性気体をアレージ32に供給してアレージ32を掃気し、アレージ32の酸素濃度が所定の基準値以下、具体的には9%以下になったとセンサ16によって検出されると、掃気を終了して、ステップs7に進み、全ての手順を終了する。
【0047】
アレージ32を掃気するタイミングに関して、たとえば給油時にアレージ32の掃気を行うと、アスピスクラブ20に循環される前の燃料タンク30内の燃料31は、酸素濃度が所定の値以下になっておらず、循環している間に燃料タンク30内の燃料31に溶存している酸素がアレージ32に追い出され、この酸素を含むアレージ32の気体を排出するために、循環後さらに掃気する必要がある。上述のステップs6のように、燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度を所定の値以下にした後にアレージ32の掃気を行うことによって、アレージ32の掃気が終了した後に、燃料31からアレージ32に酸素が追い出されることがほとんどなく、前述の給油時にアレージ32の掃気を行うことに比べて、極めて効率よく掃気を行うことができる。
【0048】
図4は、燃料給油前の燃料タンク30のアレージ32の酸素濃度が、所定の値以下である場合の燃料給油方法の手順を示すフローチャートである。この燃料給油方法は、燃料タンク30に燃料を給油する前のアレージ32の酸素濃度が所定の値以下、具体的には約9%以下の場合において行うことができる。ステップt0で燃料給油方法の手順が開始されて、ステップt1に進む。
【0049】
ステップt1では、制御部17によって、燃料給油源100とアスピスクラブ20とが接続されるように第1バルブ11を切換えるとともに、アレージ32とアスピスクラブ20とが接続されるように第3バルブ27を切換えて、ステップt2に進む。これによって、燃料給油源100からの燃料がアスピスクラブ20に導かれるとともに、酸素濃度が所定の値であるアレージ32からの気体がアスピスクラブ20に供給される。
【0050】
ステップt2では、アスピスクラブ20によって、燃料給油源100からの燃料とアレージ32からの気体とを混合して、燃料に溶存する酸素を除去しながら、所定の給油量の燃料を燃料タンク30に給油して、ステップt3に進む。
【0051】
ステップt3では、燃料タンク30に所定の給油量の燃料が給油されると、制御部17によって、供給路28と循環路14とが接続されるように第4バルブ33を切換えるとともに、循環路14と給油路13とが接続されるように第1バルブ11を切換えて、ステップt4に進む。
【0052】
ステップt4では、制御部17はポンプ15を制御して、燃料タンク30内の燃料31を、供給路28、循環路14および給油路13を流下させて、アスピスクラブ20に導く。このように燃料タンク30内の燃料31をポンプ15によって、燃料タンク30、供給路28、循環路14、給油路13、アスピスクラブ20、燃料タンク30という順に循環させて、アスピスクラブ20によって燃料31とアレージ32からの気体とを混合し、燃料31に溶存する酸素を除去して、ステップt5に進む。
【0053】
ステップt5では、燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度が所定の値以下、具体的には9%以下になったとセンサ16によって検出されると、制御部17はポンプ15を制御して、燃料31の循環を終了して、ステップt6に進み、全ての手順を終了する。
【0054】
このように燃料給油前の燃料タンク30のアレージ32の酸素濃度が所定の値以下である場合、燃料タンク30内の燃料31の循環終了後に、アレージ32をNEA供給源50からの不活性気体によって掃気する必要がない。
【0055】
上述のステップt1において、制御部17によって、燃料給油源100とアスピスクラブ20とが接続されるように第1バルブ11を切換えるとともに、アレージ32およびNEA供給源50がアスピスクラブ20にそれぞれ接続されるように第3バルブ27を切換えるようにしてもよい。これによって、アレージ32からの気体とNEA供給源50からの不活性気体とが、同時にアスピスクラブ20に供給される。この場合、上述のステップt2およびステップt4では、アスピスクラブ20によって、燃料とアレージ32からの気体とNEA供給源50からの不活性気体とを混合して、燃料に溶存する酸素を除去する。
【0056】
図5は、複数の燃料タンク30A〜30Cを備える主翼80への燃料系統装置の適用例を模式的に示す平面図である。主翼80には、主翼80の桁およびリブで囲まれる空間内に3つの第1燃料タンク30A、第2燃料タンク30Bおよび第3燃料タンク30Cが設けられる。また主翼80には、各燃料タンク30A〜30Cに燃料を給油する管路構成体40が設けられる。各燃料タンク30A〜30Cには、管路構成体40に接続されるアスピスクラブ20がそれぞれ1つずつ設けられる。
【0057】
燃料給油源100から管路構成体40を介して、各燃料タンク30A〜30Cのアスピスクラブ20に導かれた燃料は、アスピスクラブ20によって溶存する酸素が除去されて、各燃料タンク30A〜30Cに給油される。その後、各燃料タンク30A〜30C内の燃料は、各燃料タンク30A〜30Cに設けられるポンプ15によって管路構成体40を介してアスピスクラブ20に循環されて、溶存する酸素がさらに除去される。
【0058】
各燃料タンク30A〜30C内の燃料の酸素濃度が所定の値以下になると、ポンプ15を停止して燃料の循環を停止し、NEA供給源50からの不活性気体が、不活性気体供給路18を介して各燃料タンク30A〜30Cに供給されて、各燃料タンク30A〜30Cのアレージの気体がベントライン19から排出されて、アレージが掃気される。
【0059】
上述の主翼80の各燃料タンク30A〜30Cには、アスピスクラブ20がそれぞれ1つずつ設けられるとしたが、たとえば第1〜第3燃料タンク30A〜30Cのいずれか1つだけがアスピスクラブ20が設けられるようにしてもよい。この場合、燃料給油時にアスピスクラブ20によって溶存する酸素を除去しながら、燃料を各燃料タンク30A〜30Cに給油し、各燃料タンク30A〜30Cの燃料を循環して、アスピスクラブ20によって溶存する酸素を除去する。
【0060】
以上のように本実施の形態の燃料系統装置10および燃料給油方法によれば、アスピスクラブ20によって酸素を除去しながら燃料タンク30に燃料を給油し、さらに燃料タンク30内の燃料31をアスピスクラブ20に循環して酸素を除去するので、燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度を極めて低くすることができる。燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度が極めて低いので、従来の技術で示したような飛行中にスクラビングするために用いる手段を別途設ける必要がなく、燃料系統装置10の構成を単純にすることができる。また燃料タンク30内の燃料31の酸素濃度が極めて低いので、たとえば飛行中における周囲の圧力の低下および燃料のスロッシングなどによって、燃料タンク30内の燃料31からアレージ32に酸素が追い出されることがほとんどない。これによって周囲圧力の低下および燃料のスロッシングが起きても、飛行中に不確定な燃料からの酸素の追い出しに対してアレージ32を掃気することなく、アレージ32の酸素濃度の上昇を可及的に防止して、アレージ32の酸素濃度を所定の基準値以下、すなわち9%以下に維持することができる。
【0061】
また本実施の形態の燃料系統装置10および燃料給油方法によれば、アスピスクラブ20は、液体燃料である燃料とNEA供給源50からの不活性気体とを混合する。燃料と不活性気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。またアスピスクラブ20は、燃料と不活性気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク30外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク30外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンク30に向けて排出することができる。
【0062】
また本実施の形態の燃料系統装置10および燃料給油方法によれば、アスピスクラブ20は、燃料タンク30内のアレージ32の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、液体燃料である燃料とアレージ32からの気体とを混合する。燃料とアレージ32からの気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。またアスピスクラブ20は、燃料とアレージ32からの気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク30外に排出するとともに液体を燃料タンク30に向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク30外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンク30に向けて排出することができる。
【0063】
また本実施の形態の燃料系統装置10および燃料給油方法によれば、アスピスクラブ20によって、燃料タンク30に給油しながら燃料に溶存する酸素を除去し、さらに燃料タンク30内の燃料をアスピスクラブ20に循環して、燃料タンク30内の燃料に溶存する酸素を除去するので、従来の技術で示したような、燃料タンクに燃料を給油してから燃料タンク内の燃料に溶存する酸素を除去するスクラビングに比べて、燃料タンクに酸素濃度の極めて低い燃料を効率的かつ確実に給油することができる。
【0064】
また本実施の形態の燃料系統装置10および燃料給油方法によれば、燃料タンク30内の燃料をアスピスクラブ20に循環して、燃料タンク30内の燃料に溶存する酸素を除去した後に、不活性気体でアレージ32を掃気するので、給油前に予め燃料タンク30に残っている燃料を抜き取ってからアレージ32を掃気することなく、極めて容易に燃料タンク30内の燃料の酸素濃度を所定の値以下にすることができる。
【0065】
また本実施の形態の燃料系統装置10によれば、燃料供給源100からの燃料を燃料タンク30に給油するために用いる給油路13、ならびに燃料タンク30の燃料31を発動機81に供給するために用いる供給路28およびポンプ15を含み、燃料供給源100からの燃料を燃料タンク30に給油するとともに、燃料タンク30内の燃料31を発動機81に供給するための既存の燃料系統に、第1バルブ11、循環路14、第1センサ16a、第2センサ16bおよび第4バルブ33を追加するとともに、制御部17によって図3および図4に示される手順で燃料の供給を行うことで、既存の燃料系統における給油路13、供給路28およびポンプ15を、燃料タンク30内の燃料31を循環させるために極めて効率的に用いることができる。これによって、燃料タンク30内の燃料31を循環するためだけの専用の流路およびポンプを別途設ける必要がなく、燃料系統装置10の構成を単純にでき、軽量化することができる。
【0066】
また本実施の形態の燃料系統装置10によれば、第4バルブ33を、供給路28の循環路14との接続部よりも供給方向D下流側の供給路28に介在させるので、第4バルブ33を開閉バルブで実現することができる。これによって第4バルブ33として第1バルブ11のような方向切換バルブを用いる場合に比べて燃料系統装置10の構成を単純にできるとともに、第4バルブ33の制御を容易に行うことができる。
【0067】
また本実施の形態の燃料系統装置10によれば、ポンプ15によって燃料タンク30内の燃料31を、燃料タンク30、供給路28、循環路14、給油路13、アスピスクラブ20、燃料タンク30という順に循環させるので、循環にともなって燃料タンク30内で燃料の流れが生じ、燃料タンク30が複雑な形状であるインテグラルタンクであっても、燃料タンク30内全体にわたって燃料が流れて、燃料タンク30内のほぼ全ての燃料をアスピスクラブ20に導くことができる。これによって燃料タンク30内の燃料に溶存する酸素を確実に除去することができる。
【0068】
上述の実施の形態の燃料系統装置10は、航空機に搭載されるとしたが、航空機に限らず、燃料タンクを備えるものであれば、車両および船舶などの移動体、ならびに発電所などのプラントに搭載されてもよい。
【0069】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段によって酸素を除去しながら燃料タンクに燃料を給油し、さらに燃料タンク内の燃料を、再度酸素濃度低減手段を通過するように循環して酸素を除去するので、燃料タンク内の燃料の酸素濃度を極めて低くすることができる。燃料タンク内の燃料の酸素濃度が極めて低いので、たとえば周囲の圧力の低下および燃料のスロッシングなどによって、燃料タンク内の燃料から燃料タンク内のアレージに酸素が追い出されることがほとんどない。これによって周囲圧力の低下および燃料のスロッシングが起きても前記アレージを掃気することなく、前記アレージの酸素濃度の上昇を可及的に防止して、前記アレージの酸素濃度を所定の基準値以下に維持することができる。
【0070】
請求項2記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段は、液体燃料である燃料と不活性気体とを混合する。燃料と不活性気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と不活性気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0071】
請求項3記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、液体燃料である燃料と燃料タンク内の気体とを混合する。燃料と燃料タンク内の気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と燃料タンク内の気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0072】
請求項4記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段によって酸素を除去しながら燃料タンクに燃料を給油し、さらに燃料タンク内の燃料を、再度酸素濃度低減手段を通過するように循環して酸素を除去するので、燃料タンク内の燃料の酸素濃度を極めて低くすることができる。燃料タンク内の燃料の酸素濃度が極めて低いので、たとえば周囲の圧力の低下および燃料のスロッシングなどによって、燃料タンク内の燃料から燃料タンク内のアレージに酸素が追い出されることがほとんどない。これによって周囲圧力の低下および燃料のスロッシングが起きても前記アレージを掃気することなく、前記アレージの酸素濃度の上昇を可及的に防止して、前記アレージの酸素濃度を所定の基準値以下に維持することができる。
【0073】
請求項5記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段は、液体燃料である燃料と不活性気体とを混合する。燃料と不活性気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と不活性気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【0074】
請求項6記載の本発明によれば、酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、液体燃料である燃料と燃料タンク内の気体とを混合する。燃料と燃料タンク内の気体との混合によって、燃料に溶存する酸素が燃料から追い出される。また酸素濃度低減手段は、燃料と燃料タンク内の気体とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出するので、燃料から追い出された酸素を燃料タンク外に排出するとともに、酸素濃度が低減された燃料を燃料タンクに向けて排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の燃料系統装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】アスピスクラブ20を示す断面図である。
【図3】燃料給油方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】燃料給油前の燃料タンク30のアレージ32の酸素濃度が、所定の値以下である場合の燃料給油方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】複数の燃料タンク30A〜30Cを備える主翼80への燃料系統装置10の適用例を模式的に示す平面図である。
【図6】従来の技術の燃料タンク1を示す断面図である。
【図7】他の従来の技術のスクラビングを示す模式図である。
【図8】さらに他の従来の技術のアスピスクラブ5を備える燃料タンク1Bを示す断面図である。
【図9】アスピスクラブ5a,5b,5cを備える複数の燃料タンク1a,1b,1cを有する航空機の主翼6の一部を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
10 燃料系統装置
11 第1バルブ
12 第2バルブ
13 給油路
14 循環路
15 ポンプ
17 制御部
20 アスピスクラブ
28 供給路
30,30A,30B,30C 燃料タンク
40 管路構成体
100 燃料給油源
Claims (6)
- 燃料給油源から燃料タンクに燃料を導くための給油路に介在され、給油される燃料の酸素濃度を低減させる酸素濃度低減手段と、
給油路の前酸素濃度低減手段よりも燃料の給油方向上流側に、燃料タンク内の燃料を導き、前記酸素濃度低減手段を再度通過させて燃料タンクに戻すための循環手段と、
燃料給油源から燃料タンクに燃料が給油された後、燃料タンク内の燃料を循環手段によって循環させるように、循環手段を制御する制御手段とを含むことを特徴とする燃料系統装置。 - 燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、不活性気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出する手段であることを特徴とする請求項1記載の燃料系統装置。 - 燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、燃料タンク内の気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出する手段であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料系統装置。 - 燃料の酸素濃度を低減する酸素濃度低減手段を介して、燃料給油源から導かれる燃料を燃料タンクに給油し、
燃料タンク内の燃料を、前に酸素濃度低減手段を再度通過するように循環させることを特徴とする燃料給油方法。 - 燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、不活性気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出することを特徴とする請求項4記載の燃料給油方法。 - 燃料は、液体燃料であって、
酸素濃度低減手段は、燃料タンク内の気体の酸素濃度が所定の基準値以下の場合、燃料タンク内の気体と燃料とを混合した後、気体と液体とを分離し、気体を燃料タンク外に排出するとともに液体を燃料タンクに向けて排出することを特徴とする請求項4または5記載の燃料給油方法。
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