JP3662600B2 - 自公転方式マグネチックスターラー - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
土壌環境の汚染規制の試験法として土壌塊から有害物質を溶出させる過程を経て、その有害物質量が規制範囲内か否かを測定する方法がとられている。
【0002】
従来はPCB,カドミウム等の重金属の規制が主体であったが、近年、揮発性の有機塩素化合物等の揮発性有害物質が問題化してきており、環境基準の対象項目に加えられることになってきている。
【0003】
重金属類の土壌よりの有害物質溶出法は試験土壌を溶出溶液と同時に容器内に入れて縦もしくは横振とうする撹拌方法にて行われていたが、揮発性有害物質はその揮発性が故にかなり微量なため、従来の重金属の溶出法とは異なって、特定の栓付容器内でマグネチックスターラーの撹拌子を用いる撹拌法にて有害物質を溶出する方法となっている。
【0004】
本発明は揮発性有害物質の汚染土壌からの溶出試験用として、撹拌子が土壌,溶出液内を自転しつつ公転しながら広範囲に回転して土壌を微細に粉砕しながら効率良く揮発性有害物質を溶出するのに最適な自公転方式のマグネチックスターラーに関するものである。
【0005】
【従来の技術】
従来のマグネチックスターラーは図4に示すように、試料aを収容したフラスコ等の収容容器bの載置板cを上面に備えた箱形機体dの内部に上向きのモーターeと該モーターeの回転軸の上端に撹拌作動用マグネットfを取付けるとともに前記載置板c上に置いた収容容器bに試料aを収容した中にマグネット撹拌子gを投入し、モーターeの作動による撹拌作動用マグネットfの回転に伴って試料a内のマグネット撹拌子gが磁力吸引されて回転することにより試料aを撹拌するようにしていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のマグネチックスターラーはマグネット撹拌子gの回転が一軸上における水平回転(自転)にとどまるために撹拌力が周囲におよばずに弱く、特に汚染土壌の溶出試験において揮発性有害物質を溶出するために検査土壌の全体を微細に粉砕する必要があるときには、これを充分且つ迅速に行う能力に欠けるという課題がある。また、土壌中に含まれる固形物等に当ってマグネット撹拌子が撹拌作動用マグネットの吸引磁力範囲外に弾き飛ばされてしまうと撹拌作動がそのまま停止してしまうという課題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上面に試料収容容器の載置板を備えた箱形機体内に前記載置板との間に僅かな間隙を置いて配置する撹拌作動用マグネットを一軸上にて水平回転させる駆動機構を設け、前記撹拌作動用マグネットの水平回転に伴って該撹拌作動用マグネットの磁力吸引により連動回転するマグネット撹拌子を前記載置板上に載せ置きした収容容器内に投入して容器内の試料を撹拌するようにしたマグネチックスターラーにおいて、前記撹拌作動用マグネットを一軸上にて水平回転させつつ一定の半径軌道をもって水平回転させる自公転機構を設けて、かかる課題を解決しようとするものである。
【0008】
【作用】
本発明は撹拌作動用マグネットを一軸上にて水平回転(自転)させつつ一定の半径軌道をもって水平回転(公転)させることにより、これに伴ってマグネット撹拌子の撹拌作動は収容容器内の広範囲におよび、容器内の試料を迅速且つ微細に粉砕することができることなる。
【0009】
また、撹拌作動用マグネットが一定の半径軌道をもって水平回転(公転)するので、撹拌作動中のマグネット撹拌子が一旦作動用マグネットの吸引磁力の作用範囲外に外れる事態が生じても撹拌作動用マグネットの公転移動中のいずれかの点にて再びマグネット撹拌子が吸引磁力の範囲内に入るために自動的に撹拌作動が再開されることとなる。
【0010】
【実施例】
以下図面に基づいて実施例を説明する。
【0011】
図面は本発明の1実施例を示すもので、上面に試料収容容器Fの載置板1を備えた箱形機体2の底板3に軸受4を設け、該軸受4に支持されて回転自在とする主回転軸5を縦設する。主回転軸5は上部の周面にはすば歯車6を固定取付けし、はすば歯車6下の中間部には中心に備えた軸受7を主回転軸5に嵌合して水平回転自在とする回転円盤8を遊嵌する。回転円盤8は外周面に2条の掛溝9a,9bを設けておりプーリー形状を呈している。また主回転軸5の回転円盤8下位置には回転円盤8よりも小径で外周面に2条の掛溝10a,10bを有するプーリー11を固定取付けする。回転円盤8上の偏心位置には下端に前記主回転軸5のはすば歯車6に噛合するはすば歯車12を固定取付けし、上端に2段積層の作動用マグネット13を固定取付けした副回転軸14を回転円盤8上に取付けした支持枠15と該支持枠15に支持される軸受16にて回転自在において縦設し、以上により撹拌作動用マグネット13の自公転機構17を構成するのである。なお、撹拌作動用マグネット13を2段積層としたのは磁力強化のためであり、主回転軸5と副回転軸14間の噛合部をはすば歯車としたのは静粛性の向上のためである。
【0012】
この自公転機構17を適度の間隔を置いて箱形機体2内の5個所に設け、回転機構たるモーター18の回転軸に取付けたプーリー19より取り出す1本の伝動ベルト20を隣接する自公転機構17の回転円盤8外周面の上側の掛溝9aに連繋し、もう1本の伝動ベルト21を主回転軸5のプーリー11の上側の掛溝10aに連繋する。さらに回転円盤8の掛溝9bと次隣の自公転機構の回転円盤8の掛溝9b間を伝動ベルト20aにて連繋し、プーリー11の掛溝10bと次隣のプーリー11の掛溝10bを伝動ベルト21aにて連繋する要領にて順次回転力を中継ぎ伝動してゆくのである。なお、実施例ではモーター18のプーリー19より4本の伝動ベルトを取り出すようにして2組と3組の自公転機構が各列別に連繋するようにしているが、すべての自公転機構を順次直列型に連繋することもできる。
【0013】
載置板1の各自公転機構17の上方位置に合わせて汚染土壌等を検液中に浸漬する試験試料を収容した試料収容容器Fを載せ置きして、各容器Fの試験試料内に撹拌作動用マグネット13の吸引磁力に作用するマグネット撹拌子22を投入するのである。
【0014】
本発明はスイッチを作動するとモーター18が回転し、各伝動ベルトの伝動により自公転機構17の回転円盤8および主回転軸5が各別に回転を始め、主回転軸5の回転はそのままはすば歯車6,12の噛合により副回転軸14を回転させて撹拌作動用マグネット13を軸上にて自転させ、自転している拌作動用マグネット13を回転円盤8の回転に従って回転円盤8上の偏心位置を半径距離として公転させるのである。この撹拌作動用マグネット13の自転および公転に伴って撹拌作動用マグネット13に磁力吸引されるマグネット撹拌子22は図3に示すように試験試料内を同じ自公転作動をしながら移動するので、試験試料を隈なく迅速且つ強力に撹拌することとなる。
【0015】
なお、マグネット撹拌子22が試験試料内の固形物などとの衝突により撹拌作動用マグネット13の磁力吸引範囲外に弾き飛ばされる事態が生じた場合も、撹拌作動用マグネット13の公転軌道中のいずれかの点にて再び撹拌作動用マグネット13の磁力吸引範囲に入り、自動的に撹拌作動を再開することとなる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上のようにして、撹拌作動用マグネットを自転させつつ一定の半径軌道上を公転させるようにしたので、容器内の試験試料を広く隈なく撹拌して迅速且つ微細に粉砕することができるという効果を生ずる。
【0017】
試料中の固形物に当ってマグネット撹拌子が作動用マグネットの吸引磁力外に弾き飛ばされる事態が生じても、作動用マグネットが広い範囲で公転しているためにマグネット撹拌子は再びその吸引磁力範囲内に入って自動的に撹拌作動を再開することができるという効果を生ずる。
【0018】
また1つの箱形機体内の複数個所に自公転機構を設けて1つの回転機構より取り出す各別の伝動手段に順次連結して構成するときは、同種複数の試験を同時に行って試験内容の正確性を向上し、または異種複数の試験を同時に行って試験時間の短縮化を図ることができるという効果を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の自公転機構の1実施例を示す縦断面図である。
【図2】 同、伝動ベルトの連繋例を示す平面図である。
【図3】 マグネット撹拌子の自公転作用を示す説明図である。
【図4】 従来例図である。
【図5】 同、マグネット撹拌子の作用説明図である。
【符号の説明】
1は載置板
2は箱形機体
3は底板
4は軸受
5は主回転軸
6ははすば歯車
7は軸受
8は回転円盤
9a,9bは掛溝
10a,10bは掛溝
11はプーリー
12ははすば歯車
13は撹拌作動用マグネット
14は副回転軸
15は支持枠
16は軸受
17は撹拌作動用マグネットの自公転機構
18はモーター
19はプーリー
20,20a,21,21aは伝動ベルト
22はマグネット撹拌子

Claims (2)

  1. 上面に試料収容容器の載置板を備えた箱形機体内に主回転軸を縦設し、該主回転軸の上部周面に歯車を取付けるとともに中間に回転円盤を遊嵌取付け、該回転円盤の偏心位置に前記主回転軸の歯車に噛合する歯車と上端に攪拌作動用マグネットを取付けた副回転軸を縦設し、該主回転軸と回転円盤を各別の伝動手段により独立回転させて前記攪拌作動用マグネットを副回転軸とともに自転させつつ、回転円盤の一定の半径軌道を公転するようにしたことを特徴とする自転公転方式マグネチックスターラー。
  2. 前記攪拌作動用のマグネットスターラーを間隔を置いて2乃至複数個所において設け、1つの回転機構より取り出す各別の伝動手段により独立連結し、または中継ぎ連結する請求項1記載の自転公転方式マグネチックスターラー。
JP01130794A 1994-01-06 1994-01-06 自公転方式マグネチックスターラー Expired - Lifetime JP3662600B2 (ja)

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