JP3662202B2 - 合成無定形ケイ酸塩 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は合成無定形ケイ酸塩に関し、特に歯磨用基剤として有用な合成無定形ケイ酸塩を提供することを目的とする。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯磨用基剤としては、湿式法あるいは乾式法により製造した微粉末ケイ酸あるいは炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウムが用いられ、これまでに多くの新製法の開発、品質改良、使用法の改良が行われている。
ところで、近年歯のう蝕を防ぐ目的でフッ素入り歯磨きが主流になりつつあり、上記基剤の中でもフッ素との相溶性に最も優れた微粉末ケイ酸が基剤の主位を占めるようになっている。
【0003】
現在使用されている微粉末ケイ酸は、主に湿式法により製造される微粉末ケイ酸であり、一般に沈降微粉末ケイ酸と称され、乾式法により製造される微粉末ケイ酸と区別されている。
このような沈降微粉末ケイ酸は、通常水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸を50〜100℃の範囲で反応させ、沈降ケイ酸を濾過、乾燥することにより製造される。この反応工程で沈降するケイ酸は、通常平均一次粒子径が0.01〜0.5μmで、これらは凝集して二次粒子と称される凝集体を形成するがその平均粒子径は大略1.5〜30μm程度で、多数の微細孔を有する。
しかし、これらを歯磨基剤として使用した場合、このような沈降微粉末ケイ酸は一般に4.5〜5.0のモース硬度を有するため、研磨性が高きにすぎる。この研磨性を反応条件等を変えることにより制御するためには、相当のノウハウを蓄積することが必要であった。また、練歯磨においては、歯磨基剤として適度な吸液量を要求されるがその制御も困難であった。
【0004】
そこで、本願出願人は、先に、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と無機の水溶性ジルコニウム塩と鉱酸とを主原料として反応させることにより得られるジルコニウム結合珪酸塩が歯牙を損傷させない適度な研磨性を有し、歯磨用基剤として最適であることを提案した。(特公平4−35402号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前期の通り近年練歯磨の一層の性能向上の要請から、フッ素含有練歯磨が要求されており、練歯磨中に各種フッ素化合物を添加して使用されている。このことから、一般に通常の微粉末ケイ酸はフッ素との反応性には問題はないものの、特公平4−35402号公報で開示したジルコニウム結合珪酸塩の使用では、歯磨組成物中の可溶性フッ素が低下するという問題を生じた。
【0006】
一方、特開平11−140428号公報で、本願出願人の一人はジルコニウムに代え、チタニウムを用いた合成無定形チタニウム結合ケイ酸塩からなる研磨剤を提案したが、このケイ酸塩は歯磨剤として適度の研磨特性とフッ素との相溶性を兼ね備えた特性を有するものの、これを白色練歯磨に用いると特定の香料と反応し着色する問題のあることが判った。
そこで本発明者らは更に検討を重ねた結果、後述する物性を有する合成無定形ケイ酸塩が、歯磨用シリカ基剤として使用したときに適度の研磨性を有すること、更にまた優れたフッ素との相溶性を有することを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性ジルコニウム塩と鉱酸とを必須原料として反応させて得たジルコニウムがZrO2としてSiO2に対し1.5〜3.5重量%の範囲で結合し、900℃で1時間焼成した場合の粉末X線回折角2θ=21〜23°(d=4.07〜4.09)と2θ=35〜37°(d=2.48〜2.50)に回折ピークを有し、且つ製品5重量%スラリーのpHが8.8〜10.5である合成無定形ケイ酸塩に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の合成無定形ケイ酸塩について詳述する。
本発明の合成無定形ケイ酸塩を、その製造方法に基づき説明すると、先ず本発明で使用する水溶性アルカリ金属ケイ酸塩としては、ナトリウム、カリウム及びリチウムのケイ酸塩を挙げることができるが、比較的安価な点からケイ酸ナトリウムの使用が一般的である。
そのモル比、即ちSiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属を示す)は2〜4の範囲の水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を用いることができる。
また、本発明において、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の酸性化剤として鉱酸、例えば塩酸、硫酸あるいは硝酸が用いられる。
【0009】
ジルコニウム供与物質としては、後述の水溶性ジルコニウム塩を用いることができ、その使用方法としては、水溶性ジルコニウム塩溶液を所定濃度に希釈して直接反応させても良いが、本発明者らが推奨する方法は、あらかじめ水溶性ジルコニウム塩を鉱酸に添加してジルコニウム含有鉱酸とし、これを水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と反応せしめる方法である。
この方法によるときは、他の方法に比べてシリカ中に極めて均一にジルコニウムを結合した状態でこれを製造することができる。
本発明に用いられる水溶性ジルコニウム塩としては、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
また、ジルコニウムを含有せしめた鉱酸を用いる場合、その鉱酸中のジルコニア(ZrO2)濃度に関しては、原料である水溶性アルカリ金属ケイ酸塩及び鉱酸の濃度、組成等によって異なり特に限定されないが、合成無定形ケイ酸塩中のジルコニウムがZrO2としてSiO2に対して1.5〜3.5 重量%になるように反応に供すればよい。この場合に、この範囲が下限を下廻ると、ジルコニウムの添加効果が充分でなく、上限を超えると歯磨基剤として必要な研磨力を有しなくなり、併せてフッ素との相溶性も損なうことから望ましくない。
【0010】
ところで、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性ジルコニウム塩と鉱酸との反応は、酸側、アルカリ側のどちらからでも反応を開始できるが、反応を酸性側から開始した場合には、単一粒子の凝集体、即ち二次粒子が形成されずゲル状物質が生成するため、できればアルカリ側から反応を開始することが好ましい。
尚、本発明で云う反応をアルカリ側から開始するとは、核生成をアルカリ側で行わせることを云い、具体的には、例えば、▲1▼反応槽に予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を仕込んでおき、これに水溶性ジルコニウム塩及び鉱酸を添加反応せしめる方法、▲2▼反応槽に水溶性ジルコニウム塩含有鉱酸と水溶性アルカリ金属ケイ酸塩とを同時添加する方法に於いて、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の添加量比を水溶性ジルコニウム塩含有鉱酸の当量以上とする方法、▲3▼反応槽に予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩を仕込み、鉱酸と水溶性ジルコニウム塩を所望量、同時若しくは別々に添加する方法等であり、要はシリカの核生成をアルカリ側で行わせることを云う。
【0011】
反応温度及びpHに関して云えば、温度は60〜100℃で行い、反応終了pHは6〜9となることが重要である。
即ち、他の反応条件が同一である場合、反応温度が60℃を下廻ると一次粒子の生成が起こり難く、しかも二次粒子の凝集力が弱くジルコニウムの使用効果が充分発揮されない。
また、反応終了pHが9を越えると、合成無定形ケイ酸塩の析出が完全に行われず、反応収率は悪くなり、pHが6以下になると本発明の目的とする合成無定形ケイ酸塩を製造することが困難となる。
即ち、反応終了pHが6以下になると研磨性が小さくなり、歯磨用基剤として好ましくないものとなる。また、フッ素との相溶性も極度に低下する。
しかしながら、フッ素相溶性との関係に於いて最も肝要なことは、後述する、製品5重量%スラリーのpHである。例えば、反応終了pHを7.0に調整しても製品5重量%スラリーpHは濾過時の洗浄の程度、あるいはリパルプ時の水と濾過ケーキの割合、撹拌の程度等により7〜11まで変化する。
【0012】
製品pHに関しては、反応終了後のリパルプ洗浄工程で調整することが特に重要である。即ち濾過して得られたウェットケーキをその数倍量の水に分散させて洗浄する際に、このスラリーpHを調整することにより、製品の5重量%スラリーを8.8〜10.5に調整することができる。
このスラリーpHの調整に際しては、所望のpHよりも高いときは、本発明で用いている鉱酸で調整することができ、逆にpHが低きに過ぎるときは、別途水溶性アルカリ金属塩を添加すればよい。これに使用する水溶性アルカリ金属塩としては、ナトリウムの水酸化物や炭酸塩、重炭酸塩が好例として挙げられる。
このようにして最終製品で得られる本発明ケイ酸塩の5重量%スラリーpHが8.8〜10.5となるように調整することにより、所望するフッ素との相溶性が良好で、歯磨基剤としての適度の研磨性を有する本発明の合成無定形ケイ酸塩を得ることができる。
【0013】
次いで、鉱酸を添加する際の水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液のSiO2濃度について云えば5〜15重量%程度であることが望ましく、更に鉱酸濃度も5〜25重量%程度が製造上好ましい。
また水溶性ジルコニウム塩含有鉱酸を使用する場合に於いても同様である。原料濃度は他の条件を適宜選択することにより、この範囲内で目的とする本発明の合成無定形ケイ酸塩を得ることができる。
【0014】
このようにして製造した本発明の合成無定形ケイ酸塩は、上記の通り適度の研磨性を有すると共に、フッ素との相溶性に優れ歯磨用基剤として極めて好適なものである。また、先に述べた通り、ジルコニウム量に関して云えば、ジルコニウム量が多くなるに従って研磨性は小さくなり、他方BET比表面積は大きくなる傾向にある。
本発明においてその目的を更によく達成させるためには、即ち所望する研磨性を得るためには、合成無定形ケイ酸塩を析出させる工程において、電解質物質を介在せしめることが有益である。
【0015】
前記の通り、ジルコニウム量が多くなると研磨性は小さくなる。そこで、電解質物質を介在させると、フッ素との相溶性を損なうことなしに研磨性も大きくなる。
電解質物質の存在下で水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と水溶性ジルコニウム塩と鉱酸とを反応せしめて得られる合成無定形ケイ酸塩は、電解質物質の不存在下で得られる合成無定形ケイ酸塩に比べて研磨性が一層向上する。その傾向は電解質物質のある一定の範囲内に於いては、略比例関係にある。即ち電解質物質の使用量増大とともに研磨性も増大する。
【0016】
本発明に用いられる電解質物質としては、水溶性アルカリ金属の鉱酸塩が好ましく、例えばナトリウム、カリウム等の鉱酸塩であり、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等を例示することができる。
また、その使用量に関しては、SiO2に対して5〜50重量%までの範囲内で適宜用いられる。使用量が5重量%以下ではその効果が充分でなく、また50重量%を超えても添加量に見合う効果は得られない。
その実施態様としては、電解質物質を予め水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液に含有させることが好ましいが、電解質物質量、反応温度、反応時間等を適宜選択することにより、鉱酸に電解質物質を添加し、反応させることを妨げるものではない。
【0017】
さて、本発明の合成無定形ケイ酸塩の製造上の留意点としては、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液中のシリカ(SiO2)分が完全に析出し終えるまでの工程で水溶性ジルコニウム塩を添加、反応させることにあり、望ましくは水溶性ジルコニウム塩を予め鉱酸中に含有せしめる方法が良い。即ち、全シリカが析出し終わった時点から水溶性ジルコニウム塩を添加しても本発明の合成無定形ケイ酸塩を得ることができない。
例えば、水溶性アルカリ金属ケイ酸塩溶液と鉱酸とを同時に添加する方法においては、両者の添加終了時までに水溶性ジルコニウム塩を添加すべきである。水溶性ジルコニウム塩の添加終了後、用途により所望するpHまで鉱酸を添加すればよい。
【0018】
反応終了後は、前述のようにスラリーを濾過後、リパルプ洗浄を行い、得られた合成無定形ケイ酸塩を液から分離し、乾燥、粉砕して製品とする。
【0019】
このようにして得られた合成無定形ケイ酸塩は、未焼成の場合、X線回折では無定形である。(図1)
ところで、後述する実施例の如く製造した本発明の合成無定形ケイ酸塩は、900℃で1時間焼成した場合、粉末X線回折角2θ=21〜23°(d=4.07〜4.09)と2θ=35〜37°(d=2.48〜2.50)に回折ピークを有するという特徴を有する。(図2)
殊に本発明に於いては、製品5重量%スラリーのpHが8.8〜10.5となることは重要であり、製品5重量%スラリーのpHが8.8以下の場合では、本発明ケイ酸塩のフッ素との相溶性が悪くなる。また反対に、pHが10.5以上の場合では、歯磨組成に悪影響を及ぼすこととなる。従って、製品5重量%スラリーのpHが8.8〜10.5の範囲は厳守されるべきである。
【0020】
このように製造される本発明の合成無定形ケイ酸塩は、歯磨基剤としてフッ素との相溶性が極めて高いものであり、更にまた、その研磨力も適正な範囲に調整されているため秀抜した歯磨用基剤となる。
【0021】
本発明を更に詳細に説明するに当たり、本発明に用いる用語、5重量%スラリーpH、吸液量、BET法による比表面積、フッ素相溶性、X線解析、研磨減量、平均一次粒子径、凝集体の二次平均粒子径について説明する。
【0022】
1.製品5重量%スラリーpH
5gの合成無定形ケイ酸塩を95mlの脱イオン水に入れ、撹拌し懸濁液を調製し、化粧品原料基準一般試験法のpH測定法により撹拌二分経過後の読み値を製品5重量%スラリーpHとした。
【0023】
2.吸液量
試料1.0gを清浄なガラス板上に秤り取り、ミクロビュレットを用いて予想吸液量の約1/3量の42.5重量%のグリセリン溶液を滴下し、ステンレス製のへらで液が均一に全体に行き渡るように試料を混合した。さらに約1/3量のグリセリン溶液を加え、同様の操作を繰り返した後、さらに少量づつ滴下しながら液が均一になるように混合した。次第に試料は粒状となり、急激に容積が減少するようになるため、滴下の速度を遅くし試料が1つの塊となり、へらでガラス板より綺麗に剥がれるようになったときを終点とした。この試験を3回繰り返して平均値を求め、使用したグリセリン液量(ml)で吸液量を表した。尚、この測定は経時により測定値が異なるため、各3分以内に終了するように測定を行った。
【0024】
3.BET法による比表面積
液体窒素を冷却剤に用い、−196℃における窒素ガス吸着量から分子量面積を16.2(オングストローム)2としてBET法により無水物グラム当たりの比表面積を算出した。試料の脱ガスは140℃で60分間行った。
【0025】
4.フッ素相溶性
50ml容サンプル瓶にFとして1000ppm含有するNaF溶液25mlと試料5gを添加混合し、50℃の孵卵機で7日間保存した後、遠心分離器で固液分離を行い、液層中のF量をイオンメータで測定し、残存フッ素量を求めた。
【0026】
5.X線解析
X線回折装置は、理学電気(株)製ガイガーフレックスRAD−IA型を使用し、Cu管球を用いて30KV、20mAの条件下で行った。
【0027】
6.研磨減量
水平往復ブラッシング式研磨機を使用し、試料25%を含む60%グリセリン水溶液を表面平滑な銅板上に載せ、荷重400gをかけて18,000回研磨した後、銅板の減量を測定し、これを研磨減量とした。
【0028】
7.平均一次粒子径
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製、電子プローブマイクロアナライザー、JXA−840A)観察により単位粒子径を測定し、その結果を基に算術平均値を求めた。
【0029】
8.凝集体の二次平均粒子径
レーザー式粒度分布測定装置(HONEYWELL社製マイクロトラックHRA、Model:9320−X100)により、水を分散媒に使用し、粒度分布を測定し、累積分布が50重量%における粒子径を二次平均粒子径とした。
【0030】
さて、本発明合成無定形ケイ酸塩は、以上説明した如き物性を有するものであり、歯磨用基剤として殊に適度の研磨性とフッ素相溶性を兼ね備えた基剤として有用であるが、プラスチック研磨剤、金属研磨剤、ガラス研磨剤等各種研磨に使用するときも極めて有益である。
【0031】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げて更に説明するが、特に断らない限り%は全て重量%を示す。
【0032】
(実施例1)
150mmφタービン翼を有する撹拌機を設けた20L容邪魔板付き反応容器に、10%ケイ酸ナトリウム(Na2O・3.14SiO2)水溶液10Kgを入れ、反応温度90℃に保持し、これに塩化ナトリウム105gを混合し、更に表1のような割合になるように、オキシ塩化ジルコニウム溶液(ZrO2:21.6%)と10%硫酸の混合溶液を添加し、次いで10%硫酸をpH7.0になるまで添加した。
次に、生成したスラリーを濾過し、得られたウエットケーキをリパルプした。このリパルプ時に10%硫酸を添加してスラリーpHを8.0に調整した。
その後、ろ過・乾燥を行いジルコニウム含有量の異なる合成無定形ケイ酸塩を製造した。尚、製品の5%スラリーpHは、いずれも9.3〜9.6の範囲であった。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
本発明の合成無定形ケイ酸塩は、粉末X線回折に於いて図2の回折ピーク即ち、2θ=21〜23°と2θ=35〜37°を有する。また、ZrO2の割合が1.5〜3.5重量%の範囲では、フッ素相溶性が800〜1000ppmの適正なフッ素相溶性を示している。更に、研磨減量も1.5〜4.5mgの範囲の適正な研磨減量の値を示している。
【0035】
しかし、比較例で示した図3のX線回折ピークを示すジルコニウムを含有しない沈降性微粉末ケイ酸塩は、フッ素相溶性は極めて優れているが研磨減量の値は適正値を大きく超えたものになり、歯磨用シリカ基剤としては不適当である。
更に、比較例に示した製品中のSiO2に対するZrO2の割合が5.0%と、ジルコニウムを多含するケイ酸塩は、フッ素相溶性、研磨減量共に適正値から大きく逸脱し、歯磨用シリカ基剤として不適当である。
【0036】
(実施例2)実施例1の反応容器に10%珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3.14)水溶液8.92Kgを入れ、反応温度95℃に保持し、SiO2に対するZrO2の添加割合が3%になるようにオキシ塩化ジルコニウム溶液(ZrO2:20.7%)を添加すると共に、10%硫酸を反応液の反応終了pHが表2に示す所定pHになるまで添加し、添加終了後そのまま15分間熟成した。このスラリーをろ過後、リパルプ水洗し、これをろ過した後110℃に保った乾燥機中で乾燥後、粉砕し、本発明合成無定形ケイ酸塩を得た。こうして得られた合成無定形ケイ酸塩について、製品5%スラリーpHとBET比表面積を測定した。その結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
尚、本発明製品は2θ=21〜23°と2θ=35〜37°に回折ピークを有していた。
【0039】
(実施例3)実施例1の反応容器に10%珪酸ナトリウム(SiO2/Na2Oモル比3.14)水溶液8.92Kgを入れ、反応温度95℃に保持し、SiO2に対するZrO2の添加割合が3%になるようにオキシ塩化ジルコニウム溶液(ZrO2:20.7%)を添加すると共に、10%硫酸を反応液の反応終了pHが3.5になるまで添加し、添加終了後そのまま15分間熟成した。このスラリーをろ過後、リパルプ水洗し10%水酸化ナトリウムを使用してスラリーpHを9に調整した。これをろ過した後110℃に保った乾燥機中で乾燥後、粉砕し、本発明合成無定形ケイ酸塩を得た。こうして得られた合成無定形ケイ酸塩について、製品中のSiO2に対するZrO2の割合は2.5%であり、製品5%スラリーpHを測定した結果、pH10.4であった。また、フッ素相溶性は900ppm、BET比表面積は100m2/gであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明合成無定形ケイ酸塩の未焼成の場合のX線回折図である。
【図2】本発明合成無定形ケイ酸塩を900℃で1時間焼成の場合のX線回折図である。
【図3】ジルコニウムを含有しない沈降微粉末ケイ酸を900℃で1時間焼成の場合のX線回折図である。
【図4】ジルコニウムを含有せず、5%スラリーpHが本発明の範囲外の沈降微粉末ケイ酸を900℃で1時間焼成の場合のX線回折図である。
【図5】ジルコニウムを含有し、5%スラリーpHが本発明の範囲外の沈降微粉末ケイ酸を900℃で1時間焼成の場合のX線回折図である。
Claims (1)
- 水溶性アルカリ金属ケイ酸塩と水溶性ジルコニウム塩と鉱酸とを必須原料として反応させて得たジルコニウムがZrO2としてSiO2に対し1.5〜3.5重量%の範囲で結合し、900℃で1時間焼成した場合の粉末X線回折角2θ=21〜23°(d=4.07〜4.09)と2θ=35〜37°(d=2.48〜2.50)に回折ピークを有し、且つ製品5重量%スラリーのpHが8.8〜10.5である合成無定形ケイ酸塩。
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