JP3661883B2 - 画像信号復号装置及び画像信号復号方法 - Google Patents

画像信号復号装置及び画像信号復号方法 Download PDF

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Description

【0001】
【目次】
以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野
従来の技術
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
作用
実施例
(1)第1実施例(図1〜図3)
(2)第2実施例(図4〜図6)
(3)他の実施例(図7及び図8)
発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は画像信号復号装置及び画像信号復号方法に関し、特にブロツク符号化方式を用いて高能率圧縮符号化した画像信号を復号する際に適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、例えばテレビ会議システムなどのように画像信号を遠隔地に伝送するいわゆる画像信号伝送システムや、画像信号をデイジタル化してビデオテープレコーダやビデオデイスクレコーダに記録し再生する装置においては、伝送路や記録媒体を効率的に利用するため、デイジタル化した画像信号の相関を利用して有意情報を効率的に符号化することにより伝送情報量や記録情報量を削減し、伝送効率や記録効率を高めるようになされている。
【0004】
このような場合、一般的には、画像信号を高能率圧縮符号化することによりデータ量を大幅に削減するようになされている。この高能率圧縮符号化の手法として、入力された画像信号を複数のブロツクに分割し、例えばADRC符号化(Adaptive Dynamic Range Coding :適応ダイナミツクレンジ符号化)やDCT符号化(Discrete Cosine Transform :離散コサイン変換符号化)等を施すブロツク符号化が提案されている。
【0005】
因みに、ADRC符号化は視覚のダイナミツクレンジ依存性を利用したものであり、画素分布のダイナミツクレンジの大きい領域では画素レベルの微小な変動は視認されにくく、反対にダイナミツクレンジの小さい領域では画素レベルの微小な変動も視認されやすいという視覚特性を利用して画像圧縮する符号化方式である。またDCT符号化は基底波形として複数のコサイン関数を用いたもので、画像信号をこれら複数の基底波形に分解して表現する符号化方式である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述のような手法によつて非常に低いレートに圧縮した場合、復元時、ブロツク境界付近にブロツク歪みが発生して画像劣化が生じることがある。特に、割当ビツト数が少なくなるような平坦なブロツクではその傾向が著しく現れる。このためブロツク境界に対して局所的に低域通過フイルタ(いわゆるローパスフイルタ)をかけることにより、一般的にはこのようなブロツク歪みを除去して画像劣化を低減するようになされている。
ところが低域通過フイルタをかけると、高周波成分を含むエツジやデイテール部分をなまらせてしまう不具合が発生し、ブロツク歪みの除去方法としては未だ不十分な点がある。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、エツジやデイテール部分をなまらせることなく、ブロツク歪みを除去し得る画像信号復号装置及び画像信号復号方法を提案しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、所定の圧縮符号化手段によりブロツク単位で圧縮符号化された圧縮画像データを復号する画像信号復号装置において、圧縮画像データをブロツク単位で復号した復号画像データの各ブロツクのダイナミツクレンジを検出するダイナミツクレンジ検出手段と、復号画像データの各ブロツク内の画素について相対的な位置情報を検出する位置情報検出手段と、ダイナミツクレンジ検出手段により検出されるブロツクのダイナミツクレンジが小さいときほど、位置情報に基づいて認識される当該ブロツク境界付近の画素に対してより強い低域通過フイルタを施すことにより、復号時に発生するブロツク歪みを除去するブロツク歪み除去手段とを設けるようにした。
【0010】
【作用】
この結果かかる画像信号復号装置によれば、ブロツクのダイナミツクレンジが小さいときほど、当該ブロツク境界付近の画素に対してより強い低域通過フイルタを施すことができ、かくしてエツジ部分やデイテール部分をなまらせることなくブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0012】
【実施例】
以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
【0013】
(1)第1実施例
図1において、1は全体として第1実施例による画像信号復号装置を示し、DCT符号化によつて高能率圧縮符号化された伝送画像データS1をエラー訂正回路(図示せず)を経由してフレーム分解回路2に入力するようになされている。フレーム分解回路2は伝送画像データS1から水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を抽出して制御回路3に出力すると共に、伝送画像データS1を後段のブロツク復号回路4に供給する。
【0014】
ブロツク復号回路4は圧縮符号化された伝送画像データS1をブロツク単位で復元するものであり、可変長符号化に対する復号を施した後、逆量子化して係数を算出し、逆DCT変換して元のレベルデータを復元する。このようにして復元されたブロツク単位の画像データS4はブロツク遅延回路5、ダイナミツクレンジ検出回路6に供給される。
【0015】
ダイナミツクレンジ検出回路6においては、画像データS4は最大値検出回路6A及び最小値検出回路6Bに供給される。最大値検出回路6Aは画像データS4から各ブロツク内の最大値を検出し、その検出した最大値を減算器6Cに供給する。また最小値検出回路6Bは各ブロツク内の最小値を検出し、その検出した最小値を減算器6Cに供給する。減算器6Cは供給された最大値から最小値を差し引くことにより各ブロツクのダイナミツクレンジを求め、その求めたダイナミツクレンジをダイナミツクレンジメモリ(以下、これをDRメモリと呼ぶ)7に供給する。これによりDRメモリ7には各ブロツクのダイナミツクレンジが順次蓄えられて行く。
一方、ブロツク遅延回路5は時間的な調整を行うための回路であり、上述のようにしてダイナミツクレンジを検出するまでにかかる時間分だけ画像データS4を遅延し、その遅延した画像データS5をブロツク分解メモリ8に供給する。
【0016】
ブロツク分解メモリ8は例えばフレームメモリでなり、供給された画像データS5をブロツク分解して蓄積すると共に、蓄積された画像データを読み出して後段の積和演算回路9に供給する。その際、ブロツク分解メモリ8は読み出した画像データを積和演算回路9の演算形態に合つた信号フオーマツトに変換して当該積和演算回路9に供給する。例えば積和演算回路9が1次元で演算処理する場合には、読み出した画像データを1次元の時系列データに変換して供給し、積和演算回路9が2次元で演算処理する場合には、読み出した画像データを所望ライン数の並列時系列データに変換して供給する。
【0017】
このようなブロツク分解メモリ8の読み出し動作に同期して、DRメモリ7からは注目画素に対応するブロツクのダイナミツクレンジ(DR)が読み出される。すなわちDRメモリ7はブロツク分解メモリ8が読み出している注目画素のブロツクダイナミツクレンジを読み出し、その読み出したダイナミツクレンジをアドレス情報として係数テーブル回路10に供給する。
【0018】
係数テーブル回路10はメモリでなり、積和演算回路9の積和演算に使用される係数組みが予め記憶されており、供給されたダイナミツクレンジ(DR)をアドレス情報としてその係数組みを読み出し、積和演算回路9に供給する。この係数組みは積和演算回路9の演算処理によつて低域通過フイルタが実現されるような数値の組み合わせであり、ダイナミツクレンジが大きい場合にはカツトオフ周波数が高く、ダイナミツクレンジが小さい場合にはカツトオフ周波数が低くなるように設定されている。
【0019】
これはダイナミツクレンジの小さいブロツクは平坦な画像と見なされ、低ビツト割当てが施されているためにブロツク歪みが出やすいということと、平坦な画像の場合には多少強く低域通過フイルタをかけても画像のぼけには影響しないということから、ダイナミツクレンジの小さいブロツクに対しては強めに低域通過フイルタをかければブロツク歪みを効果的に除去できるという原理に基づくものである。またダイナミツクレンジが大きいブロツクに対しては、エツジやデイテール部分が含まれているため、ごく弱い低域通過フイルタをかけるか、又はそのまま通過させることにより、画像のぼけを効果的に防げるというものである。
【0020】
また係数テーブル回路10は制御回路3の制御によつて同じブロツクであつてもブロツク境界付近とブロツク中央付近では異なる係数組みを出力するようになされている。すなわち係数テーブル回路10はブロツク境界付近では低域通過フイルタを実現するような係数組みを出力し、ブロツク中央付近では画像データをそのまま通過させるような係数組みを出力する。これにより画像データのうちブロツク境界付近の画素に対してのみ低域通過フイルタをかけることができる。
【0021】
積和演算回路9は上述のようにしてブロツク分解メモリ8から供給された画像データと係数テーブル回路10から供給された係数組みを用いて、注目画素毎に所定タツプ数の積和演算(Σai i :但し、ai は係数、xi は画像データとする)を施すことにより、画像データのうちブロツク境界付近の画素に対して低域通過フイルタをかけ、画像データからブロツク歪みを除去し、そのブロツク歪みを除去した画像データS6を出力する。その際、係数テーブル回路10から供給される係数組みがブロツクダイナミツクレンジの大きさによつて切り換わるため低域通過フイルタの通過帯域特性を適宜に切り換えることができ、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0022】
因みに、制御回路3からブロツク分解メモリ8やDRメモリ7に供給されている信号(S7、S8)は、書き込み動作及び読み出し動作時に使用するアドレス信号やイネーブル信号等の制御信号である。また制御回路3から係数テーブル回路10に供給されている信号(S9)は、水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を基に求めたブロツク内の画素の相対的な位置情報、すなわちブロツク境界を認識するための識別情報である。従つて係数テーブル回路10はこの制御回路3から供給される位置情報を基に、ブロツク境界を認識し、上述のようにブロツク境界付近とブロツク中央付近で出力する係数組みを切り換える。
【0023】
ここで係数テーブル回路10が出力する係数組みについて説明する。例えば積和演算回路9が注目画素に対して3タツプの1次元の積和演算を行う場合には、図2に示すように、ダイナミツクレンジが大きく、かつ注目画素がブロツク境界付近のときには〔1/4、2/4、1/4〕でなる係数組みを出力し、ダイナミツクレンジが小さく、かつ注目画素がブロツク境界付近のときには〔1/8、6/8、1/8〕でなる係数組みを出力し、注目画素がブロツク中央付近のときにはダイナミツクレンジの大きさに関係なく〔0、1、0〕でなる係数組みを出力する。
【0024】
また例えば積和演算回路9が注目画素に対して(3×3)タツプの2次元の積和演算を行う場合には、図3に示すように、ダイナミツクレンジが大きく、かつ注目画素がブロツク境界付近のときには〔0、1/6、0、1/6、1/3、1/6、0、1/6、0〕でなる係数組みを出力し、ダイナミツクレンジが小さく、かつ注目画素がブロツク境界付近のときには〔0、1/8、0、1/8、1/2、1/8、0、1/8、0〕でなる係数組みを出力し、注目画素がブロツク中央付近のときにはダイナミツクレンジの大きさに関係なく〔0、0、0、0、1、0、0、0、0〕でなる係数組みを出力する。
【0025】
以上の構成において、画像信号復号装置1では、DCT符号化によつて高能率圧縮符号化された伝送画像データS1をまずブロツク復号回路4によつて復号する。そして最大値検出回路6A、最小値検出回路6B及び減算器6Cを用いて、復元した画像データS4から各ブロツク内の最大値及び最小値を検出し、検出した最大値と最小値の差分を求めて各ブロツクのダイナミツクレンジを求める。この求めたダイナミツクレンジはDRメモリ7を介して係数テーブル回路10にアドレス情報として供給される。また制御回路3は水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を基にブロツク内の画素の相対的な位置情報を求め、係数テーブル回路10に供給する。
【0026】
係数テーブル回路10は、予め記憶されている低域通過フイルタの通過帯域特性を決める係数組みを、供給されたダイナミツクレンジをアドレス情報として読み出し、積和演算回路9に供給する。その際、係数テーブル回路10は供給された位置情報を基に注目画素がブロツク境界付近であるか、それともブロツク中央付近であるかを認識し、出力する係数組みを切り換える。具体的には、注目画素がブロツク境界付近であれば、低域通過フイルタを実現するような係数組みを出力し、ブロツク中央付近であればそのまま通過させるような係数組みを出力する。
【0027】
積和演算回路9はこの供給された係数組みを用いて積和演算を行うことにより、画像データのうちブロツク境界付近の画素に対してのみ低域通過フイルタをかけ、ブロツク歪みを除去する。その際、係数テーブル回路10から出力される係数組みがダイナミツクレンジの大きさに応じて変化するため、ブロツク歪みが出やすいダイナミツクレンジの小さいブロツクとエツジやデイテール部分を含みやすいダイナミツクレンジの大きいブロツクとで低域通過フイルタの通過帯域特性を変化させることができる。
【0028】
このようにして画像信号復号装置1では、ブロツク内の最大値と最小値を基にその差分であるダイナミツクレンジを検出し、検出したダイナミツクレンジの大きさに応じてブロツク境界付近の画素にかける低域通過フイルタの通過帯域特性を変化させる。これによりエツジやデイテール部分をなまらせることなく、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0029】
因みに、この実施例の場合には、画像信号復号装置1における処理だけで良いため、送信側の装置に負担をかけることもなく、また伝送フオーマツトを変更する必要もないという利点がある。
【0030】
以上の構成によれば、ブロツク内のダイナミツクレンジを検出し、検出したダイナミツクレンジの大きさに応じてブロツク境界付近の画素にかける低域通過フイルタの通過帯域特性を変化させるようにしたことにより、エツジやデイテール部分をなまらせることなく、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0031】
(2)第2実施例
図1との対応部分に同一符号を付して示す図4において、20は全体として第2実施例による画像信号復号装置を示し、この実施例の場合には、クラス毎の適応予測処理を行うことによりブロツク歪みを適応的に除去する。
【0032】
まず画像信号復号装置20では、第1実施例と同様に、DCT符号化によつて高能率圧縮符号化された伝送画像データS1をフレーム分解回路2を介してブロツク復号回路4に入力し、ここでブロツク単位で元のレベルデータに復元する。このブロツク単位で復元された画像データS4はダイナミツクレンジ検出回路6の最大値検出回路6A及び最小値検出回路6Bに供給され、ここで各ブロツク毎に最大値及び最小値が検出される。検出された最大値及び最小値は減算器6Cに供給され、ここでその差分を求めることにより各ブロツクのダイナミツクレンジが求められる。この求められたダイナミツクレンジはブロツク毎に順次DRメモリ7に蓄えられて行く。
【0033】
また復元された画像データS4はブロツク遅延回路5に供給され、ここでダイナミツクレンジを検出するまでにかかる時間分だけ遅延させられた後、遅延・予測タツプメモリ21及びクラス生成回路22に供給される。
【0034】
遅延・予測タツプメモリ21は供給された画像データS5をブロツク分解して蓄積する。また遅延・予測タツプメモリ21は、蓄積された画像データを読み出す際に、後述するクラス生成回路22、DRメモリ7及び制御回路23の処理時間分だけ遅延処理して時間調整し、かつ注目画素を中心としてその周辺画素を集めることによつて積和演算に要する予測タツプを形成した上で、蓄積された画像データを読み出す。そして遅延・予測タツプメモリ21はその読み出した画像データを後段の積和演算回路24の演算形態に合つた信号フオーマツトに変換して当該積和演算回路24に供給する。例えば積和演算回路24が1次元で演算処理する場合には、読み出した画像データを1次元の時系列データに変換して供給し、積和演算回路24が2次元で演算処理する場合には、読み出した画像データを所望ライン数の並列時系列データに変換して供給する。
【0035】
このような遅延・予測タツプメモリ21の読み出し動作に同期して、DRメモリ7からは注目画素に対応するブロツクのダイナミツクレンジ(DR:例えば8ビツト)が読み出される。DRメモリ7は読み出したダイナミツクレンジをそのまま、又はnビツトシフトダウンしてビツト数を減らしたものを、係数テーブル回路25をアクセスするためのアドレス情報の一部として当該係数テーブル回路25に供給する。
【0036】
また制御回路23は水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を基にして注目画素のブロツク内での相対的な位置を示す位置情報を求める。例えば図5に示すように、ブロツクが(8×8)画素でなる場合、縦横それぞれ3ビツトずつの合計6ビツトでブロツク内画素の相対的な位置を表す。このようにして表された位置情報S21は、同様に係数テーブル回路25をアクセスするためのアドレス情報の一部として当該係数テーブル回路25に供給される。
【0037】
またクラス生成回路22は注目画素を中心タツプとする空間クラスタツプを設定し、この空間クラスタツプ内の復号値を例えばADRC符号化することにより、空間パターン分類によるクラス検出を行い(すなわち注目画素が属するクラスを検出し)、その結果得られるクラス分類コードS22を同様に係数テーブル回路25をアクセスするためのアドレス情報の一部として当該係数テーブル回路25に供給する。因みに、ADRC符号化する際には、ダイナミツクレンジ検出回路6から出力されるブロツク毎のダイナミツクレンジが用いられる。
【0038】
係数テーブル回路25はメモリでなり、積和演算回路24の積和演算に使用されるクラス毎の係数組みが予め学習によつて記憶されており、供給されたダイナミツクレンジDR、位置情報S21及びクラス分類コードS22を合わせたものをアドレス情報としてそのクラス毎の係数組みを読み出し、積和演算回路24に供給する。すなわち係数テーブル回路25はクラス分類コードS22にダイナミツクレンジDR及び位置情報S21を付加したものを新たなクラス分類コードとしてクラス毎の係数組みを読み出す。
【0039】
積和演算回路24は遅延・予測タツプメモリ21から供給された画像データと係数テーブル回路25から供給された係数組みとを積和演算処理することにより画像データに対してクラス毎の修整を行い(いわゆるクラス毎の適応予測処理を行い)、その結果得られる画像データS23を出力する。その際、係数テーブル回路25から供給される係数組みは、ブロツク歪みが出やすい、或いはエツジやデイテール部分を含みやすい等といつた特徴を表すブロツクのダイナミツクレンジ(DR)や、注目画素がブロツク内のどの位置に当たるかといつたことを表す位置情報(S21)が考慮された係数組みであるため、エツジやデイテール部分をなまらせることもなく、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0040】
ここで係数テーブル回路25に記憶されている係数組みは、以下に説明するような学習により求めらる。まず既に知られている第1の画像データと、その第1の画像データに対してDCT符号化及び復号化を施した第2の画像データを用意する。また上述のクラス分類と同様に、ADRC符号化によつて得たクラス分類コードにダイナミツクレンジ及び位置情報を付加した新たなクラス分類コードを生成する。そしてその求めたクラス分類コード毎に、第1及び第2の画像データに対して最小二乗法を適用した学習を施し、最適な係数組みを求める。この求めた係数組みをクラス分類コード毎にメモリに記憶することにより係数テーブル回路25が形成される。
【0041】
すなわち係数テーブル回路25を形成する際には、図6に示すような係数作成回路30が用いられる。まず係数作成回路30に対しては既に知られている画像データS30が入力される。この画像データS30は学習処理のため係数選定回路31に入力されると共に、符号化復号化処理のためにDCT符号化回路32に入力される。また画像データS30のうち垂直同期信号や水平同期信号等の位置情報S31も、位置情報によるクラス分類を行うため係数選定回路31に入力される。
【0042】
DCT符号化回路32は画像データS30にブロツク単位のDCT符号化を施し、その結果得られる圧縮符号化された画像データS32をデコーダ33に供給する。デコーダ33は圧縮符号化された画像データS32をブロツク単位で復号し、復号された画像データS33を係数選定回路31に供給すると共に、ダイナミツクレンジ検出回路34及びクラス生成回路35に供給する。
【0043】
ダイナミツクレンジ検出回路34は画像データS33を基に各ブロツクのダイナミツクレンジDRを検出する。このダイナミツクレンジDRは、クラス分類の一要素として係数選定回路31に供給される。またクラス生成回路35は画像データS33にADRC符号化を施すことによつてクラス分類コードS34を生成する。このクラス分類コードS34は新たなクラス分類の一要素として係数選定回路31に供給される。
【0044】
係数選定回路31は供給されたクラス分類コードS34にダイナミツクレンジDR及び位置情報S31の要素を付加した新たなクラス分類コードを作成し、そのクラス毎に画像データS30、S31の相関関係を線形1次結合で表し、このとき用いた係数組みを最小二乗法を適用した学習により求める。そしてその求めた係数組みをクラス分類コードと共に係数テーブル回路25を形成するメモリに供給する。これにより最適に適応予測処理し得る係数テーブルが作成される。
因みに、ブロツク歪みが出やすい、或いはエツジやデイテール部分を含みやすい等といつた特徴を表すブロツクのダイナミツクレンジや、注目画素がブロツク内のどの位置に当たるかといつたことを表す位置情報を考慮した上で、係数組みを求めると、ブロツク歪みを適応的に低減するような係数組みが得られることになる。
【0045】
以上の構成において、画像信号復号装置20では、DCT符号化によつて高能率圧縮符号化された伝送画像データS1をまずブロツク復号回路4によつて復号する。そしてダイナミツクレンジ検出回路6によつて各ブロツクのダイナミツクレンジを求め、そのダイナミツクレンジをDRメモリ7を介して係数テーブル回路25に供給する。また復元されたブロツク単位の画像データS5をクラス生成回路22に供給し、ここでADRC符号化によるクラス分類コードS22を生成し、そのクラス分類コードS22を係数テーブル回路25に供給する。
また制御回路23では、水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を基にして注目画素のブロツク内での相対的な位置を示す位置情報S21を求め、この位置情報S21を係数テーブル回路25に供給する。
【0046】
係数テーブル回路25は供給されたクラス分類コードS22、ダイナミツクレンジDR及び位置情報S21を合わせたものをアドレス情報として予めクラス毎に記憶されている係数組みを読み出す。すなわちクラス分類コードS22にダイナミツクレンジDR及び位置情報S21を付加したものをクラス分類コードとして係数組みを読み出す。
【0047】
積和演算回路24は遅延・予測タツプメモリ21から供給された画像データと係数テーブル回路25から供給された係数組みとを積和演算処理することにより画像データに対してクラス毎の修整を行う。その際、係数テーブル回路25から供給される係数組みは、ブロツク歪みが出やすい、或いはエツジやデイテール部分を含みやすい等といつた特徴を表すブロツクのダイナミツクレンジ(DR)や、注目画素がブロツク内のどの位置に当たるかといつたことを表す位置情報(S21)が考慮された係数組みであるため、エツジやデイテール部分をなまらせることもなく、ブロツク境界付近に発生するブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0048】
このようにして画像信号復号装置20では、ブロツク内のダイナミツクレンジ(DR)を検出すると共に、ブロツク内の画素の相対的な位置情報(S21)を検出する。そして復元した画像データ(S5)をパターン分類して得られるクラス分類コード(S22)に検出したダイナミツクレンジや位置情報を付加して新たなクラス分類を行い、そのクラス毎に画像データの修整を行う。これによりエツジやデイテール部分をなまらせることもなく、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0049】
因みに、この実施例の場合にも、画像信号復号装置20における処理だけで良いため、送信側の装置に負担をかけることもなく、また伝送フオーマツトを変更する必要もないという利点がある。またこの実施例の場合には、クラス毎に画像データを修整する、いわゆる適応予測処理を行うことにより、ブロツク歪みを適応的に除去し得るだけでなく、解像度も向上し得る。
【0050】
以上の構成によれば、復元した画像データをパターン分類して得られるクラス分類コードに検出したダイナミツクレンジや位置情報を付加して新たなクラス分類を行い、そのクラス毎に係数を読み出して画像データの修整を行うようにしたことにより、エツジやデイテール部分をなまらせることもなく、ブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【0051】
(3)他の実施例
(3−1)なお上述の第1実施例においては、画像データS1がDCT符号化によつて圧縮符号化された場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像データがADRC符号化、DPCM(Differential Pulse Code Modulation)符号化、BTC(Block Truncation Coding )符号化等、その他の圧縮符号化によつて符号化された場合にも上述の場合と同様の効果を得ることができる。
例えば入力された画像データがADRC符号化によつて圧縮符号化されている場合には、ダイナミツクレンジによつて適応的に決められた量子化ステツプ幅で逆量子化した後、最小値を加算して復号処理するようなブロツク符号回路を設ければ良い。またこの場合には、符号化された画像データの中にダイナミツクレンジがそもそも存在するため単にそのダイナミツクレンジを抽出すれば良く、最大値検出回路6A、最小値検出回路6B及び減算器6Cでなるダイナミツクレンジ検出回路6を設ける必要はなくなる。
【0052】
(3−2)また上述の第1実施例においては、注目画素に対して対応するダイナミツクレンジを1つだけDRメモリ7から読み出した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、隣接する周辺ブロツクのダイナミツクレンジもDRメモリ7から読み出し、適当な情報量にスケールダウンして用いるようにすれば、周辺ブロツクの様子も考慮した細かなブロツク歪み除去を行うことができる。
【0053】
(3−3)さらに上述の第1実施例においては、係数テーブル回路10と積和演算回路9とを分けて説明したが、本発明はこれに限らず、係数テーブル回路10と積和演算回路9とをまとめてブロツク歪み除去回路とするようにしても良い。
【0054】
(3−4)また上述の第2実施例においては、画像データS1がDCT符号化によつて圧縮符号化された場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像データがADRC符号化、DPCM符号化、BTC符号化等、その他の圧縮符号化によつて符号化された場合にも上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0055】
例えば入力された画像データがADRC符号化によつて圧縮符号化されている場合には、図7に示すように構成すれば良い。すなわちADRC符号化された画像データS40をフレーム分解回路2を介してADRCデコーダ41、クラス生成回路42及びDRメモリ7に供給する。その際、フレーム分解回路2によつて抽出した水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を制御回路23に供給する。
【0056】
ADRCデコーダ41は、ダイナミツクレンジによつて適応的に決められた量子化ステツプ幅で逆量子化した後、最小値を加算して復号処理することによりADRC符号化された画像データS40をブロツク単位で復元し、その結果得られる画像データS41を遅延・予測タツプメモリ21に供給する。
【0057】
クラス生成回路42はADRC符号化された画像データS40に含まれる再量子化コードQを抽出し、その抽出した再量子化コードQをそのまま用いるか、又は所定タツプ数分集めることによりクラス分類コードS42を生成し、そのクラス分類コードS42を係数テーブル回路43に供給する。
【0058】
DRメモリ7はADRC符号化された画像データS40に含まれるダイナミツクレンジDRを抽出し、その抽出したダイナミツクレンジを順次蓄積すると共に、読み出して係数テーブル回路43に供給する。すなわちこの場合には、画像データS40の中にそもそもダイナミツクレンジが含まれているため、そのダイナミツクレンジを抽出するだけで良い。
【0059】
制御回路23は第2実施例と同様に供給された水平同期信号S2及び垂直同期信号S3を基にして注目画素のブロツク内での相対的な位置を示す位置情報を求め、その求めた位置情報S21を係数テーブル回路43に供給する。
遅延・予測タツプメモリ21は第2実施例と同様に遅延とブロツク分解及び予測タツプ形成を兼ねたメモリであり、蓄積された画像データを順次読み出して積和演算回路24に供給する。
【0060】
係数テーブル回路43は積和演算回路24の積和演算に使用されるクラス毎の係数組みが予め学習によつて記憶されたメモリであり、供給されたダイナミツクレンジDR、位置情報S21及びクラス分類コードS42を合わせたものをアドレス情報としてその記憶されている係数組みを読み出して積和演算回路24に供給する。
【0061】
かくして積和演算回路24において、遅延・予測タツプメモリ21から供給された画像データと係数テーブル回路43から供給された係数組みとを積和演算処理してクラス毎に適応予測処理を行うことにより、ブロツク歪みを除去した画像データS43が得られる。
このようにして入力された画像データS40がADRC符号化によつて圧縮符号化されている場合には、ダイナミツクレンジ検出回路が不要になり、構成を一段と簡易にすることができる。
【0062】
因みに、この場合には、図8に示すような係数作成回路50を用いて係数テーブル回路43を形成する。この係数作成回路50においては、まず学習処理のために、既に知られている画像データS50と、その画像データS50をADRC符号化回路52及びADRCデコーダ53によつて符号化復号化処理した画像データS51とを係数選定回路51に供給する。
また係数作成回路50においては、クラス分類のために、画像データS50のうち垂直同期信号や水平同期信号等の位置情報S52と、ADRC符号化した画像データS53に含まれるダイナミツクレンジDRと、画像データS53に含まれる再量子化コードQを基にしてクラス生成回路54で発生したクラス分類コードS54とを係数選定回路51に供給する。
【0063】
係数選定回路51は供給されたクラス分類コードS54にダイナミツクレンジDR及び位置情報S52の要素を付加した新たなクラス分類コードを作成し、そのクラス毎に画像データS50、S51の相関関係を最小二乗法を適用した学習により求める。そしてその求めた相関関係を表す係数組みをクラス分類コードと共に係数テーブル回路43を形成するメモリに供給する。これにより最適に適応予測処理し得る係数テーブルが作成される。
【0064】
(3−5)さらに上述の第2実施例においては、クラス生成回路22でクラス分類する際、ADRC符号化を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、クラス分類の手法としてはDCT符号化、DPCM符号化、BTC符号化等、その他の圧縮符号化を用いるようにしても上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0065】
(3−6)また上述の実施例においては、圧縮符号化されて伝送されてきた伝送画像データS1を復号する画像信号復号装置に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば圧縮符号化されて記録された画像データを復号して再生する画像信号復号装置に適用した場合にも上述の場合と同様の効果を得ることができる。要は、圧縮符号化された画像データを復号する画像信号復号装置であれば広く適用し得る。
【0066】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、ブロツクのダイナミツクレンジが小さいときほど、当該ブロツク境界付近の画素に対してより強い低域通過フイルタを施すことができ、かくしてエツジ部分やデイテール部分をなまらせることなくブロツク歪みを適応的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による画像信号復号装置の構成を示すブロツク図である。
【図2】係数テーブル回路から出力される係数組みの一例を示す略線図である。
【図3】係数テーブル回路から出力される係数組みの一例を示す略線図である。
【図4】第2実施例による画像信号復号装置の構成を示すブロツク図である。
【図5】ブロツク内画素の相対位置についての説明に供する略線図である。
【図6】係数作成回路の構成を示すブロツク図である。
【図7】他の実施例による画像信号復号装置の構成を示すブロツク図である。
【図8】他の実施例による係数作成回路の構成を示すブロツク図である。
【符号の説明】
1、20、40……画像信号復号装置、3、23……制御回路、4……ブロツク復号回路、6……ダイナミツクレンジ検出回路、7……DRメモリ、8……ブロツク分解メモリ、9、24……積和演算回路、10、25、43……係数テーブル回路、21……遅延・予測タツプメモリ、22、42、54……クラス生成回路、30、50……係数作成回路、31、51……係数選定回路、41……ADRCデコーダ。

Claims (3)

  1. 所定の圧縮符号化手段によりブロツク単位で圧縮符号化された圧縮画像データを復号する画像信号復号装置において、
    上記圧縮画像データをブロツク単位で復号した復号画像データの各ブロツクのダイナミツクレンジを検出するダイナミツクレンジ検出手段と、
    上記復号画像データの各ブロツク内の画素について相対的な位置情報を検出する位置情報検出手段と、
    上記ダイナミツクレンジ検出手段により検出されるブロツクのダイナミツクレンジが小さいときほど、上記位置情報に基づいて認識される当該ブロツク境界付近の画素に対してより強い低域通過フイルタを施すことにより、復号時に発生するブロツク歪みを除去するブロツク歪み除去手段と
    を具えることを特徴とする画像信号復号装置。
  2. 上記ブロツク歪み除去手段は、
    係数供給回路と、
    上記復号画像データにおけるブロツク内の所定数画素に対し、上記係数供給回路から供給される係数を用いて積和演算する積和演算回路と
    を有し、
    上記係数供給回路は、
    上記積和演算回路により積和演算される上記所定数画素のうちの注目画素が、ブロツクの境界付近にある場合であつて、当該ブロツクについて検出されたダイナミツクレンジが小さいときほど、当該注目画素に対してより強い低域通過フイルタが施されるような係数を上記積和演算回路に対して供給する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像信号復号装置。
  3. 所定の圧縮符号化手段によりブロツク単位で圧縮符号化された圧縮画像データを復号する画像信号復号方法において、
    上記圧縮画像データをブロツク単位で復号した復号画像データの各ブロツクのダイナミツクレンジを検出するダイナミツクレンジ検出ステツプと、
    上記復号画像データの各ブロツク内の画素について相対的な位置情報を検出する位置情報検出ステツプと、
    上記ダイナミツクレンジ検出ステツプにより検出されるブロツクのダイナミツクレンジが小さいときほど、上記位置情報に基づいて認識される当該ブロツク境界付近の画素に対してより強い低域通過フイルタを施すことにより、復号時に発生するブロツク歪みを除去するブロツク歪み除去ステツプと
    を具えることを特徴とする画像信号復号方法。
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