JP3661753B2 - 杭の免震構造及びそれに用いる既製杭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、杭、特に杭頭における免震構造及びそれに用いる既製杭に関する。
【0002】
【従来の技術】
杭基礎には支持杭形式と摩擦杭形式とがあり、前者は、良質な支持層が地下深くにある場合に該支持層まで打ち込んだ杭の上に上部構造物を構築することによって、構造物重量を支持層で安定支持する形式であり、後者は、良質な支持層がない場合に周辺地盤との摩擦力によって上部構造物を支持する形式の基礎形式である。
【0003】
これらの杭は、当然ながら上部構造物の重量を確実に支持できなければならないが、地震時においては、上部構造物からの水平力によって杭頭に大きなせん断力や曲げモーメントが作用するため、設計施工時には地震時安全性に対する十分な配慮が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、杭と基礎スラブとを接合する方法として、場所打ちコンクリート杭の杭頭を基礎スラブに10cm程度埋め込んで予め出しておいた杭の主筋を基礎スラブに定着させたり、既製杭の杭頭を基礎スラブに杭径長さ程度埋め込んだりする方法があったが、これらの接合方法では、固定度αが1.0、すなわちほぼ剛接となり、巨大地震時においては、杭頭に過大なせん断力や曲げモーメントが作用し、杭の破壊ひいては上部構造物の倒壊といった不測の事態を招くおそれがあった。
【0005】
また、PC杭やPHC杭の杭頭を10cm程度基礎スラブに埋め込んで杭切断のときに残しておいたPC鋼線や鋼棒を基礎スラブに定着させたり、鋼管杭や外殻鋼管付き既製コンクリート杭の杭頭に溶接された接合鉄筋を基礎スラブに定着させたり、杭中空部に杭径の2倍程度の長さで鉄筋コンクリートを充填する中詰め補強を行ったりする方法があったが、これらの接合方法でも、固定度は上述した接合方法よりも小さくなるものの、軸力作用下では、かなりの曲げモーメントが杭頭に発生することが実験で確かめられており、巨大地震の下では、やはり曲げモーメントによる杭頭破壊の懸念を免れない。
【0006】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、地震時曲げモーメントによる杭頭での破壊を防止可能な杭の免震構造及びそれに用いる既製杭を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る杭の免震構造は請求項1に記載したように、杭径とほぼ同等の外径を有する外管と該外管に補剛材を介して同軸に接合され前記外管よりも天端位置が高い内管とを備えた連結部材を杭頭に取り付けるとともに前記内管に所定の接合材を鉛直姿勢にて固定し、前記内管の天端を上部構造物の基部に当接するとともに該基部に前記接合材を貫入したものである。
【0009】
また、本発明に係る杭の免震構造は、前記内管の内部空間にコンクリートを充填して該コンクリート内に前記接合材を定着したものである。
【0010】
また、本発明に係る杭の免震構造は、前記内管と前記外管との間にコンクリートを充填したものである。
【0011】
また、本発明に係る杭の免震構造は、前記接合材と前記基部との貫入構造を非付着構造としたものである。
【0012】
また、本発明に係る杭の免震構造は、前記基部の下面に基部側補剛材を取り付け、該基部側補剛材に前記内管の天端を当接したものである。
【0013】
また、本発明に係る既製杭は請求項6に記載したように、杭径とほぼ同等の外径を有する外管と、該外管に補剛材を介して同軸に接合され前記外管よりも天端位置が高い内管とを備えた連結部材を杭頭に取り付けてなるものである。
【0017】
請求項1に係る本発明の杭の免震構造においては、外管よりも径の小さな内管の天端位置を外管よりも高く設定し、該内管の天端を上部構造物の基部に当接してある。
【0018】
そのため、上部構造物の基部と杭の頂部との接触面積が大幅に小さくなって両者の接合状況がピン接合若しくはそれに近い状態となり、杭頭に発生する曲げモーメントも実質的に零となるか、若しくは大幅に減少する。一方、上部構造物の水平力は、基部に貫入された接合材を介してせん断力として杭頭に作用し、杭本体のせん断耐力が有効利用される。
【0019】
請求項1に係る発明においては、内管天端に作用する上部構造物からの鉛直荷重は、該内管を介して補剛材や杭径とほぼ同等の外径を有する外管にも流れるので、該鉛直荷重を杭本体の全断面に均等に作用させやすくなる。また、杭よりも径が小さな内管天端に鉛直荷重が作用することによる該内管の圧縮応力の増加については、そもそも補剛材によって内管の局部座屈が生じにくくなっているため、例えば内管の肉厚を厚くするなどして該内管の圧壊を容易に防止することができる。
なお、杭の種類は任意であり、現場打ちコンクリート杭をはじめ、鋼管杭、PC杭等の既製杭にも適用することができる。
【0020】
接合材をどのようにして内管に固定するかは任意であり、内管を鋼管として該鋼管に溶接する、あるいは該鋼管に溶接されたカプラーにねじ込むといった方法が考えられるが、かかる内管の内部空間にコンクリートを充填して該コンクリート内に前記接合材を定着するようにしたならば、比較的低コストで接合材と内管との固定を実現することができるとともに、上部構造物の基部を構成する際のコンクリート工事と併せて行うことができるため、施工能率が改善する。
【0021】
内管と外管との間については、これを中空にしておいてもよいが、両者の間にコンクリートを充填するようにしたならば、内管、補剛材及び外管が該コンクリートを介して一体化するため、内管天端に作用する鉛直荷重を杭頭の広い範囲に作用させやすくなる。特に、内管の内部空間にコンクリートを充填する際には、連結部材の有効水平断面積が杭径を直径とする円の面積と等しくなり、現場打ちコンクリート杭で杭本体を形成する場合において、上部構造物からの鉛直荷重を杭本体の全断面に均等に伝達させることが可能となる。
【0022】
内管の断面形状については、円形、角形をはじめ、六角形や五角形など任意のものを採用することができる。
【0023】
請求項1に係る杭の免震構造において、接合材としては、上部構造物からの水平力をせん断力として杭頭に伝達できるものであれば、どのようなものでもよく、具体的にはPC鋼棒や鉄筋等が考えられる。
【0024】
ここで、かかる接合材と基部との貫入構造をどのようにするかは任意であり、例えば接合材として異形鉄筋を用いるとともに該異形鉄筋を基部のコンクリートに定着させることにより、上部構造物のロッキングに伴う引抜き力を杭本体に伝達して該ロッキング振動を抑制することも可能となるが、上部構造物にロッキングが生じるおそれがない場合には、接合材と基部との貫入構造を非付着構造、すなわちアンボンド構造とすることができる。かかる構成によれば、地震時に上部構造物から水平力が作用したとき、接合材は、水平方向については付着構造のときと同様、該水平力をせん断力として杭頭に伝達するものの、鉛直方向については基部に何ら拘束されることなく自由に抜け出すので、上部構造物の基部と杭の頂部との接合状況は完全なピン接合状態となる。したがって、杭頭には全く曲げモーメントが発生しなくなる。
【0025】
また、基部の下面に基部側補剛材を取り付け、該基部側補剛材に請求項1の内管天端を当接するようにしたならば、杭の頂部からの鉛直反力を基部の広い範囲に分散させることが可能となり、杭の頂部との接触面積減少に伴う基部の圧壊を未然に防止することができる。
【0026】
請求項6に係る既製杭においては、外管よりも径の小さな内管の天端位置を外管よりも高く設定してあり、かかる内管の天端を上部構造物の基部に当接する。
【0027】
このようにすると、上部構造物の基部との接触面積が大幅に小さくなって該基部との接合状況がピン接合若しくはそれに近い状態となり、杭頭に発生する曲げモーメントも実質的に零となるか、若しくは大幅に減少する。
【0028】
一方、内管に固定された接合材を基部に貫入しておくことにより、上部構造物の水平力は、該接合材を介してせん断力として杭頭に作用し、杭本体のせん断耐力が有効利用される。
【0029】
また、内管天端に作用する上部構造物からの鉛直荷重は、該内管を介して補剛材や杭径とほぼ同等の外径を有する外管にも流れるので、該鉛直荷重を杭本体の全断面に均等に作用させやすくなる。また、杭よりも径が小さな内管天端に鉛直荷重が作用することによる該内管の圧縮応力の増加については、そもそも補剛材によって内管の局部座屈が生じにくくなっているため、例えば内管の肉厚を厚くするなどして該内管の圧壊を容易に防止することができる。
【0030】
杭の種類については任意であり、具体的にはPC杭、PHC杭、鋼管杭等に適用することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る杭の免震構造及びそれに用いる既製杭の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0032】
図1は、本実施形態に係る杭の免震構造を示した側面図である。同図でわかるように、本実施形態に係る杭の免震構造は、現場打ちコンクリート杭1の杭頭2に連結部材3を取り付けるとともに、上部構造物の基部である基礎版4に埋設された基部側補剛材5の下面に連結部材3の頂部を当接させてある。
【0033】
連結部材3は、図2の斜視図及び図3の平面図でよくわかるように、現場打ちコンクリート杭1の杭径とほぼ同等の外径を有する外管6と、該外管に補剛材7を介して同軸に接合され外管6よりも天端位置が高い内管8とから構成してあり、上述した基部側補剛材5の下面には内管8の天端を当接してある。
【0034】
外管6及び内管8は例えば円筒状の鋼管で構成し、それらに台形状平板をなす4枚の補剛材7を溶接するようにすればよい。
【0035】
基部側補剛材5は、中央に円形開口を有する補強板9の該円形開口にその内径と同等の径を有する補強スリーブ10を立設するとともに補強板9の面外剛性を補強するためのスチフナ11を該補強板の背面に立設してこれを溶接等で補強スリーブ10に固定してある。なお、基礎版4を構成するコンクリートへの定着を高めるべく、補強板9の背面にはスタッド12を突設してある。
【0036】
一方、連結部材3の内管8は、その内部空間に充填されたコンクリートに接合材である鉄筋13を鉛直姿勢にて定着固定できるようになっており、該鉄筋は、図1でよくわかるように、基部側補剛材5の補強スリーブ10内に貫通させた上、基礎版4のコンクリート内に貫入し、該コンクリートに付着によって定着してある。
【0037】
また、内管8と外管6との間にはコンクリート16を充填してあり、これら内管8、外管6及び補剛材7の一体化を図ることで、上部構造物からの鉛直荷重を杭頭2の全断面に均等に伝達させることができるようになっている。なお、内管8の外周面と外管6の内周面には、コンクリート16への定着を高めるためのスタッド14、15をそれぞれ突設してある。
【0038】
本実施形態に係る杭の免震構造を構築するには、まず、図4に示すように構築された現場打ちコンクリート杭1の杭頭2に連結部材3を被せ、しかる後に外管6と内管8の間にコンクリート16を充填する。このようにすると、連結部材3の内管8、外管6及び補剛材7が相互に一体化されるとともに、現場打ちコンクリート杭1の杭頭2から突出する主筋21がコンクリート16内に定着されることにより、杭頭2に対しても同時に一体化される。
【0039】
コンクリート16を同図に示す天端ラインまで充填したならば、次に、図5に示すように内管8内に接合材である鉄筋13を配筋するとともに該内管内にコンクリート17を充填し該鉄筋を定着する。なお、かかるコンクリート充填作業は、コンクリート16の充填作業と同時に行うようにしてもよいし、後述する基礎版4のコンクリート工事と同時に行ってもよい。
【0040】
このように杭側の施工が終了したならば、次に、鉄筋13を基部側補剛材5の補強スリーブ10に通すとともに、該基部側補剛材をその補強板9に連結部材3の内管8の天端が当接されるように適当な支保工で仮止めし、かかる状態にて基礎版4を施工する。
【0041】
本実施形態に係る杭の免震構造においては、連結部材3の外管6よりも径の小さな内管8の天端位置を外管6よりも高く設定し、内管8の天端を基礎版4に取り付けられた基部側補剛材5の補強板9に当接してある。
【0042】
このようにすると、上部構造物の基礎版4と杭全体の頂部、すなわち内管8の天端との接触面積は従来に比べて大幅に小さくなり、基礎版4と杭全体の頂部との接合状況は、ピン接合に近い状態となる。そのため、上部構造物からの水平力に起因して杭頭2に発生する曲げモーメントも大幅に減少する。一方、上部構造物の水平力は、基礎版4と内管8の天端との接触面における摩擦力並びに基礎版4に貫入定着された鉄筋13を介してせん断力として杭頭2に作用し、現場打ちコンクリート杭1の杭本体のせん断耐力が有効利用されることとなる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る杭の免震構造によれば、杭本体よりも径の小さな内管8の天端を基礎版4に取り付けられた基部側補剛材5に当接することにより、上部構造物の基礎版4と杭全体の頂部との接触面積が従来に比べて大幅に小さくなる。
【0044】
そのため、基礎版4と杭全体の頂部との接合状況をピン接合に近い状態にすることが可能となり、上部構造物からの水平力に起因して杭頭2に発生する曲げモーメントを大幅に低減し、その結果として、巨大地震下での杭頭での破断ひいては上部構造物の倒壊を未然に防止することが可能となる。また、従来であれば、地震時曲げモーメントが大きいために安全率を十分に見込まざるを得ず、その結果、杭が過大設計となることも少なくなかったが、本実施形態に係る杭の免震構造によれば、地震時曲げモーメントが大幅に低減されるので、現場打ちコンクリート杭1の合理的な断面設計が可能となる。
【0045】
また、本実施形態に係る杭の免震構造によれば、内管8の天端で受けた上部構造物の鉛直荷重を補剛材7を介して外管6に伝達させるとともに、内管8と外管6の間にコンクリート16を充填して連結部材3自体の一体化及び該連結部材と杭頭2との一体化を図り、さらに内管8内にもコンクリートを充填するようにしたので、鉛直荷重の伝達に寄与する連結部材3の有効水平断面積は、杭径を直径とする円の面積とほぼ等しくなり、かくして、上部構造物からの鉛直荷重を現場打ちコンクリート杭1の全断面に均等に伝達させることが可能となる。
【0046】
また、常時の鉛直荷重を杭頭2に均等に作用させることができる結果、上述した地震時曲げモーメントの大幅な低減作用と相まって、現場打ちコンクリート杭1のさらなる合理化が可能となる。
【0047】
なお、内管8には、断面積が小さい分だけ大きな圧縮応力が作用するが、その内外にコンクリートが充填されていること及び補剛材7があることによって局部座屈が生じる懸念はほとんどない。したがって、内管8の肉厚を適宜設定しておけば、上部構造物の鉛直荷重を安全確実に下方に伝達させることができる。また、内管8内のコンクリートは、該内管によって拘束されるため、有効圧縮強度が増加する。
【0048】
また、本実施形態に係る杭の免震構造によれば、内管8の内部空間にコンクリート17を充填して該コンクリート内に接合材である鉄筋13を定着するようにしたので、比較的低コストで鉄筋13と内管8との固定を実現することができるとともに、基礎版4のコンクリート工事と併せて行うことができるため、施工に時間を要することもない。
【0049】
また、本実施形態に係る杭の免震構造によれば、基礎版4に基部側補剛材5を取り付け、該基部側補剛材に内管8の天端を当接するようにしたので、内管8の天端から受ける鉛直反力を基礎版4の広い範囲に分散させることが可能となり、杭の頂部との接触面積減少に伴う基礎版4の圧壊を未然に防止することが可能となる。
【0050】
本実施形態では、内管8の内部空間にコンクリート17を充填して該コンクリート内に接合材である鉄筋13を定着するようにしたが、鉄筋13をどのようにして内管8に固定するかは任意であり、例えばかかる構成に代えて、図6に示すように内管8にカプラー21を溶接し、該カプラーにネジ鉄筋をねじ込んで固定するようにしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、内管8と外管6との間にコンクリート16を充填するようにしたが、例えば杭本体が鋼管、PC杭、PHC杭等の中空杭であるような場合において、該杭本体の肉厚断面に均等に鉛直荷重を伝達させることができるのであれば、内管と外管との間のコンクリート充填を省略してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、接合材である鉄筋13を基部である基礎版4に定着し、その貫入構造を通常の付着構造としたが、上部構造物にロッキングが生じるおそれがない場合には、接合材である鉄筋13と基部である基礎版4との貫入構造を非付着構造、すなわちアンボンド構造としてもよい。
【0053】
かかる構成によれば、地震時に上部構造物から水平力が作用したとき、鉄筋13は、水平方向については付着構造のときと同様、該水平力をせん断力として杭頭2に伝達するものの、鉛直方向については基礎版4に何ら拘束されることなく自由に抜け出すので、上部構造物の基礎版4と杭本体の頂部との接合状況は完全なピン接合状態となり、かくして、杭頭2での曲げモーメントの発生をほぼ完全に防止することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態では、基部である基礎版4の下面に基部側補剛材5を取り付け、該基部側補剛材に内管8の天端を当接するようにしたが、基礎版4が圧壊するおそれがないのであれば、基部側補剛材5を省略して内管8の天端を直接基礎版4の下面に当接させるようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、現場打ちコンクリート杭への採用を前提とした上で連結部材3を現場にて杭頭に連結するようにしたが、PC杭等の既製杭を使用する場合には、図7に示すように、連結部材3を予め工場にてPC杭本体の杭頭31に取り付けた既製杭32を製作し、内管8の内部空間への鉄筋13の配筋やコンクリート17の充填だけを現場で行うようにしてもよい。なお、内管8と外管6との間に充填するコンクリート33については、PC杭本体を構成するコンクリートと兼用することができる。
【0056】
また、本実施形態では、杭頭に連結部材3を取り付け、その天端を基礎版4に当接するようにしたが、必ずしも本実施形態のような連結部材3を採用する必要はなく、要は、杭頭を先細に形成して該杭頭の先細天端を上部構造物の基部である基礎版4に当接するとともに、かかる先細天端から鉛直上方に延びる接合材としての鉄筋を基礎版4に貫入するようにすればよい。
【0057】
具体的には、例えば鋼管杭の杭頭に中空円錐台状の鋼製先細体を溶接等で取り付け、該鋼製先細体の内部空間にコンクリートを充填して該コンクリートに接合材を鉛直姿勢にて固定し、該接合材を基礎版に貫入する構成や、同様の鋼製先細体の天端に溶接等で立設固定された接合材を基礎版に貫入する構成などが考えられる。
【0058】
なお、かかる構成における作用効果については、上述した実施形態の作用効果とほぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係る本発明の杭の免震構造によれば、上部構造物の基部と杭全体の頂部との接合状況をピン接合若しくはそれに近い状態にすることが可能となり、上部構造物からの水平力に起因して杭頭に発生する曲げモーメントを大幅に低減し、その結果として、巨大地震下での杭頭での破断ひいては上部構造物の倒壊を未然に防止することが可能となる。
【0060】
また、請求項2に係る本発明の杭の免震構造によれば、比較的低コストで接合材と内管との固定を実現することができるとともに、基部のコンクリート工事と併せて行うことができるため、施工に時間を要することもないという効果も奏する。
【0061】
また、請求項3に係る本発明の杭の免震構造によれば、内管、補剛材及び外管が該コンクリートを介して一体化するため、内管天端に作用する鉛直荷重を杭頭の広い範囲に作用させやすくなる。特に、内管の内部空間にコンクリートを充填する際には、連結部材の有効水平断面積が杭径を直径とする円の面積と等しくなり、現場打ちコンクリート杭で杭本体を形成する場合において、上部構造物からの鉛直荷重を杭本体の全断面に均等に伝達させることが可能となるという効果も奏する。
【0062】
また、請求項4に係る本発明の杭の免震構造によれば、鉛直方向については基部に何ら拘束されることなく接合材が自由に抜け出すので、上部構造物の基部と杭の頂部との接合状況が完全なピン接合状態となり、かくして、杭頭での曲げモーメント発生をほぼ完全に防止することができるという効果も奏する。
【0063】
また、請求項5に係る本発明の杭の免震構造によれば、杭の頂部からの鉛直反力を基部の広い範囲に分散させることが可能となり、杭の頂部との接触面積減少に伴う基部の圧壊を未然に防止することができるという効果も奏する。
【0064】
また、請求項6に係る本発明の既製杭によれば、上部構造物の基部と杭全体の頂部との接合状況をピン接合若しくはそれに近い状態にすることが可能となり、上部構造物からの水平力に起因して杭頭に発生する曲げモーメントを大幅に低減し、その結果として、巨大地震下での杭頭での破断ひいては上部構造物の倒壊を未然に防止することが可能となる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る杭の免震構造の側面図。
【図2】本実施形態に係る杭の免震構造の分解斜視図。
【図3】基部側補剛材及び連結部材の各平面図。
【図4】本実施形態に係る杭の免震構造の施工手順を示した断面図。
【図5】引き続き施工手順を示した断面図。
【図6】変形例に係る連結部材を示した平面図。
【図7】本実施形態に係る既製杭を示した図であり、(a)は側面図、(b)はA―A線に沿う断面図。
【符号の説明】
1 現場打ちコンクリート杭
2 杭頭
3 連結部材
4 基礎版(基部)
5 基部側補剛材
6 外管
7 補剛材
8 内管
13 鉄筋(接合材)
16、17 コンクリート
31 杭頭
32 既製杭
33 コンクリート
Claims (6)
- 杭径とほぼ同等の外径を有する外管と該外管に補剛材を介して同軸に接合され前記外管よりも天端位置が高い内管とを備えた連結部材を杭頭に取り付けるとともに前記内管に所定の接合材を鉛直姿勢にて固定し、前記内管の天端を上部構造物の基部に当接するとともに該基部に前記接合材を貫入したことを特徴とする杭の免震構造。
- 前記内管の内部空間にコンクリートを充填して該コンクリート内に前記接合材を定着した請求項1記載の杭の免震構造。
- 前記内管と前記外管との間にコンクリートを充填した請求項1若しくは請求項2記載の杭の免震構造。
- 前記接合材と前記基部との貫入構造を非付着構造とした請求項1記載の杭の免震構造。
- 前記基部の下面に基部側補剛材を取り付け、該基部側補剛材に前記内管の天端を当接した請求項1記載の杭の免震構造。
- 杭径とほぼ同等の外径を有する外管と、該外管に補剛材を介して同軸に接合され前記外管よりも天端位置が高い内管とを備えた連結部材を杭頭に取り付けてなることを特徴とする既製杭。
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