JP3660757B2 - コンバインドサイクル発電プラントの制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントの制御装置に係り、特に起動運転時、排熱回収ボイラからタービンバイパス系に供給していた蒸気を、蒸気タービンに移行させる際に発生する蒸気圧力変動を抑制するコンバインドサイクル発電プラントの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンプラントと蒸気タービンプラントを組み合わせ、従来の火力発電プラントの熱効率を大幅に改善したもので、その一例に図4で示す構成のものがある。
【0003】
コンバインドサイクル発電プラント1は、回転軸2を共通にするガスタービンプラント3、蒸気タービンプラント4と、別置き排熱回収ボイラ5をそれぞれ備える。
【0004】
ガスタービンプラント3は、空気圧縮機6、燃焼器7、燃料弁8、ガスタービン9を備え、空気圧縮機6で吸い込んだ大気を高圧化し、その高圧空気に燃料弁8からの燃料を加えて燃焼器7で燃焼ガスを生成し、その燃焼ガスをガスタービン9に案内して膨張仕事をさせ、その膨張仕事により得た回転動力により蒸気タービン10、発電機11を駆動する一方、膨張後の排ガス(排熱)を排熱回収ボイラ5に蒸気発生熱源として供給するようになっている。
【0005】
排熱回収ボイラ5は、ガスタービン9から供給された排ガスにより蒸気を発生し、その蒸気を蒸気タービンプラントに供給するようになっている。
【0006】
また、蒸気タービンプラント4は、圧力センサ12、蒸気加減弁13、蒸気タービン10、復水器14、タービンバイパス系15を備え、排熱回収ボイラ5から供給される蒸気により蒸気タービン10で膨張仕事をさせ、その膨張仕事で得た回転動力およびガスタービン9の回転動力とともに発電機11を駆動する一方、膨張仕事後の排気蒸気を復水器14に案内し、ここで凝縮させて復水にし、その復水を給水として排熱回収ボイラ5に還流させるようになっている。
【0007】
また、蒸気タービンプラント4は、起動運転時、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気が定格圧力、温度に達していないため、タービンバイパス系15のタービンバイパス弁16を弁開させておき、定格圧力・温度になるまでその蒸気を復水器14に供給するようになっている。
【0008】
また、燃料弁8、蒸気加減弁13、タービンバイパス弁16は、制御装置18により弁開閉せしめられるようになっている。特に、起動運転時、排熱回収ボイラ5からタービンバイパス系15に供給される蒸気は、圧力センサ12によりその圧力が検出されており、検出した蒸気圧力信号を制御装置18に入力し、ここで弁開閉演算が行われ、その弁開閉信号をタービンバイパス弁16に与えて弁開閉させ、さらにタービンバイパス弁16の弁リフト検出器17により弁リフト信号が検出され、その弁リフト信号を制御装置18にフィードバックし、そのフィードバック信号によりタービンバイパス弁16の弁リフトを修正し、その流量をコントロールするよう図られている。
【0009】
このように、制御装置18は、タービンバイパス弁16の弁リフトをコントロールしている間に、圧力センサ12により排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の圧力・温度が定格に至ることを検出すると、タービンバイパス弁16を弁閉し、燃料弁8、蒸気加減弁13を弁全開させるようにしている。
【0010】
一方、制御装置18の具体的回路は、図5に示すように、タービンバイパス弁用設定器19とタービンバイパス弁用コントローラ20を備えており、圧力センサ12により検出した実蒸気圧力信号bとタービンバイパス用設定器19の設定弁開信号aをタービンバイパス弁用コントローラ20で突き合わせ、その偏差をPID演算し、そのPID演算信号によりタービンバイパス弁16を弁開閉させるようになっている。
【0011】
また、制御装置18は、排熱回収ボイラ5の蒸気圧力が所定値になったとき、タービンバイパス弁16の弁開閉から蒸気加減弁13の弁開閉に切り替える弁切り替え駆動部21と、起動運転時における蒸気加減弁13の弁開閉を行うローディング制御部22と、定格運転時における蒸気加減弁13の弁開閉を行う圧力制御部23と、ローディング制御部22のローディング信号cおよび圧力制御部23の圧力信号dのいずれか一方に切り替えて蒸気加減弁13に弁開閉信号eとして与える切り替え器28を備える。
【0012】
なお、ここでのローディング制御とは、排熱回収ボイラ5から発生した蒸気が蒸気タービン10に供給可能な圧力に達成するまで、タービンバイパス系15に流れている蒸気の圧力を一定に維持しつつ、タービンバイパス弁の弁開閉から蒸気加減弁13の弁開閉に徐々に移行させる制御をいう。
【0013】
弁切り替え駆動部21は、第1比較器24、第2比較器25、メモリ26、ANDゲート27を備えており、第1比較器24で、弁リフト検出器17より検出したタービンバイパス弁16の実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせ、その実リフト信号gの方が低いときに第1比較器24を通電させてANDゲート27に入力させるようになっている。また、弁切り替え駆動部21は、弁リフト検出器17により検出したタービンバイパス弁16の実リフト信号gと予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hを第2比較器25で突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第2比較器45を通電させてメモリ26に記憶させるようになっている。
【0014】
メモリ26は、記憶信号をANDゲート27およびローディング制御部22のそれぞれに入力する。
【0015】
ローディング制御部22は、設定器29、スイッチ30、積分器31を備えており、弁切り替え駆動部21の出力によりスイッチ30がONすると、設定器29により予め設定した弁開閉変化率信号fを積分器31に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器28に通電するようになっている。
【0016】
また、圧力制御部23は、本発明に直接関係しないのでその具体的回路の説明を省略するが、定格運転時、蒸気を圧力制御する場合、圧力信号dとして切り替え器28に通電するようになっている。
【0017】
次に、コンバインドサイクル発電プラントの制御装置の起動運転時における作用を説明する。
【0018】
ガスタービン9が起動し、燃料弁8から燃焼器7に燃料が供給され、その燃料が点火され、燃焼ガスが生成されると、燃焼器7は、その燃焼ガスをガスタービン9に案内し、膨張仕事をさせ、膨張仕事後の排ガスを蒸気発生熱源として排熱回収ボイラ5に供給する。
【0019】
排熱回収ボイラ5は蒸気を徐々に発生させ、発生する蒸気量の増加に伴って蒸気圧力も徐々に高まる。
【0020】
圧力センサ12は、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の圧力を常時検出しており、その実蒸気圧力信号bをタービンバイパス弁用コントローラ20に入力する。タービンバイパス弁用コントローラ20は、実蒸気圧力信号bをタービンバイパス弁用設定器19からの設定圧力信号aに突き合わせ、その実蒸気圧力信号bの方が高くなると、その偏差を弁開閉信号としてPID演算し、タービンバイパス弁16を弁開させる。さらに、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気が増加すると、その蒸気圧力も高まるので、蒸気圧力をほぼ一定に維持するため、タービンバイパス弁用コントローラ20は、タービンバイパス弁16を弁増開させる。
【0021】
このように、タービンバイパス弁16が弁増開する中で、弁リフト検出器17はタービンバイパス弁16の弁リフトを検出し、検出した実リフト信号gを第1比較器24および第2比較器25にそれぞれ入力する。
【0022】
第1比較器24は、実リフト信号gを、予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせるが、この場合、実リフト信号gの方が高いので、その通電をカットする。
【0023】
他方、第2比較器25は実リフト信号を、予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hに突き合わせ、実弁リフト信号gの方が高いので、そのまま通電させてメモリ26で記憶し、ローディング制御部23のスイッチ30をONする。
【0024】
ローディング制御部22は、スイッチ30がONすると、設定器29の弁開閉変化率信号fを積分器31に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器28に入力する。この場合、切り替え器28は、頭初から接点a側にONしているので、ローディング信号cを弁開閉信号eとして使用し蒸気加減弁13を弁開させる。
【0025】
このように、蒸気加減弁13が弁開し、排熱回収ボイラ5から蒸気タービン10に流れる蒸気の流量が増すにつれ蒸気の圧力は低下する。蒸気の圧力が低下すると、タービンバイパス弁用コントローラ20に入力する実蒸気圧力信号bの方がタービンバイパス弁用設定器19の設定圧力信号aよりも低くなるので、タービンバイパス弁用コントローラ20は、その偏差をPID演算し、その演算信号をタービンバイパス弁16に与えて弁閉を開始する。このとき、弁リフト検出器17で検出していた実リフト信号gは、第2比較器25でタービンバイパス弁用規定信号hより低なっても、メモリ26で記憶した頭初の実リフト信号gが残されているので、ローディング制御部22のスイッチ30はON状態に維持されている。このため蒸気加減弁13は弁増開を続ける。
【0026】
蒸気加減弁13が弁増開を続ける中、タービンバイパス弁16は弁閉を続ける。この間、タービンバイパス弁16の弁リフトを検出していた弁リフト検出器17の実リフト信号gが第1比較器24のタービンバイパス弁用微開信号iよりも低下するので、その実リフト信号gが第1比較器24を通電し、第2比較器25を通電する実リフト信号gとともにANDゲート27に入力される。ANDゲート27は、2つの実リフト信号gが揃うと、切り替え器28のスイッチを接点aから接点bに移動させることによりローディング制御を終了させる。
【0027】
ローディング制御が終了し、タービンバイパス弁16を弁全閉させると、圧力制御部23は、圧力制御信号dを切り替え器28に入力し、弁開閉指令信号eとして蒸気加減弁13に与え、以後、蒸気加減弁13の圧力制御に移行させる。なお、蒸気加減弁13の圧力制御のへの移行時、圧力制御部23には、ローディング制御部22のローディング信号cがトラッキングされているが、蒸気加減弁13の制御部は本発明と直接的関係しないのでその説明を省略する。
【0028】
このように、従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、起動運転時、ローディング制御部の制御指令によりタービンバイパス弁の弁開閉制御から蒸気加減弁の弁開閉制御に移行させる一方、タービンバイパス弁の弁開閉制御の際、実蒸気圧力信号を設定圧力信号に追従させるようにし、排熱回収ボイラ5からタービンバイパス系15に供給する蒸気の圧力をほぼ一定に維持することにより、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の安定化を図っていた。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、図6に示すように、蒸気加減弁13の弁開開始と同時にタービンバイパス弁16の弁閉を開始し、また蒸気加減弁13の弁全開の終了と同時にタービンバイパス弁16の弁全閉を終了させ、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の実蒸気圧力を、予め定められた設定圧力に追従させるようにローディング制御を行っているが、実際には、実蒸気圧力が大きく低下し(圧力偏差)、設定圧力に追従できない現象があらわれている。
【0030】
設定圧力に対し、実蒸気圧力の低下の原因は、タービンバイパス弁16がPID演算による弁開閉制御であるために、演算に若干の時間を要し、このためタービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れるために発生すると考えられる。つまり、蒸気加減弁13が弁開の動作を開始すると、蒸気圧力は低下するが、この時点ではまだ、タービンバイパス弁16は弁閉の動作を開始していないと考えられるからである。
【0031】
このように従来のローディング制御では、蒸気加減弁13の弁開開始に対し、タービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れていた。
【0032】
タービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れると、蒸気の圧力が低下したままローディング制御に入り、ますます蒸気の圧力低下になり、この蒸気の圧力低下により排熱回収ボイラ5の蒸気ドラムから発生する蒸気の流量が不安定になり、また、蒸気ドラムの水位が変動し、排熱回収ボイラ5は不安定な運転をしなければならない問題があった。
【0033】
本発明は、このような技術的背景を踏まえてなされたもので、蒸気加減弁の弁開開始の動作に対し、タービンバイパス弁の弁閉開始の動作が遅れても、排熱回収ボイラから蒸気タービンに供給する蒸気の圧力の安定化を図ったコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載したように、ガスタービンプラント、蒸気タービンプラント、排熱回収ボイラを組み合わせ、排熱回収ボイラの起動運転中、排熱回収ボイラから発生する蒸気をタービンバイパス系に流す間に、その蒸気圧力が一定値を越えたとき、タービンバイパス弁に弁閉信号を与えるとともに、蒸気加減弁に弁閉信号を与える制御部を備えたコンバインドサイクル発電プラントの制御装置において、上記制御部は、蒸気加減弁の弁開閉制御を行う第1スイッチおよび第2スイッチを備えたローディング制御部と、タービンバイパス弁が弁閉するとき、上記ローディング制御部の第1スイッチをONさせる弁切り換え駆動部と、上記タービンバイパス弁が弁閉中、上記排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力と設定蒸気圧力とを突き合わせて偏差を算出する偏差算出部と、その偏差算出部の出力が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記偏差算出部の出力が第2偏差設定圧力値よりも高いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる演算部とを組み込んだタービンバイパス制御部と、上記ローディング制御部の第1スイッチおよび第2スイッチがともにONしたときに蒸気加減弁を弁開させ、上記タービンバイパス制御部の演算部からの演算信号がカットされ、上記第2スイッチがOFFしたときに蒸気加減弁の弁開度をホールドさせる切り替え器とを備えたものである。
【0035】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項2に記載したように、タービンバイパス制御部には偏差算出部が組み込まれており、この偏差算出部は、加減算器であるものである。
【0036】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項3に記載したように、加減算器は、圧力センサからの実蒸気圧力信号に、タービンバイパス弁閉設定器から予め定められた設定圧力信号を突き合わせ、偏差を算出したものである。
【0037】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項4に記載したように、タービンバイパス制御部には演算部が組み込まれており、この演算部は、第1偏差設定圧力値と第2偏差設定圧力値と異なる設定値を備えた比較器であるものである。
【0038】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項5に記載したように、タービンバイパス制御部は、排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力の変化率を演算する微分器と、微分器の演算信号が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記微分器の演算信号が第2偏差設定圧力値より高いときカットし、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる比較器とを備えたものである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0040】
図1は、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を概略的に示す制御ブロック図である。
【0041】
本実施形態に係る制御装置32は、タービンバイパス制御部33、弁切り替え駆動部34、ローディング制御部35、圧力制御部36から構成される。
【0042】
タービンバイパス制御部33は、タービンバイパス弁用設定器37、タービンバイパス弁用コントローラ38、加減算器39、異なる偏差設定圧力値を持つ比較器40を備えており、圧力センサ41で検出した実蒸気圧力信号bを、加減算器39でタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aと突き合わせ、その偏差jが比較器40で第1偏差設定圧力値(1/2ε)より低いとき、比較器40を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせるようになっている。また、その偏差jが比較器40で第2偏差設定圧力値(ε)よりも高いとき、比較器40の通電をカットし、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせるよう図られている。
【0043】
また、実蒸気圧力信号bは、タービンバイパス弁用コントローラ38でタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aと突き合せ、その偏差をPID演算し、その演算信号を弁開閉信号としてタービンバイパス弁42に与えてタービンバイパス弁42を弁開閉させるようになっている。
【0044】
また、弁切り替え駆動部34は、第1比較器44、第2比較器45、メモリ46、ANDゲート47を備え、弁リフト検出器43により検出したタービンバイパス弁42の実リフト信号gを第1比較器44、第2比較器45のそれぞれに入力し、第1比較器44で、その実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁開微開信号iに突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第1比較器44の通電をカットし、その実リフト信号gの方が低いときに第1比較器44を通電させANDゲート47に入力させるようになっている。また、弁切り替え駆動部34は、実リフト信号gと予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hを第2比較器45で突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第2比較器45を通電させてメモリ46に記憶させるようになっている。また、メモリ46は、記憶信号kをANDゲート47およびローディング制御部35のそれぞれに入力する。
【0045】
一方、ローディング制御部35は、設定器48、第1スイッチ49、第2スイッチ50、積分器51を備え、弁切り替え駆動部34の出力およびタービンバイパス制御部33の出力のそれぞれにより第1スイッチ49および第2スイッチ50がONすると、設定器48により予め設定した弁開閉変化率信号fを積分器51に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器48の接点aに通電するようになっている。
【0046】
また、圧力制御部36は、排熱回収ボイラから蒸気タービンに供給する蒸気を圧力制御するとき、圧力信号dを出力し、その圧力信号dを切り替え器48を経て弁開度指令信号eとして蒸気加減弁49に与えるものであるが、ここでの圧力制御は本発明に直接的に関係しないので、その具体的回路の説明を省略する。
【0047】
次に作用を説明する。
【0048】
ガスタービンが起動し、この起動に伴ってガスタービンから排熱回収ボイラに排ガスが供給され、排熱回収ボイラから蒸気が発生し、その圧力が徐々に高まる。蒸気圧力は、圧力センサ41により検出されており、その実蒸気圧力信号bは一方をタービンバイパス制御部33の加減算器39に、また他方をタービンバイパス弁用コントローラ38にそれぞれ入力される。
【0049】
タービンバイパス弁用コントローラ38は、実蒸気圧力信号bを、タービンバイパス弁用設定器37からの設定蒸気圧力信号aに突き合わせ、実蒸気圧力信号bの方が高いとタービンバイパス弁42を弁開させる。
【0050】
タービンバイパス弁42の弁増開中、弁リフト検出器43は、タービンバイパス弁42の弁リフトを検出し、その実リフト信号gを弁切り替え駆動部34の第1比較器44および第2比較器45にそれぞれ入力させる。
【0051】
第1比較器44は、実リフト信号gを、予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせるが、この時点では、実リフト信号gの方が高いので、その実リフト信号gの通過をカットする。
【0052】
また、第2比較器45は、実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hに突きあわせるが、実リフト信号gの方が高いので、第2比較器45を通電し、メモリ46に記憶させるとともに、その出力信号kでローディング制御部35の第1スイッチ49をONさせる。
【0053】
他方、タービンバイパス制御部33の加減算器39は、圧力センサ41により検出した実蒸気圧力信号bを、タービンバイパス弁用設定器37からの設定蒸気圧力信号aに突き合わせ、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力値(1/2ε)より低くなっているので、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせる。
【0054】
このようにしてローディング制御部35の第1スイッチ49、第2スイッチ50のそれぞれがONすると、設定器48から出力される開度変化率信号fは、第1スイッチ49、第2スイッチ50、積分器51を経て演算され、ローディング信号cとして切り替え器48の接点aに通電し、通電後、弁開信号eとして蒸気加減弁53に与えられる。
【0055】
蒸気加減弁53が弁開を開始すると、排熱回収ボイラから供給していた蒸気の圧力は低下し、圧力センサ41の実蒸気圧力信号bの方がタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号よりも低くなるので、タービンバイパス弁42の弁閉を開始しようとするが、タービンバイパス弁用コントローラ38のPID演算に若干の演算遅れが出るため、この時点ではタービンバイパス弁42の弁閉が開始されていない。このため、実蒸気圧力は、図3で示す実線のように、設定蒸気圧力から大きく下まる。
【0056】
実蒸気圧力が設定蒸気圧力から大きく下まると、タービンバイパス制御部33の加減算器39の偏差jは比較器40の第2設定圧力値(ε)を越えるので、比較器40の通電がカットされ、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせる。
【0057】
ローディング制御部35は、第2スイッチ50がOFFされるので、設定器48の弁開閉変化率信号fを一時的に積分器51への通電をカットする。このため、蒸気加減弁53は、図3に示すように、その弁開度を一時的にホールドする。
【0058】
蒸気加減弁53がその弁開度をホールドしている間も、圧力センサ41の実蒸気圧力の方がタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力よりも低いので、タービンバイパス弁用コントローラ38はタービンバイパス弁42の弁閉を続ける。
【0059】
このようにして、タービンバイパス弁用コントローラ38がタービンバイパス弁42の弁閉を続けると、排熱回収ボイラから供給される蒸気の圧力が徐々に上昇を開始し、加減算器39の偏差jも減少し、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力(1/2ε)により小さくなったとき、比較器40を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50を再びONさせ、蒸気加減弁53の弁開度を増開させる。
【0060】
また、蒸気加減弁53の弁増開中、排熱回収ボイラから供給していた蒸気の圧力は低下し、加減算器39の偏差jが比較器40の第2偏差設定圧力(ε)以上となれば、上述と同様に、蒸気加減弁53の弁開度を一時的にホールドさせ、蒸気圧力の回復を待つ。
【0061】
蒸気加減弁53が、その弁開度を一時的にホールドさせ、蒸気圧力を回復させている間、タービンバイパス弁42は弁閉を続ける。タービンバイパス弁42が弁全閉に近づくと、弁リフト検出器43は検出していた実弁リフト信号gが弁切り替え駆動部34の比較器44のタービンバイパス弁用微開信号iよりも下廻るので、その実リフト信号gを比較器44を経てANDゲート47に入力させ、上述メモリ46の出力信号kが揃ったことを条件に切り替え器53を切点aから切点bに移行させ、ローディング制御を終了させ、蒸気加減弁53の圧力制御を開始させる。
【0062】
このように、本実施形態では、圧力センサ41の実蒸気圧力信号とタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aとの偏差jを、加減算器39で算出させ、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力(1/2ε)よりも低いとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせて蒸気加減弁53を弁開させ、また、偏差jが比較器40の第2偏差設定圧力(ε)よりも大きいとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせ、蒸気加減弁53の弁開度を一時的にホールドさせるようにしたので、排熱回収ボイラから供給する蒸気の圧力をほぼ一定に維持することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、排熱回収ボイラの蒸気ドラムから発生する蒸気の流量の安定化および蒸気ドラムの水位変動防止を図ったので、起動運動時における排熱回収ボイラの安定運転を行わせることができる。
【0064】
図2は、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施例を概略的に示す制御ブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成部分には、同一符号を付し、異なる構成部分ついて説明する。
【0065】
本実施例は、タービンバイパス制御部33に微分器54と比較器55を組み合わせ、圧力センサ41で検出した実蒸気圧力信号bを、微分器54でその変化率信号に演算させ、その演算信号lの絶対値が比較器55で第1偏差設定圧力値(−ε)より低いとき、比較器55を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせ、またその演算信号lの絶対値が比較器55で第2偏差設定圧力値(+ε)より高いとき、比較器55の通電をカットし、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせたものである。
【0066】
このように、本実施例は、実蒸気圧力信号bを、微分器54でその変化率信号に演算させ、その演算信号lの絶対値が比較器55の第1偏差設定圧力値(−ε)より低いとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせ、蒸気加減弁49を弁開させ、蒸気加減弁49の弁開により蒸気圧力が下ってくると、実蒸気圧力信号bも下り、微分器54での演算信号lの絶対値が比較器55の第2偏差設定圧力値(+ε)よりも高くなると、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせ、蒸気加減弁49の弁開度を一時的にホールドさせ、実蒸気圧力の高低に応じて、図3で示す蒸気加減弁49の弁開度の挙動と同様に、蒸気加減弁49を弁増開、ホールドを繰り返させているので、排熱回収ボイラから発生する蒸気の圧力をほぼ一定に維持させることができる。
【0067】
したがって、本実施例も、第1実施形態と同様に、排熱回収ボイラの安定運転を行わせることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、タービンバイパス制御部、弁切り替え駆動部、ローディング制御部、圧力制御部をそれぞれ備え、排熱回収ボイラの起動運転におけるタービンバイパス弁の弁閉中、弁切り替え駆動部によりローディング制御部の第1スイッチをONさせるとともに、排熱回収ボイラから発生する実蒸気圧力がタービンバイパス制御の比較器の第1偏差設定圧力値より低いとき、ローディング制御部の第2スイッチをONさせて蒸気加減弁を弁開させる一方、蒸気加減弁の弁増開中、排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力の低下に伴いタービンバイパス弁の設定器の第2偏差設定圧力値より高まると、ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせて蒸気加減弁の弁開度をホールド状態に維持させる弁開制御を蒸気加減弁に行わせているので、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力をほぼ一定に維持させることができる。
【0069】
したがって、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力をほぼ一定に維持させることができるので、蒸気加減弁のローディング制御から圧力制御への移行を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施形態を概略的に示す制御ブロック図。
【図2】本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施例を概略的に示す制御ブロック図。
【図3】本発明に係る蒸気加減弁およびタービンバイパス弁の弁開閉の挙動と、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力の降下、回復とを対応させたチャート図。
【図4】従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を概略的に示す制御系統図。
【図5】図4で示す制御装置を概略的に示す制御ブロック図。
【図6】従来の蒸気加減弁およびタービンバイパス弁の弁開閉の挙動と排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力の降下、回復とを対応させたチャート図。
【符号の説明】
1 コンバインドサイクル発電プラント
2 回転軸
3 ガスタービンプラント
4 蒸気タービンプラント
5 排熱回収ボイラ
6 空気圧縮機
7 燃焼器
8 燃料弁
9 ガスタービン
10 蒸気タービン
11 発電機
12 圧力センサ
13 蒸気加減弁
14 復水器
15 タービンバイパス弁
16 タービンバイパス弁
17 弁リスト検出器
18 制御装置
19 タービンバイパス弁用設定器
20 タービンバイパス弁用コントローラ
21 弁切り替え駆動部
22 ローディング制御部
23 圧力制御部
24 第1比較器
25 第2比較器
26 メモリ
27 ANDゲート
28 切り替え器
29 設定器
30 スイッチ
31 積分器
32 制御装置
33 タービンバイパス制御部
34 弁切り替え駆動部
35 ローディング制御部
36 圧力制御部
37 タービンバイパス弁用設定器
38 タービンバイパス弁用コントローラ
39 加減算器
40 比較器
41 圧力センサ
42 タービンバイパス弁
43 弁リフト検出器
44 第1比較器
45 第2比較器
46 メモリ
47 ANDゲート
48 設定器
49 第1スイッチ
50 第2スイッチ
51 積分器
52 切り替え器
53 蒸気加減弁
54 微分器
55 比較器
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンバインドサイクル発電プラントの制御装置に係り、特に起動運転時、排熱回収ボイラからタービンバイパス系に供給していた蒸気を、蒸気タービンに移行させる際に発生する蒸気圧力変動を抑制するコンバインドサイクル発電プラントの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンプラントと蒸気タービンプラントを組み合わせ、従来の火力発電プラントの熱効率を大幅に改善したもので、その一例に図4で示す構成のものがある。
【0003】
コンバインドサイクル発電プラント1は、回転軸2を共通にするガスタービンプラント3、蒸気タービンプラント4と、別置き排熱回収ボイラ5をそれぞれ備える。
【0004】
ガスタービンプラント3は、空気圧縮機6、燃焼器7、燃料弁8、ガスタービン9を備え、空気圧縮機6で吸い込んだ大気を高圧化し、その高圧空気に燃料弁8からの燃料を加えて燃焼器7で燃焼ガスを生成し、その燃焼ガスをガスタービン9に案内して膨張仕事をさせ、その膨張仕事により得た回転動力により蒸気タービン10、発電機11を駆動する一方、膨張後の排ガス(排熱)を排熱回収ボイラ5に蒸気発生熱源として供給するようになっている。
【0005】
排熱回収ボイラ5は、ガスタービン9から供給された排ガスにより蒸気を発生し、その蒸気を蒸気タービンプラントに供給するようになっている。
【0006】
また、蒸気タービンプラント4は、圧力センサ12、蒸気加減弁13、蒸気タービン10、復水器14、タービンバイパス系15を備え、排熱回収ボイラ5から供給される蒸気により蒸気タービン10で膨張仕事をさせ、その膨張仕事で得た回転動力およびガスタービン9の回転動力とともに発電機11を駆動する一方、膨張仕事後の排気蒸気を復水器14に案内し、ここで凝縮させて復水にし、その復水を給水として排熱回収ボイラ5に還流させるようになっている。
【0007】
また、蒸気タービンプラント4は、起動運転時、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気が定格圧力、温度に達していないため、タービンバイパス系15のタービンバイパス弁16を弁開させておき、定格圧力・温度になるまでその蒸気を復水器14に供給するようになっている。
【0008】
また、燃料弁8、蒸気加減弁13、タービンバイパス弁16は、制御装置18により弁開閉せしめられるようになっている。特に、起動運転時、排熱回収ボイラ5からタービンバイパス系15に供給される蒸気は、圧力センサ12によりその圧力が検出されており、検出した蒸気圧力信号を制御装置18に入力し、ここで弁開閉演算が行われ、その弁開閉信号をタービンバイパス弁16に与えて弁開閉させ、さらにタービンバイパス弁16の弁リフト検出器17により弁リフト信号が検出され、その弁リフト信号を制御装置18にフィードバックし、そのフィードバック信号によりタービンバイパス弁16の弁リフトを修正し、その流量をコントロールするよう図られている。
【0009】
このように、制御装置18は、タービンバイパス弁16の弁リフトをコントロールしている間に、圧力センサ12により排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の圧力・温度が定格に至ることを検出すると、タービンバイパス弁16を弁閉し、燃料弁8、蒸気加減弁13を弁全開させるようにしている。
【0010】
一方、制御装置18の具体的回路は、図5に示すように、タービンバイパス弁用設定器19とタービンバイパス弁用コントローラ20を備えており、圧力センサ12により検出した実蒸気圧力信号bとタービンバイパス用設定器19の設定弁開信号aをタービンバイパス弁用コントローラ20で突き合わせ、その偏差をPID演算し、そのPID演算信号によりタービンバイパス弁16を弁開閉させるようになっている。
【0011】
また、制御装置18は、排熱回収ボイラ5の蒸気圧力が所定値になったとき、タービンバイパス弁16の弁開閉から蒸気加減弁13の弁開閉に切り替える弁切り替え駆動部21と、起動運転時における蒸気加減弁13の弁開閉を行うローディング制御部22と、定格運転時における蒸気加減弁13の弁開閉を行う圧力制御部23と、ローディング制御部22のローディング信号cおよび圧力制御部23の圧力信号dのいずれか一方に切り替えて蒸気加減弁13に弁開閉信号eとして与える切り替え器28を備える。
【0012】
なお、ここでのローディング制御とは、排熱回収ボイラ5から発生した蒸気が蒸気タービン10に供給可能な圧力に達成するまで、タービンバイパス系15に流れている蒸気の圧力を一定に維持しつつ、タービンバイパス弁の弁開閉から蒸気加減弁13の弁開閉に徐々に移行させる制御をいう。
【0013】
弁切り替え駆動部21は、第1比較器24、第2比較器25、メモリ26、ANDゲート27を備えており、第1比較器24で、弁リフト検出器17より検出したタービンバイパス弁16の実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせ、その実リフト信号gの方が低いときに第1比較器24を通電させてANDゲート27に入力させるようになっている。また、弁切り替え駆動部21は、弁リフト検出器17により検出したタービンバイパス弁16の実リフト信号gと予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hを第2比較器25で突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第2比較器45を通電させてメモリ26に記憶させるようになっている。
【0014】
メモリ26は、記憶信号をANDゲート27およびローディング制御部22のそれぞれに入力する。
【0015】
ローディング制御部22は、設定器29、スイッチ30、積分器31を備えており、弁切り替え駆動部21の出力によりスイッチ30がONすると、設定器29により予め設定した弁開閉変化率信号fを積分器31に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器28に通電するようになっている。
【0016】
また、圧力制御部23は、本発明に直接関係しないのでその具体的回路の説明を省略するが、定格運転時、蒸気を圧力制御する場合、圧力信号dとして切り替え器28に通電するようになっている。
【0017】
次に、コンバインドサイクル発電プラントの制御装置の起動運転時における作用を説明する。
【0018】
ガスタービン9が起動し、燃料弁8から燃焼器7に燃料が供給され、その燃料が点火され、燃焼ガスが生成されると、燃焼器7は、その燃焼ガスをガスタービン9に案内し、膨張仕事をさせ、膨張仕事後の排ガスを蒸気発生熱源として排熱回収ボイラ5に供給する。
【0019】
排熱回収ボイラ5は蒸気を徐々に発生させ、発生する蒸気量の増加に伴って蒸気圧力も徐々に高まる。
【0020】
圧力センサ12は、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の圧力を常時検出しており、その実蒸気圧力信号bをタービンバイパス弁用コントローラ20に入力する。タービンバイパス弁用コントローラ20は、実蒸気圧力信号bをタービンバイパス弁用設定器19からの設定圧力信号aに突き合わせ、その実蒸気圧力信号bの方が高くなると、その偏差を弁開閉信号としてPID演算し、タービンバイパス弁16を弁開させる。さらに、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気が増加すると、その蒸気圧力も高まるので、蒸気圧力をほぼ一定に維持するため、タービンバイパス弁用コントローラ20は、タービンバイパス弁16を弁増開させる。
【0021】
このように、タービンバイパス弁16が弁増開する中で、弁リフト検出器17はタービンバイパス弁16の弁リフトを検出し、検出した実リフト信号gを第1比較器24および第2比較器25にそれぞれ入力する。
【0022】
第1比較器24は、実リフト信号gを、予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせるが、この場合、実リフト信号gの方が高いので、その通電をカットする。
【0023】
他方、第2比較器25は実リフト信号を、予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hに突き合わせ、実弁リフト信号gの方が高いので、そのまま通電させてメモリ26で記憶し、ローディング制御部23のスイッチ30をONする。
【0024】
ローディング制御部22は、スイッチ30がONすると、設定器29の弁開閉変化率信号fを積分器31に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器28に入力する。この場合、切り替え器28は、頭初から接点a側にONしているので、ローディング信号cを弁開閉信号eとして使用し蒸気加減弁13を弁開させる。
【0025】
このように、蒸気加減弁13が弁開し、排熱回収ボイラ5から蒸気タービン10に流れる蒸気の流量が増すにつれ蒸気の圧力は低下する。蒸気の圧力が低下すると、タービンバイパス弁用コントローラ20に入力する実蒸気圧力信号bの方がタービンバイパス弁用設定器19の設定圧力信号aよりも低くなるので、タービンバイパス弁用コントローラ20は、その偏差をPID演算し、その演算信号をタービンバイパス弁16に与えて弁閉を開始する。このとき、弁リフト検出器17で検出していた実リフト信号gは、第2比較器25でタービンバイパス弁用規定信号hより低なっても、メモリ26で記憶した頭初の実リフト信号gが残されているので、ローディング制御部22のスイッチ30はON状態に維持されている。このため蒸気加減弁13は弁増開を続ける。
【0026】
蒸気加減弁13が弁増開を続ける中、タービンバイパス弁16は弁閉を続ける。この間、タービンバイパス弁16の弁リフトを検出していた弁リフト検出器17の実リフト信号gが第1比較器24のタービンバイパス弁用微開信号iよりも低下するので、その実リフト信号gが第1比較器24を通電し、第2比較器25を通電する実リフト信号gとともにANDゲート27に入力される。ANDゲート27は、2つの実リフト信号gが揃うと、切り替え器28のスイッチを接点aから接点bに移動させることによりローディング制御を終了させる。
【0027】
ローディング制御が終了し、タービンバイパス弁16を弁全閉させると、圧力制御部23は、圧力制御信号dを切り替え器28に入力し、弁開閉指令信号eとして蒸気加減弁13に与え、以後、蒸気加減弁13の圧力制御に移行させる。なお、蒸気加減弁13の圧力制御のへの移行時、圧力制御部23には、ローディング制御部22のローディング信号cがトラッキングされているが、蒸気加減弁13の制御部は本発明と直接的関係しないのでその説明を省略する。
【0028】
このように、従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、起動運転時、ローディング制御部の制御指令によりタービンバイパス弁の弁開閉制御から蒸気加減弁の弁開閉制御に移行させる一方、タービンバイパス弁の弁開閉制御の際、実蒸気圧力信号を設定圧力信号に追従させるようにし、排熱回収ボイラ5からタービンバイパス系15に供給する蒸気の圧力をほぼ一定に維持することにより、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の安定化を図っていた。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、図6に示すように、蒸気加減弁13の弁開開始と同時にタービンバイパス弁16の弁閉を開始し、また蒸気加減弁13の弁全開の終了と同時にタービンバイパス弁16の弁全閉を終了させ、排熱回収ボイラ5から発生する蒸気の実蒸気圧力を、予め定められた設定圧力に追従させるようにローディング制御を行っているが、実際には、実蒸気圧力が大きく低下し(圧力偏差)、設定圧力に追従できない現象があらわれている。
【0030】
設定圧力に対し、実蒸気圧力の低下の原因は、タービンバイパス弁16がPID演算による弁開閉制御であるために、演算に若干の時間を要し、このためタービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れるために発生すると考えられる。つまり、蒸気加減弁13が弁開の動作を開始すると、蒸気圧力は低下するが、この時点ではまだ、タービンバイパス弁16は弁閉の動作を開始していないと考えられるからである。
【0031】
このように従来のローディング制御では、蒸気加減弁13の弁開開始に対し、タービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れていた。
【0032】
タービンバイパス弁16の弁閉開始の動作が遅れると、蒸気の圧力が低下したままローディング制御に入り、ますます蒸気の圧力低下になり、この蒸気の圧力低下により排熱回収ボイラ5の蒸気ドラムから発生する蒸気の流量が不安定になり、また、蒸気ドラムの水位が変動し、排熱回収ボイラ5は不安定な運転をしなければならない問題があった。
【0033】
本発明は、このような技術的背景を踏まえてなされたもので、蒸気加減弁の弁開開始の動作に対し、タービンバイパス弁の弁閉開始の動作が遅れても、排熱回収ボイラから蒸気タービンに供給する蒸気の圧力の安定化を図ったコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を提供することを目的とする。
【0034】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載したように、ガスタービンプラント、蒸気タービンプラント、排熱回収ボイラを組み合わせ、排熱回収ボイラの起動運転中、排熱回収ボイラから発生する蒸気をタービンバイパス系に流す間に、その蒸気圧力が一定値を越えたとき、タービンバイパス弁に弁閉信号を与えるとともに、蒸気加減弁に弁閉信号を与える制御部を備えたコンバインドサイクル発電プラントの制御装置において、上記制御部は、蒸気加減弁の弁開閉制御を行う第1スイッチおよび第2スイッチを備えたローディング制御部と、タービンバイパス弁が弁閉するとき、上記ローディング制御部の第1スイッチをONさせる弁切り換え駆動部と、上記タービンバイパス弁が弁閉中、上記排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力と設定蒸気圧力とを突き合わせて偏差を算出する偏差算出部と、その偏差算出部の出力が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記偏差算出部の出力が第2偏差設定圧力値よりも高いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる演算部とを組み込んだタービンバイパス制御部と、上記ローディング制御部の第1スイッチおよび第2スイッチがともにONしたときに蒸気加減弁を弁開させ、上記タービンバイパス制御部の演算部からの演算信号がカットされ、上記第2スイッチがOFFしたときに蒸気加減弁の弁開度をホールドさせる切り替え器とを備えたものである。
【0035】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項2に記載したように、タービンバイパス制御部には偏差算出部が組み込まれており、この偏差算出部は、加減算器であるものである。
【0036】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項3に記載したように、加減算器は、圧力センサからの実蒸気圧力信号に、タービンバイパス弁閉設定器から予め定められた設定圧力信号を突き合わせ、偏差を算出したものである。
【0037】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項4に記載したように、タービンバイパス制御部には演算部が組み込まれており、この演算部は、第1偏差設定圧力値と第2偏差設定圧力値と異なる設定値を備えた比較器であるものである。
【0038】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、上記目的を達成するために、請求項5に記載したように、タービンバイパス制御部は、排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力の変化率を演算する微分器と、微分器の演算信号が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記微分器の演算信号が第2偏差設定圧力値より高いときカットし、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる比較器とを備えたものである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0040】
図1は、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を概略的に示す制御ブロック図である。
【0041】
本実施形態に係る制御装置32は、タービンバイパス制御部33、弁切り替え駆動部34、ローディング制御部35、圧力制御部36から構成される。
【0042】
タービンバイパス制御部33は、タービンバイパス弁用設定器37、タービンバイパス弁用コントローラ38、加減算器39、異なる偏差設定圧力値を持つ比較器40を備えており、圧力センサ41で検出した実蒸気圧力信号bを、加減算器39でタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aと突き合わせ、その偏差jが比較器40で第1偏差設定圧力値(1/2ε)より低いとき、比較器40を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせるようになっている。また、その偏差jが比較器40で第2偏差設定圧力値(ε)よりも高いとき、比較器40の通電をカットし、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせるよう図られている。
【0043】
また、実蒸気圧力信号bは、タービンバイパス弁用コントローラ38でタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aと突き合せ、その偏差をPID演算し、その演算信号を弁開閉信号としてタービンバイパス弁42に与えてタービンバイパス弁42を弁開閉させるようになっている。
【0044】
また、弁切り替え駆動部34は、第1比較器44、第2比較器45、メモリ46、ANDゲート47を備え、弁リフト検出器43により検出したタービンバイパス弁42の実リフト信号gを第1比較器44、第2比較器45のそれぞれに入力し、第1比較器44で、その実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁開微開信号iに突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第1比較器44の通電をカットし、その実リフト信号gの方が低いときに第1比較器44を通電させANDゲート47に入力させるようになっている。また、弁切り替え駆動部34は、実リフト信号gと予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hを第2比較器45で突き合わせ、その実リフト信号gの方が高いときに第2比較器45を通電させてメモリ46に記憶させるようになっている。また、メモリ46は、記憶信号kをANDゲート47およびローディング制御部35のそれぞれに入力する。
【0045】
一方、ローディング制御部35は、設定器48、第1スイッチ49、第2スイッチ50、積分器51を備え、弁切り替え駆動部34の出力およびタービンバイパス制御部33の出力のそれぞれにより第1スイッチ49および第2スイッチ50がONすると、設定器48により予め設定した弁開閉変化率信号fを積分器51に入力させて演算し、ローディング信号cとして切り替え器48の接点aに通電するようになっている。
【0046】
また、圧力制御部36は、排熱回収ボイラから蒸気タービンに供給する蒸気を圧力制御するとき、圧力信号dを出力し、その圧力信号dを切り替え器48を経て弁開度指令信号eとして蒸気加減弁49に与えるものであるが、ここでの圧力制御は本発明に直接的に関係しないので、その具体的回路の説明を省略する。
【0047】
次に作用を説明する。
【0048】
ガスタービンが起動し、この起動に伴ってガスタービンから排熱回収ボイラに排ガスが供給され、排熱回収ボイラから蒸気が発生し、その圧力が徐々に高まる。蒸気圧力は、圧力センサ41により検出されており、その実蒸気圧力信号bは一方をタービンバイパス制御部33の加減算器39に、また他方をタービンバイパス弁用コントローラ38にそれぞれ入力される。
【0049】
タービンバイパス弁用コントローラ38は、実蒸気圧力信号bを、タービンバイパス弁用設定器37からの設定蒸気圧力信号aに突き合わせ、実蒸気圧力信号bの方が高いとタービンバイパス弁42を弁開させる。
【0050】
タービンバイパス弁42の弁増開中、弁リフト検出器43は、タービンバイパス弁42の弁リフトを検出し、その実リフト信号gを弁切り替え駆動部34の第1比較器44および第2比較器45にそれぞれ入力させる。
【0051】
第1比較器44は、実リフト信号gを、予め設定したタービンバイパス弁用微開信号iに突き合わせるが、この時点では、実リフト信号gの方が高いので、その実リフト信号gの通過をカットする。
【0052】
また、第2比較器45は、実リフト信号gを予め設定したタービンバイパス弁用規定信号hに突きあわせるが、実リフト信号gの方が高いので、第2比較器45を通電し、メモリ46に記憶させるとともに、その出力信号kでローディング制御部35の第1スイッチ49をONさせる。
【0053】
他方、タービンバイパス制御部33の加減算器39は、圧力センサ41により検出した実蒸気圧力信号bを、タービンバイパス弁用設定器37からの設定蒸気圧力信号aに突き合わせ、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力値(1/2ε)より低くなっているので、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせる。
【0054】
このようにしてローディング制御部35の第1スイッチ49、第2スイッチ50のそれぞれがONすると、設定器48から出力される開度変化率信号fは、第1スイッチ49、第2スイッチ50、積分器51を経て演算され、ローディング信号cとして切り替え器48の接点aに通電し、通電後、弁開信号eとして蒸気加減弁53に与えられる。
【0055】
蒸気加減弁53が弁開を開始すると、排熱回収ボイラから供給していた蒸気の圧力は低下し、圧力センサ41の実蒸気圧力信号bの方がタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号よりも低くなるので、タービンバイパス弁42の弁閉を開始しようとするが、タービンバイパス弁用コントローラ38のPID演算に若干の演算遅れが出るため、この時点ではタービンバイパス弁42の弁閉が開始されていない。このため、実蒸気圧力は、図3で示す実線のように、設定蒸気圧力から大きく下まる。
【0056】
実蒸気圧力が設定蒸気圧力から大きく下まると、タービンバイパス制御部33の加減算器39の偏差jは比較器40の第2設定圧力値(ε)を越えるので、比較器40の通電がカットされ、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせる。
【0057】
ローディング制御部35は、第2スイッチ50がOFFされるので、設定器48の弁開閉変化率信号fを一時的に積分器51への通電をカットする。このため、蒸気加減弁53は、図3に示すように、その弁開度を一時的にホールドする。
【0058】
蒸気加減弁53がその弁開度をホールドしている間も、圧力センサ41の実蒸気圧力の方がタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力よりも低いので、タービンバイパス弁用コントローラ38はタービンバイパス弁42の弁閉を続ける。
【0059】
このようにして、タービンバイパス弁用コントローラ38がタービンバイパス弁42の弁閉を続けると、排熱回収ボイラから供給される蒸気の圧力が徐々に上昇を開始し、加減算器39の偏差jも減少し、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力(1/2ε)により小さくなったとき、比較器40を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50を再びONさせ、蒸気加減弁53の弁開度を増開させる。
【0060】
また、蒸気加減弁53の弁増開中、排熱回収ボイラから供給していた蒸気の圧力は低下し、加減算器39の偏差jが比較器40の第2偏差設定圧力(ε)以上となれば、上述と同様に、蒸気加減弁53の弁開度を一時的にホールドさせ、蒸気圧力の回復を待つ。
【0061】
蒸気加減弁53が、その弁開度を一時的にホールドさせ、蒸気圧力を回復させている間、タービンバイパス弁42は弁閉を続ける。タービンバイパス弁42が弁全閉に近づくと、弁リフト検出器43は検出していた実弁リフト信号gが弁切り替え駆動部34の比較器44のタービンバイパス弁用微開信号iよりも下廻るので、その実リフト信号gを比較器44を経てANDゲート47に入力させ、上述メモリ46の出力信号kが揃ったことを条件に切り替え器53を切点aから切点bに移行させ、ローディング制御を終了させ、蒸気加減弁53の圧力制御を開始させる。
【0062】
このように、本実施形態では、圧力センサ41の実蒸気圧力信号とタービンバイパス弁用設定器37の設定蒸気圧力信号aとの偏差jを、加減算器39で算出させ、その偏差jが比較器40の第1偏差設定圧力(1/2ε)よりも低いとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせて蒸気加減弁53を弁開させ、また、偏差jが比較器40の第2偏差設定圧力(ε)よりも大きいとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせ、蒸気加減弁53の弁開度を一時的にホールドさせるようにしたので、排熱回収ボイラから供給する蒸気の圧力をほぼ一定に維持することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、排熱回収ボイラの蒸気ドラムから発生する蒸気の流量の安定化および蒸気ドラムの水位変動防止を図ったので、起動運動時における排熱回収ボイラの安定運転を行わせることができる。
【0064】
図2は、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施例を概略的に示す制御ブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成部分には、同一符号を付し、異なる構成部分ついて説明する。
【0065】
本実施例は、タービンバイパス制御部33に微分器54と比較器55を組み合わせ、圧力センサ41で検出した実蒸気圧力信号bを、微分器54でその変化率信号に演算させ、その演算信号lの絶対値が比較器55で第1偏差設定圧力値(−ε)より低いとき、比較器55を通電し、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせ、またその演算信号lの絶対値が比較器55で第2偏差設定圧力値(+ε)より高いとき、比較器55の通電をカットし、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせたものである。
【0066】
このように、本実施例は、実蒸気圧力信号bを、微分器54でその変化率信号に演算させ、その演算信号lの絶対値が比較器55の第1偏差設定圧力値(−ε)より低いとき、ローディング制御部35の第2スイッチ50をONさせ、蒸気加減弁49を弁開させ、蒸気加減弁49の弁開により蒸気圧力が下ってくると、実蒸気圧力信号bも下り、微分器54での演算信号lの絶対値が比較器55の第2偏差設定圧力値(+ε)よりも高くなると、ローディング制御部35の第2スイッチ50をOFFさせ、蒸気加減弁49の弁開度を一時的にホールドさせ、実蒸気圧力の高低に応じて、図3で示す蒸気加減弁49の弁開度の挙動と同様に、蒸気加減弁49を弁増開、ホールドを繰り返させているので、排熱回収ボイラから発生する蒸気の圧力をほぼ一定に維持させることができる。
【0067】
したがって、本実施例も、第1実施形態と同様に、排熱回収ボイラの安定運転を行わせることができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置は、タービンバイパス制御部、弁切り替え駆動部、ローディング制御部、圧力制御部をそれぞれ備え、排熱回収ボイラの起動運転におけるタービンバイパス弁の弁閉中、弁切り替え駆動部によりローディング制御部の第1スイッチをONさせるとともに、排熱回収ボイラから発生する実蒸気圧力がタービンバイパス制御の比較器の第1偏差設定圧力値より低いとき、ローディング制御部の第2スイッチをONさせて蒸気加減弁を弁開させる一方、蒸気加減弁の弁増開中、排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力の低下に伴いタービンバイパス弁の設定器の第2偏差設定圧力値より高まると、ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせて蒸気加減弁の弁開度をホールド状態に維持させる弁開制御を蒸気加減弁に行わせているので、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力をほぼ一定に維持させることができる。
【0069】
したがって、本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置では、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力をほぼ一定に維持させることができるので、蒸気加減弁のローディング制御から圧力制御への移行を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施形態を概略的に示す制御ブロック図。
【図2】本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの制御装置の第1実施例を概略的に示す制御ブロック図。
【図3】本発明に係る蒸気加減弁およびタービンバイパス弁の弁開閉の挙動と、排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力の降下、回復とを対応させたチャート図。
【図4】従来のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置を概略的に示す制御系統図。
【図5】図4で示す制御装置を概略的に示す制御ブロック図。
【図6】従来の蒸気加減弁およびタービンバイパス弁の弁開閉の挙動と排熱回収ボイラから発生する蒸気の蒸気圧力の降下、回復とを対応させたチャート図。
【符号の説明】
1 コンバインドサイクル発電プラント
2 回転軸
3 ガスタービンプラント
4 蒸気タービンプラント
5 排熱回収ボイラ
6 空気圧縮機
7 燃焼器
8 燃料弁
9 ガスタービン
10 蒸気タービン
11 発電機
12 圧力センサ
13 蒸気加減弁
14 復水器
15 タービンバイパス弁
16 タービンバイパス弁
17 弁リスト検出器
18 制御装置
19 タービンバイパス弁用設定器
20 タービンバイパス弁用コントローラ
21 弁切り替え駆動部
22 ローディング制御部
23 圧力制御部
24 第1比較器
25 第2比較器
26 メモリ
27 ANDゲート
28 切り替え器
29 設定器
30 スイッチ
31 積分器
32 制御装置
33 タービンバイパス制御部
34 弁切り替え駆動部
35 ローディング制御部
36 圧力制御部
37 タービンバイパス弁用設定器
38 タービンバイパス弁用コントローラ
39 加減算器
40 比較器
41 圧力センサ
42 タービンバイパス弁
43 弁リフト検出器
44 第1比較器
45 第2比較器
46 メモリ
47 ANDゲート
48 設定器
49 第1スイッチ
50 第2スイッチ
51 積分器
52 切り替え器
53 蒸気加減弁
54 微分器
55 比較器
Claims (5)
- ガスタービンプラント、蒸気タービンプラント、排熱回収ボイラを組み合わせ、排熱回収ボイラの起動運転中、排熱回収ボイラから発生する蒸気をタービンバイパス系に流す間に、その蒸気圧力が一定値を越えたとき、タービンバイパス弁に弁閉信号を与えるとともに、蒸気加減弁に弁閉信号を与える制御部を備えたコンバインドサイクル発電プラントの制御装置において、上記制御部は、蒸気加減弁の弁開閉制御を行う第1スイッチおよび第2スイッチを備えたローディング制御部と、タービンバイパス弁が弁閉するとき、上記ローディング制御部の第1スイッチをONさせる弁切り換え駆動部と、上記タービンバイパス弁が弁閉中、上記排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力と設定蒸気圧力とを突き合わせて偏差を算出する偏差算出部と、その偏差算出部の出力が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記偏差算出部の出力が第2偏差設定圧力値よりも高いとき、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる演算部とを組み込んだタービンバイパス制御部と、上記ローディング制御部の第1スイッチおよび第2スイッチがともにONしたときに蒸気加減弁を弁開させ、上記タービンバイパス制御部の演算部からの演算信号がカットされ、上記第2スイッチがOFFしたときに蒸気加減弁の弁開度をホールドさせる切り替え器とを備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラントの制御装置。
- タービンバイパス制御部には偏差算出部が組み込まれており、この偏差算出部は、加減算器であることを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置。
- 加減算器は、圧力センサからの実蒸気圧力信号に、タービンバイパス弁閉設定器から予め定められた設定圧力信号を突き合わせ、偏差を算出したことを特徴とする請求項2に記載のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置。
- タービンバイパス制御部には演算部が組み込まれており、この演算部は、第1偏差設定圧力値と第2偏差設定圧力値と異なる設定値を備えた比較器であることを特徴する請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置。
- タービンバイパス制御部は、排熱回収ボイラから発生する蒸気の実蒸気圧力の変化率を演算する微分器と、微分器の演算信号が第1偏差設定圧力値よりも低いとき、ローディング制御部の第2スイッチをONさせ、上記微分器の演算信号が第2偏差設定圧力値より高いときカットし、上記ローディング制御部の第2スイッチをOFFさせる比較器とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントの制御装置。
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