JP3660430B2 - 油圧ショベルのブームゲイン抑止回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油圧ショベルのブームゲイン抑止回路に関するものであり、特に、バケット水平引き操作のときにアームの落ち込みとブームの干渉を防止するためのブームゲイン抑止回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油圧ショベルでバケットを水平引きして床掘り作業を行う場合は、ブーム上げ操作とアーム閉じ操作を同時に行うが、ブームは持ち上げられるのに対してアームは自重で落下する方向へ付勢されるので、アーム閉じ速度が速くなる傾向がある。このため、水平引き操作の初期段階ではブームシリンダへの圧力油を増量して、ブーム上げ速度を速くすることが多い。
【0003】
そして、水平引き操作の中期段階になると、アームの落下方向への付勢が小さくなるのでブーム上げ速度を徐々に低下させる。このため、ブーム用の方向制御弁を微操作するが、方向制御弁の開口面積が短時間に繰り返し変化すると供給油量の増減が激しくなり、ブームシリンダに干渉が生じてブームが振動する。このブームの振動はオペレータに不安定な感じを抱かせるので、操作感が良好ではなくなる。
【0004】
方向制御弁の動きに対する圧力の変化を緩慢にする、即ちブーム側のゲインを抑止するために、従来は図5に示すような、ブームゲイン抑止回路が用いられている。第1の油圧ポンプ1にブーム駆動油路2を接続し、ブーム用の方向制御弁3を介してブームシリンダ4が接続される。一方、第2の油圧ポンプ5にアーム駆動油路6を接続し、アーム用の方向制御弁7を介してアームシリンダ8が接続される。更に、ブーム駆動油路2とアーム駆動油路6とを連通油路9にて接続し、この連通油路9の途中にチェック弁10と絞り11を設ける。尚、符号12はアーム速度切替弁である。
【0005】
而して、図6に示すように、バケットを水平引きするためにブーム用の方向制御弁3とアーム用の方向制御弁7を同時に切り替えた場合に、連通油路9には絞り11が設けられているので、水平引き操作の初期段階では方向制御弁3からブームシリンダ4へ圧力油が多量に供給され、ブーム上げ速度の向上を図ることができる。
【0006】
そして、方向制御弁3の切り替えからやや遅れて、ブーム駆動油路2の圧力油の一部が連通油路9へ分岐してアーム駆動油路6へ供給される。従って、水平引き操作の中期段階ではブーム側のゲインが抑止されるため、ブームシリンダ4の干渉がなくなってブームの振動を防止できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のブームゲイン抑止回路は、バケット水平引き操作のときに、ブーム駆動油路2の圧力油の一部が連通油路9からアーム駆動油路6へ供給されるが、絞り11が固定絞りであるため、フル操作時にはブーム側の圧力油が絞り11を通過して低圧のアーム側へ多量に流入する。即ち、水平引き操作の初期段階でブームシリンダ4への供給油量が不足し、ブーム上げ速度が低下してバケットが地面に食い込むことがある。
【0008】
アームの落ち込みを防止するために、アーム用の方向制御弁7の開口をかなり絞り込んで、ブーム側からの圧力油の流入を防ぐ操作も行われているが、アーム閉じ速度が極端に遅くなって作業効率が低下する。一方、ブーム上げ速度を向上させるために絞り11の開口面積を小さくすると、ブーム側のゲインが上昇して再びブームシリンダ4の干渉が起きることになる。
【0009】
そこで、油圧ショベルのバケット水平引き操作のときに、ブームゲインを抑止するとともにアームの落ち込みを防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、ブーム駆動油路の圧力油を分岐してアーム駆動油路へ供給する連通油路を設け、ブーム上げとアーム閉じを同時に行うバケット水平引き操作のときにブーム側の圧力油を前記連通油路からアーム側へ供給してブーム側のゲインを抑止するようにした油圧回路に於いて、前記連通油路にノーマルクローズド形の可変絞り弁を設け、この可変絞り弁のパイロットポートに絞りを介してブーム用操作弁のパイロット圧を作用させ、水平引き操作の初期段階においては前記ブーム駆動油路からアーム駆動油路へ供給される圧力油を遮断してブーム駆動油路の圧力油のすべてをブームシリンダへ供給し、水平引き操作の中期段階においては前記ブーム駆動油路からアーム駆動油路へ供給される圧力油を調整可能にした油圧ショベルのブームゲイン抑止回路を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。図1は油圧ショベルのブームゲイン抑止回路を示し、ブーム駆動油路2とアーム駆動油路6とを連通油路9にて接続し、この連通油路9の途中にチェック弁10と可変絞り弁15を設ける。該可変絞り弁15はノーマルクローズド形であり、通常時は閉鎖位置(イ)にあり、パイロットポート16にパイロット圧が掛かったときには絞り位置(ロ)に切り替わる。
【0012】
ブーム用の方向制御弁3はブーム用操作弁17のパイロット圧によって切り替わり、ブーム上げまたはブーム下げのパイロット圧は、シャトル弁18により高圧選択されてパイロット油路19へ分岐される。該パイロット油路19は前記可変絞り弁15のパイロットポート16に接続され、該パイロット油路19の途中に絞り20を介装する。
【0013】
而して、バケットを水平引きして床掘り作業を行う場合は、図2に示すように、ブーム用操作弁17によりブーム用の方向制御弁3を上げ位置(ハ)へ切り替えるとともに、アーム用操作弁(図示せず)によりアーム用の方向制御弁7を閉じ位置(ニ)へ切り替える。
【0014】
このとき、ブーム用操作弁17のパイロット圧がシャトル弁18からパイロット油路19へ導出されるが、絞り20によりやや遅れてパイロットポート16にパイロット圧が作用する。このため、ブーム用操作弁17を操作した直後は可変絞り弁15はしばらく閉鎖位置(イ)を保持し、連通油路9が遮断されている。
【0015】
即ち、水平引き操作の初期段階では、油圧ポンプ1からブーム駆動油路2へ吐出された圧力油のすべてが方向制御弁3からブームシリンダ4へ供給され、ブーム上げ速度の向上が図られる。このときは、方向制御弁3が全開位置まで切り替わり、多量の圧力油が一気に方向制御弁3を通過するので開口面積の変化がないため、ブームシリンダ4に干渉が生じることはない。
【0016】
そして、図3に示すように、ブーム用操作弁17の操作開始からやや遅れてパイロットポート16にパイロット圧が作用し、可変絞り弁15が絞り位置(ロ)に切り替わる。従って、ブーム駆動油路2の圧力油の一部が連通油路9へ分岐してアーム駆動油路6へ供給される。即ち、水平引き操作の中期段階ではブーム側のゲインが抑止されるため、ブーム用の方向制御弁3を微操作して開口面積が短時間に繰り返して変化した場合であっても、ブームシリンダ4に干渉が発生することはなく、ブームの振動を防止することができる。
【0017】
尚、図4に示すように、前記連通油路9の途中に可変絞り弁15に代えて電磁比例流量制御弁21を設け、ブーム操作パイロット圧を圧力スイッチ22やセンサ(図示せず)で検出し、この検出結果に基づいてコントローラ23の指令信号により電磁比例流量制御弁21の開口面積を調整して、水平引き操作のときにブームゲインを抑止するように構成してもよい。
【0018】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明ではバケットを水平引きして床掘り作業を行う場合に、ブーム操作弁のパイロット圧が絞りによりやや遅れて可変絞り弁のパイロットポートに作用する。このため、水平引き操作の初期段階では可変絞り弁が閉鎖位置にあり、ブーム側の圧力油がすべてブームシリンダへ供給されるので、ブーム上げ速度の向上が図られる。
【0020】
そして、ブーム用操作弁の操作開始からやや遅れて可変絞り弁が絞り位置に切り替わり、ブーム駆動油路の圧力油の一部が連通油路へ分岐してアーム駆動油路へ供給される。このため、水平引き操作の中期段階ではブーム側のゲインが抑止され、ブーム用の方向制御弁を微操作した場合であってもブームシリンダに干渉が発生することはなく、ブームの振動を防止することができる。
【0021】
斯くして、油圧ショベルのバケット水平引き操作のときに、アームの落ち込みを防止しつつ作業速度を速くして、床掘り作業の効率を向上するとともに、ブームゲインを抑止することにより、ブーム微操作時のブームの振動を防止してオペレータの操作性を良好にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、油圧ショベルのブームゲイン抑止回路図。
【図2】水平引き操作の初期段階に於ける作動状態を示すブームゲイン抑止回路図。
【図3】水平引き操作の中期段階に於ける作動状態を示すブームゲイン抑止回路図。
【図4】他の実施の形態を示す油圧ショベルのブームゲイン抑止回路図。
【図5】従来の油圧ショベルのブームゲイン抑止回路図。
【図6】従来の水平引き操作に於ける作動状態を示すブームゲイン抑止回路図。
【符号の説明】
1 油圧ポンプ
2 ブーム駆動油路
3 方向制御弁
4 ブームシリンダ
5 油圧ポンプ
6 アーム駆動油路
7 方向制御弁
8 アームシリンダ
15 可変絞り弁
16 パイロットポート
17 ブーム用操作弁
19 パイロット油路
20 絞り
Claims (1)
- ブーム駆動油路の圧力油を分岐してアーム駆動油路へ供給する連通油路を設け、ブーム上げとアーム閉じを同時に行うバケット水平引き操作のときにブーム側の圧力油を前記連通油路からアーム側へ供給してブーム側のゲインを抑止するようにした油圧回路に於いて、前記連通油路にノーマルクローズド形の可変絞り弁を設け、この可変絞り弁のパイロットポートに絞りを介してブーム用操作弁のパイロット圧を作用させ、水平引き操作の初期段階においては前記ブーム駆動油路からアーム駆動油路へ供給される圧力油を遮断してブーム駆動油路の圧力油のすべてをブームシリンダへ供給し、水平引き操作の中期段階においては前記ブーム駆動油路からアーム駆動油路へ供給される圧力油を調整可能にしたことを特徴とする油圧ショベルのブームゲイン抑止回路。
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JP16615196A JP3660430B2 (ja) | 1996-06-26 | 1996-06-26 | 油圧ショベルのブームゲイン抑止回路 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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JPH108505A JPH108505A (ja) | 1998-01-13 |
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Family Applications (1)
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1996
- 1996-06-26 JP JP16615196A patent/JP3660430B2/ja not_active Expired - Fee Related
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