JP3659940B2 - 歯科治療用インスツルメントホルダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科治療用インスツルメントホルダー、より詳細には、複数本の歯科治療用インスツルメントホースを平行に載置する歯科治療用インスツルメントホルダーにおいて、各インスツルメントを載置する載置部に、空気の圧入で膨張する空気膨張容器(例えば、シリコーンゴム袋、ベローズ等)を有し、該空気膨張容器に空気を圧入して使用しようとするインスツルメントを持ち上げ、まわりのインスツルメントとの高さを異ならしめ、使用しようとするインスツルメントを取りだしやすくするようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、本発明が適用される歯科治療ユニットの一例を示す全体構成図で、図中、10は歯科治療ユニットで、該ユニット10は、治療椅子1、ワークテーブル2、スピットン3、給排水ボックス4、インスツルメントホルダー5、フットスイッチ6、アシスタントインスツルメントホルダー7等から成り、インスツルメントホルダー5には、歯科治療において使用する種々のインスツルメント(ハンドピース)8が収納されており、周知のように、歯科治療に当り、患者は椅子1に座り、頭を安頭台9に固定して治療を受ける。治療中、術者は治療椅子1を上下動,倒起動,傾斜動等させて、患者を治療しやすい姿勢にして治療を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとき歯科治療ユニットにおいて、インスツルメントホルダー5には、周知のように、エアータービン、マイクロエンジン、シリンジ等種々の歯科治療用インスツルメント8が搭載され、必要とされるインスツルメント8が該インスツルメントホルダー5から引き出されて使用されるが、従来のインスツルメントホルダー5は、複数本のインスツルメントを平行に載置しており、歯科治療に当り術者は、その中から、治療に必要なインスツルメントを引き出して使用するが、全てのインスツルメントが同じ高さ位置にあるため、インスツルメントを取り出す時、まわりのインスツルメントの刃物等に手が当らないように気をつけなければならず、取り出しにくい等の問題があった。
【0004】
本発明は、上述のごとき事情を鑑みてなされたもので、使用しようとするインスツルメントの高さを他のインスツルメントの高さと異ならしめ、もって、使用しようとするインスツルメントを取りやすくすることを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、歯科治療用インスツルメントを複数本平行に載置する歯科治療用インスツルメントホルダーにおいて、該ホルダーは、前記各インスツルメントが載置される面に、各インスツルメントに対応して空気の圧入によって膨張する空気膨張容器を具備し、歯科治療に当り、使用しようとするインスツルメントに対応する空気膨張容器に空気を圧入し、当該インスツルメントを持ち上げるようにしたことを特徴としたものである。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記歯科治療用インスツルメントは、術者が当該インスツルメントを使用しようとして選択したことを検知する検知手段を有し、該検知手段が作動した時に、当該インスツルメントに対応した空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴としたものである。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記各歯科治療用インスツルメントに対応したタッチ面を有する操作パネルを具備し、使用しようとするインスツルメントに対応したタッチ面を操作した時に、当該インスツルメントに対応した空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴としたものである。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、音声認識手段を有し、該音声認識手段にて、術者が発声する音声を認識して、使用しようとするインスツルメントに対応する空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴としたものである。
【0009】
請求項5の発明は、歯科治療用インスツルメントを複数本平行に載置する歯科治療用インスツルメントホルダーにおいて、該ホルダーは、前記各インスツルメントが載置される面に、各インスツルメントに対応して空気の圧入によって膨張する空気膨張容器を具備し、該空気膨張器は、配列方向の一方から他方に向って順次高くなるように膨張されていることを特徴としたものである。
【0010】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記順次高くなる方向を選択切り換え可能であることを特徴としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による歯科治療用インスツルメントホルダーの一実施例を説明するための概略構成図で、図1(A)は、インスツルメントホルダー5上に、複数本のインスツルメント8(81〜85)が平行に載置されている通常の状態を示す図、図1(B)は、歯科治療に当り、これから使用しようとするインスツルメント82を持ち上げて他のインスツルメント81,83〜85より高くし、これによって、当該インスツルメント82を取りやすくした状態を示している。すなわち、本発明においては、各インスツルメント81〜85の下部には、空気を圧入することによって膨張する空気膨張容器111〜115、例えば、シリコーンゴムの袋、ベローズ等が配設されており(図1(A))、これから使用しようとするインスツルメント、例えば、82に対応した空気膨張容器112に圧縮空気を封入すると、当該空気膨張容器112が膨らみ、当該空気膨張容器112上のインスツルメント82が他のインスツルメント81,83〜85より高くなり(図1(B))、術者は、当該インスツルメント82を取りやすくなる。
【0012】
歯科治療に当り、術者は、前述のように、これから使用しようとするインスツルメントを上昇させるため、当該インスツルメントに対応する空気膨張容器に圧縮空気を封入して該空気膨張容器を膨張させるが、そのための操作は、例えば、インスツルメントホルダー上の操作パネルに、各インスツルメントに対応した液晶表示のタッチスイッチ等を設けておき、使用に先だって、当該タッチスイッチを押すことにより、使用しようとするインスツルメントに対応した空気膨張容器に圧縮空気を封入して、該空気膨張容器を膨らますようにする。
しかし、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、上記液晶表示のタッチスイッチは、必ずしもインスツルメントホルダー上の操作パネルに設ける必要はなく、それ以外の任意所望の操作しやすい場所に設けることも可能であり、更には、ケーブル等を通して移動可能にしたり、或いは、可搬式(リモコン式)にして、無線或いは赤外線により操作するようにしてもよい。
【0013】
更には、音声認識装置とマイクロフォンを用い、音声認識装置にマイクロフォンより音声入力し、例えば、使用しようとするインスツルメントの名称、或いは、予め定められた略称、番号等を音声入力し、入力された音声を音声認識装置で認識して該当する空気膨張容器を膨らますようにしてもよい。この場合、マイクロフォンは、インスツルメントホルダーその他の所望の場所に取り付けても、或いは、可搬式にして(例えば、マイクロフォンを胸につけたり、胸ポケットに入れたりできるようにして)、該マイクロフォンに入力された音声を無線信号に変換して音声認識装置に伝達するようにしてもよい。更には、一般に、テレビの選局等に用いられているリモコンと同様、赤外線等を用い、該リモコンを歯科治療ユニット等の任意所望の場所に設けられたセンサに向けて操作することにより、所望のインスツルメントに対応する空気膨張容器に圧縮空気を封入するようにしてもよい。なお、歯科治療が終ってインスツルメントを元の位置に戻したい時は、該インスツルメントが元の位置に戻ったことを検知して、或いは、前述のタッチスイッチ或いはリモコン、或いは、音声入力により前記空気膨張容器に封入された空気を排出する。
【0014】
図2は、本発明の他の実施例を説明するための要部構成図で、この実施例においては、全てのインスツルメントの高さ位置が異なるように、具体的には、一方の端のインスツルメント(図2(A)において、81のインスツルメント)から他方の端のインスツルメント(図2(A)において、85のインスツルメント)に向って、順次高くなるように、空気膨張容器111〜115が膨張されている。
【0015】
図2(A)においては、81のインスツルメントから85のインスツルメントに向って順次高くなるように高さ位置が調整され、図2(B)においては、逆に、85のインスツルメントから81のインスツルメントに向って順次高くなるように高さ位置が調整されているが、これは、左利きの術者と右利きの術者とで、インスツルメントの取り出し方向が逆になるためである。そのため、例えば、左利きの術者に対しては、図2(A)に示す方向にインスツルメントの高さ位置を異ならしめ、右利きの術者に対しては、図2(B)に示す方向にインスツルメントの高さ位置を順次異ならしめるように、空気膨張容器111〜115に封入する圧縮空気の量を調整する。
【0016】
図2に示した実施例によると、予め、全てのインスツルメントの高さ位置を異ならしめてあるので、図1に示した実施例のように、その都度、つまり、インスツルメントを取り出そうとする毎に、高さ位置を調整する必要がなく、非常に使い勝手のよいものとなる。しかし、この場合、左利きの術者に合せて図2(A)に示すように調整してある場合に(インスツルメントホルダーは術者の左側にある。)、右利きの術者が使用する場合には、インスツルメントホルダーが術者の右側にくるため、術者からみてインスツルメントホルダーの向きが逆となり、手前側のインスツルメントの高さが高くなってしまい、取り出しにくくなってしまう。そのため、左利きの術者が使用する場合(例えば図2(A))と、右利きの術者が使用する場合(例えば、図2(B))とで、高くする順番を逆に必要があり、図2(A)に示す状態と、図2(B)に示す状態の切り換えは、専用の切り換えスイッチ等を操作することにより、単一の操作で切り換えることができ、単一の歯科治療ユニットを左利きの術者と右利きの術者とで、簡単に切り換えて、共用することができる。
【0017】
図3は、図2に示したインスツルメントホルダーの一実施例を示す斜視図で、この実施例の場合、各空気膨張容器111〜115の中央部110が窪んでおり、この窪部110に指を入れることにより、インスツルメントをより取り出しやすくしている。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、これから使用しようとするインスツルメントを、他のインスツルメントより上方に持ち上げ、持ち上げた後に取り出すようにしたので、インスツルメントを取り出す時に、まわりのインスツルメントの刃物に気をつけることなく取り出すことができ、インスツルメントの取り出しが非常に楽になる。
【0019】
或いは、各インスツルメントの高さ位置が順次異なるように載置されているので、インスツルメント取り出し時、まわりのインスツルメントが邪魔にならず、インスツルメントの取り出しが楽である。しかも、この場合には、その都度、つまり、インスツルメントを使用する毎に、インスツルメントの高さ位置を変える必要がないので、非常に使い勝手が良い。加えて、簡単に、換言すれば、単一の操作で、左利き術者用と右利き術者用とに切り換えることができるので、単一の歯科治療ユニットを左利きの術者と右利きの術者とで、容易に共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による歯科治療用インスツルメントホルダーの一実施例を説明するための要部概略構成図である。
【図2】 本発明による歯科治療用インスツルメントホルダーの他の実施例を説明するための要部概略構成図である。
【図3】 図2に示したインスツルメントホルダーの一例を示す斜視図である。
【図4】 本発明が適用される一例としての歯科治療ユニットの例を説明するための概略全体構成図である。
【符号の説明】
1…歯科治療椅子、2…ワークテーブル、5…インスツルメントホルダー、8(81〜85)…インスツルメント、10…歯科治療ユニット、11(111〜115)…空気膨張容器。
Claims (6)
- 歯科治療用インスツルメントを複数本平行に載置する歯科治療用インスツルメントホルダーにおいて、該ホルダーは、前記各インスツルメントが載置される面に、各インスツルメントに対応して空気の圧入によって膨張する空気膨張容器を具備し、歯科治療に当り、使用しようとするインスツルメントに対応する空気膨張容器に空気を圧入し、当該インスツルメントを持ち上げるようにしたことを特徴とする歯科治療用インスツルメントホルダー。
- 前記歯科治療用インスツルメントは、術者が当該インスツルメントを使用しようとして選択したことを検知する検知手段を有し、該検知手段が作動した時に、当該インスツルメントに対応した空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療用インスツルメントホルダー。
- 前記各歯科治療用インスツルメントに対応したタッチ面を有する操作パネルを具備し、使用しようとするインスツルメントに対応したタッチ面を操作した時に、当該インスツルメントに対応した空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療用インスツルメントホルダー。
- 音声認識手段を有し、該音声認識手段にて、術者が発声する音声を認識して、使用しようとするインスツルメントに対応する空気膨張容器に空気を圧入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の歯科治療用インスツルメントホルダー。
- 歯科治療用インスツルメントを複数本平行に載置する歯科治療用インスツルメントホルダーにおいて、該ホルダーは、前記各インスツルメントが載置される面に、各インスツルメントに対応して空気の圧入によって膨張する空気膨張容器を具備し、該空気膨張器は、配列方向の一方から他方に向って順次高くなるように膨張されていることを特徴とする歯科治療用インスツルメントホルダー。
- 前記順次高くなる方向を選択的に切り換え可能であることを特徴とする請求項5に記載の歯科治療用インスツルメントホルダー。
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