JP3659937B2 - サルの視野測定システム及び視野測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サルの視野測定システム及び視野測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
緑内障は、一般的に眼圧の上昇によって引き起こされる疾患であるが、視神経が障害を受け、視野欠損としての症状が現れる疾患である。この緑内障の治療薬として数多くの医薬品が開発され、実際の治療に用いられている。ところで、緑内障の治療薬に限らず、医薬品の研究開発には臨床試験に先立って動物を用いた効果判定試験が必須となる。上記で述べたように緑内障は結局視野欠損を起こす疾患なので、その効果判定を視野測定で行うことが好ましい。しかしながら、動物を用いて正確な視野測定を実施するのは極めて困難で、効果判定は視野測定ではなく眼圧測定によって行われているのが現状である。
一方、視野測定装置としてはハンフリー自動視野計が一般的に用いられている。この視野計はヒトの視野を測定する目的で開発されたもので、被験者は視標表示画面の前に着座し、視標表示画面の略中央位置に点灯する注視点を注視する。この状態で、視標表示画面の所定の位置に視標を点灯させ、当該点灯を視認できた場合に、被験者は応答ボタンを押す等して意思表示を行う。当該測定に際しては、被験者は、固定台に対して顎部を装着し頭部を固定する姿勢をとる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、緑内障治療薬の研究開発に際して、視野測定は重要な位置付けであり、動物を用いて視野測定による効果判定ができる技術の開発が望まれていた。ヒトとサルとでは、中心窩視野機能が高い相関を示すことがわかっているので、特にサルの視野測定が可能になれば、ヒトでの効果をより正確に推測することができ、緑内障治療薬の研究開発に非常に有用となる。
しかし、上記のハンフリー自動視野計はヒトの視野を測定する目的で開発されたものであって、測定者と被験者の意思疎通が円滑にできる場合に好適に使用できるが、意思疎通が容易でないサルの視野測定に使用するのは困難である。
【0004】
また、視野測定においては、視野の各位置についてどの程度の明るさまで視認できるかを測定するが、当該視野測定は、多数点を測定するほど、そして、夫々の測定点において多段階の輝度について測定するほど正確な測定結果を得ることができる。しかし、ハンフリー自動視野計の場合、ヒトが測定に集中できる時間を配慮して、短時間で測定するように設計されており、細かく輝度を変化させ閾値を決めること、及び測定値の再現性を確認することができず、正確な視野測定の観点から満足できるものではない。
【0005】
そこで、サルを用いた正確な視野測定が可能なシステム及び方法の開発が望まれていた。また、上記のハンフリー自動視野計は高価なものなので、汎用機器を用いた安価な測定システムの開発も求められている。
【0006】
本発明の目的は、人間の被験者と同様に正確な視野測定をサルに行わせることができるサルの視野測定システムおよび視野測定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔構成1〕
本発明に係るサルの視野測定システムは、請求項1に記載したごとく、サルが座る椅子およびサルの頭部を固定する頭部固定装置と、サルに注視させる注視点を表示すると共に、サルの視野内の所定位置に所定輝度で視標を表示する視標表示装置と、サルの視線方向を監視する視線監視装置と、データを分析するための演算装置と、前記視標を認識したサルが意志表示するための応答レバーとを備えた視野測定システムであって、前記頭部固定装置が、サルの頭頂部に固定可能な装着部材と、当該装着部材に接続可能な支持部材と、当該支持部材を固定する基台部材とを備えている点に特徴を有する。
【0008】
〔作用効果〕
本構成のごとく、特に、前記頭部固定装置を構成する装着部材を、サルの頭頂部に装着しておくことで、サルの頭部を固定する際に締め付け力等の外力を作用させなくて済む。この結果、サルがストレスを受けることがなく、落ち着いた状態で視野測定を行うことが可能になる。
【0009】
さらに、サルの頭頂部で固定する場合には、以下の効果も期待することができる。
通常、体全体を動かさずに頭部が動く場合には、首を中心にして頭部が振れることが多い。よって、首部から最も遠い頭頂部を固定することで、サルが頭部を動かそうとする力に対して最小の力で抵抗することができる。この結果、サルの首を固定するのに僅かな力を加えるだけでよく、そのためサルに与えるストレスは軽減されると考えられる。
【0010】
その他、本発明に係る視野測定システムでは、当該装着部材に接続可能な支持部材と、当該支持部材を固定する基台部材とを備えている。このように、これらの部材を前記装着部材とを別体に構成しておけば、頭頂部に装着部材を固定する際に、全体のサイズが小さい装着部材のみをあらかじめ外科的に取り付ければよい。このため、サルの頭部を前記基台部材に完全に固定するまでは、サルが受ける違和感を低減することができる。よって、より落ち着いた状態で視野測定を行うことができ、信頼性の高い視野測定結果を得ることができる。
【0011】
〔構成2〕
本発明に係るサルの視野測定システムにおいては、請求項2に記載したごとく、前記頭部固定装置を、サルの視界に入らないように構成しておくことができる。
【0012】
〔作用効果〕
本構成のごとく、前記頭部固定装置を、サルの視界に入らないように構成することで、サルの視野を制限しないものとし、視野測定に支障が生じることを防止している。
また、サルが頭部固定装置を見ることで、サルの落ち着きが失われるのを防止するという効果も期待できる。
【0013】
〔構成3〕
本発明に係るサルの視野測定システムにおいては、請求項3に記載したごとく、前記支持部材が装着部材とすみやかに接続可能で、且つ長さ調節が可能なように構成することができる。
【0014】
〔作用効果〕
本構成のごとく、支持部材を装着部材とすみやかに接続可能にすることで、視野測定の準備時間を短縮することができる。この結果、視野測定までの準備時間でのサルに与えるストレスを最小としつつ視野測定を開始することができる。
また、支持部材を長さ調節が可能なように構成することで、サルの頭部のサイズの違いを調整することができる。その結果、適切な眼球位置になるように頭部の位置補正を行うことができる。
【0015】
〔構成4〕
本発明に係るサルの視野測定システムにおいては、請求項4に記載したごとく、前記視線監視装置を、サルの瞳孔に赤外線を照射する赤外線LEDアレイと、CCDカメラとを備えて構成しておき、前記CCDカメラで撮影したサルの瞳孔の形状を楕円に近似して、当該楕円の中心を瞳孔の中心とし、この瞳孔の中心と、予め、前記注視点および当該注視点近傍の任意の点をサルに注視させて求めておいた瞳孔の位置座標とを比較演算して、刻々のサルの視線方向を特定するように構成することができる。
【0016】
〔作用効果〕
従来の眼科器械における視線監視装置としては、例えば、赤外線ビームを被検眼の角膜に投光し、角膜表面において反射した赤外線ビームの方向のずれを電気的に検出するもの等が知られている。しかし、このような装置では、赤外線ビームの投光装置が必要となるうえ、それらの装置を視線上に配置する必要がある等、装置が複雑化するという不都合があった。
【0017】
そこで、本発明のごとく、単に瞳孔に赤外線を照射し、CCDカメラで撮影した瞳孔の動きを画像処理するものであれば、上記従来の装置の不都合が解消されて、簡便な視線監視装置を得ることができる。
特に、本発明の構成では、CCDカメラなどの構成部品を視線上に配置する必要がないため、視野測定の障害になることもない。
また、サルの視線方向を刻々に特定することにより、即時的に視野測定結果に視線データを反映させることができる。
【0018】
〔構成5〕
本発明に係るサルの視野測定システムにおいては、請求項5に記載したごとく、データの分析を汎用パーソナルコンピュータを用いて行うことができる。
【0019】
〔作用効果〕汎用パーソナルコンピュータを用いて分析ができるため、従来のハンフリー自動視野計に比べて安価な測定システムを提供できる。
【0020】
〔手段1〕
本発明に係る被検動物の頭部固定方法は、請求項6に記載したごとく、あらかじめサルの頭頂部に装着部材を固定装着した後に、当該装着部材に支持部材の一部を接続し、さらに、前記支持部材を基台部材に固定する点に特徴を有する。
【0021】
〔作用効果〕
本手段であれば、請求項1に係る作用効果で記したのと同様に、サルの頭部を固定する際に締め付け力等の外力を作用させることがない。よって、サルがストレスを受けることがなく、落ち着いた状態で視野測定を行うことが可能になる。また、装着部材はすみやかに支持部材と接続することが可能であり、視野測定の準備時間を短縮できるため、サルにストレスを与えることなくスムーズに視野測定作業に移行することができる。
さらに、サルの頭頂部を固定することで、サルの首を固定するのに僅かな力を加えるだけでよく、そのためサルに与えるストレスはより軽減される。
その他、本手段であれば、サルの頭に装着可能な部材、即ち、全体のサイズが小さい装着部材のみをあらかじめ外科的にサルの頭頂部に取り付ければよい。このため、サル日常生活においても、サルの頭部を前記基台部材に完全に固定したときにおいても、サルに与える違和感を低減化することができる。よって、より落ち着いた状態で視野測定を行うことができ、信頼性の高い視野測定結果を得ることができる。
【0022】
〔手段2〕
本発明に係るサルの視野測定方法は、請求項7に記載したごとく、頭頂部に装着部材を固定したサルを椅子に着座、当該装着部材に支持部材の一部を接続し、さらに、前記支持部材を基台部材に固定した後、サルの前に設置した視標表示画面に、サルが応答レバーを押圧することにより注視すべき注視点が点灯され、サルが当該注視点を注視し、かつ、意志表示用の応答レバーを押圧している状態で、サルの視野内の所定位置に所定輝度の視標を点灯させ、当該視標の点灯時に前記応答レバーの押圧を解除させる点に特徴を有する。
【0023】
〔作用効果〕
本手段のごとく、サルの頭頂部を固定する場合には、サルに与えるストレスが低減化されて、信頼性の高い測定データの取得が期待できることは上述の通りである。
また、頭部を固定することにより、サルの頭の動きに起因する注視不良を排除することが可能で、結果としてサルが注視点を容易に注視することも可能となり、サルのストレスを低減しつつ、再現性の良い測定データの取得ができる。
そして、本手段のごとく、視標を認識した旨を意思表示させる際に、応答レバーの押圧を解除させる方式であれば、応答時間を短縮することができる。つまり、応答レバーは、ばね付勢された機構となっているが、応答レバーを押し込む際には、上記ばね付勢に抗って押圧力を付与する必要がある。これに対して、応答レバーを放す場合には、サルが単に力を抜くだけで上記ばね付勢力が直ちに応答レバーを押し戻すように作用するため、応答レバーの動作開始のタイミングが極めて早いものとなり、正確な応答ができると考えられる。
以上のごとく、サルにとってのストレスを低減しつつ、且つ操作し易く。正確な応答を得ることができる機構を備えた測定装置を用いることで、より信頼性の高い視野測定結果を得ることができる。
【0024】
〔手段3〕
本発明に係るサルの視野測定方法は、請求項8に記載したごとく、サルが前記注視点を注視しているか否かの確認を、赤外線LEDアレイを用いてサルの瞳に赤外線を照射すると共に、CCDカメラでサルの瞳孔をモニターし、サルの瞳孔の形状を楕円に近似して、当該楕円の中心を瞳孔の中心とし、この瞳孔の中心位置と、予め、前記注視点および当該注視点近傍の任意の点をサルに注視させて求めておいた瞳孔の位置座標とを比較演算して、刻々のサルの視線方向を特定するものであってもよい。
【0025】
〔作用効果〕
本手段であれば、請求項4に係る作用効果で記載したのと同様に、簡便な視線監視装置を用いるものであって、しかも、視野測定の障害にならない位置に装置を配置することができるため、経済的でありながら、信頼性の高い視線データを即時的に反映させた視野測定結果を得ることができる。
【0026】
〔手段4〕
請求項9に記載したごとく、請求項1に係る視野測定システムを用いて緑内障治療薬の効果判定方法を構成することができる。
【0027】
〔作用効果〕
請求項1に記載のサルの視野測定システムを用いることで、サルの視野測定を正確に行うことができ、視野欠損の進行状況等を詳細に把握することができる。このため、緑内障治療に用いる新薬の開発に際し、ヒトによる臨床試験に先立って、前記新薬の効果を確認するための十分な試験データを得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(概要)
本発明の視野測定システムおよび視野測定方法は、サルを対象としたものである。前述したごとく、サルの視野測定を行うことができれば、緑内障治療薬薬の研究開発に非常に有用である。
【0029】
本発明に係るサルの視野測定システムは、主に以下の構成を有する。
先ず、サルが座る椅子1およびサルの頭部を固定する頭部固定装置Aを有する。信頼性の高い視野測定結果を得るためには、サルの頭部を固定することは必須である。
【0030】
次に、視標表示装置Bと視線監視装置Cと演算装置12とを備えている。視標表示装置Bは、サルに注視させる注視点2を表示すると共に、サルの視野内の所定位置に所定輝度で視標3を表示する。視線監視装置Cは、サルの視線方向を監視するものであり、視野測定に際しては、固定点である注視点2を常に見ている必要があるからである。
そして、前記視標3を認識したサルが意志表示するための応答レバー4を備えている。当該応答レバー4は、通常、手で操作する。
以下、本発明に係る視野測定システム及び視野測定方法につき図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(頭部の固定)
本発明による方法では、図1及び図2に示すごとく、サルの頭頂部を固定する。
あらかじめ装着部材5をサル頭頂部に固定するために、サルに外科的手術を行う。先ず頭頂部の皮膚を切開し、サルの頭骸骨を露出する。露出した頭骸骨に、ステンレスやシリコン製の炎症を起こさない材料からなるねじを埋め込む。その後、ネジおよび頭骸骨に装着部材5を装着固定する。本実施形態では、当該装着部材5として、例えば筒状ステンレス製の部品を埋め込んだ歯科治療用の樹脂セメントを用いる。ねじおよび頭骸骨と装着部材5との接着は、樹脂の重合を利用する。手術後は、当該樹脂セメントが完全に硬化するまで放置する。頭部固定時には、棒状に形成した前記支持部材6を筒状ステンレス部に挿通し、ねじ止めするだけでよい。
【0032】
視野測定時には、前記支持部材6を当該装着部材5に取付け、さらに、前記支持部材6を基台部材7に固定する。当該基台部材7は、サルが座る椅子1と一体化したものである。前記支持部材6と基台部材7との取付けは、例えば、棒状に形成した支持部材6の本体部分を、前記基台部材7に形成した挿通孔に挿通して行う。支持部材6は、ねじ8や、各種のクランプ等を用いて固定することができる。本構成であれば、サルの座高に合わせてサルが座る椅子1の高さ自体も調整可能であり、サルに楽な姿勢をとらせることができる。
さらに、長さ調節が可能な支持部材6により、サルの頭部サイズの違いを調整することができる。その結果、適切な眼球位置になるように頭部の位置補正を行なうことができる。
【0033】
このように、装着部材5等を用いて頭頂部を固定するものであれば、サルの頭部に締め付け力が作用しないため、サルに与えるストレスを軽減することができる。
また、頭頂部を固定するものであれば、頭部固定装置Aをサルの視野に入らないように構成することができる。
さらに、頭頂部を固定する場合には以下の効果も発揮される。体全体を動かさずに、頭部を動かす場合には、首を中心にして頭部を振ることが多い。よって、首部から最も遠い頭頂部を固定するものであれば、サルが頭部を動かそうとする力に対して最小の力で抵抗することができる。この結果、サルの首を固定するのに僅かな力を掛けるだけでよく、装着部材5等をコンパクトに構成することが可能となる。よって、異物を付けられているといったような、サルが受ける違和感を最小に抑えることができ、サルに与えるストレスをより軽減することができる。
【0034】
尚、本実施形態では、前記装着部材5を歯科治療用の樹脂セメントで構成する例を示したが、この例に限られるものではない。例えば、生体適合性のある他の樹脂あってもよい。
また、頭部を固定することにより、サルの頭の動きに起因する注視不良を排除することが可能であり、結果としてサルが注視点を容易に注視することも可能となり、サルのストレスを軽減しつつ、再現性の良い測定データの取得ができる。
【0035】
(サルの視線固定および視線監視)
サルの視線を固定させるには、人間が視野測定する場合と同様に、視標表示画面9の略中央位置に小さな白色の注視点2を点灯させる。注視点2の点灯および後述する視標3の点灯については、パーソナルコンピューターを用いて制御する。
注視点2の点灯に関し、視野測定のデータを取得する場合には、測定する目の略前方位置に注視点2を点灯させる。
【0036】
視野測定中、サルの視線を、赤外線LEDアレイ10およびCCDカメラ11、視線位置演算装置12等を用いて監視する。
具体的には、赤外線LEDアレイ10を用いてサルの目に赤外線を照射しつつ、CCDカメラ11でサルの瞳孔をモニターする。そして、このモニター映像の明暗の分布に基づいて瞳孔の形状を楕円と近似し、その楕円の中心を算出して瞳孔の中心とする。
これらCCDカメラ11および赤外線LEDアレイ10は2セット用意し、左右の目を夫々監視する。左右の目を独立に監視するために、2セット用意する。
【0037】
視線の方向の特定は以下のごとく行う。視標表示画面9には、キャリブレーション用に9つの注視点2を点灯させることができる。そして、サルに、予め夫々の点を注視させ、視標表示画面9上の9つの注視点2の座標データと、CCDカメラ11による各瞳孔位置のデータとを対応させて把握しておく。実際の測定に際しては、これらのデータに基づき、モニター画像中の瞳孔位置を視標表示画面9上の座標に変換して視線の向きを確認する。
【0038】
(視野測定要領)
サルの集中力を持続させるために、また周りの明るさを常に一定にして視野測定精度を向上させるために、視野測定は防音室13の中で行う。視野測定に用いる各種制御装置は、防音室13とは別の制御室14に設置してある。サルの様子は、行動監視用カメラ15及び行動監視モニター16によって監視する。
【0039】
サルが注視点2を注視し始めたときから視標3の点灯までの時間間隔は適宜変化させる。このように変化させることで、視標3の点灯タイミングをサルが覚えてしまうことを防止し、サルの集中力を持続させるように配慮してある。
視標3は、視野の各位置にランダムに点灯させ、かつ、輝度を適宜変更して点灯する。これにより、視野の各領域における視認の限界を知ることができる。
【0040】
本実施形態に係る応答レバー4は、サルが放すと押し戻されるようにばね付勢してある。サルに対しては、当該応答レバー4を放すことで、視標3の点灯を確認した旨の意思表示をするように訓練してある。
【0041】
このように、応答レバー4の押圧を解除させる方式であれば、応答時間を短縮することができる。つまり、応答レバー4は、ばね付勢された機構となっているが、応答レバー4を押し込む際には、上記ばね付勢に抗って押圧力を付与する必要がある。これに対して、応答レバー4を放す場合には、サルが単に力を抜くだけで上記ばね付勢力が直ちに応答レバー4を押し戻すように作用するため、応答レバー4の動作開始のタイミングが極めて早いものとなり、正確な応答を得ることができる。
【0042】
サルの応答が信頼できるものであるか否かは、例えば、以下の点をチェックして判断する。
(1) サルの視線が注視点2を向いていたか
(2) 視標3の呈示に対する応答時間が適切か
(3) 応答しなかった視標3が、見えるはずの視標3かどうか
これらの項目につき、視標3の呈示毎に視標表示制御装置Bが判断し、サルの応答が信頼できるものである場合にはジュースなどの報酬を与え、同時にブザーを鳴らす。報酬およびブザーはサルの応答に対する正のフィードバックであり、視野測定に対するサルのモチベーションを向上させると考えられる。
【0043】
(実施例)
サルの頭部の固定に際しては、筒状ステンレス製の部品を埋め込んだ歯科治療用の樹脂セメントを装着した。当該樹脂セメントとしては、サルの頭部から装着部材が容易に外れないように、長期間の時間経過によっても劣化しないものが適している。
【0044】
視野測定では、先ず、正面に点灯させた注視点2をサルに注視させる。当該注視点2を注視している間に、視野内の所定の位置に視標3を点灯させる。測定中は、サルの眼球の動きを前述の方法によって常にモニターする。
【0045】
視標3は、1dB間隔で変化させることができる。ここで用いる「dB」は、多くの視野計で輝度の単位として用いられている単位である。「dB」は相対輝度を示すものであり、視野計の最高輝度が0dBである。本実施形態での輝度設定は、ハンフリー自動視野計に準じた。0dBは、おおよそ太陽光の輝度に匹敵する。ここから、1dB、2dB・・・と相対輝度が変化すると、輝度は約0.8倍ずつ低下する。
【0046】
任意の輝度の視標3を点灯した後、一定時間内にサルが手元に設置した応答レバー4を放して応答する等、信頼できる応答を示した場合には報酬を与える。
【0047】
上記要領で測定した結果を図3に示す。
このデータは、カニクイザル(オス11歳)の右眼の視野データである。このデータでの視標呈示位置は、臨床で用いられている Humphrey Central 24-2 に準じた。
各測定ポイントでの視標3の輝度は1dB間隔で変化させた。その際には、サルの応答に応じて呈示する刺激強度を変化させる方法(適応法)を用いた。前記視野データは、測定の結果より、見えたと思われる閾値、即ち、平衡状態に達した段階の各測定ポイントでの視標3の輝度の平均値を用いて整理したものである。
【0048】
(効果)
本構成のサルの視野測定システム及び視野測定方法を用いることで、サルの視野測定を正確に行えることがわかった。
そして、本装置を用いてサルの視野測定を行うことで、例えば、緑内障の治療に用いる新薬の開発に際し、ヒトによる臨床試験に先立って、当該新薬の効果等を確認するための試験データを得ることができるようになる。
また、汎用機器を用いることができるため、安価なシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサルの視野測定システムの構成を示す説明図
【図2】サルの頭部固定要領を示す説明図
【図3】サルの視野測定結果を示す説明図
【符号の説明】
1 椅子
2 注視点
3 視標
4 応答レバー
5 装着部材
6 支持部材
7 基台部材
10 赤外線LEDアレイ
11 CCDカメラ
A 頭部固定装置
B 視標表示制御装置
C 視線監視装置
Claims (9)
- サルが座る椅子およびサルの頭部を固定する頭部固定装置と、
サルに注視させる注視点を表示すると共に、サルの視野内の所定位置に所定輝度で視標を表示する視標表示装置と、
サルの視線方向を監視する視線監視装置と、
データを分析するための演算装置と、
前記視標を認識したサルが意志表示するための応答レバーとを備えた視野測定システムであって、
前記頭部固定装置が、サルの頭頂部に固定した装着部材と、当該装着部材に接続可能な支持部材と、当該支持部材を固定する基台部材とを備えているサルの視野測定システム。 - 前記頭部固定装置が、サルの視界に入らないように構成してある請求項1に記載のサルの視野測定システム。
- 前記支持部材が装着部材とすみやかに接続可能で、且つ長さ調節が可能なように構成してある請求項1または2に記載のサルの視野測定システム。
- 前記視線監視装置が、サルの瞳に赤外線を照射する赤外線LEDアレイと、CCDカメラとを備えたものであり、
前記CCDカメラで撮影したサルの瞳孔の形状を楕円に近似して、当該楕円の中心を瞳孔の中心とし、
この瞳孔の中心と、予め、前記注視点および当該注視点近傍の任意の点をサルに注視させて求めておいた瞳孔の位置座標とを比較演算して、刻々のサルの視線方向を特定するものである請求項1〜3の何れか一項に記載のサルの視野測定システム。 - 前記演算装置が汎用パーソナルコンピュータである請求項1〜4の何れか一項に記載のサルの視野測定システム。
- サルの頭頂部に装着部材をあらかじめ装着固定した後、当該装着部材に支持部材の一部を接続し、さらに、前記支持部材を基台部材に固定する被検動物の頭部固定方法。
- 頭頂部に装着部材を固定したサルを椅子に着座させ、
当該装着部材に支持部材の一部を接続し、さらに、前記支持部材を基台部材に固定した後、
サルの前に設置した視標表示画面に、サルが注視すべき注視点を点灯し、
サルが当該注視点を注視し、かつ、意志表示用の応答レバーを押圧している状態で、サルの視野内の所定位置に所定輝度の視標を点灯させ、
当該視標の点灯時に前記応答レバーの押圧を解除させるサルの視野測定方法。 - サルが前記注視点を注視しているか否かの確認を、
赤外線LEDアレイを用いてサルの瞳孔に赤外線を照射すると共に、CCDカメラでサルの瞳孔をモニターし、
サルの瞳孔の形状を楕円に近似して、当該楕円の中心を瞳孔の中心とし、
この瞳孔の中心位置と、予め、前記注視点および当該注視点近傍の任意の点をサルに注視させて求めておいた瞳孔の位置座標とを比較演算して、刻々のサルの視線方向を特定することで行う請求項7に記載のサルの視野測定方法。 - 請求項1に記載の視野測定システムを用いることを特徴とする緑内障治療薬の効果判定方法。
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Publications (2)
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