JP3659870B2 - 液晶駆動装置、光ヘッドおよび光ディスク装置 - Google Patents

液晶駆動装置、光ヘッドおよび光ディスク装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ヘッドの光軸傾き(チルト)を補正する液晶駆動装置や、光ヘッドの対物レンズの球面収差を補正する液晶駆動装置に関するものであり、さらに、そのような液晶駆動装置を用いた光ヘッド及び光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクと光ヘッドの光軸との傾きであるチルトを収差補正用の液晶素子を用いて補正する方式が提案されている(特開平10−79135号公報、特開平11−3531号公報参照)。液晶素子における電極は所定の形状で複数の領域に分割されて形成されており、各領域に印加する電圧の調整により通過するレーザー光の位相差を加減し、チルト補正を行うものである。また、光ディスクの高密度記録化のため、高NAレンズで短波長レーザーを用いたときに課題となる対物レンズの球面収差も液晶素子により補正する。
チルト補正を1軸方向でのみ行う場合は、液晶素子をほぼ短冊状の領域に分割し、各領域に印加する電圧の調整を行う。チルト補正を2軸方向で行う場合は、液晶素子における電極を各軸方向にほぼ扇形の領域に分割し、光軸中心付近は各軸方向の共通領域として分割される。2軸のチルト補正も1軸方向の補正と同様に、各領域に印加する電圧を調整する。
電圧印加には、一般に、オペアンプ回路かパルス幅変調(PWM)回路が用いられる。チルト補正を1軸方向あるいは2軸方向以上行う場合のいずれにおいても、液晶素子の各領域ごとに電圧を印加する駆動回路を用いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の駆動回路において、液晶素子の分割数だけ駆動回路を必要とするため、回路規模が大きくなる。すなわち液晶素子ごとにオペアンプやPWM回路を必要としている。加えて、液晶素子が搭載されたヘッドから基板までのインターフェースにおいて液晶駆動に要する結線数が多くなる不具合がある。
一方、チルト補正を2軸方向以上で行う場合は、各軸方向の補正を独立に行えることが望ましいが、液晶素子の各軸方向の共通領域に印加する電圧を考慮しながら、他の領域に印加する電圧を決定しなければならないという煩雑さがある。特に近年ではこれらの電圧印加をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)による処理で行うので、ソフトウェアの処理ステップ数が増大するという不具合を有する。
【0004】
また、従来の光ヘッドでは、光ヘッドの薄型化およびアクチュエータの軽量化によるフォーカスおよびトラッキング感度向上のために液晶素子を可動部であるアクチュエータではなく、固定部に設置している。対物レンズがラジアル方向及びタンジェンシャル方向に傾いたときに生じるチルトは補正されるが、液晶素子を固定部に設置した場合には、対物レンズがラジアル方向に移動すると、対物レンズの光軸と液晶パターンとのずれが生じることにより収差補正性能が低下していた。
【0005】
本発明の目的は、1軸あたりの駆動回路が簡素な液晶駆動装置を提供することである。
本発明のもう1つの目的は、相互の干渉なしに複数軸のチルト補正を独立に行える液晶駆動装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、光ディスクの高密度記録化のため高NAレンズで短波長レーザーを用いたときに課題となる対物レンズの球面収差を補正する液晶駆動装置を提供することである。
また、本発明の別の目的は、液晶素子を固定部に設置した光ヘッドにおいて、ラジアル方向及びタンジェンシャル方向に傾いたときに生じるチルトを補正すると共に、対物レンズがラジアル方向に移動した場合の収差補正性能を改善することができる光ヘッドを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶駆動装置は、周期波形を発生する周期波形発生器と、それぞれ前記周期波形発生器の出力を入力し複数の軸方向ごとの指令値に基づいて各軸方向ごとに位相をシフトして出力する複数の位相シフト手段と、複数の位相シフト手段の出力をそれぞれ反転する複数の反転素子と、それぞれ複数の抵抗を直列に接続し両端に前記各位相シフト手段の出力と前記各反転素子の出力とを接続した複数の分圧抵抗器と、複数の軸方向に沿ってそれぞれ分割された複数領域からなる電極部と電極部に対向する共通電極を有し、前記共通電極に前記周期波形発生器の出力を接続し、かつ複数の電極部のそれぞれに前記複数の分圧抵抗器の各出力を接続した液晶素子とを備え、前記複数の分圧抵抗器のそれぞれから出力される出力電圧の1つは、前記位相シフト手段の出力電圧と前記反転素子の出力電圧の和の1/2になるようにし、前記位相シフト手段の出力電圧と前記反転素子の出力電圧の和の1/2に相当する出力電圧を単一の電極部に接続することにより、前記複数の軸方向に沿ったチルト補正を独立して行うように構成する。この構成によると、所要のチルト補正のために必要となる複数の電圧すなわち液晶素子における複数の電極それぞれに供給する複数の電圧を分圧抵抗器で作ることができる。しかも、その分圧抵抗器に供給する適正な電圧は、周期波形発生器と位相シフト手段と反転素子との数少ない構成要素で生成することができ、電極ごとにオペアンプやパルス幅変調回路を用いていた従来技術に比べて、回路構成を簡素化することができる。また、この液晶駆動装置は、複数の軸方向でのチルト補正を行うものであり、この構成によると、簡単な構成でありながら、相互に干渉することなしに複数軸方向のチルト補正を独立して行える。
【0008】
前記の液晶駆動装置において、たとえば、前記周期波形発生器の出力波形が正弦波である。オペアンプを用いてアナログ的に信号処理することにおいて有用である。
前記の液晶駆動装置において、たとえば、前記周期波形発生器の出力波形がデューティ比約50%の方形波である。したがって、デジタル回路による信号処理において有用である。たとえばDSP(デジタルシグナルプロセッサ)にデジタル3ビットの入出力ポートがあれば、各ポートを周期的にビット反転する処理を行えば、デューティ比約50%の方形波を発生でき、複数軸方向のチルト補正が簡便なものとなる。
【0009】
好ましくは、さらに、前記周期波形発生器の出力と前記位相シフト手段の出力と前記反転素子の出力との各電圧振幅を調整する振幅調整手段を備えている。この構成によると、液晶素子に印加する実効電圧と透過光の位相差との関係を示す特性においてリニアリティ(直線性)の高い範囲で動作点を設定することができ、チルト補正を効果的に実行できる。
好ましくは、前記の液晶駆動装置において、前記分圧抵抗器における複数の抵抗のうち両端の抵抗を可変抵抗とする。この構成によると、対物レンズの球面収差補正を併せて行うことができる。
好ましくは、前記の液晶駆動装置において、前記分圧抵抗器における複数の抵抗のうち両端の抵抗は他の抵抗の2倍以上の抵抗値とする。この構成によると、液晶素子における共通電極に対面する分割された電極群の位置の違いによる実効電圧の偏差を少なくすることができ、チルト補正をより良好なものとすることができる。
好ましくは、前記の液晶駆動装置において、前記周期波形発生器の出力と前記位相シフト手段の出力との位相差が90°または−90°を中心に可変される。この構成によると、共通電極に印加する周期波形信号と分圧抵抗器において抵抗分割すべき電圧信号との位相差が±90°となるので、各電極での実効電圧の波高値の調整を容易なものとできる。
【0010】
たとえば、前記周期波形発生器は、入出力ポートのビットを周期的に反転可能なデジタル回路である。ソフトウェアのタイマー処理によって入出力ポートのビットを周期的に反転させた信号を前記周期波形発生器の出力とすることができる。
【0011】
好ましくは、前記の液晶駆動装置において、前記液晶素子の電極を同心円状に分割した複数の領域から構成する。この構成によると、より精度の良い球面収差補正を行うことができる。
好ましくは、前記の液晶駆動装置は、前記周期波形発生器の出力を共通に入力し、指令値に基いて位相をシフトして出力する複数の前記位相シフト手段と、前記複数の位相シフト手段にそれぞれ対応する複数の前記反転手段と、前記複数の位相シフト手段にそれぞれ対応する複数の前記分圧抵抗器とを備える。この構成によると、複数の軸方向についてチルト補正を実行できる。
好ましくは、前記の液晶駆動装置において、各軸方向ごとに個別の分圧抵抗器のそれぞれにおいて全抵抗値を等分する中点に相当する出力端子どうしを接続する。この構成によると、各分圧抵抗器のばらつきに起因して双方に電位差が発生することを防止できる。したがって、ある電極を互いに異なる方向の両軸補正において共用することとしたうえで、相互干渉なしの両軸の独立したチルト補正を高精度に実行できる。
【0012】
また、本発明に係る光ヘッドは、光源と、前記光源から出射した光束を光ディスクに収束する対物レンズと、前記光源と前記対物レンズの間の光路中に配置される液晶素子であって、前記光源と前記対物レンズの間の光路中に配置される液晶素子であって、光ディスクから反射される光束の光軸に直交する面内に配置される複数領域に分割された電極部と、液晶相を介在してこれらの電極部に対向する共通電極とを備え、前記電極部は、前記光軸に対する前記対物レンズの移動がない時に透過する光束を補正する第1の電極群と、前記光軸に対して前記対物レンズが内周へ移動する方向に第1の電極群の外側に前記第1の電極群とは離れて設けられる第2の電極群(1以上の電極からなる)と、前記光軸に対して前記対物レンズが外周へ移動する方向に前記第1の電極群の外側に前記第1の電極群とは離れて設けられる第3の電極群(1以上の電極からなる)とを有する光ヘッドと、周期波形を発生する周期波形発生器と、前記周期波形発生器の出力を入力し指令値に基づいて位相をシフトして出力する位相シフト手段と、前記位相シフト手段の出力を反転する反転素子と、複数の抵抗を直列に接続し両端に前記位相シフト手段の出力と前記反転素子の出力とを接続した分圧抵抗器とからなり、前記周期波形発生器の出力を前記液晶素子の前記共通電極に接続し、かつ前記分圧抵抗器の各出力を前記液晶素子の第1の電極群に各々接続した液晶駆動装置と、前記分圧抵抗器の各出力から1つの出力を前記液晶素子の第2の電極群へ選択印加する第1の信号切替手段と、前記分圧抵抗器の各出力から1つの出力を前記液晶素子の第3の電極群へ選択印加する第2の信号切替手段と、対物レンズのラジアル方向への移動量及び前記ラジアル方向の移動の向きを検出するレンズシフト量検出手段と、前記レンズシフト量検出手段の出力する対物レンズのラジアル方向への移動量及び前記ラジアル方向の移動の向きに基づいて前記第1又は第2の信号切替手段へ切替信号を出力するレンズシフト補正制御手段とを有する。また、この構成によると対物レンズが移動した場合でも第2および第3の電極群を用いて収差補正を行うことにより、良好な収差補正性能を得ることができる。この構成によると、所用のチルト補正のために必要となる液晶素子の複数電極への供給電圧を簡単な構成の分圧抵抗器で作ることができ、この分圧抵抗器以外に必要なものは周波数発生器と位相シフト手段と反転素子であるので、全体として、電極ごとにオペアンプやPMW回路を用いていた従来の技術に比べて、回路構成を簡単にできる。さらに対物レンズが移動した場合でも第2および第3の電極群を用いて収差補正を行うことにより、良好な収差補正性能を得ることができる。対物レンズが移動した場合でも、第2及び第3の電極群部に印加する電圧を第1及び第2の信号切替手段で切り替えることにより良好な収差補正性能を得ることができる。
【0013】
好ましくは、この光ヘッドにおいて、前記第2の電極群と前記第3の電極群は、それぞれ、対物レンズの移動が無い時の光軸を中心に湾曲した短冊形状を有する電極を有する。対物レンズが内周および外周に移動する場合でも同等の性能を得ることができる。
好ましくは、この光ヘッドにおいて、前記第2の電極群と前記第3の電極群は、対物レンズの移動が無い時の光軸から前記第2の電極群と前記第3の電極群の方向に所定の距離(たとえば100〜250μm)だけ移動した軸を中心に湾曲した短冊形状を有する電極を有する。対物レンズが内周および外周に移動する場合でも同等の性能を得ることができる。
【0015】
好ましくは、第1の信号切替手段および第2の信号切替手段がアナログスイッチである。第2の電極群および第3の電極群に印加する電圧を切替信号の指令値により電気的に容易に変更することができる。
好ましくは、前記レンズシフト補正制御手段は、レンズシフトが所定のレベルを超えない場合は、第1の電極群の電極へつながる分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第1の信号切替手段および第2の信号切替手段へ出力し、レンズシフトが第2の電極群側へ所定レベルを超えて発生した場合は、第2の電極群と隣接する第1の電極群へつながる分圧抵抗器からの第1の分圧出力または前記第1の分圧出力に近接する分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第1の信号切替手段へ出力し、レンズシフトが第3の電極群側へ所定レベルを超えて発生した場合は、第3の電極群と隣接する第1の電極群へつながる分圧抵抗器からの第2の分圧出力または前記第2の分圧出力に近接する分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第2の信号切替手段へ出力する。この構成によると、第1及び第2の信号切替手段で安定的に第2及び第3の電極群に電圧を選択印加することができ、レンズシフトが生じた場合での収差補正性能の信頼性が向上する。
【0016】
光ヘッドにおいて、前記の所定レベルは、たとえば、100〜250μmである。または、前記の所定レベルは、たとえば、トラバース移動量の約半分である。第1および第2の信号切替手段で安定的に第2及び第3の電極群に電圧を選択印加することができ、レンズシフトが生じた場合での収差補正性能の信頼性が向上する。
好ましくは、光ヘッドは、さらに、光ディスクの偏芯成分を検出する偏芯検出手段を備え、レンズシフト量検出手段は、偏芯検出手段により検出された偏芯成分に対応して、偏芯によるレンズシフト成分を補正する。この構成によると、第1および第2の信号切替手段でのより精度の高い信号切替ができ、収差補正の信頼性を向上させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
まず、図1と図2を用いて発明の第1の実施の形態の液晶駆動装置と液晶素子の構成について説明する。図1は液晶駆動装置の電気的構成を示すブロック回路図である。この液晶駆動装置において、周期波形発生器1は、正弦波や方形波等の周期的な信号を出力する。振幅調整手段2は、周期波形発生器1の振幅を調節して周期信号Vcomを出力する。第1の位相シフト手段3は、ラジアルチルト指令5に応じて振幅調整手段2からの信号Vcomの位相をシフトして信号VR+を出力するようになっている。第2の位相シフト手段4は、タンジェンシャルチルト指令6に応じて振幅調整手段2からの信号Vcomの位相をシフトして信号VT+を出力する。ここで、ラジアルチルト指令5は、図示しないチルトサーボ装置からのラジアルチルト補正の指令値である。同様に、タンジェンシャルチルト指令6は、タンジェンシャルチルト補正の指令値である。位相シフト手段は、アナログ信号では遅延素子であり、デジタル信号ではたとえばシフトレジスタである。
【0018】
第1の反転素子7は、第1の位相シフト手段3からの出力信号VR+を反転して信号VR-を出力するようになっている。第2の反転素子8は、第2の位相シフト手段4からの出力信号VT+を反転して信号VT-を出力するようになっている。第1の位相シフト手段3からの出力信号VR+と第1の反転素子7からの出力信号VR-とは第1の分圧抵抗器9の両端子に各々接続されている。第2の位相シフト手段4からの出力信号VT+と第2の反転素子8からの出力信号VT-とは第2の分圧抵抗器10の両端子に各々接続されている。反転素子7,8は、デジタル信号ではインバータであり、アナログ信号では反転回路である。
【0019】
第1の分圧抵抗器9は、抵抗値Rの抵抗器を4つ直列に接続し、さらにこの抵抗器直列接続体の両端に可変抵抗VR1と可変抵抗VR2を各々直列に接続したものである。可変抵抗VR1側に信号VR+が印加されるように第1の位相シフト手段3に接続され、可変抵抗VR2側に信号VR-が印加されるように第1の反転素子7接続され、分圧出力が可変抵抗VR1側から順にVa,Vb,Vc,Vd,Veとなっている。第2の分圧抵抗器10の構成も、第1の分圧抵抗器9と同様に、抵抗値Rの抵抗器を4つ直列に接続し、さらにこの抵抗器直列接続体の両端に可変抵抗VR3と可変抵抗VR4を各々直列に接続したものである。可変抵抗VR3側に信号VT+が印加されるように第2の位相シフト手段4に接続され、可変抵抗VR4側に信号VT-が接続されるように第2の反転素子8に接続され、分圧出力が可変抵抗VR3側から順にVf,Vg,Vh,Vi,Vjとなっている。
【0020】
液晶素子11は、共通電極12と各領域に分割された電極13を有している。電極13は、9つの電極13a,13b,13c,13d,13e,13f,13g,13i,13jからなっており、それぞれ分圧出力Va,Vb,Vc,Vd,Ve,Vf,Vg,Vi,Vjに対応している。Vhに対応した電極はない。すなわち、上記の分圧出力VaないしVjは分圧出力Vhを除いて、液晶素子11の各電極13aないし13jへ各々接続されている。振幅調整手段2の出力Vcomは、液晶素子11の共通電極12に接続されている。なお、VcのラインとVgのラインとを結ぶライン(破線で示す)については後述する。
【0021】
次に、図2を用いて上述の液晶駆動装置に使用する液晶素子11の構成を説明する。図2の(a)は液晶素子11を領域分割面から見ており、向かって右側がラジアル方向、上側がタンジェンシャル方向である。ラジアル方向は、図示しない光ディスクの半径方向に相当する。タンジェンシャル方向は、光ディスクにおけるトラックの接線方向に相当する。
【0022】
図2の(a)に向かって奥側は各領域に対向する共通電極12が配され、向かって手前側は9つの領域に分割された電極が配されている。ラジアル方向とタンジェンシャル方向の各軸方向へ、ほぼ扇形の電極が配される。電極13a,13b,13d,13eはラジアルチルト補正用として用いられ、電極13f,13g,13i,13jはタンジェンシャルチルト補正用として用いられる。また、電極13cは両軸補正において共用される。 図2の(b)は液晶素子11のラジアル方向に沿った切断面での断面を示している。電極13と共通電極12の間、すなわち領域14に液晶15が満たされており、電極13と共通電極12に電圧を印加することで領域14aないし領域14jの液晶15を励起する。
【0023】
図2に示すように2軸方向のチルト補正用に構成される液晶素子11は、図1における第1の位相シフト手段3と第1の反転素子7と第1の分圧抵抗器9を一組とするラジアルチルト補正と、第2の位相シフト手段4と第2の反転素子8と第2の分圧抵抗器10を一組とするタンジェンシャルチルト補正との2組の補正手段によって調整される。
【0024】
以下、以上のように構成された液晶駆動装置についてその動作を説明する。
電極13cはラジアル方向とタンジェンシャル方向の両軸補正において共用する。そこで、両軸補正を独立に行う条件として、Vc=Vgすなわち、式(1)に示す条件を満足するように液晶素子11を駆動する。
{VR++VR-}/2={VT++VT-}/2=Vcom (1)
例えば、周期波形発生器1と振幅調整手段2によってVcom=sin(ωt)で与えられるとする。ここで、ωは信号の角周波数、tは時間である。このとき、第1の位相シフト手段3の出力VR+、第1の反転素子7の出力VR-および第2の位相シフト手段4の出力VT+、第2の反転素子8の出力VT-は式(2)のようになる。ただし、θは90°または−90°とする固定の値であり、αとβは±90°の範囲で変化する指令値である。αはラジアルチルト指令5における指令値であり、βはタンジェンシャルチルト指令6における指令値である。なお、VR1=VR2、VR3=VR4である。
R+=−VR-=sin(ωt+θ+α)
T+=−VT-=sin(ωt+θ+β) (2)
ただし、θ=90°または−90°
−90°≦α≦90°
−90°≦β≦90°
式(2)で与えられるVR+,VR-,VT+,VT-は式(1)を満たし、
Vc=0 (3)
Vg=0
となる。従って、液晶素子11の領域14cは、
Vc−Vcom=−sin(ωt)
で駆動されるため、αとβによらず一定の実効電圧で駆動される。すなわち、ラジアルチルト指令5とタンジェンシャルチルト指令6を別々に与えても領域14cにかかる実効電圧は一定であるので、相互に干渉することなく両軸補正を独立して行うことができる。
【0025】
次に、ラジアル方向のチルト補正について、図3ないし図7を用いて説明する。図3は正弦波で駆動する場合のVcom,VR+,VR-の信号波形図である。図3において、VR+はVcomに対して、θ=90°を中心に指令値αだけ位相がシフトした波形であり、VR-はVR+の反転波形である。図3において、(a)はθ=90°、α=0°の場合の信号波形図であり、(b)はθ=90°、α=45°の場合の信号波形図であり、(c)はθ=90°、α=90°の場合の信号波形図である。
【0026】
ここで、VR1=VR2=6Rとした場合の第1の分圧抵抗器9の出力は、式(4)で与えられる。
Va=10/16*VR++ 6/16*VR-= 4/16*sin(ωt+θ+α)
Vb= 9/16*VR++ 7/16*VR-= 2/16*sin(ωt+θ+α)
Vc= 8/16*VR++ 8/16*VR-= 0 (4)
Vd= 7/16*VR++ 9/16*VR-=−2/16*sin(ωt+θ+α)
Ve= 6/16*VR++10/16*VR-=−4/16*sin(ωt+θ+α)
液晶素子11の領域14aに印加される電圧は、電極13aに加わる電圧Vaから共通電極12に加わる電圧Vcomを差し引いたものである。液晶素子の領域14bから領域14eについても同様で、電圧Vcomを差し引けば各領域に加わる電圧を計算できる。図4に、計算から求められる各領域14a,14b,14c,14d,14eへ印加される電圧パターンを示す。図4は正弦波で駆動する場合の各領域14a,14b,14c,14d,14eに印加される電圧パターンを示す。図4において、縦軸はVcomで正規化した電圧である(Vcomの波高値を1.00とする)。図4において、(a)はθ=90°、α=0°の場合の電圧パターン図であり、(b)はθ=90°、α=45°の場合の電圧パターン図であり、(c)はθ=90°、α=90°の場合の電圧パターン図である。
【0027】
液晶素子11の領域14aないし領域14eに正弦波が印加されるが、指令値αに伴って波高値が調節される。(a)の場合は、波高値の違いが少ないが、それでもわずかに差がある。(b)の場合は、波高値の差が大きくなり、(c)の場合はさらに大きくなる。
【0028】
この電圧パターンが印加されたときの実効電圧の調節の様子を図5を用いて説明する。図5は、指令値αを±90°変化した場合の液晶素子の各領域14a,14b,14c,14d,14eに印加される実効電圧を示す。図5において、横軸に液晶素子の領域14aから領域14eを順に並べ、縦軸に正規化した実効電圧をとっている。領域14cに印加される実効電圧は指令値αの値によらず一定である。同じ指令値αに対して領域14aと領域14eにおける実効電圧は、領域14bと領域14dにおける実効電圧に比べて約2倍変化する。また、領域14aと領域14bにおける実効電圧は、領域14dと領域14eにおける実効電圧とは反対符号で増減する。図5から理解できるように、領域14cを中心とするシーソーのように実効電圧を指令値αで増減できる。
【0029】
ここで、α=45°の場合について、ラジアルチルト補正の様子を図6と図7を用いて説明する。
図6は、液晶素子に印加する実効電圧と透過光の位相差の関係図である。図6において、横軸は液晶素子に印加する実効電圧であり、縦軸は液晶素子を透過するレーザー光の位相差である。印加する実効電圧が少ないと液晶が励起されず、位相差は少ないが、印加する実効電圧を上げるに従って、直線的に位相差が変化するようになる。さらに印加する実効電圧を上げると、位相差の増大が次第に鈍ってくる。
以上のように変化する特性をもつ液晶素子において、直線的に位相差が変化する実効電圧の範囲に、領域14cの実効電圧を設定し、これを動作点とする(図6の点P)。なお、実効電圧の設定については、振幅変動手段2を用いればよい。
【0030】
図5よりα=45°のときの各領域14aないし領域14eにかかる実効電圧は、領域14cを中心に直線的に変化する。図6で示すと、各領域を透過するレーザー光の位相差は領域14aが最も大きく、領域14eが最も小さい。領域14aから領域14eにかけて、透過光の位相差は順に小さくなっている。
このときのラジアル方向の位相差の変化を図7に示す。図7はθ=90°、α=45°の場合の透過光の位相差の関係図である。図7の縦軸は透過光の位相差を示し、横軸は液晶素子11のラジアル方向の断面位置を表している。指令値αを動かすと縦軸の値Qを中心に山の凹凸が図5と図6によって定まる関係で上下変動する。このことから明らかなように、ラジアル方向に対して透過光の位相差を調節することが可能となっており、ラジアルチルトの補正を指令値αの調整をもって行うことができる。透過光の位相差と信号処理については、従来と同じであるので説明を省略する。
【0031】
なお、振幅調整手段2は必ず必要とするものではなく、図5の動作点Pが固定であれば、周期波形発生器1に含めてしまえばよい。また、振幅調整手段2は分圧抵抗器の入力段に設けてもよいものであり、周期波形発生器1の直後に必ず設けなければならないものではない。
さらになお、位相シフト手段の動作中心をθ=90°で説明したが、θ=−90°でもその動作は符号を反転すれば同じである。
また、位相シフト量を±90°に固定した位相シフト手段をVcom側に設ければ、θ=0°とできるので、第1と第2の位相シフト手段3、4の構成を簡略化できる。
【0032】
さらになお、図1中の破線で示すように、第1の分圧抵抗器9において全抵抗値を二等分する中点に相当する出力Vcの出力端子と第2の分圧抵抗器10において全抵抗値を二等分する中点に相当する出力Vgの出力端子とを互いに接続してもよい。この場合、Vc=Vgを高精度に達成でき、分圧抵抗器のばらつきに起因してわずかではあっても双方に電位差が発生することを防止できる。したがって、前述の、電極13cをラジアル方向とタンジェンシャル方向の両軸補正において共用することとしてVc=Vgの条件を満足させ、相互干渉なしの両軸の独立したチルト補正を高精度に実行できる。
以上、ラジアル方向のチルト補正について、その動作説明をしたが、タンジェンシャル方向のチルト補正の動作説明については、ラジアル方向のチルト補正と同様であるので、その説明を省略する。
【0033】
次に、第1の分圧抵抗器9の両端の可変抵抗VR1、VR2の抵抗値を
VR1=VR2=6R
のように他の抵抗の抵抗値Rよりも大きくしている理由について説明する。これらの可変抵抗VR1,VR2はチルト補正を行うためのものではなく、図示しない対物レンズの円周方向の収差の補正用の抵抗である。
【0034】
可変抵抗を0,2R,6Rと変化させた場合について、その動作を図面を用いて説明する。図8は、可変抵抗の抵抗値VR1,VR2を変化した場合の液晶素子の各領域に印加される実効電圧図である。ただし、VR1=VR2とする。図8において、可変抵抗の値が小さくなるにつれて、領域14aと領域14eの実効電圧が大きくなり、領域14cを最小とする放物線を描くようになる。したがって、可変抵抗VR1と可変抵抗VR2の調節により、放物線の傾きを変化できる。
【0035】
図9は、図8に示す実効電圧が印加されたときの透過光の位相差を示す関係図である。図9において、実線はVR1=VR2=0のときの液晶の透過光の位相差であり、破線はVR1=VR2=2Rのときの液晶の透過光の位相差である。このことから明らかなように、可変抵抗VR1と可変抵抗VR2の調節により、領域14cを中心とする円周方向の位相差を変化できる。すなわち、図示しない対物レンズの球面収差補正を行っていることに相当する。
【0036】
通常、CD(コンパクトディスク)等の対物レンズの円周方向の収差はわずかであるのでこれらの可変抵抗を調節する必要はあまりないが、DVD(Digital Versatile Disk/Digital Video Disk)と同等かそれ以上の高密度記録を行う高NAレンズを使用する場合に有効である。これらの可変抵抗を他の抵抗よりも2倍以上高くすると、図8における放物線が直線に近くなるため、チルト補正の点から望ましい。可変抵抗が上記実施の形態のように6倍あれば、チルト補正において実使用上の問題は見られない。
【0037】
なお、いうまでもないが、対物レンズの円周方向の収差の補正を必要としなければ、分圧抵抗器の両端の可変抵抗は固定抵抗であってもよい。
【0038】
以上、周期波形発生器1の信号が正弦波の場合について説明をしたが、TTLレベルのデジタル波形のような方形波でも同様にチルト補正が行えることを図10ないし図11を用いて説明する。
【0039】
図10は、デューティ比約50%の方形波で駆動する場合のVcom,VR+,VR-の信号波形図である。図9において、VR+はVcomに対して、θ=90°を中心に指令値αだけ位相がシフトした波形であり、VR-はVR+の反転波形である。図10において、(a)はθ=90°、α=0°の場合の信号波形図であり、(b)はθ=90°、α=45°の場合の信号波形図であり、(c)はθ=90°、α=90°の場合の信号波形図である。
Figure 0003659870
方形波は式(5)に示す式で与えられ、図10は、正弦波が方形波になった点を除いて図4の場合と同じである。ここで、VR1=VR2=6Rとした場合の第1の分圧抵抗器9の出力は、式(4)と同様に計算でき、図10は、各領域14a,14b,14c,14d,14eに印加される電圧パターンを示す。
【0040】
図11は、方形波で駆動する場合の各領域14a,14b,14c,14d,14eに印加される電圧パターンを示す。ここに、縦軸はVcomで正規化した電圧である。図11において、(a)はθ=90°、α=0°の場合の電圧パターン図であり、(b)はθ=90°、α=45°の場合の電圧パターン図であり、(c)はθ=90°、α=90°の場合の電圧パターン図である。
【0041】
液晶素子11の領域14aないし領域14eに方形波が印加されるが、指令値αに伴って波高値が高い時間および低い時間が調節される。図11に示す電圧パターンの実効電圧の調節は図5の場合と同様である。方形波の場合のチルト補正の動作については、正弦波の場合と同様であるので説明を省略する。
【0042】
以上、周期波形発生器1の出力が正弦波と方形波の場合のそれぞれについて、その動作を述べた。しかし、波形はこの2種類に限らなくてもよく、式(1)を満足する周期信号であればよい。周期波形発生器1の出力が正弦波の場合は、オペアンプを用いてアナログ的に信号処理するのに便利である。
【0043】
また、周期波形発生器1の出力が方形波の場合は、デジタル回路による信号処理が周期波形発生器1として使用できる。すなわち、マイコンまたはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)にデジタル3ビットの出力ポートを用意する。出力ポートのうち1ビットを、ソフトウェアのタイマー処理によって周期的にビット反転すれば、周期波形が得られる。また、周期波形に対して所定時間だけずらしたビット反転処理を他の2ビットにそれぞれ行えば、位相シフト手段の出力としても使用できる。これら3ビットの出力ポートをソフトウエアで制御することにより2軸の補正が簡単に行える。
【0044】
なお、上述の動作説明はすべて2軸の補正について説明している。しかし、3軸以上の補正についても同様であり、1軸あたりの補正に位相シフト手段と反転素子と分圧抵抗器とを各々1つずつ追加すればよい。DSP等でn軸を補正するには(n+1)ビットの出力ポートがあればよい。
【0045】
ところで、上記実施の形態では対物レンズの球面収差の補正を第1の分圧抵抗器9と第2の分圧抵抗器10の両端の可変抵抗で調節できることを説明した。次に、図12を用いて、液晶素子の領域分割と分圧抵抗器の組み合わせでさらに精度良く補正できることを説明する。
【0046】
図12は球面収差の補正を説明するための図である。ここに、(a)は分圧抵抗器の構成を示し、(b)は液晶素子の領域分割を示し、(c)は液晶素子の透過光の位相差を示す。(a)に示す分圧抵抗器において、16は分圧抵抗器であり、Rの抵抗値をもつ抵抗器が8つ直列に接続されており、両端に4Rの抵抗値をもつ抵抗器が接続されいる。分圧抵抗器16の両端には、図示しない位相シフト手段からの出力を片方の端子に入力し、もう片方の端子には位相シフト手段からの出力を反転素子17で反転した後に入力している。分圧抵抗器16からの出力については、抵抗の中心からVaを出力し、抵抗の両端に向かって交互にVb,Vc,Vd,Veを出力している。図12の(b)に示すように、液晶素子18は、同心円状の領域に分割され、中心から電極18a,18b,18c,18d,18eの順に電極が引き出されている。各電極18a,18b,18c,18d,18eはそれぞれVa,Vb,Vc,Vd,Veの出力に接続されている。図1に示した液晶素子と同様に、液晶素子18には共通電極があり、共通電極に周期波形発生器の出力が接続されている。
【0047】
このとき、図4と図5と同様にして、液晶素子18に電圧を印加すると、図12の(c)に示す透過光の位相差となる。領域18aから領域18eへ同心円の外周に向かって符号が交互となりかつ次第に位相差が大きくなる。したがって、可変抵抗を用いなくても、球面収差補正を精度良く行うことができる。
【0048】
次に、発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。図13は本実施形態の光ヘッドの構成の1例を示す。光ヘッドは、光源21、偏光ビームスプリッター22、集光レンズ23、液晶素子24、1/4波長板25、立ち上げミラー26,アクチュエータ36,対物レンズ27、光ディスク28、第1のチルトセンサー29、第2のチルトセンサー30,レンズシフト量検出手段31、液晶駆動装置32、シリンドリカルレンズ33、光検出器34により構成される。液晶素子24は固定部に設置される。
【0049】
図13において、矢印は、光束の進行方向を示す。光源21から出射されたP偏光の光束は、偏光ビームスプリッター22を透過し、集光レンズ23により略平行な光束となり、液晶素子24と1/4波長板25を透過する。1/4波長板25を透過するとき光束はP偏光から円偏光に変えられる。1/4波長板25を透過した光束は、立ち上げミラー26で反射され、対物レンズ27によって光ディスク28の情報記録面に集光される。光ディスク28の情報記録面からの反射した光束は、再び対物レンズ27に入り、立ち上げミラー26で反射され、1/4波長板25を透過する。1/4波長板25を透過する光束は、円偏光からS偏光に変えられる。1/4波長板25を透過した光は、液晶素子24を透過し、偏光ビームスプリッター22で反射され、シリンドリカルレンズ33で光検出器34に集光される。光検出器34は、複数領域に分割された光検出領域からなり、受光した光束を光電変換して再生信号を形成すると共に、非点収差法によりフォーカス制御信号を形成し、さらに、位相差法およびプッシュプル法によりトラッキング制御信号を形成して、これらの信号を出力する。
【0050】
さらに、第1のチルトセンサー29は、光ディスクのラジアル方向のチルト角を検出し、第2のチルトセンサー30は、光ディスクのタンジェンシャル方向のチルト角を検出し、レンズシフト量検出手段31は、対物レンズ27のラジアル方向への移動量を検出する。第1のチルトセンサー29からラジアルチルト指令5を、第2のチルトセンサー30からタンジェンシャルチルト指令6を、レンズシフト量検出手段31からレンズシフト指令35を液晶駆動装置32に出力する。液晶駆動装置32の動作に関しては後で説明する。
【0051】
図14は、アクチュエータ36の機構部の構成を示す。この図において、Foはフォーカシング方向を示し、Trはトラッキング方向を示す。対物レンズ27は、整形された樹脂からなるレンズホルダ361により保持される。トラッキングコイル362は、レンズホルダ361に対してトラッキング方向Trの軸回りに巻回され、固定される。このトラッキングコイル362の駆動電流により対物レンズ27の移動量(レンズシフト量)を算出できる。レンズホルダ361は、ワイヤー363を介してバックヨーク364に取り付けられる。
【0052】
図15は、液晶駆動装置32が駆動する液晶素子24の構成を示す。図15において、(a)は液晶素子24を領域分割面から見た平面図であり、向かって右側がラジアル方向、上側がタンジェンシャル方向である。ラジアル方向は光ディスク28の半径方向に相当し、紙面の右側が光ディスクの内周側である。タンジェンシャル方向は、光ディスク28のトラックの接線方向に相当する。(b)に示すように、向かって奥側は各領域に対向する共通電極49が配置され、向かって手前側は円形面を7つの領域に分割された電極50が配置されている。電極50の形状は、図2に示した液晶素子とは異なっている。電極50の中央の領域には、対物レンズの移動が無い時の光軸を中心として、ラジアル方向とタンジェンシャル方向の各軸方向に対しほぼ扇形に形成される4つの電極50a、50e、50f、50jが形成される。これらの電極は、光軸に対する対物レンズの移動がない時に透過する光束を補正する第1の電極群である。ここで、電極50aと50eは、ラジアルチルト補正用として用いられ、電極50fと50jは、タンジェンシャルチルト補正用として用いられる。中央の4つの電極50a、50e、50f、50jの形状は、チルトが発生する場合の位相パターンを基に定めればよい。さらに、電極50aの外側には電極50bが形成され、電極50eの外側には電極50dが形成される。電極50bは、光軸に対して対物レンズが移動する一方の方向に第1の電極群の外周側に設けた第2の電極であり、電極50dは、光軸に対して対物レンズが移動するもう一方の方向に第1の電極群の外周側に設けた第3の電極である。ラジアル方向の中央の2つの電極50a、50eの外側の形状は円弧であり、電極50b、50dは、その外側に配置される、細長い領域である。ここで、電極50b、50dは、それぞれ、対物レンズの移動が無い時の光軸を中心に湾曲した短冊形状(細長い形状)である。または、電極50b、50dは、それぞれ、対物レンズの移動が無い時の光軸から前記第2の電極と前記第3の電極の方向に所定の距離(たとえば100μm)だけ移動した軸を中心に湾曲した短冊形状(細長い形状)である。また、電極50cはラジアルチルトおよびタンジェンシャルチルトの補正において共用されるものとなっている。
【0053】
図15の(b)は、液晶素子24のラジアル方向の断面を示す。複数領域からなる電極50と共通電極49の間に液晶51が満たされており、電極50と共通電極49の間に電圧を印加することで電極52aから52jの液晶を励起する。
【0054】
次に、液晶駆動装置32の構成について説明する。図16は液晶駆動装置の電気的構成を示すブロック回路図である。図16において、符号1〜10は、図1に示した実施の形態における符号1〜10と同一または同等の機能をもつものであり、ここでの説明は省略する。図15に示したように、液晶素子24は、共通電極49と各領域に分割された電極50を有している。振幅調整手段2の出力Vcomは、液晶素子24の共通電極49に接続されている。
【0055】
レンズシフト補正制御手段62は、レンズシフト量検出手段31(図15)のレンズシフト指令35に基づいて第1の信号切替手段60および第2の信号切替手段61にそれぞれ第1の切替指令64および第2の切替指令65を出力する。第1の信号切替手段60は、レンズシフト補正制御手段62の第1の切替指令64により第1の分圧抵抗器9の出力電圧VbまたはVcを液晶素子24の電極50bに選択印加する。具体的には対物レンズが所定の距離より内周側に移動した場合には、液晶素子24の電極50bに電圧Vbを選択印加し、それ以外の場合には基準電圧Vcを選択印加する。第2の信号切替手段61は、レンズシフト補正制御手段62の第2の切替指令65により第1の分圧抵抗器9の出力電圧VdまたはVcを液晶素子24の電極50dに選択印加する。具体的には対物レンズが所定の距離より外周側に移動した場合には、液晶素子24の電極50dに電圧Vdを選択印加し、それ以外の場合には基準電圧Vcを選択印加する。
【0056】
レンズシフト量検出手段31としては、アクチュエータのトラッキング方向の駆動電流から検出する方法、反射型のホトセンサーを対物レンズの側面に配置し、レンズシフト量を検出する方法などレンズの移動量を検出できるものであればいずれでも適用できる。ここでは、図17に示すように、アクチュエータのトラッキング方向の駆動電流からレンズシフト量を検出する方法を用いる。また、図18は、対物レンズが移動した場合のレンズシフト量検出手段31での各信号を示す。図17においてアクチュエータのトラッキング方向の駆動電流が低域通過フィルタ(LPF)310を通過した信号を信号Aとする。信号Aは、図18の(a)に示すように、対物レンズ27の移動に対して線形に変化する。信号Aは、第1のコンパレータ311と第2のコンパレータ312に入力される。第1のコンパレータ311では、入力信号Aを基準信号Vth1と比較する。第1のコンパレータ311からの出力信号は、図18の(b)で示す信号Bのようになり、対物レンズが内周側に100μm以上移動した場合のみHレベルとなる。第2のコンパレータ312では、入力信号Aを基準信号Vth2と比較する。第2のコンパレータ312からの出力信号は、図18の(c)で示す信号Cのようになり、対物レンズが外周側に100μm以上移動した場合のみHレベルとなる。また信号Bと信号CとはNORゲート313に入力され、図18の(d)に示す信号Dのようになり、対物レンズの移動量が100μm以下の場合のみHレベルとなる。このようにして得られる信号B、C、Dをレンズシフト指令35として用いる。
【0057】
図19は、液晶素子24に印加する実効電圧と透過光の位相差の関係を示す。ここに、横軸は液晶素子24に印加する実効電圧であり、縦軸は液晶素子24を透過する光束の位相差である。印加する電圧が少ないと液晶が励起せず、位相差は少ないが、印加する実効電圧を上げるに従って、直線的に位相差が変化するようになる。さらに印加する実効電圧を上げると、位相差の増大が次第に鈍ってくる。以上のように位相差が変化する液晶において、直線的に位相差が変化する実効電圧の範囲に電極50cの実効電圧を設定し、これを動作点とする(図19の点R)。なお実効電圧の設定については、振幅変更手段2を用いればよい。
【0058】
図19に示すように、電極50a、50c、50eを透過する光束の位相差はそれぞれa、c、eとなる。位相差は、電極50cを中心に直線的に変化し、電極50aが最も大きく、電極50eが最も小さくなっている。すなわち第1の分圧抵抗器9の出力電圧Va、Vb、Vc、Vd、Veが印加された液晶素子24の電極の順に透過する光束の位相差は小さくなっている。
【0059】
次に、光ディスク28のチルトにより発生するチルト補正について説明する。例えば光ディスク28がラジアル方向にのみ傾き、対物レンズ27の移動がない場合を考える。
【0060】
図20に、ラジアルチルトにより生じる位相差と液晶素子24に印加する位相差の関係を示す。ここに、縦軸は透過光の位相差を示し、横軸は対物レンズ27のラジアル方向の断面位置を表しており、横軸の右側が光ディスクの内周側に相当する。ラジアルチルト指令値を調整することにより、ラジアル方向の透過光の位相差を調整することが可能であることは、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0061】
図20において、位相差aは、対物レンズ27の移動がない場合におけるチルトにより生じる位相差および液晶で発生させる位相差を示している。方形波の実線が液晶で発生させる位相差であり、正弦波状の実線がチルトにより生じる位相差である。正弦波状の点線はチルトにより生じる位相差を説明のために反転したものである。この場合は電極50aと電極50eに、電極50cを基準として正負の位相差aおよびeを与えことにより、ラジアルチルトを補正できる。また、電極50bと50dには電極50cと同じ基準電圧が印加されている。
【0062】
また、光ディスク28がタンジェンシャル方向にのみ傾き、対物レンズ27の移動量がない場合については、ラジアル方向のチルト補正と同様であるので、説明を省略する。
【0063】
図21と図22は、対物レンズ27の移動がない場合に、液晶素子24を用いてラジアルチルト及びタンジェンシャルチルトを補正した場合の特性を示す。点線がチルト補正前を、実線がチルト補正後を示す。チルト補正を行うことによりラジアルチルトおよびタンジェンシャルチルトともに大幅にジッタが改善されている。
【0064】
次に、光ディスク28がラジアル方向にのみ傾き、対物レンズ27が内周側に200μm移動している場合を考える。図20の(b)は、レンズシフト補正機能を操作させず、さらに対物レンズが内周側に200μm移動している場合での、チルトにより生じる位相差および液晶で発生させる位相差を示している。方形波の実線が液晶で発生させる位相差であり、正弦波状の実線がチルトにより生じる位相差であり、正弦波状の点線は、チルトにより生じる位相差を説明のために反転したものである。対物レンズが内周側にシフトしたことにより液晶パターンと対物レンズの光軸とのずれが生じ、(b)の斜線部で示した領域は補正不可能となり、チルト補正の効果が劣化し、ジッタ劣化が生じる。
【0065】
次に、レンズシフト補正機能を操作させた場合について説明する。図20の(c)は、レンズシフト補正機能を操作させ、対物レンズが内周側に200μm移動している場合での、チルトのより生じる位相差および液晶で発生させる位相差を示している。方形波の実線が液晶で発生させる位相差であり、正弦波状の実線がチルトにより生じる位相差であり、正弦波状の点線は、チルトにより生じる位相差を説明のために反転したものである。例えばレンズシフト補正機能を操作させる所定レベルを100μmとし、対物レンズの移動量を内周側に200μmとする。この場合にはレンズシフト量検出手段31のレンズシフト指令35に基づいてレンズシフト補正制御手段62より第1の切替信号64が出力される。この第1の切替指令64により液晶素子24の電極50bに印加される電圧をVcからVbに第1の信号切替手段60により切り替えることにより、電極50bにチルトを補正する位相差bを与える。したがって、対物レンズが内周側にシフトしたことにより液晶パターンと対物レンズのレンズシフトが生じるが、第1の信号切替手段60により液晶素子24の電極50bに印加される電圧をVbに切り替え、位相差bを与えることにより、チルト補正性能を改善できる。
【0066】
同様に対物レンズが外周側にずれた場合は、レンズシフト量検出手段31のレンズシフト指令35に基づいてレンズシフト補正制御手段62より切替信号65が出力される。この第2の切替指令65により液晶素子24の電極50dに印加される電圧をVcからVdに第2の信号切替手段61により切り替えることにより、電極50dにチルトを補正する位相差dを与えることにより、レンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。
【0067】
図23は、液晶素子24を用いて1degのラジアルチルトを補正している状態で、さらに対物レンズのシフトが生じた場合の特性図である。点線がレンズシフト補正なし、実線がレンズシフト補正ありの場合を示す。レンズシフト補正を行うことによりジッタが15%以下となるレンズシフト量が約320μmから400μm以上に改善されている。
【0068】
なお本実施形態では所定レベルを100μmとしたが、図23より100μmから250μmの値に設定すればよい。また、あるいは、トラバース移動量の約半分などに設定すればよい。
【0069】
本実施形態では、レンズシフト量検出手段31のレンズシフト指令63に基づいてレンズシフト補正制御手段62より第1および第2の切替指令を出力し、第1の切替指令64に基づき第1の信号切替手段60で液晶素子24の電極50bに第1の分圧抵抗器9の電圧VbまたはVcを選択印加し、第2の切替指令65に基づき第2の信号切替手段61で液晶素子24の電極50dに第1の分圧抵抗器9の電圧VdまたはVcを選択印加しすることにより、レンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。
【0070】
なお本実施形態では、液晶素子24の液晶パターンを図16の(b)に示す形状に分割した。しかし液晶素子24の電極の液晶パターンはこれに限らない。例えば図24、図26に示すような液晶パターンで用いることができる。
【0071】
例えば図24において、(a)では、70a、70e、70f、70jを第1の電極群、70bと70b’を第2の電極群、70dと70d’を第3の電極群として、同等の性能を得ることができる。ここに、電極70b’と70d’は、液晶パターンの中心付近に、中心に対してラジアル方向の両側に設けられる。(a)において、短冊形状の電極70bは、中心に対し右方向に、電極70aの外周側に配置され、電極70b’は中心に対し左方向に、電極70eの内周側に配置される。同様に、短冊形状の電極70dは、中心に対し左方向に、電極70eの外周側に配置され、電極70d’は中心に対し右方向に、電極70aの内周側に配置される。
【0072】
図25において、この液晶パターンのレンズシフト補正機能について説明する。光ディスク28がラジアル方向にのみ傾き、対物レンズ27が内周側に200μm移動している場合を考える。ここに、(a)は対物レンズの移動がない場合、(b)は対物レンズが内周側に200μm移動している場合、(c)は対物レンズが外周側に200μm移動している場合を示す。方形波の実線が液晶で発生させる位相差であり、正弦波状の実線がチルトにより生じる位相差であり、正弦波状の点線は、チルトにより生じる位相差を説明のために反転したものである。レンズ補正機能を作動させるとき、外周側の電極70b、70dのほかに、さらに中心付近の電極70b’、70d’が動作される。このため、電極70b’、70d’についても信号切替手段が設けられ、レンズシフト補正制御手段により制御される。
【0073】
(b)は、対物レンズが内周側に200μm移動している場合、レンズ補正機能を作動させた状態を示す。レンズシフト量検出手段のレンズシフト指令に基づいてレンズシフト補正制御手段より第1の切替信号が出力される。この第1の切替指令により液晶素子24の電極群70b、70b’に印加される電圧を切り替えることにより、電極群70b、70b’にそれぞれチルトを補正する位相差を与える。このように、電極群70b、70b’は、いずれも、電極70a、70eによる補正ができない部分において、チルトによる位相ずれを補正する方向に位相を変化させる。したがって、対物レンズが内周側にシフトしたことにより液晶パターンと対物レンズのレンズシフトが生じるが、液晶素子24の電極群70b、70b’に印加される電圧を切り替えて位相差を与えることにより、チルト補正性能を改善できる。
【0074】
(c)は、対物レンズが外周側に200μmずれた場合、レンズ補正機能を作動させた状態を示す。同様に、レンズシフト量検出手段のレンズシフト指令に基づいてレンズシフト補正制御手段より切替信号が出力される。この第2の切替指令により液晶素子24の電極群70d、70d’に印加される電圧を切り替えて、電極群70d、70d’にチルトを補正する位相差を与えることにより、レンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。
【0075】
さらに、図24の(b)と(c)に示すような液晶パターンでも2軸チルトを補正すると共に、レンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。(b)は、図15の(a)に示したのと同様の電極配置において、中央の4つの電極をそれぞれ内側と外側の2つの領域に分割したものである。(c)は、図15の(a)に示したのと同様の電極配置において、ラジアル方向の2つの電極をそれぞれ内側と外側の2つの領域に分割したものである。
【0076】
また、図26の(a)及び(b)に示す液晶パターンで用いれば、球面収差及び非点収差を補正すると共にレンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。(a)に示す形状では、図12の(a)と同様に同心円状の電極を設け、さらにラジアル方向の外側に、細長い短冊状の電極を配置する。また、(b)に示す形状では、外側の同心円状の電極を8個の領域に分割している。
なお、信号切替手段60、61としては、アナログスイッチなどが考えられるが、信号を切り替えられるものであればいずれでも適用できる。
【0077】
本実施形態によればレンズシフト補正機構を設けることにより、液晶素子を固定側に設置した場合のレンズシフトをした場合のジッタの劣化を改善できる。
【0078】
本実施形態によれば液晶素子をアクチュエータに搭載しないことにより、アクチュエータの軽量化が図れ、アクチュエータの感度性能が向上し、トラッキング制御とフォーカス制御の性能が向上し、光ヘッドの信頼性を向上できる。
【0079】
さらに液晶素子を固定部に設置できることにより、光ヘッドの薄型化を実現できる。さらに液晶素子への給電線の設計自由度が向上する。
また液晶素子を固定部に設置することにより熱源となるアクチュエータから離れることができるために、液晶素子使用時の環境温度負荷を軽減し、収差補正機能の安定性を確保し、光ヘッドの信頼性を向上できる。
【0080】
本実施形態の光ヘッドを用いると、チルトマージンおよび収差補正時のレンズシフトマージンが改善されるので、光ヘッドを構成する部品の加工および調整精度が緩和され、光ヘッドの組み立ても容易になるので低コストの光ヘッドを実現できる。さらに従来の光ディスク装置で行われていた光ヘッドのチルト調整機構を排除できるので、光ヘッド装置の薄型化を実現できる。
また、光ヘッドから出力される制御信号に基づき光ヘッドを制御して光ディスクから情報を記録再生する光ディスク装置では、そりの大きな光ディスクに対する情報の再生または記録における信頼性が向上する。
【0081】
なお、本実施形態では、チルトセンサー8およびチルトセンサー9によりチルト角を検出するようにしたが、ジッタ値を検出して最小になるように制御する方法あるいはRF信号振幅を検出して最大となるように制御する方法を用いてチルト角を検出しても同様の結果を得ることができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明の液晶駆動装置によれば、1軸あたりの駆動回路の構成を簡素化することができる。また、そのように簡単な構成でありながら、相互に干渉することなしに複数軸方向のチルト補正を独立して行うことができる。
特に、2軸補正に必要な入出力ポートは液晶素子の分割数にかかわらず3ビットだけでよい。したがって、液晶素子を駆動する結線数を少ない本数で構成することができる。
さらに、分圧抵抗器の両端の可変抵抗を調節することで、チルト補正を行うと同時に対物レンズの球面収差の補正も行うことができる。
また、液晶素子の電極を同心円状に分割し、分圧抵抗器からの接続を工夫することで、さらに精度良い球面収差補正を行うことができる。
【0083】
また本発明の光ヘッドによれば、レンズシフト補正機構を設けることにより、液晶素子を光ヘッドの固定側に設置した場合の収差補正性能を向上することができる。
さらに、本発明の光ヘッドによれば液晶素子をアクチュエータに搭載しないことにより、アクチュエータの軽量化が図れ、アクチュエータの感度性能が向上し、トラッキングおよびフォーカス制御の性能が向上し、光ヘッドの信頼性を向上させることができる。
さらに液晶素子を固定部に設置できることにより、光ヘッドの薄型化を実現でき、さらに液晶素子への給電線の設計自由度が向上する。
さらに液晶素子を固定部に設置することにより熱源となるアクチュエータから離れることができるために、液晶素子使用時の環境温度負荷を軽減し、収差補正機能の安定性を確保し、光ヘッドの信頼性を向上できる。
【0084】
本発明の光ヘッドを用いると、チルトマージンおよび収差補正時のレンズシフトマージンが改善されるので、光ヘッドを構成する部品の加工および調整精度が楽になり、光ヘッドの組み立ても容易になるので、低コストの光ヘッドを実現できる。さらに従来の光ディスク装置で行われていた光ヘッドの機械的なチルト調整を廃止できるのでチルト調整代を除去できる。このため、光ヘッド装置の薄型化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の液晶駆動装置の電気的構成を示すブロック回路図
【図2】 液晶駆動装置に使用する液晶素子の構成図
【図3】 正弦波で駆動する場合のVcom,VR+,VR-の信号波形図
【図4】 正弦波で駆動する場合に各領域に印加される電圧パターン図
【図5】 指令値αを±90°変化した場合の液晶素子の各領域に印加される実効電圧図
【図6】 液晶素子に印加する実効電圧と透過光の位相差の関係図
【図7】 θ=90°、α=45°の場合の透過光の位相差の関係図
【図8】 可変抵抗の抵抗値を変化した場合の液晶素子の各領域に印加される実効電圧図
【図9】 図8に示す実効電圧が印加されたときの透過光の位相差を示す関係図
【図10】 液晶駆動装置を方形波で駆動する場合のVcom,VR+,VR-の信号波形図
【図11】 前記の方形波で駆動する場合の各領域に印加される電圧パターン図
【図12】 球面収差を補正する場合の構成図
【図13】 光ヘッドの構成を示す図
【図14】 アクチュエータの機構部の構成を示す斜視図
【図15】 液晶駆動装置に使用する液晶素子の構成図
【図16】 液晶駆動装置の別の電気的構成を示すブロック回路図
【図17】 レンズシフト量検出手段を説明するための図
【図18】 対物レンズが移動した場合のレンズシフト量検出手段での各信号を説明するための図
【図19】 液晶素子に印加する実効電圧と透過光の位相差の関係図
【図20】 チルトにより生じる位相差と液晶素子に印加する位相差の関係図
【図21】 ラジアルチルト補正の特性図
【図22】 タンジェンシャルチルト補正の特性図
【図23】 レンズシフト補正の特性図
【図24】 液晶素子の変形例の電極パターンの図
【図25】 チルトにより生じる位相差と液晶素子に印加する位相差の関係図
【図26】 液晶素子の変形例の電極パターンの図
【符号の説明】
1 周期波形発生器
2 振幅調整手段
3 第1の位相シフト手段(ラジアルチルト補正用)
4 第2の位相シフト手段(タンジェンシャルチルト補正用)
5 ラジアルチルト指令
6 タンジェンシャルチルト指令
7 第1の反転素子(ラジアルチルト補正用)
8 第2の反転素子(タンジェンシャルチルト補正用)
9 第1の分圧抵抗器(ラジアルチルト補正用)
10 第2の分圧抵抗器(タンジェンシャルチルト補正用)
11 液晶素子
12、49 液晶素子の共通電極
13、50 液晶素子の各領域の電極
14、52 領域
15、51 液晶
16 分圧抵抗器
17 反転素子
18 液晶素子
com 振幅調整手段の出力
R+ 第1の位相シフト手段の出力
R- 第1の反転素子の出力
T+ 第2の位相シフト手段の出力
T- 第2の反転素子の出力
Va〜Ve 第1の分圧抵抗器の出力
Vf〜Vj 第2の分圧抵抗器の出力
VR1〜VR4 可変抵抗
21 光源
22 偏光ビームスプリッタ
23 集光レンズ
24 液晶素子
25 1/4波長板
26 立ち上げミラー
27 対物レンズ
28 光ディスク
29 第1のチルトセンサー
30 第2のチルトセンサー
31 レンズシフト量検出手段
32 液晶駆動装置
33 シリンドリカルレンズ
34 光検出器
35 レンズシフト指令
60 第1の信号切替手段
61 第2の信号切替手段
62 レンズシフト補正制御手段
64 第1の切替指令
65 第2の切替指令

Claims (20)

  1. 周期波形を発生する周期波形発生器と、
    それぞれ前記周期波形発生器の出力を入力し複数の軸方向ごとの指令値に基づいて各軸方向ごとに位相をシフトして出力する複数の位相シフト手段と、
    複数の位相シフト手段の出力をそれぞれ反転する複数の反転素子と、
    それぞれ複数の抵抗を直列に接続し両端に前記各位相シフト手段の出力と前記各反転素子の出力とを接続した複数の分圧抵抗器と、
    複数の軸方向に沿ってそれぞれ分割された複数領域からなる電極部と電極部に対向する共通電極を有し、前記共通電極に前記周期波形発生器の出力を接続し、かつ複数の電極部のそれぞれに前記複数の分圧抵抗器の各出力を接続した液晶素子とを備え、
    前記複数の分圧抵抗器のそれぞれから出力される出力電圧の1つは、前記位相シフト手段の出力電圧と前記反転素子の出力電圧の和の1/2になるようにし、前記位相シフト手段の出力電圧と前記反転素子の出力電圧の和の1/2に相当する出力電圧を単一の電極部に接続することにより、前記複数の軸方向に沿ったチルト補正を独立して行うようにした液晶駆動装置。
  2. 前記周期波形発生器の出力波形が正弦波であることを特徴とする請求項1に記載の液晶駆動装置。
  3. 前記周期波形発生器の出力波形がデューティ比約50%の方形波であることを特徴とする請求項1に記載の液晶駆動装置。
  4. さらに、前記周期波形発生器の出力と前記位相シフト手段の出力と前記反転素子の出力との各電圧振幅を調整する振幅調整手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  5. 前記分圧抵抗器における複数の抵抗のうち、両端の抵抗が可変抵抗であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  6. 前記分圧抵抗器における複数の抵抗のうち両端の抵抗は他の抵抗の2倍以上の抵抗値であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  7. 前記周期波形発生器の出力と前記位相シフト手段の出力との位相差が90°または−90°を中心に可変されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  8. 前記周期波形発生器は、入出力ポートのビットを周期的に反転可能なデジタル回路であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  9. 前記液晶素子の前記電極部は、同心円状に分割した複数の領域からなることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  10. 前記周期波形発生器の出力を共通に入力し、指令値に基いて位相をシフトして出力する複数の前記位相シフト手段と、
    前記複数の位相シフト手段にそれぞれ対応する複数の前記反転手段と、
    前記複数の位相シフト手段にそれぞれ対応する複数の前記分圧抵抗器と
    を備えることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  11. 前記複数の分圧抵抗器のそれぞれにおいて全抵抗値を等分する中点に相当する出力端子どうしを接続してあることを特徴とする請求項2から請求項10までのいずれかに記載の液晶駆動装置。
  12. 光源と、
    前記光源から出射した光束を光ディスクに収束する対物レンズと、
    前記光源と前記対物レンズの間の光路中に配置される液晶素子とを備え、
    前記の液晶素子は、
    光ディスクから反射される光束の光軸に直交する面内に配置される複数領域に分割された電極部と、液晶相を介在してこれらの電極部に対向する共通電極とを備え、前記電極部は、前記光軸に対する前記対物レンズの移動がない時に透過する光束を補正する第1の電極群と、前記光軸に対して前記対物レンズが内周へ移動する方向に第1の電極群の外側に前記第1の電極群とは離れて設けられる第2の電極群と、前記光軸に対して前記対物レンズが外周へ移動する方向に前記第1の電極群の外側に前記第1の電極群とは離れて設けられる第3の電極群とを有する光ヘッドと、周期波形を発生する周期波形発生器と、前記周期波形発生器の出力を入力し指令値に基づいて位相をシフトして出力する位相シフト手段と、前記位相シフト手段の出力を反転する反転素子と、複数の抵抗を直列に接続し両端に前記位相シフト手段の出力と前記反転素子の出力とを接続した分圧抵抗器とからなり、前記周期波形発生器の出力を前記液晶素子の前記共通電極に接続し、かつ前記分圧抵抗器の各出力を前記液晶素子の第1の電極群に各々接続した液晶駆動装置と、
    前記分圧抵抗器の各出力から1つの出力を前記液晶素子の第2の電極群へ選択印加する第1の信号切替手段と、
    前記分圧抵抗器の各出力から1つの出力を前記液晶素子の第3の電極群へ選択印加する第2の信号切替手段と、
    対物レンズのラジアル方向への移動量及び前記ラジアル方向の移動の向きを検出するレンズシフト量検出手段と、
    前記レンズシフト量検出手段の出力する対物レンズのラジアル方向への移動量及び前記ラジアル方向の移動の向きに基づいて前記第1又は第2の信号切替手段へ切替信号を出力するレンズシフト補正制御手段とを有することを特徴とする光ヘッド。
  13. 前記第2の電極群と前記第3の電極群は、それぞれ、対物レンズの移動が無い時の光軸を中心に湾曲した短冊形状を有する電極を有することを特徴とする請求項12記載の光ヘッド。
  14. 前記第2の電極群と前記第3の電極群は、対物レンズの移動が無い時の光軸から前記第2の電極群と前記第3の電極群の方向に所定の距離だけ移動した軸を中心に湾曲した短冊形状を有する電極を有することを特徴とする請求項12記載の光ヘッド。
  15. 前記所定の距離は100〜250μmであることを特徴とする請求項14記載の光ヘッド。
  16. 前記第1の信号切替手段および第2の信号切替手段がアナログスイッチであることを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の光ヘッド。
  17. 前記レンズシフト補正制御手段は、レンズシフトが所定のレベルを超えない場合は、第1の電極群の電極へつながる分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第1の信号切替手段および第2の信号切替手段へ出力し、レンズシフトが第2の電極群側へ所定レベルを超えて発生した場合は、第2の電極群と隣接する第1の電極群へつながる分圧抵抗器からの第1の分圧出力または前記第1の分圧出力に近接する分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第1の信号切替手段へ出力し、レンズシフトが第3の電極群側へ所定レベルを超えて発生した場合は、第3の電極群と隣接する第1の電極群へつながる分圧抵抗器からの第2の分圧出力または前記第2の分圧出力に近接する分圧抵抗器からの出力を選択する切替信号を第2の信号切替手段へ出力することを特徴とする請求項12から15のいずれかに記載の光ヘッド。
  18. 所定レベルは100〜250μmであることを特徴とする請求項17記載の光ヘッド。
  19. 所定レベルはトラバース移動量の約半分であることを特徴とする請求項17記載の光ヘッド。
  20. さらに、光ディスクの偏芯成分を検出する偏芯検出手段を備え、前記レンズシフト量検出手段は、偏芯検出手段により検出された偏芯成分に対応して、偏芯によるレンズシフト成分を補正することを特徴とする請求項14から19のいずれかに記載の光ヘッド。
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