JP4211140B2 - 光学素子、光学ピックアップ、及び光ディスク装置 - Google Patents

光学素子、光学ピックアップ、及び光ディスク装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源からの出射光の光路上に配置される光学素子、レーザ光を照射して信号記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う光学ピックアップ、及び回転駆動される円盤状記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学ピックアップにより光ディスクに対する信号の記録や再生を行う際、光学ピックアップから出射されるレーザ光の光軸に対して光ディスクが傾くことにより、波面収差が発生する。このように発生する波面収差において、3次のコマ収差が支配的となる。
【0003】
コマ収差を補正するものとして、図15に示すように、光路上に2枚の補償用光学素子201,202を配置してコマ収差を補正する手段(以下、補正板方式という。)が従来より提案されている。第1の補償用光学素子201は凸面201aを有し、第2の補償用光学素子202は凹面202aを有して、それら補償用光学素子201,202は、それらの面が相対向され、光路中に配置されている。
【0004】
補正板方式では、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差に応じて、図15に示すように、第1及び第2の補償用光学素子201,202を光軸に直交する方向であって、互いに当該光軸について対向する方向に変位させ、当該コマ収差に対応するものとして正負逆の位相分布を透過させるレーザ光に予め与え、当該コマ収差を補正するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、補正板方式では、第1及び第2の補償用光学素子201,202を駆動させるたのアクチュエータ等の機械的な移動操作手段が必要になる。しかし、機械的な移動操作手段では、高応答性を得ることができなく、さらに、駆動のための消費電力も多くなる。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、低消費電力かつ高応答性を有し、さらには簡素な構成によりコマ収差を補正することができる光学素子、光学ピックアップ及び光ディスク装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光学素子は、上述した課題を解決するために、液晶を封入して保持する液晶封入手段と、光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が光軸について第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光学素子は、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0008】
このような構成を有する光学素子は、例えば出射光が照射された光学部材において発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化させた液晶により当該出射光に予め与える。
【0009】
また、本発明に係る光学ピックアップは、上述した課題を解決するために、光源と、液晶を封入して保持する液晶封入手段、及び光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の電極の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備える光学素子と、光学素子を透過された出射光を信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が光軸について第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光学ピックアップは、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0010】
このような構成を有する光学ピックアップは、出射光が照射された信号記録媒体において発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化された液晶により当該出射光に予め与える。
【0011】
また、本発明に係る光ディスク装置は、上述の課題を解決するために、光源と、液晶を封入して保持する液晶封入手段、及び光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段を備える光学素子と、光学素子を透過された出射光を円盤状信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備える光学ピックアップ手段と、光学ピックアップ手段により円盤状信号記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段と、回転駆動される円盤状信号記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段と、傾き検出手段の検出結果に基づいて第1及び第2の位相分布発生電極部に印加する電圧を制御する制御手段とを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が光軸について第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光ディスク装置は、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0012】
このような構成を有する光ディスク装置は、出射光が照射された信号記録媒体が傾くことにより発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化された液晶により当該出射光に予め与える。
【0013】
また、この光ディスク装置は、傾き検出手段が検出した円盤状信号記録媒体の傾きに応じて制御手段により第1及び第2の位相分布発生電極部に印加する電圧を制御し、コマ収差を補正する最適な位相分布を発生させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。この実施の形態は、レーザ光を照射して、光ディスクに対する信号の記録や光ディスクからの信号の再生を行う光学ピックアップに適用したものである。
【0015】
図1に示すように、光学ピックアップ1は、半導体レーザ2、コリメータレンズ3、ビームスプリッタ4、液晶パネル5a,5bからなるコマ収差補正手段5、対物レンズ6、集光レンズ7、及び光検出器8を備えている。
【0016】
光学ピックアップ1は、光ディスク101に対する信号の記録及び/又は再生を行う光ディスク装置内に組み込まれている。光ディスク装置は、光ディスク101を回転駆動駆動する回転駆動手段を備え、光学ピックアップ1は、回転駆動手段により回転駆動される光ディスク101に対してレーザ光を照射して信号の記録及び/又は再生を行う。
【0017】
そして、光学ピックアップ1は、半導体レーザ2から出射されたレーザ光が入射される側に配置される入射側液晶パネル5aと、入射側液晶パネル5aを透過した光が入射され、当該入射された光を透過させ対物レンズ6に出射させる出射側液晶パネル5bとから構成されるコマ収差補正手段5により、光ディスク101が傾いて当該光ディスク101の信号記録面上で発生するコマ収差を補正する。このコマ収差補正手段5によるコマ収差の補正原理について先ず説明する。
【0018】
光ディスク101は、透明基板上に信号記録面が形成されており、光ディスク101に対する信号の記録時や光ディスク101からの信号の再生時には、この透明基板を通して信号記録面上に光スポットが形成される。ここで信号記録面上に形成される光スポットの集光性能は、光ディスクに傾きが生じることにより劣化する。これは、光軸に対して傾いた透明基板を通過したレーザ光に空間的な位相分布、すなわち波面収差が与えられるからであり、また、特に発生する波面収差は3次のコマ収差が支配的となるからであり、このように発生するコマ収差により上述したように光スポットの集光性能が劣化する。
【0019】
このコマ収差を、対物レンズ瞳面上の瞳半径で規格化された座標(x,y)で表すと、(1)式により表すことができる。W31はレーザ光波長λで規格化された3次のコマ収差係数であって、(2)式のようになる。
【0020】
【数1】
Figure 0004211140
【0021】
【数2】
Figure 0004211140
【0022】
ここで、NAは対物レンズの開口数、またnは光ディスク101の透明基板の屈折率、tは透明基板の厚みで、θは光ディスクの傾き(スキュー)角である。本発明では、このように(1)式により示されるコマ収差W(x,y)に対して、予め位相分布として−W(x,y)を与えることにより、当該コマ収差を補正している。すなわち、光学ピックアップ1は、−W(x,y)の位相分布を上述したコマ収差補正手段5により発生させて、コマ収差の補正をしている。
【0023】
次に、コマ収差補正手段5による−W(x,y)の位相分布の生成について具体的に説明する。
【0024】
コマ収差補正手段5は、上述したように、2つの液晶パネル5a,5bを備えており、この2つの液晶パネル5a,5bはそれぞれ一対の透明基板により液晶を封入して保持しており、各透明基板の内側面に電極が形成されている。このコマ収差補正手段5は、各液晶パネル5a,5bの透明基板の内側面に形成されている電極に電圧を印加することにより、液晶の配向方向を変化させ、透過するレーザ光に対して液晶の配向を変化させて、透過するレーザ光に当該レーザ光の光軸からの各位置において位相を予め与える構造とされている。
【0025】
ここで、例えば、コマ収差補正手段5において、光軸より半径方向に対物レンズ6の瞳半径で規格化された距離rに対して、(3)式、(4)式を満たすような極座標系で示される位相分布を、各液晶パネル5a,5bにおいて発生させる場合について考えてみる。
【0026】
【数3】
Figure 0004211140
【0027】
【数4】
Figure 0004211140
【0028】
ここで、a,bは任意の定数である。この(3)式及び(4)式による位相分布は光軸r=0を基準とした位相分布を示し、r=0での位相は0になっている。図2中(A)は(3)式により与えられる位相分布を示し、図2中(B)は(4)式により与えられる位相分布を示している。この(3)式及び(4)式で示される位相分布をxy座標系に置き換え、さらに光軸からx方向にそれぞれが逆方向に距離sだけ移動した場合の位相分布は(5)式及び(6)式のようになる。
【0029】
【数5】
Figure 0004211140
【0030】
【数6】
Figure 0004211140
【0031】
この(5)式及び(6)式により示される位相分布を透過光に対して与える各液晶パネル5a,5bは、図3に示すように、半導体レーザ2から出射されたレーザ光の光軸について互いに反対に位置されるように配置され、かつ光軸から距離(以下、横ずらし量という。)sだけ離されてそれぞれ配置される。
【0032】
このように配置された場合、出射側液晶パネル5aが(5)式により示される位相分布を透過光に与え、入射側液晶パネル5bが(6)式により示される位相分布を透過光に与えることから、各液晶パネル5a,5bの透過光には、結果として(5)式と(6)式との和で示される(7)式の位相分布が発生する。
【0033】
【数7】
Figure 0004211140
【0034】
ここで、cは(8)式で示される。
【0035】
【数8】
Figure 0004211140
【0036】
ここで、(7)式の第1項の係数に適当な値を選べば上記(1)式のx方向へ光ディスク101が傾いた場合に発生するコマ収差の式と等価になる。また、(7)式の第2項はxに対して1次関数であり、これは波面のチルトであり光スポットのディスク面内の位置ずれとして現れるが、トラッキングサーボ又はパルスロックループ回路等により補正することができるので記録及び再生に影響を与えない。すなわち、この第2項は無視できるものとして考えられる。
【0037】
このようなことから、(2)式で与えられるコマ収差係数W31に対し、(7)式のW12の第1項の係数を−W31となる値に決定すれば、光ディスク101の傾き角に応じて発生するコマ収差に対応させて位相分布を発生させることができる。例えば、横ずらし量sを固定して定数aを変化させ、最適な位相分布を発生させる。
【0038】
また、このようにコマ収差を補正する目的においては定数bが任意の定数でよいことがわかる。そこで、(1)式及び(7)式とから、光ディスクの傾きにより発生するコマ収差係数W31を補正するための条件として、(1)式のW31が波長で規格化されていることに注目し、(9)式を導き出す。
【0039】
【数9】
Figure 0004211140
【0040】
ここで、例えば、W31=1、s=0.2のときa=λ/1.6である。
【0041】
以上のように、コマ収差補正手段5の各液晶パネル5a,5bにより(9)式を満たすような位相分布を、光ディスクに照射されるレーザ光に予め与えておくことで、光ディスク101の傾きにより発生するコマ収差を補正することができる。
【0042】
ここで、各液晶パネル5a,5bは、レーザ光の光軸に垂直な方向において屈折率を変化させることにより、コマ収差を補正するような位相分布を与えており、次にその各液晶パネル5a,5bの構造について説明する。ここで、入射側液晶パネル5aと出射側液晶パネル5bについては、同一構造とされることから、以下の説明では主に入射側液晶パネル5aについて説明する。
【0043】
入射側液晶パネル5aは、図4に示すように、入射側透明基板11、入射側透明電極12、入射側配向膜13、液晶14、出射側配向膜15、出射側透明電極16、出射側透明基板17の順序で積層されて構成されている。すなわち、入射側液晶パネル5aは、入射側透明基板11上に入射側透明電極12と入射側配向膜13を積層させて、さらに、出射側透明基板17上に出射側透明電極16と出射側配向膜15と積層させて、それらを対向させて、液晶14をその間に封入して保持している構造とされている。
【0044】
ここで、入射側透明電極12は、入射側透明基板11上に導線材料が蒸着されて形成されており、例えば、ITO等の透明電極からなる。これと同様に、出射側透明電極16は、例えばITO等の透明電極からなり、蒸着により形成されている。また、入射側配向膜13及び出射側配向膜15は、液晶14の分子方向を特定するためのものである。液晶14は、例えば平行配向のネマチック液晶である。
【0045】
このように構成される入射側液晶パネル5aにおいて、入射側透明電極12と出射側透明電極16との間に電圧が印加されることにより、液晶14は複屈折性を示し、印加電圧に応じて屈折率(nLC)を変化させる。これにより、dを液晶14の厚さとした場合、入射側液晶パネル5aにより、各配向膜13,15の配向方向に沿った透過光の直線偏光成分にnLCのd倍の位相が与られる。
【0046】
入射側液晶パネル5aと同様に構成されている出射側液晶パネル5bにより、配向膜13,15の配向方向に沿った透過光の直線偏光成分にnLCのd倍の位相が与えられる。図5には、印加電圧に対する屈折率変化(ΔnLC)特性を示す。この図5に示すように、本実施の形態では屈折率を最大変化量を0.15〜0.2としている。なお、ここで、印加電圧は、実効値(Vrms)を表し、例えば、0Vを中心とした周波数数KHz、デューティ50%の矩形波信号からなる。
【0047】
このようにレーザ光に対し、その光軸に対する垂直方向において位相分布を与えるためには、電極パターンを最適設計する必要がある。次に、(3)式及び(4)式を満たすような位相分布を透過光に発生させる各液晶パネル5a,5bの透明電極12,16の電極パターンについて説明する。
【0048】
(3)式及び(4)式により位相分布は連続的な分布として示されており、(3)式及び(4)式を厳密に満たす位相分布を得ることは困難である。そこで、(3)式及び(4)式により示される連続的な位相分布を、任意の間隔で標本化して離散的な位相分布で近似することにより、(3)式及び(4)式により示される位相分布と略同一の位相分布を発生させることを考える。例えば、(3)式の位相分布を近似的に示すものとして、図6に示すような離散化された位相分布を考えてみる。例えば、この図6に示すような離散化された位相分布は、図7に示すように、電極パターンにおいて中心部をなす略円形状の中央電極211と、中央電極211の外周に形成された略円環形状の複数の電極211,212,・・・,21n-1,21nとにより構成される電極パターンからなる透明電極(以下、同心円電極という。)によって可能とされる。
【0049】
なお、入射側透明電極12と出射側透明電極16とが共に図7に示す同心円電極として形成される必要はなく、一方の透明電極が、分割されていない電極からなる、いわゆるべた電極として構成することもできる。
【0050】
そして、図7に示すような電極パターンからなる透明電極への印加電圧については、例えば中央電極211に印加する電圧を固定してその当該部分で与えられる位相を基準として、この基準とされる位相に対し、他の電極212,・・・,21n-1,21nに対応される部分を透過して与えられる位相が(3)式で示される位相分布に略同一を示すように、当該他の電極212,・・・,21n-1,21nに電圧を印加すればよい。
【0051】
また、入射側液晶パネル5aについても同様に、上述した同心円電極液を形成し、(4)式に対応するような位相分布を透過光に与えるように電圧を印加することにより、この(4)式に示される所望の位相分布に近似した位相分布を透過光に与えることができる。
【0052】
よって、図3に示すように、入射側液晶パネル5a及び出射側液晶パネル5bにおける同心円電極の電極パターン中心が、光軸からx方向にそれぞれが逆方向に距離sだけ離れて位置されるように入射側液晶パネル5a及び出射側液晶パネル5bを光路上に配置させることにより、透過光に対してコマ収差を補正する位相分布を予め与えることができる。
【0053】
しかし、上述した図7に示す同心円電は、電極パターンが細分化されていることから、各電極部を制御することが困難になる。
【0054】
次に、(3)式及び(4)式により示される位相分布を透過光に与えることができる他の電極パターンについて説明する。
【0055】
図8に示すように、透明電極は、外周が略円形状とされた中央電極部221と、中央電極部221の外周に配置され、中央電極部221の中心にその中心が一致された略円環形状の中間円環状電極部222と、中央電極部221の中心にその中心が一致され、かつ中間円環状電極部222の外周に配置された略円環形状の外周円環状電極部223とから構成されている。そして、中央電極部221と外周円環状電極部223とは接続電極部224により電気的に一部が接続されている。
【0056】
ここで、(3)式及び(4)式内の係数をb=−a×(1+s)2とした場合、(3)式及び(4)式は(10)式及び(11)式のように変形される。
【0057】
【数10】
Figure 0004211140
【0058】
【数11】
Figure 0004211140
【0059】
この(10)式及び(11)式により与えられる位相分布は、図9中(A)及び(B)に示すように、(1+s)により正規化された位相分布を示す。また、(10)及び(11)式で示される位相分布は、r=0、r=1+s及びr=−1−sにおいてW1(r)=0となり、図10中(A)及び(B)に示すように、最低2つの位相量で近似できることがわかる。
【0060】
そして、対物レンズ6の瞳半径を1とし、光軸より横ずらし量sだけ離して光路上に図8に示す電極パターンからなる透明電極(以下、簡略同心円電極という。)を配置することを考えると、コマ収差補正することができる領域である最小半径rminが1+sになるので、この簡略同心円電極によっても、(10)式及び(11)式により示される位相分布に近似する位相分布を発生させることができる。
【0061】
簡略同心円電極を入射側液晶パネル5a及び出射側液晶パネル5bに形成するが、次のように入射側液晶パネル5a及び出射側液晶パネル5bを光路上に配置する。
【0062】
入射側液晶パネル5aの透明電極を図11中(A)及び(B)に示すように、中央電極部221と、中央電極部221の外周に位置される中間円環状電極部222と、中間円環状電極部222の外周に位置される外周円環状電極部223とからなる第1の簡略同心円電極(第1の位相分布発生電極部)として構成し、この第1の簡略同心円電極の電極パターン中心、すなわち、中央電極部221、中間円環状電極部222、及び外周円環状電極部223の中心が、レーザ光の光軸の垂直方向に当該光軸から横ずらし量sだけ離されて位置されるように、入射側液晶パネル5aを光路上に配置する。
【0063】
なお、この第1の簡略同心円電極は入射側透明電極12又は出射側透明電極16の一方として形成されるだけでよく、この場合、対向される透明電極の電極パターンはいわゆるべた電極であってもよい。
【0064】
一方、出射側液晶パネル5bの透明電極を、図11中(A)及び(B)に示すように、中央電極部221と、中央電極部221の外周に位置される中間円環状電極部222と、中間円環状電極部222の外周に位置される外周円環状電極部223とからなる第2の簡略同心円電極(第2の位相分布発生電極部)として構成し、この第2の簡略同心円電極の電極パターン中心が、レーザ光の光軸からの垂直方向に当該光軸から横ずらし量sだけ離され、かつ入射側液晶パネル5aに形成された第1の簡略同心円電極の電極パターン中心とは反対に位置されるように、すなわち、レーザ光の光軸について第1の簡略同心円電極とは180°対向され、かつレーザ光の光軸から横ずらし量sだけ離されるように、出射側液晶パネル5bを光路上に配置する。
【0065】
なお、このような電極パターンは入射側透明電極12又は出射側透明電極16の一方に形成するだけでよく、この場合、対向される透明電極の電極パターンはいわゆるべた電極であってもよい。
【0066】
さらに、出射側液晶パネル5bは、入射側液晶パネル5aに対して光路上においた離間されて配置される。
【0067】
なお、外周円環状電極部の外周径については、図8に示すように、(1+2)の2倍にする。
【0068】
上述したように配置された入射側液晶パネル5a及び出射側液晶パネル5bの簡略同心円電極にそれぞれ電圧を印加することにより、透過光に対して(10)式及び(11)式により示される位相分布がそれぞれ与えられる。これにより、光ディスク101が傾くことにより発生するコマ収差を補正することができる。
【0069】
なお、第1の簡略同心円電極の中心電極部221及び各円環状電極部222,223は、適当な電圧を印加したときに(11)式で示す理想的な位相分布とのrms誤差が最小になるような形状とされ、また、第2の簡略同心円電極の中心電極部221及び各円環状電極部222,223は、適当な電圧を印加したときに(10)式で示す理想的な位相分布とのrms誤差が最小になるような形状とされていることはいうまでもない。
【0070】
また、各電極部に対して印加する電圧については、具体的には次のようになる。入射側液晶パネル5aについては、中央電極部221と外周円環状電極部223に基準電圧V0、中間円環状電極部222にV0+ΔV1を印加する。また、出射側液晶パネル5bについては、中央電極部221と外周円環状電極部223に基準電圧V0、中間円環状電極部222にV0+ΔV1を印加する。ここで、電圧ΔV1がスキューに応じて変化される印加電圧となる。なお、基準電圧V0は所定の電圧値に決定されており、例えば、0Vである。
【0071】
そして、光ディスク101の傾き角に応じて、電圧ΔV1を適宜制御することにより、当該傾き角により異るものとして発生するコマ収差を補正するのに最適な(10)式及び(11)式により示される位相分布を透過光に与えることができる。
【0072】
また、この簡略同心円電極を使用することにより、図7に示した同心円電極を使用する場合とは異なり、コマ収差の補正効果が多少犠牲になるものの、位相分布のより粗い標本化により構成されるので、例えば、電極に印加する電圧の制御を容易としながら、コマ収差を補正することが可能になる。また、上述したように電極に印加する電圧値として2つの値V0,ΔV1だけで、コマ収差補正をすることもできる。
【0073】
また、コマ収差補正の効果と電極パターンの簡略化(電極の分割数)とは相反する関係になっているが、分割数を必要最小限に維持しながら必要に応じて適当な分割数を選択することにより、コマ収差補正効果を向上させることは可能になるといえる。
【0074】
また、簡略同心円電極を使用することにより、W1(r),W2(r)がaに比例して変化するため、一度電極パターンを決めてしまえば、適当な印加電圧を与えることにより、光スポットの集光性能の低下を効果的に抑止する位相分布を発生させることができる。
【0075】
以上のように、光学ピックアップ1は、コマ収差補正手段5により、低消費電力かつ高応答性で、さらには安価な構成によりコマ収差を補正することができる。
【0076】
次に、上述したように液晶パネル5a,5bにそれぞれ形成される簡略同心円電極を一つの液晶パネルに形成する場合について説明する。
【0077】
図12中(A)及び(B)に示すように、液晶パネル31は、入射側透明電極32が、中央電極部231と、中央電極部231の外周に位置される中間円環状電極部232と、中間円環状電極部232の外周に位置される外周円環状電極233とから第1の簡略同心円電極(第1の位相分布発生電極部)して構成され、また、出射側透明電極33が、中央電極部241と、中央電極部241の外周に位置される中間円環状電極部242と、中間円環状電極部242の外周に位置される外周円環状電極243とから第2の簡略同心円電極(第2の位相分布発生電極)として構成される。
【0078】
そして、入射側透明電極32の電極パターン中心、すなわち、中央電極部231、中間円環状電極部232、及び外周円環状電極部223の中心が、レーザ光の光軸の垂直方向に当該光軸から横ずらし量sだけ離され、出射側透明電極33の電極パターン中心、すなわち、中央電極部241、中間円環状電極部242、及び外周円環状電極部243の中心が、レーザ光の光軸からの垂直方向に当該光軸から横ずらし量sだけ離され、かつ入射側透明電極32の電極パターン中心とは反対に位置されるように各透明基板11,17の内側面に形成される。
【0079】
このような構成からなる液晶パネル31により、上述した図11に示す液晶パネルa,5bと同様な位相分布を透過光に与えるには、具体的には次のように各電極部に電圧を印加する。
【0080】
印加電圧と屈折率変化の関係が線形な領域において、対向する電極面にそれぞれ実効値V1,V2のお互いに逆相のデューティ50%に矩形波信号を与えたときに、実効的に電圧V1+V2が液晶に印加されることを利用する。すなわち、入射側透明電極32と出射側透明電極33にお互いに逆相の矩形は信号を与えて、出射側透明電極33については、中央電極部241及び外周円環状電極部243に基準電圧V0を印加し、中間円環状電極部242にV0+ΔV2を印加し、また、入射側透明電極32については、中央電極部231及び外周円環状電極部233に基準電圧V0を印加し、中間円環状電極部232にV0−ΔV2を印加する。そして、光ディスクのスキュー角に応じ、電圧ΔV2を変化される。
【0081】
このように1つの液晶パネル31に簡略透明電極を形成することにより、さららに簡素化されたコマ収差補正手段を提供することができる。
【0082】
以上のように、コマ収差補正手段5は、図11に示すように2つの液晶パネル5a,5bに簡略化された電極パターンを形成し、或いは、図12に示すように1つの液晶パネル31に簡略化された電極パターンを形成して、光ディスクの傾きによるコマ収差を補正している。
【0083】
なお、上述した図8に示す電極パターンに限定されるものではない。例えば、中間円環状電極部の外周を囲むように配置されている電極、すなわち外周円環状電極が円環形状に形成されることに限定されるものではない。例えば、中間円環状電極部の外周を囲む電極の形状を、内周の形状について中間円環状電極部の外周を囲むような形状とし、外周の形状について透明基板の外周縁形状と同形状にする。すなわち、中間円環状電極部の外周に配置する電極の形状は、外周が略四角形状とされ、中心部分に略円形状に開口された部分を有する形状になる。
【0084】
また、中央電極部及び外周円環状電極部を設けることは必須ではない。すなわち、中央電極部及び外周円環状電極部が形成されていた領域に対応される領域に電極を設けず、中間円環状電極部のみを設ける電極パターンとすることもできる。
【0085】
さらに、中央電極部、中間円環状電極部、及び外周円環状電極部の中心が一致されてなくてもよい。すなわち、中央電極部、中間円環状電極部、及び外周円環状電極部の各中心が偏心されていてもよい。
【0086】
また、コマ収差補正手段5に他の機能を併有させることもできる。例えば、他の機能として、記録面がランド及びグルーブからなる光ディスクを使用する場合にクロストークを減少させる機能をコマ収差補正手段5に併有させることもできる。
【0087】
クロストークを減少させる機能としては、例えば、特開平10-69678号公報に開示されている位相補償機能に関する技術を取り入れることができる。ここで、特開平10-69678号公報に開示されている技術を簡単に説明すると、ランドに記録されている信号を再生する際に45°(π/4rad)の光学的位相差、及びグルーブに記録されている信号を再生する際に−45°(−π/4rad)の光学的位相差を再生光に与えるように、ランド及びグルーブの再生時に応じてにその光学的位相差を切換えることにより、クロストークを削減し、結果として、トラック方向の記録密度を高くするというものである。
【0088】
このような光学的位相差を与える位相補償機能を、コマ収差補正手段5の液晶パネルに持たせる。具体的には、位相補償機能を、液晶パネルにおける分割されていない一枚の電極(以下、位相補償用電極という。)により実現させることができる。
【0089】
図13には、位相補償用電極への印加電圧と位相差との関係を示している。位相補償用電極に印加する電圧については、この図13に示すように、位相差nπ(nは整数)を中心値として、ランドの再生時にはπ/4+nπの位相差を与えるような電圧VLを印加し、グルーブの再生時には−π/4+nπの位相差を与えるような電圧VGを印加する。
【0090】
このような位相補償用電極を上述した図8に示す液晶パネル31の入射側透明電極32及び出射側透明電極33に適用した場合、各電極に対して次のように電圧を印加する。
【0091】
ランドの再生時に、印加電圧と位相差変化との関係が線形な領域において、入射側透明電極32と出射側透明電極33との間に互いに逆相の矩形波信号を与えて、出射側透明電極33については、中央電極部241及び外周円環状電極部243にVL/2の電圧を印加し、中間円環状電極部242にVL/2+ΔV3の電圧を印加する。また、入射側透明電極32については、中央電極部231及び外周円環状電極部233にVL/2の電圧を印加し、中間円環状電極部232にVL/2−ΔV3の電圧を印加する。そして、光ディスクの傾きに応じて、ΔV3を変化させる。これにより、液晶パネル31は、光ディスクが傾いているときには、ΔV3が適宜選択されることにより、位相補償しながら光ディスクの傾きによるコマ収差を補正することができ、光ディスクが傾いていないときには、理想的な位相補償手段として機能する。
【0092】
なお、ランド及びグルーブのいずれの再生時においても、光ディスクが傾いている場合は、ΔV3の電圧が印加される中間円環状電極部に対応される液晶部分では位相補償誤差が発生するが記録及び再生等に対する影響は少ない。
【0093】
また、光学ピックアップは、光ディスクの傾き角度に応じて液晶パネルの駆動を制御するためのディスク傾き検出手段等を備えている。図14には、光ディスク101の傾きの程度を検出する機能を有する光学ピックアップ41の構成例を示している。図14に示す光学ピックアップ41は、上述した図1に示した光学ピックアップ1と同様の構成部分からなり、すなわち、半導体レーザ2、コリメータレンズ3、ビームスプリッタ4、コマ収差補正手段5、対物レンズ6、集光レンズ7、及び光検出器8を備えている。ここで、コマ収差補正手段5は、上述したように2つの液晶パネル5a,5bにより構成されているもの、或いは1つの液晶パネル31により構成されるものでもよい。
【0094】
この光学ピックアップ41は、光ディスク101の傾きに応じて液晶パネル5の駆動状態を制御するものとして、ディスク傾き検出センサ42及びディスク傾き検出センサ42の検出結果に基づいてコマ収差補正手段5の液晶パネルの駆動を制御するマイクロコンピュータ41を備えている。これにより、ディスク傾き検出センサ42により光ディスク101の傾きを検出して、この検出結果に応じてマイクロコンピュータ43がコマ収差補正手段5の液晶パネルの電極に印加する電圧を制御することができる。これにより、光ディスク101の傾きに応じてコマ収差補正機能が最大限に発揮されるように、コマ収差補正手段5の液晶パネルを制御することができる。
【0095】
また、液晶の温度特性を補償するためのマイクロコンピュータに温度情報を予め記憶させておくことにより、使用円環境の温度を考慮した液晶パネルの駆動が可能になる。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る光学素子は、液晶を封入して保持する液晶封入手段と、光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が上記光軸について第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光学素子は、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0097】
このような構成を有することにより、光学素子は、例えば出射光が照射された光学部材において発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化させた液晶により当該出射光に予め与えることができる。
【0098】
よって、光学素子は、例えば、低消費電力かつ高応答性で、さらには安価な構成によりコマ収差を補正することができる。
【0099】
また、本発明に係る光学ピックアップは、光源と、液晶を封入して保持する液晶封入手段、及び光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の電極の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備える光学素子と、光学素子を透過された出射光を信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が上記光軸について上記第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光学ピックアップは、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0100】
このような構成を有することにより、光学ピックアップは、出射光が照射された信号記録媒体において発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化された液晶により当該出射光に予め与えることができる。
【0101】
よって、光学ピックアップは、例えば、低消費電力かつ高応答性で、さらには安価な構成によりコマ収差を補正することができる。
【0102】
また、本発明に係る光ディスク装置は、上述の課題を解決するために、光源と、液晶を封入して保持する液晶封入手段、及び光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段を備える光学素子と、光学素子を透過された出射光を円盤状信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備える光学ピックアップ手段と、光学ピックアップ手段により円盤状信号記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段と、回転駆動される円盤状信号記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段と、傾き検出手段の検出結果に基づいて第1及び第2の位相分布発生電極部に印加する電圧を制御する制御手段とを備える。また、第1の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、第2の位相分布発生電極部は、出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が光軸について上記第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備えている。そして、光ディスク装置は、第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与える。
【0103】
このような構成を有することにより、光ディスク装置は、出射光が照射された信号記録媒体が傾くことにより発生するコマ収差を補正する位相分布を、第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて配向方向が変化された液晶により当該出射光に予め与えることができる。
【0104】
また、この光ディスク装置は、傾き検出手段が検出した円盤状信号記録媒体の傾きに応じて制御手段により第1及び第2の位相分布発生電極部に印加する電圧を制御し、コマ収差を補正する最適な位相分布を発生させることができる。
【0105】
よって、光学ピックアップ1は、例えば、低消費電力かつ高応答性で、さらには安価な構成によりコマ収差を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光学ピックアップの構成を示すブロック図である。
【図2】コマ収差を補正する位相部分を説明するために使用した位相分布の特性図である。
【図3】上述した光学ピックアップの備えるコマ収差補正手段を構成する2つの液晶パネルを示す正面図である。
【図4】上述したコマ収差補正手段を構成する液晶パネルの構成を示す正面図である。
【図5】上述した液晶パネルにおける印加電圧と屈折率変化との関係を示す特性図である。
【図6】コマ収差を補正する位相分布であって離散化された位相分布の特性図である。
【図7】上述の離散化された位相分布を発生可能とする透明電極の電極パターンを示す平面図である。
【図8】中央電極部、中間円環状電極部、及び外周円環状電極部から構成される透明電極を示す平面図である。
【図9】コマ収差を補正する位相部分を説明するために使用した位相分布であって、光軸から距離sだけシフトされた場合の位相分布の特性図である。
【図10】上述した図9の位相分布を2値により近似化することができることの説明に使用した位相分布の特性図である。
【図11】2つの液晶パネルに上述した図8の液晶パターンがそれぞれ形成されたコマ収差補正手段を示す(A)平面図及び(B)正面図である。
【図12】1つの液晶パネルに上述した図8の液晶パターンが形成されたコマ収差補正手段を示す(A)平面図及び(B)正面図である。
【図13】コマ収差補正手段に位相補償機能を併有させることの説明に使用した印加電圧と位相差との関係を示す特性図である。
【図14】ディスク傾き検出手段とディスク傾き検出手段による光ディスクの傾きの検出結果に応じてコマ収差補正手段の駆動を制御するマイクロコンピュータとを備える光学ピックアップの構成を示すブロック図である。
【図15】一対の補償用光学素子により構成される従来の位相コマ収差の補正手段を示す正面図である。
【符号の説明】
1 光学ピックアップ、5 コマ収差補正手段、5a,5b 液晶パネル、221 中央電極部,222 中間円環状電極部,223 外周円環状電極部

Claims (18)

  1. 光源からの出射光の光路上に配置される光学素子であって、
    液晶を封入して保持する液晶封入手段と、
    上記光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて上記液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備え、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が上記光軸について上記第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備え、
    上記第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、上記出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与えること
    を特徴とする光学素子。
  2. 上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の円環状電極部の内周に、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する外周が略円形状の第1の円状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の円環状電極部の内周に、上記光軸から所定距離離間された位置に中心を有して外周が略円形状とされ、この中心が上記光軸について上記第1の円状電極部の中心とは反対に位置される第2の円状電極部を備え、
    上記第1及び第2の円環状電極部の外方には、当該第1及び第2の円環状電極部の外周を囲む形状からなる外周電極が設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 上記外周電極は、少なくとも1つの略円環形状の電極であること
    を特徴とする請求項2記載の光学素子。
  4. 上記円状電極部の中心と、上記円環状電極部の中心と、上記外周電極の中心とが一致されていること
    を特徴とする請求項2記載の光学素子。
  5. 上記液晶封入手段は、各々が対向された一対の透明基板の間に液晶を封入してなり、上記光路上において離間されて配置された第1及び第2の液晶封入体から構成され、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の液晶封入体に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の液晶封入体に設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子。
  6. 上記液晶封入手段は、対向された第1の透明基板と第2の透明基板との間に上記液晶を封入しており、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の透明基板の内側面に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の透明基板の内側面に設けられていること
    を特徴とする請求項1記載の光学素子。
  7. 光源と、
    液晶を封入して保持する液晶封入手段と、上記光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて上記液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段とを備える光学素子と、
    上記光学素子を透過された上記出射光を信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備え、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が上記光軸について上記第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備え、
    上記第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、上記出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与えること
    を特徴とする光学ピックアップ。
  8. 上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の円環状電極部の内周に、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する外周が略円形状の第1の円状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の円環状電極部の内周に、上記光軸から所定距離離間された位置に中心を有して外周が略円形状とされ、この中心が上記光軸について上記第1の円状電極部の中心とは反対に位置される第2の円状電極部を備え、
    上記第1及び第2の円環状電極部の外方には、当該第1及び第2の円環状電極部の外周を囲む形状からなる外周電極が設けられていること
    を特徴とする請求項7記載の光学ピックアップ。
  9. 上記外周電極は、少なくとも1つの略円環形状の電極であるこを特徴とする請求項8記載の光学ピックアップ。
  10. 上記円状電極部の中心と、上記円環状電極部の中心と、上記外周電極の中心とが一致されていること
    を特徴とする請求項8記載の光学ピックアップ。
  11. 上記液晶封入手段は、各々が対向された一対の透明基板の間に液晶を封入してなり、上記光路上において離間されて配置された第1及び第2の液晶封入体から構成され、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の液晶封入体に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の液晶封入体に設けられていること
    を特徴とする請求項7記載の光学ピックアップ。
  12. 上記液晶封入手段は、対向された第1の透明基板と第2の透明基板との間に上記液晶を封入しており、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の透明基板の内側面に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の透明基板の内側面に設けられていること
    を特徴とする請求項7記載の光学ピックアップ。
  13. 円盤状信号記録媒体を回転駆動する回転駆動手段と、
    光源と、液晶を封入して保持する液晶封入手段、及び上記光源からの出射光の光路上において離間されて配置された透明電極からなる第1及び第2の位相分布発生電極部を有し、これら第1及び第2の位相分布発生電極部に電圧が印加されて上記液晶の配向方向を変化させる位相分布発生電極手段を備える光学素子と、この光学素子を透過された上記出射光を上記円盤状信号記録媒体上に照射する対物レンズとを備える光学ピックアップ手段と、
    上記光学ピックアップ手段により上記円盤状信号記録媒体に対する信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段と、
    回転駆動される上記円盤状信号記録媒体の傾きを検出する傾き検出手段と、
    上記傾き検出手段の検出結果に基づいて上記第1及び第2の位相分布発生電極部に印加する電圧を制御する制御手段とを備え、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する略円環状の第1の円環状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有し、この中心が上記光軸について上記第1の円環状電極部の中心とは反対に位置される略円環状の第2の円環状電極部を備え、
    上記第1及び第2の位相分布発生電極部にそれぞれ電圧を印加することにより、上記出射光に対して光軸から垂直方向において位相分布を与えること
    を特徴とする光ディスク装置。
  14. 上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の円環状電極部の内周に、上記出射光の光軸の垂直方向に当該光軸から所定距離離間された位置に中心を有する外周が略円形状の第1の円状電極部を備え、
    上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の円環状電極部の内周に、上記光軸から所定距離離間された位置に中心を有して外周が略円形状とされ、この中心が上記光軸について上記第1の円状電極部の中心とは反対に位置される第2の円状電極部を備え、
    上記第1及び第2の円環状電極部の外方には、当該第1及び第2の円環状電極部の外周を囲む形状からなる外周電極が設けられていること
    を特徴とする請求項13記載の光ディスク装置。
  15. 上記外周電極は、少なくとも1つの略円環形状の電極であること
    を特徴とする請求項14記載の光ディスク装置。
  16. 上記円状電極部の中心と、上記円環状電極部の中心と、上記外周電極の中心とが一致されていること
    を特徴とする請求項14記載の光ディスク装置。
  17. 上記液晶封入手段は、各々が対向された一対の透明基板の間に液晶を封入してなり、上記光路上において離間されて配置された第1及び第2の液晶封入体から構成され、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の液晶封入体に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の液晶封入体に設けられていること
    を特徴とする請求項13記載の光ディスク装置。
  18. 上記液晶封入手段は、対向された第1の透明基板と第2の透明基板との間に上記液晶を封入しており、
    上記第1の位相分布発生電極部は、上記第1の透明基板の内側面に設けられ、上記第2の位相分布発生電極部は、上記第2の透明基板の内側面に設けられていること
    を特徴とする請求項13記載の光ディスク装置。
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