JP3659366B2 - 階層符号化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は階層符号化装置に関し、特に、簡単な構成で、原画像信号の基礎となる符号化データと、一段または複数段の補足符号化信号とを得ることができ、蓄積伝送型映像端末等に用いて好適な階層符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の蓄積伝送型映像端末を用いた画像信号の伝送システムの一例を、図4のブロック図を参照して説明する。ビデオ信号50は送信側の蓄積伝送型映像端末51に入力する。送信側の蓄積伝送型映像端末51は圧縮処理部51aによって圧縮され、ハードディスク51bに蓄積される。送信処理部51cはハードディスク51bから圧縮されたビデオ信号を読みだし、伝送路53の伝送レートで受信側の蓄積伝送型映像端末52に送信する。該蓄積伝送型映像端末52の受信処理部52aは受信した信号をハードディスク52bに蓄積する。復号処理部52cはハードディスク52bからデータを読みだし復号して、再生されたビデオ信号として出力する。
【0003】
この伝送システムによれば、前記ハードディスク51bがバッファの働きをしているので、前記圧縮処理部51aの処理速度が伝送路53の伝送速度より大きくても、ビデオ信号を送信側から受信側へ、格別の問題なく送信することができる。
【0004】
また、階層符号化装置については、例えば「テレビジョン学会誌」Vol.49,No.4(1995) の第458(52)頁から第461(55)頁に開示されている。この刊行物には、例えば図5に示されているようなダブルループという種類の符号化器が示されている。この符号化器では、低SNR信号は量子化器60で粗く量子化され、低SNRのビットストリームを生成する。また、該低SNR信号は逆量子化器61を経て粗く量子化されたDCT係数の再生値に生成される。次に、加算器63で、DCT変換器62で求められたDCT係数から該再生値を減算して、再度量子化前のDCT係数を予測する。次いで、該予測信号を量子化器64で細かい量子化ステップを用いて量子化し、可変長符号化器65で符号化して、エンハンスメント信号として符号化伝送する。図示されていない復号器では、前記低SNR信号とエンハンスメント信号とを逆量子化し、これを足し込んで復号すれば、高画質の再生画像を得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記蓄積伝送型映像端末を用いた図4の画像信号の伝送システムにおいては、受信側がビデオ信号を受信した後、もっと画質の良好なビデオ信号の受信を希望した場合、送信側の蓄積伝送型映像端末51の圧縮処理部51aは、再度ビデオ信号50を最初から受信側が希望する精度で圧縮処理をやり直し、前記したのと同じ手順で該圧縮処理されたデータを送信しなければならず、圧縮処理および伝送処理の無駄が大きいという問題があった。
【0006】
また、前記の図5の符号化器は、加算器63で、DCT変換器62で求められたDCT係数から粗く量子化されたDCT係数の再生値を減算して、再度量子化前のDCT係数を予測し、次いで、該予測信号を量子化器64で細かい量子化ステップを用いて量子化する等の処理をする必要があり、構成が複雑であるという問題があった。また、受信側から要求された品質に適合した画質を第1回の伝送の後に与えることはできず、3段以上の階層化は不可能であった。
【0007】
本発明の目的は、前記した従来装置の問題点を除去し、構成の簡単な階層符号化装置を提供することにある。また、他の目的は、ビデオ信号の圧縮処理をやり直すことなく、1回の圧縮処理で複数レベルの画質のデータを提供することのできる階層符号化装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、この発明は、原画像信号を符号化して原画像信号の基礎となる符号化データを生成する第1符号化手段と、該第1符号化手段によって生成された符号化データを復号し、第1の復号データを出力する第1復号手段と、前記原画像信号と前記復号データとから第1の差分信号を生成する第1差分信号生成手段と、該第1の差分信号を符号化して第1の補足符号化データを生成する第2符号化手段と、該第2符号化手段によって生成された第1の補足符号化データを復号し、第2の復号データを出力する第2復号手段と、前記第1の差分信号と前記第2の復号データとから第2の差分信号を生成する第2差分信号生成手段と、該第2の差分信号を符号化して第2の補足符号化データを生成する第3符号化手段とを具備した点に特徴がある。
【0009】
この発明によれば、原画像信号の基礎となる符号化データと、該符号化データの補足符号化信号とを生成することができる。このため、該原画像信号の基礎となる符号化データと、選択された該符号化データの補足符号化信号とを組合わせることにより、ユーザが希望する画質の符号化データあるいは符号化信号を、容易にユーザに提供することができる。本発明は、画像信号を符号化しこれを一旦蓄積した後受信側へ送信する蓄積伝送型映像端末や、画像信号の編集等を行うビデオオーサリング等に使用するとその効果は大きい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の階層符号化装置の概要を示すブロック図である。図示されているように、階層符号化装置は、第1符号化・復号部2a、2bと、第2符号化・復号部3a、3bと、第3符号化・復号部4a、4bと、減算器7、8、9等から構成されている。原画像信号1は第1符号化部2aにより符号化され、低レイヤの符号化データとして、伝送路に出力されるまたはハードディスク等の蓄積メディアに記憶される。第1復号部2bは、該低レイヤの符号化データを復号する。減算器7は原画像信号1から第1復号部2bの出力信号を減算する。該減算器7から出力される差分信号(以下、「補足信号」と呼ぶ)は、第1符号化部2aによって発生した符号化誤差を表す信号である。ここに、低レイヤの符号化データとは原画像信号の基礎となるデータの符号化データであることを表している。
【0011】
第2符号化部3aは前記減算器7から出力された第1補足信号を入力として符号化処理を行い、第1の高レイヤの符号化データとして、伝送路またはハードディスク等の蓄積メディアに記憶される。ここに、第1の高レイヤの符号化データとは、原画像信号の符号化誤差の第1次の符号化データであることを表している。第2復号部3bは該第1の高レイヤの符号化データを復号する。
【0012】
次に、減算器8は前記第1の補足信号から第2復号部3bの出力信号を減算する。この結果、該減算器8からは、前記第2符号化部3aの符号化誤差を表す第2の補足信号が出力される。この第2の補足信号は第3符号化部4aによって符号化され、第2の高レイヤの符号化データとして、伝送路に出力されるまたはハードディスク等の蓄積メディアに記憶される。以下、同様の多段符号化処理が行われる。なお、該多段符号化処理を何段階まで行うかは、システムが要求する画質精度によって決定される事項である。
【0013】
次に、本実施形態の構成を、より具体的に説明する。前記第1符号化部2a、第1復号部2bとしては、例えばMPEG2の符号器を用いることができる。図2は該MPEG2の符号器の要部を示すブロック図であり、11は減算器、12はDCT変換器、13は量子化器、14は可変長符号化器、15はバッファであり、前記第1符号化部2aは該DCT変換器12、量子化器13および可変長符号化器14に相当する。また、16は逆量子化器、17は逆DCT変換器、18は加算器、19は画像メモリ、20は動き補償予測器であり、これらの構成は前記第1の復号部2bに相当する。該画像メモリ19の出力データが図1の減算器7へ送出される。この符号器は、例えば16画素×16画素のブロック単位で入力してくる原画像信号を順次符号化する処理を行う。なお、該MPEG2の符号器の動作は周知であるので、説明を省略する。
【0014】
次に、第2符号化部3aと第2復号部3bの一具体例を、図3を参照して説明する。図において、31は前記減算器7から出力された第1の補足信号を量子化する量子化器、32は量子化されたデータをスキャニングしランレングス処理をするスキャニング・ランレングス処理部、33はランレングス処理されたデータを可変長符号化する可変長符号化器であり、これらは前記第2符号化部3aを構成している。また、36は逆量子化器であり、これは前記第2復号部3bを構成している。
【0015】
量子化器31は減算器7から入力してくる例えば16画素×16画素のブロックの第1の補足信号を量子化する。スキャニング・ランレングス処理部32は量子化された前記ブロックのデータをスキャニングし、ランレングス処理を行う。例えば、連続する0データの個数とそれに続く非0データのパターンを検出する。該パターンは、可変長符号化器33によって符号化され、第1の高レイヤ符号化データとして出力される。一方、前記量子化器31にて量子化された第1の補足信号は該量子化の処理直後に、逆量子化器36にて逆量子化され、前記減算器8に送られる。減算器8は、前記第1の補足信号から量子化誤差を減算した第2の補足信号を出力する。
【0016】
図3は第2符号化部3aと第2復号部3bの具体的構成を示すものであるが、前記第3、第4符号化部4a、5aは該第2符号化部3aと同構成であり、前記第3復号部4bは該第2復号部3bと同構成であるので、説明を省略する。
【0017】
本実施形態の階層符号化装置を、蓄積伝送型映像端末や、ビデオオーサリングに使用する場合には、前記低レイヤ、第1高レイヤ、第2高レイヤ、…の符号化データは、一旦ハードディスク、マスタテープ等の蓄積メディアに格納される。そして、送信側の蓄積伝送型映像端末が例えば低レイヤの符号化データを用いて原画像信号を受信側の蓄積伝送型映像端末に送信したところ、受信側の蓄積伝送型映像端末からもっと高画質の画像信号の要求を受けたとすると、送信側の蓄積伝送型映像端末は蓄積メディアに蓄積されている例えば第1の高レイヤの符号化データを追加的に送ればよい。受信側は該第1の高レイヤの符号化データを受信すると、先に受信していた低レイヤの符号化データと今回受信した第1の高レイヤの符号化データとを合成して復号することにより、より高画質の画像を再生することができる。さらに、高画質の画像が必要な場合には、送信側は第2の高レイヤの符号化データを追加的に送信するようにすればよい。
【0018】
また、本発明において、第1高レイヤの処理の量子化を最も細かく行えば、低レイヤと該第1高レイヤの信号の組合わせにより、量子化誤差のない(ロスレス)画像圧縮を行うことができる。第2高レイヤ以下のレイヤでの量子化等の処理は、必要に応じて、後から実行可能である。したがって、この場合、初めには、送信側には低レイヤと第1高レイヤのデータを蓄積しておき、受信側からの要求に応じて順次第2高レイヤ以下の処理を行い、データを送信するといった使用法もできる。
【0019】
また、本実施形態により符号化された低レイヤから高レイヤまでの符号化データを、マスタテープまたはディスクに格納しておけば、これから一部を切出して編集等を行う場合に、低レイヤの符号化データと、補足データすなわち高レイヤの符号化データとを適宜組み合わせることにより、任意の画質の編集データを作成することができるようになる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、従来装置のように、DCT係数の再生値を減算して、再度量子化前のDCT係数を予測し、次いで、該予測信号を量子化器で細かい量子化ステップを用いて量子化する等の複雑な構成を必要としないので、構成が簡単であるという効果がある。
【0021】
また、原画像信号の基礎となる符号化データと、該符号化データの補足符号化信号とを生成することができるので、該原画像信号の基礎となる符号化データと、選択された該符号化データの補足符号化信号とを組合わせることにより、ユーザが希望する画質の符号化データあるいは符号化信号を、容易に、ユーザに提供することができる。また、請求項3のように、前記原画像信号の基礎となる符号化データとその補足符号化信号とを、蓄積メディアに蓄積しておくことにより、原画像信号を再度符号化することなく、いつでもユーザが希望する画質に応じた符号化データを提供することができるようになる。
【0022】
本発明は、画像信号を符号化しこれを一旦蓄積した後受信側へ送信する蓄積伝送型映像端末や、画像信号の編集等を行うビデオオーサリング等に使用するとその効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の第1符号化部・復号部の具体的構成例を示すブロック図である。
【図3】 図1の第2符号化部・復号部の具体的構成例を示すブロック図である。
【図4】 従来の蓄積伝送型映像端末を用いた画像信号の伝送システムの一例を示すブロック図である。
【図5】 従来の階層符号化装置の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…原画像信号、2a…第1符号化部、2b…第1復号部、3a…第2符号化部、3b…第2復号部、4a…第3符号化部、4b…第3復号部。
Claims (5)
- 原画像信号を符号化して原画像信号の基礎となる符号化データを生成する第1符号化手段と、
該第1符号化手段によって生成された符号化データを復号し、第1の復号データを出力する第1復号手段と、
前記原画像信号と前記復号データとから第1の差分信号を生成する第1差分信号生成手段と、
該第1の差分信号を符号化して第1の補足符号化データを生成する第2符号化手段と、
該第2符号化手段によって生成された第1の補足符号化データを復号し、第2の復号データを出力する第2復号手段と、
前記第1の差分信号と前記第2の復号データとから第2の差分信号を生成する第2差分信号生成手段と、
該第2の差分信号を符号化して第2の補足符号化データを生成する第3符号化手段とを具備したことを特徴とする階層符号化装置。 - 請求項1記載の階層符号化装置において、
さらに、前記第3符号化手段によって生成された第2の補足符号化データを復号し、第3の復号データを生成する第3復号手段と、
前記第2の差分信号と前記第3の復号データとから第3の差分信号を生成する第3差分信号生成手段と、
該第3の差分信号を符号化して第3の補足符号化データを生成する第4符号化手段とを具備したことを特徴とする階層符号化装置。 - 請求項1または2記載の階層符号化装置において、
前記第1符号化手段によって得られた原画信号の基礎となる符号化データと、少なくとも前記第1、第2の補足符号化データは、蓄積メディアに蓄積されるようにしたことを特徴とする階層符号化装置。 - 請求項3記載の階層符号化装置において、
前記第1符号化手段によって得られた原画信号の基礎となる符号化データと、少なくとも前記第1、第2の補足符号化データのうちの所望の補足符号化データとを前記蓄積メディアから読み出す手段を具備し、
所望の画質の画像信号を再生することができるようにしたことを特徴とする階層符号化装置。 - 請求項1または2記載の階層符号化装置において、
前記符号化手段と前記復号手段は、MPEG2符号化器とMPEG2復号器であることを特徴とする階層符号化装置。
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