JP3659026B2 - 変速機のインタロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等車両における変速機のインタロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用変速機のインタロック装置の一例として、正面形状が略コ字状をなすインタロックプレートを備え、同インタロックプレートを複数個並設されたフォークシャフト又はシフトレールの軸線方向に対し直角方向に変位させることによって、上記フォークシャフト又はシフトレールの軸線方向の変位を許容し又は禁止するようにした装置が、例えば、特開平5−296347号公報に提案されている。(以下場合により、既提案の装置という。)
【0003】
上記既提案の装置の概略構造を図6及び図7を参照して説明する。図中符号01,02及び03は、その一部のみが図示されている変速機ケース04に、それぞれ軸線方向に摺動し得るように支持されたフォークシャフト又はシフトレールである。一例として、上記01は1速及び2速用のフォークシャフト、02は3速及び4速用のフォークシャフト、03は5速及びリバース用のフォークシャフトであり、それぞれのフォークシャフトには、それぞれ図示を省略されている変速用クラッチ操作用のシフトフォークが装着されている。
【0004】
上記フォークシャフト01,02及び03の一端付近を摺動自在に支持している変速機ケース04に取付ボルト06を介してリテーナ部材08が装着され、同リテーナ部材08には、上記フォークシャフト01,02及び03の軸線に対し直角方向に延在した案内溝010が削設されると共に、上記フォークシャフト01,02及び03をそれぞれ摺動自在に挿通させる貫通孔012,014及び016が穿設されている。
【0005】
上記案内溝010内に正面形状が略コ字状をなすインタロックプレート018が挿入され、同インタロックプレート018は案内溝010内を上記フォークシャフト01〜03の軸線に対し直角方向に摺動変位することができる。上記インタロックプレート018の二つの平行脚部020及び022のうち、一方の脚部020は、フォークシャフト03と02との間に挿入され、また他方の脚部022は、フォークシャフト02と01との間に挿入される。
【0006】
上記一方の脚部020のフォークシャフト03に対向する側縁018aは、フォークシャフト03の外周面に形成された切欠部又は凹部024と協働し、また脚部020及び022の互に対向する側縁018b及び018cは、フォークシャフト02の外周面に囲設された凹溝026と協働し、さらに、上記他方の脚部022のフォークシャフト01に対向する側縁018dは、フォークシャフト01の外周面に形成された切欠部又は凹部028と協働する。
【0007】
上記図6及び図7に示されているインタロックプレート018の位置では、脚部020の上方の側縁018aがフォークシャフト03の凹部024内に嵌合せず、同脚部020の下方の側縁018bがフォークシャフト02の凹溝026内に嵌合し、さらに脚部022の下方の側縁018dがフォークシャフト01の凹部028に嵌合しているので、フォークシャフト01及び02は、夫々軸線方向の変位をインタロックプレート018によって禁止されているが、フォークシャフト03は軸線方向に自在に摺動変位することができる。従って、図示されていない手動のシフトレバー又はエアシリンダ等のアクチュエータにより、フォークシャフト03を軸線方向に変位させることによって、同フォークシャフトに固着されたシフトフォークを介し5速又はリバースを選択することができる。
【0008】
次に、各フォークシャフト01,02,03がニュートラル位置にあるとき、インタロックプレート018を、図7に示す位置から僅かに上方に変位させると、脚部020の上方の側縁018aがフォークシャフト03の凹部24内に進入し、また同脚部020の下方の側縁018b及び脚部022の上方の側縁018cが何れもフォークシャフト02の凹溝026内に係合せず、さらに脚部020の下方の側縁018dがフォークシャフト01の凹溝28から完全には抜け出さず、なお一部が同凹溝28内に係合した状態となる。従って、フォークシャフト03及び01は軸線方向の変位が禁止され、フォークシャフト02のみ軸線方向の変位が許容されることとなる。このためフォークシャフト02を軸線方向の何れかの方向に変位させることによって、同フォークシャフトに固着されたシフトフォークを介し3速又は4速が選択される。
【0009】
同様に、各フォークシャフト01,02,03がニュートラル位置にあるとき、インタロックプレート018を上記よりさらに上方に変位させると、脚部020の上方の側縁018aがフォークシャフト03の凹部024に一層深く進入する。また、同脚部020の下方の側縁018bがフォークシャフト02の凹溝026から抜け出すと共に、脚部022の上方の側縁018cが同凹溝026内に進入する。さらに、脚部022の下方の側縁018dがフォークシャフト01の凹部028が抜け出す。この結果、フォークシャフト03及び02の軸線方向の変位は禁止されるが、フォークシャフト01の軸線方向の変位は許容される。従って、フォークシャフト01を軸線方向の何れかの方向に変位させることによって、同フォークシャフトに固着されたシフトフォークを介し1速又は2速が選択される。
【0010】
上記既提案の装置では、コ字状のロックプレート018をリテーナ部材08の案内溝010に沿い各フォークシャフト01〜03の軸線方向に対し直角方向に円滑に摺動変位させるために、案内溝010及びロックプレート018の摺動面を精度良くフライスやプレーナ等により加工することが必要であり、またロックプレート018の脚部020及び022の側縁018a〜018dも高精度でフライス等により加工する必要があり、そのうえリテーナ部材08を変速機ケース04にボルト06によって固定しなければならない等の理由から、構造複雑で部品点数が多く、しかも部品のフライス等による高精度の平面及び直線加工が多く、組立及び分解作業も面倒であるので、結局製造及び整備コストが著しく高くなる不具合がある。さらに、組立誤差等により、フォークシャフト01〜03が変速操作時に軸線方向に変位する際に、同フォークシャフトがロックプレート018の上記側縁018a〜018dに接触すると、摩擦抵抗が大きいため変速操作のフィーリングが悪化する不具合がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記既提案の装置と較べ、構造極めて簡単で構成部品の製作加工が容易であり、かつ組立て作業が容易で製造コストが安く、しかもインタロック作動及び解除を円滑に行なうことができる変速機のインタロック装置を提供することを、主たる目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、変速機ケースに夫々軸線方向に摺動自在に並設された複数のフォークシャフトと、上記フォークシャフトの軸線に対し直角方向に延在しかつ自身の軸線方向に摺動し得るように上記変速機ケースに支持されたインタロックシャフトとを備え、同インタロックシャフトは、軸線方向に間隔を存して配置された複数のランド部と、同ランド部間に配置され夫々軸線の回りに全周にわたり形成されて上記フォークシャフトに設けられた複数の係合溝と協働する複数の溝部とを有し、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合することによって同フォークシャフトの軸線方向の変位が禁止されると共に、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合せず上記溝部が係合溝に対向することによって同フォークシャフトの軸線方向の軸線方向の変位が許容されるように構成されたことを特徴とする変速機のインタロック装置を提案するものである。
【0013】
本発明において、上記インタロックシャフトは、その軸線を中心として形成された回転体であり、軸線方向に間隔を存して配置された複数の円筒状ランド部と、ランド部間に凹設された回転面からなる溝部とを有することが好ましい。
【0014】
上記本発明の構成によれば、複数個並設されたフォークシャフトの軸線方向の変位を禁止するインタロック作動及び同フォークシャフトの軸線方向の変位を許容するインタロック解除を行なうインタロック部材が、軸線方向に間隔を存し配置された複数のランド部と、同ランド部間に形成され軸線の回りに全周にわたり形成された溝部とを有するインタロックシャフトであるので、変速機ケーシングに同インタロックシャフトを軸線方向に摺動自在に支持する構造が通常の軸支構造で足るため極めて簡単になり、またインタロックシャフト自体も通常の施削加工により簡単に製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図1ないし図5を参照して説明する。
先ず、図1及び図2に示した本発明の第1の実施形態において、図中符号10は、その一部のみが図示されている変速機ケースであって、同変速機ケース10には、実質的に平行な軸線を有する複数個(図示の場合は、一例として3個)のフォークシャフト又はシフトレール12,14及び16が並設されている。上記複数個のフォークシャフト12,14及び16は、前記既提案の装置或いは通常の他の変速機と同様に、軸線方向一方向の変位によって夫々のフォークシャフトに装着されているシフトフォーク(図示せず)を介して予め設定された或る変速段が選択され、また軸線方向逆方向の変位によって上記シフトフォークを介し、上記とは異なる他の予め設定された変速段が選択されるように構成されている。
【0016】
上記フォークシャフト12,14及び16には、それらフォークシャフトがすべてニュートラル位置にあるとき、軸線に対し直角方向に、夫々中心線が一線をなして整合するように部分円筒面からなる係合溝18,20及び22が凹設されている。また、上記フォークシャフト12,14及び16が夫々ニュートラル位置にあるとき、上記係合溝18,20及び22の中心線を含む平面内に中心線を有し、フォークシャフト12,14及び16の軸線に対し直角方向に延在するインタロックシャフト24が、上記変速機ケース10に、自身の軸線方向に摺動自在に支持されている。
【0017】
上記インタロックシャフト24は、軸線方向に間隔を存して配置された4個の円筒状の外形を有するランド部28,30,32及び34と、上記ランド部相互間に形成された3個の凹曲線回転面からなる溝部36,38及び40とを備え、自身の軸線を中心線として形成された回転体である。従って、丸棒等を素材として、旋盤加工等の施削装置により、極めて容易かつ安価に製造することができる。
【0018】
また、上記変速機ケース10の支持孔42内に摺動自在に嵌着された上記インタロックシャフト24の一端部44と、上記支持孔42の開口端に螺合されたばね受プラグ46との間に、弾性装置を形成するスプリング48が縮設され、同スプリング48によって上記インタロックシャフト24の他端部に形成された当接端部50が、インタロック制御用のロッド又はシフトレール52に圧接されている。同シフトレール52は、上記フォークシャフト12,14及び16に対し実質的に平行に配置され、上記変速機ケース10に軸線方向に摺動自在に支持されている。
【0019】
上記シフトレール52には、上記当接端部50が夫々当接する第1当接部54、第2当接部56及び第3当接部58が設けられている。図示されていない手動の操作部材又はエアシリンダ、電磁式アクチュエータ等適宜のアクチュエータ60によってシフトレール52を軸線方向に変位させることによって、上記シフトレールの当接端部50が、上記第1ないし第3当接部54,56又は58の何れかに選択的に当接する。
【0020】
上記インタロック装置において、図1及び図2は、インタロックシャフト24の上記当接端部50が、シフトレール52の外周面に相当する上記第1当接部54に当接しており、このときインタロックシャフト24のランド部28及び30間の溝部36がフォークシャフト12の部分円筒面からなる係合溝18に略対向し、両側の上記ランド部28及び30は係合溝18に嵌合せず干渉しない位置にある。従って、フォークシャフト12は軸線方向に自由に変位することができ、同フォークシャフト12に固着されたシフトフォークを介して予め定められた異なる2種類の変速段のうち所望の一方の変速段を選択することができる。
【0021】
また、図1及び図2に示された状態では、フォークシャフト14の係合溝20に、インタロックシャフト24のランド部32が係合しているので(特に図2に良く示されているようにランド部32の左端部分が係合溝20に干渉している)、同フォークシャフト14は、軸線方向の変位を禁止されている。さらに、フォークシャフト16の係合溝20に、インタロックシャフト24のランド部34の左半部分が係合しているので、同フォークシャフト16は軸線方向の変位を禁止されている。従って、フォークシャフト14及び16に属する他の変速段を選択することはできない。
【0022】
次に、手動により又はアクチュエータ60を作動させて、シフトレール52を図2において上方に変位させ、インタロックシャフト24の上記当接端部50を第2当接部56に当接させると、インタロックシャフト24はスプリング48の付勢力により第1当接部54と第2当接部56との段差t分だけ右方に変位し、各ランド部28〜34及び溝部36〜40が、図1に点線で示した位置に夫々変位する。
【0023】
上記状態では、ランド部28の右端部分がフォークシャフト12の係合溝18に係合して干渉するので、同フォークシャフト12の軸線方向の変位が禁止される。また、ランド部34の左端部分がフォークシャフト16の係合溝22に係合して干渉するので、同フォークシャフト16の軸線方向の変位が禁止される。さらに、フォークシャフト14の係合溝20と、ランド部30及び32間の溝部38とが対向し、上記ランド部30及び32の何れもが係合溝20に係合せず干渉しないので、同フォークシャフト14のみが、軸線方向に自在に摺動することが許容され、同フォークシャフト14に固着されたシフトフォークを介して予め定められた異なる2種類の変速段のうち、摺動方向に応じ何れか一方の変速段が選択される。
【0024】
同様に、手動により又はアクチュエータ60を作動させて、シフトレール52を図2においてさらに上方に変位させ、インタロックシャフト24の上記当接端部50を第3当接部58に当接させると、インタロックシャフト24は、第2当接部56と第3当接部58との段差t分だけさらに右方に変位し、各ランド部28〜34及び溝部36〜40が、図1に一点鎖線で示した位置に夫々変位する。
【0025】
この状態では、フォークシャフト12の係合溝18にはランド部28の右方部分が係合し、フォークシャフト14の係合溝20にはランド部30の右端部分が係合するので、フォークシャフト12及び14は、何れも軸線方向の変位を禁止される。しかし、フォークシャフト16の係合溝22とインタロックシャフト24の溝部40とが略対向し、両側のランド部32及び34は何れも係合溝22に係合しない。従って、フォークシャフト16のみ軸線方向の変位が許容され、その変位方向により予め設定された異なる2種類の変速段の一方が選択される。
【0026】
上記インタロック装置では、インタロックシャフト24が、軸線方向に間隔を存して配置されたランド部28,30,32及び34と、ランド部間に全周にわたり形成された溝部36,38及び40とを備え、変速機ケース10に軸線方向に摺動自在に支持されたロッド状の部材であるため、コ字状のインタロックプレートと同インタロックプレートの円滑な摺動変位を確保するための案内溝を備えたリテーナ部材等を必要とする前記既提案の装置と較べ、構造は極めて簡単で、インタロックシャフト24の加工及び同インタロックシャフト24を軸線方向に摺動自在に支持する変速機ケース10側の加工も容易であり、高精度の加工を要するリテーナ部材等特別の部品を追加する必要がなく、加工及び組立コストを著しく低減し得る利点がある。
【0027】
また、上記インタロックシャフト24を、その軸線を中心とした回転体とし、軸線方向に間隔を存して配置された円筒状ランド部28,30,32及び34と、ランド部28〜34間に凹設形成された回転面からなる溝部36,38及び40とからなる構造としたことによって、フライス加工等に較べて著しく機械加工コストが安い旋盤等の加工機械によって簡単、容易かつ安価に製造し得る利点がある。また、組立誤差等によりフォークシャフト12,14及び16の軸線方向変位時に、フォークシャフト12〜16とインタロックシャフト24が軽く接触するようなことがあっても、同インタロックシャフト24が回転することによって僅かな摩擦抵抗力が発生するだけであるから、変速操作のフィーリングが著しく悪化することがない利点がある。
【0028】
次に、図3乃至図5は、本発明に係るインタロック装置を副変速機付変速機(例えば実開昭63−150163号公報に記載されている種類の変速機)に適用した第2の実施形態を示すものである。なお、上記第1の実施形態と実質的に同一又は対応する部材又は部分には、同一の符号を用い重複説明は省略する。
【0029】
特に、図4の要部平面図に示されているように、インタロックシャフト24の軸線方向の位置を制御する副変速機のシフトレール52には、ハイ及びロー位置を限定する二つの当接部P及びRが凹設されている。例えば、当接部Pをハイ位置、当接部Rをロー位置とすると、図3及び図4はインタロックシャフト24が、スプリング48により付勢されて当接端部50がハイ位置Pに当接している状態を示している。
【0030】
このとき、夫々ニュートラル位置にある主変速機のフォークシャフト12,14及び16の上側面に凹設された係合溝18,20及び22と、インタロックシャフト24のランド部30,32及び34とは、すべて係合することなく、上記ランド部間の凹曲線回転面からなる溝部38及び40、並びにランド部30の溝部38とは反対側の小径部との接続曲面部36′が係合溝20,22及び18に夫々対向する。従って、任意のフォークシャフト12,14及び16を夫々軸線方向に変位させることができ、従って主変速機の変速操作を行なうことによって、副変速機ハイの状態で、所望の変速段を選択することができる。
【0031】
また、第1実施形態と同様に、手動又は適宜のアクチュエータによって、シフトレール52を、図4において下方に変位させ、インタロックシャフト24の上記当接端部50がロー位置Rに係合すると、上記ハイ位置Pの場合と全く同様に、主変速機のすべてのフォークシャフト12,14及び16を夫々軸線方向に変位させることができ、従って主変速機の変速操作を行なうことによって、副変速機ローの状態で所望の変速段を選択することができる。
【0032】
次に、何等かの理由で、副変速機のシフトレール52が上記ハイ位置P、ロー位置Rに正しく切換えられず、例えば図4における中間位置Qに位置している場合は、インタロックシャフト24がスプリング48を圧縮して図5に示されている左方位置に変位し、ランド部30がフォークシャフト12の係合溝18に係合すると供に、ランド部32がフォークシャフト14の係合溝20に係合し、さらにランド部34がフォークシャフト16の係合溝22に係合する。このため主変速機のフォークシャフト12,14及び16が中立位置のまま軸線方向の変位を禁止されるので、主変速機の変速操作が行なわれない状態となり、誤った変速段への変速操作が、確実に防止されることなる。即ち、副変速機のシフトレール52がローとハイで切り変わる間、主変速機のフオークシャフト12,14及び16は中立位置でインタロックされる。一方、主変速機が何れかの変速段に入っているときは、シフトレール52がP位置又はR位置にロックされる。
【0033】
この第2実施形態においても、第1実施形態と実質的に同等の効果、即ち構造的に極めて簡単でインタロックシャフト24及び同インタロックシャフトを取付ける変速機ケース10の製造コストを低減し得ると共に、組立作業が容易で、従って整備性が良く、組立及び整備コストを、既提案の装置に較べて大巾に低減し得る利点があり、特にインタロックシャフト24を、その軸線を中心とした回転体とすることにより、上記の諸利点又は効果を一層向上することができる。
【0034】
なお、本発明は上述した第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更及び修正を加え実施することができる。例えば、インタロックシャフト24によりロックされ又は解錠されるフォークシャフト又はシフトレールの個数は適宜増減することができ、またインタロックシャフト24のランド部間の溝部36,38,40等は、図示の凹曲線回転面に限らず、通常のスプール弁と同様に、ランド部間に、それより小径の円筒状軸部を設けて断面形状が長方形の環状溝からなる溝部を形成しても良い。
【0035】
【発明の効果】
叙上のように、本発明に係る変速機のインタロック装置は、変速機ケースに夫々軸線方向に摺動自在に並設された複数のフォークシャフトと、上記フォークシャフトの軸線に対し直角方向に延在しかつ自身の軸線方向に摺動し得るように上記変速機ケースに支持されたインタロックとを備え、同インタロックシャフトは、軸線方向に間隔を存して配置された複数のランド部と、同ランド部間に配置され夫々軸線の回りに全周にわたり形成されて上記フォークシャフトに設けられた複数の係合溝と協働する複数の溝部とを有し、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合することによって同フォークシャフトの軸線方向の変位が禁止されると共に、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合せず上記溝部が係合溝に対向することによって同フォークシャフトの軸線方向の軸線方向の変位が許容されるように構成されたことを特徴とし、従来の同種装置と較べて構造極めて簡単で部品点数が少なく、また機械加工が容易で組立作業性及び整備作業性が優れた装置を安価に提供し得る利点がある。
【0036】
特に、上記インタロックシャフトが、その軸線を中心として形成された回転体であり、軸線方向に間隔を存して配置された複数の円筒状ランド部と、ランド部間に凹設された回転面からなる溝部とを有する構造とすることによって、インタロックシャフトが、その軸線の回りの如何なる位置でも同じ形状であるので、組立及び整備に際して上下方向に関し誤組立が発生することがないので、作業性が一層優れ、またフォークシャフトの軸線方向変位時に、インタロックシャフトがフォークシャフトに接触して連れ回りすることがあっても、回転時の摩擦抵抗は極めて小さいので、変速操作のフーリングを損なうことがなく、さらに、インタロックシャフト自身、及び変速機ケースのインタロック支持部分の加工が一層容易になり、相応して製造コストを一層低減し得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す要部を断面で示した正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す要部正面図である。
【図4】図3の要部を抽出して示した平面図である。
【図5】図3において、シフトレール52がハイ、ロー位置の中間に位置した場合のフォークシャフトとインタロックシャフトとの関係を示した要部正面図である。
【図6】既提案の装置の要部断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
10…変速機ケース、12,14及び16…フォークシャフト、18,20及び22…係合溝、24…インタロックシャフト、28,30,32及び34…ランド部、36,38及び40…溝部、48…スプリング、50…当接端部、52…シフトレール、54…第1当接部、56…第2当接部、58…第3当接部、60…アクチュエータ。

Claims (2)

  1. 変速機ケースに夫々軸線方向に摺動自在に並設された複数のフォークシャフトと、上記フォークシャフトの軸線に対し直角方向に延在しかつ自身の軸線方向に摺動し得るように上記変速機ケースに支持されたインタロックシャフトとを備え、同インタロックシャフトは、軸線方向に間隔を存して配置された複数のランド部と、同ランド部間に配置され夫々軸線の回りに全周にわたり形成されて上記フォークシャフトに設けられた複数の係合溝と協働する複数の溝部とを有し、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合することによって同フォークシャフトの軸線方向の変位が禁止されると共に、上記ランド部がフォークシャフトの係合溝に係合せず上記溝部が係合溝に対向することによって同フォークシャフトの軸線方向の変位が許容されるように構成されたことを特徴とする変速機のインタロック装置。
  2. 上記インタロックシャフトは、その軸線を中心として形成された回転体であり、軸線方向に間隔を存して配置された複数の円筒状ランド部と、ランド部間に凹設された回転面からなる溝部とを有することを特徴とする請求項1記載の変速機のインタロック装置。
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