JP3658499B2 - スピーカ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製のフレームを用いて振動板の外周部を保持することにより軽量化を図ったスピーカに関する。
【0002】
【従来の技術】
車載用などとして知られるダイナミック型のスピーカにおいては、最近、その磁気回路をアルミニウム等からなる非磁性フレームにて保持すると共に、振動板の外周部をABS樹脂等からなる樹脂フレームにて保持することにより、大幅な軽量化を図った構成のものが増えてきている。
【0003】
図3はこのようなスピーカの従来例を示す断面図であり、非磁性フレーム1の上部に磁気回路2の底部が嵌め込まれて保持されていると共に、この磁気回路2上に固定された樹脂フレーム3が振動板4の外周部を保持している。磁気回路2は、非磁性フレーム1の内周部に固定されている内ヨーク5と、図示上下方向に着磁されているリング状のマグネット6と、このマグネット6の上下両面にそれぞれ接合されたリング状磁性体である上プレート7および下プレート8とによって構成されており、上プレート7と内ヨーク5との間に形成されているギャップG1内と、下プレート8と内ヨーク5との間に形成されているギャップG2内に、それぞれボイスコイルC1,C2が配置されている。これらのボイスコイルC1,C2は円筒状のボビン9の外周面に巻装されており、このボビン9の上端部は円錐状のコーン紙等からなる振動板4の内周部に接合されている。また、樹脂フレーム3の底部(内周部)が固定ねじ10を用いて上プレート7上にねじ止め固定されており、この樹脂フレーム3が、変形接合部11を介して振動板4の外周部を支持していると共に、ダンパー12を介して振動板4の内周部を支持している。なお、このように変形接合部11およびダンパー12を介して樹脂フレーム3に支持されていることから、振動板4は図示上下方向に振動しやすくなっている。また、ボイスコイルC1,C2は、例えば逆向きに巻き付けるなどして、所定の音声電流が通電されたときに同じ向きに駆動されるように設定されている。
【0004】
このように概略構成されたスピーカは、図示せぬリード線を介してボイスコイルC1,C2に音声電流が流されると、これらのボイスコイルC1,C2が電磁力により振動するので、ボビン9を介して駆動されることになる振動板4が振動し、ラジオ音声やテープ再生音声などの拡声が行えるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、周知のようにボイスコイルC1,C2からは通電時に熱(ジュール熱)が発生するが、前述した従来のスピーカにおいては、かかるボイスコイルC1,C2の発熱によって樹脂フレーム3の底部(内周部)が加熱されやすくなる。すなわち、磁気回路2に接触もしくは近接している樹脂フレーム3の底部にはボイスコイルC1,C2の熱が伝わりやすいうえ、樹脂材料は熱電導率が低くて放熱作用が弱いことから、従来のスピーカでは、樹脂フレーム3の底部近傍が高温に加熱されて若干の変形をきたしてしまうことがあった。しかるに、図3に示すように、樹脂フレーム3は通常、そのダンパー取付部3aに外周部を接着固定したダンパー12を介してボビン9を支持しているので、樹脂フレーム3の底部やダンパー取付部3aが熱変形すると、その影響でダンパー12およびボビン9に位置ずれや傾きが起こりやすくなる。そして、このようなボビン9の位置ずれや傾きが起こると、ボイスコイルC1,C2がギャップG1,G2内の正規の位置からずれてしまうため、音声特性が極端に劣化したり、そのボイスコイルC1,C2が磁気回路2に接触して異音を発生するなど、スピーカ性能を著しく損なう不具合を引き起こすことになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、アルミニウム等の非磁性金属材からなる非磁性フレームに磁気回路を格納する凹所を形成すると共に、この凹所の開口端の周囲に鍔部を形成し、この鍔部に振動板の外周部を保持する樹脂フレームの底部と振動板の内周部を支持するダンパーの外周部とをそれぞれ固定することとする。このように構成すると、樹脂フレームをスピーカの発熱源であるボイスコイルから十分に離間させることができるため、ボイスコイルの発熱で樹脂フレームが変形する可能性が低くなり、仮に樹脂フレームが熱変形したとしても、ダンパーの外周部が非磁性フレームの鍔部に固定されているため、ダンパーの取付位置には影響せず、ボイスコイルの発熱に起因するボビンの位置ずれや傾きを回避できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のスピーカでは、ボビンに巻装されたボイスコイルと、このボイスコイルが配置されるギャップを有する磁気回路と、内周部が前記ボビンに接合され前記ボイスコイルへの通電時に駆動される振動板と、この振動板の内周部を振動を許容しつつ支持するダンパーと、前記磁気回路を保持する非磁性金属材からなる第1のフレームと、前記振動板の外周部を保持する合成樹脂製の第2のフレームとを備えたスピーカにおいて、前記第1のフレームに前記磁気回路を格納する凹所を形成すると共に、この凹所の開口端の周囲に鍔部を形成し、前記第2のフレームの底部と前記ダンパーの外周部とを前記鍔部に取り付けて固定した。
【0008】
このように第1のフレーム(非磁性フレーム)の凹所内に磁気回路を格納して第2のフレーム(樹脂フレーム)を該磁気回路からある程度離間させる構成にしておけば、ボイスコイルの発熱で樹脂フレームが変形する可能性が低くなり、仮に樹脂フレームが熱変形したとしても、ダンパーの外周部が非磁性フレームの凹所の開口端周囲に形成された鍔部に固定されているため、ダンパーの取付位置には影響せず、ボイスコイルの発熱に起因するボビンの位置ずれや傾きを回避できる。
【0009】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施例に係るスピーカの断面図、図削除図1のA部拡大図であり、図3と対応する部分には同一符号が付してある。
【0010】
図1,2に示すスピーカは、非磁性フレーム1の開口端の内側に磁気回路2を格納できる広い凹所1aが形成されている点と、この非磁性フレーム1の開口端の周囲に樹脂フレーム3の底部(内周部)およびダンパー12の外周部を取り付けるための鍔部1bが形成されている点とが、前述した従来例と大きく異なっている。すなわち、アルミニウム等からなる非磁性フレーム1は、磁気回路2を凹所1a内に完全に収納した状態で保持していると共に、鍔部1b上にダンパー12の外周部を接着固定し、さらに、ABS樹脂等からなる樹脂フレーム3の底部を固定ねじ13を用いて鍔部1b上にねじ止め固定し、この樹脂フレーム3の底部を鍔部1b上のダンパー12の外周部に圧接させている。
【0011】
なお、このスピーカのその他の構成は前述した従来例とほぼ同様であり、ボイスコイルC1,C2を巻装した円筒状のボビン9の上端部が円錐状のコーン紙等からなる振動板4の内周部に接合されており、この振動板4の外周部が変形接合部11を介して樹脂フレーム3に支持されている。また、磁気回路2は、非磁性フレーム1の内周部に固定されている内ヨーク5と、図示上下方向に着磁されているリング状のマグネット6と、このマグネット6の上下両面にそれぞれ接合されたリング状磁性体である上プレート7および下プレート8とによって構成されており、上プレート7と内ヨーク5との間に形成されているギャップG1内と、下プレート8と内ヨーク5との間に形成されているギャップG2内に、それぞれボイスコイルC1,C2が配置されている。ただし、ダンパー12の外周部が鍔部1bに接着固定されているため、振動板4の内周部はダンパー12を介して非磁性フレーム1に支持されることになる。
【0012】
このように上記実施例においては、非磁性フレーム1の凹所1a内に磁気回路2を格納して、樹脂フレーム3を磁気回路2から十分に離間させる構成にしてあるので、ボイスコイルC1,C2の発熱(ジュール熱)で樹脂フレーム3が変形する可能性は極めて低くなっている。しかも、ダンパー12の外周部が非磁性フレーム1の鍔部1bに接着固定してあるので、万一樹脂フレーム3が熱変形したとしても、ダンパー12の取付位置には影響を及ぼさない。したがって、このスピーカは、ボイスコイルC1,C2の発熱によってボビン9が位置ずれや傾きを起こす心配がなく、それゆえ、かかるボビン9の位置ずれや傾きに起因する音声特性の劣化や異音の発生が起こらず、長期にわたって高信頼性を維持することができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0015】
非磁性フレームの凹所内に磁気回路を格納して樹脂フレームを該磁気回路からある程度離間させておくことにより、ボイスコイルの発熱で樹脂フレームが変形する可能性が低くなり、仮に樹脂フレームが熱変形したとしても、ダンパーの外周部が非磁性フレームの凹所の開口端周囲に形成された鍔部に固定されているため、ダンパーの取付位置には影響せず、ボイスコイルの発熱に起因するボビンの位置ずれや傾きを回避でき、信頼性の高いスピーカを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るスピーカの断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】 従来のスピーカの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性フレーム
1a 凹所
1b 鍔部
2 磁気回路
3 樹脂フレーム
4 振動板
9 ボビン
12 ダンパー
13 固定ねじ
C1,C2 ボイスコイル
G1,G2 ギャップ

Claims (2)

  1. ボビンに巻装されたボイスコイルと、このボイスコイルが配置されるギャップを有する磁気回路と、内周部が前記ボビンに接合され前記ボイスコイルへの通電時に駆動される振動板と、この振動板の内周部を振動を許容しつつ支持するダンパーと、前記磁気回路を保持する非磁性金属材からなる第1のフレームと、前記振動板の外周部を保持する合成樹脂製の第2のフレームとを備えたスピーカにおいて、前記第1のフレームに前記磁気回路を格納する凹所を形成すると共に、この凹所の開口端の周囲に鍔部を形成し、前記第2のフレームの底部と前記ダンパーの外周部とを前記鍔部に取り付けて固定したことを特徴とするスピーカ。
  2. 前記第1のフレームの前記鍔部に前記ダンパーの外周部を接着固定すると共に、このダンパーの外周部に前記第2のフレームの底部を圧着させたことを特徴とする請求項1記載のスピーカ。
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