JP3658385B2 - 皮膚の無細胞化方法、該方法による無細胞化真皮マトリックス及びその製造方法並びに該マトリックスを用いた複合培養皮膚 - Google Patents

皮膚の無細胞化方法、該方法による無細胞化真皮マトリックス及びその製造方法並びに該マトリックスを用いた複合培養皮膚 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離した皮膚の無細胞化方法及び当該無細胞化方法により得られる無細胞化真皮マトリックス、或いは当該無細胞化方法を利用した無細胞化真皮マトリックスの製造方法に関し、また当該無細胞化真皮マトリックスを基質とした複合培養皮膚に関する。
【0002】
【従来の技術】
採取できる自家植皮皮膚が極めて限られている広範III度熱傷の治療として、培養表皮移植や薄い自家網状植皮術が用いられている。しかしIII度創面への培養表皮の生着は不良であり、薄い自家網状植皮術は醜形瘢痕や瘢痕拘縮を生じやすい。こうした生着の不良性や醜形瘢痕・拘縮の形成は、主に創面における真皮成分の欠如によるものと考えられている。そのため、薄い自家網状植皮術や培養表皮移植と同時に創面に真皮成分を付加し、新たな真皮構造を構築することが重要である(例えば、非特許文献1)。
【0003】
この目的のために種々の代用真皮が考案され試みられてきた。これらを大別すると、異種コラーゲンを用いた人工的コラーゲンマトリックスと同種皮膚を加工した無細胞化真皮マトリックスとに分けられる。人工的コラーゲンマトリックスは、その一部が本邦及び米国で商品化されたが(ペルナック(商標):興和新薬、テルダーミス(商標):テルモ社、インテグラ(商標):米国 インテグラライフサイエンス社)、これらは移植後の血管新生に時間を要することから、植皮との同時移植に適していない。
【0004】
無細胞化真皮マトリックスは、ヒト同種凍結保存皮膚を原料としているので人工的コラーゲンマトリックスに比べより生理的なマトリックス構造を有し、植皮との同時移植が可能であることが知られている。このような同種無細胞化真皮マトリックスは、世界的には米国で商品化されているが(アロダーム(商標):米国Life Cell社)、その作製方法は必ずしも理想的なものではなく、臨床的な信頼性も不充分である。また米国人ドナーからの感染の可能性が否定できない。
【0005】
こうしたことから、より信頼性の高い、同時自家植皮可能な同種無細胞化真皮マトリックスの開発が待たれている。
【0006】
ところで、上記のような同種無細胞化真皮マトリックスの作製においては、その無細胞化方法が極めて重要であるが、当該方法として、これまでに以下の方法が報告されている。方法1:蛋白分解酵素であるディスパーゼ(Dispase)とデタージェントであるTriton X−100を、順次、用いる方法、詳しくは、分層皮膚を表皮と真皮に分離する際にディスパーゼ処理を行い、引き続く分離真皮の無細胞化処理においては、Triton X−100によってのみ処理する方法(非特許文献2)、方法2:1モル塩化ナトリウム溶液とSDS溶液で処理する方法(非特許文献3)、方法3:凍結・融解を反復する方法(非特許文献4)及び、方法4:単純にトリプシンで処理する方法(非特許文献5)である。
【0007】
しかしながら、例えば、細胞の除去の程度が完全ではないこと、或いは処理に長時間を要して真皮コラーゲン構造を過剰に変性すること等から、上記の従来の無細胞化方法のいずれを用いても、信頼性の高い、同時自家植皮に最適な無細胞化真皮マトリックスを得ることに成功しているとは言いがたい。
【0008】
更には、無細胞化真皮マトリックスのような代用真皮と自家植皮の同時移植の場合、自家植皮と代用真皮との境界部に過剰な上皮の再生(境界部上皮化)が生じて創治癒に悪影響を及ぼすことがあるが、この過剰で不必要な上皮の再生が代用真皮上に存在する細胞などの生体成分により促進される可能性が指摘されている(例えば、非特許文献6)。また本発明者による種々の予備的研究により、無細胞化真皮マトリックスを代用真皮として用いた場合では、その真皮表皮境界部に存在する基底膜構成成分をより温存した場合に、境界部上皮化が促進される傾向が強いことが判明している。このことから、自家植皮の同時移植を前提とすれば、残存する基底膜成分をも減弱させ得るような真皮マトリックスの無細胞化方法が望まれていたのである。
【0009】
【非特許文献1】
松田隆昌、高見佳宏,「代用真皮の分類とその課題」,熱傷,1994年,第20巻,第5号,p.221−230
【非特許文献2】
タカミ・ワイ、マツダ・ティ、ヨシタケ・エム、ハヌマダス・エム、ウォルター・アール・ジェィ(Takami,Y.,Matsuda,T.,Yoshitake,M.,Hanumadas,M. and Walter,R.J.),「ディスパーゼ/デタ−ジェント・トリーテッド・ダーマル・マトリックス・アズ・ア・ダーマル・サブスチチュート(Dispase/Detergent Treated Dermal Matrix as a Dermal Substitute.)」,熱傷(Burns),1996年,第22巻,第3号,p.182−190
【非特許文献3】
リバシー・エス・エイ、ヘンダーソン・ディ・エヌ、ホリョーク・エム・エイ,アトキンソン・ワイ・エイチ,ナグ・エイ(Livesey,S.A.,Henderson,D.N.,Hollyoak,M.A.,Atkinson,Y.H. and Nag,A.),「トランス・プランティド・アセルラー・アログラフト・ダーマル・マトリックス(Transplanted Acellular Allograft Dermal Matrix.)」,トランスプランテェーション(Transplantation),1995年,第60巻,第1号,p.1−9
【非特許文献4】
グリロ・エイチ・シー、マッカン・シー・エフ(Grillo,H.C. and Mckhann,C.F.),「ジ・アクセプタンス・アンド・エボリューション・オブ・ダーマル・ホモグラフツ・フリード・オブ・バイアブル・セルズ(The acceptance and evolution ofdermal homografts freed of viable cells)」,トランスプランテェーション(Transplantation),1964年,第2巻,第1号,p.48−59
【非特許文献5】
オリバー・アール・エフ、グラント・アール・エイ(Oliver,R.F. and Grant,R.A.),「リコンストラクション・オブ・フル−シックネス・ロス・スキン・ウォンズ・ユージング・スキン・コラーゲン・アログラフツ(Reconstruction of full−thickness loss skin wounds using skin collagen allografts)」,ブリテッシュ・ジャーナル・オブ・プラスティック・サージェリー(Brit.J.Plastic Surgery),1979年,第32巻,第2号,p.87−90
【非特許文献6】
ヤオ・エム,タカミ・ワイ,オゴウ・ケイ(Yao,M.,TakamiY. and Ogo,K.),「エフェクト・オブ・カルチャード・ダーマル・サブスチチュート・コンポーズド・オブ・コラーゲン・スポンジ・シーディッド・ウィズ・フィブロブラスツ・イン・サイモルテニオウス・スキン・グラフト・オーバーレイ(Effect of cultured dermal substitute composed of collagen sponge seeded with fibroblasts in simultaneous skin graft overlay.)」,ジャーナル・オブ・キョーリン・メディカル・ソサイエティー(J.Kyorin Med.Soc.),2001年,第32巻,第1号,p.59−69
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、信頼性の高い無細胞化真皮マトリックス、特に同時自家植皮に最適な同種無細胞化真皮マトリックスを提供することを目的とし、当該無細胞化真皮マトリックスの更なる利用方法を提供することをも意図する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分離した真皮をタンパク質分解酵素及び界面活性剤により同時に処理することで、真皮本来のコラーゲン構造を著しく変性することなく、また残存基底膜成分を減弱しつつ、真皮を短時間で且つ実質的に完全なまでに無細胞化できることを見出した。従って、本発明の第1は、
(1)タンパク質分解酵素及び界面活性剤により同時に処理することを特徴とする分離皮膚の無細胞化方法である。
【0012】
好ましいタンパク質分解酵素としてはトリプシンが用いられ、また界面活性剤としてはポリオキシエチレン −オクチルフェニルエーテル系界面活性剤を用いることができる。従って、本発明の第2及び第3は、
(2)前記タンパク質分解酵素がトリプシンである上記(1)の方法であり、
(3)前記界面活性剤がポリオキシエチレン −オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である上記(1)又は(2)の方法である。
【0013】
上記の無細胞化方法はそのまま無細胞化真皮マトリックスの製造に応用でき、それに従って得られる無細胞化真皮マトリックスおいては、実質的に完全な無細胞化が達成され、正常の3元的な真皮内コラーゲン構造も充分に保持されており、不必要な上皮化を促進する残存基底膜成分も減少していることが確認された。すなわち本発明の無細胞化方法を利用することにより、より信頼性の高い無細胞化真皮マトリックス、特に同時自家植皮可能な同種無細胞化真皮マトリックスを製造することが可能となる。従って、本発明の第4乃至11は、
(4)タンパク質分解酵素及び界面活性剤で同時処理して無細胞化されたことを特徴とする無細胞化真皮マトリックス、
(5)前記タンパク質分解酵素がトリプシンである上記(4)の無細胞化真皮マトリックス、
(6)前記界面活性剤がポリオキシエチレン −オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である上記(4)又は(5)の無細胞化真皮マトリックス、
(7)ヒト同種皮膚を原料とする上記(4)乃至(6)のいずれかの無細胞化真皮マトリックス、
(8)無細胞化真皮マトリックスの製造方法であって、該方法は、分離した皮膚をタンパク質分解酵素及び界面活性剤で同時処理して無細胞化する工程を含む、前記方法、
(9)前記タンパク質分解酵素がトリプシンである上記(8)の方法、
(10)前記界面活性剤がポリオキシエチレン −オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である上記(8)又は(9)の方法、及び
(11)ヒト同種皮膚を原料として用いる上記(8)乃至(10)のいずれかの方法である。
【0014】
上記の無細胞化真皮マトリックスは、それを基質として、表皮細胞と繊維芽細胞を培養した複合培養皮膚(或いはTissue Engineering Skin)の作製に好適に用いることができる。従って、本発明は、
(12)上記(4)乃至(7)のいずれかの無細胞化真皮マトリックスを基質とすることを特徴とする複合培養皮膚をも包含する。
【0015】
以上の各構成により、本発明は、信頼性の高い無細胞化真皮マトリックス、特に、同時自家植皮の生着率を向上させた同種無細胞化真皮マトリックス、更には、同時移植された自家網状植皮の瘢痕を軽減させる同種無細胞化真皮マトリックスの提供を可能とし、加えて、当該無細胞化真皮マトリックスを基質とした複合培養皮膚をも提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の無細胞化方法は、ヒトを含む同種哺乳動物から採取された皮膚を用いて、当該皮膚の表皮と真皮を分離し、得られた真皮を対象として実施される。ここで、本発明に用いられる同種哺乳動物から採取された皮膚とは、熱傷の治療等として植皮等の処置が必要な動物と同種の動物から採取された皮膚であり、同種の動物由来であれば自家であるか否かは問わない。手術後若しくは同種皮膚採取後に不要となった余剰皮膚、或いは死体より得られる皮膚等も利用可能であり、またスキンバンク等に凍結保存されている皮膚も用いることができる。当該皮膚は、平均0.38mm厚(平均約0.015インチ厚)程度の分層皮膚として使用するのが好適である。
【0017】
採取された皮膚の表皮と真皮への分離は、当該目的のために当業者に公知のいかなる方法によっても行なうことができるが、好ましくは、例えば、手術時或いは同種皮膚採取後に不要となった余剰皮膚(分層皮膚:平均0.015インチ厚)を、0.25重量%トリプシンと1mM EDTAを含む混合溶液中に浸し、37℃、3時間インキュベートすることで行い得る。この処理により、表皮と真皮は容易に分離にされる。
【0018】
得られた真皮は、次いで、本発明の方法により無細胞化される。すなわち、当該真皮は、本発明のタンパク質分解酵素及び界面活性剤の有効濃度を含有する混合溶液にて処理される。
【0019】
タンパク質分解酵素としては、真皮の無細胞化分野において当業者に知られたいかなるものを用いても差し支えなく、また2種以上のタンパク質分解酵素を混合して用いることもできるが、その例示としてトリプシンやディスパーゼ等をあげることができ、特にトリプシンにおいて良好な無細胞化を達成できる。また、界面活性剤も、上記分野において当業者に知られたいかなるものを用いても差し支えなく、場合により2種以上の界面活性剤の混合物として用いることもできるが、好ましくは、膜可溶化能に優れ、タンパク質の変性/失活能が最小のものから選択される。好適な界面活性剤としてはTriton X−100(商品名)に代表されるポリオキシエチレン −オクチルフェニルエーテル系界面活性剤を用いる。
【0020】
上記の真皮を処理するための混合溶液とは、少なくとも本発明の活性なタンパク質分解酵素と界面活性剤とを含む溶液であり、任意に、他の付加的成分、例えばEDTAや緩衝塩類、ビタミン、保存料、抗生物質等を含み得る。当該混合用液中の本発明のタンパク質分解酵素の濃度は、0.01〜2.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%、特に好ましくは0.1〜0.25重量%であり得、本発明の界面活性剤の濃度は、0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%、特に好ましくは0.2〜0.3重量%である。
【0021】
混合溶液による真皮の処理とは、当該混合溶液に真皮を浸漬することを含み、好ましくは当該混合溶液への浸漬及び当該混合溶液中での震盪を含む。浸漬・震盪の温度は、本発明のタンパク質分解酵素及び処理される真皮の実質的な変性・失活が発生しない温度であればよく、一般的には20〜37℃で行なわれるがこれに限定されない。更に、タンパク質分解酵素及び処理される真皮の実質的な変性・失活が発生しない条件下であれば、無細胞化をいっそう促進するために、付加的に超音波処理を行なっても差し支えない。処理時間は、3〜4時間程度で充分であるが、無細胞化の状況を勘案して、より短くすることもでき、また若干長め(例えば、5時間程度)に設定してもよい。
【0022】
好適な無細胞化方法の具体例においては、表皮との分離により得られた真皮部分を0.125重量%のトリプシン、1mM EDTA及び0.25重量%のTriton X−100を含む混合溶液に浸し、37℃、3ないし4時間震盪する。この処理により実質的に真皮内の全ての細胞成分(皮膚付属器の細胞、血管系の細胞、線維芽細胞、神経系の細胞、その他)が除去され、真皮はコラーゲン主体の真皮マトリックスのみとなる。
【0023】
かくして無細胞化された真皮(マトリクッス)は、好ましくはリン酸緩衝液等の生体適合性溶液で十分に洗浄される。洗浄された真皮マトリックスは、そのままで本発明の無細胞化真皮マトリックスとして利用することもでき、また、これを冷蔵保存して使用することもできる。
【0024】
また、より好ましくは、上記により得られた無細胞化真皮マトリックスに関し、当該真皮マトリックスの一部を細菌・真菌培養し、細菌・真菌の発育の無い事を確認する。更に好ましくは、ヘマトキシリン・エオジン染色による病理学的検査により、実質的に真皮コラーゲン構造に異常が無い事と実質的に完全に無細胞であることを確認する。
【0025】
上記の無細胞化方法/無細胞化真皮マトリックス製造方法は、従来法に比べ、正常の真皮マトリックス構造を保持しながら、短時間にかつ確実に無細胞化できる、優れた方法である。
【0026】
上記により製造した無細胞化真皮マトリックスは、実質的に無細胞であり、かつ正常の3次元的な真皮内コラーゲン構造を保持している。また、真皮内コラーゲン構造の損傷は極めて少ない一方で、表皮・真皮境界部の基底膜相当部はPAS染色で濃染せず、基底膜の構成成分であるラミニンやIV型コラーゲンの発現は減弱している。
【0027】
すなわち、当該無細胞化真皮マトリックスは、ヒト同種無細胞化真皮マトリックスとしても臨床使用可能な代用真皮を提供する。臨床応用では、例えば、薄い自家植皮と同時に真皮成分を付加せしめる、前述の同時植皮が標準的な使用方法としてあげられるが、異種のコラーゲンインプラントに代わる陥没瘢痕修正用の皮下組織増量材、硬膜欠損修復のための人工硬膜の代用、腹壁補強用の人工的メッシュ材の代用、更には異種コラーゲンマトリックスに代わる移植可能な複合培養皮膚(Tissue engineering skin)の基質としても使用し得る。
【0028】
特に、複合培養皮膚に関しては、真皮様マトリックスを基質として、表皮細胞と線維芽細胞を培養した複合培養皮膚(あるいはTissue engineering skin)の開発がすすめられているが、これまでに発表されたものは、マトリックスとして牛または豚由来のコラーゲンゲルまたはコラーゲンスポンジを用いるものが主であった。これらのマトリックスは生理的な真皮コラーゲン構造を有していないため、臨床上その生着性や安定性に乏しいことが知られている。これに対し、本発明のヒト同種無細胞化真皮マトリックスは、ヒト正常皮膚由来の表皮細胞と線維芽細胞の良好な基質となり得、更に、数日間の培養で表皮部分の重層化が得られる。このようにして作成した複合培養皮膚は、ヒト正常皮膚に極めて類似した真皮マトリックス構造を呈することも確認された。
【0029】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明が当該実施例にのみ限定されるものではないことは言うまでもない。
【0030】
【実施例】
実施例1 無細胞化真皮マトリックスの作成
処理1:表皮と真皮の分離
手術時あるいは同種皮膚採取後に不要となった余剰皮膚(分層皮膚:平均約0.38mm厚:0.015インチ厚)を、0.25重量%トリプシンと1mM EDTAを含む混合溶液中に浸し、37℃、3時間インキュベートした。この処理により、表皮と真皮は容易に分離にされた。
【0031】
処理2:真皮内の細胞成分の除去
処理1で得られた真皮部分を0.125重量%トリプシン、1mM EDTA及び0.25重量%Triton X−100(商品名)を含む混合溶液に浸し、37℃、3乃至4時間震盪した。この処理により真皮内の全ての細胞成分(皮膚付属器の細胞、血管系の細胞、線維芽細胞、神経系の細胞、その他)が除去され、真皮はコラーゲン主体の真皮マトリックスのみとなった。
【0032】
処理3:無細胞化真皮マトリックスの洗浄、検査、及び保存
処理2で得られた無細胞化した真皮マトリックスをリン酸緩衝液で十分に洗浄した後冷蔵保存した。同時に、真皮マトリックスの一部を細菌・真菌培養し、細菌・真菌の発育の無い事を確認した。さらに、ヘマトキシリン・エオジン染色による病理学的検査により、真皮コラーゲン構造に異常が無い事と完全に無細胞であることを確認した。
【0033】
実施例2 無細胞化真皮マトリックスの組織学的性状
上記により調製した無細胞化真皮マトリックスは、完全に無細胞であり、かつ正常の3次元的な真皮内コラーゲン構造を保持していた(図1−a,b)。電子顕微鏡での観察でも、真皮内コラーゲン構造の損傷は極めて少なかった(図2)。一方表皮・真皮境界部の基底膜相当部はPAS染色で濃染せず(図3)、基底膜の構成成分であるラミニンやIV型コラーゲンの発現は減弱していた(図4、5、6)。
【0034】
実施例3 本発明の無細胞化真皮マトリックスと従来法による無細胞化真皮マトリックスの比較検討
本発明の無細胞化真皮マトリックスの製造方法の特徴と利点を検討するために、従来報告されている無細胞化の方法と比較検討した。これまでに報告されてきた従来法としては以下のような方法が報告されている。
【0035】
方法1:蛋白分解酵素であるディスパーゼ(Dispase)とデタージェントであるTriton X−100を、順次、用いる方法、すなわち、分層皮膚を表皮と真皮に分離する際においてはディスパーゼ処理を行い、引き続く分離した真皮の無細胞化処理においてはTriton X−100によってのみ処理を行う方法(非特許文献2)。
【0036】
方法2:1モル塩化ナトリウム溶液とSDS溶液とで処理する方法(非特許文献3)。
【0037】
方法3:凍結・融解を反復する方法(非特許文献4)。
【0038】
方法4:単純にトリプシンで処理する方法(非特許文献5)。
【0039】
これらの方法を用いて分離した皮膚の処理を行い、本発明の処理方法(以下、「方法5」と記す)との比較検討を行った。
【0040】
3−1:無細胞化の程度
無細胞化の程度あるいは容易さについて検討した。その結果、方法1、2、4、5では共に細胞の除去が完全になされた。しかし方法3ではしばしば少数の細胞成分の残存が認められた。
【0041】
3−2:処理時間
皮膚の無細胞化に要する処理時間の短縮は、真皮コラーゲン構造の変性を可及的に少なくすることに通ずる。種々の処理方法での無細胞化までの処理時間は、方法1:約13時間、方法2:約13時間、方法3:48時間以上、方法4:7日間以上であったが、本発明の方法5では全工程を約8時間で処理し得た。このことから本発明の処理方法は、最も短時間で皮膚を無細胞化する、優れた方法であると考えられた。
【0042】
3−3:基底膜構成成分の残存程度
真皮・表皮境界部の基底膜構成成分の残存程度について、IV型コラーゲンの残存程度を指標にした免疫組織化学により検討した。その結果、方法1、2、3ではIV型コラーゲンの発現が強く認められたが、方法4および本発明の方法5ではIV型コラーゲンの発現は減弱し、基底膜構造の残存に乏しいことが認められた(図5、6)。
【0043】
3−4:同時に移植された植皮の生着度
本発明の処理方法で作製した無細胞化真皮マトリックスと植皮の同時移植をラットのモデルで行い、Takamiらの方法(非特許文献2)を用いて植皮の生着率を検討した(n=20)。雄のSDラットの背部に2箇所の皮膚全層欠損創(2x2cm角)を作成し、その一方にSDラットの分層皮膚(isograft)を移植し(分層植皮)、もう一方にはまず無細胞化真皮マトリックスを移植して、同時にSDラットの分層皮膚(isograft)を重層移植した(図7−a,b)。その結果、分層植皮単独部の植皮生着率は92.0%であり、一方無細胞化真皮マトリックス上に同時移植された植皮の生着率は平均86.8%であった(図8−a,b)。この両生着率に統計学的有意差は認められなかった。
【0044】
既述の種々の方法で作製した真皮マトリックスを用いた場合の同時植皮の生着率は、方法1:64.3%、方法3:73.8%、方法4:65.7%であった。方法2については文献上のデータとして73.2%であった(非特許文献3)。すなわち従来の方法で処理された無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植の生着率はいずれも本発明の処理方法で作製した無細胞化真皮マトリックスを用いた場合よりも劣っていた。この理由としては、既述の如く、本発明の方法では他の従来法に比べ処理時間が短いことにより真皮コラーゲン構造の変性が少ないこと、および表層に基底膜成分が少ないことにより境界部での上皮化などの悪影響が少ないことが考えられた。
【0045】
以上の検討から、従来の処理方法に比べ、本発明の方法は、処理時間が短く、簡便、容易かつ確実に無細胞化できる方法であり、自家植皮の同時移植にとって最適な真皮マトリックス作製法であると結論された。
【0046】
実施例4 本発明の無細胞化真皮マトリックスの特性
4‐1:細菌学的安全性および細胞毒性
本発明の方法により得られたヒト同種無細胞化真皮マトリックスは、細菌学的に細菌・真菌の発育を認めなかった。また培養細胞培養ヒト表皮細胞、線維芽細胞および血管内皮細胞など皮膚関連の培養細胞を無細胞化真皮マトリックスとインキュベートした結果、いずれの細胞に対しても細胞毒性は認められなかった。
【0047】
4‐2:動物実験による移植特性
4−2−1)皮膚全層欠損創における無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植:その生着率と移植後の経過
8週令、雄のSDラット(n=8)の背部に2x2cmの皮膚全層欠損創を2ヶ所作成し、この創部の片方に2x2cmの、本発明のヒト無細胞化真皮マトリックスを移植し、その上に0.25mm厚で同じ大きさのSDラットの分層植皮を上乗せ移植した。もう一方の創部には対照としてSDラットの分層植皮のみ行った(図7−a,b)。移植1週間後の分層植皮の生着率をTakamiらの方法(非特許文献2)を用いて検討した。その結果、本発明の無細胞化真皮マトリックス上に同時移植した場合の生着率は86.8±10.3%(平均値±標準偏差、以下、同じ)であり、分層植皮単独での生着率(91.9±4.7%)と統計的な有意差を認めなかった(図8−a,b)。移植後4週までは移植部の創収縮が徐々に認められるものの、その後の創部は安定し、移植後8週後では成熟した植皮像を呈した(図9)。
【0048】
4−2−2)皮膚全層欠損創における無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植(その組織像)
上記4−2−1で作成した移植部分を経時的に生検し、組織学的検討を行った。移植後1週目の段階で、移植無細胞化真皮マトリックス内への下床からの炎症細胞浸潤と血管新生が認められた。真皮コラーゲンマトリックス構造はよく保たれていた。また上層のラット分層皮膚も変性はなく、組織学的にも生着していることが認められた(図10−a,b)。移植2週後には無細胞化真皮マトリックス内の血管新生がさらに増加し、十分に生着していることが示された。また移植無細胞化真皮マトリックスとその上層のラット分層皮膚との境界も不明瞭となり、両者が一体となった新しい真皮様構造が形成されつつあることが認められた(図11−a,b)。移植後4週ではこの傾向がさらに強まり、炎症細胞浸潤も沈静化した(図12−a,b)。移植8週目では、新真皮様構造が完成し、正常真皮構造に類似した像を示した(図13−a,b)。この観察期間を通じて、移植片に対する免疫学的拒絶反応は認められなかった。また対照とした分層皮膚単独移植と比較して、移植無細胞真皮マトリック上に移植したラット分層皮膚の生着過程に顕著な差異は認められなかった。
【0049】
4−2−3)皮膚全層欠損創における無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植:その新真皮様構造の保持効果
上記4−2−2で作成した組織標本を用いて、移植後の創面における真皮様構造部分の厚さを測定した。その結果、移植後4週目では、分層皮膚単独移植で0.72±0.03mm(平均値±標準偏差、以下、同じ)、本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層皮膚の同時移植で0.90±0.10mmであり、移植後8週目では分層皮膚単独移植で0.65±0.07mm、無細胞化真皮マトリックスと分層皮膚の同時移植で0.78±0.03mmであった。両時期とも統計的有意に、無細胞化真皮マトリックスと分層皮膚の同時移植の方が厚い真皮様構造を形成していた(各時期n=3)。これらのことから本発明の無細胞化真皮マトリックス移植は、新真皮様構造を長期間保持する効果があることが認められた。
【0050】
4‐2−4)皮膚全層欠損創における無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植(その創収縮抑制効果)
4−2−1で作成した移植創部の、移植時と移植後4週目の創面積を計測し、その創収縮を検討した(n=5)。創収縮は以下の式により、移植後4週目で残存した創(移植片)の大きさの程度で示した。残存率=(移植後4週目の創面積÷移植時の創面積)×100。残存率は分層皮膚単独移植で34.1±6.0%(平均値±標準偏差、以下、同じ)、無細胞真皮マトリックと分層皮膚の同時移植で58.5±8.5%であり、創収縮は無細胞化真皮マトリックス移植群において有意に抑制されることが認められた。
【0051】
実施例5 臨床応用
5−1:無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植
杏林大学倫理委員会のガイドラインに従って、承諾の得られた3例の重症熱傷例の創部の一部に本発明の無細胞化真皮マトリックスを移植し、同時に自家網状分層植皮でカバーした(表1)。
【0052】
【表1】
Figure 0003658385
【0053】
移植された無細胞化真皮マトリックスと自家植皮は全て良好に生着し、真皮の鋳型として機能することが示された。また網状植皮の瘢痕を、より軽減する傾向がみられた(図14、15、16、17、18)。また術後2週目の生検組織像では、移植された分層植皮、無細胞化真皮マトリックス共に、血管新生が認められ、完全に生着していることが示された(図19)。
【0054】
5−2:無細胞化真皮マトリックスの皮下移植
本発明の無細胞化真皮マトリックスを皮下に移植した場合の移植特性を検討するために、2x2cm角の無細胞化真皮マトリックスをSDラットの背部皮下に移植し、移植後4週、8週および20週の組織所見を検討した(各時期n=3)。その結果、観察期間を通して肉眼的に局所の炎症所見は認めず、移植された無細胞化真皮マトリックスは移植部に残存していた。組織学的にも無細胞化真皮マトリックス内への血管新生とコラーゲンマトリックス構造の残存が認められた(図20)。以上のことから、無細胞化真皮マトリックスの皮下移植は皮下の結合組織欠損に対する移植材となりうると考えられた。
【0055】
5−3:無細胞化真皮マトリックスを基質とした複合培養皮膚の作成
真皮様マトリックスを基質として、表皮細胞と線維芽細胞を培養した複合培養皮膚(あるいはTissue engineering skin)の開発がすすめられているが、これまでに発表されたものは、マトリックスとして牛または豚由来のコラーゲンゲルまたはコラーゲンスポンジを用いるものが主であった。これらのマトリックスは生理的な真皮コラーゲン構造を有していないため、臨床上その生着性や安定性に乏しいことが知られている。異種コラーゲンマトリックスに代わるより優れたマトリックスとして、本発明の無細胞化真皮マトリックスが有効かどうかを検討した。その結果、ヒト正常皮膚由来の表皮細胞と線維芽細胞は無細胞化真皮マトリックス上で良好に培養し得た。さらに数日間の培養で表皮部分の重層化が得られた。このようにして作成した複合培養皮膚は、表皮細胞層はいまだ薄いものの、ヒト正常皮膚に極めて類似した真皮マトリックス構造を呈した(図21)。
【0056】
【発明の効果】
本発明の無細胞化真皮マトリックスの製造法は従来法に比べ、正常の真皮マトリックス構造を保持しながら、短時間にかつ確実に無細胞化できる、優れた方法である。本発明の方法によって作成したヒト同種無細胞化真皮マトリックスは、臨床使用可能な代用真皮となし得る。臨床応用としては、薄い自家植皮と同時に真皮成分を付加せしめる、前述の同時植皮が標準的な使用方法としてあげられるが、さらに異種のコラーゲンインプラントに代わる陥没瘢痕修正用の皮下組織増量材、硬膜欠損修復のための人工硬膜の代用、腹壁補強用の人工的メッシュ材の代用、さらには異種コラーゲンマトリックスに代わる移植可能な複合培養皮膚(Tissue engineering skin)の基質としてなどに使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無細胞化真皮マトリックスの組織像(HE染色、倍率100倍)を示す図面代用写真。a:処理前、b:本発明の無細胞化処理後を示す。
【図2】 本発明の無細胞化真皮マトリックスの電子顕微鏡像(倍率6000倍)を示す図面代用写真。
【図3】 本発明の無細胞化真皮マトリックスの組織像(PAS染色、倍率100倍)を示す図面代用写真。
【図4】本発明の無細胞化真皮マトリックスの組織像(抗ラミニン免疫組織化学、倍率100倍)を示す図面代用写真。
【図5】 本発明の無細胞化真皮マトリックスの組織像(抗IV型コラーゲン免疫組織化学、倍率100倍)を示す図面代用写真。
【図6】 凍結融解法(方法3)で作製した無細胞化真皮マトリックスの組織像(抗IV型コラーゲン免疫組織化学、倍率100倍)を示す図面代用写真。
【図7】 無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植(ラットのモデル)の模式図。a:ラット背部の皮膚全層欠損創への移植方法模式図、b:移植方法の断面模式図。
【図8】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。a:移植直後の所見、b:移植後1週の所見。
【図9】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。移植後8週の所見。
【図10】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。移植後1週の所見(HE染色、倍率40倍)。a:分層植皮のみ、b:本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の重層移植。
【図11】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。移植後2週の所見(HE染色、倍率100倍)。a:分層植皮のみ、b:本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の重層移植。
【図12】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。移植後4週の所見(HE染色、倍率100倍)。a:分層植皮のみ、b:本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の重層移植。
【図13】 本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の同時移植像(ラットのモデル)を示す図面代用写真。移植後8週の所見(HE染色、倍率100倍)。a:分層植皮のみ、b:本発明の無細胞化真皮マトリックスと分層植皮の重層移植。
【図14】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、38歳女性、大腿部の熱傷創。移植直前の所見。
【図15】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、38歳女性、大腿部の熱傷創。移植直後の所見。
【図16】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、38歳女性、大腿部の熱傷創。移植後7日の所見。
【図17】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、38歳女性、大腿部の熱傷創。移植後14日の所見。
【図18】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、38歳女性、大腿部の熱傷創。移植後21日の所見。
【図19】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスと網状分層自家植皮の同時移植像を示す図面代用写真。臨床応用例、移植後14日の組織学的所見(HE染色、倍率100倍)。
【図20】 皮下移植された本発明の無細胞化真皮マトリックス(ラットのモデル)の移植後20週目の組織学的所見(HE染色、倍率200倍)を示す図面代用写真。
【図21】 本発明の同種無細胞化真皮マトリックスを基質とした複合培養皮膚の14日目の組織学的所見を示す図面代用写真。HE染色像、倍率100倍及び200倍(拡大図)。

Claims (11)

  1. 採取した皮膚を表皮と真皮とに分離し、得られた真皮をタンパク質分解酵素及び界面活性剤により同時に処理することを特徴とする、細胞成分とともに基底膜および基底膜成分を除去する分離真皮の無細胞化方法。
  2. 前記タンパク質分解酵素がトリプシンである請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤がポリオキシエチレン p−t−オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 採取した皮膚を表皮と真皮とに分離し、得られた真皮をタンパク質分解酵素及び界面活性剤で同時処理して無細胞化されたことを特徴とする基底膜および基底膜成分が実質的に存在しない無細胞化真皮マトリックス。
  5. 前記タンパク質分解酵素がトリプシンである請求項4に記載の無細胞化真皮マトリックス。
  6. 前記界面活性剤がポリオキシエチレン p−t−オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である請求項4又は5に記載の無細胞化真皮マトリックス。
  7. ヒト同種皮膚を原料とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の無細胞化真皮マトリックス。
  8. 基底膜および基底膜成分が実質的に存在しない無細胞化真皮マトリックスの製造方法であって、該方法は、皮膚から分離した真皮をタンパク質分解酵素及び界面活性剤で同時処理して無細胞化する工程を含む、前記方法。
  9. 前記タンパク質分解酵素がトリプシンである請求項8に記載の方法。
  10. 前記界面活性剤がポリオキシエチレン p−t−オクチルフェニルエーテル系界面活性剤である請求項8又は9に記載の方法。
  11. ヒト同種皮膚を原料として用いる請求項8乃至10のいずれか一項に記載の方法。
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