JP3658361B2 - 撮像装置および撮像方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はビデオカメラ等の撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラを初めとする映像機器の進歩は目覚ましく、各種機能の自動化、操作性の改善がはかられ、たとえばズームレンズの装備、自動焦点制御、自動露出制御等の自動化は必須となっており、たとえば自動露出制御について見れば、撮影画像の品位を決定する需要な要素であり、あらゆる撮影環境においても、常に安定で良好な自動露出制御が可能でなければならず、自動露出制御機能の重要性はきわめて高い。
【0003】
図23は一般的なビデオカメラの露出制御系の基本構成を示すブロツク図で、101は撮影レンズ光学系、102は入射光量を調節するアイリス、103は撮影レンズ光学系によりその撮像面に結像され且つアイリスによって光量を調節された画像を光電変換して撮像信号に変換するCCD等の撮像素子、104は撮像素子より出力された撮像信号に所定の信号処理を施して規格化された映像信号に変換するカメラ信号処理回路、105は映像信号出力端子、106はアイリス102を駆動して開口量を可変するモータ、107はモータ106を駆動制御する絞り駆動回路、108は撮像素子103の蓄積、読み出し、リセツトタイミングを制御するとともに、蓄積時間(露光時間)を可変制御して所望のシヤツタスピードを設定するCCD駆動回路、109はカメラ信号処理回路より出力された輝度信号のレベルに基づいて、露光状態を評価し、絞り駆動回路107、CCD駆動回路108を制御して露光を最適に制御する自動露出制御回路(AE回路)、110はキー操作の入力を受け付けるスイツチパネルである。
【0004】
AE回路109による露光制御について説明すると、カメラ信号処理回路104より出力された輝度信号を積分してそのレベルが所定の範囲内に入るように絞り駆動回路107を制御し、アイリスモータへと出力する駆動電流を制御してアイリスの開口量を可変するアイリス制御用の閉ループが構成されるとともに、スイツチパネル110のキー操作に応じて、CCD駆動回路108を制御してその駆動パルスを切り換え、撮像素子103の蓄積時間を可変することにより露光時間すなわちシヤツタスピードを制御し、適正露光状態を得るような制御系を備えている。
【0005】
またこの蓄積時間制御はいわゆる電子シヤツタと称されるものであり、たとえばNTSCの場合通常の毎画面1/60秒の露光時間の他に、1/100から1/10000秒程度のものまで複数段階の光蓄積時間の選択が可能である。
【0006】
このように構成されたシステムにおいて、高速電子シヤツタを使用すると、任意に選択した各々の設定露光時間すなわちシヤツタスピードごとに、これを基準として撮像光学系の絞り機構(アイリス)を制御する自動露光制御モードが存在することになるため、いわゆるシヤツタ優先モードとなる。図24はシヤツタ優先モードを示し、横軸のシヤツタスピードを選択し、そのシヤツタスピードを固定して縦軸の絞り値を可変するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したビデオカメラ装置のように、撮像信号の輝度レベルによるアイリス制御、シヤツタ優先モードでは、様々な撮影環境、撮影状況において常に適切な露出制御を実現することはできず、適切な露出制御ができない場合がしばしば生じていた。
【0008】
特に銀塩カメラのように一瞬の静止画撮影を行なうカメラにおいては、撮影の瞬間の露出制御が適切に行なわれればよいが、ビデオカメラのように、動画を長時間にわたつて撮影するような場合においては、撮影中にも刻々と変化する撮影状況、撮影環境に対して自然に追従し、常に安定で且つ最適な露出制御が行なわれなければならず、これらの条件を満たすビデオカメラの露出制御装置の実現が強く望まれている。
【0009】
本発明の目的は、これらの条件をすべて満たし、撮影環境、撮影状況によらず常に最適露出制御の可能な自動露出制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的を達成するために、撮像画面に像される入射光を光電変換する撮像素子と、撮像画面を複数の領域に分割して各領域の輝度レベルに応じて被写体の輝度レベルを検出する検出手段と、複数の撮影モードから一つを選択する選択手段と、検出された輝度レベルと選択された撮影モードとに応じて、複数の露出制御パラメータの中から制御する露出制御パラメータを決定し、決定された露出制御パラメータを検出された輝度レベルに応じて制御する露出制御手段と、音声信号を入力し、かつ当該入力の際の指向性を狭めたり広げたりすることが可能なステレオマイクシステムを含む音声信号処理回路とを有し、前記選択手段により一つの撮影モードを選択した後この選択した撮影モードにおいて前記輝度レベルに基づいて記露出制御パラメータを前記露出制御手段により制御するとともに、当該選択された撮影モードに基づいて前記ステレオマイクシステムによる音声の指向性を前記音声信号処理回路により狭めたり広げたりすることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明における撮像装置を各図を参照しながら、その実施例について説明する。
【0014】
図1は本発明の撮像装置をビデオカメラに適用した一実施例の構成を示すブロツク図で、同図において、1は撮影レンズ光学系、2は入射光量を調節するアイリス、3は撮影レンズ光学系によりその撮像面に結像され且つアイリスによって光量を調節された画像を光電変換して撮像信号に変換するCCD等の撮像素子、4は撮像素子の蓄積電荷のノイズを低減する2重相関サンプリング回路(CDS)、5は撮像信号のゲインを自動調節するAGC回路、6はAGC回路5より出力された撮像信号に所定の信号処理を施して規格化された映像信号に変換するカメラ信号処理回路、7はカメラ信号処理回路より出力された映像信号を、ビデオテープレコーダ等に記録するのに適した信号に変換する画像信号処理回路、8は磁気テープを記録媒体として用いるビデオテープレコーダである。
【0015】
一方、9は撮像画面上を複数画面に分割し、任意の領域に相当する画像信号を抽出すべくAGC回路5より出力された信号にゲートをかけるゲート回路、10はゲート回路9によって選択された撮像画面内の指定領域内に相当する撮像信号を積分してその平均光量を求める積分器、11は積分器より出力された信号を後述するシステムコントロール回路によって処理可能なデジタル信号に変換するA/D変換器である。このゲート回路9による領域指定動作と積分器10の積分動作は撮影モードに応じた測光領域の指定および重み付け設定に関するものであり、その選択特性については、後述のシステムコントロール回路13より出力されるゲートパルスと、積分リセツトパルスの制御によって任意に設定することができる。その詳しい処理については後述する。
【0016】
12は撮像素子3の蓄積動作、読み出し動作、リセツト動作等を制御するCCD駆動回路、13はアイリス2を駆動するアイリスモータ、14はアイリスモータを駆動するアイリス駆動回路、15は後述のシステムコントロール回路より出力されたデジタルのアイリス制御信号をアナログ信号に変換するD/A変換器、16はアイリスの開口量すなわち絞り値を検出するホール素子等で構成されたアイリスエンコーダ、17はアイリスエンコーダ16の出力を増幅するアンプ、18はアンプ17によって所定レベルに増幅されたアイリスエンコーダの出力を後述のシステムコントロール回路によって処理可能なデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0017】
19a,19b,19c,・・・は露出制御用の各種データを記憶したデータ参照テーブル(LUT:Look up table )で、撮影状況に応じて複数の設定が行なわれるよう、本実施例では3つのテーブルを図示しているが、用意されている撮影モードそれぞれについて備えられており、後述するフルオート撮影モードでは2つのデータテーブルを選択的に使用するように構成されている。ちなみに、本実施例では、後述するように、『室内撮影モード』、『スポーツ撮影モード』、『風景撮影モード』、『ポートレートモード』、『夜景モード』について説明されている。
【0018】
具体的には、複数の撮影モードそれぞれに応じた、アイリス,シヤツタスピード,ゲイン等の露出制御用のパラメータの制御特性の情報が格納されており、設定された撮影モードに応じて必要なデータが読み出されるようになっている。
【0019】
20は各種操作を行なうための複数の操作キーからなる操作部、21はシステムコントロール回路より出力されたデジタルのゲイン制御信号をアナログ制御信号に変換してAGC回路へと供給するD/A変換器、22,23はそれぞれ撮影状況に応じてカメラ信号処理、画像信号処理における各種特性を変化または修正すべくシステムコントロール回路より出力されたデジタルの制御信号をアナログ制御信号に変換して、カメラ信号処理回路6、画像処理回路7へと供給するD/A変換器である。
【0020】
25は本実施例におけるビデオカメラシステム全体を総合的に制御する、マイクロコンピユータによって構成されたシステムコントロール回路である。
【0021】
システムコントロール回路25は、操作部20によって操作された撮影モードに応じてカメラ信号処理回路6、画像信号処理回路7の特性を制御する制御信号をD/A変換器22,23を介して出力するとともに、撮影モードに応じて、ゲート回路9に供給するゲートパルスを制御し、撮像画面上における光量検出を行なう測光領域の設定を行なう。また積分器10に供給する積分リセツトパルスを制御して積分動作の選択特性を制御する。
【0022】
たとえば、図2は撮像画面に測光領域を設定した一例を示すものであり、同図は、撮像画面内の中央部分に測光領域を設定し、この領域内の信号を重点的に露出制御演算に用いる『中央部分重点測光』の領域設定状態を示すものである。
【0023】
これは主要被写体が画面のほぼ中央に位置する確立が高いという経験則に基づいたもので、露出演算の際、実線で示した中央領域の内側の信号に外側の信号よりも大きな演算係数を割り振って中央部の重み付けを大きくした露出制御を行なうようにするものである。
【0024】
そしてゲート回路9を介して取り込まれた測光領域内における撮像信号の撮影モードに応じた積分値を取り込み、LUT19a,19b,19c・・・のデータを参照しながらその撮影状況に応じたアイリス制御信号を演算し、D/A変換器15を介してアイリス駆動回路14へと供給するとともに、AGC回路5へとD/A変換器21を介してゲイン制御信号を供給し、撮影モード、撮影状況に応じてAGC回路5のゲインを可変する制御を行ない、さらにCCD駆動回路12へも制御信号を供給し、撮影モード、撮影状況に応じて、撮像素子の蓄積時間(電子シヤツタ)、読み出しタイミング、リセツトタイミング等の制御を行なう。
【0025】
またこれらの各種制御は、撮影モードによってアイリスエンコーダ16の出力を参照しながら行なわれ、各種の制御パラメータを算出、設定され、上述の各制御を選択的に、または同時に、または適宜組み合わせて実行される。
【0026】
このようにシステムコントロール回路25は、上述したような、積分値によるアイリス制御、ゲイン制御、撮像素子の駆動制御(たとえば蓄積時間制御による電子シヤツタ)等を撮影モード撮影状況、アイリスの駆動状態に基づいて同時にあるいは適宜組み合わせて動作させることにより、あらゆる撮影状況に対して最適露出制御を行なうものである。
【0027】
本発明における撮像装置は以上のような構成となっており、以下その具体的な動作について順を追って説明する。
【0028】
まず本発明装置において露出制御に用いられる各種制御パラメータについて説明する。
【0029】
(1)アイリス開口量(パラメータP1)
システムコントロール回路より出力されたアイリス制御信号は、D/A変換器15によってアナログ信号に変換された後、アイリス駆動回路14へと供給されて電流増幅され、アイリスモータ13へと供給されてこれを駆動する。アイリスモータ13はこれによってアイリス2の絞り状態を制御する。
【0030】
A/D変換器11より供給される積分器10の積分値が、その撮影モードに対応するLUT19a,19b,19bc・・・にて規定されている制御値よりも大であれば、露出オーバーであるため、アイリス駆動回路14を制御してアイリスモータ13をアイリス2を絞り込む方向に駆動し、入射光量を減少させて結果的に積分器10の出力レベルを減少させる。
【0031】
逆にLUT19にて規定された制御値よりもA/D変換器11より供給される積分値が小さい場合は、上述とは逆にアイリスモータ13を反対方向に駆動し、アイリス2を開いて入射光量を増大させ結果的に積分値を増大させるように制御される。
【0032】
(2)シヤツタスピード(パラメータ2)
撮像素子の蓄積時間設定信号Dt がシステムコントロール回路25よりデジタル信号の形態で出力され、これを受けてCCD駆動回路12はCCDの各種タイミングを決定するパルスを発生し、蓄積時間を制御する。
【0033】
この蓄積時間の設定方法及び設定範囲は撮像素子であるCCDの構造により大きく異なるので、本実施例ではHブランキング期間にOFD(オーバーフロードレイン)に不要電荷を捨てる構造を持つCCDを例にして説明する。
【0034】
図3(a)はこのCCDの動作を説明するためのものであり、設定可能な範囲は、高速側はHブランキング内であれば撮像光量やスミヤ等の画質面で許される範囲で設定できる。実質的には1/10000秒程度である。低速側はNTSCの場合は1/60秒までHブランキング周期(約63.5μ秒)のステツプで設定可能である。
【0035】
そして具体的な時間制御の方法としてDt をシステムコントロール回路25が出力することにより、以下の演算によりシヤツタスピードTが決定される。
▲1▼.TNTSC≒(262.5−Dt )*63.5μsec▲2▼.TPAL ≒(312.5−Dt )*64.0μsec
このようにして指示を受けたCCD駆動回路12は、電子シヤツタ動作を実現するためにVsub (垂直サブストレート印加電圧)に更にΔVsub を加算して光電変換による電荷蓄積部分の電位分布を変化させ、不要電荷を基板方向に捨てる。このようにして任意のシヤツタスピードを設定することができる。図3(b)はこの動作を示すものである。
【0036】
そしてシステムコントロール回路25は、現在のシヤツタスピードがA/D変換器11からの積分値に対応してLUT19に規定されている制御値よりも速ければシヤツタスピードを遅くすべく前記Dt を現在の値より小さい値に変更し、逆にLUT19に規定されている制御値よりも遅ければシヤツタスピードを速くすべく前記のDt を現在の値よりも大きな値に変更する。
【0037】
(3)ゲイン(パラメータP3)
D/A変換器21からは映像信号の増幅率を決定するゲイン設定信号を出力し、AGC回路5へと供給する。
【0038】
AGCゲインの設定はAGCCアンプがCDS4の出力信号が次段のカメラ信号処理回路6にて適正な信号処理が施されるように設けられているもので、従来はアイリスによるAEループの構成要素の一部として取り扱われており、これだけを任意に制御する対象とされているものではなかつた。
【0039】
近年CCDのS/Nが向上し、AGCのゲインを大きくとつて増幅率を増大しても、撮像系のノイズが余り目立たなくなり、制御パラメータとしての設定可能範囲が拡大した。
【0040】
ゲインは撮像系の中では、制御レスポンスの速いパラメータであるので、素早反応が要求される場面でのAE制御に適したパラメータである。
【0041】
現在のAGCゲインがA/D変換器11からの積分値に対応してLUT19に規定されている制御値よりも大きければ、システムコントロール回路25は、AGCゲインを小さくすべくゲイン設定値を更新する。
【0042】
逆に現在のAGCゲインがA/D変換器25からの積分値に対応してLUT25にて規定されている制御値よりも小さければAGCのゲインを大きくすべくゲイン設定を更新する。
【0043】
本発明によれば、以上3つのパラメータを用い、撮影状況、撮影モードに応じて、撮像系の適正な露光状態を維持することを可能としたものであり、以下上述の各パラメータを用いた露出制御について説明するが、まず各露出制御モードに応じて変化する撮像画面上における測光領域の設定について説明する。
【0044】
ビデオカメラで撮影する被写体は、場所、環境、そのときの撮影状況に応じて様々に変化する。したがって、これらの撮影状況において常に最適な自動露出制御を行なうためには、撮像画面内における測光領域の設定位置及びその測光領域の重み付け制御も適宜変更してその状況に適した制御を行なう必要がある。
【0045】
そこで、設定した代表的な場面に応じた光線状況を考慮して、画面内の輝度分布を想定し、露光量決定に効果的な情報を提供してくれる画面内の領域にAE(自動露出制御)演算係数を大きく割り付け、重み付けを大きくするようにした測光領域を設定するような自動撮影モードが必要となる。
【0046】
本実施例によれば、図4に示すように、撮像画面を縦4分割、横6分割し、全画面を24の小領域に分割した例を示す(図において、説明の便宜上、各領域には1〜24の番号を付してある)。
【0047】
これらの分割動作は、システムコントロール回路25によって制御されるものであり、システムコントロール回路25より出力されるゲートパルスによってゲート回路9を開閉制御して、AGC回路5の出力信号を各領域1〜24ごとに抽出し、各領域ごとに積分器10で独立した値として積分処理され、その結果はA/D変換器11によってデジタル信号に変換された後システムコントロール回路25内に取り込まれる。
【0048】
システムコントロール回路25内では、これらの各領域における積分値に対して前記したその撮影モードに応じてあらかじめ設定されている重み付け係数を付与した処理を行なう。なおこれらの処理は24分割に対応した時分割処理で行なうことが可能である。
【0049】
図5は重み付け係数処理を行なった撮像画面の例をそれぞれ示すもので、前述の『中央部分重点測光』を本発明における24分割AE方式で実現したものであり、画面中央に相当する領域8〜11、14〜17における重み付け演算係数を1.0とし、その周囲の領域の重み付け演算係数を0.5と設定し、中央部に重点を置いたAE制御となる。具体的には、これらの重み付けされた各領域の積分値を加算した値に基づいてアイリス、シヤツタスピード、ゲインを制御すれば、これらの制御に上述の重み付けを反映させることができる。
【0050】
この他にも、撮影状況に応じた撮影モードを設定し、測光領域設定及び後述する撮影状況に応じた撮影プログラムを適宜選択できるようにしておけば、種々のAE特性の設定が可能である。
【0051】
次に前述の3つのパラメータを用いて撮影状況に応じた実際のAE制御について説明する。前述した通り、様々な撮影状況に適応した撮影を行なうためには、従来のアイリス制御だけでは対応しきれないため、本発明では更に多くのパラメ[タを用意し、これらを最適制御可能とした。
【0052】
すなわち本発明では、幾つかの代表的な撮影状況を想定してそれぞれをその状況に最適な条件にて自動調整しながら撮影が可能となるような『プログラム・モード』と称する撮影制御方式を発明した。そしてこれらのプログラム・モードは、操作部20のキー操作によって任意に選択設定可能である。
【0053】
ビデオ撮影の様々な場所、様々な状況下において、常に良好な撮影を行なうためには、撮影状況に応じて代表的な場面を設定し、場面において最適化をはかるためには複数の自動撮影(露出制御)モードを備える必要がある。
【0054】
この問題を解決するため、複数のパラメータ制御のための制御関数を格納したルツクアツプテーブル(LUT)を複数個設定し、図1に示すようにLUT19a,LUT19b,LUT19c・・・の複数のテーブルがROM等のメモリによって準備されており、システムコントロール回路25から選択的に読み取り可能に構成されており、この選択は、操作部20のキー操作によって行なわれる。
【0055】
このLUT19a,19b,19c・・・から読み取ったデータにより制御される各パラメータの制御特性の例を図6,図7に示す。
【0056】
図6は、パラメータ(2)のシヤツタスピードを可能なかぎり1/100秒に設定できるようにし、入力パラメータの輝度情報の変化に対しては、パラメータ(1)のアイリスあるいはパラメータ(3)のAGCゲインを可変することによって適正露出制御を行なうようにしたプログラム制御の動作を示すプログラム線図であり、これはたとえばLUT19a内に格納されている。
【0057】
このプログラムモードは、電源周波数が50Hzの地域でNTSC方式のビデオカメラを使用したときに発生する蛍光灯のフリツカを抑制するためのものであり、いわば『室内撮影モード』と称することができる。
【0058】
同図において横軸は入力パラメータとしての被写体照度、縦軸は各パラメータの設定値である。同図から明らかなように、各パラメータの設定範囲は、入力パラメータすなわち被写体照度に応じてA,B,C3つのエリアに分割されており、各エリアの中で3つのパラメータを組み合わせることにより、露出制御を行なうようになっている。
【0059】
すなわちエリアAを見ると、シヤツタスピード(P2)は1/100秒に固定され、且つゲイン(P3)も固定されており、アイリス(P1)を明るさに応じて制御することにより露出制御が行なわれる。このエリアAで大抵の被写体に適応することが可能である。
【0060】
一方エリアBでは照度が低くなり、アイリスが開放になってしまつた状況を示しており、アイリスは図に示すように開放値で一定となっている。したがってシヤツタスピードを1/60秒まで変化させることによって、露出制御が行なわれる。すなわちNTSC方式では本来1/60秒周期で蓄積、読み出しを行なっているため、1/60秒は本来の動作タイミングを示す。
【0061】
またさらに照度が低下すると、エリア3に示すように、アイリス,シヤツタが限界に達しているので、ゲイン(P3)を上げることにより、露出制御を行なっている。
【0062】
このように、被写体照度を示す入力パラメータの変化に応じて、制御パラメータP1〜P3を変化させることにより、その撮影状況に応じた最適露出制御を行なうことができるものである。
【0063】
また図7は、別のプログラムモードを示すもので、たとえばLUT19b内に格納されているプログラム線図で、シヤツタスピード(P2)をできるだけ1/500秒という高速シヤツタに設定し、動きの速い被写体に対してブレを抑え、画面を鮮明に撮影できるように用意されたプログラムモードであり、本発明においては『スポーツ撮影モード』と称することにする。
【0064】
同図から明らかなように、エリアA,エリアBにおいてシヤツタスピードを可能な限り1/500秒に維持し、被写体照度の変化に対してはアイリス(P1)とゲイン(P3)によって露出制御を行ない、被写体照度が低下してシヤツタスピードが維持できなくなつたエリアCで初めて1/60秒まで徐々に変化させるように動作する。
【0065】
また後述する図12は、『風景撮影モード』におけるプログラム線図である。実際のプログラム線図は、図6,図7に示したようなグラフとなるが、簡単のため、図12では、アイリス,シヤツタスピード,ゲインの順に上方より順次作動範囲を示すことにする。
【0066】
すなわち同図において、Iはアイリス制御パラメータ(P1)、Sはシヤツタスピード制御パラメータ(P2)、Gはゲイン制御パラメータ(P3)を示しており、図の右方に示すように、アイリス制御パラメータ(P1)はCLOSEとOPENの間を動作し、Sはシヤツタスピード制御パラメータ(P2)は一定、Gはゲイン制御パラメータ(P3)は、±0dBの増幅率1(入力信号をそのまま出力するのでTHROUGHとする)から所定値G1までの間を変化することを意味している。ただし、各パラメータとも可変領域内では、前述の図6,図7のプログラム線図と同様に、入力パラメータである輝度レベルに応じてその値を変化するものとする。
【0067】
風景撮影モードでは、フリツカ、動きの速い被写体等は存在しない場合が多いため、シヤツタスピード(P2)は標準の1/60秒に固定され、アイリス(P1)中心の制御となり、アイリスが開放となつた後、ゲイン(P3)の制御が行なわれる。
【0068】
すなわち同図に示すように、入力パラメータの被写体輝度の値に応じてパラメータの制御範囲がyを境に2つのエリアに分割されている。シヤツタスピード(P2)は、入力パラメータの被写体輝度の値に関係なく1/60秒に固定され、輝度がyまで低下するまではAGCゲイン(P3)は±0dBに固定され、アイリス(P1)のみの制御となる。輝度がy以下となってアイリスが開放となつた後は、AGCゲインを変化させて最適露光制御を行なうように制御される。
【0069】
このように、撮影状況に応じて複数のプログラム・モードを用意しておき、これを操作部20のキー操作で適宜選択することによって、あらゆる撮影状況に対しても最適な露出制御を行なうことができる。
【0070】
なお、操作部20で撮影プログラムモードを切り換える際、前述したように撮像画面における測光領域の設定も同時に連動して切り換える。たとえば図6の室内撮影モード、図7のスポーツ撮影モードでは通常人物等の画面中央に位置させる被写体を撮ることが多いため、図5に示す『中央部分重点測光』画面とする。また図12の風景撮影モードについても、その撮影モードに切り換える動作に連動して撮像画面における測光領域をそのモードに適した重み付け分布とすべく画面の輝度分布のヒストグラムを作成し、空や水面等の高輝度の影響を除くような露出制御がなされる。
【0071】
ところで、上述した各プログラム線図における各パラメータの制御には、以下に示す特徴がある。
【0072】
すなわち、図6,7から明らかなように、各制御パラメータを複数のエリア(本実施例ではA,B,Cの3エリア)に分割し、入力パラメータすなわち被写体照度の変化に応じて各エリアが選択されるようになされ、且つ各エリアごとに見ると、いずれもAE制御に用いる可変のパラメータが1つだけ指定され、他の2つは固定(FIX)されている。この様子はプログラム線図下方の表に示されている。
【0073】
すなわち図6は、エリアAではパラメータ(P1)が可変で他は固定、すなわちアイリス制御を行なっているときには、シヤツタスピード、ゲインは固定されている。
【0074】
またエリアBではパラメータ(P2)すなわちシヤツタスピードが可変で他は固定、またエリアCではパラメータ(P3)すなわちゲインが可変で他は固定となっている。
【0075】
この結果、3つの制御パラメータを可変して制御を行なうにもかかわらず、各エリア単位では、可変するパラメータが常に1つとなり、固定されたパラメータの演算処理が不要となるため、演算処理は従来の単一パラメータ処理によるものと変わらない。
【0076】
すなわち本発明は、あらゆる撮影状況に対応させるために制御パラメータを増やしたことによって当然生じる複雑な演算処理を、パラメータの設定領域を複数の領域に分割し、その各領域で可変するパラメータを1つとして他を固定することにより、複雑多岐にわたる撮影条件と複数の制御すべきパラメータの取り扱いが簡素化でき、大規模なロジツクや大型のコンピユータを用いることなく最適AE制御を実現することができるものである。
【0077】
なお、本発明は、上述の制御パラメータの切り換え動作において、もう1つの特徴を備えている。
【0078】
すなわち本発明は、可変するパラメータを常に1つにして他を固定することによって演算処理の削減をはかつているが、ビデオカメラ特有の性質として、通常撮影の対象が動画像であり刻々と撮影条件が変化していることが挙げられる。
【0079】
入力パラメータに対応して各制御パラメータを設定する場合、撮影条件の変化に伴い、分割した複数のエリア間を入力パラメータの値が移動することが生じてくる。このとき、被制御パラメータの切り換え動作が発生するが、パラメータによっては画面上の変化の仕方が大きく異なることがあり、この変化が頻繁に発生すると、画面が見ずらくなることが予想される。
【0080】
この対策として、エリア移行の際にヒステリシスを持たせ、エリア移行の頻度を低く抑えることが考えられるが、切り換えが発生した場合には効果がなく、根本的な対策には成り得ない。
【0081】
そこで、本発明では、この対策として図6,7示すように、隣接エリアの2つのパラメータを、エリアの境界付近辺の境界部分の領域B1、B2においてのみ同時に変化させるように制御している。
【0082】
図6おいて、破線で挟まれた境界部分B1がパラメータP1とP2とが同時に動作する境界領域であり、同様に境界部分B2ではパラメータP2とP3とが同時に動作されている。
【0083】
このようにして2つのパラメータを同時に変化させることによって、各パラメータ特有の画像変化が同時にかつ徐々に発生して行くので、エリア間におけるパラメータの移動が発生した場合でも画面の変化を視覚的に違和感のないものとすることができる。
【0084】
以上、露出を複数の撮影プログラム・モードによって制御する方法について説明したが、本発明によれば、上述の撮影モードの切り換えにともない、システムコントロール回路25の指令により、D/A変換器22,23を介して各種の画像処理や、カメラ信号処理の各種特性を標準位置から、それぞれの撮影状況に応じて変化させるための制御信号が供給可能に構成されている。
【0085】
すなわち撮影の行なわれる様々な場所、状況において、各々の場面を常に最適に表現するためには、撮影時の基本的な制御パラメータによる制御に加え、図1に示すカメラ信号処理回路6,画像信号処理回路7等に対する制御も効果的である。
【0086】
そこで、設定した代表的な場面に応じた撮像画面を考慮し、設定された撮影モードに応じて、図1のカメラ信号処理回路6では映像信号レベルの非線形変換特性(knee特性やγ特性)を図8に示すa,b,cのように変化させたり、画像の先鋭度を変化させるアパーチヤ補正回路の特性等を制御可能となし、また同図の画像信号処理回路7では、付加的な画像効果を付与するための処理として、たとえば撮像した映像信号に『フエード効果』や『残像効果』を与えることが考えられる。
【0087】
図9にこのような付加効果を施す機能を備えた画像信号処理回路6の構成例を示し、以下にその構成及び動作について説明する。
【0088】
色信号処理回路30からはシステムコントロール回路25からの制御信号※1によって指定された色信号(たとえば全面青のブルーバツクあるいは全面白等)を発生し、その色信号と、映像出力をフイールドメモリ回路32により1画面遅延した信号と、無信号の3者択一の選択を行なう選択スイツチ31へと供給される。
【0089】
この選択スイツチ31より、システムコントロール回路25の指示※2によって選択された3者のうちの1つの情報が、乗算器33の入力端子へと供給される。乗算器33は、システムコントロール回路25の指示※3によって乗算係数発生器34より出力された係数を用いて乗算処理を実行する。その乗算結果は加算器35によって、入力端子36より入力された映像入力信号に乗算器38によって同様の係数乗算処理を行なった結果の信号と加算され、出力端子37へと供給される。
【0090】
このような信号の処理過程において、選択スイツチで無信号のOFF端子を選択すると加算器35に入力されるのは入力端子緒36からの映像信号のみであるので、この映像入力信号がそのまま映像信号出力端子37へ(スルー)出力される。この時の乗算器38の係数は1.0でスルーとなっている。
【0091】
次に色信号発生器30の出力を選択スイツチ31で選択した場合には、システムコントロール回路25の指示(開始/終了のタイミングあるいは直接の係数設定)に応じて乗算係数発生器34の出力との演算を行ない映像入力端子36からの入力映像信号と逆動作(係数で1の補数関係)にて一方が0→1と出現し、他方が1→0と消滅し、結果的に色信号と入力信号が入れ替わる。視覚的には、青画面から徐々に動画像に変化していくように画面が変化する。
【0092】
またフイールドメモリの出力を選択した場合も乗算器38の係数の関係は前述同様に1の補数である。違いは時間的な変化を伴わず、たとえば0.5等に固定して動作させる点である。
【0093】
この場合、加算して出力した結果を1画面遅れで所定の割合で巡回的に加算して行くので、入力画像が時間軸方向に尾を引くように表現される。
【0094】
そしてこのような信号処理を、たとえば人物を重点的に撮影するような、ポートレート撮影モード等において動作させることにより、前述のカメラ信号処理回路においては、アパーチヤ特性等を変化させて人間の視覚特性の先鋭度に関与する周波数、テレビ信号においては2〜3MHz近辺の周波数レスポンスを低下させることによって画像に柔らかな感じを付与することができる等、画質調節を行なうことができる。
【0095】
また上述の図9に示すような回路を動作させれば、画像に色フエードをかけることができる等、特殊画像処理の効果を自動的に付与することができる。
【0096】
このポートレート撮影モードは基本的には図5に示すような測光領域に同図のような重み付けを施した中央重点測光による撮影モードであり、撮影プログラム・モードについて示すと、そのプログラム線図は図10示すように設定されている。実際のプログラム線図は、図6,図7のようになるが、簡単のためアイリス,シヤツタスピード,ゲインの順に上方より順次作動範囲を示すことにする。
【0097】
すなわち図10において、Iはアイリス制御パラメータ(P1)、Sはシヤツタスピード制御パラメータ(P2)、Gはゲイン制御パラメータ(P3)を示しており、図の右方に示すように、アイリス制御パラメータ(P1)はCLOSEとOPENの間を動作し、シヤツタスピード制御パラメータ(P2)はHighスピード(T1)と標準の1/60秒の間を変位し、ゲイン制御パラメータ(P3)は、±0dBの増幅率1(入力信号をそのまま出力するのでTHROUGHとする)から所定値G1までの間を変化することを意味している。
【0098】
ただし、各パラメータとも可変領域内では、前述の図6,図7のプログラム線図と同様に、入力パラメータである輝度レベルに応じてその値を変化するものとする。
このポートレートモードは、被写体が人物であることを想定しており、したがって被写界深度を浅く撮ることを重視している。
【0099】
同図から明らかなように、横軸の被写体照度に対してy1,y2の2つのしきい値が設けられ、3つのエリアに分割されている。
【0100】
アイリスはについて見ると、高輝度のエリアAでは、アイリスによる制御が行なわれるが、高輝度でS/Nを確保したいため、アイリスが開放値となるまでAGCのゲインは±0dBのまま保持されるが、アイリスの小絞りによる回折現象からくる解像力の低下を考慮してアイリスの制御が行なわれる。
【0101】
具体的には、入力輝度レベルがy1以下ではアイリスは開放値に制御される。これによって通常の輝度ではアイリスは開放となり、被写界深度を最も浅くすることができる。すなわちアイリスの制御特性は、y1を境にして高輝度から低輝度までの全域を可変領域と開放領域の2段階に切り換えられる。
【0102】
シヤツタスピードについて見ると、y1以上の高輝度領域では、通常の1/60秒より高速の高速シヤツタスピードT1に設定されており、これは小絞り対策に加え、高輝度でもできる限り被写界深度を浅くするため、ある程度高めのシヤツタスピードに設定されている。実際には1/250〜1/4000秒程度の範囲内で設定される。
【0103】
またこれはS/Nをかせぐため、低輝度になってもAGCゲインを上げずに制御できる意味もある。
【0104】
y1〜y2のエリアにおいては、アイリスが開放値になっており、AGCゲインもS/Nの点から上げたくないので、シヤツタスピードを前記T1と標準の1/60秒の間で変化させることによって露出制御が行なわれる。
【0105】
輝度レベルがy2以下では、シヤツタスピードをテレビジヨン信号の標準値である1/60秒(NTSC)に設定される。
【0106】
この状態ではAGCゲインのみによる露出制御となり、S/Nの許容範囲内でゲインを上げることにより露出制御が行なわれる。
【0107】
AGCゲインについては、上述したように、輝度がy2以上では常に±0dBに固定されており、AGC回路5自体増幅作用を持たない状態に制御され、このy2以上の領域が被写体照度の大部分を占めるようにするので、全域にわたってS/Nの良好な撮影画像を得ることができる。
【0108】
入力輝度レベルがy2以下となって、初めてゲインの制御が行なわれ、ゲインアツプすることによってS/Nの許す範囲で露出制御が行なわれる。
【0109】
このように、ポートレートモードにおいては、中央重点測光で撮影されるが、人物を基本とした撮影が前提となるので、上述した画質調整や画像処理を併用するときわめて有効である。
【0110】
以上、各撮影モードにおける各制御パラメータの設定、同じく撮影モードに応じた測光領域の設定、さらに撮影モードに応じた信号処理系の特性の切り換えについて基本的な説明を行った。
【0111】
次に上述したアイリス,シヤツタスピード,ゲイン等の各制御パラメータの設定動作の手順について説明する。
【0112】
図11は、たとえば図6,図7等のプログラム線図を用いるプログラム撮影モードにおける、上述のエリア境界部分のパラメータ処理を含めたパラメータ設定動作を示すフローチヤートである。
【0113】
同図において、制御をスタートすると、S1にて電源投入を監視し、電源投入がなされるとS2へと進み、操作部20によって選択された撮影プログラム・モード(M)を確認してS3へと進み、選択されているプログラム・モード(M)に対応するLUT19aあるいは19b、19cを参照し、指定のプログラム特性を設定する。
【0114】
S4では前記指定されたLUTから撮像画面上に設定された24分割それぞれの重み付けに関するデータを読み出し、前述のように、その撮影モードに応じた重み付けを行ない、S5へと進む。
【0115】
S5では指定された撮影モードに応じて、LUTより画像処理の内容及び特性を読み出し、その撮影モードに適応した、上述の例で言えばアパーチヤ制御による画質調整や、色フエード等による画像処理が設定される。
【0116】
S6では、基準パラメータ軸上における現在のエリアすなわち入力パラメータに対応する被写体照度から現在のエリアを確認する。
【0117】
続いてS7へと進んで、現在のエリアに応じて分岐先を決定する。
【0118】
エリアAと決定された場合には、S8へと進んでアイリス制御パラメータP1を算出し、続いてS9でエリアの境界域B1の内外の判定を行ない、境界B1外であれば、S10に進んでシヤツタスピード制御パラメータP2を前置保持して固定し、B1内であればS11へと進んでシヤツタスピード制御P2を算出して更新した後、S21へと進み、ゲイン制御パラメータP3を前置保持して固定し、S24へと進む。
【0119】
またS6でエリアBと決定された場合は、S12でシヤツタスピード制御パラメータP2を算出し、S13へと進んでエリアの境界域B1,B2それぞれの内外の判定を行ない、B1内であつた場合はS14でアイリス制御パラメータP1を算出してS21へと進み、ゲイン制御パラメータP3を前置保持して固定した後S24へと進む。
【0120】
B2内であつた場合にはS16へと進んでゲイン制御パラメータP3を算出して、S23へと進み、アイリス制御パラメータP1を前置保持して固定した後、S24へと進む。
【0121】
B1にもB2にも属していない場合には、S15でアイリス制御パラメータP1を前置保持して固定し、S22でゲイン制御パラメータP3を固定した後、S24へと進む。
【0122】
またS7において、エリアCと決定された場合には、S17へと進んでゲイン制御パラメータP3を算出し、続いてS18でエリアの境界域B2の内外の判定を行ない、境界B2外であれば、S20に進んでシヤツタスピード制御パラメータP2を前置保持して固定し、B2内であればS19へと進んでシヤツタスピード制御P2を算出して更新してS23へと進み、アイリス制御パラメータP1を前置保持して固定した後、S24へと進む。
【0123】
S24では、前述の処理によって設定した各パラメータの値P1,P2,P3すなわちアイリス、シヤツタスピード、ゲインの各制御値をシステムコントロール回路25より出力して、アイリス2、撮像素子3、AGC回路5をそのプログラム・モードに応じてそれぞれ制御し、S25で次の処理時間単位が来るまで待機し(本実施例では、1フレームに1演算を基本単位とする)、S26で電源遮断を確認し、電源ONが継続していればS1へと戻って上述の処理を繰り返し行ない、電源OFFが指示されていれば、処理を終了する。
【0124】
これによって、選択されたプログラム・モードそれぞれに応じた各種パラメータの制御が可能となり、これに基づいて露出制御が行なわれる。
【0125】
また撮影プログラム・モードの切り換えに連動して撮像画面における測光領域及び画像信号処理系の特性あるいは付加的機能もその撮影状況に適したものに切り換えるようになっているため、それらの各の撮影状況に応じて常に最適な自動露出制御及び撮影を行なうことができる。
【0126】
しかも撮影状況が変化してもカメラの撮影状態が不自然に変化することがなく、最適な制御モード切り換えを行なうことができる。
【0127】
次に、本発明のプログラム撮影モードである『風景撮影モード』について説明するとともに、『風景撮影モード』を例にして各種撮影モードの設定及び制御、及びデータテーブルLUTの内部構造及びその設定による制御パラメータの制御について詳細に説明する。
【0128】
通常画面内に明るい空や水面のように高輝度の被写体が入りやすく、この高輝度部分の影響で暗い部分の被写体が黒つぶれとなりやすい。また中央部分重点測光を用いても、高輝度部分が中央に常に位置するとは限らず、また高輝度部分の大小にも大きく影響されるため、同様に正確な露出制御を行なうことはできない。
【0129】
本発明の『風景撮影モード』はこのような高輝度部分の影響による黒つぶれ等の影響を受けずに適正な露光値を決定することができるようにしたプログラム撮影モードであり、操作部20の操作によって選択することができる。以下詳細に説明する。
【0130】
図13はこの風景撮影モードにおける制御に必要な各種制御パラメータの定義及び特性を格納したLUTすなわちデータテーブルの内部構造を示すもので、このLUTによって定義、設定された各種制御パラメータの入力パラメータの輝度レベルに対する遷移を示すプログラム図は、図12に示すようになっている。
【0131】
図12において、入力パラメータである横軸の被写体照度に対して、しきい値y1が設けられ、全域を2つのエリアに分割されており、アイリス、ゲインによって露出制御され、シヤツタスピードは標準値に固定である。
【0132】
以下スポツトライト撮影モード用のデータテーブルLUT内に設定されている各制御パラメータの個々について順に説明する。
【0133】
(P1:アイリス制御パラメータ)
アイリス制御パラメータは、入力パラメータYすなわち輝度レベルによって変化し、その属性として入力輝度の関数f(y) が定義されている。
【0134】
入力輝度レベルが図12に示すしきい値y1よりも高い場合には図13の右側のデータ欄から明らかなように、『→CAL』の表示で演算(calculation)が必要であることを示している。
【0135】
高輝度でS/Nを確保したいため、AGCゲインは±0dB(THROUGH)のままで、アイリスの最小絞りから開放値までを制御範囲とする。
入力輝度レベルがy1以下では、アイリスを開放に設定する制御が『→OPEN』で指定されている。
【0136】
この状態ではかなり低照度と考えることができ、画像のS/Nを劣化させても撮影を続行することを優先したい場合に、AGCゲインを上昇させて対応するエリアである。
【0137】
このように、しきい値y1によって高輝度から低輝度までの全域を2分割してアイリスの制御特性が定義されている。
【0138】
(P2:シヤツタ制御パラメータ)
シヤツタ制御パラメータは、属性は固定であり、入力輝度レベルによらず常に一定値に固定されていることが示され、その内容はテレビジヨン規格の標準値に設定するよう『→標準値』の設定がなされており、演算は不要である。
ここで言うテレビジヨン信号の標準値とは、NTSCでは1/60秒、PALでは1/50秒のことを指す。
【0139】
(P3:AGCゲイン)
AGCゲインを処理対象のパラメータとした場合を見ると、しきい値yにより入力輝度の関数f(Y) が定義されており、入力輝度レベルがy1より高い場合は『→±0dB』の指定がなされ、AGCゲインを±0dBに固定し、AGC回路に増幅作用を持たせない利得設定がなされている。すなわちアイリスによって露出制御が可能な場合は、AGCゲインを固定してS/Nの劣化を防止するためであり、この場合も演算不要である。
【0140】
またこの区間が被写体照度の範囲の大部分を占めるように設定されているため全域にわたつてS/Nの良好な撮像が可能となる。
【0141】
また入力輝度レベルがy1以下では、最適なAGCゲインが演算され、ゲイン制御パラメータの設定が行なわれるよう、『→CAL』が指定されている。
【0142】
この状態はかなり低照度であり、画像のS/Nを劣化させても撮影を続行したい場合にAGCゲインを上昇させて対応するエリアである。
【0143】
既に他のパラメータは低照度対策の設定を最大限に行なっているので、この状態において残されている制御可能なパラメータはAGCゲインのみであるため、S/N劣化との兼ね合いを考慮しながら、許容し得る範囲内でゲインアツプをはかり露出制御が実行される。
【0144】
しきい値y1によって2つに分割されたエリアと3つの制御パラメータの関係は、図12より明らかであり、ここでも演算すべきパラメータは、2つのエリアそれぞれにおいて常に1つとなるよう分散して配置され、演算の簡略化がはかられており、その配置は高輝度側のエリアより、I,Gとなっている。
【0145】
(P4:AEウエイテイングパラメータ=測光領域重み付け設定)
撮像画面内の測光領域分布及びそれらの重み付けを設定するパラメータであり、図13より明らかなように、属性はf(Y) で、入力輝度の関数であることが示されている。具体的には入力輝度信号に応じて作成するヒストグラムによって定義されており、撮像画面の24分割それぞれのエリアにおける入力輝度信号レベルを検出して輝度レベルのヒストグラムを作成し、黒つぶれを防止するため、撮像画面上の輝度の低い部分を正確に検出し、その領域を重点測光するような制御が行なわれる。
【0146】
本実施例では24分割のエリアに対して各々の輝度レベルを検出してこれらより作成した輝度ヒストグラムから輝度レベルの下位N(=12)個のエリアを抽出し、このN個のみでAE制御が実行される。
【0147】
このため、空のように撮像画面の一部に偏った高輝度部部分が存在する場合でも、主要な被写体の無い暗い部分に影響されることなく、適切な露光値を決定することができる。
【0148】
このようなヒストグラムの様子を図14に示す。同図の上部が輝度ヒストグラムで横軸はIREのレベルを示し、左方から右方へとレベルが高くなり、縦軸の0〜6は各IREレベルに該当するエリアの数を示す。
【0149】
また下部は上部の輝度ヒストグラムの累積ヒストグラムである。縦軸は24分割した領域の数を表わしている。
【0150】
そして同図では、この累積ヒストグラムの24エリア中、下位12エリア(1〜12)を抽出することを示している。
【0151】
このようにして、撮像画面内における低輝度部分を検出し、その部分を重視したAE測光特性が設定でき、主要被写体の存在しない部分の高輝度部分の影響を排除したAE制御を実現することができる。
【0152】
(P5:AE基準値パラメータ)
AE基準値のパラメータは露出制御の基準となる輝度レベルを示すものであり、数値定義で格納されている。この基準値をもとにして露出の過不足の判定が行なわれるものであり、本実施例では50IREに設定されている。このパラメータも属性は固定であり、入力輝度レベルによらず、その撮影モードでは一定である。
【0153】
(P6:画質調整パラメータ)
前述したアパーチヤ制御等による画質調整処理を指定するパラメータで、処理内容をコードによって定義されており、属性は固定で、撮影モードに応じて設定されており、入力輝度レベルによっては変化しない。
【0154】
この風景撮影モードでは『NORMAL』の指定となっており、この場合は基本画質を標準値とし、前述のアパーチヤ制御を用いて画質を可変するような特別な画像処理は施さない。
【0155】
(P7:画像効果処理パラメータ)
図9で説明したような、フエード等の画像処理を指定するためのパラメータで、処理内容はコードによって定義されている。
【0156】
『NORMAL』の指定がなされており、基本画質は標準値に設定され特別な処理は行なわれないことを示す。
【0157】
またこのパラメータも属性は固定で、撮影モードに応じて設定されており、入力輝度レベルによっては変化しない。
【0158】
このように、本発明におけるデータテーブルLUTには、制御に必要な各種パラメータの定義、特性が格納されており、且つこのようなLUTを撮影モードに応じて複数備え、指定された撮影モードに応じて選択できるため、あらゆる撮影状況、撮影環境に対して、常に最適な制御を行なうことができる。
【0159】
以上風景撮影モードを例にして、その制御パラメータを定義したデータテーブルLUT、及びそれによって設定された制御パラメータの動作特性について説明した。
【0160】
ここで、図13に示すLUTからデータをシステムコントロール回路へと読み出して制御パラメータを演算し、図12のように制御パラメータを設定する動作について、図15のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0161】
これらの処理動作は、基本的には、図11のフローチヤートにおけるS2のプログラム撮影モードの確認処理からS24の、各制御パラメータに基づくアイリス,シヤツタ,ゲイン制御データの出力までの処理の中で行なわれる。
【0162】
図15は、撮影プログラム・モードに応じた制御特性をセツトするためのデータセツトの手順を示す動作フローチヤートで、図11のフローチヤートのS2〜S24の処理の中で並行して実行されるルーチンであり、このルーチンを終了後は図11のS25へとリターンするものとする。
【0163】
制御をスタートすると、S101で撮影モードの選択を図1の操作部20によって行ない、その選択結果がシステムコントロール回路25へと取り込まれ、S102において、選択された撮影モードに応じたLUTが、LUT19a〜19bの中から選択される。
【0164】
S103ではパラメータを指定するためのパラメータカウンタnをn=01に初期設定を行ない、S104でS103にて指定されたパラメータPnのデータを読み込む。
【0165】
このパラメータ指定について説明すると、図13の例では、n=01のときはアイリスに関するデータ、n=02のときはシヤツタスピードに関するデータ、n=03のときはAGCゲインに関するデータ、n=04のときはAEウエイテイング(測光領域の重み付け係数)に関するデータ、n=05のときはAEの評価基準値に関するデータすなわち輝度レベルを一定に合わせる基準となるレベル、n=06のときは画質調整に関するデータ、n=7で特殊効果的な画像処理等に関するデータがそれぞれシステムコントロール回路25に読み込まれる。
【0166】
S105では、読み込まれたパラメータの属性を確認し、入力パラメータに依存したものであるか(f(Y) )、入力パラメータに依存せずモードに対応した固定的なデータかの判別が行なわれる。
【0167】
すなわち図13のテーブルに示すように、属性とは入力パラメータすなわち本実施例では被写体照度に対して、所定の関数f(Y) にしたがって変化するものであるか、入力パラメータの変化に関係なく固定であるかを示しており、S105でパラメータの属性がf(Y) で入力パラメータに依存するものであれば、S107へと進み、固定であればS106へと進み、データの属性が輝度レベルによらず固定であるとしてそのパラメータの値を設定する。
【0168】
S107ではパラメータ・カウンタnに1を加算して、n+1とし、S108でnがLUT内の最大値よりも大きくなつたか否かを確認し、nが最大値に達するまで、上述のS104〜S107の動作を繰り返し行ない、パラメータの読み込みと属性の判別動作を繰り返し行ない、nが最大値を越えた場合にはS109以下のデータ出力処理へと移行する。
【0169】
S109以降はS101〜S108でLUTより読み込んだパラメータをもとに制御データの出力演算を行なう処理を示すもので、S109ではパラメータカウンタをn=01にリセツトする。
【0170】
S110では、パラメータの属性を確認し、入力パラメータに依存するもの(f(Y) )であるか、入力パラメータには依存せずモードに対応した固定的なものであるかの判定が行なわれ、f(Y) ならS111へ、固定ならS111、S112を飛ばしてS113へと進む。
【0171】
S111では単位処理時間(たとえば1フイールド期間)ごとに積分器10の出力をA/D変換器11にてサンプリングし、入力パラメータとしての輝度信号レベルをシステムコントロール回路25へと取り込む。この入力信号の値に応じて、LUTのデータ定義を参照し、データ演算の要/不要の判断を行なう。演算の条件に合致した場合にはS112へと進んで現在の状態において指示されたパラメータだけを変化させ、AEの制御を行ない、適正露光に調節するためのそのパラメータの最適値を演算する。
【0172】
またS111で演算不要と判断された場合には、S112の制御出力の演算処理を飛ばしてを飛ばしてS113へと進む。
【0173】
S113ではパラメータカウンタnに1を加算し、n+1としてS114へと進み、パラメータカウンタnがLUTのパラメータ番号の最大値を越えるまで、ステツプS110へと戻り、全パラメータに関して上述のS110〜S113の処理を繰り返し行ない、パラメータカウンタnがLUTのパラメータ番号の最大値を越えたら、次のS115へと進んで、図11のフローチヤートのS25の処理へとリターンする。
【0174】
以上がデータ参照テーブルLUTより各パラメータの特性を読み出してAE制御データを演算するまでの処理手順であり、このようにして、設定された撮影モードに応じたLUTより、その撮影状況に適した制御データを読み出して制御を行なうことにより、最適な撮影を実行することができる。
【0175】
このように、複数のパラメータを用いて撮影状態を制御するようになすとともに、その撮影モードに応じたデータテーブルより撮影状況に適した制御データの設定条件を読み出して制御するようにしているので、従来の装置に比べてよりきめ細かな制御が可能となり、様々な撮影条件においても、撮影モードの選択のみで最適な撮影が可能となる効果を有する。
【0176】
また撮影モードを切り換えることにより、測光分布も連動してそのモードに適応した設定に切り換わるようにしたので、操作性が向上し、設定ミス等の防止にもなる等の効果がある。
【0177】
次に、本発明のさらに別のプログラム撮影モードである『夜景撮影モード』についてそのモードの設定動作及びデータテーブルLUTの内部構造及びその設定による制御パラメータの制御について詳細に説明する。
【0178】
夜景撮影モードとは、通常暗い背景の中の一部に輝度の高い被写体が存在するような撮影状況を想定しており、操作部20の操作によって選択することができる。
【0179】
一般に上述の暗い背景の一部に明るいネオンの照明等が存在する場合の撮影を行なう場合、従来のように撮像画面全体を平均測光すると低輝度部分が画面の大半を占めるため、この低輝度部分に引っ張られ、明るい主要被写体部分では露出オーバーとなって白とびを起こしてしまう。
【0180】
また中央部分重点測光を用いても、スポツト部分が中央に常に位置するとは限らず、また中央部分の重みつけの大きい領域内であつても、輝度の高い部分の面積が小さければ、同様に正確な露出制御を行なうことはできない。
【0181】
本発明の『夜景撮影モード』はこのような撮影状況においても良好な露出制御を行ない得るようにしたプログラム撮影モードであり、以下詳細に説明する。
【0182】
図16はこの夜景撮影モードにおける制御に必要な各種制御パラメータの定義、特性を格納したLUTすなわちデータテーブルの内部構造を示すもので、このLUTによって定義、設定された各種制御パラメータの入力パラメータの輝度レベルに対する遷移を示すプログラム図は、図12に示す『風景撮影モード』と同一である。したがって以下制御パラメータの説明には、図12を用いることにするが、しきい値y1の値は各モードでそれぞれ設定される。
【0183】
すなわち図12において、入力パラメータである横軸の被写体照度に対して、しきい値y1が設けられ、全域を2つのエリアに分割されており、アイリス、ゲインによって露出制御され、シヤツタスピードは固定である。
【0184】
以下スポツトライト撮影モード用のデータテーブルLUT内に設定されている各制御パラメータの個々について順に説明する。
【0185】
(P1:アイリス制御パラメータ)
前述の図13に示す風景撮影モードと同一であり、説明を省略する。
【0186】
(P2:シヤツタ制御パラメータ)
前述の図13に示す風景撮影モードと同一であり、説明を省略する。
【0187】
(P3:AGCゲイン)
前述の図13に示す風景撮影モードと同一であり、説明を省略する。
【0188】
(P4:AEウエイテイングパラメータ=測光領域重み付け設定)
撮像画面内の測光領域分布及びそれらの重み付けを設定するパラメータであり、図16より明らかなように、属性はf(Y) で、入力輝度の関数であることが示されている。具体的には入力輝度信号に応じて作成するヒストグラムによって定義されており、撮像画面の24分割それぞれのエリアにおける入力輝度信号レベルを検出して輝度レベルのヒストグラムを作成し、これによって撮像画面上の輝度の高いスポツトライトのあたつている部分を正確に検出し、その領域を重点測光するような制御が行なわれる。
【0189】
本実施例では24分割のエリアに対して各々の輝度レベルを検出してこれらより作成した輝度ヒストグラムから上位N(=2)個のエリアを抽出し、このN個のみでAE制御が実行される。
【0190】
このため、スポツトライトのような撮像画面の一部に偏った照明の場合でも、主要な被写体の無い暗い部分に影響されることなく、適切な露光値を決定することができる。
【0191】
このようなヒストグラムの様子を図17に示す。同図の上部が輝度ヒストグラムで横軸はIREのレベルを示し、左方から右方へとレベルが高くなり、縦軸の0〜6は各IREレベルに該当するエリアの数を示す。
【0192】
また下部は上部の輝度ヒストグラムの累積ヒストグラムである。縦軸は24分割した領域の数を表わしている。
【0193】
そして同図では、この累積ヒストグラムの24エリア中、上位2エリア(▲1▼、▲2▼)を抽出することを示している。
【0194】
このようにして、撮像画面内における高輝度部分を検出し、その部分を重視したAE測光特性が設定でき、主要被写体の存在しない部分の影響を排除したAE制御を実現することができる。
【0195】
存在するときに有効である。そしてこれらをそれぞれデータテーブル内に格納しておいて、適宜選択するようにすれば、撮影の範囲を拡大することができる。
【0196】
このため夜景のように撮像画面内の一部にネオンのような照明が存在するような被写体でも、主要被写体の内部分に影響されずに適正な露光値を設定することができる。
【0197】
(P5:AE基準値パラメータ)
AE基準値のパラメータは露出制御の基準となる輝度レベルを示すものであり、数値定義で格納されている。この基準値をもとにして露出の過不足の判定が行なわれるものであり、本実施例では一般的な50IREに対して若干低めの20IREに設定されている。このパラメータも属性は固定であり、入力輝度レベルによらず、その撮影モードでは一定である。
【0198】
(P6:画質調整パラメータ)
前述の図13に示す風景撮影モードと同一であり、説明を省略する。
【0199】
(P7:画像効果処理パラメータ)
前述の図13に示す風景撮影モードと同一であり、説明を省略する。
【0200】
(P8:圧縮点及び圧縮率の制御パラメータ)
夜景モードでは、より適正な露出動作を行なうために、圧縮率及び圧縮点をパラメータとして制御している。本実施例では24分割のエリアの各々の輝度レベルを検出し、それらにより撮像シーンの平均的明暗と、高輝度部分の占める割合を比較演算することにより、映像信号の高輝度部の圧縮率及び圧縮点を変化させ高輝度部のラチチユードの改善を行っている。
【0201】
図18は映像信号の圧縮の様子を示す入力輝度レベルと出力輝度信号レベルの関係を示す特性図である。同図においてaは輝度圧縮もしくはクリツプ等の処理を行なわない場合、bは映像信号をクリツプする場合、cは高輝度部分を圧縮する場合、dはcの特性に対して圧縮率及びその開始点を変え、高輝度部分のラチチユードを改善した特性を示すものである。
【0202】
そして本実施例では高輝度部分の占める割合が大きいとき、図18における特性cあるいはdを選択し、高輝度部分の占める割合が小さいときに特性bを選択するように制御するように構成されたいる。
【0203】
すなわち本実施例は、夜景などの撮影のように、撮影シーンが暗いとき、画面内の明るい部分で白飛びを起こすので、高輝度部分の割合によってその圧縮点がリニアに変化するように特性を制御し、白飛び等がなく不自然さのない撮影を行なうことができる。
【0204】
尚、データ参照テーブルLUTより各パラメータの特性を読み出してAE制御データを演算するまでの処理手順は、図15のフローチヤートで説明した処理と同一である。
【0205】
このように、撮像画面を複数エリアに分割し、その各エリアの輝度情報に基づいて露光制御を行なうマルチエリア測光方式において、各エリア毎に輝度レベルに基づいた輝度ヒストグラムの上位N個のエリアのみを用いてAEを行なうことで、夜景やネオン等で証明されている被写体を白飛びすることなく高品位に撮影することができ、また上位N個の輝度信号レベルによって輝度信号の圧縮率及びその圧縮開始点を自動設定しているので、高輝度部分のラチチユードの改善、高輝度部分の色付けの改善が可能となり、輝度信号のダイナミツクレンジの拡大が可能となる。
【0206】
次に、本発明の第2の実施例につき説明する。近年ビデオカメラにおいて、外部より任意のタイトル,メツセージ,BGM等を入力し撮影画像とともに記録する特殊効果を行なう機能が搭載されている。これらの機能はビデオカメラ本体に対して着脱可能なICカード等に記憶されており、これをビデオカメラ本体に装着することによってその記憶データを読み込み、撮影画像情報とともに磁気テープ等の記録媒体に記録するものであり、撮影の内容に応じてICカードを交換することにより、その種々のタイトル,メツセージ,BGM等のデータを選択することができる。
【0207】
以下に示す実施例は、ビデオカメラ本体に装着可能な外付ICカードにその内容に対応した撮影モードを指定するための撮影モード指定コードを内蔵し、このICカードをビデオカメラ本体に装着することによって、読み込まれた撮影モード指定コードにしたがって自動的にビデオカメラ側の撮影モードを選択し、各種露出制御パラメータの選択及び設定を自動的に行なうようにしたものである。
【0208】
図19は本実施例のこうせいを示すブロツク図であり、図1のブロツク図と同一構成部分については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0209】
同図において、図1のブロツク図と異なるのは、ICカード50を着脱するための接続部41が設けられるとともに、装着されたICカード50より格納されているタイトル,BGM等のデータ及び撮影モード指定コード等の各種データを読み取つてシステム制御用マイクロコンピユータ25へと入力するICカード読み取り回路40が設けられ、さらにレコーダ8の前に、カメラ信号処理回路6より出力され画像処理回路7によって所定の画像処理を施された画像信号にICカード読み取り回路40によってICカード内より読み出されたタイトル等のデータを重畳するタイトルミキシング回路42が配されている点である。このICカード読み取り回路40及びタイトルミキシング回路42はそれぞれシステム制御用マイクロコンピユータ25によって制御される。
【0210】
一方、ICカード50は、ビデオカメラ本体に接続部41を介して着脱自在であり、その内部には、タイトル表示データ及び各々のタイトルに対応したデータを格納したタイトルメモリ52及び撮影モード指定コードを内蔵したメモリ53が設けられ、これらのメモから各データを読み出して接点a,bを介してビデオカメラ本体側のシステム制御用マイクロコンピユータ25へと供給する制御部51が設けられている。
【0211】
したがって、ICカード50をビデオカメラ本体に装着して接続部41にてICカード読み取り回路40に接続すると、ICカード50に格納されている各種データの読み取りが可能となり、タイトルメモリ52から制御部51によって読み出されたタイトルデータがICカード読み取り回路40を介してタイトルミキシング回路42へと供給されて画像信号と混合され、レコーダ8にて磁気テープ等の記録媒体に記録される。
【0212】
また撮影モード指定メモリ53には、タイトルが使用される撮影状況を想定して各々のタイトルに対して最適な露出制御を行なえる撮影モード指定コードが記憶されており、前述のタイトルデータがタイトルメモリ52から読み出されるのと同時に、制御部51によって読み出され、ICカード読み取り回路40を介してシステム制御用マイクロコンピユータ25へと供給され、その撮影モード指定コードに従つて撮影モードが選択,設定され、その撮影状況に最適な露出制御条件となるように自動調整しながら撮影が可能となる。たとえばスキー関係のタイトルを選択した場合には、スキー場での撮影を想定して露出制御を高輝度被写体に最適なパラメータの制御に自動設定するようなことが可能となる。
【0213】
尚、本実施例ではビデオカメラを外部より制御する手段として、ICカードを用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、外部よりビデオカメラ本体側の機能を制御可能であり最適な撮影モードを自動選択できるようなものであれればよい。
【0214】
このように、本実施例によれば、タイトルやBGM等の特殊効果機能を外部制御手段によって制御するに当たり、タイトル等が使用される撮影条件を想定して最適なパラメータ制御を行なうプログラムモードを自動選択し、簡単な操作でより良好な撮影を行なうことが可能となる。
【0215】
次に本発明における第3の実施例について説明する。
【0216】
上述の各実施例に示すように、撮影状況によらず常に最適な撮影を行なえるよう、複数のプログラム露出制御モードを備えているが、実際の撮影においては、各々の場面を再現するのに音声は重要な要素であり、映像だけでなく音声の記録も重要である。特に近年では、ズームも高倍率化され、音声記録もステレオ化されるなど、より撮影状況に合った自然な音声記録が望まれている。本実施例はこの点に鑑み、プログラムモードの切り換えにより、映像,音声の両方において撮影状況に応じた最適化を図ったものである。
【0217】
図20は本実施例の構成を示すブロツク図で、図1と同一構成部分については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0218】
60は音声記録用のマイクロフオン(以下マイクと称す)で、単一指向性マイクユニツトと双指向性マイクユニツトとで構成される可変指向性マイクであり、詳細は後述する。61はマイクの指向角特性を可変することによって各方向における感度を制御するマイク感度制御回路、62は音声信号の周波数特性を制御して風切り音を抑制する等の対策を可能とする音声回路であり、これらにより撮影している映像に合った音声効果を与え、その撮影画像を忠実に再現することができるように構成されている。そしてこれらのマイク感度制御回路61、音声回路62を介して所定の特性に処理された音声信号はレコーダ8へと供給され、映像信号とともに図示しない磁気テープ等の記録媒体上に記録される。
【0219】
またマイク感度制御回路61、音声回路62はそれぞれシステム制御用マイコン25よりそれぞれD/A変換器63,64を介して供給される制御信号に基づいて、そのプログラム撮影モードに応じた特性に制御されるように構成されている。
【0220】
図22は上記の単一指向性マイクユニツトと双指向性マイクユニツトとで構成される可変指向性マイク60によるステレオマイクの指向角可変システムの構成及び動作を説明するための図である。
【0221】
本実施例のマイクは、単一指向性マイクユニツト80(以下MIDマイクと称す)と双指向性マイクユニツト81(以下SIDEマイク)で構成されており、MIDマイクユニツト80の出力はレベルコントロール回路82を介してSIDEマイクユニツト81の出力と加算されて左チヤンネル信号として出力され、SIDEマイクユニツトの出力はインバータ84で極性を反転され、レベルコントロール回路82によってレベル調整されたMIDマイクユニツト80の出力と加算されて右チヤンネル信号として出力される。
【0222】
図21(a)はMIDマイクユニツト80,SIDEマイクユニツト81それぞれのマイクユニツトの感度指向特性を示すものである。MIDマイクユニツト80は、音源に対してマイクの正面で最大感度を有し、音源が正面からずれるにしたがって感度は低下し、背面では理論上感度が0になる特性を有しており、SIDEマイク81は、音源に対してマイクの正面及び背面で最大感度を有し、90°,270°方向では理論上感度が0になる特性を有している。
【0223】
したがってMIDマイクユニツト80とSIDEマイクユニツト81を90°の角度で設置し、SIDEマイクユニツトの出力を位相分割し、正相出力をMIDマイクユニツト出力と合成することによって左側出力とし、逆相出力をMIDマイクユニツト出力と合成っすることによって右側出力とすることにより、ステレオ効果を得ることができるわけである。
【0224】
また信号を合成する際、図21(b)に示すように、MIDマイクユニツトに感度(Sm)とSIDEマイクユニツトの感度(Ss)の比率Ss/Smによって指向角が決定される。
【0225】
指向角の設定は、人物を撮影している時は、周囲の音をカツトし、正面の人物の声を重点的に録音できた方がよく、その場合は指向角を狭め、野球場のように周囲の雰囲気を録音できた方が臨場感ある映像になる場合は、指向性を広げると効果的である。
【0226】
そして、本願ではこれらのマイク特性を撮影状況に応じて自動切り換え制御するため、システム制御用マイコン25から設定されているプログラム撮影モードの情報を取り込み、その撮影に応じたマイク特性を設定するものである。
【0227】
たとえばポートレートモードではマイク指向性を正面の感度を上げてこれを重点的とし、周囲の感度を落として周囲のノイズをカツトし、風景モード,スポーツモード等では、指向性を広げて周囲の音も記録可能とするように構成されている。
【0228】
このように、撮影条件に応じてMIDマイクとSIDEマイクの感度比をレベル制御回路82をシステム制御用マイコンにより制御することによりマイクの指向各を可変しAE制御パラメータと組み合わせることで最適化された映像と音声効果を得ることができる。
【0230】
【発明の効果】
影モードにマイクロフオンの特性を可変することにより、映像のみならず音声をもその撮影状況に応じた特性に自動設定することができ、映像に対する音声の違和感がなく、映像及び音声に対して常に最適な撮影を行なうことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における撮像装置をビデオカメラの露出制御装置に適用した場合の構成を示すブロツク図である。
【図2】中央部分重点測光における測光領域を示す図である。
【図3】電子シヤツタの動作を説明するための図である。
【図4】本発明における撮像画面上の領域分割状態を示す図である。
【図5】本発明における『中央部分重点測光』の測光領域設定及び重み付けを説明するための図である。
【図6】本発明の『室内撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図7】本発明の『スポーツ撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図8】本発明における撮影モードの切り換えに連動して行なわれるカメラ信号処理回路の特性を示す図である。
【図9】本発明における撮影モードの切り換えに連動して行なわれる、画像処理回路の制御を説明するための図である。
【図10】本発明の『ポートレート撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図11】各撮影モードにおけるパラメータ設定を説明するため処理を説明するためのフローチヤートである。
【図12】本発明の『風景撮影モード』及び『夜景撮影モード』に応じたパラメータ処理を説明するためのプログラム線図である。
【図13】本発明の『風景撮影モード』に応じたデータテーブルの構造を説明するための図である。
【図14】本発明の『風景撮影モード』に応じた測光領域を決定するための輝度ヒストグラムを示す図である。
【図15】図11のフローチヤートの処理をさらに細部にわたつて詳細に説明するためのフローチヤートである。
【図16】本発明の『夜景撮影モード』に応じたデータテーブルの構造を説明するための図である。
【図17】本発明の『夜景撮影モード』に応じた測光領域を決定するための輝度ヒストグラムを示す図である。
【図18】本発明における撮影モードの切り換えに連動して行なわれる、輝度信号入出力特性を説明するための図である。
【図19】本発明における撮像装置の第2の実施例を示すブロツク図である。
【図20】本発明における撮像装置の第3の実施例を示すブロツク図である。
【図21】本発明の撮像装置の第3の実施例における音声記録用マイクロフオンの特性を説明するためのを示すブロツク図である。
【図22】本発明の撮像装置の第3の実施例における音声記録回路の構成を示すブロツク図である。
【図23】従来の撮像装置の一例を示すブロック図である。
【図24】図23の装置におけるシャッタ優先の露出制御モードを示す図である。

Claims (1)

  1. 撮像画面に像される入射光を光電変換する撮像素子と、
    撮像画面を複数の領域に分割して各領域の輝度レベルに応じて被写体の輝度レベルを検出する検出手段と、
    複数の撮影モードから一つを選択する選択手段と、
    検出された輝度レベルと選択された撮影モードとに応じて、複数の露出制御パラメータの中から制御する露出制御パラメータを決定し、決定された露出制御パラメータを検出された輝度レベルに応じて制御する露出制御手段と、
    音声信号を入力し、かつ当該入力の際の指向性を狭めたり広げたりすることが可能なステレオマイクシステムを含む音声信号処理回路とを有し、
    前記選択手段により一つの撮影モードを選択した後この選択した撮影モードにおいて前記輝度レベルに基づいて記露出制御パラメータを前記露出制御手段により制御するとともに、当該選択された撮影モードに基づいて前記ステレオマイクシステムによる音声の指向性を前記音声信号処理回路により狭めたり広げたりすることを特徴とする撮像装置。
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