JP3657676B2 - 切換えスイッチング手段と双方向性切換えスイッチング手段 - Google Patents

切換えスイッチング手段と双方向性切換えスイッチング手段 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、2つの可制御スイッチング手段の直列接続によって構成した、切換えスイッチ機能を持つ切換えスイッチング手段において、それら可制御スイッチング手段の同時オンを阻止したり、あるいは、同時オンによって両可制御スイッチング手段を流れる短絡電流を低減したり、できる切換えスイッチング手段に関する。尚、この切換えスイッチング手段を応用すれば1方向性切換えスイッチング手段、双方向性切換えスイッチング手段およびブリッジ接続型スイッチング手段を構成できる。もちろん、これらの切換えスイッチング手段を3端子スイッチング手段あるいは2端子スイッチング手段などとして利用することもできる。
【0002】
【背景技術】
従来技術として、短絡防止のために同時オン防止機能を持つ切換えスイッチング手段を図2〜図3に示す。図2の切換えスイッチング手段ではトランジスタ1がオンのとき端子21はプラス電源線もしくは端子20に接続され、トランジスタ7がオンのとき端子21はグランド線もしくは端子22に接続され、トランジスタ1、7が共にオフのときが有れば端子21はフローティング状態になる。ただし、トランジスタ1がオンのときトランジスタ7がターン・オンするとトランジスタ1は強制的にターン・オフさせられる。また、端子20〜22等は説明する上で便宜上示したが実際には使用回路中に存在しない場合が多い。さらに、トランジスタ1もしくは7がMOS・FET、IGBT、ノーマリィ・オフ型SIT、GTOサイリスタもしくはノーマリィ・オフ型SIサイリスタ等の様に異種のノーマリィ・オフで自己ターン・オフ機能(=自己消弧機能)を持つ可制御スイッチング手段の場合も有る。
【0003】
図2の切換えスイッチング手段には、部品点数が少なく構成が簡単である、という利点が有り、トランジスタ7がオンの間トランジスタ1のターン・オンが阻止されるため両トランジスタの同時オンが阻止されたり、あるいは、その同時オンによって流れる電源短絡電流が低減されたりする、という利点が有る。また、トランジスタ7をターン・オンさせた時トランジスタ1のターン・オフが遅れても、両トランジスタを流れる電源短絡電流がダイオード17に生じる電圧降下(順電圧)がトランジスタ1を逆バイアスし、そのターン・オフを促進するので、トランジスタ1のターン・オフのスイッチング速度が速い、という利点が有る。
参考:実開昭47−14052号、 特開昭55−3259号、
特開昭55−14618号、 特開昭55−136727号、
特開昭57−103431号、 特開昭58−21919号、
特開昭58−218224号、 特開昭59−15327〜8号。
【0004】
しかしながら、トランジスタ1がオンの間トランジスタ7のターン・オンは阻止されないため、トランジスタ1のターン・オフが遅れると、トランジスタ1、ダイオード17及びトランジスタ7に電源短絡電流が流れてしまい、『両可制御スイッチング手段〈トランジスタ1、7)の同時オン防止機能は半分で不完全である』という第1の問題点が有る。
(第1の問題点)
【0005】
一方、図3の切換えスイッチング手段ではトランジスタ1がオンの間トランジスタ8がトランジスタ6のターン・オンを阻止し、トランジスタ6がオンの間トランジスタ9がトランジスタ1のターン・オンを阻止するので、トランジスタ1、6の同時オン防止機能は両方有り完全である。そのためにトランジスタ1、8とダイオード4等がトランジスタ1のオン・オフ検出回路を構成し、トランジスタ6、9とダイオード3等がトランジスタ6のオン・オフ検出回路を構成する。
参考:特開昭58−81332号、 特願昭62−500831号。
【0006】
しかしながら、『部品点数が多く、構成が複雑である』という第2の問題点が有る。
(第2の問題点)
【0007】
また、図3の切換えスイッチング手段ではオン・オフ検出の為にトランジスタ6、9の両エミッタ間とトランジスタ8、1の両エミッタ間それぞれに直流電圧を印加する必要が有るので、必ず『同時オン防止の為にオン・オフ検出用の直流電源が必要である』という第3の問題点が有る。
(第3の問題点)
【0008】
それから、図3の切換えスイッチング手段ではどちらの可制御スイッチング手段(トランジスタ1、6)とも「使用する制御電極と駆動信号入力用に対を成す主電極」(例:エミッタ電極、ソース電極、カノード・ゲート電極に対するカソード電極、アノード・ゲート電極に対するアノード電極。)を接地する形式の切換えスイッチング手段である。例えば、両方の可制御スイッチング手段の「使用する制御電極と駆動信号入力用に対を成さない主電極」(例:コレクタ電極、ドレイン電極、カノード・ゲート電極に対するアノード電極、アノード・ゲート電極に対するカソード電極。)を接地する形式の切換えスイッチング手段が有れば選択肢が増えて便利である。
従って、『両方の可制御スイッチング手段の「使用する制御電極と駆動信号入力用に対を成さない主電極」を接地する形式の切換えスイッチング手段が望まれる』という第4の問題点が有る。 (第4の問題点)
尚、上記「使用する制御電極」と限定する理由は、例えばカード・ゲート電極とアノード・ゲート電極を持つ4端子サイリスタの様に複数の制御電極を持つ可制御スイッチング手段の場合、「使用しない制御電極」が有る、からである。
【0009】
そして、図2、図3の各切換えスイッチング手段や他の切換えスイッチング手段などでは最近の回路周波数の高周波数化に伴い『スイッチング速度を速くしたい』という第5の問題点が常に有る。 (第5の問題点)
例えば、図2の切換えスイッチング手段では前述した通り電源短絡電流による逆バイアス効果によりトランジスタ1のターン・オフのスイッチング速度は速くなるけれども、トランジスタ7のターン・オフのスイッチング速度は同様の作用は働かず、そのままでは速くならない。図3の切換えスイッチング手段などでもトランジスタ1、6について同じ事が言える。
【0010】
ついでなら、図4〜図12の各切換えスイッチング手段は図3の切換えスイッチング手段を利用したCMOSやCBi−CMOSの論理回路である。また、図11、図12の各切換えスイッチング手段では4つの電源線V1〜V4は番号順にその電位は高くなるが、電源線V1、V2が同電位あるいは電源線V3、V4が同電位である場合も有る。さらに、図3の切換えスイッチング手段においてトランジスタ9のエミッタと抵抗26のエミッタ側をグランド線に接続せず、図11、図12の各切換えスイッチング手段の様にグランド線より電位が低い電源線に接続する場合も有る。同様にトランジスタ8のエミッタと抵抗23のエミッタ側もプラスV電源線より電位が高い電源線に接続する場合も有る。この様な事は図4〜図10の各切換えスイッチング手段についても同様である。
【0011】
【発明の目的】
そこで、発明は『前述した第1〜第5の各問題点を解決する』つまり『同時オン防止機能が両方有り完全で』、『部品点数が少なく、構成が簡単であり』、『同時オン防止の為にオン・オフ検出用の直流電源手段が要らない』、『両方の可制御スイッチング手段の「使用する制御電極と駆動信号入力用に対を成さない主電極」を接地する形式である』、『オフ制御の仕方によりスイッチング速度が速くなる』切換えスイッチング手段を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の開示】
即ち、発明は、ノーマリィ・オフで自己ターン・オフ機能を持つ第1の可制御スイッチング手段の駆動信号入力用に対を成す制御電極、主電極を制御電極ce1、主電極me1と呼び、制御電極ce1・主電極me1間の順バイアス電圧極牲をプラスとし、ノーマリィ・オフで自己ターン・オフ機能を持つ第2の可制御スイッチング手段の駆動信号入力用に対を成す制御電極、主電極を制御電極ce2、主電極me2と呼び、制御電極ce2・主電極me2間の順バイアス電圧極性をマイナスとしたときに、
主電極me1から主電極me2へ向かって第1、第2の非可制御スイッチング手段を直列接続し、
主電極me1から制御電極ce2へ向かって第3の非可制御スイッチング手段を接続し、
制御電極ce1から主電極me2へ向かって第4の非可制御スイッチング手段を接続しな切換えスイッチング手段である。
【0013】
このことによって、前記第1の可制御スイッチング手段がオンである限り、前記第1の可制御スイッチング手段が前記第3の非可制御スイッチング手段を介して制御電極ce2の電位を持ち上げるので、前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オンは阻止される。一方、前記第2の可制御スイッチング手段がオンである限り、前記第2の可制御スイッチング手段が前記第4の非可制御スイッチング手段を介して制御電極ce1の電位を引き下げるので、前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オンは阻止される。その結果、前記第1、第2の可制御スイッチング手段の同時オンはどちらのオン時にも阻止される。
万が一、前記第1、第2の可制御スイッチング手段が同時オンし掛かっても、両方を流れる短絡電流が前記第1、第2の非可制御スイッチング手段にも流れてこれらに電圧降下(両順電圧の相)を生じるので、両順電圧の和が、前記第3の非可制御スイッチング手段を介して前記第2の可制御スイッチング手段を逆バイアスしてそのターン・オンを阻止し、同時に前記第4の非可制御スイッチング手段を介して前記第1の可制制御スイッチング手段を逆バイアスしてそのターン・オンを阻止する。その結果、その短絡電流は自動的に制限され、小さくなる。
そんな訳で、図2の切換えスイッチング手段と違って『同時オン防止機能は両方有り完全なものとなる』という第1の効果が発明に有る。
(第1の効果)
【0014】
また、『その部品点数は6個と少なく、しかも構成が簡単である』という第2の効果が発明に有る。(第2の効果)
さらに、前記構成には直流電源が無いため『同時オン防止の為にオン・オフ検出用の直流電源が要らない』という第3の効果が発明に有る。
(第3の効果)
それから、上記切換えスイッチング手段に電源を接続する場合、主電極me1、主電極me2に電源を接続せず、『どちらの可制御スイッチング手段も、使用する制御電極と駆動信号入力用に対を成さない主電極を接地する形式である』という第4の効果が発明に有る。
(第4の効果)
【0015】
その結果、その様な接地形式のため制御電極ce1の電位をマイナス電位方向に引っ張って前記第1の可制御スイッチング手段をオフ制御する場合、その主電流が前述した図2のトランジスタ1の時と同様に逆バイアス電流となって主電極me1・制御電極ce1間に流れ込んでこれを逆バイアスするので、前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オフのスイッチング速度は速まる。
このとき前記第1の可制御スイッチング手段前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オンを阻止していれば、前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オフ高速化により前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オンのスイッチング速度も速まる。ただし、その逆バイアス電流は前記第1の可制御スイッチング手段とそのオフ制御するオフ制御手段に流れる短絡電流であるから、図2の切換えスイッチング手段の様に主スイッチング手段2つ(トランジスタ1、7)を流れる短絡電流よりは小さくなるのが普通である。
【0016】
その反対に制御電極ce2の電位をプラス電位方向に引っ張って前記第2の可制御スイッチング手段をオフ制御する場合、その主電流が同様に逆バイアス電流となって制御電極ce2・主電極me2間に流れ込みこれを逆バイアスするので、前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オフのスイッチング速度は速まる。このとき前記第2の可制御スイッチング手段前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オンを阻止していれば、前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オフ高速化により前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オンのスイッチング速度も速まる。
これらの様にオフ制御する場合、結局『全体のスイッチング速度が速い』すなわち『オフ制御の仕方によりスイッチング速度が速くなる』という第5の効果が発明に有る。(第5の効果)
【0017】
本発明が請求項2記載の切換えスイッチング手段に対応する場合、制御電極ce1と制御電極ce2が接続され、前記第3の非可制御スイッチング手段の代わりに前記第1の定電圧手段が使用され、前記第4の非可制御スイッチング手段の代わりに前記第2の定電圧手段が使用されており、前記第1、第2の定電圧手段それぞれが前記第3、第4の非可制御 スイッチング手段の各役割を果たす。
つまり、前述(段落番号0013)と同様に、前記第1の可制御スイッチング手段がオンである限り、前記第1の可制御スイッチング手段が前記第1の定電圧手段を介して両制御電極の電位を持ち上げるので、前記第2の可制御スイッチング手段のターン・オンは阻止される。一方、前記第2の可制御スイッチング手段がオンである限り、前記第2の可制御スイッチング手段が前記第2の定電圧手段を介して両制御電極の電位を引き下げるので、前記第1の可制御スイッチング手段のターン・オンは阻止される。その結果、前記第1、第2の可制御スイッチング手段の同時オンはどちらのオン時にも阻止される。
そして、万が一、前記第1、第2の可制御スイッチング手段が同時オンし掛かっても、両方を流れる短絡電流が前記第1、第2の非可制御スイッチング手段にも流れてこれらに電圧降下(両順電圧の和)を生じるので、両順電圧の和が、前記第1の定電圧手段を介して前記第2の可制御スイッチング手段を逆バイアスしてそのターン・オンを阻止し、同時に前記第2の定電圧手段を介して前記第1の可制制御スイッチング手段を逆バイアスしてそのターン・オンを阻止する。その結果、その短絡電流は自動的に制限され、小さくなる。従って、図2の切換えスイッチング手段と違って『同時オン防止機能は両方有り完全なものとなる』という効果が本発明の請求項2記載の切換えスイッチング手段にも有る。
【0018】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明をより詳細に説明する為に以下添付図面に従ってこれを説明する。図1に発明の実施例を示す。次の通りそれぞれが前述の各構成要素に相当する。
a) トランジスタ1、6が前述の第1、第2の可制御スイッチング手段に。
b) ダイオード3、4、2、5が前述の第1〜第4の非可制御スイッチング手段に。
c) トランジスタ1のベース電極、エミッタ電極が前述の制御電極ce1、主電極me1に。
d) トランジスタ6のベース電極、エミッタ電極が前述の制御電極ce2、主電極me2に。
【0019】
その動作は次の通りである。トランジスタ1がオンである限りトランジスタ1がダイオード2を介してトランジスタ6のベース電位を持ち上げるので、トランジスタ6のターン・オンは阻止される。一方、トランジスタ6がオンである限りトランジスタ6がダイオード5を介してトランジスタ1のベース電位を引き下げるので、トランジスタ1のターン・オンは阻止される。
また、仮に、トランジスタ1、6が同時にターン・オンしようとしても、トランジスタ1、ダイオード3、4及びトランジスタ6を流れ始める短絡電流がダイオード3、4に電圧降下を生じ、両順電圧の和がダイオード5を介してトランジスタ1のエミッタ接合(ベース・エミッタ間PN接合)に、そして、ダイオード2を介してトランジスタ6のエミッタ接合に、それぞれ印加される。その結果、トランジスタ1、6は同時に逆バイアスされ、同時ターン・オンは阻止される。
【0020】
尚、ダイオード16が有ればトランジスタ1とダイオード16は逆阻止型の可制御スイッチング手段を構成し、ダイオード19が有ればトランジスタ6とダイオード19は逆阻止型の可制御スイッチング手段を構成する。
【0021】
図13〜図16の各図に他の非可制御スイッチング手段の例を1つずつ示す。発明の各実施例において各ダイオードの代わりに非可制御スイッチング手段としてこれらを1つずつ図20の実施例の様に使うことができる。他にもコレクタとゲートを接続した逆阻止型IGBT、アノードとゲートを接続した逆阻止型サイリスタ、逆印加電圧がそのツェナー電圧より小さい場合ツェナー・ダイオード等が有る。
【0022】
図17〜図21の各図に発明の実施例を1つずつ示す。図17の実施例はMOS・FETを使った切換えスイッチング手段である。図18の実施例はIGBTを使った切換えスイッチング手段である。図19の実施例はGTOサイリスタを使った切換えスイッチング手段である。各GTOサイリスタに大きな逆バイアス電圧が必要な場合ダイオード3、4に順電圧の大きなダイオードを使うか、複数のダイオードの直列回路を使えば良い。図20の実施例はMOS・FETを使った切換えスイッチング手段で、前述した通り図13〜図16の各非可制御スイッチング手段を使っている。
【0023】
図21の実施例はMOS・FETとバイポーラ・トランジスタをカスケード接続したものを使った切換えスイッチング手段である。ダイオード102、105が接続されていれば、トランジスタ1がオンの間トランジスタ1がトランジスタ6のベース電位とトランジスタ28のゲート電位を持ち上げ、トランジスタ6、28のターン・オンを阻止し、が接続されていれば、トランジスタ6がオンの間トランジスタ6がトランジスタ1のベース電位とトランジスタ27のゲート電位を引き下げ、トランジスタ1、27のターン・オンを阻止する。
【0024】
図21の実施例において、電源線を節約する等のなめに電位V4、V3が同電位で、電位V2、V1が同電位の場合もある。あるいは、電位V4が電位V3より高く、電位V1が電位V2より低くて、トランジスタ1、6それぞれに充分なベース順ハイアス電圧を供給し、各オン電圧を小さくする場合もある。または、電位V4が電位V3より低く、電位V1が電位V2より高くて、出力電圧の立上り、立下りを鋭くする場合もある。この場合、切換えスイッチング手段の負荷が容量性だと、その充電電圧を低くしてエネルギーを節約することもできる。
【0025】
図22〜図31の各図に論理回路を構成する発明の実施例を1つずつ示す。図22の実施例は図1の実施例を利用したCBi−CMOSのインバータ回路である。図23の実施例は図1の実施例を利用したCBi−CMOSのNAND回路である。図24の実施例は図1の実施例を利用したCBi−CMOSのNOR回路である。図25の実施例は図1の実施例を利用したバッファー回路である。図26の実施例は図1の実施例を利用したCBi−CMOSのOR回路である。図27の実施例は図1の実施例を利用したCBi−CMOSのAND回路である。図28の実施例は図22の実施例において4つのダイオードを使って1組のCMOSを無くしたCBi−CMOSのインバータ回路である。図29の実施例は同じくバッファー回路である。図30の実施例は図22の実施例において1つのダイオードを使って1組のCMOSを無くしたCBi−CMOSのインバータ回路てある。図31の実施例は同じくバッファーである。
(参考:特開平2−153618号の図62、図63、図76)
【0026】
尚、図22〜図24、図28、図30の各実施例では各Pチャネル型MOS・FETのドレイン電位と各NPNトランジスタのコレクタ電位を同電位にしているけれども、図21の実施例のところで説明しな様に各ドレイン電位を各コレクタ電位より高くする場合も有るし、低くする場合も有る。同様に各Nチャネル型MOS・FETのドレイン電位と各PNPトランジスタのコレクタ電位の関係についても同じ様な事が言える。同様に図25〜図27、図29、図31の各実施例においても電位V4、V3の関係についても、そして、電位V2、V1の関係についても同じ様な事が言える。
【0027】
図32〜図33の各実施例は請求項3記載の双方向性切換えスイッチング手段などに対応する。図34〜図35両図に示す実施例は「駆動回路を持つ一方向性の切換えスイッチング手段」で、そして、両図中の各IGBTが逆阻止型ならば、点線で示す各ダイオードは要らない。図36〜図39の四図に示す実施例は請求項3記載の双方向性切換えスイッチング手段などに対応し、駆動回路を持つ。図38〜図39の二図に示す駆動回路の代わりに図40〜図41の二図に示す駆動回路あるいは図42〜図43の二図に示す駆動回路を用いても良い。図44の実施例はブリッジ接続型スイッチング手段を構成し、IGBTを使っている。
【0028】
図45〜図70の各図に1つずつ示す発明の実施例は請求項2記載の切換えスイッチング手段に対応する。図45の実施例は、ダイオード17、18を接続した図1の実施例においてトランジスタ1、6の両ベースを接続し、だぶったダイオード17、2を1つにまとめ、だぶったダイオード18、5を1つにまとめた切換えスイッチング手段である。図45のダイオード17、18は請求項2記載中の第1、第2の定電圧手段に相当するが、当然の事ながらダイオード17、18の代わりにトランジスタ1、6の各順バイアスを邪魔しないならどんな定電圧手段(例:ツェナー・ダイオード、双方向性定電圧手段。)でも構わない。
【0029】
図46の実施例の同時オン防止機能について説明する。いま仮に端子29の電位がプラス電源線の電位にあってトランジスタ1がオンとする。そして、端子29の電位をスイッチング手段によってマイナス電源線の電位に引き下げて、オン、オフの切換えを行うとする。もし、トランジスタ1のターン・オフが遅れると、小さな電源短絡電流がトランジスタ1、ダイオード17、端子29及び上記スイッチング手段を経て流れる。その電源短絡電流がダイオード17に生じる電圧降下(順電圧)がトランジスタ1に対してベース逆バイアス電圧となって印加されるので、トランジスタ1のオフ制御が強化され、そのターン・オフは速まる。
ここで、大事な事は、その電源短絡電流はトランジスタ1からダイオード3、4及びトランジスタ6のエミッタ接合(ベース・エミッタ間PN接合)を経て端子29へ流れるよりもダイオード17を経て流れる方が電圧降下の面から断然流れ易い、ことである。その結果、トランジスタ1、6両方を流れる電源短絡電流は無く、トランジスタ1、6両方による電源短絡は起きない。
【0030】
また、図46の切換えスイッチング手段の負荷が容量性の場合に、トランジスタ1がターン・オフする間にその充電電流もしくは放電電流がダイオード4とトランジスタ6を介して流れても、ダイオード4のアノード電位は端子29の電位よりトランジスタ6のエミッタ接合の順電圧とダイオード4の順電圧の和に相当する電圧分高く、ダイオード17のアノード電位は端子29の電位よりダイオード17の順電圧分高いだけなので、ダイオード4のアノード電位はダイオード17のアノード電位より高い。このため、ダイオード3はオフだから、結局、電源短絡電流はトランジスタ1、6両方を流れることは無い。同様にトランジスタ6のターン・オフ時についても同じ事が言える。こういう同時オン防止機能が図45〜図70の各実施例に有る。
【0031】
図53の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのインバータ回路である。図54の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのNOR回路である。図55の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのNAND回路である。図56の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのバッファー回路である。図57の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのAND回路である。図58の実施例は図46の実施例を利用したCBi−CMOSのOR回路である。
【0032】
尚、図53〜図55の各実施例では各Pチャネル型MOS・FETのドレイン電位と各NPNトランジスタのコレクタ電位を同電位にしているけれども、上述した通り各ドレイン電位が各コレクタ電位より高くする場合も有るし、低くする場合も有る。同様に各Nチャネル型MOS・FETのドレイン電位と各PNPトランジスタのコレクタ電位を同電位についても同じ様な事が言える。同様に図56〜図58の各実施例においても電位V4、V3についても、そして、電位V2、V1についても同じ様な事が言える。
【0033】
図59〜図66の各実施例は直に各種の論理回路を構成するので、『入力から出力までの遅延時間が短くなる』という利点が有る。各Pチャネル型MOS・FETの代わりにPチャネル型IGBTで1つずつ置き換えても良いし、各Nチャネル型MOS・FETの代わりにNチャネル型IGBTで1つずつ置き換えても良い。各Pチャネル型、各Nチャネル型とも置き換えると、出力電流容量とオン電圧の面で都合が良い。ついでに各ダイオードをコレクタとゲートを接続した、オン・オフきい値の低い逆阻止型IGBTで1つずつ置き換えればIC化の面で都合が良くなる。図67〜図70の各実施例も可能である。
【0034】
71の実施例は発明の切換えスイッチング手段を利用して共振型インバータ装置(電力変換装置の一種)を構成したものである。
【0035】
最後に、以下の事を補足する。
(A)発明の各実施例では前述の第1〜第2の可制御スイッチング手段として組み合わせる可制御スイッチング手段は同じ種類の可制御スイッチング手段に限定されない。異なる種類の可制御スイッチング手段(例:NPNトランジスタとP・MOS・FET。)を組み合わせても構わない。また、各可制御スイッチング手段としてそれぞれの代わりに他にノーマリィ・オフ型SIT、SIサイリスタなど、それと順バイアス電圧極性が同じノーマリィ・オフの可制御スイッチング手段なら何でも使うことができる。
(B) 各実施例において、非可制御スイッチング手段はその正、逆印加電圧の範囲で非可制御スイッチング手段として働くならば何でも良い。例えば、そのツェナー方向にツェナー電圧以上の電圧が印加されないツェナー・ダイオード。また、各バイポーラ・トランジスタのベース・コレクタ間にショットキー・バリア・ダイオードを1つずつ接続して、そのコレクタ電圧をクランプしても良い。
【0036】
(C)発明の効果には他に以下3つの効果が有る。
a) 電源電圧の大きさに関係無く作用する。図3の従来技術ではその作用は電源電圧に左右される。つまり、電源電圧が小さいとトランジスタ8、9それぞれは順バイアスされてもそのオン、オフしきい値電圧と抵抗23、24の抵抗比、抵抗25、26の抵抗比の関係でターン・オンできない。
b) ターン・オンを阻止できる順バイアス電流が大きい。図3の従来技術ではトランジスタ8、9の各ベースと各電流増幅率の積に応じた各コレクタ電流以上のトランジスタ6、1の各ベース電流が流れるのを阻止できない。また、阻止する方のスイッチング手段は一般的に阻止される方のスイッチング手段より電流容量が小さいから、図4の回路についても言える。
ただし、トランジスタ8、9の各ベース電流を大きくすれば、この問題は解決するけれども、c)項で述べる様に今度はエネルギー損失などが増えてしまう。また、電流容量の大きい可制御スイッチング手段を使うと、コスト・アップになるし、広いスペースも必要になる。
c) 一方がオンのとき他方をオフに保つためのエネルギー損失が無い。図3〜図12等の従来技術ではトランジスタ1、6の一方がオンの間トランジスタ8、9の一方にベース電流が流れっ放しになるので、エネルギー損失、発熱が有る。特に、電源電圧が大きい場合、このエネルギー損失、発熱は無視できない。
【0037】
(D) 各実施例において、各可制御スイッチング手段をその相補関係にある可制御スイッチング手段(例:NPNトランジスタに対するPNPトランジスタ。)で1つずつ置き換え、電圧極性、方向の有る各回路構成手段(例:直流電源、ダイオード等。)の向きを逆にした各回路、つまり、各実施例と電圧極性に関して対称的な関係にある各実施例(派生実施例)もまた可能である。
(E) 各実施例において抵抗をその構成要素として使う場合その抵抗の代わりにそのドレインとゲートを接続したノーマリィ・オフのMOS・FET、そのゲートとソースを接続したノーマリィ・オンの接合型FET又はMOS・FET又はSIT等を使うことができる。
【0038】
【本発明者の関連出願】
a)特開平2−153618号 b)特開平3−179815号
c)特開平6−13871号 d)特開平6−77800号
e)特開平6−85640号 f)特願平6−274223号
g)実開平3−123326号 h)実開平3−128332号
i)実開平4−103030号
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の1実施例を示す回路図である。
Figure 0003657676

Claims (3)

  1. ノーマリィ・オフで自己ターン・オフ機能を持つ第1の可制御スイッチング手段の駆動信号入力用に対を成す制御電極、主電極を制御電極ce1、主電極me1と呼び、制御電極ce1・主電極me1間の順バイアス電圧極性をプラスとし、ノーマリィ・オフで自己ターン・オフ機能を持つ第2の可制御スイッチング手段の駆動信号入力用に対を成す制御電極、主電極を制御電極ce2、主電極me2と呼び、制御電極ce2・主電極me2間の順バイアス電圧極性をマイナスとしなときに、
    主電極me1から主電極me2へ向かって第1、第2の非可制御スイッチング手段を直列接続し、
    主電極me1から制御電極ce2へ向かって第3の非可制御スイッチング手段を接続し、
    制御電極ce1から主電極me2へ向かって第4の非可制御スイッチング手段を接続したことを特徴とする切換えスイッチング手段。
  2. 主電極me1から制御電極ce1へ向かって第1の定電圧手段を接続し、
    制御電極ce2から主電極me2へ向かって第2の定電圧手段を接続し、
    制御電極ce1と制御電極ce2を接続し、
    前記第3、第4の非可制御スイッチング手段を取り外し、
    前記第1の定電圧手段が前記第3の非可制御スイッチング手段の役割を果たし、
    前記第2の定電圧手段が前記第4の非可制御スイッチング手段の役割を果たすことを特徴とする請求項1記載の切換えスイッチング手段。
  3. 「請求項1又は2記載の切換えスイッチング手段において前記第1、第2の可制御スイッチング手段に逆阻止型を用いた1方向性切換えスイッチング手段」2つを逆並列接続し、
    前記第1、第2の非可制御スイッチング手段の接続点同士を接続したことを特徴とする双方向性切換えスイッチング手段。
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