JP3657033B2 - 粘土層間架橋多孔体の製造法 - Google Patents

粘土層間架橋多孔体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着材、吸着分離材、触媒、触媒担体など、均一なミクロ〜メソポアをもつ無機多孔体を必要とする分野で利用される粘土層間架橋多孔体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粘土層間架橋多孔体は、スメクタイトのような膨潤性粘土鉱物の結晶構造層間を、Al2 3 、ZrO2 、SiO2 −TiO2 あるいはFe2 3 などの無機物ピラーで架橋し、数〜数十オングストローム程度のスリット状の細孔を形成させたものである。この架橋化工程は、無機物ピラーの前駆体となる水酸化金属多核カチオンを水溶液中で膨潤性スメクタイトの層間カチオンと交換させ、然るのち加熱処理して金属酸化物ピラーを形成させるという方法によっている。この時ピラー前駆体のみを単独で層間に導入した形では、放置によってクロライト型構造に変化したり、また加熱処理によってピラーが崩壊するなど安定な架橋形成が行なわれ難い。そのため、架橋形成助剤としての機能をもつ有機化合物を共存させることが必要である。この有機化合物はピラー前駆体とともに粘土鉱物にインターカレートされてその結晶構造層間の空隙を埋め、加熱処理による酸化物ピラーの形成を助けるとともに、加熱分解除去されることによってピラー間に空間を形成する役割を果たす。
【0003】
これまで架橋形成助剤として有効とされてきた有機化合物は、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレンオキシド(PEO)のような水溶性ノニオン高分子(特開平4−254410号公報等)、RO(CH2 CH2 O)5 のようなノニオン性界面活性剤(L.J.Michot他:Chem.Mater.,1992〔4〕,1433〜1437)、オクタデシルトリメチルアンモニウム(OTMA)のようなカチオン性有機化合物分子(高浜 孝一他:日本セラミックス協会学術論文誌,99〔1〕,14〜18(1991))などである。水溶性ノニオン高分子は、ピラー前駆体に先立って粘土懸濁液中に添加され、層間を膨潤させて、ピラー前駆体のインターカレートを容易にするとともに、酸化物ピラーの高さを増加させる機能をもつ。しかし、この方法によると生成物の濾過・洗浄が全く困難で、溶液中に存在する過剰のピラー前駆体を取り除くことができず、生成した層間架橋多孔体に異種の多孔性物質が混在することを免れない。ノニオン性界面活性剤は、ピラー前駆体と混合された形で粘土懸濁液中に添加され、層間に同時的にインターカレートされる。この方法によると生成物は凝集状態で得られ、濾過・洗浄が容易になる。しかし、撹拌による発泡が甚だしく、作業に困難がある。カチオン性有機化合物分子は、インターカレート反応においてピラー前駆体と競合する性格のものであるので、ピラー前駆体が添加された後の粘土懸濁液に添加され、ピラー間に空間を確保するいわゆるテンプレート剤としての役割のみを果たす。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来法での架橋形成助剤が抱える製造時の作業性不良(濾過、洗浄の困難性や撹拌時の発泡)という問題点を解消するとともに、熱的安定性を有し大きな比表面積を持ち均一性のある細孔構造を有する多孔体を得ることができる、粘土層間架橋多孔体の製造法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
スメクタイト型と総称される粘土鉱物は、天然産のモンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイトなどの他、合成物の膨潤性フッ素系雲母類を含み、層状シリケートアニオンがカチオンを挟んで積層した構造をもつ。層間のカチオンには交換性があり、またカチオンに極性分子が配位することによって膨潤性が示される。ピラー前駆体となる水酸化金属多核カチオンは、スメクタイトのカチオン交換特性によって層間に導入されるものである。また従来の架橋形成助剤であるカチオン性または極性をもつノニオン性の有機化合物は、それぞれ、カチオン交換特性またはカチオンへの配位特性によって層間に導入され、機能するものである。
【0006】
ところで、アニオン性物質はスメクタイトと上述のような係わりを持ち得ないので、架橋形成助剤をアニオン性有機化合物に求める試みはこれまでなされて来なかった。本発明者らは、アニオン性有機化合物をピラー前駆体となる水酸化金属多核カチオンと結合させることによりカチオン性無機有機複合体ゾルを形成させ、このゾルをスメクタイトの層間に導入した。その結果、この方法によって製造時の撹拌・濾過・洗浄の各操作がきわめて容易になり、かつ生成する層間架橋多孔体の比表面積も従来製法によるものを凌ぐことが見出され、本発明の製造法を開発するに至った。
【0007】
即ち、本発明による粘土層間架橋多孔体の製造法は、スメクタイト型粘土鉱物の結晶構造層間をアルミナ質ピラーにより架橋して得られる粘土層間架橋多孔体の製造法であって、ピラー前駆体となる水酸化アルミニウムポリカチオンを、水溶液中であらかじめイオン当量未満のアニオン性有機化合物と結合させ、カチオン性無機有機複合体ゾルを形成させるゾル化工程と、該カチオン性無機有機複合体ゾルと膨潤性スメクタイトとを接触させることにより、スメクタイトのシリケート層間にカチオン性無機有機複合体が層間挿入された層間化合物を形成させるインターカレーション工程と、該層間化合物を濾過・洗浄したのち乾燥し、加熱処理してアルミナ質ピラーを形成させるとともに有機物を分解除去してシリケート層間に細孔を形成させる多孔化工程を含むこと、を特徴としている。
前記アニオン性有機化合物としてはアニオン染料を用いることが好ましく、さらには該アニオン染料が、分子内にカチオン性基を併せもつトリフェニルメタン系染料またはキサンテン系染料であることが好ましい。
【0008】
〔発明の具体的説明〕
本発明は、スメクタイト型粘土鉱物の結晶構造層間をアルミナ質ピラーにより架橋して得られる粘土層間架橋多孔体の製造法である。ここで、スメクタイト型粘土鉱物は、天然産のモンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイトなどの他、合成物の膨潤性フッ素系雲母類を含み、層状シリケートアニオンがカチオン(例えば、Na+ 、Ca+2等)を挟んで積層した結晶構造をもつ。シリケート層間のカチオンには交換性があり、またカチオンに極性分子が配位することによって層間が拡がり膨潤性が示される。このカチオン交換性と膨潤性の2つの特性は、層間カチオンがNa+ であるNa形スメクタイトにおいて特に著しい。ピラー前駆体となる水酸化アルミニウムポリカチオンが、スメクタイトのカチオン交換特性によってシリケート層間に導入され、加熱処理によりアルミナをピラーに有する粘土層間架橋多孔体を得る。
【0009】
ゾル化工程
ピラー前駆体となる水酸化アルミニウムポリカチオンを、水溶液中であらかじめイオン当量未満のアニオン性有機化合物と結合させ、カチオン性無機有機複合体ゾルを形成させる工程である。
水酸化アルミニウムポリカチオンを含有する溶液に、そのイオン当量より少ない量の有機アニオンを含有する溶液を添加すれば、一般的にはアルミニウムポリカチオンの一部は有機アニオンと結合して不溶化物を形成し、また一部は溶液中に遊離状態で存在し、残る部分は有機アニオンと結合してカチオン性ゾルを形成する。この3者の生成割合は、アルミニウム塩溶液の塩基度や濃度その他の調製条件、有機物の添加モル比、温度などによって影響され、条件を選べば不溶化物の生成を抑制し、遊離有機アニオンを減らし、カチオン性ゾルの収率を高めることができる。塩基度が高いと不溶化物を生じ、低いと水酸化アルミニウムポリカチオンが小さくピラーの大きなものを得難いので、不溶化物を生じ難い範囲でできるだけ塩基度は高い方がよい。しかし、不溶化物が全く生成しない条件下で調製したカチオン性ゾルが必ずしも良い最終生成物(層間架橋多孔体)を与えるわけではないので、実際には混合溶液を濾過して不溶化物を濾別除去する操作が必要である。濾液としてアルミニウムポリカチオンと有機アニオンの結合物よりなるカチオン性無機有機複合ゾル液が得られる。
【0010】
水酸化アルミニウムポリカチオン
水酸化アルミニウムポリカチオンを含む溶液は、塩化アルミニウムや硝酸アルミニウムのような水可溶性アルミニウム塩溶液を、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムのようなアルカリ溶液で部分中和することによって調製しうる。この方法では、部分中和度を変えることにより、塩基度の種々に異なるアルミニウム塩溶液を得ることができるが、溶液中にNa塩が共存することは避けられない。溶液中にあるアルミニウムカチオンの種類と存在率分布は、溶液濃度、添加速度、撹拌効率、温度、熟成時間などの調製条件に依存する。
【0011】
Na塩を含まない水酸化アルミニウムポリカチオン塩としては、塩化水酸化アルミニウム(ACH)が使用できる。このものはポリ塩化アルミニウム(PAC)という慣用名で、溶液あるいは粉末の形で市販されており、Al2 (OH)5 C1組成(塩基度:2.5)が代表的である。これに塩化アルミニウムを添加すれば名目的な塩基度を2.5以下に変化させることができる。しかし、カチオン間の反応速度が遅く、共存するアルミニウムカチオン種が平衡状態に達するには長期間を要するため、塩基度は平均値を表わすに留まる。溶液中にあるアルミニウムカチオンの種類と存在率分布は、過渡的あるいは準安定的は状態にあり、調製条件に依存する。
【0012】
アニオン性有機化合物
アニオン性有機化合物は主として有機酸塩であり、水溶液中で水酸化金属多核カチオンと接触させると、不溶化物を析出する場合が多い。不溶化物を析出することなくゾル液を形成するのはどのような場合かについての一般則は不明であるが、混合比の要因以外に有機物分子自身のもつ要因として、アニオン基の数と酸としての強弱、分子の大きさと形状、荷電の分布状態、親水基の配置などが影響するものと推測される。経験的には、分子内にカチオン基が共存し一部のアニオン基と分子内塩を形成しているものがゾル化する傾向が強い。ピラー前駆体である多核カチオンとの混合により不溶化物が生成しない場合でも、カチオン性ゾルが形成されているかどうかは溶液の見掛けだけではわからない。しかし、アニオン性有機化合物としてアニオン染料を用いた場合は、カチオン性ゾルが形成されていれば、スメクタイト中へのインターカレーションを着色によって視認できるので、これを利用して有効なアニオン染料を探索することができる。さらに、架橋形成助剤としての機能をもちうるためには、ある程度炭素数の多い(例えば炭素数20以上)大きい分子であることが必要である。ピラー前駆体が水酸化アルミニウムポリカチオンの場合には、C.I.(Colour Index)Acid Blue 1,同7,同9,同15,同22,同90,同83,同93,同100,同102,同103,同104,C.I.Acid Green 3,同5,同9,同16,C.I.Acid Violet49,C.I.Direct Blue 41 などの分子内にカチオン性基を併せもつトリフェニルメタン系染料や、C.I.Acid Blue 59,C.I.Acid Red 52などの分子内にカチオン性基を併せもつキサンテン系染料が挙げられる。特に、C.I.Acid Blue 9は食用色素青色1号(C37342 9 3 Na2 )、C.I.Acid Green 5 は同緑色2号(C37342 103 Na2 )、C.I.Acid Red 52 は同赤色106号(C27292 7 2 Na)として用いられるものであり、これらを使用すれば製造原料は人体無害性の物質のみから構成されることになる。
【0013】
インターカレーション工程
溶媒中に分散し膨潤させたスメクタイトの懸濁液と上記ゾル化工程により得られたカチオン性無機有機複合体ゾルとを接触させることにより、スメクタイトのシリケート層間にカチオン性無機有機複合体が層間挿入された層間化合物を形成させる工程である。
スメクタイト型粘土鉱物、例えば、Na形モンモリロナイトを水等の溶媒に分散し膨潤させた懸濁液を用意し、これをゾル化工程により得られたカチオン性ゾル液中によく撹拌しつつ添加すれば、スメクタイトの結晶構造層間にカチオン性ゾルがカチオン交換によりインターカレートされ、ピラー前駆体を含んだ層間化合物が生成する。スメクタイトは必ずしも懸濁液の形で添加する必要はなく、粉末状態のまま添加してもインターカレーションは起きる。しかし、反応を均一に進行させるためには予め懸濁液としておいた方がよい。本発明においては、界面活性剤を使用していないので、撹拌時に発泡して作業に支障を来すようなことはない。上記ゾル化工程におけるアニオン性有機化合物としてアニオン染料を用いた場合、着色カチオンゾルが得られ、上澄み液の淡色化の進行とともに沈降性着色物が生成するので、スメクタイトへのインターカレーションの進行を視認でき、工程管理上有利である。
【0014】
多孔化工程
インターカレーション工程により得た層間化合物を濾過・洗浄したのち乾燥し、加熱処理してアルミナ質ピラーを形成させるとともに有機物を分解除去して層間に細孔を形成させる工程である。
上記インターカレーション工程により得た層間化合物は濾過が容易であり、遊離して存在する過剰のアルミニウム塩を水で洗浄して除去することができる。従って、異種の多孔体物質が混在しない純粋な層間架橋多孔体を得ることができる。50℃乾燥物のX線回折測定を行って、2.0nm以上の底面間隔(なお、シリケート層の厚みは約1nm)をもつ積層構造が形成されていれば架橋多孔体を得ることができる。そして、乾燥後の層間化合物を、空気中でスメクタイトの結晶構造が破壊されない程度の400〜800℃の温度で焼成すれば、層間に水酸化アルミニウムポリカチオンの脱水反応によりアルミナ質架橋が形成されるとともに層間の有機物が酸化分解し、シリケート層間に細孔が形成される。
【0015】
ゾル化工程で生じ濾別除去された不溶化物は、塩化水酸化アルミニウムのようなアルミニウムポリカチオン塩溶液に溶解する。成分濃度を測定し組成調整して再溶解液をゾル化工程に再使用すれば、原料の有効利用率を高めることができる。
【0016】
【作用】
膨潤性スメクタイトの結晶構造層間に、水酸化アルミニウムポリカチオンとアニオン性有機分子との結合物から成るカチオン性無機有機複合ゾルをインターカレートさせるという手法により、ピラー前駆体を含んだ層間化合物を形成させうる。この層間化合物を空気中で400〜800℃の温度で焼成すれば、層間にアルミナ質ピラーが形成されるとともに、有機物が酸化分解により除去されて細孔空間を残す。従来、架橋形成助剤として用いられている水溶性高分子や界面活性剤が、重合度の分布をもつ混合物であるのに対し、本発明では単一分子種を用いるので、細孔空間はより均一なものとなると推定される。その結果、同じピラー量においてより大きい比表面積が与えられるはずである。ピラーとしてのAl2 3 含有率が同じく18.5%であっても、架橋形成助剤にPVAを用いた場合(比較例2)の比表面積が350m2 /gであるのに対し、本発明(実施例6)では432m2 /gとなる。このように均一な細孔を有しかつ大きな比表面積をもつので、特に吸着分離材として有用である。さらに有用な作用として、アニオン性有機化合物の使用は、生成する層間化合物の凝集・沈降性に影響を及ぼし、製造操作を容易にする。
【0017】
【実施例】
次に本発明の具体的態様を示すために、比較例とともに代表的な実施例を挙げるが、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下の例は全て製造時に、濾過・洗浄が可能な条件下で行ったものである。なお以下の例において、底面間隔は粉末X線回折法により、比表面積は窒素ガス吸着法により測定し、ピラー含有率は濾過・洗浄液中のAl量をオキシン塩法で求め、析出不溶化物の補正を行って算出した。
【0018】
比較例1
市販ACH溶液(浅田化学工業(株)製アルミノール,Al濃度:2.32M,比重1.185)36.4gを水で希釈して357mLとし、90℃に加温した。別に、市販Na形モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピア−F,C.E.C.(カチオン交換容量):1.19meq/g)3gを水300mLに分散させ90℃に加温した懸濁液を用意し、上の溶液中に撹拌をよく行いつつ一気に添加した。90℃でさらに2時間撹拌したのち、25℃で1日静置し、濾過し水で洗浄したのち50℃で乾燥して、底面間隔1.9nmの層間化合物を得た。このものを昇温速度5.5℃/分で500℃に加熱し、2時間焼成したのち室温まで放冷して、底面間隔1.7nm,ピラーAl2 3 含有率21.2%,比表面積134m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0019】
比較例2
市販PVA(和光純薬工業(株)製試薬、重合度:約2000)1.5gを添加した水300mLにNa形モンモリロナイト3gを分散させ、25℃で1時間撹拌してPVA/モンモリロナイト懸濁液を調製した。別に、ACH溶液36.4gを水で希釈して357mLとした溶液を用意し、よく撹拌を行いつつこの溶液に上の懸濁液を一気に添加した。25℃でさらに2時間撹拌したのち1日静置し、濾過・洗浄したのち50℃で乾燥して、底面間隔2.7nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.7nm,ピラーAl2 3 含有率18.5%,比表面積350m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。なお、PVA添加量を本例におけるよりも増量すると、生成物の濾過・洗浄は実際上不可能となった。
【0020】
実施例1
AlC13 ・6H2 O 8.617gを水に溶解して357mL(0.1M)とし90℃に加温した溶液と、Na2 CO3 4.161gを水に溶解して157mL(0.25M)とし90℃に加温した溶液とを撹拌しつつ一気に混合し、5分間撹拌して塩基度2.2の部分中和溶液を調製した。純度91.27%の市販C.I.Acid Blue 9(食用色素青色1号)染料1.550gを水89mLに溶解させ90℃に加温した溶液を、上の部分中和塩化アルミニウム溶液に15分かけて添加し、さらに45分間撹拌を続けたのち濾過した。不溶化物の生成は見られなかった。別に、Na形モンモリロナイト3gを水300mLに分散させ90℃に加温した懸濁液を用意し、上の濾液中に撹拌をよく行いつつ一気に添加した。90℃でさらに2時間撹拌したのち25℃で1日静置し、濾過・洗浄したのち50℃で乾燥して、底面間隔2.6nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率19.8%,比表面積390m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0021】
実施例2
C.I.Acid Blue 9染料の添加量を3.100gとする他は実施例1と同様にして、底面間隔2.8nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率25.8%,比表面積425m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0022】
実施例3
C.I.Acid Blue 9染料1.550gを水89mLに溶解させた溶液と、ACH溶液 36.43gとを用意し、ともに90℃まで加温したのちACH溶液中に染料溶液を1時間かけてゆっくり混合した。さらに90℃で1時間撹拌したのち生じた不溶化物を繰返し濾別し、不溶化物を全く含まないカチオン性ゾル液を得た。洗浄水を合わせて濾液全量を400mLとし、90℃に加温した。別にNa形モンモリロナイト 3gを水300mLに分散させ90℃に加温した懸濁液を用意し、上の濾液中に撹拌をよく行いつつ一気に添加した。90℃で更に2時間撹拌したのち25℃で1日静置し、濾過・洗浄したのち50℃で乾燥して、底面間隔2.2nmの層間化合物を得た。これを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.7nm,ピラーAl2 3 含有率24.2%,比表面積352m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0023】
実施例4
ACH溶液の添加量を72.86gとする他は実施例3と同様にして、底面間隔2.5nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率24.8%,比表面積398m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0024】
実施例5
C.I.Acid Blue 9染料の添加量を3.100gとし、ACH溶液の添加量を18.21gとるす他は実施例3と同様にして、底面間隔2.7nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率23.7%,比表面積408m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0025】
実施例6
C.I.Acid Blue 9染料1.550gを水89mLに溶解させた溶液と、ACH溶液18.21gにAlC13 ・6H2 O 8.617gを溶解させた溶液とを用意し、ともに90℃まで加温したのちACH−AlC13 溶液中に染料溶液を1時間かけてゆっくり混合した。さらに45分間撹拌を続けたのち濾過したが、不溶化物の生成は見られなかった。以下実施例3と同様に行なって、底面間隔2.6nmの層間化合物を得た。このものを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.8nm,ピラーAl2 3 含有率18.5%,比表面積432m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0026】
実施例7
純度89.08%の市販C.I.Acid Green 5(食用色素緑色2号)1.620gを水89mLに溶解させた溶液と、ACH溶液72.86gとを用意し、ともに90℃まで加温したのちACH溶液中に染料溶液を1時間かけてゆっくり混合した。さらに90℃以下で1時間撹拌したのち生じた不溶化物を繰返し濾別し、不溶化物を全く含まないカチオン性ゾル液を得た。洗浄水を合わせて濾液全量を400mLとし、90℃に加温した。以下、実施例3と同様にして、底面間隔2.3nmの層間化合物を得た。これを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率15.8%,比表面積438m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0027】
実施例8
純度89.05%の市販C.I.Acid Red 52(食用色素赤色106号)1.164gを水89mLに溶解させた溶液と、ACH溶液 36.43gとを用意し、ともに90℃まで加温したのちACH溶液中に染料溶液を1時間かけてゆっくり混合した。さらに90℃で1時間撹拌したのち生じた不溶化物を繰返し濾別し、不溶化物を全く含まないカチオン性ゾル液を得た。洗浄水を合わせて濾液全量を400mLとし、90℃に加温した。以下、実施例3と同様にして、底面間隔2.1nmの層間化合物を得た。これを比較例1と同様に500℃で2時間加熱処理して、底面間隔1.9nm,ピラーAl2 3 含有率15.5%,比表面積403m2 /gをもつ層間架橋多孔体を得た。
【0028】
実施例9
比較例2の層間化合物に対する加熱処理温度を500℃,700℃,800℃と変えたとき、層間架橋体の比表面積は、それぞれ350,310,193m2 /gであった。一方、実施例4の層間化合物においては、それぞれ398,328,161m2 /gであった。
【0029】
実施例10
比較例2、実施例3および実施例4で得られた層間架橋体について、窒素ガス吸着等温線を測定し、CI法によって細孔分布曲線を求め、図1に示す結果が得られた。本発明の方法による層間架橋体には、細孔直径1.0nm以下のミクロポア以外に、約1.5nmのポアがPVA法より多く存在し、濾過・洗浄可能な条件下で製造した層間架橋体では、メソポア量の多いものが得られることがわかる。
【0030】
【発明の効果】
粘土層間架橋多孔体に求められる特性はゼオライトのミクロポアより大きいメソポア領域の均一な細孔をもつことである。その特性を満たしても、製造工程上で難点があれば、実用されるに至らない。従来の製造法における濾過・洗浄の困難や撹拌時の発泡という問題点が、本発明によって解決される。即ち、本発明の製造法によれば、濾過・洗浄が容易で撹拌時の発泡も少なく、作業性が著しく改善され、かつ純粋な多孔体を得ることができる。また、比表面積が大きくかつ均一な細孔をもつ多孔体を得ることができる。同時に、粘土結晶構造層間へのインターカレーションが、架橋形成助剤としてアニオン染料を用いることによって可視化され、工程管理上大きな利便がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明試料および比較試料についての細孔分布曲線を示すグラフ。

Claims (3)

  1. スメクタイト型粘土鉱物の結晶構造層間をアルミナ質ピラーにより架橋して得られる粘土層間架橋多孔体の製造法であって、ピラー前駆体となる水酸化アルミニウムポリカチオンを、水溶液中であらかじめイオン当量未満のアニオン性有機化合物と結合させ、カチオン性無機有機複合体ゾルを形成させるゾル化工程と、該カチオン性無機有機複合体ゾルと膨潤性スメクタイトとを接触させることにより、スメクタイトのシリケート層間にカチオン性無機有機複合体が層間挿入された層間化合物を形成させるインターカレーション工程と、該層間化合物を濾過・洗浄したのち乾燥し、加熱処理してアルミナ質ピラーを形成させるとともに有機物を分解除去してシリケート層間に細孔を形成させる多孔化工程、を含むことを特徴とする製造法。
  2. 前記アニオン性有機化合物がアニオン染料である、請求項1に記載の粘土層間架橋多孔体の製造法。
  3. 前記アニオン染料が、分子内にカチオン性基を併せもつトリフェニルメタン系染料またはキサンテン系染料である、請求項2に記載の粘土層間架橋多孔体の製造法。
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