JP3656298B2 - 内燃機関の排気浄化方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関し、詳細には内燃機関から大気に放出される排気中のパティキュレート量を低減可能な排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、特にディーゼルエンジンの排気には、例えば煤、SOF(可溶性有機物、主に炭化水素)等から成る排気微粒子(パティキュレート)が含まれている。これらパティキュレートの大気への放出を防止する方法としては、例えばSOFに対しては、エンジン排気通路に酸化触媒を配置し排気中のSOFを酸化する方法が、また、煤に対してはエンジン排気通路にDPF(パティキュレートフィルタ)を配置し、排気中の煤を捕集する方法がある。また、酸化触媒下流側にパティキュレートフィルタを配置してSOFの酸化と煤の捕集との両方を実施することも可能である。
【0003】
ところが、酸化触媒を用いてSOFを処理する場合には、酸化触媒によりSO3 (サルフェート)が生成されてしまう問題がある。すなわち、エンジン燃料油、特にディーゼル燃料油には比較的多くの硫黄分が含まれており、この硫黄分はエンジンで燃焼して主にSO2 の形で排気とともに排出されるが、上記のように酸化触媒を用いてSOFを処理すると、排気中のSO2 も同時に酸化されてSO3 が生成されてしまう。ところが、SO3 はDPFなどには捕集されずそのままDPF下流側に流出し、パティキュレートとして検出されてしまう。このため、酸化触媒を用いてSOFを処理すると、逆に酸化触媒下流側で排気中のパティキュレート量が増加してしまう問題が生じる。
【0004】
特開昭53−38815号公報は、排気中のSOX (SO2 、SO3 等の硫黄酸化物の総称)を吸収可能なサルフェートトラップを用いて上記問題を解決する方法を開示している。
同公報の装置は、酸化触媒下流側の排気通路にサルフェートトラップを配置し、排気中のSO2 や酸化触媒で生成されたSO3 等のSOX を硫酸塩の形でサルフェートトラップに吸収することにより排気からSO3 を除去し、パティキュレート量の増加を抑制するものである。また、サルフェートトラップの温度が上昇して所定の脱離温度以上になると、サルフェートトラップ内に生成された硫酸塩が熱分解して、サルフェートトラップから吸収したSOX がSO3 の形で放出されるようになるため、排気中のパティキュレート量が増加する問題がある。同公報の装置では、サルフェートトラップに冷却空気を供給することにより、サルフェートトラップ温度を常に上記脱離温度より低い温度に維持し、サルフェートトラップからのSO3 放出が生じることを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特開昭53−38815号公報の装置では長時間エンジンの運転を続けるとサルフェートトラップが吸収したSOX で飽和してしまい、排気中のSO3 を吸収できなくなるため、パティキュレートの大気放出量が再び増加するようになる問題が生じる。すなわち、上記公報の装置では冷却空気を用いてサルフェートトラップ温度を脱離温度以下に維持することにより、吸収されたSOX がサルフェートトラップから放出されることを防止することを可能としているものの、一旦吸収されたSOX はサルフェートトラップから放出されることがないため、サルフェートトラップのSOX 吸収量は時間とともに増加する。このため、長時間エンジンの運転を続けるとサルフェートトラップがSOX で飽和してしまい、もはや排気中のSO3 を吸収することができなくなる。このように、サルフェートトラップがSOX で飽和した状態では、酸化触媒で生成されたSO3 はサルフェートトラップに吸収されず、そのままトラップ下流側に流出するようになるため、長時間運転を続けた後では大気に放出されるパティキュレートの量が再び増加するようになるのである。
【0006】
上記公報の装置においてもサルフェートトラップがSOX で飽和する前に定期的にサルフェートトラップ温度を脱離温度まで上昇させ、サルフェートトラップから吸収したSOX を放出させるようにすれば、サルフェートトラップの飽和を防止することは可能である。ところが、脱離温度近傍ではサルフェートトラップに吸収されたSOX の殆どはSO3 の形で放出されてしまうため、単に定期的にサルフェートトラップ温度を脱離温度まで上昇させるだけでは、いままでに吸収したSOX をSO3 の形でサルフェートトラップから一度に放出させる結果となり、全体としてパティキュレートの放出量を低減することはできない。
【0007】
本発明は上記問題に鑑み、長時間エンジンの運転を続けた場合でもパティキュレート排出量が増加することを防止可能な内燃機関の排気浄化方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、所定の脱離温度以下の時に排気中の硫黄酸化物を吸収し、前記脱離温度を越えたときに吸収した硫黄酸化物を放出するサルフェート吸収剤を内燃機関の排気通路に配置し、サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度以下のときに排気中の硫黄酸化物をサルフェート吸収剤に吸収させ、次いで、サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度まで上昇したときにサルフェート吸収剤温度を更に上昇させ、熱平衡により定まるサルフェート吸収剤からの放出硫黄酸化物中のSO3 の比率が、前記脱離温度における放出硫黄酸化物中のSO3 比率より小さくなる温度にサルフェート吸収剤の温度を維持することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0009】
サルフェート吸収剤温度が脱離温度以上になると、サルフェート吸収剤から吸収したSOX (硫黄酸化物)が放出される。このとき、放出されるSOX 中のSO3 とSO2 との比率は、脱離時の排気中の酸素濃度とサルフェート吸収剤温度とにより定まる。また、酸素濃度が一定であれば、放出されるSOX 中に占めるSO3 の比率はサルフェート吸収剤温度が脱離温度から高くなるにつれて増大する。また、このSO3 比率はある温度でピークに到達した後は、熱平衡によりSO3 比率が決定されるようになり、サルフェート吸収剤温度上昇とともに放出SOX 中のSO3 比率は低下する。
【0010】
請求項1に記載の方法では、運転中の排気温度変化によりサルフェート吸収剤温度が脱離温度に到達し、SOX の放出が開始される場合には、更にサルフェート吸収剤温度を上昇させ、放出SOX 中のSO3 比率が脱離温度における比率より低くなる温度に到達させる。これにより、サルフェート吸収剤に吸収されたSOX のうちSO3 の形で放出されるものの比率が低下するため、運転期間全体を通じて大気に排出されるSO3 の量が低減される。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、所定の脱離温度以下の時に排気中の硫黄酸化物を吸収し、前記脱離温度を越えたときに吸収した硫黄酸化物を放出するサルフェート吸収剤を内燃機関の排気通路に配置し、排気中の硫黄酸化物をサルフェート吸収剤に吸収させるとともに、該サルフェート吸収剤内に吸収された硫黄酸化物量を検出し、次いで、サルフェート吸収剤の硫黄酸化物吸収量が予め定めた所定に到達したときに、サルフェート吸収剤温度を前記脱離温度以上に上昇させ、熱平衡により定まるサルフェート吸収剤からの放出硫黄酸化物中のSO3 の比率が、前記脱離温度における放出硫黄酸化物中のSO3 比率より小さくなる温度にサルフェート吸収剤の温度を維持することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0012】
請求項2に記載の方法では、サルフェート吸収剤中のSOX 量が所定量に到達した場合には、サルフェート吸収剤温度を脱離温度以上に上昇させサルフェート吸収剤からSOX を放出させる。これにより、サルフェート吸収剤が吸収したSOX で飽和することが防止される。また、この時のサルフェート吸収剤温度は放出SOX 中のSO3 比率がピークに到達する温度より更に高い温度であり、放出SOX 中のSO3 比率が脱離温度におけるSO3 比率より低くなる温度になるようにする。これにより、サルフェート吸収剤に吸収されたSOX のうちSO3 の形で放出されるものの比率が低下するため、サルフェート吸収剤から吸収したSOX の全量がSO3 の形で放出されることが防止され、運転期間全体を通じて大気に排出されるSO3 の量が低減される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の排気浄化方法において、
サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度まで上昇したときに、更にサルフェート吸収剤に流入する排気中の酸素濃度を低下させることを特徴とする内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0014】
サルフェート吸収剤のサルフェート吸収量は酸素濃度が高い程多く、同じ温度であっても酸素濃度が低くなるとサルフェート吸収剤からはSOXの放出が開始される。また、排気中の酸素濃度が低くなるほど放出されたSOX中のSO3の比率は小さくなる。
請求項3に記載の方法では、請求項1の方法において更に、サルフェート吸収剤温度が脱離温度に到達したときに排気中の酸素濃度を低下させる操作を行う。これにより、吸収剤からSOXが放出されるときには、排気中の酸素濃度の低下により放出されたSOX中のSO3の比率が更に低下する。このため、サルフェート吸収剤に吸収されたSOXのうちSO3の形で放出されるものの比率が更に低下するため、運転期間全体を通じて大気に排出されるSO3の量が低減される。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の排気浄化方法において、更にサルフェート吸収剤の硫黄酸化物吸収量が前記予め定めた所定量に到達したときに、サルフェート吸収剤に流入する排気中の酸素濃度を低下させることを特徴とする内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0016】
請求項4に記載の方法では、請求項2の方法において更に、サルフェート吸収剤中のSOX量が前記所定量に到達したときに、サルフェート吸収剤に流入する排気中の酸素濃度を低下させる。これにより、サルフェート吸収剤から吸収したSOXが放出されるときには、排気中の酸素濃度の低下により、放出されるSOXのうちSO3の形で放出されるものの比率が更に低下するため、SO3運転期間全体を通じて大気に排出されるSO3の量が低減される。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載の排気浄化方法において、更に、流入する排気中の煤を捕集する煤捕集材を内燃機関の排気通路に配置し、前記煤捕集材により排気中の煤を捕集し、前記サルフェート吸収剤から吸収した硫黄酸化物を放出させるべきときに前記煤捕集材に捕集された煤を燃焼させ、煤燃焼後の排気を前記サルフェート吸剤に供給する内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0018】
請求項5の方法では、請求項1から4のいずれか1項の方法において、サルフェート吸収剤から吸収したSOXを放出させるべきとき、例えばサルフェート吸収剤温度が脱離温度まで上昇したときやサルフェート吸収剤のSOX吸収量が所定量に到達したときには、煤捕集材に捕集した煤を燃焼させ、燃焼後の排気をサルフェート吸収剤に供給する。煤燃焼後の排気は、煤の燃焼により温度が上昇し酸素も消費されるため、高温かつ低酸素濃度の状態になっている。従って、サルフェート吸収剤は高温かつ低酸素濃度雰囲気でSOXを放出することになる。これにより、サルフェート吸収剤から放出されるSOX中のSO3の比率が低下する。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれか1項に記載の排気浄化方法において、前記サルフェート吸収剤から吸収した硫黄酸化物が放出されるときに、二酸化硫黄よりも酸素との親和性の強い成分をサルフェート吸収剤に供給する内燃機関の排気浄化方法が提供される。
【0020】
請求項6の方法では、サルフェート吸収剤からSOX が放出されるときには、同時に、例えばHC、CO成分等のようにSO2 よりも酸素との親和性の強い成分がサルフェート吸収剤に供給されるため、請求項1から5の排気浄化方法の作用に加えてSOX の放出の際のSO3 の生成がさらに抑制され、サルフェート吸収剤下流側に流出するSOX 中のSO3 の比率が低下する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の排気浄化方法をディーゼルエンジンに適用するための装置の概略構成を示す図である。図1において、1はディーゼルエンジン本体を示す。本実施形態では、エンジン1は多気筒機関とされているが、図1にはそのうちの1気筒のみを図示している。図1において、エンジン1の各気筒吸気ポートは吸気マニホルド(図示せず)を介して吸気通路2に接続され、各気筒の排気ポートは排気マニホルド3aを介して共通の排気通路3に接続されている。また、4はエンジン1の各気筒燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁である。
【0022】
本実施形態では、吸気通路2には、エンジン1のアイドル運転時等に機関に吸入される吸気量を低減し、アイドル運転を安定させる吸気絞り弁6が設けられている。吸気絞り弁6は、全開時に吸気抵抗の少ない、例えばバタフライ弁等が使用される。図1に6aで示したのは吸気絞り弁6のアクチュエータである。アクチュエータ6aは後述するエンジン電子制御ユニット(ECU)20からの信号に応じて吸気絞り弁6を開閉駆動し、エンジン1の吸入空気量を低減する。
【0023】
また、図1に13で示すのは、エンジン1の排気マニホルド3aと吸気通路2とを接続し、エンジン1の排気の一部を吸気通路2に還流させるEGR通路、10はEGR通路13上に設けられたEGR制御弁である。EGR制御弁10はソレノイドアクチュエータ、ステップモータ、又は負圧アクチュエータなどの適宜な形式のアクチュエータ10aを備えている。EGR制御弁10は、ECU20からアクチュエータ10aに入力する制御信号に応じた開度をとり、EGR通路13を通って吸気通路2に還流する排気流量を制御している。
【0024】
本実施形態では、更にエンジン1の排気通路3内に燃料油を噴射する二次燃料供給装置7が設けられている。二次燃料供給装置7は、エンジン1の燃料供給ポンプ(図示せず)からの加圧燃料を排気通路3内に噴射する噴射ノズル7aと、ECU20からの制御信号に応じてノズル7aへの燃料供給量を制御する流量制御弁7bとを備えている。本実施形態では、燃料供給装置7は後述するようにサルフェート吸収剤から吸収したSOX を放出させる際に、排気通路3内に燃料を噴射して、燃料の燃焼により排気温度の上昇と酸素濃度の低下とを生じさせるために用いられる。
【0025】
図1に5で示すのは、排気通路3上の燃料噴射ノズル7a下流側に配置されたサルフェート吸収剤である。本実施形態のサルフェート吸収剤5は、排気中のSOX 成分を吸収し、吸収剤内に蓄積するとともに、放出のための条件が成立すると吸収したSOX 成分を放出するSOX の吸放出作用を行う。サルフェート吸収剤5については、後に詳述する。
【0026】
図1に20で示したのは、エンジン1の電子制御ユニット(ECU)20である。ECU20は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入力ポート、出力ポートを双方向性バスで相互に接続した公知の構成のデジタルコンピュータからなり、エンジン1の燃料噴射制御等の基本制御を行う他、本実施形態では後述するようにサルフェート吸収剤5からのSOX の放出を制御するSOX 放出制御を行う。これらの制御のため、ECU20の入力ポートには、エンジン1のクランク軸に設けられた回転数センサ(図示せず)からエンジン回転数信号が、エンジン1のアクセルペダル(図示せず)に配置されたアクセル開度センサから運転者のアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)を表す信号が、また、排気通路3のサルフェート吸収剤5下流側に配置された排気温度センサ8から吸収剤出口における排気温度を表す信号がそれぞれ入力されている。
【0027】
また、ECU20の出力ポートは、図示しない駆動回路を介して、燃料噴射弁4、吸気絞り弁6のアクチュエータ6a、EGR制御弁10のアクチュエータ10a及び二次燃料供給装置7の流量制御弁7bにそれぞれ接続され、これら各機器の作動を制御している。
サルフェート吸収剤5は、通常の排気浄化触媒コンバータの担体として使用されるコージェライト等のモノリス担体のセル表面にアルミナAl23 、シリカSiO2 、チタニアTiO2 等のコート層を形成し、このコート層に白金等の貴金属触媒成分を担持させたものが使用される。サルフェート吸収剤5は、排気中の炭化水素(SOF)やCOを酸化してH2 O、CO2 に転換する酸化触媒としても機能する。
【0028】
すなわち、軽負荷運転時等排気温度が低い運転状態では排気中の炭化水素(HC)CO等の成分が増加するがこれらHC、CO成分は、排気がサルフェート吸収剤5を通過する際にコート層に担持された触媒成分により酸化され、H2 O、CO2 の形で排気とともに大気に放出される。
また、前述したように、排気中のHC、CO成分のみならずSO2 成分も触媒成分により酸化され、サルフェート(SO3 )に転換される。しかし、本実施例では、生成されたSO3 は硫酸塩の形で担体上のコート層に吸収されるため、サルフェート吸収剤5下流側には流出せず、サルフェート吸収剤5内に蓄積される。例えば、アルミナAl23 のコート層に白金Ptを担持させたサルフェート吸収剤を例にとって説明すると、排気中のSO2 、SO3 は白金Pt表面に付着したO2 - またはO2-等により酸化され、硫酸イオンSO4 2-を生成する。この硫酸イオンはアルミナAl23 と結合しつつアルミナ層内に拡散し、Al2 (SO43 の形でアルミナ層に吸収される。
【0029】
このように、サルフェート吸収剤5は排気中のSOX 成分を吸収し、吸収剤内に蓄積する作用を行う。一方、吸収剤5内に吸収されたSOX 成分はサルフェート吸収剤5の温度が上昇した場合や、サルフェート吸収剤5に流入する排気中の酸素濃度が低下した場合には吸収剤5から放出されるようになる。
例えば、サルフェート吸収剤5の温度が上昇すると、吸収剤5内のAl2 (SO43 が熱分解してアルミナAl23 となり、これにより生成した硫酸イオンSO4 2-がSOX の形でサルフェート吸収剤5から放出されるようになる。また、流入する排気中の酸素濃度が低下すると、白金Pt上に付着したO2 - またはO2-の量が低下するため、白金Pt上ではSO4 2-→SO3 、SO4 2-→SO2 の方向の反応が生じるようになり、SO2 、SO3 等のSOX が白金Pt上で生成され、吸収剤内のSO4 2-のイオンが次々とSOX の形でサルフェート吸収剤5から放出されるようになる。また、サルフェート吸収剤のSOX 吸収量は酸素濃度が低いほうが少ないため、排気中の酸素濃度が低下した場合にはサルフェート吸収剤5からSOX が放出される。一方、排気中の酸素濃度が高い場合にはサルフェート吸収剤5のSOX の吸収量は多いが、同じ酸素濃度でも温度が高くなる程サルフェート吸収剤のSOX 吸収量は低下するため、排気中の酸素濃度が高い場合でも、温度が上昇するとSOX の放出が生じるようになる。
【0030】
さらに、サルフェート吸収剤から放出されるSOX 中のSO2 とSO3 との比率は、サルフェート吸収剤5の温度と流入する排気中の酸素濃度とにより決定される。図2から図4は、平衡状態におけるSOX 中のSO3 の比率の、温度と酸素濃度とによる変化を説明する図である。
図2において、縦軸はSOX 中に占めるSO3 の比率を表し、横軸は温度を表している。また、図中の曲線AからDは各酸素濃度におけるSOX 中のSO3 の熱平衡により定まる比率を示しており、曲線Aが最も酸素濃度が高い場合を、曲線Dが最も酸素濃度が低い場合を示し、AからDになるにつれて酸素濃度が低くなる。図2において100%からSO3 の比率を引いた値がSOX 中のSO2 の比率となる。
【0031】
図2に示すように、酸素濃度が一定である場合には、平衡状態に到達したときのSOX 中のSO3 の比率は温度が高いほど低下する。また、温度が一定であれば平衡状態に到達したときのSOX 中のSO3 の比率は酸素濃度が低いほど低下する。ところが、実際の運転では機関から排出されるSOX のほとんどはSO2 となっており、図2に示したようなSO3 の比率が高い平衡状態に到達するまでには比較的長時間を要する。一方、サルフェート吸収剤5には前述した白金Pt等の触媒成分が担持されている。触媒が存在するとSO2 の酸化が促進されて上記平衡状態への移行が早められるが、触媒の酸化力は温度の影響を受ける。このため、比較的温度が低い領域では触媒の酸化力がSOX 中のSO3 比率を決定するようになり、温度が高いほど(触媒酸化力が強いほど)SO3 の比率が高まるようになる(図3参照)。
【0032】
図3、点線は酸素濃度一定(例えば図2のA線に相当する酸素濃度)の条件下での触媒存在下におけるSOX 中の実際のSO3 比率の温度変化を示している。図3に示すように、SO3 比率は、触媒の作用により温度が上昇するにつれて増大し、触媒の酸化力を表す図3、E線に沿って変化して次第に熱平衡により定まる比率(図3、A線)に近づくようになる。しかし、熱平衡により定まる比率以上には増大することはできないため、ある温度(図3、TP )で熱平衡に到達した後はそれ以上増大せずに、温度上昇とともに熱平衡カーブ(図3、A線)に沿って減少することになる。このため、実際のSO3 比率は、熱平衡により定まる所定の温度(図3、TP )に到達するまでは温度上昇とともに増大し、この温度(TP )に到達後は温度とともに減少することになる。すなわち、SO3 比率には最大となる温度(TP )が存在する。図3は酸素濃度が一定の場合を示したが、熱平衡により定まるSO3 比率のカーブは図2に示したように酸素濃度に応じて変化する。図4は各酸素濃度における触媒存在下でのSO3 比率の温度変化を示すカーブであり、図4の曲線AからDは図2の各酸素濃度における熱平衡により定まるSO3 比率を表している。図4から判るように、SOX 中のSO3 比率が最大となる温度(ピーク温度TP )は、酸素濃度が低下するにつれて低くなり、SO3 比率の最大値も酸素濃度が低下するにつれて低くなる。
【0033】
本実施形態では、上述したようなSO3比率の温度変化特性を利用してサルフェート吸収剤から吸収したSOXが放出される際に、放出されるSOX中のSO3の比率をできるだけ小さくする操作を行う。先ず酸素濃度が一定の場合について考える。この場合、SO3の比率の温度特性は図3に示したようになる。例えば、図3の酸素濃度において、脱離温度が図にTDで示す温度であったとする。この場合、運転状況の変化による負荷の増大などにより排気温度(サルフェート吸収剤温度は排気温度と略等しいため、以下の説明ではサルフェート吸収剤温度の代わりに排気温度を用いて説明する)が上昇してTDに到達するとサルフェート吸収剤はSOXを放出し、このSOX中のSO3の比率はRD(図3参照)となる。このとき、放出されるSOX中のSO3比率を低下させるためには、排気温度をTDより低くするか、または排気温度をピーク温度TPより上昇させて、SO3の比率がRDより低くなる温度(図3、TR)以上に維持するようにすれば良い。ところが、実際には排気温度を脱離温度TDより低下させるとサルフェート吸収剤からのSOX放出が生じなくなってしまう。そこで、本実施形態では排気温度が脱離温度TDに到達した場合には後述する方法により更に排気温度を上昇させ、脱離温度TDにおけるSO3比率より放出されるSOX中のSO3比率が低くなる温度TR以上の温度に排気温度を維持するようにする。これにより、サルフェート吸収剤から放出されるSOX中のSO3比率が低下する。
【0034】
また、上記は排気中の酸素濃度が一定の条件下で、排気温度を上昇させることによりSO3 の放出比率を低減しているが、逆に排気温度が一定の条件下で排気酸素濃度を低下させることによってもSO3 の放出比率を低下させることが可能である。例えば、図4において、図3に相当する空燃比(すなわち、図4の曲線A)で運転されていたとする。この場合も排気温度が脱離温度TDAに到達するとサルフェート吸収剤からSOX が放出される。このとき、上述の例のように排気温度を上昇させる代わりに、排気中の酸素濃度を低下させたとする。この場合、例えば排気酸素濃度を図4の曲線Bに相当する濃度まで低下させたとすると、排気温度は一定であっても、熱平衡曲線がAからBに変化するためサルフェート吸収剤から放出されるSOX 中のSO3 比率はRDAより低いRDBとなる(図4参照)。
【0035】
上記のように、サルフェート吸収剤5にSOX を吸収後運転状態の変化により排気温度が上昇し脱離温度に到達した場合には、▲1▼排気温度を更に上昇させることにより、または▲2▼排気酸素濃度を低下させることにより、それぞれサルフェート吸収剤から放出されるSO3 比率を低減することが可能である。しかし、上記▲1▼と▲2▼の方法を単独で実施する必要はなく、▲1▼と▲2▼の方法を同時に実施すればさらにサルフェート吸収剤から放出されるSO3 量を低減することができるのは明らかである。そこで、以下に説明する実施形態では、エンジン1の運転中に運転条件の変化により排気温度が脱離温度まで上昇した場合には排気温度を更に上昇させると同時に排気中の酸素濃度を低下させ、サルフェート吸収剤から放出されるSO3 の比率ができるだけ小さくなるようにしている。
【0036】
通常、ディーゼルエンジンは大幅なリーン空燃比(例えば空燃比で30程度)で運転されているため、排気中の酸素濃度は高くなっている。このため、サルフェート吸収剤の脱離温度TD も比較的高い温度(例えば、500から600℃程度)であり、また、TR も700から800℃程度の高温になる。一方、ディーゼルエンジンの排気温度は比較的低く、通常の触媒搭載位置における排気温度は、通常運転領域では250から400℃程度、登坂時等の高負荷運転時でも600℃程度までしか上昇しない。このため、ディーゼルエンジンの実用運転範囲では、通常サルフェート吸収剤の脱離温度TD までは排気温度が上昇することはあっても、更に温度が上昇してTR に到達することはほとんどない。そこで、以下に説明する実施形態では、サルフェート吸収剤からSOX を放出させるときには、二次燃料供給装置7(図1)から排気通路3に燃料を噴射することによりサルフェート吸収剤温度をTR まで上昇させるようにしている。サルフェート吸収剤5上流側の排気通路に噴射された燃料は、サルフェート吸収剤に担持した触媒により酸化(燃焼)するため、燃焼熱によりサルフェート吸収剤5温度が急速に上昇するとともに、燃焼により排気中の酸素が消費され排気中の酸素濃度が低下する効果が得られる。
図5は、本実施形態のサルフェート吸収剤5からのSOX 放出制御を示すフローチャートである。本ルーチンはECU20により一定時間毎に実行される。
【0037】
本ルーチンでは、ECU20はエンジン1のアクセル開度ACCと回転数NEとに基づいてエンジン排気空燃比(排気酸素濃度CR )を算出する。さらに、ECU20は、計測した排気温度TEXが脱離温度TD に到達した場合には、現在の酸素濃度CR において、放出されるSOX 中のSO3 比率が脱離温度TD における値より低下する温度TR を図4の関係に基づいて読み取り、その温度TR まで排気温度を上昇させるために必要な二次燃料供給装置7からの燃料供給量FI2 を現在の排気温度TEXと吸入空気量Qとから算出するとともに、一定時間二次燃料供給装置7からFI2 の量の燃料を排気通路3に供給する。
【0038】
これにより、供給された二次燃料がサルフェート吸収剤5で燃焼し、排気温度がTR まで上昇し、サルフェート吸収剤5から吸収したSOX が放出されるとともに、放出SOX 中のSO3 の比率が低下する。また、本実施形態では二次燃料の燃焼に伴って排気中の酸素濃度CR が低下するため実際には平衡線は低温側に移行する(例えば、図4において平衡線Aから平衡線Bになる)。従って、平衡線Aにおいて決定したTR に排気温度を維持することにより、実際の状態である平衡線B上では、例えば図4にSで示した点が平衡点とになり、平衡線Aにおけるより更にSO3 比率が低下する。
【0039】
以下、図5のフローチャートについて簡単に説明する。
図5、ステップ501ではSOX 放出操作実行フラグRXの値が1か否かが判定される。フラグRXはSOX 放出操作実行中か否かを表すフラグであり、ステップ511で現在の排気温度TEXが脱離温度TD に到達したと判定された場合に1にセットされる。ステップ501でRX≠1であった場合には、次いでステップ503でアクセル開度ACC、エンジン回転数NE、排気温度TEXがそれぞれ対応するセンサから読み込まれ、ステップ505では、読み込んだアクセル開度ACCとエンジン回転数NEとから現在の吸入空気量Qと燃料噴射弁4からの燃料噴射量FIとが算出される。ここで、Q、FIの値はそれぞれ予めACCとNEの関数としてECU20のROMに格納されている。
【0040】
また、ステップ507では、上記により算出したQとFIの値から現在の排気空燃比が算出され、さらにこの空燃比に基づいて現在の排気中の酸素濃度CR が算出される。
ステップ511では、現在の排気温度TEXが脱離温度TD 以上になっているか否かが判定される。TEX<TD の場合には、現在の排気温度(すなわちサルフェート吸収剤5温度)が脱離温度TD に到達しておらず、サルフェート吸収剤からのSOX 放出は生じていないので、本ルーチンはそのまま終了する。また、ステップ511でTEX≧TD であった場合には、サルフェート吸収剤温度が脱離温度TD 以上になっており、サルフェート吸収剤からSOX 放出が開始されているため、放出SOX 中のSO3 比率を低下させる操作が必要となる。そこで、この場合にはステップ513でフラグRXを1にセットするとともに、ステップ515で現在の酸素濃度CR と脱離温度TD とから、放出SOX 中のSO3 比率を低下させるために必要な温度TR を図4の関係に基づいて決定し、今回のルーチン実行を終了する。
【0041】
ステップ515でフラグRXの値が1にセットされると、次回からのルーチン実行ではステップ501の次にステップ517以下が実行される。すなわち、ステップ517では、計時カウンタtの値がプラス1増大され、ステップ519では増大されたカウンタtの値が所定値t0 を越えたか否かが判定される。また、t≦t0 であった場合には、ステップ520でアクセル開度ACC、エンジン回転数NE、排気温度TEXがそれぞれ対応するセンサから読み込まれ、ステップ521で二次燃料供給装置7からの二次燃料供給量FI2 が決定される。FI2 の値が決定されると、別途ECU20により実行される図示しないルーチンにより、二次燃料供給装置7の流量制御弁7bの開度が制御され、FI2 の流量の燃料が噴射ノズル7aから排気通路3に噴射される。また、ステップ519でt>t0 であった場合には、ステップ523から527でフラグRX、カウンタt及び二次燃料供給量FI2 の値がそれぞれ0にセットされ、SOX 放出操作が終了する。すなわち、ステップ517から527では、所定値t0 に相当する時間だけ二次燃料が排気通路3に供給され、t0 に相当する時間だけサルフェート吸収剤5の温度が上昇する。ここで、所定値t0 は、サルフェート吸収剤5に吸収されたSOX の放出が終了するのに必要な時間に相当する値とされ、サルフェート吸収剤の種類、容量等に応じて決定されるが、例えば数分から10分程度の時間となる。
【0042】
次に、ステップ521における二次燃料供給量FI2 の算出方法について説明する。ステップ521では、ステップ520で読み込んだエンジン回転数NEとアクセル開度ACCからステップ505と同様に吸入空気量Qが算出され、更にこの吸入空気量Qとステップ520で読み込んだ排気温度TEXとを用いて必要な二次燃料供給量FI2 の値が算出される。すなわち、流量Qの空気(排気)をTR とTEXとの差(TR −TEX)だけ温度上昇させるのに必要な燃料量FI2 の値が、FI2 =Q×(TR −TEX)×K、(Kは定数)として計算される。
【0043】
また、FI2 を上記のように計算により求めるのではなく、サルフェート吸収剤5出口の排気通路に配置した排気温度センサ8で検出した排気温度TEXと設定温度TR との偏差に基づいて、二次燃料供給量FI2 をフィードバック制御するようにしても良い。
なお、上記実施形態では、二次燃料供給開始前の排気酸素濃度CR に応じて、SO3 低減に必要とされる排気温度TR を変えているが、前述のように所要排気温度TR の値は排気酸素濃度(排気空燃比)が高くなるほど高温になる。従って、TR の値を酸素濃度CR に応じて変更する代わりに通常の運転状態で最も空燃比がリーンになる状態でのTR を予め求めておき、この最も空燃比がリーンになる状態でのTR を使用して二次燃料供給量FI2 を算出するようにすれば、実際の運転時には、空燃比にかかわらず排気温度を必要とされる温度TR 以上に維持することができる。
【0044】
次に、図6を用いて本発明の他の実施形態を説明する。図5の実施形態では、排気通路3に二次燃料を供給することにより排気温度をTR 以上の温度まで上昇させていたが、サルフェート吸収剤5から放出されるSOX 中のSO3 比率を低下させるためには、前述したように排気温度を上昇させる代わりに排気酸素濃度を低下させても良い。本実施形態のディーゼルエンジンには、吸気絞り弁6および、EGR通路13が備えられているため、これらの一方または両方を利用することにより、排気酸素濃度を低下させることができる。
【0045】
例えば、燃料噴射弁4からの燃料噴射量を変えずに吸気絞り弁6を閉弁してエンジンの吸入空気量を低下させれば排気空燃比(すなわち排気中の酸素濃度)は低下する。また、EGR制御弁10を開弁して排気の一部を吸気通路2に還流させれば、エンジン1は酸素濃度の低い排気を吸入することになるため、同様に排気空燃比は低下する。図6は上記の吸気絞り弁6とEGR制御弁10の一方、もしくは両方を用いて排気酸素濃度を低下させることにより、サルフェート吸収剤5からの放出SOX 中のSO3 濃度を低下させる場合の制御ルーチンを示している。
【0046】
図6のフローチャートは、図5のステップ515に相当するステップが無いこと、及び、ステップ621で二次燃料供給量FI2 を設定する代わりに、酸素濃度低下フラグXCRの値を1にセットし、ステップ627ではFI2 の代わりにフラグXCRの値を0にセットする点のみが図5のフローチャートと相違している。本実施形態では、フラグXCRの値が1にセットされるとECU20により別途実行される図示しないルーチンにより、吸気絞り弁6が所定開度まで閉弁(または/及びEGR制御弁10が所定開度まで開弁)され、排気中の酸素濃度が低減される。なお、本実施形態では吸気絞り弁6の閉弁時の開度、及びEGR制御弁10の開弁時の開度は充分に排気酸素濃度が低下する一定開度に予め設定されている。
【0047】
なお、吸気絞り弁6の閉弁、EGR制御弁10の開弁とともに、図5と同様に二次燃料供給装置7から二次燃料を供給するようにして、更に酸素濃度を低下させるとともに排気温度を上昇させれば、サルフェート吸収剤5からの放出SOX 中のSO3 比率をさらに低減することが可能となる。
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図5、図6の実施形態では、排気温度が上昇してサルフェート吸収剤5の温度が脱離温度TD に到達した場合にのみSOX 放出操作を行っている。しかし、運転状態によっては比較的排気温度が低い運転が長時間継続する場合がある。このような場合には、サルフェート吸収剤温度が脱離温度TD に到達したときにのみサルフェート吸収剤からSOX を放出させるようにしたのでは、サルフェート吸収剤からのSOX 放出が長時間行われずサルフェート吸収剤が吸収したSOX で飽和してしまう場合が生じる。サルフェート吸収剤5がSOX で飽和すると、もはやサルフェート吸収剤5に担持した触媒で生成されたSO3 は吸収剤には吸収されず排気とともに下流側に放出されるようになる。そこで、以下の実施形態では、図5、図6のようにサルフェート吸収剤温度が脱離温度TD まで上昇した場合に加えて、サルフェート吸収剤に吸収したSOX 量が増大して飽和状態に近づいたときにも図5、図6と同様なSOX 放出操作を行って、吸収したSOX をSO3 の比率が低い状態で放出させるようにしている。
【0048】
図7は、上記SOX 放出制御操作の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、図5の実施形態と同様、二次燃料を排気通路3に供給することによりサルフェート吸収剤から放出されるSOX 中のSO3 比率を低下させている。
また、本実施形態では、燃料噴射弁4からエンジン1に供給された燃料量を積算することによりサルフェート吸収剤5に吸収されたSOX 量を算出する。エンジン1で生成されるSOX の量は、エンジン1で燃焼した燃料量に比例する。更に、サルフェート吸収剤5に吸収されるSOX の量はエンジン1で生成されたSOX 量とサルフェート吸収剤のSOX 吸収特性(図15)とから算出することができる。図15は、サルフェート吸収剤のSOX 吸収特性を示す図である。図15縦軸はサルフェート吸収剤のSOX 吸収率α(ta)のSOX 吸収を開始してからの経過時間による変化を示している。ここで、SOX 吸収率α(ta)はサルフェート吸収剤に吸収されるSOX 量とエンジン1で燃焼した燃料量との比を表している。図15に示すように、SOX 吸収を開始してからの時間taが経過するにつれて、流入するSOX のうちサルフェート吸収剤に吸収されるSOX 量は低下するため、吸収率α(ta)の値は時間taの経過とともに小さくなる。
【0049】
一定期間内にサルフェート吸収剤5に吸収されたSOX 量は、単位時間当たりにエンジンに供給された燃料の量に上記吸収率α(ta)を乗じた値を積算することにより求められる。本実施形態では燃料噴射弁4からエンジン1に供給された燃料量に図15から定まる吸収率α(ta)を乗じた値の積算値をサルフェート吸収剤5に吸収されたSOX 量を表すパラメータとして使用する。
【0050】
以下、図7のフローチャートを簡単に説明すると、ステップ701、703では、図5ステップ501、503と同様にSOX 放出操作実行フラグRXの値の判定と、アクセル開度ACC、エンジン回転数NE、排気温度TEXの読み込みが行われ、ステップ705では、吸入空気量Q、燃料噴射量FI、排気酸素濃度CR 及び脱離温度TD と所要温度TR とが算出される。Q、FI、CR およびTD 、TR の算出方法は図5、図6で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0051】
次いで、ステップ706では、前回サルフェート吸収剤からのSOX 放出を行ってからの時間を示すカウンタtaをカウントアップし、ステップ707では図15の関係に基づいてサルフェート吸収剤のSOX 吸収率α(ta)が求められる。また、ステップ708ではステップ705で算出された燃料噴射量FIにステップ707で求めた吸収率α(ta)を乗じた値が積算され、CSとして記憶される。前述のように、積算値CSはサルフェート吸収剤5に吸収されたSOX 量を表している。
【0052】
ステップ709、711はSOX 放出操作実行が必要か否かの判断示す。本実施形態では、図5と同様サルフェート吸収剤5温度が脱離温度TD を越えた場合(ステップ709)に加えて、サルフェート吸収剤5に吸収されたSOX 量CSが所定量CS0 に到達した場合にもフラグRXの値を1に設定して(ステップ713)SOX 放出操作を実行する。
【0053】
また、ステップ713でフラグRXの値が1に設定されると次回のルーチン実行から所定時間t0 の間二次燃料供給量装置7から排気通路3に燃料が供給され、サルフェート吸収剤5の温度がTR に維持される(ステップ715、717、718、719)。これにより、サルフェート吸収剤5に吸収されていたSOX の大部分がSO2 の形で放出され、SOX 中のSO3 比率が低減される。更に、所定時間t0 が経過すると、本実施形態ではRX、t、FI2 の値がそれぞれ0にセットされ(ステップ721、723、725)、更にサルフェート吸収剤5のSOX 吸収量パラメータCSの値がクリアされ(ステップ727)、ステップ729では、カウンタtaの値がクリアされる。これにより、次回のルーチン実行時から新たにSOX 吸収量CSの積算が開始されるとともに、ステップ707で算出されるカウンタtaの値がサルフェート吸収剤からのSOX 放出が終了した時点からの経過時間を表すようになる。
【0054】
なお、図7の実施形態ではサルフェート吸収剤5温度を上昇させることによりSOX 放出操作を行っていたが、本実施形態においても図6と同様に排気酸素濃度を低下させることによりSOX 放出操作を行うこともできる。図8は、吸気絞り弁6、EGR制御弁10の操作により排気酸素濃度を低下させてSOX 放出操作を行う場合のフローチャートを示す。図8のフローチャートの各ステップは図6、図7のフローチャートと略同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0055】
次に、図9を用いて本発明の別の実施形態について説明する。
図9は、本実施形態の概略構成を示す図1と同様な図である。図9において、図1と同一の参照符号は、図1のものと同一の要素を示している。
本実施例では、排気通路3には、後述する二次燃料燃焼用の酸化(燃焼)触媒91と、触媒91下流側に排気中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタ(DPF)93、及びDPF93の入口と出口における排気流の差圧を検出する差圧センサ95が設けられている。
【0056】
酸化触媒91は、コージェライト製のモノリス担体に白金Pt、パラジウムPd等の触媒成分を担持させたものであり、本実施形態では通常運転時の排気中のSOFの酸化を行う他、後述するようにDPF93に捕集された煤を燃焼させる際に二次燃料供給装置7から排気通路3に供給された二次燃料を酸化(燃焼)させて排気温度を上昇させ、DPF93上の煤の燃焼を開始させるために用いられる。
【0057】
次に、本実施形態のDPF93について説明する。本実施形態のDPF93は排気中の煤を捕集して大気への放出を防止するフィルタとしての作用を有する他、前述の各実施形態のサルフェート吸収剤5としての作用を有するように構成されている。
DPF93としては、例えば、多数の排気通路が互いに平衡に形成された多孔質コージェライト製のハニカムフィルタが使用される。DPF93内の排気通路は、上流側端部側を閉塞したものと下流側端部側を閉塞したものとが交互に配列されており、排気は上流側端部が開放された排気通路内に流入し、排気通路間を隔てる多孔質の壁面から下流側端部が開放された排気通路に流入してDPF93下流側に流出する。このため、多孔質壁面を通過する際に排気中の煤等の微粒子が壁面に捕集される。また、本実施形態ではDPF93にサルフェート吸収剤としての機能を持たせるために、DPF93内の排気通路壁面にはアルミナAl23 、シリカSiO2 、チタニアTiO2 等のコート層を形成し、このコート層に白金Pt等の貴金属触媒成分を担持させている。
【0058】
エンジン1の運転中、DPF93は通常のパティキュレートフィルタとして排気中の煤等の微粒子を壁面に捕集する他、サルフェート吸収剤として酸化触媒91で生成されたSO3 をアルミナAl23 等のコート層に吸収する。
また、排気温度がサルフェート吸収剤の脱離温度TD に到達した場合、或いはサルフェート吸収剤内のSOX 吸収量が増加して所定量に到達した場合等のようにサルフェート吸収剤からSOX を放出させるべきとき、若しくはDPF93に捕集された煤の量が増大してDPF93における排気流の圧力損失が上昇した場合には、二次燃料供給装置7から排気通路3に二次燃料を供給し、煤の燃焼とサルフェート吸収剤からのSOX の放出とを同時に行う。このとき、排気通路3に供給された二次燃料は、酸化触媒91で燃焼し、燃焼により高温になった排気がDPF93に流入するため、DPF93内に捕集された煤(カーボン)は上流側から燃焼を開始する。これにより、DPF93を通過する排気温度は更に上昇するとともに、二次燃料と煤との燃焼により排気中の酸素濃度は更に低下する。このため、DPF93内のサルフェート吸収剤からはSOX が放出される。また、煤の燃焼によりDPF93は下流側になるほど高温になり、かつ酸素濃度も低下するため、DPF93から流出する排気中のSOX 中に占めるSO3 の比率は、DPF93出口付近での高温と低酸素濃度とに基づく平衡で決定される非常に低い値となる。従って、本実施形態によれば、DPF93に捕集した煤の燃焼と排気中のSO3 比率の低減とを同時に達成することが可能となる。
【0059】
図10は、本実施形態のSOX 放出制御を示すフローチャートである。本ルーチンはECU20により一定時間毎に実行される。本ルーチンでは、図7のルーチンと略同様な制御によりDPF93上の煤の燃焼とサルフェート吸収剤からのSOX の放出とを行う。すなわち、図10では、ステップ1003でアクセル開度ACC、エンジン回転数NE、排気温度TEXに加えて差圧センサ95からDPF95の差圧が読み込まれ、ステップ1005ではサルフェート吸収剤の脱離温度TD 及びSOX 放出時の所要温度TR が、ステップ1007ではサルフェート吸収剤のSOX 吸収量CSがそれぞれ算出される。
【0060】
また、ステップ1009から1012では、排気温度TEXが脱離温度TD に到達した場合(ステップ1009)、サルフェート吸収剤の吸収SOX 量が所定値CS0 に到達した場合(ステップ1011)に加えて、DPF93差圧ΔPが所定値ΔP0 に到達した場合にもSOX 放出実行フラグRXの値が1にセットされる(ステップ1013)。また、ステップ1013でフラグRXの値が1にセットされるとステップ1015から1027では、図7のステップ715から727と同様の操作が実行され、一定時間(t0 )の間二次燃料供給装置7から二次燃料が排気通路3に供給される。これにより、DPF93上の煤の燃焼が行われるとともに、サルフェート吸収剤から放出されるSOX 中のSO3 比率が低減される。
【0061】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。上述の各実施形態では、サルフェート吸収剤の温度または/及び流入排気中の酸素濃度を制御することにより、熱平衡によるSO2 とSO3 との比率ができるだけSO3 が少なくなる状態でサルフェート吸収剤からSOX を放出させて、全体として放出されるSO3 量を低減するようにしていた。
【0062】
しかし、放出SOX中のSO3の割合を低減させるためには、サルフェート吸収剤の温度と流入排気中の酸素濃度を制御する以外にも、SOX放出時にHC、CO成分等のようにSO2に較べて酸化されやすい成分を供給することも効果があることが判明している。すなわち、前述したようにサルフェート吸収剤からSOXが放出される際には、サルフェート吸収剤の白金等の触媒表面に付着したO2 -、O2-と吸収剤から放出された硫酸イオン(SO4 2-)とが反応してSO2、SO3のサルフェートが生成される。しかし、このときに排気中にSO2よりも酸素との親和力が強いHC、CO等の成分が存在すると、触媒表面の酸素は硫酸イオンより先に排気中のHC、COと反応してしまい触媒表面の酸素がHC、CO成分により消費される。このため、触媒表面の酸素濃度が低下し、SO4 2-→SO3の反応が低下し、相対的にSO4 2-→SO2の反応が生じやすくなるためサルフェート吸収剤から放出されるSOX中のSO3の比率が低下するものと考えられる。
【0063】
図11は、図1に示した装置を用いて二次燃料供給装置7から供給する二次燃料(軽油)の量を変化させて放出SOX 中のSO3 濃度の変化を測定した結果を示す。図11において、縦軸はサルフェート吸収剤5出口での排気中のSOX に占めるSO3 の割合(%)を、横軸はサルフェート吸収剤5の担体に温度センサを設けて測定した担体温度を示している。
【0064】
図11の各カーブは機関回転数を一定とした場合の担体温度によるSO3 の割合の変化を示しており、図中カーブAは二次燃料を供給せずに、機関負荷を変えてサルフェート吸収剤温度を変化させた場合を、カーブBからカーブDは機関負荷は一定のままで二次燃料をサルフェート吸収剤5に供給することによりサルフェート吸収剤温度を変化させた場合を、それぞれ示している。
【0065】
図11、カーブAに示すようにサルフェート吸収剤5に二次燃料を供給しない場合は、サルフェート吸収剤出口におけるSOX 中のSO3 濃度はサルフェート吸収剤温度に応じて図3に点線で示したと同じ変化を示している。すなわち、カーブAは熱平衡によるSO2 とSO3 との割合の変化に応じてSO3 の割合が変化する。
【0066】
また、カーブBからDは、B>C>Dの順に大きい一定負荷で二次燃料の量を変えた場合を表しており、それぞれのカーブではサルフェート吸収剤温度が高いほど二次燃料の供給量が増大している。
前述したように、サルフェート吸収剤温度(流入排気温度)は、サルフェート吸収剤上流側の排気通路及び機関燃焼室に供給された燃料と空気量との比で定まる。また、図11では、機関回転数は一定に維持されているため、機関吸入空気量はほぼ一定であるため、AからDの各カーブ上でサルフェート吸収剤温度が同じ点では、サルフェート吸収剤上流側の排気通路及び機関燃焼室に供給された燃料の合計量はほぼ同一となり、サルフェート吸収剤に流入する排気空燃比もほぼ同一となっている。すなわち、サルフェート吸収剤温度が同一の点で比較した場合、カーブAはその温度を得るための燃料の全量を機関燃焼室に供給した場合を示し、カーブBからDはその温度を得るための燃料の一部を燃焼室に供給し、残りを二次燃料として供給した場合を示していると考えてよい。また、同一の温度を得るために二次燃料として供給する燃料の量は負荷が低いほど(カーブDに近づくほど)多くなっている。
【0067】
図11に示すように、同一のサルフェート吸収剤温度で比較した場合、サルフェート吸収剤下流側に流出するSO3 の比率はカーブA(二次燃料供給量がゼロの場合)が最も多くカーブD(二次燃料供給量が最大の場合)が最も少なくなっている。上述したように、図11の各計測結果ではサルフェート吸収剤温度が同一であれば、サルフェート吸収剤に流入する排気の空燃比は同一となっているので、このことは、サルフェート吸収剤温度が同一であり、かつ流入排気の空燃比が同一の場合であっても、二次燃料として供給する燃料量が多いほど流出SOX 中のSO3 比率が低下することを示している。
【0068】
このように、温度、空燃比が同一の条件下でも二次燃料として供給する燃料の量が多いほどSO3 の比率が低下する理由は以下のように考えられる。すなわち、二次燃料として供給された燃料は、サルフェート吸収剤に担持された触媒により燃焼し触媒表面に付着したO2 - 、O2-成分を消費するが、同時にこの際に比較的多量の未燃HC、CO成分を発生する。このHC、CO成分はSO2 に較べて酸素との親和性が強いため、サルフェート吸収剤上流側部分で発生したこれらHC、CO成分はサルフェート吸収剤内を通過する際に更に、触媒表面に付着したO2 - 、O2-等の酸素成分を奪って反応するようになる。このため、吸収剤から放出れた硫酸イオンSO4 2- はSO3 を生成するのに十分な酸素を得ることができなくなり、SO4 2- →SO3 の反応が低下し、結果としてサルフェート吸収剤下流側に流出するSOX 中のSO3 比率が低下するのである。
【0069】
一方、二次燃料として供給する代わりに燃焼室に燃料の全量を供給した場合でも、燃焼により未燃HC、CO成分は生成する。しかし、この場合は燃焼室内で酸素過剰雰囲気かでの燃焼が行われるため、二次燃料としてサルフェート吸収剤に燃料を供給した場合に較べて、サルフェート吸収剤内の触媒に直接到達するHC、CO成分は大幅に少なくなる。このため、図11に示すように、燃料の合計量が同一であっても二次燃料の量を増大させるほど流出SOX 中のSO3 の量が低下するものと考えられる。
【0070】
また、図11は二次燃料によりHC、CO成分をサルフェート吸収剤に供給しているが、他の方法でCOのような還元成分をサルフェート吸収剤に供給した場合でもSO3 低減効果を得ることができる。図12は、図9の実施形態において、DPF93に担持されたサルフェート吸収剤に二次燃料を供給することなく、DPF93に担持された煤を排気温度上昇のみにより燃焼させた場合に下流側に放出されるSOX 中のSO3 割合の温度による変化を示している。図12において、横軸はDPF93(サルフェート吸収剤)に流入する排気温度を示し、図中カーブA1、A2は下流側に放出されるSOX 中のSO3 割合を、カーブB1、B2はDPF93下流側排気中のCO成分の量を示している。
【0071】
また、カーブA1、B1は、DPF93に捕集された煤の量が多い場合を、カーブA2、B2は少ない場合をそれぞれ示している。
図12において排気温度が上昇し、550℃程度になるとDPF93に捕集された煤が燃焼を開始し、DPF下流側の排気中のCO成分の量が上昇を開始し、排気温度が更に上昇するにつれてCO成分量は増大する。また、煤燃焼によるCOの生成量は煤捕集量が多い場合(カーブB1)では、少ない場合(カーブB2)に較べて多くなっている。
【0072】
一方この場合、DPF93に担持されたサルフェート吸収剤からは排気温度が上昇するにつれてSOX が放出されるようになり、SOX 中のSO3 の割合も増加する。但し、この場合のSO3 割合は煤燃焼によるCO成分量に応じて異なってくる。すなわち、煤捕集量が少ない場合(カーブA2)では、図3に点線で示したのと略同様に熱平衡により定まるSO2 とSO3 との比率の変化に応じて温度ともにSO3 割合が変化するのに対して、煤捕集量が多い場合(カーブA1)では、煤燃焼によるCO成分の発生量が増大するにつれて急激にSO3 割合が減少する特性を示す。
【0073】
図13は、図12の計測結果を、横軸に排気中のCO濃度(PPM)、縦軸に流出SOX 中のSO3 割合をとって書き直したものである。図13に示すように、SO3 割合は排気中のCO濃度が高くなるにつれて減少している。このことから、二次燃料を供給した場合と同様、サルフェート吸収剤に供給されるCO成分が増大するほど、SOX 放出時のSO3 割合が減少することが判る。
【0074】
すなわち、サルフェート吸収剤からのSOX 放出時にSO2 より酸素と親和性の強い成分を同時にサルフェート吸収剤に供給することにより、流出SOX 中のSO3 の割合を大幅に低減することが可能となる。また、上記成分の供給法としては、例えば二次燃料によるHC、CO成分の生成、煤の燃焼によるCO成分の生成などの方法を単独で使用する他、これらを組み合わせて使用することも当然に可能である。
【0075】
図14は、図9に示したのと同一の装置を用いて二次燃料の供給と煤の燃焼とを同時に行い、HC、CO成分をサルフェート吸収剤に供給することにより、流出SOX 中のSO3 割合を低下させる場合のSOX 放出制御を示すフローチャートである。本ルーチンは、図9のECU20により一定時間毎に実行される。
図14のフローチャートは、図10のフローチャートと略同一となっている。ただし、図10の実施形態ではSOX 放出時毎に目標温度TR を酸素濃度CR と脱離温度TD とから算出し(図10ステップ1005)、目標温度TR を得るための二次燃料供給量FI2 を決定(同ステップ1019)しているのに対し、本実施形態では目標温度TKは酸素濃度にかかわらず一定値に固定しており、放出操作時にはこの一定目標温度TKに排気温度を上昇させる点が相異している。すなわち、図14ステップ1419に示すように、本実施形態では二次燃料供給量FIKは吸入空気量Qと現在の排気温度TEXと、上記目標温度TKとに基づいて算出される。
【0076】
この目標温度TKは、図1において煤の燃焼によりCO濃度が増大する温度、及び図11において二次燃料の供給によるHC、CO成分の増大によりSO3の割合が低下する温度範囲(例えば、図11、図1の場合では600℃から700℃程度)に設定される。
図14の実施形態によれば、SOX放出時にサルフェート吸収剤にSO2より酸素との親和性の強い成分を同時に供給することにより、流出SOX中のSO3成分の割合を減少させ、全体として大気に放出されるSO3量を大幅に低下させることが可能となる。
【0077】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、エンジン排気中のSOX をサルフェート吸収剤に吸収し、SO3 の比率が低いSOX として放出するようにしたことによりエンジンから大気に排出されるパティキュレートの量を大幅に低減することが可能となる共通の効果が得られる。
【0078】
さらに、、請求項5の発明では、排気中の煤を捕集し、サルフェート吸収剤からSOX を放出させるべきときに捕集した煤を燃焼させ、燃焼後の排気をサルフェート吸収剤に供給することにより、上記共通の効果に加えてサルフェート吸収剤からのSOX の放出と捕集した煤の燃焼とが同時に行われるため、煤とSO3 との両方を同時に処理することが可能となり、大気に排出されるパティキュレートの量をさらに大幅に低減できるという効果を奏する。
【0079】
また、請求項6の発明では、サルフェート吸収剤からのSOX 放出時に、SO2 より酸素との親和性の強い成分をサルフェート吸収剤に供給することによりSO3 の生成を抑制し、大気に排出ささるパティキュレートの量を大幅に低減することが可能となる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気方法を実施するための装置の構成の一例を示す図である。
【図2】SOX の存在するガス中の全SOX 中のSO3 の比率の、温度と酸素濃度とによる変化を説明する図である。
【図3】触媒存在下におけるSOX 中のSO3 の比率の、温度による変化を説明する図である。
【図4】触媒存在下におけるSOX 中のSO3 の比率の、温度と酸素濃度とによる変化を説明する図である。
【図5】本発明の排気浄化方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】本発明の排気浄化方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明の排気浄化方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図8】本発明の排気浄化方法の他の実施形態を示すフローチャートである。
【図9】本発明の排気浄化方法を実施するための装置、図1とは異なる構成を示す図である。
【図10】図9の装置を用いた排気浄化方法を示すフローチャートである。
【図11】サルフェート吸収剤への二次燃料供給量による流出SOX 中のSO3 割合の変化を説明する図である。
【図12】DPF上の煤の燃焼による流出SOX 中のSO3 割合の変化を説明する図である。
【図13】排気中のCO成分濃度による流出SOX 中のSO3 割合の変化を説明する図である。
【図14】本発明の排気浄化方法の別の実施形態を示すフローチャートである。
【図15】サルフェート吸収剤のSOX 吸収率の時間的変化を示す図である。
【符号の説明】
1…ディーゼルエンジン
3…排気通路
5…サルフェート吸収剤
20…電子制御ユニット(ECU)
93…パティキュレートフィルタ

Claims (6)

  1. 所定の脱離温度以下の時に排気中の硫黄酸化物を吸収し、前記脱離温度を越えたときに吸収した硫黄酸化物を放出するサルフェート吸収剤を内燃機関の排気通路に配置し、サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度以下のときに排気中の硫黄酸化物をサルフェート吸収剤に吸収させ、
    次いで、サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度まで上昇したときにサルフェート吸収剤温度を更に上昇させ、熱平衡により定まるサルフェート吸収剤からの放出硫黄酸化物中のSO3の比率が、前記脱離温度における放出硫黄酸化物中のSO3比率より小さくなる温度にサルフェート吸収剤の温度を維持することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法。
  2. 所定の脱離温度以下の時に排気中の硫黄酸化物を吸収し、前記脱離温度を越えたときに吸収した硫黄酸化物を放出するサルフェート吸収剤を内燃機関の排気通路に配置し、排気中の硫黄酸化物をサルフェート吸収剤に吸収させるとともに、該サルフェート吸収剤内に吸収された硫黄酸化物量を検出し、
    次いで、サルフェート吸収剤の硫黄酸化物吸収量が予め定めた所定量に到達したときに、サルフェート吸収剤温度を前記脱離温度以上に上昇させ、熱平衡により定まるサルフェート吸収剤からの放出硫黄酸化物中のSO3の比率が、前記脱離温度における放出硫黄酸化物中のSO3比率より小さくなる温度にサルフェート吸収剤の温度を維持することを特徴とする内燃機関の排気浄化方法。
  3. 請求項1に記載の排気浄化方法において、
    サルフェート吸収剤温度が前記脱離温度まで上昇したときに、更にサルフェート吸収剤に流入する排気中の酸素濃度を低下させることを特徴とする内燃機関の排気浄化方法。
  4. 請求項2に記載の排気浄化方法において、
    更にサルフェート吸収剤の硫黄酸化物吸収量が前記予め定めた所定量に到達したときに、サルフェート吸収剤に流入する排気中の酸素濃度を低下させることを特徴とする内燃機関の排気浄化方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の排気浄化方法において、
    更に、流入する排気中の煤を捕集する煤捕集材を内燃機関の排気通路に配置し、
    前記煤捕集材により排気中の煤を捕集し、
    前記サルフェート吸収剤から吸収した硫黄酸化物を放出させるべきときに前記煤捕集材に捕集された煤を燃焼させ、煤燃焼後の排気を前記サルフェート吸剤に供給する内燃機関の排気浄化方法。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の排気浄化方法において、
    前記サルフェート吸収剤から吸収した硫黄酸化物が放出されるときに、二酸化硫黄よりも酸素との親和性の強い成分をサルフェート吸収剤に供給する内燃機関の排気浄化方法。
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