JP3656259B2 - 車両のパワートレイン構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、車両前後方向から見て車両中心にセンタトンネル部とエンジン重心とを位置させ、かつセンタトンネル部内に推進軸としてのプロペラシャフトと、排気ガスを導出する排気管とを備えたような車両のパワートレイン構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両のパワートレイン構造としては、例えば図3、図4に示す如き構造がある。すなわち、図3に示したように車両の前後方向から見て車両中心OBL(図4参照)にフロア31の中央部に形成された左右対称構造のセンタトンネル部32と、エンジン33の重心ECとを位置させ、かつ上述のセンタトンネル部32内の中央上部にプロペラシャフト34を配設し、このプロペラシャフト34と干渉しないようにセンタトンネル部32内の一側下部に排気管35を配設した車両のパワートレイン構造である。なお、図3、図4において36は前輪、37は後輪である。
【0003】
この従来構造においては次のような問題点があった。つまり図4に示すようにリヤデファレンシャル38内のギヤとプロペラシャフト34側のハイポイドギャとの噛み合わせから左右のリヤドライブシャフト39,40を等長(同じ長さ)に設定するためには、上述の車両中心(OBL)に対してリヤデファレンシャル38の中心(いわゆるデフセンタ)RDCを車幅方向一側にオフセットする必要があり、上述のプロぺラシャフト34は上述のエンジン重心ECとデフセンタRDCとを結ぶ向きに配設されるので、このプロペラシャフト34に平面方向での折れ角θが生じ、駆動力伝達効率が低下する問題点があった。
【0004】
また燃料タンク41は運転席側および助手席側に対応してリアフロアの下方に配設された左右の燃料タンク部42,43を連通部44で連通させるが、上述のプロペラシャフト34および排気管35と最低地上高ラインとの関係上、左右の燃料タンク部42,43の上部相互間を上述の連通部44で連通させ所謂車幅方向において貯溜燃料量の増大を図った鞍型の燃料タンク41を構成しているため、リヤ席のシート面の高さが高くなる問題点があった。
【0005】
一方、実開昭64−29018号公報に記載の如く、エンジン重心と同一ライン上にプロペラシャフト34(図5参照)を配設した車両のパワートレイン構造もあるが、上述のプロペラシャフト34に対して排気管35がセンタトンネル部32内において下方に位置する関係上、上述同様の問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、リヤデファレンシャルの中心とエンジン出力軸とが前後方向に略一致するように、エンジンを車両の幅方向に傾斜させると共に、センタトンネル部内におけるプロペラシャフトと排気管とを水平面で略平行(略同じ高さ)に配設することにより、リヤドライブシャフトの左右等長を確保しつつ、プロペラシャフトの平面方向の折れ角を零にすることができ、駆動力伝達効率の向上を図ることができる車両のパワートレイン構造の提供を目的とする。
【0007】
この発明の一実施態様は、排気管をプロペラシャフトに対して所定の離間距離を維持させた状態で、該排気管をセンタトンネル部内の上方に配設することができ、リヤフロント下方の左右の燃料タンク部をプロペラシャフトおよび排気管の下方において連結し、燃料タンクを所謂逆鞍型に構成することで、リヤ席のシート面の高さを低くすることができる車両のパワートレイン構造の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両のパワートレイン構造は、車両前後方向から見て車両中心にセンタトンネル部およびエンジン重心を位置させ、上記センタトンネル部内にプロペラシャフトおよび排気管を備え、上記プロペラシャフト後方にリヤデファレンシャルを備えた車両のパワートレイン構造であって、車両前後方向から見て上記リヤデファレンシャルの中心を車幅方向一方側にオフセットさせると共に、
上記エンジンの出力軸を上記リヤデファレンシャルの中心と前後方向にて略一致させるべく上記エンジン重心を支点としてエンジンを車両の幅方向に傾斜させて
上記出力軸を車幅方向一方側にオフセットさせ、上記センタトンネル部内において上記プロペラシャフトの上記車幅方向一方側と反対側に上記排気管を水平面で略平行に配設したものである。
【0009】
この発明の一実施態様においては、運転席側および助手席側のフロア下方にそれぞれ燃料タンク部を備え、上記各燃料タンク部を上記プロペラシャフトおよび上記排気管の各下方において連通連結したものである
【0010】
【発明の作用及び効果】
この発明によれば、上述のエンジン重心を支点としてエンジンを車両の幅方向(いわゆる車幅方向)にスラントさせると、車両の重量バランスを維持しつつ、エンジン出力軸の位置を車両中心からオフセットさせて、このエンジン出力軸の位置をリヤデファレンシャルの中心(デフセンタ)と車両前後方向にて一致させることができる。このため、リヤドライブシャフトの左右等長を確保しつつ、プロペラシャフトの平面方向の折れ角を零にすることができ、駆動力伝達効率の向上を図ることができる効果がある。
【0011】
また上述のセンタトンネル部内において上述のプロペラシャフトと上述の排気管とを水平面で略平行に配設したので、排気管をプロペラシャフトに対して所定の離間距離を維持させた状態で、該排気管をセンタトンネル部内の上方に配設することができる。
【0012】
この発明の一実施態様によれば、上述のプロペラシャフトと排気管とを水平面で略平行に配設したことにより、これら両者の上方配設で下方に残余する余剰空間を有効利用して、各燃料タンク部をプロペラシャフトおよび排気管の下方において連通連結して、燃料タンクを所謂逆鞍型に構成することができ、この結果、リヤ席のシート面の高さを低くすることができる効果がある。
【0013】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のパワートレイン構造を示し、図1、図2において、この車両のパワートレイン構造は図1に示すように車両の前後方向から見て車両中心OBL(図2参照)にフロア1の中央部に形成された左右対称構造のセンタトンネル部2と、エンジン3の重心ECとを位置させ、かつ上述のセンタトンネル部2内には推進軸としてのプロペラシャフト4と、排気ガスを導出する排気管5とを離間配設している。
【0014】
上述のエンジン3はそのエンジン重心ECを支点として車両の幅方向(いわゆる車幅方向)に傾斜(スラント)させ、エンジン出力軸の位置を図2に示すリヤデファレンシャル6の中心(デフセンタ)RDCと車両前後方向にて略一致させている。ここで上述のエンジン3の出力軸(図1のプロペラシャフト4の位置参照)は車幅方向一方側にオフセットさせている。
【0015】
また上述のセンタトンネル部2内におけるプロペラシャフト4と排気管5とを水平面で略平行に配設し、排気管5の配設高さとプロペラシャフト4の配設高さとをセンタトンネル部2内の上方同等位置に設定して、これら両者4,5の下方に後述する左右燃料タンク部橋渡し用の余剰空間を形成している。上述の排気管5は図1に示すようにプロペラシャフト4の上記車幅方向一方側と反対側に配設している。
【0016】
一方、運転席側および助手席側に対応してリヤフロア(図示せず)の下方に配設される燃料タンク7を設けている。この燃料タンク7は左右の燃料タンク部8,9を上述のプロペラシャフト4および排気管5の下方における上述の余剰空間を有効利用して連結部10で連通連結し、燃料タンク7の全体を所謂逆鞍型に構成し、車幅方向において貯溜燃料量の増大を図ったものである。
なお、図1、図2において11は前輪、12は後輪、13,14はリヤドライブシャフトである。
【0017】
このように、プロペラシャフト4の後方にリヤデファレンシャル6を備えたパワートレイン構造において、車両前後方向から見て上記リヤデファレンシャル6の中心(RDC)を車幅方向一方側にオフセットさせると共に、上記エンジン3の出力軸を上記リヤデファレンシャル6の中心(RDC)と前後方向にて略一致させるべく上述のエンジン重心ECを支点としてエンジン3を車両の幅方向(いわゆる車幅方向)にスラントさせて上記エンジン出力軸を車幅方向一方側にオフセットさせると、車両の重量バランスを維持しつつ、エンジン出力軸の位置を車両中心OBLからオフセットさせて、このエンジン出力軸の位置をリヤデファレンシャル6の中心(デフセンタ)RDCと車両前後方向にて一致させることができる。このため、リヤドライブシャフト13,14の左右等長を確保しつつ、プロペラシャフト4の平面方向の折れ角を零にすることができる。つまり上述のプロペラシャフト4を前方から後方に向けて折れ角なしの状態でストレートにレイアウトすることができ、駆動力伝達効率の向上を図ることができる効果がある。
【0018】
また上述のセンタトンネル部2内において上述のプロペラシャフト4の上記車幅方向一方側と反対側に上述の排気管5とを水平面で略平行に配設したので、排気管5をプロペラシャフト4に対して所定の離間距離を維持させた相互に干渉しない状態で、該排気管5をセンタトンネル部2内の上方に配設することができる。
【0019】
さらに、上述のプロペラシャフト4と排気管5とを水平面で略平行に配設したことにより、これら両者4,5の上方配設で下方に残余する余剰空間を有効利用して、各燃料タンク部8,9をプロペラシャフト4および排気管5の下方において連通連結して、燃料タンク7を所謂逆鞍型に構成することができ、この結果、リヤ席のシート面の高さを低くすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両のパワートレイン構造を示す正面図。
【図2】 本発明の車両のパワートレイン構造を示す平面図。
【図3】 従来の車両のパワートレイン構造を示す正面図。
【図4】 従来の車両のパワートレイン構造を示す平面図。
【図5】 従来の車両のパワートレイン構造の他の例を示す断面図。
【符号の説明】
2…センタトンネル部
3…エンジン
4…プロペラシャフト
5…排気管
6…リヤデファレンシャル
7…燃料タンク
8,9…燃料タンク部
EC…エンジン重心
OBL…車両中心
RDC…デフセンタ(リヤデファレンシャルの中心)

Claims (2)

  1. 車両前後方向から見て車両中心にセンタトンネル部およびエンジン重心を位置させ、
    上記センタトンネル部内にプロペラシャフトおよび排気管を備え、上記プロペラシャフト後方にリヤデファレンシャルを備えた車両のパワートレイン構造であって、
    車両前後方向から見て上記リヤデファレンシャルの中心を車幅方向一方側にオフセットさせると共に、
    上記エンジンの出力軸を上記リヤデファレンシャルの中心と前後方向にて略一致させるべく
    上記エンジン重心を支点としてエンジンを車両の幅方向に傾斜させて上記出力軸を車幅方向一方側にオフセットさせ、
    上記センタトンネル部内において上記プロペラシャフトの上記車幅方向一方側と反対側に上記排気管を水平面で略平行に配設した
    車両のパワートレイン構造。
  2. 運転席側および助手席側のフロア下方にそれぞれ燃料タンク部を備え、
    上記各燃料タンク部を上記プロペラシャフトおよび上記排気管の各下方において連通連結した
    請求項1記載の
    車両のパワートレイン構造。
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