JP3655034B2 - 廃棄プラスチックの処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄プラスチックの処理技術に関し、特にポリ塩化ビニルやPET樹脂あるいはポリアクリロニトリルなどのように加熱により分解液化が困難で塩化水素やシアンを放出するプラスチックが混ざっている混合廃棄プラスチックの油化やガス化を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえる処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄プラスチックには、ポリエチレンやポリスチレンに代表される、油化やガス化が可能なもの、つまり加熱により溶融して液相ポリマー化し、この液相ポリマーの状態で分解して燃料油や燃料ガスなどとすることが可能なものと、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタレートに代表される、油化やガス化の困難なもの、つまり加熱しても液化せずに脱塩化水素反応などを生じるものとがあるが、前者の占める割合が格段に大きい。それ故、廃棄プラスチックを妥当なコストで油化乃至ガス化して燃料油や燃料ガスなどのかたちで回収・再資源化することは廃棄プラスチックの処理方法として最も望ましいと言える。
【0003】
しかし実際には妥当なコストにより廃棄プラスチックを燃料油や燃料ガスなどとして再資源化する技術は未だ実用化されていない。それには大別して二つの原因がある。その一つは油化やガス化における分解自体に関することである。例えば分解に際して多量のカーボンを発生させてしまうために分解の制御、特に分解温度の制御を効果的に行なうことができなくなり、望ましい組成の回収物を効率的に生成させることができないなどの理由から妥当なコストで分解処理を行なえないということである。
【0004】
他の一つは、ポリ塩化ビニルなどが混ざっている混合廃棄プラスチックを処理しようとする場合の問題である。すなわち例えばポリ塩化ビニルは加熱により塩化水素を放出するので、この塩化水素がプラスチックの溶解・分解で発生する生成物に付加してしまうと、その分離が困難であるし、また生成物を冷却して得られる最終的な再資源化回収物に塩化水素が含まれることになると回収物の有用性が大幅に低下するなどの問題があり、また塩化水素により油化装置の寿命、特にその主要な要素であり、装置全体のコストに大きな割合を占める反応器の寿命が極端に短くなり、分解処理のコストを大幅にアップさせてしまうという問題もある。それ故、混合廃棄プラスチックの場合には油化処理やガス化処理に先立って脱塩化水素などの予備処理を施す必要がある。そしてこの予備処理を如何に効率的に行なうか、また脱塩化水素などを経たポリ塩化ビニルなどの処理を如何にするかということが分解処理全体のコストに無視できない影響をおよぼす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、混合廃棄プラスチックの分解処理を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえるような技術の提供を目的とし、特に分解処理に先立つ予備処理を効率的に行なえ、しかも分解反応に悪影響をおよぼすようなカーボンの発生も有効に防止できる技術の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による廃棄プラスチックの処理方法は、廃棄プラスチックを分解処理して燃料油や燃料ガスなどとして回収することを基本とし、そのために通液性を有するコンベアベルトを加熱雰囲気中で走行させ、このコンベアベルト上に連続的に供給する廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させる予備処理をなし、そしてこの予備処理で得られた液相ポリマーを分解セクションに供給して分解するようになっている。
【0007】
また本発明による処理装置は、外周に搬送羽根が設けられ且つ回転可能とされた内筒と、この内筒の外周との間で反応室を形成する外筒とを含み、前記内筒の内側を加熱道として反応室に加熱エネルギーを供給できるようにしてなる分解セクションを備え、また前記内筒の内側の加熱道内に設けた遮蔽筒の内部を走行するようにして設けられた、通液性を有するコンベアベルトを含んでなる予備処理セクションを備え、そして予備処理セクションでは、コンベアベルト上に連続的に供給される廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させ、そしてこの固形物と分離した液相ポリマーを前記反応室に供給して分解するようになっている。
【0008】
このような本発明による処理方法及び処理装置における特徴の一つは、例えばポリ塩化ビニルやポリアクリロニトリルなどのような非溶融性のプラスチックが混ざっている混合廃棄プラスチックの分解処理を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえるということであり、特に通液性を有するコンベアベルトを用いて予備処理を行なう点に特徴がある。すなわちコンベアベルト方式としたことにより、非溶融性プラスチックに脱塩化水素反応などを行なわせながら溶融性プラスチックの液相ポリマー化を進めることができると同時に、液相ポリマーと固形物との分離を効率的に行なうことができ、しかも脱塩化水素反応などで生じた塩化水素などと液相ポリマーとの分離を効果的に行なうことで、塩化水素などが液相ポリマーに混入することにより液相ポリマーの分解で得られる生成物が低質化することも効果的に防止することができる。また液相ポリマーは分解セクションに連続的に供給する一方で、非溶融性プラスチックはコンベアベルトの一端側から例えば固形燃料化して回収することができる。つまり混合廃棄プラスチックの予備処理を種々な意味で効率的に行なうことができる。
【0009】
また本発明による処理装置の他の特徴は、分解セクションが外周に搬送羽根を有する内筒とこれを覆う外筒とからなるスクリューコンベア構造であり、予備処理で得られた液相ポリマーをこのスクリューコンベア構造である分解セクションで分解させることにある。すなわち分解セクションに供給された液相ポリマーは、反応室の底で液深の浅い液層を形成し、且つ内筒の回転に応じて内筒の外周面に前記液層から掻き上げられることで薄膜を形成し、この薄膜状態で加熱エネルギーを供給されて分解・気化する。つまり分解・気化を生じようとする液相ポリマーが例えば0.5 mm程度の薄膜で加熱源と接することになり、その全体を常に均一な温度に保つことができる。また液相ポリマーから生じる生成物(常温程度まで冷却することで燃料油や燃料ガスとなる)を素早く液相ポリマーから離脱させて生成物が過剰加熱に曝される状態をなくしてやることができる。つまり生成物が過剰加熱を受けることがカーボン発生の最大の原因であるので、これを除くことにより、カーボンの発生を有効に防止することができる。さらに分解・気化のための液相ポリマーに対する加熱効率が格段に高くなり、分解効率を大幅に向上させることができる。この結果、ポリマーの分解反応を効果的に制御することが可能となり、望ましい組成の高品質な燃料油や燃料ガスなどを効率的に回収することができる。また装置のメンテナンスについての負担を大幅に軽減できるし、さらに反応過程の監視が実質的に不要となって無人化運転を可能とすることもできる。
【0010】
さらに本発明による処理装置は、内筒の加熱道を利用してコンベアベルト上の廃棄プラスチックの加熱をなす点にも特徴をもつ。このような構造により加熱源を予備処理と分解反応に兼用することができ、加熱エネルギーの大幅な節約を図ることができる。
【0011】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の一実施形態による処理装置は、図1に示すように、分解セクションSaと予備処理セクションSbを備える。分解セクションSaは、外周に搬送羽根1を有するスクリュー構造の内筒2と、この内筒2との間で反応室3を形成する外筒4とからなり、内筒2は外筒4に対し軸心を下側にずらしてある。このようにすることで反応室3の上部空間を下部空間よりも相対的に広くすることができ、後述するように反応室3での液相ポリマーの分解反応で生じる気化物の液相ポリマーからの分離を促進させることができる。内筒2は、内部が加熱道5とされ、この加熱道5にバーナーなどにより高温の熱風を吹き通させることで反応室3に加熱エネルギーを供給するようになっている。また内筒2は、左右各端部の外周にギア6を有しており、このギア6を介して駆動系7により回転する。一方、外筒4は図外の回収装置に接続する回収口8を備えている。
【0012】
予備処理セクションSbは、内筒2の加熱道5の内部に設けた遮蔽筒9と、この遮蔽筒9により加熱道5におけるバーナーなどの熱風に対し分離された状態で無端的に走行するようにしたコンベアベルト10とを備えている。コンベアベルト10は、例えばセラミック材などを用いて通液性を有する構造に形成する。遮蔽筒9は、逆三角形状の断面形状を持つように形成し、その下部を集液樋部11とし、そしてこの集液樋部11にコンベアスクリュー11sを配する。また遮蔽筒9は、その下部の熱伝導率が上部の熱伝導率よりも小さくなるように形成する。さらに遮蔽筒9には後述の脱塩化水素反応などを生じる塩化水素ガスなどを強制排気するための排気管12を接続する。この遮蔽筒9における集液樋部11は、後述のようにしてコンベアベルト10上で生成してコンベアベルト10の通液性により流下する液相ポリマーを集めて反応室3に供給するのに機能する。集液樋部11に集めた液相ポリマーの反応室3への供給は、加熱道5の外部で遮蔽筒9に適宜な連通口を設け、この連通口を通じて行なうようにする。
【0013】
このような処理装置による廃棄プラスチックの脱塩化水素処理と分解処理は以下のようにしてなされる。供給ホッパHから廃棄プラスチックをコンベアベルト10の上に連続的に供給する。コンベアベルト10に乗った廃棄プラスチックは、コンベアベルト10が矢印Xの如く走行するのに伴って遮蔽筒9の内部を搬送され、この間に加熱道5における熱風から遮蔽筒9を通して熱エネルギーを供給されることで加熱される。そして廃棄プラスチック中の溶融性プラスチックは溶融・液化して液相ポリマーを生成する。生成した液相ポリマーはコンベアベルト10が通液性を有することから固形物と分離して下方の集液樋部11に流下する。一方、非溶融性プラスチックは脱塩化水素反応などを生じながらコンベアベルト10の先端まで搬送され、そこで固形燃料などとして回収される。脱塩化水素反応など発生した塩化水素ガスなどは内筒2の先端に設けてある回収口14を通して図外の回収装置で回収される。
【0014】
ここで、上記のように遮蔽筒9をその下部の熱伝導率が上部の熱伝導率よりも小さくなるように形成してあるので、脱塩化水素反応を液相ポリマーの分解反応と同一の温度レベルである高温条件で効率的に行なうことが可能となる。つまり上部を高い熱伝導率状態とすることにより、コンベアベルト10上の廃棄プラスチックに脱塩化水素反応用の熱エネルギーを効率的に供給する一方で、下部を低い熱伝導率状態とすることにより、コンベアベルト10から流下して集液樋部11に集まる液相ポリマーに後述のようにして分解セクションSaでの分解を受ける前に分解を生じさせることを防止できる。
【0015】
このようにして予備処理セクションSbで生成した液相ポリマーは、連続的に分解セクションSaの反応室3に供給される。反応室3では内筒2のスクリュー構造により液相ポリマーが矢印Y方向に搬送されながら加熱され、これにより分解・気化する。分解セクションSaでの液相ポリマーは、図2に見られるように、反応室3の底で液深の浅い液層Lを形成する状態となる。この状態では内筒2の回転に応じてこれに液相ポリマーが掻き上げられる。そのため液相ポリマーは内筒2の外周面で薄膜Fを形成する。そしてこの薄膜Fの状態で内筒2を介して加熱道5の高温の熱風により加熱されて分解・気化する。これにより発生する生成物は、浅い液層Lを除いて、反応室3の全体に充満しつつ、順次回収口8から図外の冷却装置に導かれ、そこで冷却されて燃料油や燃料ガスなどとして回収される。一方、分解し切れなかった残滓は外筒4に設けてある排出口15から回収される。なお液相ポリマーを油化分解とするか、ガス化分解とするかは、例えば触媒の種類や量などで決まる分解反応の条件により選択することになる。
【0016】
上記のような処理装置については、外筒4及びコンベアベルト10の周囲もカバーハウジングで気密的に覆い、このカバーハウジングで覆ったスペースにに加熱道5からの高温排気を通すことで反応室3の温度の安定化を図るようにするとさらに好ましい。また外筒4も回転させることができるようにし、外筒4の内面に付着蓄積する残滓などを必要時に外筒4を回転させることで清掃できるようにすることも好ましい。
【0017】
以上の実施形態ではコンベアベルト10の返送部分が内筒2における加熱道5の外側を通るようにしているが、これに代えた返送部分も加熱道5の内部を通すようにすることもできる。このようにすることで、返送部分に付着した残滓などを加熱道5の内部で焼失させることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、非溶融性プラスチックに対しては脱塩化水素処理などの予備処理を効率的に行なえると共に、溶融性プラスチックに対してはカーボンの発生を有効に防止して効率的な分解反応を行なわせることができ、ポリ塩化ビニルなどが混ざっている混合廃棄プラスチックについて、有用な再資源化物を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態による処理装置の要部を簡略化して示す一部破断の側面図。
【図2】図1中のSA−SA線に沿う要部断面図。
【符号の説明】
1 搬送羽根
2 内筒
3 反応室
4 外筒
5 加熱道
9 遮蔽筒
10 コンベアベルト
Sa 分解セクション
Sb 予備処理セクション
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄プラスチックの処理技術に関し、特にポリ塩化ビニルやPET樹脂あるいはポリアクリロニトリルなどのように加熱により分解液化が困難で塩化水素やシアンを放出するプラスチックが混ざっている混合廃棄プラスチックの油化やガス化を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえる処理技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃棄プラスチックには、ポリエチレンやポリスチレンに代表される、油化やガス化が可能なもの、つまり加熱により溶融して液相ポリマー化し、この液相ポリマーの状態で分解して燃料油や燃料ガスなどとすることが可能なものと、ポリ塩化ビニルやポリエチレンテレフタレートに代表される、油化やガス化の困難なもの、つまり加熱しても液化せずに脱塩化水素反応などを生じるものとがあるが、前者の占める割合が格段に大きい。それ故、廃棄プラスチックを妥当なコストで油化乃至ガス化して燃料油や燃料ガスなどのかたちで回収・再資源化することは廃棄プラスチックの処理方法として最も望ましいと言える。
【0003】
しかし実際には妥当なコストにより廃棄プラスチックを燃料油や燃料ガスなどとして再資源化する技術は未だ実用化されていない。それには大別して二つの原因がある。その一つは油化やガス化における分解自体に関することである。例えば分解に際して多量のカーボンを発生させてしまうために分解の制御、特に分解温度の制御を効果的に行なうことができなくなり、望ましい組成の回収物を効率的に生成させることができないなどの理由から妥当なコストで分解処理を行なえないということである。
【0004】
他の一つは、ポリ塩化ビニルなどが混ざっている混合廃棄プラスチックを処理しようとする場合の問題である。すなわち例えばポリ塩化ビニルは加熱により塩化水素を放出するので、この塩化水素がプラスチックの溶解・分解で発生する生成物に付加してしまうと、その分離が困難であるし、また生成物を冷却して得られる最終的な再資源化回収物に塩化水素が含まれることになると回収物の有用性が大幅に低下するなどの問題があり、また塩化水素により油化装置の寿命、特にその主要な要素であり、装置全体のコストに大きな割合を占める反応器の寿命が極端に短くなり、分解処理のコストを大幅にアップさせてしまうという問題もある。それ故、混合廃棄プラスチックの場合には油化処理やガス化処理に先立って脱塩化水素などの予備処理を施す必要がある。そしてこの予備処理を如何に効率的に行なうか、また脱塩化水素などを経たポリ塩化ビニルなどの処理を如何にするかということが分解処理全体のコストに無視できない影響をおよぼす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、混合廃棄プラスチックの分解処理を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえるような技術の提供を目的とし、特に分解処理に先立つ予備処理を効率的に行なえ、しかも分解反応に悪影響をおよぼすようなカーボンの発生も有効に防止できる技術の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による廃棄プラスチックの処理方法は、廃棄プラスチックを分解処理して燃料油や燃料ガスなどとして回収することを基本とし、そのために通液性を有するコンベアベルトを加熱雰囲気中で走行させ、このコンベアベルト上に連続的に供給する廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させる予備処理をなし、そしてこの予備処理で得られた液相ポリマーを分解セクションに供給して分解するようになっている。
【0007】
また本発明による処理装置は、外周に搬送羽根が設けられ且つ回転可能とされた内筒と、この内筒の外周との間で反応室を形成する外筒とを含み、前記内筒の内側を加熱道として反応室に加熱エネルギーを供給できるようにしてなる分解セクションを備え、また前記内筒の内側の加熱道内に設けた遮蔽筒の内部を走行するようにして設けられた、通液性を有するコンベアベルトを含んでなる予備処理セクションを備え、そして予備処理セクションでは、コンベアベルト上に連続的に供給される廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させ、そしてこの固形物と分離した液相ポリマーを前記反応室に供給して分解するようになっている。
【0008】
このような本発明による処理方法及び処理装置における特徴の一つは、例えばポリ塩化ビニルやポリアクリロニトリルなどのような非溶融性のプラスチックが混ざっている混合廃棄プラスチックの分解処理を脱塩化水素などの予備処理に連続して行なえるということであり、特に通液性を有するコンベアベルトを用いて予備処理を行なう点に特徴がある。すなわちコンベアベルト方式としたことにより、非溶融性プラスチックに脱塩化水素反応などを行なわせながら溶融性プラスチックの液相ポリマー化を進めることができると同時に、液相ポリマーと固形物との分離を効率的に行なうことができ、しかも脱塩化水素反応などで生じた塩化水素などと液相ポリマーとの分離を効果的に行なうことで、塩化水素などが液相ポリマーに混入することにより液相ポリマーの分解で得られる生成物が低質化することも効果的に防止することができる。また液相ポリマーは分解セクションに連続的に供給する一方で、非溶融性プラスチックはコンベアベルトの一端側から例えば固形燃料化して回収することができる。つまり混合廃棄プラスチックの予備処理を種々な意味で効率的に行なうことができる。
【0009】
また本発明による処理装置の他の特徴は、分解セクションが外周に搬送羽根を有する内筒とこれを覆う外筒とからなるスクリューコンベア構造であり、予備処理で得られた液相ポリマーをこのスクリューコンベア構造である分解セクションで分解させることにある。すなわち分解セクションに供給された液相ポリマーは、反応室の底で液深の浅い液層を形成し、且つ内筒の回転に応じて内筒の外周面に前記液層から掻き上げられることで薄膜を形成し、この薄膜状態で加熱エネルギーを供給されて分解・気化する。つまり分解・気化を生じようとする液相ポリマーが例えば0.5 mm程度の薄膜で加熱源と接することになり、その全体を常に均一な温度に保つことができる。また液相ポリマーから生じる生成物(常温程度まで冷却することで燃料油や燃料ガスとなる)を素早く液相ポリマーから離脱させて生成物が過剰加熱に曝される状態をなくしてやることができる。つまり生成物が過剰加熱を受けることがカーボン発生の最大の原因であるので、これを除くことにより、カーボンの発生を有効に防止することができる。さらに分解・気化のための液相ポリマーに対する加熱効率が格段に高くなり、分解効率を大幅に向上させることができる。この結果、ポリマーの分解反応を効果的に制御することが可能となり、望ましい組成の高品質な燃料油や燃料ガスなどを効率的に回収することができる。また装置のメンテナンスについての負担を大幅に軽減できるし、さらに反応過程の監視が実質的に不要となって無人化運転を可能とすることもできる。
【0010】
さらに本発明による処理装置は、内筒の加熱道を利用してコンベアベルト上の廃棄プラスチックの加熱をなす点にも特徴をもつ。このような構造により加熱源を予備処理と分解反応に兼用することができ、加熱エネルギーの大幅な節約を図ることができる。
【0011】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の一実施形態による処理装置は、図1に示すように、分解セクションSaと予備処理セクションSbを備える。分解セクションSaは、外周に搬送羽根1を有するスクリュー構造の内筒2と、この内筒2との間で反応室3を形成する外筒4とからなり、内筒2は外筒4に対し軸心を下側にずらしてある。このようにすることで反応室3の上部空間を下部空間よりも相対的に広くすることができ、後述するように反応室3での液相ポリマーの分解反応で生じる気化物の液相ポリマーからの分離を促進させることができる。内筒2は、内部が加熱道5とされ、この加熱道5にバーナーなどにより高温の熱風を吹き通させることで反応室3に加熱エネルギーを供給するようになっている。また内筒2は、左右各端部の外周にギア6を有しており、このギア6を介して駆動系7により回転する。一方、外筒4は図外の回収装置に接続する回収口8を備えている。
【0012】
予備処理セクションSbは、内筒2の加熱道5の内部に設けた遮蔽筒9と、この遮蔽筒9により加熱道5におけるバーナーなどの熱風に対し分離された状態で無端的に走行するようにしたコンベアベルト10とを備えている。コンベアベルト10は、例えばセラミック材などを用いて通液性を有する構造に形成する。遮蔽筒9は、逆三角形状の断面形状を持つように形成し、その下部を集液樋部11とし、そしてこの集液樋部11にコンベアスクリュー11sを配する。また遮蔽筒9は、その下部の熱伝導率が上部の熱伝導率よりも小さくなるように形成する。さらに遮蔽筒9には後述の脱塩化水素反応などを生じる塩化水素ガスなどを強制排気するための排気管12を接続する。この遮蔽筒9における集液樋部11は、後述のようにしてコンベアベルト10上で生成してコンベアベルト10の通液性により流下する液相ポリマーを集めて反応室3に供給するのに機能する。集液樋部11に集めた液相ポリマーの反応室3への供給は、加熱道5の外部で遮蔽筒9に適宜な連通口を設け、この連通口を通じて行なうようにする。
【0013】
このような処理装置による廃棄プラスチックの脱塩化水素処理と分解処理は以下のようにしてなされる。供給ホッパHから廃棄プラスチックをコンベアベルト10の上に連続的に供給する。コンベアベルト10に乗った廃棄プラスチックは、コンベアベルト10が矢印Xの如く走行するのに伴って遮蔽筒9の内部を搬送され、この間に加熱道5における熱風から遮蔽筒9を通して熱エネルギーを供給されることで加熱される。そして廃棄プラスチック中の溶融性プラスチックは溶融・液化して液相ポリマーを生成する。生成した液相ポリマーはコンベアベルト10が通液性を有することから固形物と分離して下方の集液樋部11に流下する。一方、非溶融性プラスチックは脱塩化水素反応などを生じながらコンベアベルト10の先端まで搬送され、そこで固形燃料などとして回収される。脱塩化水素反応など発生した塩化水素ガスなどは内筒2の先端に設けてある回収口14を通して図外の回収装置で回収される。
【0014】
ここで、上記のように遮蔽筒9をその下部の熱伝導率が上部の熱伝導率よりも小さくなるように形成してあるので、脱塩化水素反応を液相ポリマーの分解反応と同一の温度レベルである高温条件で効率的に行なうことが可能となる。つまり上部を高い熱伝導率状態とすることにより、コンベアベルト10上の廃棄プラスチックに脱塩化水素反応用の熱エネルギーを効率的に供給する一方で、下部を低い熱伝導率状態とすることにより、コンベアベルト10から流下して集液樋部11に集まる液相ポリマーに後述のようにして分解セクションSaでの分解を受ける前に分解を生じさせることを防止できる。
【0015】
このようにして予備処理セクションSbで生成した液相ポリマーは、連続的に分解セクションSaの反応室3に供給される。反応室3では内筒2のスクリュー構造により液相ポリマーが矢印Y方向に搬送されながら加熱され、これにより分解・気化する。分解セクションSaでの液相ポリマーは、図2に見られるように、反応室3の底で液深の浅い液層Lを形成する状態となる。この状態では内筒2の回転に応じてこれに液相ポリマーが掻き上げられる。そのため液相ポリマーは内筒2の外周面で薄膜Fを形成する。そしてこの薄膜Fの状態で内筒2を介して加熱道5の高温の熱風により加熱されて分解・気化する。これにより発生する生成物は、浅い液層Lを除いて、反応室3の全体に充満しつつ、順次回収口8から図外の冷却装置に導かれ、そこで冷却されて燃料油や燃料ガスなどとして回収される。一方、分解し切れなかった残滓は外筒4に設けてある排出口15から回収される。なお液相ポリマーを油化分解とするか、ガス化分解とするかは、例えば触媒の種類や量などで決まる分解反応の条件により選択することになる。
【0016】
上記のような処理装置については、外筒4及びコンベアベルト10の周囲もカバーハウジングで気密的に覆い、このカバーハウジングで覆ったスペースにに加熱道5からの高温排気を通すことで反応室3の温度の安定化を図るようにするとさらに好ましい。また外筒4も回転させることができるようにし、外筒4の内面に付着蓄積する残滓などを必要時に外筒4を回転させることで清掃できるようにすることも好ましい。
【0017】
以上の実施形態ではコンベアベルト10の返送部分が内筒2における加熱道5の外側を通るようにしているが、これに代えた返送部分も加熱道5の内部を通すようにすることもできる。このようにすることで、返送部分に付着した残滓などを加熱道5の内部で焼失させることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、非溶融性プラスチックに対しては脱塩化水素処理などの予備処理を効率的に行なえると共に、溶融性プラスチックに対してはカーボンの発生を有効に防止して効率的な分解反応を行なわせることができ、ポリ塩化ビニルなどが混ざっている混合廃棄プラスチックについて、有用な再資源化物を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態による処理装置の要部を簡略化して示す一部破断の側面図。
【図2】図1中のSA−SA線に沿う要部断面図。
【符号の説明】
1 搬送羽根
2 内筒
3 反応室
4 外筒
5 加熱道
9 遮蔽筒
10 コンベアベルト
Sa 分解セクション
Sb 予備処理セクション
Claims (2)
- 廃棄プラスチックを分解処理して燃料油や燃料ガスなどとして回収するための処理方法において、通液性を有するコンベアベルトを加熱雰囲気中で走行させ、このコンベアベルト上に連続的に供給する廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させる予備処理をなし、そしてこの予備処理で得られた液相ポリマーを分解セクションに供給して分解するようにしたことを特徴とする廃棄プラスチックの処理方法。
- 廃棄プラスチックを分解処理して燃料油や燃料ガスなどとして回収するための処理装置において、外周に搬送羽根が設けられ且つ回転可能とされた内筒と、この内筒の外周との間で反応室を形成する外筒とを含み、前記内筒の内側を加熱道として反応室に加熱エネルギーを供給できるようにしてなる分解セクションを備え、また前記内筒の内側の加熱道内に設けた遮蔽筒の内部を走行するようにして設けられた、通液性を有するコンベアベルトを含んでなる予備処理セクションを備え、そして予備処理セクションでは、コンベアベルト上に連続的に供給される廃棄プラスチックをコンベアベルトの走行に伴なって加熱することにより、溶融性プラスチックについては溶融・液化させる一方で、非溶融性プラスチックについては脱塩化水素反応などを生じさせるとともに、溶融性プラスチックの溶融・液化で生成した液相ポリマーをコンベアベルトの通液性により固形物と分離させ、そしてこの固形物と分離した液相ポリマーを前記反応室に供給して分解するようになっていることを特徴とする廃棄プラスチックの処理装置。
Priority Applications (1)
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JP35076996A JP3655034B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 廃棄プラスチックの処理方法及び処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP35076996A JP3655034B2 (ja) | 1996-12-27 | 1996-12-27 | 廃棄プラスチックの処理方法及び処理装置 |
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-
1996
- 1996-12-27 JP JP35076996A patent/JP3655034B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10183138A (ja) | 1998-07-14 |
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