JP3654602B2 - 染色排水の濃縮再生方法及び該装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は染色排水の濃縮再生方法及び該装置に関し、詳しくは、繊維の染色加工において排出される工場廃水のうち、染色の工程で排出される染色排水を濃縮再生する方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維工業では、一連の工程を大きく紡績、編織、染色加工の部門に分けて数多くの製品を生産している。これらの工程中、染色加工の部門では、繊維の種類に応じた最適な染料を用い、糸や織物または編物を種々の色に染色して製品の外観や風合いを高めている。ところで、染色加工において染色される糸や織物または編物などの繊維製品は、まず、紡編織加工において付与された油剤及びのり剤や、繊維原料に付着していたろう質、ペクチン質、色素などの不純物を除去する精錬漂白の工程が行われ、次いで、大量の水の存在下で染料を用いて染色する工程が行われる。
【0003】
染色の方法としては、例えば浸染法があり、一般に、木綿やレーヨンなどのセルロース繊維を染色する場合の染料には、染色の方法が非常に簡単であることから直接染料が用いられることが多い。すなわち、直接染料はセルロース繊維に対して直接染着性を持つ水溶性の染料であり、直接染料の多くは中性又は弱アルカリ性染浴でセルロース繊維に直接染着する。具体的には、例えば、染料水溶液に中性塩を添加して調整した染浴に繊維を入れて加熱することにより、染浴中の染料の大部分が繊維に吸尽され、繊維を簡単に染色することができる。代表的な直接染料にインジゴブルー(ダイレクトブルーともいう。)があり、青色の染料としてジーンズ等の染色に用いられている。そして、染色後、染浴から取り出した繊維を水洗して余分な染料を洗い流し、脱水乾燥して染色加工品が完成する。
【0004】
かかる染色加工において、水は欠くことのできない生産資源で、上記染浴などの調整等に用いられるいわゆる製品処理用水や洗浄用水など、製品と直接接触する用途に大量の水が使用されており、わが国で染色加工のために使用される水の量は1日約100万m3 、年間数億m3 に達すると推定されている。また、かかる染色加工用水の水質は染色加工品の品質に大きな影響を与え、染色加工用水中の不純物、特に、重金属の混入は、染色における難染、変色、染色むらなど種々の障害の原因となる。そのため、染色加工用水としての水質許容基準を設けて、気暴、凝集、沈殿、ろ過、イオン交換その他の操作を単独又は組み合わせて用水処理をした大量の水が染色加工用水として用いられている。そして、この大量の使用水量の大部分が工場廃水として排出されており、更に廃水の水質基準を確保するために、廃水を大量の水で希釈して排出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記工場廃水として排出されている染色加工における排水中には、紡編織工程において付与された油剤およびのり剤、繊維原料に付着していたろう質、ペクチン質、色素などの不純物、更に、加工工程において使用された染料および薬品助剤などの残基分、繊維くずなど種々な汚濁物が含まれているので、これが公害問題の対象となり、染色加工業にとって廃水処理は等閑視できない問題となっている。
【0006】
特に、これら廃水中に含まれる汚濁物のうち、繊維くずなどの固形成分はろ過などによって、比較的容易に除去することができるが、染料などの水溶性成分については排出するほかなく、大量の水とともに大量の染料も排出されており、河川などの水質汚濁の原因となっている。ここで、染色工程で排出される廃水中に含まれる染料は大量であるため、廃水から染料を回収して再生することができれば好ましいが、廃水中に化学薬品を投入して染料を回収することができたとしても、得られた染料は元の染料と組成が異なるため、染料として使用することができないものであった。
【0007】
そこで、本発明者は大量に排出される工場廃水のうち、特に染色工程で排出される廃水から染料を取り出して再生することができれば、染料の使用量を大幅に削減することができるだけでなく、河川などの水質汚濁を防止でき、しかも水の使用量及び排出量を大幅に削減することができることに着目し、染色排水の再生方法及び再生装置を提供することを目的に鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る染色排水の再生方法の要旨とするところは、染色用の染料水溶液により繊維を染色する染色加工において排出される染色排水を限外ろ過することにより、該染色排水を濃縮することにある。
【0009】
かかる染色排水の濃縮再生方法において、前記染色排水を限外ろ過することにより、前記染料水溶液として使用し得る濃度に濃縮することにある。
【0010】
また、かかる染色排水の濃縮再生方法において、前記限外ろ過のろ過膜として、膜の目の大きさが0.3μm以下であるニトロセルロースタイプのメンブランフィルターを用いることにある。
【0011】
更に、かかる染色排水の濃縮再生方法において、前記染色排水が、直接染料を用いた染色加工において排出された染色排水であることにある。
【0012】
更に、かかる染色排水の濃縮再生方法において、前記直接染料が、インジゴイド染料であることにある。
【0013】
更に、かかる染色排水の濃縮再生方法において、前記染色排水を加圧下及び/又は減圧下で限外ろ過することにある。
【0014】
次に、本発明に係る染色排水の濃縮再生装置の要旨とするところは、染色用の染料水溶液により繊維を染色する染色加工において排出される染色排水を供給する供給装置と、該染色排水を限外ろ過する限外ろ過膜と、該限外ろ過膜を透過した透過液を排出する排出装置と、前記限外ろ過膜を透過しなかった濃縮液を収集する収集装置を備えることにある。
【0015】
【作用】
本発明に係る染色排水の濃縮再生方法は、繊維の染色加工において排出される染色排水を限外ろ過して濃縮し得ることを見出したことにあり、染色排水を限外ろ過することにより、染色排水から限外ろ過膜を透過する透過液を分離して濃縮する。この濃縮液をさらに限外ろ過して、染色用の染料水溶液として再利用できる濃縮液にまで濃縮して、染料水溶液を得る。一方、限外ろ過膜を透過した透過液には繊維から溶けだしたのりなどが含まれており、それら不純物の含有量が少ないときにはそのまま染色加工用水として再利用でき、また、それら不純物の含有量が多いときには染色加工用水によって希釈して再利用することができる。なお、染色排水を限外ろ過するのに際して、まず通常のろ過などによって繊維から遊離した繊維くずなどの固形成分を除去しておくのが好ましい。ここで、染色加工業において汎用されている染料のほとんどが、染色の方法が簡単である直接染料であり、この直接染料はコロイド性を示すことから、染料のコロイド粒子に適した限外ろ過膜を用いて限外ろ過することにより染料を排水中から分離することができるのである。このように排水を限外ろ過して排水中から染料を分離することにより、排水を染色に用いる濃度にまで濃縮することができ、染料を含有する濃縮液と染料が除去された透過液とに分離することができる。
【0016】
かかる本発明の方法は、染色排水に何ら処理剤を添加することなく、染料を分離するのに適した限外ろ過膜を選択して限外ろ過するという非常に簡単な操作で濃縮液と透過液を得ることができる。そして、本発明の方法により得られた濃縮液と透過液は、染色加工においてそれぞれ染浴を調整するための染料水溶液や染色加工用水として再利用に供することができる。なお、染料水溶液としての濃度が充分でない場合は、染料が追加されて、濃度の調整が行われる。
【0017】
更に詳しくは、本発明でいう染色排水とは染色加工で排出される工場廃水のうち、特に単一の染色の工程又は最初の染色の工程で排出される排水をいい、繊維を染浴中で加熱して繊維に染料を染着させた後、水洗をして余分な染料を洗い流す際に大量に排出される。染色加工で排出される工場廃水には、本発明でいう染色排水の他、精錬漂白の工程で排出される排水があり、これらの工場廃水中には紡編織工程において付与された油剤およびのり剤、繊維原料に付着してうたろう質、ペクチン質、色素などの不純物、更に、加工工程において使用された染料および薬品助剤などの残基分、繊維くずなど種々な汚濁物が含まれている。
【0018】
しかし、かかる工場廃水中の汚濁物のほとんどは、精錬漂白の工程で排出されるので、染色排水はこれらの汚濁物をほとんど含まない0.1〜0.15g/l 程度の染料が含有されている希薄な染料水溶液であると言える。また、染色加工用水として用いられる水が、用水処理が施されて水の中の不純物が除かれたものであるため、染色排水中の水は重金属等の染色加工において大きな障害を示す不純物を含まない。従って、本発明の方法により得られた濃縮液及び透過液は染色において障害を示すような不純物や汚濁物等を含まず、回収後そのままの状態で染料や染色加工用水として再利用することができる。このように、本発明の方法で染色排水から染料水溶液と染色加工用水を再生することにより、非常に簡単な処理方法で工場廃水の排出量をかなり減少させることができ、かつ染料の使用量と染色加工用水として使用される水の使用量を節約することができる。
【0019】
なお、本発明において染色排水を限外ろ過するためのろ過膜としては、膜の目の大きさが0.3μm以下であるニトロセルロースタイプのメンブランフィルターを用いるのが、染料のコロイド粒子を分離するのに適当であり好ましい。
【0020】
また、限外ろ過はろ過によりコロイド粒子を分散媒より分離するもので、本発明は染料がコロイド性を示す場合に有効な方法であると考えられる。そのため、本発明の方法により、染色排水中から染料を分離して濃縮液と透過液を得るためには、排水中の染料がコロイド性を示すことが必要であると考えられる。そして、直接染料がコロイド性を示し、かつコロイド性の大きいものほどセルロース繊維に対する親和性も大きいと言われていることから、該直接染料を用いた染色加工において排出された染色排水に本発明を適用するのが好ましい。
【0021】
特に、ジーンズ染色に用いられるインジゴブルーなどのインジゴイド染料は代表的な直接染料の1つで、インジゴブルーを用いて染色した場合に排出される染色排水を、上記膜の目の大きさが0.3μm以下であるニトロセルロースタイプのメンブランフィルターを用いて限外ろ過することにより、すみやかにかつ完全に染料として再利用できる濃縮液と染色加工用水として再利用できる透過液とに分離することができる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明に係る染色排水の濃縮再生方法とその装置の実施例について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
本発明の染色排水の濃縮再生方法及びその装置は、染色加工において排出される工場廃水のうち、染色の工程で排出される染色排水を再生するもので、染色排水を限外ろ過することにより、少なくとも染料水溶液として再利用できる濃縮液を得ることを目的とし、例えば、図1に示すようなバッチ式の処理装置10を構成することができる。
【0024】
この処理装置10は、限外ろ過装置12と加圧手段14とを備えて構成されている。限外ろ過装置12は染色排水16を貯留する容器18と、容器18内の染色排水16を限外ろ過する限外ろ過膜20と、限外ろ過膜20を透過した透過液22を受ける容器24と、容器18内の染色排水16を攪拌する攪拌翼26と、この攪拌翼26を回転させる駆動装置28を備えて構成されている。また、この限外ろ過装置12の容器18には染色排水16を供給する供給口30と、容器18内の染色排水16を加圧するために容器18内に加圧ガスを供給するためのガス供給口32が設けられていて、また容器24の下部には限外ろ過膜20を透過した透過液22を排出する排出口34が設けられ、その排出口34から排出された透過液22はタンク36に入れられる。
【0025】
一方、容器18に設けられたガス供給口32には高圧源38から調圧弁40を介して所定の圧力の窒素ガスなどの不活性ガスが供給されて、容器18内の染色排水16の液面を加圧するように構成されている。不活性ガスを用いるのは染色排水16に含まれる染料などが酸化するのを防ぐためである。なお、符号42は供給ガスの圧力を測定するための圧力計であり、符号44は容器18内の圧力を抜いて大気圧に戻すための圧抜きバルブである。
【0026】
ここで、本発明の方法により染色排水を濃縮液と透過液に分離するためには、含有される染料がコロイド性を示すことが必要と考えられ、コロイド性を示す染料としては、直接染料と言われる木綿、レーヨン等のセルロース繊維に対して直接染着性を有する水溶性の染料がある。かかる直接染料は染色の方法が簡単であることからこれらのセルロース繊維を染色する場合に汎用されており、多くの染色加工業における染色排水は本発明の方法により処理可能な直接染料を含有するものと推察される。
【0027】
以上の構成に係るバッチ式の処理装置10を用いて、染色排水16を限外ろ過して濃縮液と透過液とに分離するには、まず、限外ろ過装置12の容器18内に染色排水16を供給口30から容量分投入した後、バルブ46を閉じ、駆動装置28を作動させて攪拌翼26により染色排水16を攪拌しながら高圧源38を開いてガスを供給し、容器18内を所定の圧力で加圧して限外ろ過膜20により限外ろ過を行う。ろ過膜20を透過した透過液22は排出口34から排出されてタンク36に入れられる。そして、容器18内から一定量の透過液22が透過される毎に新たな染色排水30を供給口30から追加供給して、同様の操作を繰り返して行い、所定の濃度の濃縮液が容器18内に溜まったとき、これらの作動を停止させた後、バルブ48を開けて容器18内から濃縮液を取り出す。
【0028】
かかる作動において、攪拌翼26を回転させて染色排水16を攪拌することにより、限外ろ過膜20の近傍部に溜まる濃縮液を除去して、限外ろ過膜20が目詰まりしないようにしつつ、迅速にろ過することができる。また、高圧源38からガスを導いて容器18内を加圧することにより、限外ろ過のろ過速度を高めることができる。ここで、高圧源38による容器18内の加圧力は、ろ過速度を高め得る圧力以上であるとともに、ろ過膜を破損したり、ろ過膜を染料成分が透過しない圧力以下である適切な値が設定され、ろ過膜の種類や膜厚などによって適宜設定される。なお、この加圧力は容器18内の染色排水16による水圧を考慮して設定され、水圧が高い場合は加圧しないか、あるいは減圧し、水位が減少するのに伴い、加圧するように構成するのが好ましい。
【0029】
この処理装置10をジーンズ等の染色に用いられる染料であるインジゴブルーの染色排水を例にして、より具体的に説明する。このインジゴブルーの染色排水16に適する限外ろ過膜20としては、膜の目の大きさが0.3μm以下のニトロセルロースタイプのメンブランフィルターを用いるのが好ましい。このフィルターは低硝化度(N含有率11〜12%程度)のニトロセルロースをエーテルとアルコールの混合液に溶かしたコロジオンを用いて構成した半透膜である。かかる限外ろ過膜20を用いることにより、インジゴブルーの染色排水16を限外ろ過して、染色排水16中の染料成分を液体成分から分離して濃縮液を得ることができる。
【0030】
次に、実験例を示すと、図2に示すようなバッチ式の処理装置50において、限外ろ過装置52として膜面積32cm2 のバッチ式平膜テストセルC40−B(日東電工株式会社製)を用い、限外ろ過膜54として膜の目の大きさが0.2μmであるニトロセルロースタイプのメンブランフィルター(東洋濾紙株式会社製;品番A020A090C)を直径75mmにカットして、限外ろ過装置52に取り付けた。そして、限外ろ過装置52の容器56に当初300mlの染色排水58を投入した後、容器60を合わせて治具62によって密閉し、その後、ガスボンベ64から窒素ガスを導入して、容器56内を操作圧力0.5〜2kg/cm3 で加圧し、限外ろ過した。また、処理温度は特に制限はないが、15〜30℃の温度であった。更に、使用した染色排水58はインジゴブルーを0.1〜0.15g/l 含有するジーンズ染色排水であり、この染色排水58はPH11程度の液性を示しており、これはインジゴブルーを用いて染色する場合に、染浴を弱アルカリ性に調整していることによる。なお、符号66は磁性材料から成る攪拌翼であり、攪拌翼66は限外ろ過膜54を破損させないようにシャフト68によって所定の位置に保たれていて、その攪拌翼66をマグネチックスターラー70によって回転させ、染色排水58を攪拌するように構成した。
【0031】
限外ろ過装置52の容器56に入れた300mlの染色排水58を限外ろ過して、透過液72が約100ml得られた時、ろ過を中断して、容器56内に新たな染色排水58を約100ml補充した後、限外ろ過を開始するという操作を繰り返した。そして、全量1000mlの染色排水58を処理して、950mlの透明極淡黄色の透過液66と、容器56内に50mlの濃青色の濃縮液を得た。なお、透過液66の透過流速は初期値1000 l/m3 ・hr、最終値30 l/m3 ・hrであり、平均値は100 l/m3 ・hrであった。
【0032】
以上の実験においては、染色排水の濃度を20倍に濃縮するものであるが、かかる実験装置を用いて更に濃縮させることにより、染色排水の濃度を約200倍に濃縮し得ることが確認されている。また、得られた濃縮液と透過液の液性はPH11程度で、濃縮液の成分は当初の染色用の染料水溶液の成分と同じであり、所定の濃度にまで濃縮した濃縮液はそのまま染色用の染料水溶液として使用し得るものであった。また、透過液についても、自然水中に含まれるような重金属等の不純物は存在せず、そのまま染色加工用水として使用し得るものであった。なお、液性を調整するための添加剤などは含まれるが、新たに染浴を調整する場合であってもこれらの添加剤を添加してその液性に調整するのであるから、何ら問題はなく、染色した後の洗浄においても、かかる液性を示す水を用いることにより悪影響は生じない。
【0033】
したがって、得られた濃縮液及び透過液は、そのまま染色加工において再利用することができ、染色排水を工場廃水として排出しなくてもよくなり、廃水処理の必要な工場廃水の排出量を非常に減少させることができる。また、透過液を染色加工用水として再利用することにより、染色における使用水量を節約することができる。なお、染色排水を染色用の染料水溶液として使用し得る濃度にまで濃縮して、そのまま染料水溶液として染色に使用しても良いが、比較的薄い濃度の濃縮液を得て、その濃縮液に染料を溶解させて所定の濃度の染料水溶液を得るようにしても良く、いずれにおいても染色排水を再生使用し得るものである。
【0034】
以上、本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置の実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
たとえば、排水処理を上述のようにバッチ式で行うのではなく、連続的に染色排水を供給して連続処理を行うようにすることも可能である。その一例を図3に示すように、限外ろ過膜によりチューブ74あるいは中空糸を形成し、そのチューブ74を一定の長さにして筒状部材76の中に多数配設するとともに、チューブ74の両端を固定部材78に固定して、チューブ74内に染色排水を導通させるように構成する。そして、チューブ74の導入側と排出側のそれぞれにバルブ80,82を設け、それらのバルブ80,82を調整することにより染色排水の導入量と排出量をたとえば20対1、あるいは200対1などの割合に制御し、更に、筒状部材76の下部に設けた透過液排出口84からたとえば真空ポンプ86などによって筒状部材76の内部の空気とチューブ74を透過した透過液を吸引して排出するのである。
【0036】
かかる構成により、染色排水を連続的に導入しつつ限外ろ過膜から成るチューブ74を通して液体成分を除去して、設定された濃度の濃縮液を連続的に得ることができる。濃縮液の濃度及び濃縮液を得る速度はバルブ80と82の調整と、真空ポンプ86による吸引力、及び限外ろ過膜から成るチューブ74の表面積と長さなどによって任意に設定することができる。
【0037】
以上、本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置の実施例を図面に基づいて説明したが、図示した例示に限定されるものではないのは言うまでもない。すなわち、たとえば連続処理とバッチ式の処理を組み合わせて、まず、染色排水を連続処理によりある程度にまで濃縮した後、その濃縮液をバッチ式処理により更に濃縮するようにしてもよい。このように、連続処理とバッチ式処理を組み合わせることにより、大量に排出される染色排水を効率よく処理するようにすることができる。
【0038】
また、限外ろ過を行う場合に、上述のようにガスボンベなどの高圧源を接続してろ過装置内を加圧するのではなく、排出口側から吸引してろ過装置内を減圧するようにしても良い。更に、バッチ式の処理装置において、染色排水を入れる容器を鉛直方向に高く形成して、水圧を利用して加圧するように構成しても良く、この場合、高圧源によって加圧する必要はなく、また、染色排水を適宜補充することによって水圧をほぼ一定に保つことができる。
【0039】
更に、バッチ式のろ過装置や連続式のろ過装置において、限外ろ過膜の表面積を広くするために、限外ろ過膜に凹凸を設けたり、あるいは限外ろ過膜をジグザク状に形成したりする等、その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で当業者の知識に基づき、種々なる改良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
【0040】
【発明の効果】
本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置は、繊維の染色加工において排出される染色排水を限外ろ過膜により限外ろ過することにより、染色排水を染色用の染料水溶液としてそのまま再利用できる濃縮液、あるいは染料を追加補充することによって染色用の染料水溶液を製造することができる濃縮液を得ることができ、しかも、染色加工用水として再利用できる透過液を得ることができ、染色加工において排出される工場廃水を大幅に減少させることができるとともに、染料の使用量及び染色加工用水の使用量も大幅に減少させることができる。
【0041】
また、かかる方法はろ過によってコロイド粒子を分散媒より分離する限外ろ過を利用したもので、排水中の染料がコロイド性を示すことが必要であると考えられるが、一般に汎用されている染料のほとんどがコロイド性を示す直接染料であることから、本発明は染色加工業において好ましく利用され得るものである。
【0042】
すなわち、本発明の方法において、染料のコロイド粒子に適した限外ろ過膜を選択して染色排水を限外ろ過することにより、非常に簡単に排水中の染料を分離して濃縮液と透過液を得ることができる。そして、染色加工において使用される染色加工用水は、使用前に用水処理を施して染色の際に悪影響を与える重金属等の不純物を除去したもので、本発明の方法において染色排水を処理する際にも何ら処理剤は加えられないので、得られた濃縮液や透過液をそのまま再利用することができる。
【0043】
このように、本発明によって染色排水を再利用することにより、廃水処理の必要な工場廃水の排出量を減少させ、現状の染色加工業における廃水処理問題を緩和することができる。また、染色加工における染色加工用水を節約することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置の一実施例を説明するための概略説明図である。
【図2】本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置の一実験例を説明するための概略説明図である。
【図3】本発明に係る染色排水の濃縮再生方法及びその装置の他の実施例を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
10,50;処理装置
12,52;限外ろ過装置
14;加圧手段
16,58;染色排水
20,54,74;限外ろ過膜
22,72;透過液
26,66;攪拌翼
30;供給口
34;排出口
38;高圧源
64;ガスボンベ(高圧源)
Claims (6)
- 染色用の染料水溶液により繊維を染色する染色加工において排出される染色排水を、限外ろ過膜を備えて該限外ろ過膜の導入側で染色排水を貯留する容器に供給し、そのまま該容器に供給された該染色排水の液面を不活性ガスで加圧して限外ろ過して該染色排水を濃縮することを特徴とする染色排水の濃縮再生方法。
- 前記染色排水を限外ろ過することにより、前記染料水溶液として使用し得る濃度に濃縮することを特徴とする請求項1に記載する染色排水の濃縮再生方法。
- 前記限外ろ過のろ過膜として、膜の目の大きさが0.3μm以下であるニトロセルロースタイプのメンブランフィルターを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する染色排水の濃縮再生方法。
- 前記染色排水が、直接染料を用いた染色加工において排出された染色排水であることを特徴とする前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する染色排水の濃縮再生方法。
- 前記直接染料が、インジゴイド染料であることを特徴とする前記請求項4に記載する染色排水の濃縮再生方法。
- 染色用の染料水溶液により繊維を染色する染色加工において排出される染色排水を限外ろ過する限外ろ過膜と、
該限外ろ過膜を備えて、該限外ろ過膜の導入側で該染色排水を貯留する容器と、
該容器に該染色排水を供給する供給装置と、
該容器に供給された該染色排水の液面を、該容器に供給された不活性ガスを加圧することにより、該不活性ガスで加圧する加圧手段と、
該限外ろ過膜を透過した透過液を排出する排出装置と、
前記限外ろ過膜を透過しなかった濃縮液を収集する収集装置と
を備えることを特徴とする染色排水の濃縮再生装置。
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