JP3653517B2 - 発泡用ラミネートシート及び発泡ラミネートシート並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、発泡用ラミネートシート及び発泡ラミネートシート並びにその製造方法に関するものであり、特に、立体的な模様を形成した発泡ラミネートシートを簡易且つ安価に製造することができるようにするための発泡用ラミネートシート及び発泡ラミネートシート並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の両面にフイルムをラミネートし、該フイルムをラミネートした紙を加熱することにより、前記ラミネートフイルムを発泡させることは知られており、原紙の片側に低融点の熱可塑性樹脂フイルムを接合し、原紙の反対側に高融点の熱可塑性樹脂フイルムを接合して、このラミネート紙を加熱すると、紙中の水分により低融点の熱可塑性樹脂フイルムは均一に発泡する。
高融点の熱可塑性樹脂フイルムの所定の位置に局部的にピンホールを予め形成し、加熱の際にこのピンホールを通して水蒸気を逃散させることにより、該ピンホールに対応する部位の低融点のラミネートフイルムに未発泡領域を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、板紙にシリコンオイル等の接合阻止剤をスポット状に塗布し、その上にフイルムをラミネートし、このフイルムがラミネートされた面を加熱した後、真空吸引することにより、ラミネートされたフイルムの接合阻止剤が塗布された部分を発泡させている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−193018号(第1−5頁、第4−6図)
【特許文献2】
特開2000−177039号(第1−4頁、第1−6図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の特許文献1では、高融点の熱可塑性樹脂に約800℃の炎を0.2〜0.3秒当てて、ピンホールを形成している。しかし、この方法でピンホールを形成するには、高度の技術が要求され、可燃物である樹脂をラミネートした紙に炎を当てるので危険を伴う。又、特許文献2では、板紙とラミネートされたフイルムの非接合部が発泡するので、スポット状に発泡させることはできるが、広い面積に及んで発泡させることは困難である。
【0006】
そこで、前記ラミネートシートを任意のパターンで発泡させることができ、且つ、容易に製造することができるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成した発泡用ラミネートシートを提供するものである。
請求項2記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成し、加熱により前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させた発泡ラミネートシートを提供するものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷する発泡用ラミネートシートの製造方法を提供するものである。
請求項4記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙の前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷した発泡用ラミネートシートを加熱し、前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させた発泡ラミネートシートの製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1及至図5を参照して詳述する。
図1において、1は原紙を示し、該原紙1の片面に樹脂層2が装着される。而して、本発明で使用する原紙1としては、中質紙、上質紙、コート紙、コート板紙、不織布、ティッシュ原紙等の種々の原紙を使用することができ、且つ、20〜500g/m2の重量、好ましくは、150〜400g/m2の重量のものを採択するを可とする。
又、原紙1は、樹脂を発泡させるために充分な水分を含有する必要がある。水分量は、季節やその他の条件により変動しやすく、一概に決定し難いが、一般には、2〜15%、好ましくは4〜10%の含水率のものを用いるを可とする。水分の少ないものは強制的に水分を含ませることができる。更に、水分を加えたいときは界面活性剤を用いることにより可能である。
【0010】
本発明の樹脂層2で使用する樹脂としては、各種の合成樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性の樹脂を使用することができる。好ましい合成樹脂は低密度ポリエチレンである。又、樹脂層の厚さは、限定はされべきではないが、10〜100μm、特に20〜60μmの厚さのものを採択するを可とする。
又、樹脂には、酸化チタン、炭酸カルシウム等の白色顔料、赤色、青色等の顔料や染料を加えることもできる。
【0011】
原紙への樹脂の装着は、一般に行われている方法を用いることができる。即ち、原紙に樹脂を装着する前には、該原紙にコロナ放電或いは火炎処理等の活性化処理を施しているが、本発明においてもこのような処理を行うことが好ましい。又、原紙への樹脂の装着は、通常、スリットダイからフイルム状に押し出された溶融樹脂を加圧ロールと冷却ロールとの間で圧着し、そして、圧着された樹脂は該冷却ロールで冷却された後に、この冷却ロールから剥離される。而して、本発明に於いてもこの方法により原紙と樹脂との装着方法を実行することができるが、該原紙への前記樹脂層の装着の方法は、これに限定されるべきではなく、種々の方法を用いてもよい。
【0012】
又、図2に示すように、原紙1の片面にはバリアー性ニスのパターン3、3…が形成される。該ガスバリアー性ニスとしては、該原紙1を加熱する際に該原紙中に含有されている水分が気化するとき、該気化した水分を該ガスバリアー性ニスの面に於いて透過させない不透湿性のもの、又は、該気化した水分が透過し難い低透湿性のものであればよい。又、該ガスバリアー性ニスとしては、有機溶媒系のもの或いは水系のもののうち何れのものを用いてもよい。而して、有機溶媒系のニスとしては、樹脂を有機溶媒に溶解した所謂、樹脂ニスであり、樹脂としては、ウレタン系、アクリル系、フェノール系、ビニルアセテート系等の樹脂を使用することができる。水系のものとしては、樹脂のラテックスを使用することができ、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル共重合体ラテックス等を使用することができる。このガスバリアー性ニスの使用量は、発泡用ラミネートシートを加熱したときに、原紙中の水分がニスの部分から発散しない量であればよい。ニスの組成によりガスバリアー性は異なるが、使用量は印刷した面積1m2当り固形成分として0.5〜50g、好ましくは、1〜10gである。而して、前記ニスの使用量に差をつけることにより、前記樹脂の発泡による膨拡に差をつけ、そして、異なった厚さで膨拡された樹脂の立体的な模様を得ることも可能である。
【0013】
このガスバリアー性ニスを、任意のパターンで、文字、図形及び記号等を原紙に印刷することにより、任意のパターンで、加熱により樹脂層を発泡させて膨拡させた立体的な模様を得ることができる。
又、ガスバリアー性ニスの印刷は、スクリーン印刷、フレキソ印刷等、種々の印刷方法により印刷することができるが、印刷の速さ、或いはコスト面を考慮してフレキソ印刷を採択するのが好ましい。
【0014】
図3は、原紙1の片面に樹脂層2を設け、該原紙1の反対側の面にガスバリアー性ニスのパターン3、3…を形成した発泡用ラミネートシートSを示す。而して、該発泡用ラミネートシートSは、原紙1に樹脂を装着して樹脂層2を形成して、該原紙1の該樹脂層2と反対側の面にニスを印刷してニスのパターン3、3…を形成してもよいし、原紙1にニスのパターン3、3…を印刷してから該原紙1のニスと反対側の面に樹脂を装着して製造することもできる。
【0015】
図4は、図3の発泡性ラミネートシートSを加熱し、そして、前記ガスバリアー性ニスのパターン3、3…に対峙する反対側に装着された前記樹脂層2の部分が発泡して形成された膨拡部5、5…と、非膨拡部4、4…を有する発泡ラミノートシートSAを示す。而して、図3の発泡用ラミネートシートS全体を加熱するとき、該原紙1中の水分が水蒸気となり、バリアー性ニスのパターン3の無いところでは水蒸気が原紙1から外部に発散して、前記樹脂層2は発泡せずに非膨拡部4、4…となる。しかし、バリアー性ニスのパターン3、3…と対峙する分部に於いては前記水蒸気は樹脂層2に放出され、該樹脂層2の該部を発泡させることにより該樹脂層2を膨拡させて、膨拡部5、5…が形成される。
【0016】
而して、上記加熱の温度並びに時間は、110〜210℃位、好ましくは120〜180℃位の温度で、15秒〜5分位、好ましくは30秒〜3分位の加熱により発泡させることができる。加熱は任意の方法で行うことができ、恒温槽内での加熱、オーブン内での熱風、電熱等による加熱、ベルトコンベアーを備えた加熱装置内での熱風、電熱等により加熱することができる。
又、前記加熱により発泡させ形成される膨拡部5,5…の厚さは、原紙の種類、厚さ、含水率、樹脂の種類、厚さ、加熱の温度、時間等により異なるが、最大5倍位に達する。
【0017】
図5は、前記発泡ラミネートシートSAにより作製した紙函Pを示し、該紙函Pの外面には、前記樹脂の発泡によって形成された膨拡部5、5…と非膨拡部4、4…が形成されいる。而して、膨拡部5、5…により、通常の印刷とは異なる立体的な視覚的効果を付与することができる。
又、発泡ラミネートシートSAは、前記紙函Pの外、容器、手提げ袋等に使用することができる。又、前記加熱は紙函や容器等を作成した後に実行されてもよい。
【0018】
実施例1
巻取り状コート板紙(190g/m2含水率10%)の片面に、低密度ポリエチレンを厚さ20μmで連続してラミネートした。低密度ポリエチレンをラミネートした原紙の反対側の面に、ガスバリアー性ニスとしてスチレン−ブタジエンゴムラテックスを印刷した面積1m2当り固形成分として6g使用し、そして、フレキソ印刷により連続してパターン印刷し、巻取り状の発泡用ラミネートシートを作製した。
この一部を試料として取り出し、恒温槽内に140℃で2分間加熱した。ニスのパターン印刷に対峙する反対側の樹脂層が発泡して膨拡部が形成されてなるシートが得られた。発泡した樹脂層の厚さは約90μmであった。
【0019】
実施例2
巻取り状コート板紙(250g/m2含水率8%)の片面に、ガスバリアー性ニスとしてスチレン−ブタジエンゴムラテックスを印刷した面積1m2当り固形成分として6g使用して、フレキソ印刷により連続パターン印刷した。ガスバリアー性ニスをパターン印刷した原紙の反対側の面に、低密度ポリエチレンを厚さ35μmで、連続してラミネートし、そして、巻取り状の発泡用ラミネートシートを作製した。
この一部を試料として取り出して、恒温槽内に160℃で1分30秒加熱した。このとき、ニスのパターン印刷に対峙する反対側の樹脂層が発泡して膨拡部が形成されてなるシートが得られた。発泡した樹脂層の厚さは約120μmであった。立体的なパターンを持つ発泡ラミネートシートが得られた。
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0020】
【発明の効果】
本発明は上記一実施の形態にて詳述したように、請求項1記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成して発泡用ラミネートシートを作製したので、この発泡用ラミネートシートを加熱することによりガスバリアー性ニスのパターンに対峙する反対側の樹脂層が発泡し、そして、膨拡することにより前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙する図形、文字、その他の諸種の模様等を容易迅速且つ立体的に形成することができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成し、加熱により前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させた発泡ラミネートシートを作製することができるので、請求項1に記載された発明の効果に加え、この発泡ラミネートシートを用いて紙函、容器、手提げ袋等を作製するとき、之等の物の表面には前記図形、文字その他の模様が立体的に表現されていることになり、視覚的感覚を向上させることが可能となる。
【0022】
請求項3記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷して発泡用ラミネートシートを製造するので、請求項1に記載された発明と同様の効果を奏することができる。
請求項4記載の発明は、水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷した発泡用ラミネートシートを加熱し、前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させて発泡ラミネートシートを製造するので、請求項2に記載された発明と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】原紙に樹脂をラミネートして樹脂層を装着したシートの一部拡大断面図。
【図2】原紙にガスバリアー性ニスのパターンを形成したシートの一部拡大断面図。
【図3】本発明の一実施の形態を示す、発泡用ラミネートシートの一部拡大断面図。
【図4】本発明の一実施の形態を示す、発泡用ラミネートシートを加熱して樹脂層を発泡させて膨拡させた発泡ラミネートシートの一部拡大断面図。
【図5】本発明の発泡ラミネートシートを使用して作製した紙函の斜視図。
【符号の説明】
1 原紙
2 樹脂層
3 バリアー性ニスのパターン
4 樹脂の非膨拡部
5 樹脂の膨拡部
6 ニスが印刷されていない部分
S 発泡用ラミネートシート
SA 発泡ラミネートシート
P 発泡ラミネートシートにより作製した紙函
Claims (4)
- 水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成したことを特徴とする発泡用ラミネートシート。
- 水分を含有した原紙の片面に樹脂層を設け、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを形成し、加熱により前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させたことを特徴とする発泡ラミネートシート。
- 水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷することを特徴とする発泡用ラミネートシートの製造方法。
- 水分を含有した原紙の片面に樹脂層を装着し、該原紙に装着した前記樹脂層と反対側の面にガスバリアー性ニスのパターンを印刷した発泡用ラミネートシートを加熱し、前記ガスバリアー性ニスのパターンに対峙した前記樹脂層の部分を発泡させて膨拡させたことを特徴とする発泡ラミネートシートの製造方法。
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