JP3653476B2 - 敷設材及びその使用方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗菌・防虫等を主目的として建築物の床下等に敷設される敷設材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従前より、建築物におけるシロアリ被害が大きな問題となっている。シロアリは、一般に湿潤な木材を好んで食べることがよく知られているが、木材の他にも布や紙はもちろん、コンクリート、土、ゴム、ビニール素材等も食害する極めて雑食性の高い害虫であることが知られてきている。このようなシロアリの性質から、従来の木造日本建築に限らず、近年の建築物の基礎コンクリートやその周囲に配設される防水シート等もシロアリに喰われるようになってきており、その被害が甚大になると、家屋等の建築物が傾いたり、極端な場合には崩壊することにもなる。このようなシロアリ被害は、日本国内に伴わず、また湿潤か乾燥しているかの機構も問わず、世界中で深刻化している。シロアリ対策としては、これまで合成化学薬剤や天然薬剤等を床下や基礎コンクリート等のシロアリが巣を作りそうな箇所に散布したり塗布する方法が採用されてきてはいるが、このような方法ではシロアリに対する駆除効果が長続きせず、所定期間を空けて何度も薬剤処理する必要があって手間やコストが多大であるという問題があり、また薬剤の中には人体やペット、家畜等に有害で使用に注意を要する成分が含まれていることもある。また、特に湿気がこもりがちな床下は、シロアリ以外にもダニ等の害虫やカビ等の雑菌が繁殖しやすい場所でもあるため、建築物そのものが朽ちたり、その建築物に居住する者に健康被害を及ぼしたりするという問題も指摘されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、青森ヒバや台湾ヒノキに代表される木材を使用した建築物ではシロアリやダニ等の害虫や、カビ等の雑菌が繁殖しにくいと言われている。そして、このような木材に多量に含まれるヒノキチオール成分が防虫・抗菌効果を奏していることが分かってきている。そこで、ヒノキチオールの精油又はそれを希釈した液剤を直接、建築物の柱や床、基礎部分等に散布したり塗布するなどすることによって、防シロアリ・防ダニ・抗菌効果を得ようとする方法が各種考えられている。しかしながらこのような方法では、一旦、液剤を散布などの処理を施した後、ヒノキチオール成分が揮発してしまうと所期の効果が薄れてしまい、その後繰り返して何度も処理を行わなければならないという不具合がある。特に床下には、建築物の施工前には処理を行いやすいが、建築物が完成してしまうと液剤の散布等を行うのが極めて煩雑となる問題がある。また、液剤は一般に、タンク等に入れて保存・運搬する必要があって、取り扱いが不便である。
【0004】
そこで本発明は、以上のような問題に鑑みて、良好な防虫・抗菌効果を有し、しかも取り扱いの容易な敷設材を提供するとともに、その好適な使用方法も提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の敷設材は、建築物の床下又はその周辺に敷設されるものであって、少なくともヒノキチオール成分を含有するヒノキチオール含有物と、該ヒノキチオール含有体を内部に収容し内外に通気可能な収容体とを具備するものである
【0006】
このようなものであれば、通気性を有する収容体内のヒノキチオール含有物から放散されたヒノキチオール成分が収容体の外部に放出されると、そのヒノキチオール成分の効果によって、建築物の床下等に繁殖しやすいシロアリやダニ等の害虫に対する防虫効果や、カビ等の雑菌に対する抗菌効果が有効に発揮されるようになる。また、このような敷設材を床下やその周辺に敷設しておけば、そこから放出されたヒノキチオール成分が建築物全体に行き渡ることになるため、柱や床、天井、壁、屋根、屋内など建築物全体における防虫・抗菌効果も得ることができる。さらに、ヒノキチオールには、シックハウス症候群の原因となる化学物質の除去効果、その芳香による精神安定効果、アトピー性皮膚炎の軽減効果等があるともいわれているため、収容体から放出されたヒノキチオール成分によるこれらの効果も期待することができる。また、敷設材の保存・運搬、あるいは施工に際しては、ヒノキチオール含有物を収容体に入れた状態としていることから、その取り扱いや作業を極めて簡便なものとなる。
【0007】
ところで、シロアリ等の害虫は、上述のような青森ヒバ等の木材の香りに惹かれて寄り集まってくるともいわれる。したがって、本発明の敷設剤は、ヒノキチオール含有物が、少なくともヒノキチオール成分を含有し徐放性を有するマイクロカプセルを含むように構成している。
具体的なマイクロカプセルの態様として、非崩壊性粒子及び崩壊性粒子とを表面に混在させてなる多孔質のカプセル本体と、該カプセル本体内に内蔵されたヒノキチオールを含有する液体とから構成し、少なくとも経時変化により崩壊性粒子が崩壊することによって前記液体がカプセル本体内から放出されるようにした構成としていることを特徴とする。すなわち、このような構成によって、非崩壊性粒子は崩壊性粒子が崩壊した後にできる孔をできるだけ小さく塞ぐことになるため、その孔から内部の液体が一気に放出されずマイクロカプセル全体として徐放性を奏するため、比較的長期間、効果が持続することになる。
【0008】
ヒノキチオール含有物として具体的に有用なものには、前記マイクロカプセル、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材の小片、又は前記木材の樹皮片のうち、いずれか一又は複数の組み合わせからなるものが挙げられる。ヒノキチオール成分を徐々に放出し得るような構成のマイクロカプセルであると、敷設材を床下等に敷いた直後から、長期間に亘ってヒノキチオール成分を放出することができるため、建築物の完成前に敷設材を床下等に配設しておけば、その後何度も敷設材の配設作業を行う必要もなくすことができる。一方、青森ヒバ等の木材の小片やその樹皮片からもヒノキチオール成分が放出されるが、その放出期間はマイクロカプセルのそれよりも長期間であることから、マイクロカプセルから放出されるヒノキチオール成分の効果が薄れた後でも、その効果を更に持続させることができる。また、このような木材に建築物の床下等における不要な湿気を吸収させ、あるいは吸収した水分を放出させることもできるため、床下等の調湿効果も得られることになる。なお、木材の小片や樹皮片は、粉末状のものとするなど、その形状や大きさは特に限定されることない。
【0009】
このマイクロカプセルに加えて、前記ヒノキチオール含有物に、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材の小片、又は前記木材の樹皮片のいずれか一方又は両方が含まれるようにすると、所期の効果をより一層向上することができるようになる。
特に好ましいマイクロカプセルの構成としては、非崩壊性粒子がセラミックス粒子からなるものや、崩壊性粒子が植物性タンパク質粒子からなるものが挙げられる。
【0010】
ヒノキチオール含有物の出し入れや、敷設材の保管・運搬・施工作業等の取り扱いを容易なものとするには、収容体として袋状をなすものを採用することが望ましい。袋状の収容体の素材は通気性を有するものであれば特に限定されることはないが、入手が容易なものとしては麻袋や不織布からなる袋等が挙げられる。
【0011】
また、本発明における以上のような敷設材の好適な使用方法は、建築物の床下となる基礎部の内側に敷設することである。このようにすることによって、上述の敷設材による作用効果を確実なものとすることができる。
【0012】
これに加えて、特に外部からのシロアリの進入を防ぐためには、敷設材を、建築物の基礎部の外側における土壌中に埋設することも有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1及び図2は、本実施形態の敷設材1を配設した建築物の床下構造を簡略化して模式的に示すものである。同図中、符号Gは、建築物が施工される土壌であり、Gfは地面を示している。符号Fは、前記土壌Gに埋め込んで施工される建築物の基礎部分を構成する基礎コンクリートを示している。図2に示すように、基礎コンクリートF上には、基礎パッキンF1を挟んで柱F2や根太F3が施工され、この根太F3と地面Gfとの間が建築物の床下空間Sとなる。しかして本実施形態では、敷設材1を、前記床下空間Sにおける地面Gfに多数敷き詰めるとともに、建築物の外側における土壌G中に基礎コンクリートFに沿って多数埋設している。土壌G中に敷設材1を埋め込むには、基礎コンクリートFを施工する際に、図2に破線で示すようにその基礎コンクリートFが打ち込まれる土壌Gの周囲を外側にもある程度広く掘り下げておき、その掘り下げた表面に敷設材1を設置した上から土を被せるようにしている。なお、床下空間Sや基礎コンクリートFの外側に配置される敷設材1の数、間隔、土壌G中に埋設する深さなどは、建築物の広さや予算、その他の要因によって任意に決めることができる。さらに、建築物の完成後であっても可能であれば、床下空間Sや土壌G中に敷設材1を配設するようにしてもよい。
【0015】
次に、本実施形態における敷設材1の具体的構成について説明する。
【0016】
この敷設材1は、図3に模式的に示すように、袋状をなす収容体11と、この収容体11の内部に収容されるヒノキチオール含有物とから構成される。収容体11は、例えば麻袋や不織布からなる袋など、通気性を有する素材からなるものであって、これら以外にも土嚢用袋等として通常使用されるものなど、種々のものを適用することができる。ヒノキチオール含有物は、ヒノキチオール成分を含む液体を含有するマイクロカプセル2、青森ヒバや台湾ヒノキ等の木材の小片からなる木材チップ3、及び前記木材の樹皮片からなる樹皮チップ4から構成している。なお、同図において、マイクロカプセルは○として、木材チップ3は□として、樹皮チップ4は△としてそれぞれ示している。
【0017】
具体的にマイクロカプセル2は、数十個から数百個程度のマイクロカプセル2が相互に引き合った状態のブドウの房のような塊として存在している。個々のマイクロカプセル2は、図4に模式的に示すように、カプセル本体21と、そのカプセル本体21の内部に保持されたヒノキチオールを含有する液体22とからなる。カプセル本体21は、それぞれ複数の非崩壊性粒子と崩壊性粒子とを混在させた構成の約2μm程度の大きさの多孔質粒子であり、非崩壊性粒子をセラミックス粒子21aから構成し、崩壊性粒子を大豆レシチン等の植物性タンパク質粒子21bから構成している。このうち植物性タンパク質粒子21bが温度変化や光の作用で経時的に崩壊すると、それに伴って形成された孔21sから内部の液体22が放出されることになる。しかしてこの液体22は、青森ヒバや台湾ヒノキから抽出したヒノキチオール成分を含有している。すなわち、青森ヒバや台湾ヒノキの木片や樹皮、枝葉等を細かく粉砕したものに高温高圧の蒸気を当てることによって、生じた液体(油溶成分及び水溶成分)のうち油溶成分にはヒノキチオールが多量に含まれているため、この油溶成分をもって前記液体22としているが、水溶成分も使用してもよい。なお、植物性タンパク質粒子21bの崩壊はそれぞれ個別に生じているものであるが、多数のマイクロカプセル2の存在によって全体としてみれば液体22は長期に亘って連続的に放出されていることになる。
【0018】
一方、木材チップ3や樹皮チップ4は、それぞれ青森ヒバ等の幹や枝、又は樹皮を粉砕機等を利用して小片としたものであるが、比較的大きな切れ端としたり粉末状にしても構わない。
【0019】
ここで、本実施形態の発泡性建材1に適用したマイクロカプセル12の防シロアリ性能について説明する。ここではマイクロカプセルの防シロアリ性能試験として、図5に示すような長さ5cmの筒体100内に土壌110やマイクロカプセル12を詰め込み、筒体100の一端(右端)からシロアリが筒体100内をどれだけ移動できるかを経時的に調べている。
【0020】
図5に示すように、試験Aとしては、筒体100の右端から3cm分及び左端から1cm分だけ土壌110を詰め、それら土壌110の間にマイクロカプセル12を1cm分詰めたものを使用した。試験Bとしては、重量12gの土壌110と重量3gのマイクロカプセル12とを混合したものを、筒体100内全体に詰めたものを使用している。試験Cとしては、筒体100内全体にマイクロカプセル12を詰めたものを使用した。これら各試験に対する対照試験として、筒体100内全体に土壌110のみを詰めたものを使用した。そして、これら各試験及び対照試験について、それぞれ3回にわたってシロアリが筒体100内を移動するか調査した。これらの試験結果を図5に示す。
【0021】
図6に示すとおり、対照試験では3回とも、シロアリは試験開始から1日で筒体100内を5cm移動し、2日目には筒体100を完全に貫通していた。これに対して、試験Aでは、21日目にして筒体100内を5cm移動したものがあったが(A−1)、他の二つ(A−2、A−3)では右側の土壌110の長さにほぼ相当する約3cmの移動が認められた。また、試験Bでは、7日目まではシロアリの移動が全く認められず、21日目にして1.2〜2.2cmの移動が認められた。さらに試験Cでは、試験開始から21日目までシロアリの筒体100内の移動は全く認められなかった。以上の試験結果から、シロアリは土壌のみがある箇所を容易に通過することができるが、ヒノキチオールを含有する液体122を含むマイクロカプセル12がある箇所は通過できず、少なくとも容易には通過することができないことが分かった。したがって、このようなマイクロカプセル12を付着させたロックウール11から構成される発泡性建材1を施工すれば、有効にシロアリ被害を抑制することができるといえる。なお、いずれの試験においても試験終了までシロアリが死滅することはなかったが、試験Cにおいてはシロアリが筒体100内の外部から視認できるところを動き回ることなく筒体100の下方にじっと留まっていたことから(図6中「下に生存」の表記を参照)、ヒノキチオールを含有するマイクロカプセル12が多量に存在する環境は、シロアリにとって生息しにくいものであることがわかる。
【0022】
以上のように、本実施形態では、ヒノキチオール含有物2、3及び4を収容体11に入れた構成の敷設材1を、冒頭に述べたように建築物の床下空間Sや基礎コンクリートFの周囲に敷設するようにしている。このため、敷設材1の敷設後、マイクロカプセル2の植物性タンパク質粒子21bが経時的に崩壊すると、その崩壊によってできた孔21sから内部の液体22が連続的に放出され、さらに液体22が揮発して収容体11を通じて外部に放散されることとなり、液体22に含まれているヒノキチオール成分が床下空間Sや土壌G中に広がることになる。また、木材チップ3や樹皮チップ4に含まれるヒノキチオール成分も、収容体11を通じて外部に放出されることになり、前記液体22と同様に床下空間Sや土壌G中に拡散される。その結果、特に建築物の床下において、ヒノキチオール成分によるシロアリやダニ等の害虫に対する防虫効果、カビ等の雑菌に対する抗菌効果が有効に発揮される。また、ヒノキチオール成分はさらに建築物全体やその周囲にも拡散されることとなるため、建築物の床下のみならず建築物全体において、シロアリやダニ等の害虫に対する防虫効果、カビ等の雑菌に対する抗菌効果が奏されるとともに、シックハウス症候群の原因となる化学物質の除去効果、ヒノキチオールの芳香によるリラックス効果、アトピー性皮膚炎の軽減効果等も得られることになる。特に、基礎コンクリートFの外側における周囲の土壌Gに埋設した敷設材1によっては、外部からのシロアリの進入も防止することができる。
【0023】
また、本実施形態では、前記マイクロカプセル2の他にも、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材チップ3や樹皮チップ4を適用しているため、マイクロカプセル2の徐放性による短期・長期のヒノキチオールの効果が得られるだけでなく、マイクロカプセル2から液体22が放出されきった後でも、木材チップ3や樹皮チップ4から放出されるヒノキチオールの効果を享受することができる。そのため、建築物の施工時に敷設材1を配設しておけば、その直後から防虫効果等の諸効果が得られるだけでなく、その後特別な処理を施さなくても極めて長期間に亘って前記各効果を得ることができる。さらに、木材チップ3や樹皮チップ4は、床下等が高湿度となればその水分を吸収し、乾燥すれば吸収した水分を放出するため、特に床下における優れた調湿材ともなる。
【0024】
また、収容体11として袋状をなすものを適用しているため、ヒノキチオール含有物2、3、4の出し入れや、敷設材1の保管・運搬・施工作業等の取り扱いが極めて容易である。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えばヒノキチオール含有物として、マイクロカプセル2、木材チップ3、樹皮チップ4の全てを利用しなくても、それらのうちいずれか一つだけあるいは二つを組み合わせて使用してもよい。また、これら以外のものを収容体11に収容するようにしても構わない。さらに、収容体も袋状のものに限らず箱状その他、各種の形状のものを適用することもできる。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0027】
すなわち、本発明は、通気性を有する収容体の内部に、少なくともヒノキチオール含有物を収容した構成の敷設材であって、建築物の床下又はその周辺に敷設するようにしている。したがって、収容体ごと敷設材を取り扱うことで、その保管や運搬、施工作業などを簡易化できるのみならず、ヒノキチオール含有物から放散されたヒノキチオール成分が収容体を通じて外部に放出されると、そのヒノキチオール成分の効果によって、建築物の床下のみならず建築物全体において、シロアリやダニ等の害虫に対する防虫効果、カビ等の雑菌に対する抗菌効果、シックハウス症候群の原因となる化学物質の除去効果、ヒノキチオールの芳香によるリラックス効果、アトピー性皮膚炎の軽減効果等を有効に奏することが可能である。
【0028】
このようなヒノキチオール含有物として、ヒノキチオール成分を含有し徐放性を有するマイクロカプセルを適用すれば、その徐放性により敷設材の施工当初からその後長期間に亘ってヒノキチオールを放出することができ、また、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材の小片やその樹皮片を適用すれば、極めて長期に亘ってヒノキチオール成分の効果を持続させることができるだけでなく、床下等の調湿効果も得ることができる。したがって、ヒノキチオール含有物として、これらのうちいずれか一又は複数の組み合わせを適用すると、上述の効果を有効に発揮し得る敷設材を構成することができる。
【0029】
特に、青森ヒバ等の木材片や樹皮片だけをヒノキチオール含有物として適用した場合には、その香りに惹かれてシロアリ等が寄ってくるといわれるが、ヒノキチオール含有物として、少なくとも前記マイクロカプセルを含むようにすることで、シロアリ等を建築物に寄りつかせないようにすることができる。このような構成に加えて、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材の小片、又は前記木材の樹皮片のいずれか一方又は両方を利用すれば、より長期間に亘って防虫等のヒノキチオール成分による上述の諸効果や調湿効果を更に有効に得ることができる。
【0030】
また、マイクロカプセルを、非崩壊性粒子及び崩壊性粒子とを表面に混在させてなる多孔質のカプセル本体内に、ヒノキチオールを含有する液体を内蔵した構成とし、少なくとも経時変化により崩壊性粒子が崩壊することによって前記液体がカプセル本体内から放出されるようにすると、非崩壊性粒子が崩壊性粒子の崩壊後にできる孔をできるだけ小さく塞ぐことになるため、その孔から内部の液体が一気に放出されず徐放性を奏するため、マイクロカプセルだけでも比較的長期間、効果を持続することができる。さらに、このようなマイクロカプセルは崩壊時期が個別に異なるため、長期的に見れば崩壊したマイクロカプセルから連続的にヒノキチオールが放出されることとなって、長期に亘って上述のような効果を得ることができる。特に、非崩壊性粒子をセラミックス粒子から構成したり、崩壊性粒子を植物性タンパク質から構成している場合に、このような効果が極めて顕著に得られることになる。
【0031】
また、収容体として袋状をなすものを適用すれば、ヒノキチオール含有物の出し入れ、敷設材の保管・運搬・施工作業等の取り扱いを簡便化することが可能である。
【0032】
さらに、以上のような敷設材は、建築物の床下となる基礎部の内側に敷設することで、上述の効果を最も有効に発揮することができるが、さらに加えて、敷設材を、建築物の基礎部の外側における土壌中に埋設することで、特に外部からのシロアリの進入を防ぐことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を適用した建築物の床下構造を模式的に示す斜視図。
【図2】図1に対応する模式的な断面図。
【図3】同実施形態を示す模式的な断面図。
【図4】同実施形態に適用されるマイクロカプセルの構造を模式的に示す断面図。
【図5】同マイクロカプセルの防シロアリ性能試験の概要を示す図。
【図6】防シロアリ性能試験の試験結果を示す図。
【符号の説明】
1…敷設材
2…マイクロカプセル
3…木材の小片(木材チップ)
4…樹皮小片(樹皮チップ)
11…収容体

Claims (7)

  1. 建築物の床下又はその周辺に敷設されるものであって、
    少なくともヒノキチオール成分を含有するヒノキチオール含有物と、該ヒノキチオール含有体を内部に収容し内外に通気可能な収容体とを具備し、
    前記ヒノキチオール含有物が、少なくともヒノキチオール成分を含有し徐放性を有するマイクロカプセルを含むものであり、
    前記マイクロカプセルを、非崩壊性粒子及び崩壊性粒子とを表面に混在させてなる多孔質のカプセル本体と、該カプセル本体内に内蔵されたヒノキチオールを含有する液体とから構成し、少なくとも経時変化により崩壊性粒子が崩壊することによって前記液体がカプセル本体内から放出されることを特徴とする敷設材。
  2. 前記ヒノキチオール含有物が、前記マイクロカプセルと、青森ヒバや台湾ヒノキ等のヒノキチオール成分を含有する木材の小片、又は前記木材の樹皮片のいずれか一方又は両方とを含む請求項1記載の敷設材。
  3. 非崩壊性粒子がセラミックス粒子からなるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の敷設材。
  4. 崩壊性粒子が植物性タンパク質からなるものであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の敷設材
  5. 前記収容体が、袋状をなすものである請求項1、2、3又は4記載の敷設材。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の敷設材を、建築物の床下となる基礎部の内側に敷設するようにしていることを特徴とする敷設材の使用方法。
  7. 前記敷設材を、建築物の基礎部の外側における土壌中に埋設するようにしている請求項6記載の敷設材の使用方法。
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