JP3653371B2 - ミラー付きフラッシュランプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光、発光分析などの光源、ストロボ用光源、又は高画像処理用光源などに利用するミラー付きフラッシュランプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような分野の技術として、特公平7−120518号公報がある。この公報に記載されたミラー付きフラッシュランプは、ガラス製バルブの内側に陰極と陽極とを対峙させ、陰極と陽極との間にトリガプローブ電極の先端を配置し、バルブ内にキセノンやアルゴンなどの不活性ガスを封入している。更に、高出力光を得るために、バルブ内に楕円ミラーを配置し、楕円ミラーの底部に形成した開口に陰極を挿入させることで、アーク発光点を楕円ミラー内部の第1焦点位置に形成している。このような楕円ミラーをバルブ内に設けることで、高出力のフラッシュランプを作り出している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のミラー付きフラッシュランプは、上述したように構成されているため、次のような課題が存在していた。
【0004】
すなわち、楕円ミラーの底部に開口を形成しているので、楕円ミラーで反射した光は、その開口の影響で照射部分に暗い部分ができ、光が不均一になる。その結果、短径のファイバやスリットに照射光を導入する際、光量不足や光量ムラを発生させる場合があった。なお、特公昭56−50384号公報にもミラー付きキセノンランプが開示されているが、この場合のミラーにも、電極を支持する台座を挿入させるための開口が形成されている。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、特に、照射ムラの極めて少ない均一な光を発生させるようにしたミラー付きフラッシュランプを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明のミラー付きフラッシュランプは、投光窓を有する容器内に収容した陰極と陽極とトリガプローブ電極とスパーカ電極との協働によりアークの発光を生じさせ、この発光を、投光窓から出射するフラッシュランプにおいて、容器内に収容され且つ投光窓に対峙するミラー面をもったミラー構造体を、容器の底部に設けられたステムの中央に固定した排気パイプの内端部に固定させ、容器内における排気パイプの竿部に排気口を設けたことを特徴とする。
【0007】
このミラー付きフラッシュランプにおいては、陰極と陽極との間に所定の電圧を印加し、トリガプローブ電極とスパーカ電極とにトリガ電圧を印加すると、トリガプローブ電極に放電が発生し、この放電に伴って陰極と陽極との間にアークの主放電が発生する。このときの発光は、ミラー面で反射して投光窓から出射される。このようなミラー面はミラー構造体に形成され、このミラー構造体は排気パイプの内端部に固定されるが、この排気パイプは、フラッシュランプの組立て時において、容器内の空気を外部に排出したり、容器内に不活性ガスを導入するために利用されるものであるから、容器内に臨む排気パイプの排気口を塞ぐことは許されない。そこで、排気パイプの竿部に排気口を形成することで、ミラー面に穴を開ける必要がなく、ミラー面を、完全な面として作り出すことができる。そして、ミラー面に穴を開けるような後加工を必要とせず、しかも、ミラー面の全面を反射面として有効に活用し、ミラー面が本来もっている反射特性を余すところ無く利用することができる。
【0008】
この場合、排気パイプの内端部にフランジ部を設け、このフランジ部をミラー構造体の底面の中央に直付けすると好ましい。このように、排気パイプにフランジ部を採用した場合、排気パイプとミラー構造体の底面との接合性が良くなり、フラッシュランプの組立て作業効率がアップする。更に、排気パイプのフランジ部でミラー構造体を支持することができ、ミラー構造体が容器内で安定する。
【0009】
また、ミラー構造体の底面の中央に、排気パイプのフランジ部を受け入れる着座凹部を設けると好ましい。このような構成を採用した場合、この着座凹部内にフランジ部を装填するだけで、排気パイプとミラー構造体との芯合わせが容易に達成され、排気パイプに対するミラー構造体の位置決めが容易になる。
【0010】
更に、ミラー構造体には、底面からその中心軸線方向に沿って延在し且つ排気パイプの内端部を挿入させるパイプ挿入孔が設けられ、ミラー構造体に対して排気パイプをネジで固定すると好ましい。このような構成を採用した場合、ミラー構造体のパイプ挿入孔内に排気パイプを挿入するだけで、排気パイプとミラー構造体との芯合わせが容易に達成され、更に、排気パイプに対するミラー構造体の位置をネジにより簡単に調整することができる。また、このネジは、排気パイプとミラー構造体との仮固定または最終固定に利用される。
【0011】
更に、ミラー構造体は、ミラー面をもったガラス製のミラー部を有すると好ましい。このような構成を採用した場合、ミラー面を形成するにあたって、アルミ等の金属に比べて面加工が容易であるため、製造コストが安価になるばかりか、面粗度が小さく且つ面精度が高い面ができあがる。また、ガラスの面にアルミを蒸着してミラー面を作り出す場合、強固な鏡面膜がガラス面上に形成されることになるので、耐久性の高いミラー面が可能になる。
【0012】
更に、ミラー面をR鏡にすると好ましい。このような構成を採用した場合、楕円ミラーのように、その底部に開口を形成する必要がなく、集光効率を向上させることができる。
【0013】
更に、ミラー面の焦点位置にアーク発光部位を配置すると好ましい。このような構成をR鏡に適用することで、ミラー面による確実な集光を可能にする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるミラー付きフラッシュランプの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係るミラー付きフラッシュランプの外観を示す平面図、図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。これら図面に示すミラー付きフラッシュランプ1は、コバール金属からなる円筒状の側管2を有し、この側管2の一端には円形の第1開口部3が形成され、この第1開口部3を塞ぐようにサファイアガラス製の投光窓4が側管2に固定されている。更に、側管2の他端にも円形の第2開口部5が形成され、この第2開口部5を塞ぐようにコバールガラス製の円板状ステム6が側管2に固定されている。また、ステム6の周側面にコバール金属製の円筒形ステムホルダー7を溶着させることで、ステムホルダー7のフランジ部7aと側管2のフランジ2aとのアーク溶接を可能にし、ステム6と側管2との固定を容易にしている。このようにして、フラッシュランプ1の密閉型容器Hが構成される。
【0016】
更に、容器H内には、アーク放電を引き起こす陰極8と陽極9とが配置され、これら電極8,9はステムピン10,11を介してステム6に固定されている。また、容器H内には、陰極8と陽極9との間にその先端が臨むように、2本のトリガープローブ電極12,13が配置され、これら電極12,13は、ステムピン14,15を介してステム6に固定されている。更に、容器H内には、スパーカ電極16が配置され、このスパーカ電極16は、ステムピン17を介してステム6に固定されている。また、容器H内は高圧に保たれ、その内部には不活性ガスの一例としてキセノンガスが封入されている。
【0017】
そこで、ステムピン10,11を介して、陰極8と陽極9との間に所定の電圧を印加し、ステムピン14,15,17を介して、トリガープローブ電極12,13及びスパーカ電極16にトリガ電圧を印加すると、トリガプローブ電極12,13に放電が発生し、この放電に伴って陰極8と陽極9との間にアークの主放電が発生する。このときの発光は、後述するミラー構造体20で反射して投光窓4から出射する。
【0018】
このミラー構造体20は、陰極8及び陽極9とステム6との間に配置され、陰極8と陽極9との間に形成されるアーク発光部位Sの真下に位置決めされている。このような配置を可能にするために、ミラー構造体20は、円板状ステム6に固定させたコバール金属製排気パイプ21の内端部21aに固定される。なお、この排気パイプ21は、ステム6の中心を貫通するように管軸方向に延在している。 図3及び図4に示すように、ミラー構造体20は、アルミ又は銅等からなる金属製の基体22を有し、基体22は皿状に形成されている。この基体22の頂面には、投光窓4に対峙するミラー面24が形成され、このミラー面24は、凹面鏡をなすと共に、R鏡として形成されている。なお、R鏡とは曲率半径が一定の曲面からなるものをいい、一つの焦点をもつ鏡をいう。このミラー面24は、金属製の基体22にアルミを蒸着することにより形成される。ミラー面24にR鏡を採用した場合、陰極8と陽極9との間にあるアーク発光部位S(図2参照)と、ミラー面24の焦点位置(曲率中心)とを一致させ、ミラー面24による確実な集光を可能にする。
【0019】
更に、排気パイプ21の内端部21aには、円形のフランジ部25が形成され、このフランジ部25を、基体22の底面22aに直に当接させることで、フランジ部25と底面22aとの接着固定(例えば溶接)を可能にする。この場合、排気パイプ21の中心軸線と、基体22の底面22aにおいてその中央を通る中心軸線とを一致させる。このように、排気パイプ21の端部にフランジ部25を設けることで、排気パイプ21とミラー構造体20の底面22aとの接合性が良くなり、フラッシュランプ1の組立て作業効率がアップする。更に、このフランジ部25によって、ミラー構造体20を容器H内で安定させることができる。
【0020】
更に、排気パイプ21の竿部21bには、フラッシュランプ1の組立て時において、容器H内の空気を外部に排出したり、容器H内に不活性ガス(例えばキセノンガス)を導入するために利用される円形の排気口26が形成されている。このような場所に排気口26を設けると、ミラー面24に穴を開ける必要がなく、ミラー面24を、完全な面として作り出すことができる。そして、ミラー面24に穴を開けるような後加工を必要とせず、しかも、ミラー面24の全面を反射面として有効に活用し、ミラー面24が本来もっている反射特性を余すところ無く利用することができる。
【0021】
また、図5に示すように、基体22の底面22aにおいて、その中央には、排気パイプ21のフランジ部25を嵌合させる程度の大きさをもった円形の着座凹部27を形成すると好適である。この場合、着座凹部27内に排気パイプ21のフランジ部25を入れて溶接するだけで、排気パイプ21に対するミラー構造体20との位置決めが容易に達成され、排気パイプ21とミラー構造体20との芯合わせが確実になる。なお、排気口26は、ミラー構造体20の近傍に設けられているが、容器H内における竿部21bの中央に設けてもよい。
【0022】
次に、本発明に係るミラー付きフラッシュランプの他の実施形態について簡単に説明する。なお、前述した実施形態と同一又は同等な構成部分には同一の符号を付す。
【0023】
図6に示すように、ミラー構造体30は、分割型に構成されると共に、ステンレス製のカップ状ミラーホルダー32を有し、このミラーホルダー32は円筒状に形成され、その底面32aの中央には、排気パイプ21のフランジ部25を嵌合させる程度の大きさをもった円形の着座凹部32bが形成されている。従って、この着座凹部32b内に排気パイプ21のフランジ部25を入れて溶接するだけで、排気パイプ21とミラーホルダー32との確実な芯合わせ及び位置決めが達成される。
【0024】
更に、ミラーホルダー32内には、円板状のミラー部33が同心状に密に嵌合され、このミラー部33は、ガラス材から形成されると共に、ミラーホルダー32の開口32cから挿入できる程度の径をもっている。また、ミラー部33の頂面には、投光窓4に対峙するミラー面34が形成され、このミラー面34は、凹面鏡をなすと共に、R鏡として形成されている。なお、R鏡とは曲率半径が一定の曲面からなるものをいい、一つの焦点をもつ鏡をいう。このミラー面34は、ガラス面にアルミを蒸着することにより形成される。
【0025】
このように、ミラー部33にガラスを採用した場合、ミラー面34を形成するにあたって、アルミ等の金属に比べて面加工が容易であるため、製造コストが安価になるばかりか、面粗度が小さく面精度が高いミラー面34が可能となる。また、ガラスにアルミを蒸着してミラー面34を作り出すことで、強固な鏡面膜が形成され、耐久性の高いミラー面34が可能になる。なお、ガラス製のミラー部33は、金属製のミラーホルダー32に対して接着剤を介して固定する。しかし、図示しないリング体又は爪片を利用した場合、ミラーホルダー32内にミラー部33を上から押し付けるように保持させる。
【0026】
本発明に係るミラー付きフラッシュランプの更に他の実施形態について簡単に説明する。なお、前述した実施形態と同一又は同等な構成部分には同一の符号を付す。
【0027】
図7に示すように、ミラー構造体40は、アルミ製の円柱状ブロック体41からなり、そのブロック体41の頂面には、R鏡をなすミラー面42が形成され、このミラー面42は、アルミの蒸着により鏡面に仕上げられている。また、ブロック体41には、その底面41aを貫通して中心軸線方向に延在するパイプ挿入孔43がドリル加工により形成されている。このパイプ挿入孔43は、排気パイプ21を密に嵌め込む程度の径を有すると共に、ブロック体41の底面41aにおけるその中央で、ブロック体41の中心軸線に一致し、ミラー面42の芯出し構造を可能にしている。更に、周側面41bからパイプ挿入孔43にかけて、ネジ孔44が形成されている。
【0028】
そこで、ブロック体41のパイプ挿入孔43内に排気パイプ21の内端部21aを挿入し、ネジ孔44にネジ45を螺入させる。その結果、ブロック体41は排気パイプ21の内端部21aに確実に固定される。このとき、排気パイプ21に対するミラー構造体40の位置をネジ45により簡単に調整することができる。また、このネジ45は、排気パイプ21とミラー構造体40との仮固定または最終固定に利用される。
【0029】
本発明は、前述した種々の実施形態に限定されるものではなく、例えば、ミラー面24,34,42は、R鏡に限定することなく、放物鏡、楕円鏡又は多面鏡であってもよい。また、排気口26の個数は1個以上であればよく、その形状は、スリット状であってもよい。更に、ミラー部33を、ミラー構造体20,40に埋設させるように構成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明によるミラー付きフラッシュランプは、以上のように構成されているため、次のような効果を得る。すなわち、容器内に収容され且つ投光窓に対峙するミラー面をもったミラー構造体を、容器の底部に設けられたステムの中央に固定した排気パイプの内端部に固定させ、容器内における排気パイプの竿部に排気口を設けたことにより、ミラー面に穴がない構造を可能にし、照射ムラの極めて少ない均一な光を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミラー付きフラッシュランプの一実施形態を平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図1に示したフラッシュランプに適用するミラー構造体及び排気パイプを示す斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図4に示したミラー構造体の変形例を示す断面図である。
【図6】本発明に係るミラー付きフラッシュランプに適用するミラー構造体の他の変形例を示す断面図である。
【図7】本発明に係るミラー付きフラッシュランプに適用するミラー構造体の更に他の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
H…容器、S…アーク発光部位、1…フラッシュランプ、4…投光窓、6…ステム、8…陰極、9…陽極、12,13…トリガプローブ電極、16…スパーカ電極、20,30,40…ミラー構造体、21…排気パイプ、21a…排気パイプの内端部、21b…竿部、22a,32a,41a…底面、24,34,42…ミラー面、25…フランジ部、26…排気パイプの排気口、27,32b…着座凹部、33…ミラー部、43…パイプ挿入孔、45…ネジ。
Claims (7)
- 投光窓を有する容器内に収容した陰極と陽極とトリガプローブ電極とスパーカ電極との協働によりアークの発光を生じさせ、この発光を、前記投光窓から出射するフラッシュランプにおいて、
前記容器内に収容され且つ前記投光窓に対峙するミラー面をもったミラー構造体を、前記容器の底部に設けられたステムの中央に固定した排気パイプの内端部に固定させ、前記容器内における前記排気パイプの竿部に排気口を設けたことを特徴とするミラー付きフラッシュランプ。 - 前記排気パイプの前記内端部にフランジ部を設け、このフランジ部を前記ミラー構造体の底面の中央に直付けしたことを特徴とする請求項1記載のミラー付きフラッシュランプ。
- 前記ミラー構造体の底面の中央に、前記排気パイプの前記フランジ部を受け入れる着座凹部を設けたことを特徴とする請求項2記載のミラー付きフラッシュランプ。
- 前記ミラー構造体には、前記底面からその中心軸線方向に沿って延在し且つ前記排気パイプの前記内端部を挿入させるパイプ挿入孔が設けられ、前記ミラー構造体に対して前記排気パイプをネジで固定したことを特徴とする請求項1記載のミラー付きフラッシュランプ。
- 前記ミラー構造体は、前記ミラー面をもったガラス製のミラー部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の記載のミラー付きフラッシュランプ。
- 前記ミラー面をR鏡にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の記載のミラー付きフラッシュランプ。
- 前記ミラー面の焦点位置にアーク発光部位を配置したことを特徴とする請求項6記載のミラー付きフラッシュランプ。
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