JP3651769B2 - 航空機検知システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路を走行または停止している航空機の有無およびその位置を検知する航空機検知システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路を走行または停止している航空機の有無を検知する航空機検知装置の一つとして、例えば電波遮断方式の航空機検知装置が提案されている。
【0003】
図8は、この種の航空機検知装置の構成例を示す概要図である。
図8において、航空機1が走行する空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路(以下、誘導路として説明する)2を挟んで対向配置した2組のマイクロ波送波器・受波器(以下、単に送波器・受波器と称する)、すなわち送波器11と受波器21、および送波器12と受波器22は、航空機1の走行(移動)方向に間隔G1の距離をおいて、それぞれH1の高さに設置されている。
【0004】
受波器21,受波器22で受信したマイクロ波B1,B2は、信号処理回路3にそれぞれ入力される。
【0005】
ここで、間隔G1は航空機1のノーズギア31とメインギア32との間隔に対応し、また高さH1は航空機1のノーズギア31とメインギア32の高さに対応している。
【0006】
図9は、図8の構成における航空機検知の動作を説明するタイムチャート図である。
【0007】
すなわち、送波器11,12は、それぞれ対応する受波器21,22に向けてマイクロ波B1,B2を送信し、その領域に航空機1が存在しない場合には、受波器21,22からの検知信号K1,K2は、共に高レベルの“有”の信号となる。
【0008】
次に、航空機1が走行(移動)して、高さH1にあるノーズギア31とメインギア32によってマイクロ波B1,B2がそれぞれ遮られると、受波器21,22からの検知信号K1,K2は、共に低レベルの“無”の信号となる。
【0009】
特に、この従来構成では、マイクロ波B1がノーズギア31に、マイクロ波B2がメインギア32に同時に遮られ、受信信号K1,K2の両信号が“無”の信号レベルになった時に、航空機1“有”の検出信号S1を信号処理回路3が出力することになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の航空機検知装置においては、送波器11と受波器21、および送波器12と受波器22の装置が誘導路2を挟んで設置され、それぞれの装置に電子回路を有することから、当該装置への電源供給の動力線や信号線の設置がそれぞれ必要であり、また保守・点検等もそれぞれ必要であり、これらには手間とコストがかかるという問題がある。
【0011】
一方、最近では、前述した従来の航空機検知装置の他に、送信アンテナの放射方向あるいは放射角を電気的に変化させて放射範囲を拡大し、航空機からの反射波の有無に基づいて航空機の有無を検知する方式の航空機検知装置が提案されてきているが、装置構成が複雑で高価になるという問題がある。
【0012】
本発明の目的は、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路を走行または停止している航空機の有無およびその位置を確実に検出することが可能な、装置構成が簡単でかつ安価な航空機検知システムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明の航空機検知システムは、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路の一方の側面側に設置され、走行路に向けて電波を発射し当該走行路を走行または停止している航空機で反射される電波を受信する航空機検知装置と、航空機検知装置と対向して走行路の他方の側面側に設置され、航空機検知装置からの発射電波を当該航空機検知装置へ向けて反射させる反射体と航空機検知装置から発射した電波が、航空機または反射体で反射される電波を受信し、当該受信した電波の強度が所定の検知レベル以上であることと電波の発射時から受信時までの時間差とに基づいて、走行路上を走行または停止している航空機の有無およびその位置を検知する処理手段と、航空機と反射体からの反射電波の有無に基づいて、航空機検知装置の異常を検出する手段とを備えている。
【0014】
従って、請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機検知装置と対向して設置した反射体で反射される電波の強度と電波発射時から受信時までの時間差とを基に、航空機の有無およびその位置を検知することにより、構成が簡単でかつ安価な装置で、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路を走行または停止している航空機の有無およびその位置を確実に検出することができる。
また、航空機と反射体からの反射電波の有無を基に航空機検知装置の異常を検出することにより、装置の修理等を迅速に行なうことができる。
【0015】
また、請求項2に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、航空機で反射される電波の強度が降雨や降雪の影響で変化した場合に、反射体で反射される電波強度に基づいて航空機の検知レベルを変化させる手段を備えている。
【0016】
従って、請求項2に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機で反射される電波強度が降雨や降雪の影響で変化した場合に、反射体で反射される電波強度を基に航空機の検知レベルを変化させるこことにより、急変する天候に対しても、人の手を介入することなく検知レベルを変化させて、航空機の有無およびその位置を確実に検知することができる。
【0017】
さらに、請求項3に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、航空機検知装置と対向して走行路の他方の側面側に反射体を複数設置し、航空機検知装置から複数の反射体に向けて電波を発射し、当該各反射体からの反射電波の有無に基づいて、走行路上を走行または停止している航空機の有無およびその位置を検知するようにしている。
【0018】
従って、請求項3に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機検知装置からの電波を反射させる反射体を複数設置することにより、航空機検知装置を複数設置することなく、広範囲にわたる航空機の検知を行なうことができる。
【0019】
また、請求項4に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、走行路を挟んで航空機検知装置と反射体とを互い違いに設置して、走行路上を走行または停止している航空機の位置を連続的に検知するようにしている。
【0020】
従って、請求項4に対応する発明の航空機検知システムにおいては、走行路を挟んで航空機検知装置と反射体とを互い違いに設置することにより、広範囲にわたる航空機の検知を連続的に行なうことができる。
【0021】
さらに、請求項5に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、航空機検知装置から発射した電波が複数設置された反射体でそれぞれ次々と反射を繰り返して電波を発射した航空機検知装置に戻るように、複数の反射体を設置している。
【0022】
従って、請求項5に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機検知装置からの電波が複数の反射体で次々と反射を繰り返して再び航空機検知装置に戻るようにすることにより、航空機検知装置を複数設置することなく、広範囲にわたる航空機の検知を行なうことができる。
【0025】
また、請求項に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、航空機検知装置から航空機までの距離によって変化する反射電波の受信信号の強度に対して距離補正を行なう検知手段を備えている。
【0026】
従って、請求項に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機検知装置から航空機までの距離によって変化する反射電波の受信信号の強度を距離補正することにより、反射電波の受信信号の強度が航空機検知装置から航空機までの距離によって変化しないように一定に保持して、航空機の有無およびその位置をより一層確実に検知することができる。
【0027】
さらに、請求項に対応する発明の航空機検知システムは、上記請求項1に対応する発明の航空機検知システムにおいて、航空機からの反射電波の受信信号に対して平均化処理を行なう検知手段を備えている。
【0028】
従って、請求項に対応する発明の航空機検知システムにおいては、航空機からの反射電波の受信信号を平均化処理することにより、受信信号に混入するランダムノイズを低減して、航空機または反射体からの反射信号ノイズとのS/N比を高め、航空機の検知精度を向上することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態によるパルスレーダ方式による航空機検知システムの構成例を示す概要図であり、図8と同一要素には同一符号を付して示している。
図1において、空港内の誘導路2の一方の側面側に設置された航空機検知装置100は、誘導路2に向けて電波Eを発射すると共に、航空機1、および航空機検知装置100と対向して誘導路2の他方の側面側に設置された反射板RPで、それぞれ反射されて戻ってくる電波RおよびRRを受信する。
【0031】
図2は、航空機検知装置100の内部回路構成例を示すブロック図である。
【0032】
図2において、電波を発射する信号を作成する送信器102は、発振器102aと、信号処理回路101で作成されたスイッチ制御信号Csによりスイッチング動作をするスイッチ回路102bと、増幅器102cと、信号を分配する分波器102dと、検波回路102eとから構成されている。
【0033】
送信器102からの信号は、入力信号を一方向のみに出力するサーキュレータ103を通して、ホーンアンテナやパッチアンテナ等からなる送・受信アンテナ104から、放射角θで電波Eを発射する。
【0034】
次に、発射した電波Eのうち航空機1で反射した電波Rは、送・受信アンテナ104で受信され、サーキュレータ103で受信器105に入力する。
【0035】
105aは受信した電波を増幅する増幅器、105bはミキサ、105cは局部発振器、105dはローパスフィルタ、105eは検波回路である。
【0036】
検波回路105eの出力信号は、信号処理回路101に入力し、信号処理回路101で航空機1の有無の判断と、航空機検知装置100から航空機1までの距離を算出する。
【0037】
また、信号処理回路101は、前述したように、スイッチ回路102bに与えるスイッチ制御信号Csを作成すると共に、航空機検知装置100の自己診断機能を有している。
【0038】
次に、以上のように構成した本実施の形態による航空機検知システムの動作について、図3に示すタイムチャート図を用いて説明する。
【0039】
発振器102aは、図3(a)に示すような高周波の連続波を発生する。この発振周波数としては、例えば10GHzのマイクロ波である。
【0040】
この高周波信号は、スイッチ回路102bに入力され、スイッチ回路102bでは、図3(b)に示すようなスイッチ制御信号Csのレベルが“H”の時のみ、入力信号を後段の増幅器102cへ通過させる。
【0041】
なお、レベル“H”、“L”の持続時間は、後述するミキサ105bで得られる中間周波数の波数の周期、および航空機1までの最大測定距離による送れ時間を考慮して設定される。
【0042】
スイッチ回路102bを通過した高周波信号は、増幅器102cで増幅され、分波器102dに入力される。
【0043】
分波器102dでは、入力した信号の一部が検波回路102eに分配され、その他の大部分がサーキュレータ103を通して、送・受信アンテナ104から放射角θeの電波Eとして発射される。
【0044】
ここで、まず、図1に示すように、発射電波Eの放射範囲内に航空機1が走行または停止している場合には、発射電波Eは航空機1で反射され、その反射した一部の反射波Rは、航空機検知装置100と航空機1との距離Lに比例した遅延時間 Δtだけ遅れて、送・受信アンテナ104に受信される。
【0045】
サーキュレータ103を通った受信信号Isは、増幅器105aで増幅された後に、ミキサ105bに入力される。
【0046】
ミキサ105bでは、受信信号Isと局部発振器105cからの局部発振周波数とがミキシングされて、中間周波数が出力される。
【0047】
例えば、局部発振器105cとして10GHz+0.2GHzの周波数を発生する発振器を用いた場合、ミキサ105bでは、その差の中間周波数0.2GHz(図3(d))が抽出される。
【0048】
この抽出された中間周波数は、ローパスフィルタ105dで高周波成分が除去された後に、ダイオード等で構成された検波回路105eで、図3(e)に示すような包絡線検波が行なわれる。
【0049】
信号処理回路101では、制御信号Csと包絡線検波信号の立ち上がりにおけるしきい値(航空機1の検知レベル)DLとの交差する時間までの時間差Δtが計測される。
【0050】
ここで、しきい値DLのレベルは、包絡線検波信号に含まれるノイズレベルを考慮して設定される。
【0051】
次に、前述の時間差Δtと、送信器102、受信器105での信号遅れ時間 Tdを考慮して、以下に示すような式から、航空機検知装置100から航空機1までの距離L、すなわち航空機1の位置が求められる。
【0052】
L=(C×(Δt−Td))/2
ここで、Cは光の速度である。
【0053】
そして、信号処理回路101で求めた航空機1との距離、および航空機1の “有り”を示す信号が検知信号として出力される。
【0054】
一方、分波器102dで分配された信号は、検波回路102eで検波回路105eと同様な包絡線検波が行なわれ、その出力信号は信号処理回路101に入力される。なお、この入力された信号を用いた機能に関する説明については、後述する。
【0055】
次に、発射電波Eの放射範囲内に航空機1が走行または停止していない場合には、航空機1からの反射電波Rは受信されないが、誘導路2を挟んで設置された反射板RPからの反射電波RRが受信される。
【0056】
反射板RPからの反射電波RRも、前述の場合と同様に、受信器105の増幅器105aでの増幅、ミキサ105bでのミキシングにより、図3(f)に示すような中間周波数が抽出される。
【0057】
中間周波数は、後段の検波回路105eで、図3(g)に示すような包絡線検波信号に変換された後に、信号処理回路101で制御信号Csとの時間差Δtpが計測される。
【0058】
そして、この時間差Δtpから、前述の式により、航空機検知装置100から反射板RPまでの距離Lpが求められる。
【0059】
ここで、距離Lpは固定長であるので、前もって距離Lpを計測しておき、計測した距離データと照合することで、反射板RPからの反射電波RRであるか否かを判断することができる。
【0060】
その結果、計測した距離データが距離Lpと一致した場合には、信号処理回路101では、検知信号として“無し”の信号が出力される。
【0061】
また、場合によっては、航空機1からの反射電波Rと反射板RPからの反射電波RRとが混在することが考えられるが、それぞれの遅れ時間ΔtとΔtpの間には差があるので、判別検知することができる。
【0062】
なお、信号が混在した場合には、フェールセーフを優先して信号処理回路101は、航空機1“有り”の信号を出力するように設定されている。
【0063】
上述したように、本実施の形態による航空機検知システムでは、航空機検知装置100と対向して設置した反射板RPで反射される電波の強度と電波発射時から受信時までの時間差とを基に、航空機1の有無およびその位置を検知するようにしているので、構成が簡単でかつ安価な装置で、空港内の誘導路2を走行または停止している航空機1の有無およびその位置を確実に検出することが可能となる。
【0064】
(第2の実施の形態)
本実施の形態による航空機検知システムは、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、航空機1で反射される電波Rの強度が降雨や降雪の影響で変化した場合に、反射板RPで反射される電波強度に基づいて、前記航空機1の検知レベル(図3(e)のDL)を変化させる機能を、信号処理回路101に備えた構成としている。
前記第1の実施の形態による航空機検知システムにおいては、降雨や降雪の影響で航空機1からの反射電波Rの電波強度が減少した場合、図3(d)に示すミキサ105bの中間周波数出力レベルMoaも減少する。そして、これに伴なって検波回路105eの出力レベルDoaも減少し、出力レベルDoaがしきい値DLに満たない場合には、航空機1が誘導路2を走行または停止しているのにも関わらず、航空機1を検知できないという不具合が発生する可能性がある。
【0065】
この点、本実施の形態による航空機検知システムでは、反射板RPからの反射電波RRの強度を基にしきい値DLのレベルを変化させる、すなわち反射板RPからの反射電波RRの強度も降雨や降雪の影響で図3(f)のミキサ105b出力Mop、図3(g)の検波回路105e出力Dopも同様に減少する。
【0066】
そこで、信号処理回路101では、入力する検波回路105eの信号レベルDopを監視し、その信号レベルが大小に変化するのに伴なって、しきい値DLのレベルも大小に変化するようなアルゴリズムを内蔵することで、急変する天候に対しても、人の手を介入することなく検知レベルを変化させて、航空機1の有無およびその位置を確実に検知することが可能となる。
【0067】
(第3の実施の形態)
図4は、本実施の形態による航空機検知システムの構成例を示す概要図であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
すなわち、本実施の形態による航空機検知システムは、図4に示すように、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、航空機検知装置100と対向して誘導路2の他方の側面側に反射板RPを複数(図では、RPa,RPb,RPcの3つ)設置し、航空機検知装置100から各反射板RPa,RPb,RPcに向けて電波Ea,Eb,Ecを発射し、この各反射板RPa,RPb,RPcからの反射電波の有無に基づいて、誘導路2上を走行または停止している航空機1の有無およびその位置を検知する構成としている。
【0068】
ここで、反射板RPa,RPb,RPcは、誘導路2を挟んで航空機検知装置100からの発射電波Ea,Eb,Ecを、航空機検知装置100へ向けて反射するように各々設置している。
【0069】
また、この場合の航空機検知装置100の送・受信アンテナ104は、図5に示すようにANTa,ANTb,ANTcから構成され、各アンテナANTa,ANTb,ANTcから電波Ea,Eb,Ecを発射する。
【0070】
発射電波Ea,Eb,Ecを出力する各送・受信アンテナへの入力信号は、サーキュレータ103からの信号スイッチ回路SCで時間的に順次切換えて各アンテナへ出力する。
【0071】
なお、スイッチ回路SCを切換える信号は、図示しない信号処理回路101からのスイッチ切換信号によって行なう。
【0072】
以上のように構成した本実施の形態による航空機検知システムにおいては、航空機検知装置100からの電波を反射させる反射体を複数(RPa,RPb,RPc)設置していることにより、航空機検知装置100を複数設置することなく、広範囲にわたる航空機1の検知を行なうことが可能となる。
【0073】
(第4の実施の形態)
図6は、本実施の形態による航空機検知システムの構成例を示す概要図であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
すなわち、本実施の形態による航空機検知システムは、図6に示すように、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、誘導路2を挟んで航空機検知装置100a,100b,100cと反射板RPa,RPb,RPcとを互い違いに設置して、誘導路2上を走行または停止している航空機1の位置を連続的に検知する構成としている。
【0074】
以上のように構成した本実施の形態による航空機検知システムにおいては、誘導路2を挟んで航空機検知装置100a,100b,100cと反射板RPa,RPb,RPcとを互い違いに設置していることにより、広範囲にわたる航空機1の検知を行なうことが可能となる。
【0075】
特に、本構成においては、誘導路2を走行または停止している航空機1を連続的に検知することが可能となる。
【0076】
(第5の実施の形態)
図7は、本実施の形態による航空機検知システムの構成例を示す概要図であり、図1および図2と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
すなわち、本実施の形態による航空機検知システムは、図7に示すように、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、、航空機検知装置100から発射した電波が、複数設置された反射板(図では、RPa,RPb,RPcの3つ)でそれぞれ次々と反射を繰り返して電波を発射した航空機検知装置100に戻るように、複数の反射体RPa,RPb,RPcを設置する構成としている。
【0077】
すなわち、航空機検知装置100からの発射電波Eは、誘導路2を挟んで設置された反射板RPaに向けて発射し、反射板RPaは、発射電波Eを反射板RPbに向けて反射するように傾けて設置され、反射板RPbも同様に、反射板RPcに向けて反射するように設置され、反射板RPcも航空機検知装置100に向けて反射するように設置される。
【0078】
また、この場合の航空機検知装置100の送・受信アンテナ104の構成例としては、前記図2の構成において、サーキュレータ103を用いず、分波器102dからの信号を一つの送信アンテナへ入力する構成にすると共に、反射電波RRcはもう一つの受信アンテナを用いて受信し、その信号を増幅器105aに入力する構成がある。
【0079】
次に、以上のように構成した本実施の形態による航空機検知システムにおいては、航空機1が検知エリアAA外にある場合には、航空機検知装置100からの発射電波Eは、反射板RPa,RPb,RPcでの反射を繰り返して、航空機検知装置100で受信される。
【0080】
次に、航空機1が検知エリアAAに進入すると、前記図8で示した航空機1のノーズギア31で、反射板RPbと反射板RPc間の反射電波RRbを遮断するので、航空機検知装置100では電波が受信されない。
【0081】
航空機1がさらに進入すると、反射電波RRbをノーズギア31が通過するので遮断はなくなり、反射電波RRcが航空機検知装置100で受信される。
【0082】
同様に、航空機1がさらに進入すると、航空機1のメインギア32で反射電波RRbが遮断される。
【0083】
航空機1がさらに進入すると、ノーズギア31と同様にメインギア32の遮断はなくなり、反射電波RRcが航空機検知装置100で受信される。
【0084】
また、航空機1の進入により、反射電波RRbと同様なことが発射電波Eの箇所でも電波の遮断と伝播が発生する。
【0085】
ここで、前述した検知エリアAAへの航空機1の進入またはエリア外への進出を検知するため、反射板RPaと反射板RPbの距離を、航空機1のノーズギア31とメインギア32との距離よりも大きく設定すれば、航空機1の検知エリアAAへの進入とエリア外への進出を検知することが可能となる。
【0086】
また、検知エリアAA内に航空機1が進入し、エリア内で停止した場合でも、反射電波RRbをノーズギア31とメインギア32が遮断し、なおかつ発射電波Eをノーズギア31およびメインギア32が遮断していないことを、航空機検知装置100内の信号処理回路101が記憶しておけば、航空機1が検知エリアAA内に停止していると判断することが可能となる。
このようにして、航空機検知装置100を複数設置することなく、広範囲にわたる航空機1の検知を行なうことが可能となる。
【0087】
(第6の実施の形態)
本実施の形態による航空機検知システムは、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、航空機1と反射板RPからの反射電波の有無に基づいて、航空機検知装置100の異常を検出する機能を、信号処理回路101に備えた構成としている。
次に、以上のように構成した本実施の形態による航空機検知システムにおいては、航空機検知装置100が航空機1が走行または停止していない場合でも、反射板RPからの反射電波RRの受信信号Isが得られるので、もし航空機1または反射板RPからの受信信号Isのいずれもが得られない場合には、航空機検知装置100が異常であると判断して、信号処理回路101からは異常信号が出力される。
【0088】
この場合、航空機検知装置100の中で、送信器102または受信器105のいずれが異常であるかの判断は、下記のような論理にて判断される。
【0089】
すなわち、分波器102dで分配されて検波回路102eに入力した信号は、信号レベルおよび遅れ時間は異なるが、図3(e)のような包絡線検波された信号となる。従って、この信号の有無を信号処理回路101で監視し、“信号あり”の場合には“送信器正常”、“信号なし”の場合には“送信器異常”と判断できる。
【0090】
もし、前述した“信号あり、送信器正常”の判定に関わらず、検波回路105eから信号処理回路101へ入力する包絡線検波信号が無い場合には、受信器105が異常であると信号処理回路101で判断される。
【0091】
そして、送信器102または受信器105のいずれが異常であるかの信号は、信号処理回路101が出力する異常信号と共に出力される。
【0092】
このようにして、航空機検知装置100の異常箇所を特定する信号を出力することで、装置の修理等を迅速に行なうことが可能となる。
(第7の実施の形態)
本実施の形態による航空機検知システムは、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、航空機検知装置100から航空機1までの距離によって変化する反射電波Rの受信信号の強度に対して距離補正を行なう検知機能を、増幅器105aに備えた構成としている。
前記第1の実施の形態による航空機検知システムにおいては、航空機検知装置100から航空機1までの距離Lは、航空機1が航空機検知装置100近くを走行するか、または反射板RP近くを走行するかによって、大きく変化する。そして、この距離Lに応じて、反射電波Rの強度も大きく変化する。
【0093】
すなわち、距離が大きくなるほど、航空機検知装置100が受信する反射電波Rの強度は微弱になり、前述したように、受信信号がしきい値DLのレベルに満たない不具合が発生することが考えられる。
【0094】
この点、本実施の形態による航空機検知システムでは、受信器105内の増幅器105aとして、利得が外部電圧で変化できる増幅器を用い、その外部電圧には距離Lによって変化する反射電波強度を、距離が変化しても一定のレベルにするような電圧を加えることにより、反射電波Rの受信信号の強度が航空機検知装置100から航空機1までの距離によって変化しないように一定に保持して、航空機1の有無およびその位置をより一層確実に検知することが可能となる。
なお、その他の改善手段としては、増幅器105a以外に、信号処理回路101に距離補正のプログラムを内蔵して補正することも可能である。
【0095】
(第8の実施の形態)
本実施の形態による航空機検知システムは、前記第1の実施の形態の航空機検知システムにおいて、航空機1からの反射電波Rの受信信号Isに対して平均化処理を行なう検知機能を、信号処理回路101に備えた構成としている。
前記第1の実施の形態による航空機検知システムにおいては、航空機検知装置100が受信する電波には、航空機1や反射板RPからの反射電波以外に、空港内を飛び交う無線、航空機1を誘導する電波または他のレーダ等の電波の混入が考えられる。
【0096】
この点、本実施の形態による航空機検知システムでは、これらの電波の混入で航空機検知装置100が誤動作しないように、航空機検知装置100で受信された信号Isを、信号処理回路101で複数回の加算平均化処理をすることにより、受信信号Isに混入するランダムノイズを低減して、航空機1または反射板RPからの反射信号IsノイズとのS/N比を高め、航空機1の検知精度を向上することが可能となる。
【0097】
(その他の実施の形態)
前記各実施の形態においては、移動体が航空機である場合について説明したが、これに限らず、本発明は航空機以外の自動車、列車等、その他の移動体についても、同様に適用できることは言うまでもない。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の航空機検知システムによれば、構成が簡単でかつ安価な装置で、空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路を走行または停止している航空機の有無およびその位置を確実に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による航空機検知システムの第1の実施の形態を示す概要図。
【図2】同第1の実施の形態の航空機検知システムにおける航空機検知装置の内部回路構成例を示すブロック図。
【図3】同第1の実施の形態の航空機検知システムにおける動作を説明するためのタイムチャート図。
【図4】本発明による航空機検知システムの第3の実施の形態を示す概要図。
【図5】同第3の実施の形態の航空機検知システムにおける航空機検知装置の送・受信アンテナの構成例を示す概要図。
【図6】本発明による航空機検知システムの第4の実施の形態を示す概要図。
【図7】本発明による航空機検知システムの第5の実施の形態を示す概要図。
【図8】従来の航空機検知装置の構成例を示す概要図。
【図9】図8の航空機検知装置における航空機検知の動作を説明するためのタイムチャート図。
【符号の説明】
1…航空機
2…誘導路(走行路)
100…航空機検知装置
101…信号処理回路
102…送信器
103…サーキュレータ
104…送・受信アンテナ
105…受信器
RP…反射板。

Claims (7)

  1. 空港内の誘導路あるいは滑走路を含む走行路の一方の側面側に設置され、前記走行路に向けて電波を発射し当該走行路を走行または停止している航空機で反射される電波を受信する航空機検知装置と、
    前記航空機検知装置と対向して前記走行路の他方の側面側に設置され、前記航空機検知装置からの発射電波を当該航空機検知装置へ向けて反射させる反射体と
    前記航空機検知装置から発射した電波が、前記航空機または前記反射体で反射される電波を受信し、当該受信した電波の強度が所定の検知レベル以上であることと前記電波の発射時から受信時までの時間差とに基づいて、前記走行路上を走行または停止している航空機の有無およびその位置を検知する処理手段と、
    前記航空機と前記反射体からの反射電波の有無に基づいて、前記航空機検知装置の異常を検出する手段と
    を備えたことを特徴とする航空機検知システム。
  2. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記航空機で反射される電波の強度が降雨や降雪の影響で変化した場合に、前記反射体で反射される電波強度に基づいて前記航空機の検知レベルを変化させる手段を備えたことを特徴とする航空機検知システム。
  3. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記航空機検知装置と対向して前記走行路の他方の側面側に前記反射体を複数設置し、
    前記航空機検知装置から前記複数の反射体に向けて電波を発射し、当該各反射体からの反射電波の有無に基づいて、前記走行路上を走行または停止している航空機の有無およびその位置を検知する
    ことを特徴とする航空機検知システム。
  4. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記走行路を挟んで前記航空機検知装置と前記反射体とを互い違いに設置して、前記走行路上を走行または停止している航空機の位置を連続的に検知することを特徴とする航空機検知システム。
  5. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記航空機検知装置から発射した電波が複数設置された反射体でそれぞれ次々と反射を繰り返して前記電波を発射した前記航空機検知装置に戻るように、前記複数の反射体を設置したことを特徴とした航空機検知システム。
  6. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記航空機検知装置から前記航空機までの距離によって変化する反射電波の受信信号の強度に対して距離補正を行なう検知手段を備えたことを特徴とする航空機検知システム。
  7. 前記請求項1に記載の航空機検知システムにおいて、
    前記航空機からの反射電波の受信信号に対して平均化処理を行なう検知手段を備えたことを特徴とする航空機検知システム。
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