JP3650960B2 - 圧延機の駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は圧延機の駆動装置に関し、更に詳しくは、ペアクロスミル等、上下のワークロールが互いにクロスした状態で配置されたタイプの圧延機の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペアクロスミル等の、上下のワークロールが互いに所定のクロス角を持って交差した状態で配置された圧延機においては、図4に平面図(A)および側面図(B)をそれぞれ模式的に示すように、それぞれ水平で、かつ、平面視でクロスした状態で上下のワークロール51a,51bが配置される。また、これらの各ワークロール51a,51bは、それぞれ中間軸(ミルスピンドル)52a,52bを介して、互いに平行で、共通のモータによって回転が与えられる上下の駆動軸53a,53bに係合される。上方のワークロール51aと中間軸52a、およびその中間軸52aと駆動軸53aは、中間軸52aの両端部に配置された継手541a,542aによって連結され、また、下方のワークロール51bと中間軸52b、およびその中間軸52bと駆動軸53bについても、中間軸52bの両端部に配置された継手541b,542bによって連結される。
【0003】
ここで、継手541a,542a,541b,542bとして、クロスピン式の自在継手、いわゆるユニバーサルジョイントを用いた場合、安価でしかも大きな動力伝達能力を有している点で有利となるが、駆動軸53aとワークロール51aが中間軸52aを介して、あるいは駆動軸53bとワークロール51bが同じく中間軸52bを介しで、それぞれ所定の角度で交わった状態で連結されるが故に等速性が得られず、上下のワークロール51a,51bの角速度に進み遅れが生じる。そして、この角速度の変動は、上下のワークロール51aと51bが互いに逆向きに回転するために、各ワークロール51a,51bにおいて進み遅れが反対となって現れ、これら両者間に挟まれる被加工物に対するすべりが甚だしくなってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本出願人は、上側のワークロール51aと中間軸52a、およびその中間軸52aと駆動軸53aの間をそれぞれ連結する一対のクロスピン式自在継手541a,542aと、下側のワークロール51bと中間軸52b、およびその中間軸52bと駆動軸53bの間をそれぞれ連結する一対のクロスピン式自在継手541b,542bとを、互いに90°位相をずらせて取り付けた圧延機の駆動装置を提案している(実公平6−46568号公報参照)。
【0005】
この提案によると、上下各一対のクロスピン式自在継手の進み遅れの位相が一致し、従って上下のワークーロール51a,51bの回転は全体としての進み遅れが生じるものの、その進み遅れは上下で同期しているが故に、被加工物との間にすべりが発生することを防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の圧延機においては、一般に、各ワークロール51a,51bの継手541a,541bに対する結合は、断面小判形の軸端部を小判孔に挿入することによって行われる。すなわち、図5に図4(B)におけるA−A線で切断した拡大図を示すように、クロスピン式自在継手541a,541bのカップリング5411a,5411bに小判孔Ha,Hbを形成し、その各小判孔Ha,Hbに上下のワークロール51a,51bの小判形断面の軸端部Sa,Sbを挿入することによって、両者を相対回転不能に結合する。
【0007】
従って、上記した提案を採用して上下の自在継手541a,541bの位相を90°ずらせる場合、図5に示されるように、各カップリング5411a,5411bの小判孔Ha,Hbは、クロスピン5410a,5410bを形成する互いに交差した2本のピンのうちの一方のピンの両端を支持すへくカップリング5411a,5411bから軸方向に突出形成された一対のヨークYa1 ,Ya2 およびYb1 ,Yb2 に対して90°ずらせて形成する必要がある。
【0008】
以上のようなカップリング5411a,5411bを用いると、これらは互いに異なる形状を有しているため、上下のクロスピン式自在継手541a,541bの部品間の互換性がなくなり、使用者は予備品として2種のカップリング5411a,5411bを保有しておかなければならないという問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、上下のワークロールと中間軸、および上下の中間軸と駆動軸をそれぞれクロスピン式自在継手で連結し、また、上下のクロスピン式自在継手を互いに90°ずらせることによって上下のワークロールの進み遅れを同期させながらも、上下のクロスピン式自在継手を全く同じ部品にして互換性を持たせ、予備品の保有数を少なくすることのできる圧延機の駆動装置の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の圧延機の駆動装置は、互いにクロスさせた上下のワークロールと、互いに平行な上下の駆動軸とが、それぞれの間に設けられた上下の中間軸に対してそれぞれクロスピン式自在継手を介して連結され、かつ、各ワークロールは、その一端部に形成された断面小判型の軸端部を、自在継手のカップリングに形成された小判孔内に挿入されて当該各自在継手に対して結合された圧延機の駆動装置において、上記上下の中間軸の各両端部の自在継手が、上下で互いに90°だけ位相がずれた状態で取り付けられているとともに、上記ワークロールに結合される上下の各自在継手は、それぞれのカップリングのヨークが上記小判孔の長手方向に対して同じ向きに45°だけ位相がずれた位置に形成され、かつ、互いに同一の部品構成からなっていることによって特徴づけられる。
【0011】
本発明は、上下のワークロールが互いに逆転することを利用したものであり、上下の自在継手のヨークを互いに90°だけ位相をずらせて上下の各ワークロールに対して結合する場合において、小判孔とヨークとの関係を上記のように同じ向きに45°だけ位相をずらせた構造を採用することで、これらの各自在継手を全く同一の部品構成ととすることができ、全ての自在継手に互換性を持たせることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について述べる。
図1は本発明の実施の形態の要部側面図であり、図2はその上下のワークロール1a,1bと中間軸2a,2bとを連結するクロスピン式自在継手41a,41bの近傍の拡大図である。また、図3は図2のA−A断面図である。
【0013】
上下のワークロール1a,1bは互いに平面視でクロスした状態で配置され、これらはそれぞれに対応して設けられた中間軸2a,2bを介して互いに平行な駆動軸3a,3bに対して連結される。各中間軸2a,2bには、その両端部にそれぞれクロスピン式自在継手(以下、単に自在継手と称する)41aと42a、および、41bと42bが設けられており、上側のワークロール1aと中間軸2aは自在継手41aを介して、中間軸2aと駆動軸3aは自在継手42aを介してそれぞれ互いに連結されているとともに、下側のワークロール1bと中間軸2bは自在継手41bを介して、中間軸2bと駆動軸3bは自在継手42bを介して互いに連結されている。
【0014】
上側に配置されている一対の自在継手41a,42aは、下側に配置されている一対の自在継手41b,42bに対してそれぞれ90°だけ位相がずれた状態で取り付けられている。従って、装置の駆動時、つまり上下のワークロール1aおよび1bが互いに逆向きに回転するときに、上側の各自在継手41a,42aの角速度の進み遅れは、下側の各自在継手41b,42bの進み遅れと同期し、ワークロール1a,1bとこれらの間に挿入される被加工物との間にすべりを生じることを防止することができる。
【0015】
さて、各ワークロール1a,1bは、一端部に形成された断面小判形の軸端部Sa,Sbが、自在継手41a,41bのカップリング411a,411bに形成された小判孔Ha,Hb内に挿入されることによって当該各カップリング411a,411bに対して結合される。また、これらのカップリング411a,411bは、クロスピン410a,410bの一方のピンの両端部を支持するための各一対のヨークYa1 とYa2 およびYb1 とYb2 が軸方向に突出形成されている。そして、この各カップリング411aおよび411bは、それぞれの一対のヨークYa1 とYa2 、およびYb1 とYb2 が、小判孔HaないしはHbに対して同じ向きに45°だけずれて形成されている。
【0016】
すなわち、上側の自在継手41aのカップリング411aの一対のヨークYa1 およびYa2 は、それぞれの中心を結ぶ線Caが、小判孔Haの長手方向に沿った線Laに対して図3における視点において反時計回りに45°だけずれて形成されている。また、下側の自在継手41bのカップリング411bの一対のヨークYb1 およびYb2 についても、それぞれの中心を結ぶ線Cbが、小判孔Hbの長手方向に沿った線Lbに対して同じく図3における視点において反時計回りに45°だけずれて形成されている。つまり、上下のワークロール1a,1bとそれぞれに対応する中間軸2a,2bとを連結する自在継手41a,41bのカップリング411a,411bは、互いに全く同一の形状・寸法であり、同一部品によって構成されている。
【0017】
従って、以上の本発明の実施の形態によると、上下の中間軸2a,2bの両端に配置された上下各一対のクロスピン式自在継手41aと42a、および41bと42bとが、互いに90°だけ位相をずらせて配置されることにより、上下のワークロール1a,1bの角速度の進み遅れを同期させているにも係わらず、上下のワークロール1a,1bと中間軸2a,2bとを連結する自在継手41aと41bを全く同じ部品により構成することができ、同じ自在継手を上下のいずれにも用いることができる。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、互いにクロスして配置された上下のワークロールを、それぞれ互いに平行な上下の駆動軸に対して、両端部にクロスピン式自在継手を備えた中間軸を介して連結するとともに、その上下の中間軸の両端の各クロスピン式自在継手は、上下のペアどうしで互いに位相が90°ずれた状態で配置することにより、クロスピン式自在継手の不等速性に起因する角速度の進み遅れを上下のワークロールで同期させて被加工物に対するすべりの発生を防止すると同時に、上下のワークロールとそれぞれに対応する中間軸との間に設けられる上下のクロスピン式自在継手のカップリングについては、それぞれのワークロールの軸端部を挿入する小判孔に対して、ヨークを同じ向きに45°だけずらせて形成しているから、上下の自在継手の構成部品を全く同一とすることが可能となり、従来のように互いに異なる部品構成の場合に比して、圧延機の予備品として保有すべき自在継手の数を半減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の要部側面図である。
【図2】図1における上下のワークロール1a,1bと中間軸2a,2bとを連結するクロスピン式自在継手41a,41bの近傍の拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】ペアクロスミルの駆動装置の一般的な構成例を示す模式的な平面図(A)および側面図(B)である。
【図5】図4(B)におけるA−A線で切断した拡大断面図である。
【符号の説明】
1a,1b ワークロール
2a,2b 中間軸
3a,3b 駆動軸
41a,41b,42a,42b クロスピン式自在継手
410a,410b クロスピン
411a,411b カップリング
Ha,Hb 小判孔
Ya1 ,Ya2 ,Yb1 ,Yb2 ヨーク
Sa,Sb ワークロール1a,1bの軸端部
Claims (1)
- 互いにクロスさせた上下のワークロールと、互いに平行な上下の駆動軸とが、それぞれの間に設けられた上下の中間軸に対してそれぞれクロスピン式自在継手を介して連結され、かつ、各ワークロールは、その一端部に形成された断面小判型の軸端部を、自在継手のカップリングに形成された小判孔内に挿入されて当該各自在継手に対して結合された圧延機の駆動装置において、
上記上下の中間軸の各両端部の自在継手が、上下で互いに90°だけ位相がずれた状態で取り付けられているとともに、
上記ワークロールに結合される上下の各自在継手は、それぞれのカップリングのヨークが上記小判孔の長手方向に対して同じ向きに45°だけ位相がずれた位置に形成され、かつ、互いに同一の部品構成からなっていることを特徴とする圧延機の駆動装置。
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