JP3650862B2 - 木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法、及び該製造方法に使用される賦形金型 - Google Patents
木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法、及び該製造方法に使用される賦形金型 Download PDFInfo
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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法及び該製造方法に使用される賦形金型に関するものであり、特には、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させるべく内部に障害物を設けた賦形金型を使用して木目模様を有する合成樹脂成形品を製造する製造方法と前記賦形金型に関し、前記障害物が、前記溶融熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起であるところに構成特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる合成樹脂成形品の製造方法としては、特公昭53−30744号公報、特公昭57−60138号公報、及び特開昭58−67421号公報に夫々記載の製造方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭53−30744号公報、及び特公昭57−60138号公報に記載の製造方法にあっては、発泡剤を含む溶融熱可塑性合成樹脂を複数の小孔から押し出し、表面に形成された樹脂線条を前記合成樹脂が溶融している間に融着するから、直線的な柾目模様若しくは単調な往復模様しか出現できず、加えて、特公昭53−30744号公報記載の製造方法には、金型の保持が難しく金型自体が破損し易いという問題点が、そして特公昭57−60138号公報記載の製造方法には、金型の穴の部分が流動抵抗となって材料が穴の部分を避けて通るため、柾目模様を確実に出現できないという問題があった。
また、特開昭58−67421号公報記載の製造方法にあっては、材料を適度に発泡膨張せしめる主金型と、材料表面を波形又は部分的同心円状断面に形成する中間金型と、波形又は部分的同心形形成部を板目模様に圧縮冷却する冷却金型とからなる3種類の賦形金型が必要であった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑み鋭意開発されたものであって、その解決すべき課題は、従来の木目模様を有する合成樹脂製品の製造方法が具有する上述した問題点を解消することである。
【0005】
そして、その目的とするところは、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させるべく内部に障害物を設けた賦形金型を使用して木目模様を出現させる合成樹脂成形品の製造方法を提供することと、該製造方法に使用するための賦形金型を提供することであり、前記障害物が、溶融せしめた熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起であるところに構成特徴を有する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特には、内壁に障害物を突設したリングを賦形金型の中間部に備え、該リングを熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転することによって、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の採った手段の要旨とするところは、叙上の特許請求の範囲の欄に記載の通りである。
【0008】
請求項1〜3の発明によれば、熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起(障害物)により、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れに差を生じさせることができ、これにより、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化させることができ、綺麗な木目模様を有する合成樹脂成形品を廉価に製造できる。
【0009】
請求項4〜6の発明によれば、その内壁に複数の突起が突設され前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングが備えられているから、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れに差を生じさせることができ、これにより、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化させることができる。
すなわち、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するための賦形金型として、使用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る製造方法を実施するにあたり、ベースとして使用される熱可塑性合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が例示でき、また、質感を高めるために木粉等を配合した流動特性の低い熱可塑性合成樹脂となし使用することもできる。さらに、これら樹脂に、白色、茶色、オレンジ色、黄色等の顔料や滑剤、発泡剤、難燃剤等の添加物を適宜配合し混練してなるものを出発材料として使用しても構わない。
【0012】
図1は、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するために使用する押出成形機の要部を示す断面正面図であり、図2は図1の押出成形機に備えた賦形金型4に内蔵されているリング6の概略斜視図である。図3は、樹脂表面の模様変化の理解を容易とするため、突起と模様の関係を模式的に示した模式図である。図4(a)乃至(c)は、最終樹脂成形品の表面に現出する模様を例示的に示す平面図である。
【0013】
図において、1は押出成形機、2は押出成形機に備えられ出発材料たる2種以上の熱可塑性合成樹脂を混和しつつ押し出すスクリュー、3は押出成形機に備えられ図示しないヒーターによって高温に保持されるシリンダー、4は前記押出成形機に一端が連結された賦形金型であり、該賦形金型の他端には、前記シリンダー3内で混和溶融せしめた前記熱可塑性合成樹脂を押し出しつつ所望する形状に成形すべく口金部5が設けられている。そして、前記賦形金型4の中央部には、この賦形金型4の外部に配置されたモーター7の駆動力により歯車8を介して前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転動するリング6が備えられている。
【0014】
前記リング6は、内壁6aには径方向の突起(障害物)9が等ピッチ間隔で設けられておりかつその外壁6bには前記歯車8の歯と噛合可能な歯6cが設けられている。そして、前記突起9によって、前記シリンダー3から押し出されてくる熱可塑性合成樹脂の流動状態に差を生じさせ、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向のはっきりとした柾目模様に変化させることができるよう、前記賦形金型4の中央部に装着される。
【0015】
ところで、互いに隣接する突起(障害物)9間の間隔が0.5mmよりも狭いと、突起(障害物)間に生じる流動抵抗が大きくなるため、押出成形開始の初期の間は、溶融樹脂が突起(障害物)9間を流れてはっきりとした柾目模様を現出するものの、次第に、溶融樹脂は突起(障害物)9間の抵抗を避けて賦形金型4の中央付近を流れるようになるゆえ、所望するはっきりとした柾目模様を現出させることができない。また、突起(障害物)9間の間隔が5.0mmよりも広いと、渦巻状の模様を同じ間隔を持った山形の形状に変化できるものの、はっきりとした柾目模様を現出させることができない。
隣接する突起(障害物)9間の間隔は、0.5〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、2.0〜5.0mmの範囲内であるとさらに好適である。
【0016】
一方、突起(障害物)9の高さが5.0mmよりも高いと、この突起(障害物)9の形状が細長となつてその強度が弱くなるゆえ折れ易くなることに加えて、突起(障害物)9が例えば横搖れする等ゆえに安定した柾目模様を現出させることができない。また、突起(障害物)9の高さが0.3mmよりも低いと、溶融樹脂の流れに変化を与えることができないゆえ、はっきりとした柾目模様を現出させることができない。
突起(障害物)9の高さは、0.3〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、1.0〜2.5mmの範囲内であるとさらに好適である。
【0017】
前記口金部5には所望する形状に成形するための開口部5aが設けられており、該開口部5aを介して溶融樹脂を吐出させ冷却して固形化せしめるようになっている。
【0018】
かかる装置を使用して実施される本発明の製造方法は、つぎの通りである。
まず、模造樹脂成形品の原料となす互いに異なる色彩に着色された2種類以上の熱可塑性樹脂の混合物は、押出成形機1に備えられたスクリュー2て混和され、シリンダー3に搬送される。このシリンダー3は図示しないヒーターによって高温に保持されており、スクリュー2の回転作用が加わるため、前記熱可塑性樹脂の混合物は加熱されて溶融し渦巻状の模様が現出する。そして、そのままの状態で賦形金型4に向けて移動する。
【0019】
一方、賦形金型4の中央部には、その内壁に前記溶融樹脂の流動状態に差を生じさせ得る突起9を突設したリング6が備えられており、かつこのリング6は、当該溶融樹脂の流れ方向と直交して回転するため、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に変化され、その状態のままで口金部5を介して吐出冷却されて固形化される。すなわち、口金部5には所望する形状に成形するための開口部5aが設けられているから、例えば板状であってかつその表面に図4(a)若しくは図4(b)に示すような柾目模様を有する樹脂成形製品が製造できる。
【0020】
【実施例】
本発明の、柾目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法を具体化した実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0021】
模造樹脂成形品の原料となす熱可塑性樹脂は、▲1▼ポリ塩化ビニル100重量部と、木粉100重量部と、無機系白色顔料である、「Plaston Supra White A-1851」と、滑剤である、「ステアリン酸」4重量部と、からなる混合物を加熱溶融して混練後、顆粒化したペレットと、▲2▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えてオレンジの顔料である、「Plaston Supra Orange A-5404」と「PMP 1475 エロー」との混合物を配合したペレットと、▲3▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えて黄色の顔料である「PMP 1475 エロー」を配合したペレットと、▲4▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えて茶色の顔料である、「PMP 1475」と「Plaston Supra Brown DA-0688」と「Plaston Supra black A-3965」との混合物を配合したペレットとを、▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=90:25:40:15の割合となるように混合したものである。
なお、前記「Plaston Supra」系の各顔料はいずれも大日本インキ化学工業株式会社製であり、前記「PMP 1475 エロー」は大日精化工業株式会社製である。これらの顔料の種類や色彩、あるいは配合割合等を限定するものではなく、本発明における使用目的に合致するものであればなんでもよく、適宜自在に設計変更可能である。
【0022】
つぎに、押出機としては、シリンダー径が40mm、L/Dが22、シリンダー圧縮比が2.5である単軸押出機を用い、その先端には叙上の賦形金型4(図1)が装着され、賦形金型4には成形品の形状を板状にすることができる開口部5aを有する口金部5が備えられている。また、賦形金型4の中央部には、内壁6aの全面に軸線方向に3.0mmのピッチ間隔で1.5mmの高さで突設させた突起9を有する内径が40mmのリング6が設けられ、該リング6は、賦形金型の外部に配置されたモーター7により歯車8を介して毎分0.2回転の割合で、溶融樹脂の流れと直交する方向に回転動作するようになっている。なお、前記スクリュー2の回転数は毎分12回転であり、シリンダー3は140℃に保持されており、ダイ1とダイ2の温度は、夫々150℃と160℃に設定した。
【0023】
かかる条件下で押出成形した成形品は、図4(a)に示すような、オレンジ色を基調にして押出方向に対してやや斜めに柾目模様が連続して現出する平板となり、自然感あふれた柾目模様を有する合成木材となった。
【0024】
ところで、本発明を実施する場合において、最終製品たる成形品の断面形状が円形であるとか楕円形であるとか方形であるとか等、その全体の外観形状や、表面上に現出する柾目模様の間隔などを限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜設計変更可能である。
【0025】
また、上述した通り、ベースとして使用される熱可塑性合成樹脂をポリ塩化ビニル樹脂に限定するものではなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等を使用することができる。さらに、これら樹脂に、白色、茶色、オレンジ色、黄色等の顔料や滑剤のほか、発泡剤、難燃剤等の添加物を適宜配合してなるペレット等を出発材料として使用しても構わない。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の賦形金型によれば、原料材料となる熱可塑性合成樹脂の具有する流動を問わず例えば木粉や米ぬか等を含有させた熱可塑性合成樹脂であっても、安定して綺麗な流れ柾目模様を具備する合成樹脂成形品を形成することのできる木目模様を有する樹脂成形製品の製造方法が構築できる。
【0027】
そして、この木目模様を有する樹脂成形製品の製造方法は、原料材料となる熱可塑性合成樹脂の具有する流動を問わず、例えば木粉や米ぬか等を含有させた熱可塑性合成樹脂であっても、安定して綺麗な流れ柾目模様を具備する合成樹脂成形品を形成することができるため、質感に優れるとともに見た目にも自然感に満ち溢れた合成木材を安価に製造することができ、天然資源である木材の代替え品として、家具や内装壁材等として広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するために使用する押出成形機の要部を示す断面正面図である。
【図2】図2は図1の押出成形機に備えた賦形金型4に内蔵されているリング6の概略斜視図である。
【図3】図3は、樹脂表面の模様変化の理解を容易とするため、突起と模様の関係を模式的に示した模式図である。
【図4】 図4(a)乃至(c)は、最終樹脂成形品の表面に現出する模様を例示的に示す平面図である。
【符号の説明】
1…押出成形機
2…スクリュー
3…シリンダー
4…賦形金型
5…口金部
5a…開口部
6…リング
6a…内壁
6b…外壁
6c…歯
7…モーター
8…歯車
9…突起(障害物)
10…合成樹脂成形品
【発明の属する技術分野】
本発明は、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法及び該製造方法に使用される賦形金型に関するものであり、特には、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させるべく内部に障害物を設けた賦形金型を使用して木目模様を有する合成樹脂成形品を製造する製造方法と前記賦形金型に関し、前記障害物が、前記溶融熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起であるところに構成特徴を有する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる合成樹脂成形品の製造方法としては、特公昭53−30744号公報、特公昭57−60138号公報、及び特開昭58−67421号公報に夫々記載の製造方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭53−30744号公報、及び特公昭57−60138号公報に記載の製造方法にあっては、発泡剤を含む溶融熱可塑性合成樹脂を複数の小孔から押し出し、表面に形成された樹脂線条を前記合成樹脂が溶融している間に融着するから、直線的な柾目模様若しくは単調な往復模様しか出現できず、加えて、特公昭53−30744号公報記載の製造方法には、金型の保持が難しく金型自体が破損し易いという問題点が、そして特公昭57−60138号公報記載の製造方法には、金型の穴の部分が流動抵抗となって材料が穴の部分を避けて通るため、柾目模様を確実に出現できないという問題があった。
また、特開昭58−67421号公報記載の製造方法にあっては、材料を適度に発泡膨張せしめる主金型と、材料表面を波形又は部分的同心円状断面に形成する中間金型と、波形又は部分的同心形形成部を板目模様に圧縮冷却する冷却金型とからなる3種類の賦形金型が必要であった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑み鋭意開発されたものであって、その解決すべき課題は、従来の木目模様を有する合成樹脂製品の製造方法が具有する上述した問題点を解消することである。
【0005】
そして、その目的とするところは、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させるべく内部に障害物を設けた賦形金型を使用して木目模様を出現させる合成樹脂成形品の製造方法を提供することと、該製造方法に使用するための賦形金型を提供することであり、前記障害物が、溶融せしめた熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起であるところに構成特徴を有する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特には、内壁に障害物を突設したリングを賦形金型の中間部に備え、該リングを熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転することによって、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の採った手段の要旨とするところは、叙上の特許請求の範囲の欄に記載の通りである。
【0008】
請求項1〜3の発明によれば、熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起(障害物)により、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れに差を生じさせることができ、これにより、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化させることができ、綺麗な木目模様を有する合成樹脂成形品を廉価に製造できる。
【0009】
請求項4〜6の発明によれば、その内壁に複数の突起が突設され前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングが備えられているから、熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れに差を生じさせることができ、これにより、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に安定して変化させることができる。
すなわち、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するための賦形金型として、使用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
本発明に係る製造方法を実施するにあたり、ベースとして使用される熱可塑性合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が例示でき、また、質感を高めるために木粉等を配合した流動特性の低い熱可塑性合成樹脂となし使用することもできる。さらに、これら樹脂に、白色、茶色、オレンジ色、黄色等の顔料や滑剤、発泡剤、難燃剤等の添加物を適宜配合し混練してなるものを出発材料として使用しても構わない。
【0012】
図1は、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するために使用する押出成形機の要部を示す断面正面図であり、図2は図1の押出成形機に備えた賦形金型4に内蔵されているリング6の概略斜視図である。図3は、樹脂表面の模様変化の理解を容易とするため、突起と模様の関係を模式的に示した模式図である。図4(a)乃至(c)は、最終樹脂成形品の表面に現出する模様を例示的に示す平面図である。
【0013】
図において、1は押出成形機、2は押出成形機に備えられ出発材料たる2種以上の熱可塑性合成樹脂を混和しつつ押し出すスクリュー、3は押出成形機に備えられ図示しないヒーターによって高温に保持されるシリンダー、4は前記押出成形機に一端が連結された賦形金型であり、該賦形金型の他端には、前記シリンダー3内で混和溶融せしめた前記熱可塑性合成樹脂を押し出しつつ所望する形状に成形すべく口金部5が設けられている。そして、前記賦形金型4の中央部には、この賦形金型4の外部に配置されたモーター7の駆動力により歯車8を介して前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転動するリング6が備えられている。
【0014】
前記リング6は、内壁6aには径方向の突起(障害物)9が等ピッチ間隔で設けられておりかつその外壁6bには前記歯車8の歯と噛合可能な歯6cが設けられている。そして、前記突起9によって、前記シリンダー3から押し出されてくる熱可塑性合成樹脂の流動状態に差を生じさせ、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向のはっきりとした柾目模様に変化させることができるよう、前記賦形金型4の中央部に装着される。
【0015】
ところで、互いに隣接する突起(障害物)9間の間隔が0.5mmよりも狭いと、突起(障害物)間に生じる流動抵抗が大きくなるため、押出成形開始の初期の間は、溶融樹脂が突起(障害物)9間を流れてはっきりとした柾目模様を現出するものの、次第に、溶融樹脂は突起(障害物)9間の抵抗を避けて賦形金型4の中央付近を流れるようになるゆえ、所望するはっきりとした柾目模様を現出させることができない。また、突起(障害物)9間の間隔が5.0mmよりも広いと、渦巻状の模様を同じ間隔を持った山形の形状に変化できるものの、はっきりとした柾目模様を現出させることができない。
隣接する突起(障害物)9間の間隔は、0.5〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、2.0〜5.0mmの範囲内であるとさらに好適である。
【0016】
一方、突起(障害物)9の高さが5.0mmよりも高いと、この突起(障害物)9の形状が細長となつてその強度が弱くなるゆえ折れ易くなることに加えて、突起(障害物)9が例えば横搖れする等ゆえに安定した柾目模様を現出させることができない。また、突起(障害物)9の高さが0.3mmよりも低いと、溶融樹脂の流れに変化を与えることができないゆえ、はっきりとした柾目模様を現出させることができない。
突起(障害物)9の高さは、0.3〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、1.0〜2.5mmの範囲内であるとさらに好適である。
【0017】
前記口金部5には所望する形状に成形するための開口部5aが設けられており、該開口部5aを介して溶融樹脂を吐出させ冷却して固形化せしめるようになっている。
【0018】
かかる装置を使用して実施される本発明の製造方法は、つぎの通りである。
まず、模造樹脂成形品の原料となす互いに異なる色彩に着色された2種類以上の熱可塑性樹脂の混合物は、押出成形機1に備えられたスクリュー2て混和され、シリンダー3に搬送される。このシリンダー3は図示しないヒーターによって高温に保持されており、スクリュー2の回転作用が加わるため、前記熱可塑性樹脂の混合物は加熱されて溶融し渦巻状の模様が現出する。そして、そのままの状態で賦形金型4に向けて移動する。
【0019】
一方、賦形金型4の中央部には、その内壁に前記溶融樹脂の流動状態に差を生じさせ得る突起9を突設したリング6が備えられており、かつこのリング6は、当該溶融樹脂の流れ方向と直交して回転するため、樹脂表面の渦巻状模様を一定方向の流れ柾目模様に変化され、その状態のままで口金部5を介して吐出冷却されて固形化される。すなわち、口金部5には所望する形状に成形するための開口部5aが設けられているから、例えば板状であってかつその表面に図4(a)若しくは図4(b)に示すような柾目模様を有する樹脂成形製品が製造できる。
【0020】
【実施例】
本発明の、柾目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法を具体化した実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0021】
模造樹脂成形品の原料となす熱可塑性樹脂は、▲1▼ポリ塩化ビニル100重量部と、木粉100重量部と、無機系白色顔料である、「Plaston Supra White A-1851」と、滑剤である、「ステアリン酸」4重量部と、からなる混合物を加熱溶融して混練後、顆粒化したペレットと、▲2▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えてオレンジの顔料である、「Plaston Supra Orange A-5404」と「PMP 1475 エロー」との混合物を配合したペレットと、▲3▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えて黄色の顔料である「PMP 1475 エロー」を配合したペレットと、▲4▼前記▲1▼と同一の配合割合であって前記無機系白色顔料に替えて茶色の顔料である、「PMP 1475」と「Plaston Supra Brown DA-0688」と「Plaston Supra black A-3965」との混合物を配合したペレットとを、▲1▼:▲2▼:▲3▼:▲4▼=90:25:40:15の割合となるように混合したものである。
なお、前記「Plaston Supra」系の各顔料はいずれも大日本インキ化学工業株式会社製であり、前記「PMP 1475 エロー」は大日精化工業株式会社製である。これらの顔料の種類や色彩、あるいは配合割合等を限定するものではなく、本発明における使用目的に合致するものであればなんでもよく、適宜自在に設計変更可能である。
【0022】
つぎに、押出機としては、シリンダー径が40mm、L/Dが22、シリンダー圧縮比が2.5である単軸押出機を用い、その先端には叙上の賦形金型4(図1)が装着され、賦形金型4には成形品の形状を板状にすることができる開口部5aを有する口金部5が備えられている。また、賦形金型4の中央部には、内壁6aの全面に軸線方向に3.0mmのピッチ間隔で1.5mmの高さで突設させた突起9を有する内径が40mmのリング6が設けられ、該リング6は、賦形金型の外部に配置されたモーター7により歯車8を介して毎分0.2回転の割合で、溶融樹脂の流れと直交する方向に回転動作するようになっている。なお、前記スクリュー2の回転数は毎分12回転であり、シリンダー3は140℃に保持されており、ダイ1とダイ2の温度は、夫々150℃と160℃に設定した。
【0023】
かかる条件下で押出成形した成形品は、図4(a)に示すような、オレンジ色を基調にして押出方向に対してやや斜めに柾目模様が連続して現出する平板となり、自然感あふれた柾目模様を有する合成木材となった。
【0024】
ところで、本発明を実施する場合において、最終製品たる成形品の断面形状が円形であるとか楕円形であるとか方形であるとか等、その全体の外観形状や、表面上に現出する柾目模様の間隔などを限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜設計変更可能である。
【0025】
また、上述した通り、ベースとして使用される熱可塑性合成樹脂をポリ塩化ビニル樹脂に限定するものではなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等を使用することができる。さらに、これら樹脂に、白色、茶色、オレンジ色、黄色等の顔料や滑剤のほか、発泡剤、難燃剤等の添加物を適宜配合してなるペレット等を出発材料として使用しても構わない。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の賦形金型によれば、原料材料となる熱可塑性合成樹脂の具有する流動を問わず例えば木粉や米ぬか等を含有させた熱可塑性合成樹脂であっても、安定して綺麗な流れ柾目模様を具備する合成樹脂成形品を形成することのできる木目模様を有する樹脂成形製品の製造方法が構築できる。
【0027】
そして、この木目模様を有する樹脂成形製品の製造方法は、原料材料となる熱可塑性合成樹脂の具有する流動を問わず、例えば木粉や米ぬか等を含有させた熱可塑性合成樹脂であっても、安定して綺麗な流れ柾目模様を具備する合成樹脂成形品を形成することができるため、質感に優れるとともに見た目にも自然感に満ち溢れた合成木材を安価に製造することができ、天然資源である木材の代替え品として、家具や内装壁材等として広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するために使用する押出成形機の要部を示す断面正面図である。
【図2】図2は図1の押出成形機に備えた賦形金型4に内蔵されているリング6の概略斜視図である。
【図3】図3は、樹脂表面の模様変化の理解を容易とするため、突起と模様の関係を模式的に示した模式図である。
【図4】 図4(a)乃至(c)は、最終樹脂成形品の表面に現出する模様を例示的に示す平面図である。
【符号の説明】
1…押出成形機
2…スクリュー
3…シリンダー
4…賦形金型
5…口金部
5a…開口部
6…リング
6a…内壁
6b…外壁
6c…歯
7…モーター
8…歯車
9…突起(障害物)
10…合成樹脂成形品
Claims (6)
- 熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させるべく内部に障害物を設けた賦形金型を使用して製造する、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法であって、
前記障害物は、前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングの内壁に突設した複数の突起であることを特徴とする、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法。 - 前記複数の突起のピッチ幅が、0.5mmから5.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1記載の、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法。
- 前記複数の突起の高さが、0.3mmから5.0mmの範囲であることを特徴とする請求項1又は2記載の、木目模様を有する合成樹脂成形品の製造方法。
- 熱溶融させた熱可塑性樹脂の流れを変化させることによって木目模様を有する合成樹脂成形品を製造するために使用される賦形金型であって、該賦形金型部に、その内壁に複数の突起が突設され前記熱可塑性樹脂の流れ方向と直交して回転するリングが備えられていることを特徴とする賦形金型。
- 前記複数の突起のピッチ幅が、0.5mmから5.0mmの範囲であることを特徴とする請求項4記載の賦形金型。
- 前記複数の突起の高さが、0.3mmから5.0mmの範囲であることを特徴とする請求項4又は5記載の賦形金型。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN106079353A (zh) * | 2016-08-15 | 2016-11-09 | 盐城工学院 | 一种挤出具有双导电条型材的共挤模头及其挤出方法 |
-
1996
- 1996-12-12 JP JP33233796A patent/JP3650862B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN106079353A (zh) * | 2016-08-15 | 2016-11-09 | 盐城工学院 | 一种挤出具有双导电条型材的共挤模头及其挤出方法 |
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