JP3650600B2 - 高圧受電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンビニエンスストアーやファミリーレストランなどの敷地内に設置される高圧受電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンビニエンスストアーやファミリーレストラン、外食チェーン店などの24時間営業店においては、低圧給電装置から給電される電力により店内の照明及び冷蔵庫やエアコンなどを駆動しているため、電力の消費量が大きくなり、毎月の電気料金も高額になる。
【0003】
そこで、契約電力料金の安い高圧受電にすれば、大幅なコストダウンを図ることができ、電力会社も低圧給電装置の増設の必要がなくなるが、高圧受電を行うためには大型の高圧受電装置を敷地内に設置しなければならない。
【0004】
図6は従来の例えば500kVAを超える高圧受電装置の回路構成図を示すものである。
【0005】
図6に示すように、電力会社の配電線から断路器DS及び遮断器CBを介して引き込まれる入線を気中負荷開閉器LSBを介して進相コンデンサSCに接続すると共に、電灯用及び動力用の2種類の回路にそれぞれ設けられた変圧器Tr1,Tr2の一次側(電源側)に気中負荷開閉器LSBを介して接続し、これら各回路の変圧器Tr1,Tr2の二次側(負荷側)を各々の負荷に配線用遮断器MCB1,MCB2を介して接続する構成となっている。
【0006】
図7はかかる高圧受電装置の各種機器の配置構成図を示すものである。
【0007】
図7において、21は筐体で、この筐体21内には2台の変圧器22が並設され、その背部に進相コンデンサ23が設置されている。また、筐体21内の上部には3個の気中負荷開閉器24が筐体壁面の幅方向に取付けられた図示しない支持部材に取付けられると共に、図示していないが筐体21の底板を通して引き込まれた入線に接続される断路器及び遮断器が取付けられている。
【0008】
この他、筐体21内の中間部位には配線用遮断器、各種計器類が配設されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような構成の従来の高圧受電装置においては、筐体21内に特に大きな設置スペースを必要とする2台の変圧器22が並設され、その背部に進相コンデンサ23が設置されるため、筐体21の幅方向と奥行き方向の寸法が大きく、全体が大型になる。このため、街中の24時間営業店のように限られた面積の敷地内に設置するには不向きである。
【0010】
そこで、筐体21の奥行き寸法だけでも縮小する目的で、進相コンデンサ23を変圧器の上面に設置することが考えられるが、このようにすれば筐体21の高さ方向の寸法が大きくなる。この高圧受電装置は、一般的に2000〜2300mm程度の高さ寸法となるため、これを設置場所に輸送するには、専用の輸送車を利用する必要があり、輸送費用が嵩むという問題がある。
【0011】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、高圧受電回路の構成を簡易化して設備機器を減少させ、且つ設備機器を合理的に配置することにより、装置全体の小型化を図ることが可能となり、設置スペースや輸送に制約されることのない安価な高圧受電装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により高圧受電装置を構成する。
【0013】
請求項1に対応する発明は、前面に扉を有する筐体と、この筐体の底部より筐体の背面に這わせて立上げられ配電系統から引き込まれた高圧配電線に接続される入線と、前記筐体内に設置され二次側が電灯用と動力用の異なる電圧の負荷に電力が出力可能な灯動一体形変圧器と、前記筐体内の背面側上部に充電部を下方に向けて支持された進相コンデンサと、前記筐体内の上部で前記進相コンデンサの前方に取付けられ一端が前記入線に接続されると共に、他端が前記進相コンデンサの充電部及び前記灯動一体形変圧器の一次側に接続された気中負荷開閉器と、前記筐体内の前記扉側上部に着脱自在に取付けられ一枚の板材を適宜角度折曲して水平面と傾斜面を形成した取付板と、この取付板の水平面に下向きにして取付けられ前記筐体内を照明する蛍光灯と、前記取付板の傾斜面に斜め下方の高圧機器側に向けて取付けられ前記筐体内の発熱機器から発生する熱を排気する排気ファンとを備えたものである。
【0014】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の高圧受電装置において、前記蛍光灯は前記扉が閉じると消灯し、扉が開くと点灯するように扉の開閉に応じてオン、オフするスイッチを介して電灯側の回路に接続される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明による高圧受電装置の実施の形態を示す回路構成図である。
【0020】
図1に示すように、電力会社の配電線から引き込まれる入線を気中負荷開閉器LSBの一端に接続し、その他端を進相コンデンサSCに接続すると共に、灯動一体形の変圧器Trの一次側(電源側)に接続する。この灯動一体形の変圧器Trは、一次側がY結線、二次側(負荷側)がΔ結線され、且つこのΔ結線の一つの相の巻線に接地ラインに接続される中性点を有している。
【0021】
このような灯動一体形変圧器Trの二次側より単相回路を電灯用として配線用遮断器MCB1を介して引出し、三相回路を動力用として配線用遮断器MCB2を介して引出してそれぞれの負荷に接続する構成とする。
【0022】
図2はかかる回路構成に対応する高圧受電装置の設備機器の配置構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0023】
図2(a)、(b)において、1は前面側に扉2が開閉可能に設けられた筐体で、この筐体1内の底面に前述した灯動一体形変圧器3が設置される。
【0024】
また、筐体1内の背面側の上部に支持部材5が取付けられ、この支持部材5に充電部4aを下方に向けて進相コンデンサ4が吊下げる如く支持される。この進相コンデンサ4は、その容器内に絶縁油を充満させてあり、充電部4aを真下に向けてもコンデンサ素子が絶縁油から食み出すことがなく、しかも絶縁油が漏れ出ないように密閉度の高いものが使用される。
【0025】
さらに、筐体1内の前面側の上部に1個の気中負荷開閉器6が取付部材7を介して取付けられる
この他、筐体1内の前面側の中間部位に配線用遮断器8、各種計器9が配設され、図示しない支持部材に支持されている。
【0026】
また、図3に示すように、外部の高圧配電線に接続された入線10を筐体1の底面部より導入し、この入線10を筐体1の背面に這わせて立上げるとともに、その適宜高さの異なる位置の二箇所がホールド金具11によりそれぞれ保持される。
【0027】
この筐体1の背面に這わせて立上げられた入線10は、一定の長さ位置で切断され、その端部に接続端子12が取付けられる。
【0028】
また、この接続端子12に対応する部位に気中負荷開閉器6の電源側端子に接続されたケーブル13を導出し、このケーブル13の端部に入線側の接続端子12と結合される接続端子14が取付けられる。
【0029】
このように筐体1内に配設された各機器において、気中負荷開閉器6の電源側端子に接続されたケーブル13の接続端子14と入線10の接続端子12とを着脱可能に結合し、また気中負荷開閉器6の負荷側端子を灯動一体形変圧器3及び進相コンデンサ4の充電部3a,4aにそれぞれ高圧配線を介して接続する。
【0030】
一方、図2及び図3には示していないが、筐体1内の発熱機器から発生する熱を排気する排気ファン及び筐体1内を照明する蛍光灯が設けられるが、これらに対しても最小限のスペースに収まるように工夫がなされている。
【0031】
図4は排気ファン及び蛍光灯を一体化した構成例を示す斜視図である。
【0032】
図4において、15は一枚の板材を適宜角度折曲して水平面15aと傾斜面15bを形成した取付板で、この取付板15の水平面15aに蛍光灯16が取付けられると共に、傾斜面15bに換気ファン17が取付けられる。そして、これら蛍光灯16及び排気ファン17と電源側との接続配線は、各々の接続端部に取付けられたコネクタ18により分離可能に接続される。
【0033】
このように一体化した蛍光灯16及び換気ファン17を取付けた取付板15を図5に示すように筐体1内の扉2側の上部に有する雨覆い部1aに対応する位置に蛍光灯16が下向きにして、また換気ファン17が斜め下方の高圧機器側に向くように取付けられる。この場合、蛍光灯16は扉2が閉じているときは消灯し、扉2を開くと点灯するように扉2の開閉に応じてオン、オフする図示しないスイッチを介して電灯側の回路に接続されている。また、換気ファン17は高圧受電機器が運転されているときは常時駆動される。
【0034】
なお、図5において、19は扉2側に配設されている高圧機器の周囲部を覆うように設けられた保護カバーである。
【0035】
このように本実施の形態では、断路器及び遮断器の使用が義務付けられない高圧受電回路を対象にして、気中負荷開閉器6、二次側が電灯用と動力用の異なる電圧の負荷に電力が出力可能な灯動一体形変圧器3、進相コンデンサ4の最小限必要な回路構成とし、且つ筐体1内に灯動一体形変圧器3を設置すると共に、筐体1内の上部に充電部を下方に向けて進相コンデンサ4を吊下げる如くして支持し、この進相コンデンサ4と隣合せにして気中負荷開閉器6を配設するようにしたので、気中負荷開閉器6と、灯動一体形変圧器3及び進相コンデンサ4との間の高圧の接続配線を集中させて接続することが可能となり、全体の回路並びに各機器の配置構成及び配線接続に要するスペースが従来のものに比べて大幅に縮小化し、街中のコンビニエンスストアーやファミリーレストランなどの限られた面積の敷地内に何ら制約を受けることなく設置することができる。
【0036】
即ち、従来では電灯用回路及び動力用回路にそれぞれ対応させて2台の変圧器が筐体の幅方向に並設されていたが、本実施の形態では筐体内に1台の灯動一体形変圧器3を設置しているので、筐体の幅方向の寸法を大幅に縮小することができる。
【0037】
また、従来では進相用コンデンサを変圧器の背部側に設置するか、変圧器の上面に設置していたが、本実施の形態では筐体1内の背面側の上部に充電部4aを下向きにして進相用コンデンサ4を吊下げる如く支持するようにしたので、筐体1の奥行き寸法や高さ方向の寸法を大幅に縮小することができる。因みに、従来の高圧受電装置は通常2000〜2300mm程度の高さであるが、本実施の形態では1800mm以下の高さにすることができる。
【0038】
さらに、進相用コンデンサ4の充電部4aを下向きにしたことで、気中負荷開閉器6の負荷側端子に接続される灯動一体形変圧器3の一次側(電源側)の充電部と進相用コンデンサ4の充電部4aとの間の高圧配線を集中させることができるので、高圧配線の占めるスペースに無駄がなくなり、コンパクト化に大きく寄与できる。
【0039】
一方、本実施の形態では、装置全体を小型化したことに伴って外部の高圧配電線に接続されて筐体1内に導入される入線10のスペースが限定されるため、筐体1の底部より入線10を筐体1の背面を這わせて立ち上げ、その適宜高さの二個所をホールド金具11により保持するようにしたので、狭いスペースであっても確実に入線10を保持することができる。しかも、この入線10と気中負荷開閉器6の電源側端子に接続されたケーブルとを各々の端部に取付けられた接続端子12,14により容易に接続することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態では、一枚の板材を適宜角度折曲して水平面15aと傾斜面15bを形成した取付板15の水平面15aに蛍光灯16を取付けると共に、傾斜面15bに換気ファン17を取付けてこれら蛍光灯16及び換気ファン17を一体化構造とし、これを筐体1内の扉2側の上部に有する雨覆い部1aに対応する位置の空きスペースに蛍光灯16が下向きにして、また換気ファン17が斜め下方の高圧機器側に向くように取付けるようにしたので、これら蛍光灯16及び換気ファン17の取付けスペースを最小限に抑えることができる。
【0041】
しかも、蛍光灯16や排気ファン17には寿命があり、定期的にメンテナンスや交換が必要となるが、これら蛍光灯16及び換気ファン17を一体化構造とし且つこれらの配線をコネクタ化して筐体1内の扉2側の上部に有する雨覆い部1aに対応する位置の空きスペースに取付けることで、メンテナンスや交換作業を容易に行うことができ、高圧部に触れることなく作業を行うことができるので、高圧部分を停電させることなく安全性を確保することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、高圧受電回路の構成を簡易化して設備機器を減少させ、且つ設備機器を合理的に配置するようにしたので、装置全体の小型化を図ることが可能となり、設置スペースや輸送に制約されることのない安価な高圧受電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高圧受電装置の実施の形態を示す回路構成図。
【図2】同実施の形態を示す設備機器の配置構成を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図。
【図3】同実施の形態における入線を筐体の背面に保持させた状態を示す背面図。
【図4】同実施の形態における排気ファンと蛍光灯を一体化した構成例を示す斜視図。
【図5】図4に示す一体化構造の排気ファン及び蛍光灯を筐体内の扉側の上部に取付けた状態を示す側面図。
【図6】従来の高圧受電装置の一例を示す回路構成図。
【図7】同装置における設備機器の配置構成を示す側面図。
【符号の説明】
1:筐体
2:扉
3:灯動一体形変圧器
3a:充電部
4:進相コンデンサ
4a:充電部
5:支持部材
6:気中負荷開閉器
7:取付部材
8:配線用遮断器
9:計器
10:入線
11:ホールド金具
12,14:接続端子
13:ケーブル
15:取付板
15a:水平面
15b:傾斜面
16:蛍光灯
17:排気ファン
18:コネクタ
19:保護カバー
Claims (2)
- 前面に扉を有する筐体と、この筐体の底部より筐体の背面に這わせて立上げられ配電系統から引き込まれた高圧配電線に接続される入線と、前記筐体内に設置され二次側が電灯用と動力用の異なる電圧の負荷に電力が出力可能な灯動一体形変圧器と、前記筐体内の背面側上部に充電部を下方に向けて支持された進相コンデンサと、前記筐体内の上部で前記進相コンデンサの前方に取付けられ一端が前記入線に接続されると共に、他端が前記進相コンデンサの充電部及び前記灯動一体形変圧器の一次側に接続された気中負荷開閉器と、前記筐体内の前記扉側上部に着脱自在に取付けられ一枚の板材を適宜角度折曲して水平面と傾斜面を形成した取付板と、この取付板の水平面に下向きにして取付けられ前記筐体内を照明する蛍光灯と、前記取付板の傾斜面に斜め下方の高圧機器側に向けて取付けられ前記筐体内の発熱機器から発生する熱を排気する排気ファンとを備えたことを特徴とする高圧受電装置。
- 請求項1記載の高圧受電装置において、前記蛍光灯は前記扉が閉じると消灯し、扉が開くと点灯するように扉の開閉に応じてオン、オフするスイッチを介して電灯側の回路に接続されたことを特徴とする高圧受電装置。
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