JP3649825B2 - ロール研削盤の数値制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール研削盤の数値制御装置係り、特に、速度対応型の移動前バックラッシュ補正機能を有するロール研削盤の数値制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、数値制御による工作機械は、被工作物を支持する主軸台と、被工作物を加工する工具を取り付けた工具台とが、軸送り機構により相対的に移動されることにより加工動作が実行される。このような工作機械には、各駆動モータの送り速度及び回転速度や工具の位置等を検出する検出器が設けられ、数値制御装置により各駆動モータの制御が行われる。
【0003】
ロール研削盤の数値制御装置においては、このような軸送り機構により軸送り量及び軸送り速度を指令する際、軸送り機構の機械的な損失・磨耗等による誤差があり、この誤差は、一般に、バックラッシュ、定常偏差、ロストモーション等と呼ばれる。このような誤差を補正する機能がバックラッシュ補正機能である。
【0004】
従来においては、バックラッシュ補正機能は、送り軸により工具等が軸送りされている際に、送り軸の進行方向が逆転するときに作用する。すなわち、ボールネジのがたつきや各要素の弾性変形等により、軸送りが停滞する量をバックラッシュ量とし、数値制御装置は、これを予め測定して装置内に設定することにより、軸送りの進行方向が逆転する毎にバックラッシュ量だけ余分に移動させるようにするものである。
【0005】
すなわち、従来技術においては、バックラッシュ補正は、最初に設定された補正値のみで、補正を行うようにしていた。また、バックラッシュ補正をかけるタイミングは、該当軸が反転移動を開始したときに同時に実行していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術においては、最初に設定された補正値のみによりバックラッシュ補正を実行していたので、ウオームラック等の移動速度などにより補正量が変化する機械に対しては、適切に対応することができなかった。
【0007】
また、該当軸が反転移動の開始と同時にバックラッシュ補正を開始していたので、ステップ式にバックラッシュ補正を実行するような場合は、軸移動の最初の部分で、補間形状がくずれてしまうことがあった。
【0008】
本発明においては、以上の点に鑑み、自動的にバックラッシュ補正量を算出し、かつ、移動前に補正を実行することにより、従来技術では対応できかった、移動速度等の条件変化によりバックラッシュ量が変化し、かつ、バックラッシュ量が比較的大きい機械に対しても、バックラッシュ補正を適切に実行することを目的とする。
【0009】
また、本発明においては、プログラム指令の移動ブロックの継ぎ目で、補正出力を実行し、補正出力終了後にプログラム指令の分配を開始することにより、当該移動ブロックでの補間形状のくずれを発生しないようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、一連の複数の加工指令を記憶した第1の記憶部と、軸移動速度を検出する検出部と、前記第1の記憶部に記憶された前記加工指令を順次読み込み、軸移動方向が反転する際に、前記検出部により検出された前記軸移動速度に基づき補正値計算関数により補正値を計算し更新する第1の制御部と、軸移動方向が反転する際に、前記第1の制御部により計算された前記補正値に従い補正駆動制御を実行し、前記補正駆動制御が実行された後に前記加工指令により駆動制御する第2の制御部とを備えたロール研削盤の数値制御装置を提供する。
【0011】
また本発明においては、軸移動速度を求める検出手段と、軸移動方向が反転する際に、前記検出手段により検出された軸移動速度に基づき補正値計算関数により補正値を算出して更新する補正手段と、軸移動方向が反転する際に、前記補正手段により更新された前記補正値に従い駆動制御し、前記駆動制御が実行されるまで次の軸移動指令の開始を遅らせる制御手段とを備え、前記補正値計算関数は、以下の式、
補正値a=K1 * lnF + K2
ここで、K1 、K2 : 機械のイナーシャ、補間形状によって決定する係数
F : 該当軸の現在の移動速度
ln : 対数関数
であることを特徴とするロール研削盤の数値制御装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に関連するロール研削盤を備えた数値制御工作装置の構成図を示す。
図1のロール研削盤を備えた数値制御工作装置は、数値制御部10、入出力部20及び工作部30を含む。
数値制御部10は、工作部30の制御を司るものであり、演算処理装置11、記憶装置12及びパルス分配回路13等を含む。記憶装置12には、各種指令プログラム、データ等が記憶される。演算処理装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラム及びデータ等に基づいて、パルス分配回路13に、駆動指令を送出する。パルス分配回路13は、工作部30の各ドライブユニットに駆動指令を送出し、駆動制御を行う。
【0013】
入出力部20は、入力装置21と表示装置22等を含む。入力装置21は、指令プログラム及びデータ等を入力するための装置である。表示装置22は、プログラムリスト、工作機械の工作状況又は異常警報等を表示するための装置である。
【0014】
工作部30は、例えばロール研削盤で構成される。工作部30は、ドライブユニット31a〜31c、検出回路32、モータ33a〜33d、主軸台側受台34、心押側受台35、スライドテーブル36、ガイド37、回転砥石38等を含む。
【0015】
ドライブユニット31a〜31cは、数値制御部10からの駆動指令を受信する。ドライブユニット31aにより、サーボモータであるモータ33aが駆動され、同様に、ドライブユニット31bにより、サーボモータであるモータ33bが駆動されることにより、スライドテーブル36をガイド37の方向(Z方向)及びその垂直方向(X方向又はY方向)に移動する。また、ドライブユニット31cにより、砥石回転モータであるモータ33dが駆動され、スライドテーブル36に設けられた回転砥石38を回転させる。一方、砥石回転モータ33dの回転数又は電流値等のデータは、検出回路32により検出されて、数値制御部10に伝送される。
【0016】
さらに、ドライブユニット31cにより、主軸回転モータであるモータ33cが駆動される。主軸台側受台34と心押側受台6の間には、被工作物39が設置されており、モータ33cにより回転される。
【0017】
このようにして、被工作物39は、回転砥石38により加工されることになる。
【0018】
ここでは、回転砥石38による加工の例を示したが、これに限らず、ドリル、タップ、切り出しビット等による加工に対しても、本発明を適用することができる。
【0019】
本発明の速度対応型移動前バックラッシュ補正機能処理の動作概要は、以下1)〜5)のようになる。すなわち、
1)該当軸の移動速度を検出する。
2)補正値計算関数を定義する。
3)該当軸の移動速度を補正値計算関数のパラメータとして入力し、移動速度に応じたバックラッシュ補正値を算出する。
4)求められたバックラッシュ補正値により以前のバックラッシュ補正値を変更する。
5)バックラッシュ補正の出力処理終了後、次の移動指令等が開始される。
以上のようにして、自動的に補正を行うものである。
【0020】
ここで、補正値計算関数は、概略以下のように示される。この関数の計算式は、経験により求められたものである。ここでは、補正量a(パルス)として表す。
a(パルス)=K1 * lnF + K2
ここで、K1 、K2 : 機械のイナーシャ、補間形状によって決定する係数
F : 該当軸の現在の移動速度
ln : 対数関数
なお、計算に使用する速度Fは、(プログラム指令値)*(オーバーライド)である。
【0021】
数値制御装置10では、加工プログラムを1ブロックずつ読み出して解析し、その指令に従って、駆動モータを制御する。そして、指令パルス数に応じて適宜の移動量が決定される。その際、1ブロックの移動を完了してから、次のブロックの移動を開始するまでの間を、「ブロックの継ぎ目」という。
【0022】
バックラッシュ補正量は、1ブロックの移動を完了してから、次のブロックの移動を開始するまでの間に、ソフトウェア処理で、後述するようなフローチャートにより適宜計算する。この際、計算に使用されるデータ、及び計算結果のデータは、RAM,ROM等から読み出し又は書き込みを行う。
【0023】
つぎに、図2に、本発明に係るロール研削盤の数値制御装置の構成図を示す。これは、図1における数値制御部に関連する構成を詳細に示したものである。
演算処理装置11は、メインCPU11a及びサーボCPU11bを含み、データリンカ11cを介して各種データ等を送受する。メインCPU11aは、加工プログラムの読み出し、プログラム解析、サーボ位置指令の計算、バックラッシュ補正の計算等を実行する。サーボCPU11bは、バックラッシュ補正を含むサーボブロック図に従った処理等を実行する。さらに、サーボCPU11bは、パルス分配回路13に駆動指令を送出するとともに、各検出回路から検出データが入力される。
【0024】
記憶装置12は、システムソフトを記憶したROM12a及び12b、加工プログラム、各種補正値等を記憶したRAM12c、バックラッシュ補正値及びステップ量等を記憶したRAM12d等を含む。ROM12a及びRAM12cは、メインCPU11aにより読み出し及び/又は書き込みが行われる。また、ROM12b及びRAM12dは、サーボCPU11bにより読み出し及び/又は書き込みが行われる。
【0025】
パルス分配回路13を介して伝送された駆動指令は、サーボドライバ等から構成されるドライブユニット31i及び31jに伝送され、モータ31i及び31jを駆動する。エンコーダ等を含む検出回路32i及び32jは、モータ31i及び31jの回転数、電流値等の所定のデータを検出し、メインCPU11a及びサーボCPU11bに伝送する。
【0026】
つぎに、加工プログラムによる自動運転処理の概要を説明する。
図3に、バックラッシュ補正機能処理のフローチャートを示す。これは、速度対応型で移動前にバックラッシュ補正を実行するものである。
【0027】
メインCPU11aは、ROM12aに記憶されたシステムソフトウェアに従って、プログラムが実行開始される。ここで、メインCPU11aは、メモリRAM12bから命令を1ブロック読み出すことにより、軸移動量、軸移動速度、軸移動方向等のブロック移動の指令データをメインCPU11aにロードして記憶するとともに、この前回のブロック移動が完了(S17)しているとする。そこで、メインCPU11aは、メモリRAM12bから次の命令を1ブロック読み出すことにより、軸移動量、軸移動速度、軸移動方向等の各種データをメインCPU11aにロードして記憶する(S01)。そして、前回のブロック移動と今回ロードしたブロック移動との移動方向の変化を解析する(S03)。ここで、移動方向に変化がない場合は(S03)、通常のように、サーボCPU11bにより速度分配処理を実行し(S13)、サーボ系への駆動指令を出力する(S15)。該当するドライブユニット31は、この駆動指令により適宜軸移動等を実行し、ブロック移動が完了すると、ステップS01に戻り、次のブロック移動処理を開始する。
【0028】
一方、ステップS03において、移動方向に変化がある場合(S03)、今回移動方向がマイナス方向か否か判断する(S05)。ここで、前回移動方向がプラスで今回移動方向がマイナスであれば、メインCPU11aは、前回移動速度からバックラッシュ補正値を計算し、データリンカ11cに出力する(S07)。さらに、サーボCPU11bは、計算されたバックラッシュ補正値をデータリンカ11cを介して受信して、RAM12dに記憶する(S07)。一方、今回移動方向がプラスの場合は、ステップS07によるバックラッシュ補正値の計算及び記憶処理は、スキップされる。つぎに、サーボCPU11bは、RAM12dに記憶されたバックラッシュ補正値により、後述するような構成等で補正指令を出力する。この補正指令に従い、パルス分配回路13を介して、ドライブユニット31i及び31jにより各モータ33i及び33jが駆動される。このような出力処理により、バックラッシュ補正が実行される(S11)。
【0029】
バックラッシュ補正のため出力処理が完了した後に(S11)、メインCPU11aは、ステップS01でロードした軸移動量、移動速度等をもとに、サンプリング毎の指令値をサーボCPU11bに送信する。一方、サーボCPU11bは、この指令値に基づいて速度分配処理を実行し、パルス分配回路13に駆動指令を出力する(S13)。パルス分配回路13では、この指令をもとに、サーボ系への駆動指令を出力し、各モータが駆動される(S15)。
【0030】
このようにして、1ブロック移動が完了すると(S17)、次の1ブロック移動データをロードするステップS01に戻り、プログラムが終了するまで処理を繰り返す。ブロックの継ぎ目では、ブロック移動方向に変化が有った場合、バックラッシュ補正が実行される。
【0031】
ここで、ステップS07において、1回のトータルバックラッシュ補正値aの詳細な計算式は、例えば、以下のようになる。
【0032】
次に、図4に、サーボ系の概略構成図の一例を示す。
入力された指令値は、減算器41により所定のバックラッシュ補正がなされ、速度制御部42に伝送される。速度制御部42は、モータ43を駆動し、ギア44を介して、ボールネジ45が回転される。一方、モータ43の回転数等はエンコーダ46を介して、ギアマルチ47で検出される。減算器48では、バックラッシュ補正値49と、ギアマルチ47の出力を減算することにより、実際のモータ43の駆動状況をフィードバックする。減算器41では、指令値から減算器48の出力を減算することにより、所定のバックラッシュ補正を行う。
【0033】
本発明のバックラッシュ補正は、図1におけるZ軸に対して有効なものを説明したが、これに限らず、適宜の軸に、また複数の軸に対しても応用することができる。さらに、テーパ形状が選択されている場合の自動、MDI又は手動トラバース運転での、「G00」モード、「G01」モード等の移動に対して有効である。
【0034】
また、上述の実施の形態では、移動方向がプラスからマイナスに変化した場合にバックラッシュ補正値を計算したが、マイナスからプラスに変化した場合にも適用することができる。
【0035】
また、本発明では、補正値出力は、各移動指令ブロックの継ぎ目で実行し、また、各軸の移動は、バックラッシュ補正を出力した後に実行するようにした。
このため、補間形状がくずれないようにした。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、自動的にバックラッシュ補正量を算出し、かつ、移動前に補正を実行することにより、従来は対応できかった、移動速度等の条件変化によりバックラッシュ量が変化し、かつ、バックラッシュ量が比較的大きい機械に対しても、バックラッシュ補正を適切に実行することができる。
【0037】
また、本発明においては、指令ブロックの継ぎ目で、補正出力を実行し、補正出力終了後にプログラム指令の分配を開始することにより、移動ブロックでの補間形状のくずれを発生しないようにすることができる。
【0038】
さらに、本発明によると、補正の手段として、逆行早送りと戻し補正による手段を用いないため、位置決め以外にも、カッタとワークが接触しているとき等にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連するロール研削盤を備えた数値制御工作装置の構成図。
【図2】本発明に係るロール研削盤の数値制御装置の構成図。
【図3】バックラッシュ補正機能処理のフローチャート。
【図4】サーボ系の概略構成図。
【符号の説明】
111 演算処理装置
11a メインCPU
11b サーボCPU
11c データ入力
12 記憶装置
13 パルス分配回路
Claims (7)
- 一連の複数の加工指令を記憶した第1の記憶部と、
軸移動速度を検出する検出部と、
前記第1の記憶部に記憶された前記加工指令を順次読み込み、軸移動方向が反転する際に、前記検出部により検出された前記軸移動速度に基づき補正値計算関数により補正値を計算し更新する第1の制御部と、
軸移動方向が反転する際に、前記第1の制御部により計算された前記補正値に従い補正駆動制御を実行し、前記補正駆動制御が実行された後に前記加工指令により駆動制御する第2の制御部とを備えたロール研削盤の数値制御装置。 - 前記第1の制御部は、前回の加工指令による移動指令と今回の加工指令による移動指令とで移動方向に変化が有る場合、前回の移動指令が実行された際の移動速度に基づき前記補正値計算関数に従い前記補正値を計算して前記第2の制御部に出力することを特徴とする請求項1に記載のロール研削盤の数値制御装置。
- 前記第2の制御部は、前記補正値を前記検出部により検出された前記軸移動速度により修正した値に基づいて補正指令を求め、前記補正指令に応じて軸移動制御を行うことを
を特徴とする請求項1又は2に記載のロール研削盤の数値制御装置。 - 前記補正値を記憶する第2の記憶部をさらに備え、
前記第2の制御部は前記第2の記憶部に記憶された前記補正値に基づいて補正指令を求め、前記補正値が変更されたとき新たな前記補正値を前記第2の記憶部に記憶すること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のロール研削盤の数値制御装置。 - 前記補正値関数により計算される前記補正値は、バックラッシュに応じた補正値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のロール研削盤の数値制御装置。
- 前記補正値計算関数は、以下の式であること
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のロール研削盤の数値制御装置。
補正値a=K1 * lnF + K2
ここで、K1 、K2 : 機械のイナーシャ、補間形状によって決定する係数
F : 該当軸の現在の移動速度
ln : 対数関数 - 軸移動速度を求める検出手段と、
軸移動方向が反転する際に、前記検出手段により検出された軸移動速度に基づき補正値計算関数により補正値を算出して更新する補正手段と、
軸移動方向が反転する際に、前記補正手段により更新された前記補正値に従い駆動制御し、前記駆動制御が実行されるまで次の軸移動指令の開始を遅らせる制御手段とを備え、
前記補正値計算関数は、以下の式、
補正値a=K1 * lnF + K2
ここで、K1 、K2 : 機械のイナーシャ、補間形状によって決定する係数
F : 該当軸の現在の移動速度
ln : 対数関数
であることを特徴とするロール研削盤の数値制御装置。
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JP27828596A JP3649825B2 (ja) | 1996-10-21 | 1996-10-21 | ロール研削盤の数値制御装置 |
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JPH10124123A JPH10124123A (ja) | 1998-05-15 |
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1996
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