JP3649592B2 - マルチピースソリッドゴルフボールの製造方法 - Google Patents

マルチピースソリッドゴルフボールの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2層以上の多層コアの偏心を著しく低減したマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ソリッドゴルフボールは、糸巻きゴルフボールでないゴルフボールであって、ゴム製の一体成形されたコアとそのコアを被覆するカバーとから成っている。最近、ゴルフボールの性能を向上するために種々の改良がなされているが、ソリッドゴルフボールのコアを2層以上の多層構造にする方法も提案されている。
【0003】
ゴルフボールの性能の点からみると、ソリッドゴルフボールのコアを多層構造にすることは優れた方法であるが、製造上の観点からは偏心を起こさずに同心円にゴム層を形成することは非常に難しい。多層コアの作製工程としては、次の3つの方法が既に提案されている。
(a)第(N+1)層を設けるときは、それよりも内側の部分(第N層)を別に加硫成形してから第(N+1)層の金型内の所定の位置に可動ホールドピンなどで固定し、第(N+1)層を形成する材料を射出成形機またはトランスファー成形機により射出するとともに適当なタイミングで前記ホールドピンを引き抜いて、そのまま加硫成形する方法、
(b)第(N+1)層を、半球状凹型と半球状凸型とを用いて半球殻状に半加硫し、または未加硫の状態でシュリンクしない程度に一定時間加熱し半球殻状に成形し、半球状凸型を除去後、半球殻状外層を半球状凹型につけたまま、別に加硫成形していた第N層をセットし、加硫プレス成形する方法、いわゆる中子方式、
(c)方法(b)において、外層を半球殻状にせずに未加硫シート状のまま用いる方法、
等が用いられていた。
【0004】
これらの方法は、例えば特開昭63-105774号公報(方法(a))、特開平2-228978号公報(方法(a))、特開平6-218077号公報(方法(a)、(b)および(c))等に開示されている。しかしながら、これらの方法においてはコアの第N層部分のずれを低減するために作業性を犠牲にしており、実際の多層構造を有するゴルフボールの製造に好適なものではなかった。
【0005】
例えば、前記方法(a)においては、射出成形機またはトランスファー成形機の金型内にて第N層を可動ホールドピンで保持し、次いで外層材料の注入とともに上記ピンの引き抜きを行うために金型の構造が非常に複雑となリコスト増を招き、注入時の圧力の限界により1回のプレスでの取り数が少なくなって大量生産には不向きであった。さらに可動ピンと金型のクリアランス調整および管理が煩雑で、狭ければ摺動不良、広ければゴムはみ出しなどの問題も生じていた。
【0006】
前記方法(b)では、(a)の欠点である1回のプレスでの取り数の少ないことや金型の問題は克服されてはいるものの、外層を一旦半球殻状に成形したときには、その半球殻状外層は外層成形用の半球状凹型に付着している必要があるにも拘わらず、半球状凸型の方に大部分付着し、半球状凹型の方に移す作業が必要で、やはり大量生産には採用できなかった。
【0007】
方法(c)では、(b)の半球殻状外層成形の仕込みをシート状に変更しただけで、同じ問題は残っている。このように従来の方法(a)〜(c)は大量生産に致命的な欠点を有していた。
【0008】
そこで偏心を少なくしながら、表面凹みや層間接着不良などを生じさせないで大量生産できる製造方法として、
(d)コアの半球殻状の第(N+1)層を未加硫状態のまま、最終的にコアを加硫成形する金型とは異なるキャビティ形状を有する予備成形用の金型内で、加硫状態の第N層を包んで予備成形する方法、
が提案されている。しかしながら、この予備成形方法では未加硫の状態での成形工程を含むため、−旦成形した後に、ゴムの残留応力によるシュリンクが生じ、2つの接着部分から剥離、いわゆる口開きが生じ、偏心や作業性の低下を招いていた。
【0009】
そこで上記のような従来の予備成形方法では、偏心を防止するため以下のような方法を採っていた。
(1)予備成形品に口開きが生じないように
(i)カバリング時のキャビティの動作を垂直とし接着面積に偏りを生じないようにする。
(ii)キャビティ開口部テーパー角に制限を設ける。
(iii)キャビティ底部およびその近傍の曲率を2段階とする。
(iv)使用する未加硫ゴムをあらかじめ熱入れして残留応力を除いておく。
あるいは
(2)内核が所定の位置に固定されるようにキャビティ内部に支持板を突設する。
【0010】
1−iの方法は、図2に示すように予備成形用の下金型に、例えば蝶番(11)を付けて二つ折れになるようにし、2つの第(N+1)層(9)の接着面積に偏りを生じないようにして予備成形品の口開きを防止しようとするものである。図4に示すように、従来の予備成形用金型のキャビティ形状(17)では、開口部テーパー角に制限を設け(1−ii)、キャビティ底部およびその近傍の曲率を2段階として(1−iii)、予備成形品の口開きを防止しようとするものである。1−ivの方法により、未加硫状態の第(N+1)層のゴムの残留応力によるシュリンクを抑制して、予備成形品の口開きを防止しようとするものである。2の方法は、支持板により物理的に第N層を固定して偏心を防止しようとするものである。しかしながら、上記のような方法を用いても、偏心について若干の改良は見られるものの、更に改善の余地があった。
【0011】
偏心の原因について詳細に調べたところ、予備成形品を加硫金型に投入しプレスを閉めたときに生じるゴム流れの不均一さであることがわかった。しかしながらこれを均一にするのは非常に困難である。
【0012】
そこでゴム流れそのものを減少させることが考えられる。しかしプレス加硫ではプレス締め切り時にゴムを流して金型と製品の間のエアを逃がして製品を金型に密着させなければならず、ゴム量を減少させるにも限界がある。本発明では、偏心と製品表面の欠陥の無いことの両方を満足するキャビティの体積について制限を設ける。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来のマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法の有する問題を解決し、特に(d)の予備成形方法において、2層以上の多層コアの偏心を著しく低減したマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、予備成形方法による多層コアの製造において、予備成形用金型と加硫金型のキャビティ体積を特定の割合に規定することにより、偏心を著しく低減した多層コアを製造することが可能であることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
即ち、本発明は、(a)コアの半球殻状の第(N+1)層を未加硫状態のまま、最終的に該コアを加硫成形する金型とは異なるキャビティ形状を有する予備成形用の金型内で、第N層を包んで予備成形する工程、および
(b)該予備成形品を加硫金型内で加硫してコアを作製する工程
を含む2以上のゴム組成物の層から成るコアと該コア上に形成されたカバーから成るマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法において、該予備成形用金型のキャビティの体積を、該加硫金型のキャビティ体積の95%〜102%とすることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法に関する。
【0016】
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法を、図1〜図4を用いて更に詳細に説明する。説明の簡略化のため、ここではコア内核(第N層)、および該コア内核上に形成されるコア外層(第(N+1)層)から成る2層コア(N=1)をカバーで被覆したスリーピースソリッドゴルフボールの製造方法について説明する。図1は、本発明のゴルフボールの1つの態様の概略断面図である。図2は、本発明のゴルフボールに用いるコア内核(第N層)成形用金型の1つの態様の概略断面図である。図3は、本発明のゴルフボールに用いるコアの予備成形工程を説明する経路図である。図4は、本発明のゴルフボールの製造方法に用いる予備成形用金型のキャビティ断面形状の1つの態様の概略図である。図1に示すように、本発明のゴルフボールは、コア内核(1)上にコア外層(2)を形成してなるコア(4)上に、カバー(3)を形成する。
【0017】
本発明のゴルフボールのコア内核(1)およびコア外層(2)は同様の材料から形成されるので、ここに一度に説明する。両者は共に、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、充填材等を含有するゴム組成物から成る。基材ゴムとしては、従来からソリッドゴルフボールに用いられている天然ゴムおよび/または合成ゴムが用いられ、特にシス-1,4-結合少なくとも40%以上、好ましくは80%以上を有するいわゆるハイシスポリブタジエンゴムが好ましい。上記ポリブタジエンゴムには、所望により、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等を配合してもよい。
【0018】
共架橋剤としては、α,β-不飽和カルボン酸の金属塩、特にアクリル酸またはメタクリル酸等のような炭素数3〜8のα,β-不飽和カルボン酸の、亜鉛、マグネシウム塩等の一価または二価の金属塩が挙げられるが、高い反発性を付与するアクリル酸亜鉛が好適である。配合量は、コア内核(1)では、基材ゴム100重量部に対して、10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部であり、コア外層(2)では10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部である。コア内核(1)において40重量部またはコア外層(2)において40重量部より多いと硬くなり過ぎて、打球感が悪くなる。コア内核(1)において10重量部またはコア外層(2)において10重量部より少ないと反発が悪くなり飛距離が低下する。
【0019】
有機過酸化物は、架橋剤または硬化剤として作用し、例えば例えばジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイドが挙げられ、ジクミルパーオキサイドが好適である。配合量は、基材ゴム100重量部に対して0.3〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部である。0.3重量部未満では軟らかくなり過ぎて反発が悪くなり飛距離が低下する。5重量部を越えると硬くなり過ぎ、打球感が悪くなる。
【0020】
充填材は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、例えば無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。配合量は、基材ゴム100重量部に対して5〜60重量部、好ましくは10〜30重量部である。5重量部未満ではコアの重量が軽くなり、その結果ボールの重量も軽くなり好ましくなく、60重量部を越えるとコアの重量が重くなり、その結果ボールの重量も重くなり過ぎる。
【0021】
更に本発明のゴルフボールのコア内核およびコア外層には、老化防止剤またはしゃく解剤、その他ソリッドゴルフボールのコアの製造に通常使用し得る成分を適宜配合してもよい。尚、老化防止剤は、基材ゴム100重量部に対して、0.2〜0.5重量部が好ましい。
【0022】
本発明のコア内核(1)は、前述のゴム組成物を通常用いられる混合機により混合し、ロール等の混練機を用いて混練する。続いて、上記混練物を通常の方法により、未加硫状態のプラグとして押出す。次いで、通常のソリッドゴルフボールのコアの製造方法と同様にして、上記未加硫プラグを、図2に示すような半球状キャビティーを有する上下の金型を用いて、140〜170℃で40〜15分間加硫プレスし、直径30〜38mmの球状のコア内核(1)を作製する。
【0023】
次に、コア外層(2)は、前述のコア内核(1)と同様のゴム組成物を混合し、混練し、未加硫プラグを作製して、図3に示すような、中子部分(6)を有する中子金型(7)と予備成形用金型(8)を用いて、室温〜80℃で、1キャビティ当たり0.1〜3tで2秒〜1分間プレスし、未加硫状態の半球殻状コア外層(9)を作製する。
【0024】
次いで、上記のコア内核(1)を上記コア外層(9)の中に投入し、上記予備成形用金型(8)を蝶番(11)により二つ折りにして、コア内核(1)を2つのコア外層(9)で挟み、型締めを行う。前述のように、予備成形用金型(8)をこのような構造にすることにより、2つのコア外層(9)の接着面積に偏りを生じないようにする。型締めした後、室温〜80℃で、1キャビティ当たり0.1〜3tで2秒〜1分間プレスし、エジェクタピン(12)を押し出し、2層構造のコアの予備成形品(13)が得られる。得られた予備成形品(13)のコア外層(9)部分は、未加硫状態である。
【0025】
上記予備成形品(13)を、従来からソリッドゴルフボールのコアの製造に用いられているコアプレスを用いて、半球状キャビティーを有する上下の金型内で140〜170℃で40〜15分間加硫プレスし、直径38〜40mmの球状のコア(4)を作製する。
【0026】
本発明のコアの予備成形用金型(8)のキャビティの体積は、加硫金型のキャビティ体積の95%〜102%、好ましくは96%〜101%である。本発明の予備成形用金型(8)のキャビティの体積が95%より小さいとボリューム不足でコア表面にベア(エアだまり)が発生し、102%より大きいとボリューム過多分のゴムがキャビティ外に流れる際に内核ずれを引き起こす。上記範囲内であれば、予備成形用金型(8)のキャビティの体積が、加硫金型のキャビティ体積を下回る、即ち100%より小さい場合でも、加硫時の熱でゴムが熱膨張しているため加硫成形品の表面にエアだまり等の欠陥は生じない。
【0027】
本発明の予備成形用金型のキャビティ形状を、図4を用いて更に詳細に説明する。図4に示すように、コア内核の形状(15)と加硫金型の形状(16)に対して、本発明のコアの予備成形用金型のキャビティ形状(18)は、従来の予備成形用金型のキャビティ形状(17)と同様に、金型の開口部にテーパー角をもたせ、キャビティ底部およびその近傍の曲率を2段階として、予備成形品の口開きを防止し、多層コアの偏心を低減する方法を用いるものである。更に、本発明のコアの予備成形用金型のキャビティ形状(18)では、従来の予備成形用金型のキャビティ形状(17)よりキャビティ体積を小さくしている。これにより、加硫成形時のゴム流れを減少させて、ゴム流れの不均一さを低減し、加硫成形品表面に欠陥を有することなく多層コアの偏心を低減することができる。
【0028】
3層コア(N=2)を作製する場合には、上記のように作製した2層コアをコア内核(第N層)として、コア外層(第(N+1)層)を上記と同様の方法により被覆して作製する。更に、4層以上のコアを作製する場合も、上記の方法を繰り返し行うことにより可能となる。
【0029】
上記のようにして得られた2層構造を有するコア(4)上には、カバー(3)を被覆する。本発明のカバーは、熱可塑性樹脂、特にα-オレフィンと炭素数3〜8個のα,β-不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボン酸の一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、またはその混合物が用いられる。上記アイオノマー樹脂中のα-オレフィンとしては、エチレン、プロピレンが好ましく、α,β-不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。更に、中和する金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、例えばNaイオン、Kイオン、Liイオン等;2価金属イオン、例えばZnイオン、Caイオン、Mgイオン等;3価金属イオン、例えばAlイオン、Ndイオン等;およびそれらの混合物が挙げられるが、Naイオン、Znイオン、Liイオン等が反発性、耐久性等からよく用いられる。アイオノマー樹脂の具体例としては、それだけに限定されないが、ハイミラン1557、1605、1652、1705、1706、1707、1855、1856(三井デュポンポリケミカル社製)、サーリンAD8511、サーリンAD8512(デュポン社製)、IOTEC 7010、8000(エクソン(Exxon)社製)等を例示することができる。
【0030】
また、本発明において、上記カバー用組成物には、主成分としての上記樹脂の他に必要に応じて、硫酸バリウム等の充填材や二酸化チタン等の着色剤や、その他の添加剤、例えば分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤並びに蛍光材料または蛍光増白剤等を、ゴルフボールカバーによる所望の特性が損なわれない範囲で含有していてもよいが、通常、着色剤の配合量は0.5〜4重量部が好ましい。
【0031】
本発明のカバー層は、ゴルフボールのカバーの形成に使用されている一般に公知の方法を用いて形成することができ、特に限定されるものではない。カバー用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、130〜170℃で1〜5分間加圧成形するか、または上記カバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法を用いてもよい。カバー形成方法の場合、作業性や製造効率から、射出成形する方法が好ましい。カバーの厚さは1〜4mm、好ましくは1.3〜2.7mmである。1mmより小さいとコアの反発力が活かされず、また繰り返し打撃した場合にカバー割れが起こり易くなる欠点を有し、4mmより大きいと打球感が悪くなる。更に、カバー成形時、必要に応じて、ディンプルと呼ばれるくぼみを多数表面上に形成する。本発明のゴルフボールは美観を高め、商品価値を上げるために、通常ペイント仕上げ、マーキングスタンプ等を施されて市場に投入される。
【0032】
本発明では、2層以上の多層コアの偏心を著しく低減したマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法を提供し得る。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例を挙げて更に具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。
【0034】
コア内核の作製
以下の表1に示した配合のゴム組成物を混合、混練して、金型内で加硫成形することにより、直径31.5mmの球状のコア内核を作製した。加硫条件は、152℃で20分間とした。
【0035】
コア外層の作製
上記コア内核と同様の表1に示した配合のゴム組成物を混合、混練し、押出機を通して、未加硫のプラグを作製した。図3に示すような中子部分(6)を有する中子金型(7)と予備成形用金型(8)を用いて、得られた未加硫プラグ(5)を25℃、1キャビティ当たり1tで0.5分間プレスして、未加硫状態の厚さ2〜4mmの半球殻状のコア外層(9)を作製した。次いで、上記のコア内核(10)を得られたコア外層(9)の中に投入し、予備成形用金型(8)を蝶番(11)により二つ折りにして、コア内核(10)を2つのコア外層(9)で挟み、型締めを行った。型締めした後、25℃、1キャビティ当たり2tで0.5分間プレスし、エジェクタピン(12)を押し出し、2層構造のコアの予備成形品(13)を得た。用いた予備成形用金型のキャビティ体積を測定し、その結果を表2および表3に示した。試験方法は、後記の通りとした。
【0036】
【表1】
Figure 0003649592
【0037】
コアの作製(実施例1〜6および比較例1〜4)
得られた予備成形品(13)を、従来からソリッドゴルフボールのコアの製造に用いられているコアプレスを用いて、半球状キャビティーを有する上下の加硫金型内で、152℃で20分間加硫プレスし、直径39.1mmの球状の2層構造のコア(4)を作製した。得られたコアのコア外層の比重、重量および体積を測定し、得られたコアの偏心を測定した。コア外層の比重は、コアをカットして比重計で測定し、重量と体積は、予め測定したコア内核分をコアから差し引くことにより決定した。コアの偏心は、コアをX、YおよびZ方向でカットし、各コア外層厚さを測定し、それぞれの偏りから三平方の定理で求めた。その結果を表2(実施例)および表3(比較例)に示した。更に、加硫金型のキャビティ体積を測定し、上記の予備成形金型との比を求め、その結果を同表に示した。コアの偏心および加硫金型のキャビティ体積の試験方法は以下の通りとした。
【0038】
(試験方法)
▲1▼キャビティ体積
予備成形金型および加硫金型のキャビティ体積は、比重1.2の硬化性液状シリコーンゴムを流し込んで硬化させてから取り外し、重量を測定し、重量/比重により求めた。
▲2▼偏心
コアの偏心は、コアをX、YおよびZ方向でカットし、各コア外層厚さを測定し、それぞれの偏りから三平方の定理で求めた。
【0039】
(試験結果)
【表2】
Figure 0003649592
【0040】
【表3】
Figure 0003649592
【0041】
以上の結果より、コア作製時の予備成形用金型のキャビティ体積が加硫金型のキャビティ体積の95%〜102%である本発明のゴルフボールのコア(実施例1〜6)は、比較例1〜4のコアに比較して、偏心が非常に小さく、また成形品表面に欠陥を有さない。これに対して、比較例1および2のコアは、予備成形用金型のキャビティ体積と加硫金型のキャビティ体積の比が大きいため、加硫成形時のゴム流れが多くて、コアの偏心が非常に大きかった。比較例3および4のコアは、予備成形用金型のキャビティ体積と加硫金型のキャビティ体積の比が小さいため、ゴム流れが不足し、ベアが生じ、成形品表面に欠陥を有した。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、多層コアの偏心を著しく低減したマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のゴルフボールの1つの態様の概略断面図である。
【図2】 本発明のゴルフボールに用いるコア内核(第N層)成形用金型の1つの態様の概略断面図である。
【図3】 本発明のゴルフボールに用いるコアの予備成形品の製造方法の1つの態様を説明する概略経路図である。
【図4】 本発明のゴルフボールの製造方法に用いる予備成形用金型のキャビティ形状の1つの態様の概略断面図である。
【符号の説明】
1 … コア内核
2 … コア外層
3 … カバー
4 … コア
5 … 未加硫プラグ
6 … 中子部分
7 … 中子金型
8 … 予備成形金型
9 … 半球殻状コア外層
10 … コア内核
11 … 蝶番
12 … エジェクタピン
13 … 予備成形品
14 … コアプレス
15 … コア内核の形状
16 … 加硫金型のキャビティ形状
17 … 従来の予備成形用金型のキャビティ形状
18 … 本発明の予備成形用金型のキャビティ形状

Claims (1)

  1. (a)コアの半球殻状の第(N+1)層を未加硫状態のまま、最終的に該コアを加硫成形する金型とは異なるキャビティ形状を有する予備成形用の金型内で、第N層を包んで予備成形する工程、および
    (b)該予備成形品を加硫金型内で加硫してコアを作製する工程
    を含む2以上のゴム組成物の層から成るコアと該コア上に形成されたカバーから成るマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法において、該予備成形用金型のキャビティの体積を、該加硫金型のキャビティ体積の95% 102 %で 100 %を除くことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法。
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