JP3648679B2 - 電気集塵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の浮遊粒子である塵埃を捕捉する電気集塵装置の集塵エレメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電気集塵装置の集塵エレメントは、電極間でコロナ放電を発生させて塵埃を帯電させるイオン化部と、このイオン化部によって帯電された塵埃をクーロン力によって集塵電極に付着させるコレクタ部とで構成されている。図4は、従来の集塵エレメントを示す全体構成図である。図において、1は空気流の上流側に配置される高圧側のワイヤ状の放電電極、2は空気流に沿って平行に配置され、放電電極1を挟み込むよう配置された平板状の対向電極であり、これら電極からイオン化部が構成されている。3は放電電極1に高電圧を供給するための給電部である。4は空気流の下流側に配置される平板状の集塵電極、5は集塵電極4の間に配置される平板状の高圧電極であり、これら電極からコレクタ部が構成されている。6は高圧電極5に高電圧を供給する給電部、7はイオン化部、コレクタ部を支持するケーシングである。給電部3、6には、直流の高電圧が印加される。
【0003】
上記構成において集塵能力を決定するクーロン力は、コレクタ部の電界強度とイオン化部の放電電流(塵埃の帯電量)により決まり、それぞれはまたコレクタ部の印加電圧とイオン化部の印加電圧に比例している。前者は高いとエッジ部から不快な音や光などを伴なったスパークが発生するため、低く抑えられている。また、後者は前者が低く設定されている分、塵埃の帯電量(コロナ放電)が増えるように、高く設定されている。
【0004】
このような理由から通常、イオン化部の印加電圧はコレクタ部の印加電圧より高くなっており、高電圧を倍電圧によって作りだす高電圧用トランスの回路構成上の都合により、イオン化部の印加電圧はコレクタ部の印加電圧の2倍に設定されている。したがって、イオン化部とコレクタ部の電位差もコレクタ部に印加された電圧と同程度であり、両者の間に不要な放電が起こらないように電気的にアイソレートする必要がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の電気集塵エレメントでは、イオン化部、コレクタ部に印加される電圧の電位差が大きく、イオン化部とコレクタ部を電気的にアイソレートする必要があり、別部材で構成するとともに、絶縁するための部材もしくは空間(絶縁距離)が必要であった。このため、エレメントの薄型化には限界があり、組立作業性も悪いという問題点を有していた。さらに、給電部が露出しているため、異極金属間で過剰な電流が流れてスパークを起こしやすく、これに伴って不快な音や光などが発生するという問題点も生じていた。
【0006】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、電気集塵エレメントの薄型化や組立作業の簡便化を実現させ、さらに、放電部以外の金属部分の露出をなくし、異極金属間でのスパークの発生を抑えたものである。
【0007】
また、塵埃の捕集性能を高く確保できるように、イオン化部、コレクタ部の直流電圧を供給する給電部の構造を工夫したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電気集塵装置は、放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、空気流に沿って該イオン化部より後方に配され、イオン化部によって帯電された塵埃を集塵する板状の高圧電極と板状の集塵電極を複数所定の間隔をおいて交互に配したコレクタ部とから構成され、
板状の給電部を対向させて配し、空気流に沿って平行に配された複数の半絶縁性樹脂からなる高圧電極と、これを支持する同じく半絶縁性樹脂からなる外枠とから構成した高圧電極ユニットの端部を給電部の平面部に当接させ、ここで電気的コンタクトが保たれるように形成するとともに、給電部の空気流に沿った上流側の端部に、放電電極を支持し、電気を供給するための突起部を所定の間隔を置いて複数配するように構成し、共通の給電部から放電電極及び高圧電極に電圧を供給したものである。
【0010】
また、複数の高圧電極と、高圧電極を所定の間隔を保った状態で保持する外枠とを半絶縁性樹脂で形成し、外枠によって給電部の一部もしくは全てを被覆するように構成したものである。
【0011】
さらに、対向する給電部の一方にのみ電圧を供給する給電端子を配設するように構成したものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1による電気集塵エレメントの基本構成を示す斜視図である。図において11はタングステン等の材質で出来たワイヤ線から成る放電電極であり、空気流と直交する方向に一定の間隔を置いて複数、設置されている。12は放電電極11とほぼ同じ長さの横幅を有す矩形状の板から成る対向電極で、各放電電極11を挟み込むように、空気流に沿って複数、設置されている。対向電極12の空気流に沿った長さは、放電電極11の位置を基準にして見ると上流側より下流側の方が長くなるように設定されている。長く設定されている下流側において、隣接する対向電極12の間には、それぞれ放電電極11とほぼ同じ長さの横幅を有す矩形状の板から成る高圧電極13と集塵電極14の対が、空気流に沿って複数、設置されている。
【0013】
15は、放電電極11及び高圧電極13と電気的コンタクトを保ち、これらに高電圧を供給する給電部である。給電部15は、ステンレス等の金属製板バネ材料を矩形状に加工したもので、上流側の端部には放電電極11を支持するための突起状の放電電極支持部15aが一定の間隔を置いて複数、設置されている。
【0014】
このような給電部15と同じ形状を有す第二の給電部15が、高圧電極13を挟んだ反対側に、第一の給電部15と対向するように配置されており、これにより対向する放電電極支持部15aからなる対が複数形成される。放電電極11はこれら対の各々によってその両端が支持され、放電電極支持部15aが板バネとして作用することにより一定の張力が与えられている。
【0015】
なお、対向電極12と集塵電極14は給電部15から電気的にアイソレートされている。
【0016】
また、図2は図1の基本構成を実現するためのユニット、パーツを示した分解斜視図である。図2において16は梯子状(以下、ラダー状と呼称する)に整列した複数の高圧電極13と、それを支持するための外枠から構成された高圧電極ユニットであり、これらは体積固有抵抗(Ωcm)が10の8乗から10の13乗までの範囲にある半絶縁性樹脂により一体に構成されている。
【0017】
集塵電極ユニット17は、複数の対向電極12と、対向電極12の間に配置された複数の集塵電極14と、これらを所定の位置関係に保つロッド17aとから構成されている。集塵電極ユニット17は、高圧電極ユニット16と組合わせることによって、対向電極12と集塵電極14が、高圧電極13からなる複数の間隙のそれぞれに過不足なく納まるように設定されている。また、対向電極12と集塵電極14とロッド17aは、例えばステンレス等の金属や導電性プラスチック、もしくはプラスチック部材に金属メッキを施したものから一体に構成されている。
【0018】
給電部15はラダー方向と直交する方向にある高圧電極ユニット16の端面に当接し、ここで電気的コンタクトがとられるように構成されている。また放電電極支持部15aの位置は、放電電極11が隣接する対向電極12の間隙の中間に位置するように設定されている。
【0019】
18は,図1では図示を省略した口の字形状に構成されたケーシングであり、高圧電極ユニット16と集塵電極ユニット17と給電部15を保持固定する。
【0020】
次に動作について説明する。
給電部15には、図示されていない直流高圧電源から数kVの電圧が印加されており、これと電気的コンタクトがとられている放電電極11と高圧電極13にも同じ電圧が印加される。この直流高電圧の印加により放電電極11と対向電極12の間には、コロナ放電が発生し、放電電極11と対向電極12の間を通過する空気中の塵埃にイオンシャワーを浴びせ、これを帯電させる。また高圧電極13と集塵電極14の間にも同じ直流高電圧が印加されており、これら電極の間隙には強い電界が生じている。このため帯電した塵埃が間隙を通過する時、クーロン力を受けて集塵電極14に衝突し、ここに捕捉される。
【0021】
以上のように本実施の形態によれば、給電部を共通化することにより、従来例で説明した両者の間をアイソレーションする絶縁部材、もしくは空間(絶縁距離)が不要になり、その分スペースを縮めることができ薄形化が達成される。また給電部の共通化とともに、絶縁部材が不要になったことにより部品点数が減り、構造が簡素化され、組立作業性が向上する。
【0022】
なお、本実施の形態1では対向電極12と集塵電極14を一体に構成したが、別々に構成しても良い。また、張力維持のために、コイルバネを放電電極11の端と放電電極支持部15aの間に用いても良い。
【0023】
実施形態2
図3は、本発明の実施の形態2による集塵エレメントの基本構成を示す斜視図である。実施の形態1と同一または同一相当部分には同じ符号を付けて表わし、説明を省略する。図において、給電部15の対向電極12と集塵電極14に面する位置は高圧電極ユニット19を構成する外枠によって被覆されている。
【0024】
これは、金属からなる給電部15が剥き出し状態にあると、対向電極12と集塵電極14に面する位置から不快な音や光などを伴なったスパークが発生するため、この剥き出し状態の部位を絶縁性材料などで被覆し、金属部分が露出しない構成とすることによって不具合を抑えようというものである。
前述のように高圧電極ユニット19の外枠は半絶縁性樹脂から形成されているので、外枠の形状を工夫して剥き出し状態の金属からなる給電部を被覆するようにすれば特別な絶縁材料を用いずにスパークの発生を抑えることが出来る。さらに、高圧電極ユニット19の外枠に給電部15が嵌め込まれるような凹型の窪みを設ければ、給電部15と高圧電極13の当接もより確実となり、高圧電極13への高電圧供給も確実となる。
【0025】
以上のように、イオン化部の放電電極11とコレクタ部の高圧電極13に同じ電圧を供給する給電部15を、半絶縁性樹脂からなる高圧電極ユニット19の外枠の形状を工夫し、被覆するように構成したので、電気集塵エレメントの薄型化や組立作業の簡便化が実現され、不快な音や光などを伴なったスパークの発生を抑えた安全性の高い集塵エレメントを得ることができる。
【0026】
なお、給電部3に直流高電圧を印加する給電端子は、対向する一対の給電部15のそれぞれに設ける必要はなく、いずれか一方に設ければよい。即ち、放電電極11と高圧電極13の給電部15は電気的に共通化しているので、一方の給電部15に設けた給電端子に直流高電圧を印加すると、放電電極11には同じ直流高電圧が印加される。給電部15は高圧電極13と接しているので、高圧電極13にも同じ直流高電圧が印加される。また給電端子を取付けていないもう一方の給電部15には、放電電極11を介して同じ直流高電圧が印加される。
【0027】
このようにして、全体の表面電位をたった一つの給電端子によって維持できる。したがって部品点数が減って、組立作業性の改善が図られる。また、高電圧が供給されている給電端子が減った分、スパークによる不快な音や光の発生も低減される。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0029】
板状の給電部を対向させて配し、空気流に沿って平行に配された複数の半絶縁性樹脂からなる高圧電極と、これを支持する同じく半絶縁性樹脂からなる外枠とから構成した高圧電極ユニットの端部を給電部の平面部に当接させ、ここで電気的コンタクトが保たれるように形成するとともに、給電部の空気流に沿った上流側の端部に、放電電極を支持し、電気を供給するための突起部を所定の間隔を置いて複数配するように構成し、共通の給電部から放電電極及び高圧電極に電圧を供給したので、電気集塵装置の薄型化と組立作業性の簡便化を図ることができる。
【0031】
複数の高圧電極と、高圧電極を所定の間隔を保った状態で保持する外枠とを半絶縁性樹脂で形成し、外枠によって給電部の一部もしくは全てを被覆するように構成したので、電気集塵装置の薄型化と組立作業性の簡便化を実現することができる。
【0032】
対向する給電部の一方にのみ電圧を供給する給電端子を配設したので、組立作業性の簡便化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1による電気集塵エレメントの基本構成を示す斜視図である。
【図2】 実施の形態1による電気集塵エレメントの分解斜視図である。
【図3】 実施の形態2による電気集塵エレメントの基本構成を示す斜視図である。
【図4】 従来の電気集塵エレメントの構成を示す全体構成図である。
【符号の説明】
1 放電電極
2 対向電極
3 給電部
4 集塵電極
5 高圧電極
6 給電部
7 ケーシング
11 放電電極
12 対向電極
13 高圧電極
14 集塵電極
15 給電部
15a 放電電極支持部
16 高圧電極ユニット
17 集塵電極ユニット
17a ロッド
18 ケーシング
19 高圧電極ユニット

Claims (3)

  1. 放電電極と対向電極との間でコロナ放電を生じさせて空気中の塵埃を帯電するイオン化部と、空気流に沿って該イオン化部より後方に配され、該イオン化部によって帯電された塵埃を集塵する高圧電極と集塵電極を複数所定の間隔をおいて交互に配したコレクタ部とから構成され、
    板状の前記給電部を対向させて配し、空気流に沿って平行に配された複数の半絶縁性樹脂からなる前記高圧電極と、これを支持する同じく半絶縁性樹脂からなる外枠とから構成された高圧電極ユニットの端部を前記給電部の平面部に当接させ、ここで電気的コンタクトが保たれるように形成するとともに、前記給電部の空気流に沿った上流側の端部に、前記放電電極を支持し、電気を供給するための突起部を所定の間隔を置いて複数配するように構成し、共通の前記給電部から前記放電電極及び前記高圧電極に電圧を供給したことを特徴とする電気集塵装置。
  2. 前記高圧電極を所定の間隔を保った状態で保持する外枠によって給電部の一部もしくは全てを被覆するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の電気集塵装置。
  3. 対向する前記給電部の一方にのみ電圧を供給する給電端子を配設したことを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の電気集塵装置。
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WO2022038957A1 (ja) * 2020-08-20 2022-02-24 富士電機株式会社 電気集塵機

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