JP3648330B2 - 化粧料の製造方法、及び口紅用組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はコレステロールエステル包接物、さらに詳しくはヒドロキシアルキル化シクロデキストリンにコレステロールエステルを包接させたコレステロール包接物およびこれと水よりなる抱水組成物とこれを配合した化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油と水を含有する乳化化粧料においては、乳化剤として各種界面活性剤が単独で、もしくは複数組み合わせて用いられてきた。
しかしながら、たとえばアルキル硫酸鉛、高級脂肪酸塩等のイオン性界面活性剤は、これを高濃度で用いた場合皮膚刺激の懸念があり、またポリオキシエチレン型の非イオン界面活性剤を用いた場合には、パラベン等の防腐剤を不活性化する等相溶性に問題があった。
【0003】
かかる問題を解決するため、乳化剤としてシクロデキストリン、あるいはその誘導体を用いる技術が開発されている。特開昭58−58139号公報には、シクロデキストリンを油溶性界面活性剤と併用し、特定の方法にて乳化する技術が開示されている。また、特開昭63−194726号公報にはメチル化β−シクロデキストリンを乳化補助剤として用いる技術が開示されている。
しかしながら、これらの技術では従来の界面活性剤を併用しているので皮膚刺激等の問題は完全には解決されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これらの問題を解決すべく、界面活性剤を全く用いていないで乳化化粧料を得た例としては特開平3−284611号公報等に記載されるものが挙げられる。すなわち、特開平3−284611号公報には、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンと、油と、水とを含有する乳化化粧料が記載されている。そしてこの乳化化粧料は、溶解性に富み、安定性、安全性にも優れたものである。
【0005】
しかしながら、潤い持続のための保水力は未だ不十分であり、さらなる改良が望まれる。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、安定性、安全性に優れ、しかも潤い持続のための保水力に優れ、さらに、乳化作用を有するコレステロール包接物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンにコレステロールエステルが包接されたコレステロールエステル包接物がシクロデキストリンの親水性とコレステロールエステルの親油性による優れた乳化剤として機能し得ることを見出し、しかも前記コレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物を化粧料等に配合すると安定性、安全性に優れ、さらに潤い持続のための保水力に富んでいるという優れた特性を有する化粧料が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0012】
すなわち、本発明の化粧料の製造方法は、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとコレステロールエステルと、水を攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする。また、本発明の化粧料の製造方法は、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンと、コレステロールエステルを攪拌混合してコレステロールエステル包接物を調製し、これと水とを攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする。
なお、前記化粧料の製造方法においては、前記抱水組成物を化粧料全量中の0.5〜20重量%配合することが好適である。
【0013】
また、本発明の口紅用組成物の製造方法は、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとコレステロールエステルと、水を攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする。また、本発明の口紅用組成物の製造方法は、ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンと、コレステロールエステルを攪拌混合してコレステロールエステル包接物を調製し、これと水とを攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする。
なお、前記口紅用組成物の製造方法において、前記抱水組成物を口紅用組成物全量中の1〜10重量%配合することが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の発明の実施形態をさらに詳細に説明する。
本発明に用いられるヒドロキシアルキル化シクロデキストリン(以下、HACDという)は、従来から環状オリゴ糖としてよく知られているシクロデキストリン(以下、CDという)の水酸基にヒドロキシアルキル基を導入したものである。すなわち、CDの水酸基に、疎水性であるヒドロキシアルキル基を導入し、疎水性を高めたものである。
【0015】
CDは、グルコース残基がα−1,4−結合により、環状に結合したオリゴ糖であり、グルコース残基6個からなるα−CD、7個からなるβ−CD、8個からなるγ−CDが一般に知られている。本発明においては、これらのCDのうち一種又は二種以上を選択して用いることができる。また、α、β、γの各CDを同時に含有する澱粉分解物の状態でも用いることが可能である。
【0016】
CDの水酸基と置換するヒドロキシアルキル基としては、主にヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が用いられる。これらと水酸基の置換反応を行うことにより、HACDを得ることができる。HACDとしては、ヒドロキシエチル化シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル化シクロデキストリン、ヒドロキシブチル化シクロデキストリン、ジヒドロキシプロピル化シクロデキストリン等を挙げることができる。
【0017】
本発明において好適な水酸基とヒドロキシアルキル基の置換度は一CDあたり1〜14である。
これらのHACDのうち、価格、製造のしやすさ、使用性、水溶解性を考慮した場合、ヒドロキシエチル化β−CD又はヒドロキシプロピル化β−CDが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0018】
HACDの製造方法としては、従来からいくつかの方法が知られているが、以下に一例を示す。
すなわち、β−CD(日本食品化工製、商品名:セルデックスN)100gを20%NaOH水溶液150mlに溶解し、30℃に保持しつつ酸化プロピレン50mlを徐々に滴下し、20時間撹拌し反応を続ける。反応終了後、塩酸でpH6.0に中和し、透析膜チューブ中に入れ、流水下24時間脱塩を行う。その後、凍結乾燥機で乾燥を行って、ヒドロキシプロピル化β−CD約90gが得られた。このヒドロキシプロピル化β−CDの一CDあたりの置換度は5.1であった。
【0019】
本発明においてコレステロールエステルとしては、コレステロールと高級脂肪酸のエステルを用いる。本発明に用いられる高級脂肪酸としては炭素数12〜24の直鎖又は分岐の脂肪酸を用いることができ、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、マカデミアナッツ油脂肪酸等が挙げられる。本発明においてはこれらの高級脂肪酸のうちの一種又は二種以上が選択して用いられる。本発明に用いるコレステロールとエステル結合を構成する高級脂肪酸としては、特にステアリン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、マカデミアナッツ油脂肪酸であることが好ましい。
【0020】
本発明に用いるコレステロールエステルとしては、特にコレステロールステアレート、コレステロールオリエート、コレステロールパルミトレート、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルであることが好ましい。
本発明におけるコレステロールエステル包接物は、HACDとコレステロールエステルを撹拌混合することにより形成される。
【0021】
本発明のコレステロールエステル包接物と水もしくはヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとコレステロールエステルと水とを撹拌混合すると本発明の抱水組成物を得ることが可能である。該抱水組成物は、コレステロールエステル包接物がミセル構造を形成し、水分を保持するというものである。
【0022】
図1には、本発明者らがHACDとしてHP−β−CD、コレステロールエステルとしてマカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルを用い、保水実験を行った結果の相図を示す。該相図中の1および2では二層に分離し、良好なコレステロールエステル包接物を得ることができない。一方、3〜6では組成物はクリーム状となり、安定な抱水組成物となる。従って、本発明の抱水組成物としては、HP−β−CDとマカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルの量比が図1の斜線で示す範囲内に存することが好ましい。
【0023】
なお、本発明の抱水組成物には、本発明のコレステロールエステル包接物の働きを妨げない範囲で、上記必須成分の他、例えば、スクワラン等の粘度調整剤、グリセリン等の保湿剤、防腐剤等を配合することが可能である。
【0024】
また、本発明の抱水組成物を化粧料および口紅用組成物に配合することにより、安定性、安全性に富み、保水力の優れた化粧料および口紅用組成物を得ることが可能である。なお、該コレステロールエステル包接物による乳化型は油中水型であることが好ましく、特に油中水型化粧料及び油中水型口紅用組成物として用いることが好ましい。
【0025】
本発明のコレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物は、該包接物の効果を十分発揮できる程度に配合することが必要であり、該抱水組成物の好適な配合量は、化粧料においては化粧料全量中0.5〜20重量%であり、口紅用組成物においては組成物全量中1〜10重量%である。
本発明の抱水組成物を配合した化粧料および口紅用組成物は、本発明のコレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物を配合する他は常法にしたがって製造される。
【0026】
また、本発明の化粧料は、HACDとコレステロールエステルと水とを含有する化粧料である。この化粧料は、HACDとコレステロールエステルと水を含むことにより、使用性の向上を図ることが可能である。
【0027】
本発明の化粧料においては、HACDを化粧料全量中5〜30重量%、より好ましくは、5〜20重量%配合する。5重量%以下では、コレステロールエステルの包接が不十分であり、十分な保水性を発揮できない。一方、30重量%以上では、コレステロールエステルによる水分放出のコントロールが満足に行えない。さらに、本発明の化粧料においては、コレステロールエステルを化粧料全量中5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%配合する。5重量%以下では、十分なコレステロールエステルの効果を引き出すことができないし、一方、80重量%以上では、十分な保水性を担保できない。また、水の配合量は、5〜60重量%であることが好ましい。
【0028】
本発明の化粧料においては、上記必須成分の他、各種油分を配合することができる。本発明の化粧料又は口紅用組成物に用いられる油としては、たとえばマカデミアナッツ油、月見草油、ヒマシ油、オリーブ油、ミンク油、ホホバ油、ラノリン、スクワレン等の天然動物油脂類、流動パラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、スクワラン等の炭化水素類、鯨ロウ、密ロウ、キャンデリラワックス、カルナウバロウ等のワックス類、セタノール、イソセタノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸等の高級脂肪酸類、イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルイソステアリン酸、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメチロールプロパントリイソステアリル、イソステアリルン酸グリセロール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2エチルヘキサン酸グリセロール等のエステル類、その他ジエチレングリールモノプロピレンペンタエリスリトールエーテル、リノール酸エチル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル等の極性オイルやシリコーン油等が挙げられる。
【0029】
本発明の化粧料および口紅用組成物には、本発明のコレステロールエステル包接物の効果を損なわない範囲で、さらに各種任意の化粧料成分を配合することができる。例えば、D−マンニット、乳糖などの可溶性粉末基材、グリセリン、ヒアルロン酸等の保湿剤、ビタミンC、ビタミンE等の薬剤、消炎剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、粘度調整剤、色素類、生薬類、香料成分等が挙げられる。
【0030】
本発明の化粧料および口紅用組成物は、種々の用途に合わせた形状、例えば、クリーム状、乳液状、液状、固形状、スティック状、ペンシル状等の形状とすることができる。
【0031】
本発明のコレステロールエステル包接物は、該包接物自体が保水剤として作用する。すなわち、CDは親水性であり、一方、コレステロールエステルは親油性であるため、前記コレステロールエステル包接物を配合した抱水組成物では、該包接物がミセル構造を形成し、図2に示すように水相成分を前記コレステロールエステル包接物の親水側であるCD端により取り囲むことで安定に水分を保持していると思われる。
【0032】
そして、前記抱水組成物を化粧料又は口紅用組成物中に配合することにより、前記コレステロールエステル包接物のコレステロールエステル端は親油性であるので、油中水型の化粧料又は口紅用組成物中で安定に水分を保持するものと思われる。従って、本発明の抱水組成物は、乳化剤としても機能する。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は特に示さない限り重量%で示す。
【0034】
まず、本発明者らは本発明にかかるコレステロールエステル包接物の物性について検討した。すなわち、下記の処方によりヒドロキシプロピル化CD(以下、HP−β−CDという)にマカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルを包接させたコレステロール包接物と水よりなる抱水組成物を調製し、該組成物をプレパラート上に取り、顕微鏡により観察した。
顕微鏡観察により得た写真を図3、結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
上記結果より明らかなように、実施例1では、粘弾性があり、乳化粒子も小さく、球形に近い形をしている。一方、比較例1では、組成物自体パサツキが感じられ、乳化粒子も粒形がいびつで粒径も大きい。
さらに、実施例1および比較例1の組成物を24時間放置した後の、顕微鏡写真を図4に示す。
【0037】
上記結果より明らかなように、比較例1では、乳化粒子の粒径がかなり大きくなり、乳化が安定に行われているとは言えない。一方、実施例1では、乳化粒子の粒径がかなり小さく、かつ球形の状態を保持して折り、乳化が安定に行われていると言える。
さらに、本発明者らは、実施例1と比較例1において、下記の条件によりDSC測定を行った。
【0038】
【0039】
DSC測定の結果を図5に示す。
実施例1と比較例1の結果を比較すると、水分の蒸発温度に著しい差のあることがわかる。すなわち、HP−β−CDを抜去したサンプル(比較例1)では65〜90℃において水分の蒸発ピークが観察されるが、HP−β−CDにマカデミアナッツ油脂肪酸コレステリルを包接させたサンプル(実施例1)は65〜110℃の広範囲において、さらには126℃において顕著な水分蒸発のピークが観察され、本発明が(実施例1)は高い水分保持力を有することが示唆される。
【0040】
したがって、本発明のコレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物は、保水性に優れ、しかも安定に乳化を図ることが可能であることが示唆された。
【0041】
次に、本発明者らはHACDの配合の効果について検討を行った。なお、HE−β−CDは、ヒドロキシエチル化β−CD、HB−β−CDは、ヒドロキシブチル化β−CDを表す。また、本検討では配合量を重量部で示す。
なお、乳化安定性の評価は、下記の基準にしたがった。
[乳化安定性]
○:60℃で8時間保持した後でも水相と油相の分離が見られない
△:60℃で1時間保持した後に水相と乳化相の分離が一部に見られる
×:60℃で1時間経過後に水相と油相若しくは乳化相に分離が見られる
【0042】
【表2】
【0043】
上記結果より明らかなように、HACDを全く配合しない比較例2では、25℃においては、乳化粒子が形成されるが、60℃での乳化安定性が悪く、乳化粒子が形成されず、水相と油相の分離が見られる。一方、HACDを配合した実施例2〜4は、いずれも60℃での乳化安定性がよく、しかも微細な乳化粒子を有し、25℃における形態は粘弾性があった。特にHE−β−CDと、HP−β−CDを配合した実施例2及び3は、乳化粒子の粒径がさらに小さく、HACDとして、これらを用いることが好適である。
したがって、本発明の抱水組成物には、HACDを配合することが好適であり、特に、HE−β−CD及び、HP−β−CDを用いることが最適である。
【0044】
次に、本発明者らは、本発明のHACDとコレステロールエステルと水を配合した口紅(実施例5)と、本発明のコレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物を配合した口紅(実施例6)と、これらと同一の組成でHP−β−CDおよび水を含有しない口紅(比較例3)とを用い、角質の水分量の変化を比較した。
これらの測定条件を以下に示す。
【0045】
〔角質水分量の測定〕
恒温恒湿室(22℃、45%)にて唇の水分を軽くティッシュペーパーで拭き取った後、口紅塗布前の唇のコンダクタンス(condactance)を測定する。その後、口紅を塗布し、2時間経過後、塗布した口紅をティッシュペーパーで拭き取り、口紅塗布後の唇のコンダクタンスを測定する。口紅塗布前に対する塗布後のコンダクタンス比を求める。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例5、6および比較例3により得られた口紅を用いた場合の角質水分量の測定結果を図6に示す。
図より明らかなように、実施例5では比較例3と比べてわずかではあるがコンダクタンス比が大きく、より水分が保持されていることが示唆される。また、実施例6ではコンダクタンス比が比較例3に対して2倍以上となっており、十分な水分が保持されている。
【0048】
また、上記処方の口紅を用いてパネルによる使用性の評価を行ったところ、比較例3に比べて、実施例5では潤い感があり、伸びおよびなじみがよく、べたつきが少ないという特徴を示した。
【0049】
従って、HACDとコレステロールエステルと水を口紅に配合した場合(実施例5)では、保水性がわずかに改善され、しかも使用性の優れた口紅を得ることができ、さら、口紅基剤と混合する前に、HACDとコレステロールエステルと水により、コレステロールエステル包接物を含有する抱水組成物を製造し、該抱水組成物を口紅に配合した場合には、水分保持力が2倍以上となり、しかも使用性に優れた口紅を得ることが可能である。従って、本発明によれば塗布面の潤いが持続することが示唆される。
【0050】
さらに前記実施例6と比較例3および実施例6と同処方で本発明の抱水組成物に代えて従来の乳化ベースを用いた口紅(比較例4)により、水分透過量を測定し、潤い効果について評価を行った。
水分透過量の測定は、各処方により製造された口紅を濾紙に塗布し、水分量の変化を測定することにより行った。結果を図7に示す。
【0051】
比較例3では、水分をあまり含まないので閉塞性が高く、水分透過量は少なかった。そこで、実施例6と比較例4において比較を行うと、実施例6の水分透過量が比較例4より少ないことが示された。従って、本発明の抱水組成物が保水性に富み、しかも従来品と比較して安定であることが示唆される。
【0052】
さらに、本発明のより具体的な配合例を示す。なお、各配合例とも角質水分量のコンダクタンス比は大きく、保水性に優れ、また皮膚への刺激の懸念がなく、保存安定性に優れている。
【0053】
【0051】
(製法)
60℃のコレステロールエステルにHP−β−CDを精製水0.1重量部に溶融させたものを添加し、デスパーにて10分間撹拌し、次に残りの精製水0.4重量部を入れてホモミキサーにて10分間撹拌し、抱水組成物を製造する。この抱水組成物を水相部に添加後、油相部を入れ、ホモミキサーにて10分間撹拌し、美容液を得る。
【0054】
【0055】
(製法)
60℃のコレステロールエステルにHP−β−CDを精製水0.5%に溶融させたものを添加し、デスパーにて10分間撹拌し、次に残りの精製水1.5%とグリセリンを入れてホモミキサーにて10分間撹拌し、抱水組成物を製造する。口紅基剤を80℃にて溶融し、そこへ抱水組成物を添加する。デスパーにて10分間撹拌後色材、香料、防腐剤を入れ分散撹拌後、成型する。
【0056】
(製法)
配合例2と同様にして口紅を得る。
【0057】
(製法)
配合例2と同様にして口紅を得る。
【0058】
(製法)
配合例2と同様にして口紅を得る。
【0059】
(製法)
配合例2と同様にして口紅を得る。
【0060】
【発明の効果】
本発明のコレステロールエステル包接物は、CD端が親水性、コレステロールエステル端が親油性を示すので、これ自体乳化作用を有し、該コレステロールエステル包接物と水よりなる抱水組成物を化粧料および口紅用組成物中に配合すると、高い水分保持力を示し、潤い持続性に優れ、保湿効果が高く、一方で従来の用に界面活性剤を用いることなく良好な乳化安定性が得られ、かつ皮膚刺激の懸念がないという特性を有する化粧料および口紅用組成物を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HACDとコレステロールエステルと水の配合量比を示す相図である。
【図2】本発明のコレステロールエステル包接物による保水作用の概念図である。
【図3】実施例1および比較例1の抱水性を示す顕微鏡写真である。
【図4】実施例1および比較例1を24時間放置した後の抱水性を示す顕微鏡写真である。
【図5】実施例1と比較例1のDSC測定のスペクトルである。
【図6】実施例5および実施例6と比較例3の角質水分量の比較図である。
【図7】実施例6と比較例3および比較例4の水分透過量の比較図である。
Claims (6)
- ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとコレステロールエステルと、水を攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする化粧料の製造方法。
- ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンと、コレステロールエステルを攪拌混合してコレステロールエステル包接物を調製し、これと水とを攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする化粧料の製造方法。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の化粧料の製造方法において、抱水組成物を化粧料全量中の0.5〜20重量%配合することを特徴とする化粧料の製造方法。
- ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンとコレステロールエステルと、水を攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする口紅用組成物の製造方法。
- ヒドロキシアルキル化シクロデキストリンと、コレステロールエステルを攪拌混合してコレステロールエステル包接物を調製し、これと水とを攪拌混合することにより抱水組成物を調製し、これを他の成分と攪拌混合することにより得ることを特徴とする口紅用組成物の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の口紅用組成物の製造方法において、抱水組成物を口紅用組成物全量中の1〜10重量%配合することを特徴とする口紅用組成物の製造方法。
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