JP3647807B2 - スライドバルブの面圧負荷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般造塊および連続鋳造設備において用いられる取鍋用およびタンディッシュ用スライドバルブの面圧負荷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造設備においては、取鍋またはタンディッシュ、あるいはその双方の底部にスライドバルブが設けられ、このスライドバルブを開閉することによりその下部に接続されるノズルを通じてタンディッシュおよび/またはモールド(鋳型)への溶融金属の流出を制御するようになされている。
【0003】
上記スライドバルブは、図4、図5に2層式のスライドバルブ1の場合を例示するように、取鍋2の底部2aの下面に固設されたハウジング3と、このハウジング3にその長手方向一側においてヒンジにより開閉可能に枢支されたクランプ4と、このクランプ4内に移動可能に収納されプレート駆動手段である油圧シリンダ5のピストンロッド5aに連結されたスライドケース6とを備えており、前記ハウジング3にボトムプレート煉瓦7が、前記スライドケース6にスライドプレート煉瓦8がそれぞれ組み込まれ、前記油圧シリンダ5の作動によりスライドケース6を摺動させて各プレート煉瓦7,8に開口されているノズル孔7a,8aの開度を変化させて溶融金属の流出を制御するように構成されている。
【0004】
なお上記図において、符号9は取鍋2の底部2aのノズル受け煉瓦10に下方から挿着され前記ボトムプレート煉瓦7の上面で支持される上ノズル、11はスライドプレート煉瓦8の下部に位置して該スライドプレート煉瓦8と共に移動する下ノズルを示し、その下部に図示しないロングノズル等が接合される。
【0005】
前記プレート煉瓦7,8の組み込み時には、前記クランプ4を解放するトグル機構12のバール13を回動操作して各プレート煉瓦7,8間の面圧を解除し、次いでクランプ4を下方へ開動させて開放させたのち使用済みのプレート煉瓦およびノズルを除去し、新たな各プレート煉瓦7,8等を組み込み、その後トグル機構12のバール13を締め付け方向へ回動操作してクランプ4を閉止し、セットする。
【0006】
このときクランプ4は面圧負荷用の圧縮バネ14を介して締着され、各プレート煉瓦7,8の摺接面間に所定の面圧が負荷されて溶融金属の漏出がないように組み込まれる。
【0007】
しかしながら上記従来の構造によると、スライドバルブ1が大型である場合、前記面圧の負荷力を大きく(約7t〜10t)必要とし、そのためトグル方式では1人の作業者ではバール13を回しきれず、2人掛りの作業が強いられる。
【0008】
またトグル機構12による場合、各プレート煉瓦7,8の組み込みの都度面圧負荷用の圧縮バネ14をその自由長から予め数mm縮めた予負荷長さから面圧負荷時のセット長まで圧縮させる必要があるためバール13の回動角を大きく必要とし、容易な作業ではない。
【0009】
そこで各プレート煉瓦7,8間の面圧負荷手段として、スライドケース6を押し引きするプレート駆動手段である油圧シリンダ5を利用し、この油圧シリンダ5の作動により前記圧縮バネ14を撓ませるようにして面圧を負荷するようにしたもの(例えば特許第3066710号)が提案されている。
【0010】
上記特許の公報に記載のものは、油圧シリンダの作動をスライドケースに伝達する手段として、平面視門形状をなす面圧リンクをカバーに枢支して上下方向に回動自在に設け、面圧負荷時には油圧シリンダを作動させてスライドケースの位置を調整したうえ面圧リンクを面圧負荷位置へ回動させ、しかるのち油圧シリンダをそのピストンロッドが進出する方向へ作動させて面圧バーをバネケースのリンク内に挿入し、バネケースを下降させる。
【0011】
これにより圧縮バネにより面圧バーをカバー共々上方へ引き上げさせ、次いで油圧シリンダのピストンロッドを引き込んで面圧リンクを使用位置へ戻し、面圧負荷状態にするようになされている。面圧解除時には上記の逆の手順で行なう。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに上記従来の技術では、プレート駆動手段である油圧シリンダを利用して面圧負荷および解除を行なわせることはできるが、そのための操作手順が前述のように著しく煩雑となる構成であり、熱間作業ともなれば作業に手間どって迅速な面圧負荷および解除操作が難しいという問題点があった。
【0013】
また構造上においても可動部品を多く必要としており、そのためメンテナンスも容易でなく、装置自体も高価になるなどの問題がある。
【0014】
本発明は、プレート煉瓦の面圧負荷および解除のための操作の簡易化を図るとともに構造の簡素化を図ることのできるスライドバルブの面圧負荷装置を提供することを課題としてなされたものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する手段として本発明は、溶融金属容器の底部下面に固設されたハウジングと、このハウジングに開閉可能に支持されたクランプと、このクランプの内部に移動可能に収納されプレート駆動手段に連結されたスライドケースとを備え、前記ハウジングおよびクランプにそれぞれプレート煉瓦を組み込み、そのうちの1枚を前記プレート駆動手段により摺動させて各プレート煉瓦に開口されたノズル孔の開度を変化させて溶融金属の流出を制御するスライドバルブにおいて、圧縮バネを内装し前記ハウジングの両側部に前記スライドケースの摺動方向と平行する方向に配設されたバネホルダと、このバネホルダに揺動自在に支持された所要数の面圧負荷用フックと、前記クランプの側部に突設され前記面圧負荷用フックが係合し得る突部と、前記ハウジングとクランプとの間に位置し前記面圧負荷用フックに該フックの揺動を許容するよう連結された面圧制御バーとを具有し、この面圧制御バーを前記プレート駆動手段に連結して進退させることにより前記面圧負荷用フックを前記突部に係脱自在に構成し、前記面圧負荷用フックを前記突部に係合したとき前記プレート煉瓦間に所定の面圧が負荷されるようにしたことを特徴とする。
【0016】
こうしたことにより、面圧制御バーとプレート駆動手段とを連結または連結を解除させるだけの操作でプレート間の面圧負荷またはその解除を行なわせることができるので、この連結を連結用ピンの挿入によって行なうことが可能となり、連結およびその解除を至って簡単かつ迅速に行なえる構成となる。
【0017】
またプレート駆動手段により作動される面圧制御バーの動きが面圧負荷用フックにダイレクトに伝達されるので、作動を確実に行なわせることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照し、図4、図5と共通の部材にはこれと同一符号を用いて説明する。
【0019】
図1は本発明によるスライドバルブの面圧負荷装置の一実施形態の側面図を示し、図2は図1のA矢視図を、図3は図1のB−B相当の断面図を示している。
【0020】
取鍋等の溶解金属容器の底部下面に固着されボトムプレート煉瓦7を嵌合支持するハウジング20の長手方向両側に通常のようにバネ受け部21,21が張り出して設けられ、このバネ受け部21,21の上方位置に断面下向きコ字状を有するバネホルダ22,22が配設されており、このバネホルダ22,22内と前記バネ受け部21,21との間には複数の面圧負荷用の圧縮バネ23が介装されている。
【0021】
このバネホルダ22,22に関連する面圧負荷機構は左右とも同じ構成を有するので片側のみについて説明する。
【0022】
前記バネホルダ22の長手方向両端近くには面圧負荷用フック24,24の上端が該バネホルダ22の長手方向に対し直交する枢軸25により揺動自在に支持され、スライドケース26を内蔵するクランプ27の側部には前記面圧負荷用フック24のフック部24aが係合し得るローラまたはピン状の突部28,28が水平方向に突設されている。
【0023】
前記ハウジング20とクランプ27との間には面圧制御バー30が進退移動自在に配設され、この面圧制御バー30の側部に突設されたピン29,29が前記面圧負荷用フック24,24の前記枢軸25,25の直下位置に上下方向に長く穿設された長孔31,31に遊嵌されていて、前記面圧制御バー30の矢印イで示す前進移動(面圧解除方向)により面圧負荷用フック24,24のフック部24aが突部28,28から外れ、面圧制御バー30の矢印ロで示す後進移動(面圧負荷方向)により面圧負荷用フック24,24のフック部24aが突部28,28に係合してクランプ27を拘束するようになっている。
【0024】
面圧負荷または面圧解除を行わせるため前記面圧制御バー30を進退させる動作は、スライドバルブのスライドケース26をスライドさせて溶融金属の流出を制御するプレート駆動手段によって行われる。このプレート駆動手段としては一般に油圧シリンダ32が用いられるので、これを用いる場合を実施形態として示しているが、他の進退駆動手段であってもよい。
【0025】
すなわち前記面圧制御バー30の外端近くに該面圧制御バー30のスライド方向に長い長孔33が形成されており、前記油圧シリンダ32のピストンロッド32aと共に移動するガイドピース34に連結部材35が固着されていて、この連結部材35のピン孔36と前記長孔33とに跨がって連結用ピン37を挿通することによりピストンロッド32aの動きを面圧制御バー30に伝達するようになっている。なお符号38,39は面圧制御バー30をロックしておく際に前記連結用ピン37を挿入するためのロック孔であり、また図3において符号40はハウジング20の一側にクランプ27の一側を枢支してクランプを開閉可能とする軸を示す。
【0026】
したがって前記連結部材35と面圧制御バー30とに跨って連結用ピン37を挿通して油圧シリンダ32を作動させたとき、そのピストンロッド32aの進出時にはこれと共に移動する連結用ピン37が面圧制御バー30の長孔33の図2において右端に至ったとき面圧制御バー30が図1において右行し、そのピン29,29が長孔31,31を介して面圧負荷用フック24,24を枢軸25,25を支点にフック部24a,24aが突部28,28から外れる方向に揺動させ、ピストンロッド32aの後退時には連結用ピン37が面圧制御バー30の長孔33の図2において左端に至ったとき面圧制御バー30が図において左行し、そのピン29,29が長孔31,31を介して面圧負荷用フック24,24を枢軸25,25を支点にフック部24a,24aが突部28,28に係合する方向に揺動させるようになる。
【0027】
次に上記実施形態の作用を説明する。
【0028】
図1〜図3では面圧負荷時の状態を示しており、面圧負荷用フック24,24のフック部24a,24aがクランプ27の突部28,28に係合されていて圧縮バネ23を所定の撓み量に撓ませてボトムプレート煉瓦7とスライドプレート煉瓦8との間に所定の面圧が負荷されている。
【0029】
上記面圧負荷状態下においてスライドプレート煉瓦8をスライドさせて溶融金属の流出を制御するときは、連結部材35から連結用ピン37を抜いて油圧シリンダ32のピストンロッド32aと面圧制御バー30との連結を解いておくことにより以後油圧シリンダ32の作動によって面圧制御バー30とは無関係にスライドケース26が押し引きされ、ボトムプレート煉瓦7とスライドプレート煉瓦8とのノズル孔7a,8aの開度を制御し、溶融金属の流出を制御して操業に入る。
【0030】
上記各プレート煉瓦7,8を含む耐火物の交換時等に前記面圧を解除するときは、連結部材35から面圧制御バー30の長孔33に連結用ピン37を挿通し、油圧シリンダ32をそのピストンロッド32aが伸長する方向(図1の矢印イ方向)に作動させる。
【0031】
このピストンロッド32aの伸長作動により連結部材35が前進し、連結用ピン37が面圧制御バー30の長孔33の図2において右端に当接し、ピストンロッド32aがさらに前進することにより連結用ピン37を介して面圧制御バー30を図1において右行させるので、そのピン29,29で面圧負荷用フック24,24が押され、これにより面圧負荷用フック24,24が枢軸25,25を支点として図1において反時計方向に回動し、そのフック部24a,24aがクランプ27の突部28,28から外されてクランプ27の拘束が解かれ、面圧が開放される。
【0032】
上記のようにして面圧が解除されると共にクランプ27の拘束が解かれるので、クランプ27はハウジング20に一側が軸40で枢支されるヒンジのみで支持された状態となり、この状態においてクランプ27を開放させて上ノズル9,ボトムプレート煉瓦7,スライドプレート煉瓦8,下ノズル11等の交換を行なうことができる。
【0033】
上記耐火物を交換したのち再びクランプ27を閉じ、油圧シリンダ32を前記面圧解除時とは逆方向に作動させ、ピストンロッド32aを図1の矢印ロ方向に引込めると、これによりピン29,29と長孔31,31を介して面圧負荷用フック24,24が図1の鎖線図示位置から実線図示位置へ枢軸25,25を中心に揺動し、そのフック24a,24aがクランプ27の突部28,28に係合してバネホルダ22を引き下げ、圧縮バネ23を所定量撓ませてそのバネ圧がクランプ27に作用してボトムプレート煉瓦7とスライドプレート煉瓦8との摺接面間の面圧を保持し、面圧負荷状態となる。
【0034】
上記のようにして引き戻された面圧制御バー30を連結していた連結用ピン37を抜き、この連結用ピン37をロック孔38,39に差し替えて面圧制御バー30をロックしておく。
【0035】
以後の操業においては、前述のように油圧シリンダ32の作動によりスライドケース26のみが進退して各プレート煉瓦7,8のノズル孔7a,8aの開閉を行ない、溶融金属の流出を制御することになる。
【0036】
前記プレート駆動手段と面圧制御バー30との連結に上記実施形態として示したように連結用ピン37の抜き差しにより行なうようにすることが最も好ましいが、他の手段により連結させるようにしてもよいことはもちろんである。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、プレート駆動手段を用いてプレート煉瓦間の面圧負荷を行なうことができるので、従来のようにトグル機構を人的操作して面圧を負荷する難作業を全廃することができ、作業能率の向上と作業の安全性を高めることができる。
【0038】
特にプレート駆動手段と面圧制御バーとの連結用ピンを用いれば足りるので、構造を頗る簡素に構成することができ、その操作も簡易化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスライドバルブの面圧負荷装置の一実施形態を示す側面図。
【図2】図1の主要部のA矢視図。
【図3】図1のB−B断面図。
【図4】従来の2層式スライドバルブを示す断面図。
【図5】同、横断面図。
【符号の説明】
3,20 ハウジング
4,27 クランプ
5,32 油圧シリンダ(プレート駆動手段)
6,26 スライドケース
7 ボトムプレート煉瓦
8 スライドプレート煉瓦
21 バネ受け部
22 バネホルダ
23 圧縮バネ
24 面圧負荷用フック
28 突部
30 面圧制御バー
31,33 長孔
35 連結部材
37 連結用ピン
Claims (2)
- 溶融金属容器の底部下面に固設されたハウジングと、このハウジングに開閉可能に支持されたクランプと、このクランプの内部に移動可能に収納されプレート駆動手段に連結されたスライドケースとを備え、前記ハウジングおよびクランプにそれぞれプレート煉瓦を組み込み、そのうちの1枚を前記プレート駆動手段により摺動させて各プレート煉瓦に開口されたノズル孔の開度を変化させて溶融金属の流出を制御するスライドバルブにおいて、
圧縮バネを内装し前記ハウジングの両側部に前記スライドケースの摺動方向と平行する方向に配設されたバネホルダと、
このバネホルダに揺動自在に支持された所要数の面圧負荷用フックと、
前記クランプの側部に突設され前記面圧負荷用フックが係合し得る突部と、
前記ハウジングとクランプとの間に位置し前記面圧負荷用フックに該フックの揺動を許容するよう連結された面圧制御バーとを具有し、
この面圧制御バーを前記プレート駆動手段に連結して進退させることにより前記面圧負荷用フックを前記突部に係脱自在に構成し、前記面圧負荷用フックを前記突部に係合したとき前記プレート煉瓦間に所定の面圧が負荷されるようにした
ことを特徴とするスライドバルブの面圧負荷装置。 - 前記プレート駆動手段と面圧制御バーとの連結を連結用ピンの挿入により行なうようになされている請求項1記載のスライドバルブの面圧負荷装置。
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