JP3646823B2 - 電子楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子楽器に関し、特にユーザにより使い勝手のよい音色の指定を行なうことができる電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数の音色データを内部に備え、ユーザが選択した音色で楽音を発生することのできる電子楽器が知られている。近年では、音色を指定するためのスイッチの数に比較して、発生可能な音色数が非常に多くなったため、少ないスイッチで多くの音色を指定できるような工夫がなされている。
【0003】
例えば、音色を指定するスイッチを、バンクを指定するスイッチと、指定されたバンク内で音色を指定するスイッチに分ける方式もその1つである。これは、例えば指定できる音色数が128個だった場合に、それらの音色を16個ずつの8つのグループ(バンクA〜Hとする)に分け、8つのバンクスイッチによりバンクA〜Hから1つのバンクを指定し、16個の音色スイッチによりバンク内の1つの音色を指定する方法である。これにより、8個のバンクスイッチと16個の音色スイッチ(合わせて24個のスイッチ)により、128個の音色を指定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような方式を採る場合、複数の音色は、楽音の音色のタイプや系統に対応して各バンクグループに分割することが多い。例えば、128個の音色の場合、バンクAはピアノ系の16個の音色、バンクBはブラス系の16個の音色、…というように分けられていることが多い。
【0005】
ところが、ユーザーによっては規定のバンクの分け方とは異なる分け方を望む場合がある。例えば、ジャズ演奏を行ないたいときには、ジャズのピアノおよびブラスなどの音色が1つのバンクに集まっているほうが使いやすい。従来の電子楽器でも、ある音色とある音色とを入れ替える操作、およびある音色を別の音色の位置にコピーする機能などは備えているものがあるので、いちいち操作すれば音色の並び替えを行なうことはでき、1つのバンクに所望の音色を集めることはできる。
【0006】
しかし、その操作自体が面倒であり、誤操作も多いという問題があった。さらに、音色の入れ替えなどの操作をしている間に、ユーザが望まないのに重複して同じ音色データが別の場所に設定されてしまう場合もあり、記憶容量が無駄になるという問題があった。
【0007】
この発明は、簡単な操作で使い勝手のよい音色指定を行なうことができるような電子楽器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る電子楽器は、音色識別子でアクセスできる複数の音色データを記憶した音色メモリと、与えられた音色データに基づく音色で楽音を発生する楽音発生手段と、ユーザの音色指定操作に応じて、音色を指定するための音色指定情報を出力する音色指定操作子と、前記音色指定操作子から出力される音色指定情報を音色識別子に変換するための複数の変換テーブルと、該複数の変換テーブルのうちの1つを選択指定するためのテーブル指定操作子と、前記テーブル指定操作子で選択指定された1つの変換テーブルを用いて、前記音色指定操作子から出力される音色指定情報を音色識別子に変換し、該音色識別子で前記音色メモリから音色データを読み出して前記楽音発生手段に送出する音色設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る電子楽器は、音色全体が複数のバンクに分けられ、かつ各バンクが複数の音色からなる場合の各音色に対応する音色データであって、バンク番号およびバンク内音色番号でアクセスできる複数の音色データを記憶した音色メモリと、与えられた音色データに基づく音色で楽音を発生する楽音発生手段と、ユーザの音色指定操作に応じて、音色を指定するためのバンク番号およびバンク内音色番号を出力する音色指定操作子と、前記音色指定操作子から出力されるバンク番号およびバンク内音色番号を変換するための複数の変換テーブルと、該複数の変換テーブルのうちの1つを選択指定するためのテーブル指定操作子と、前記テーブル指定操作子で選択指定された1つの変換テーブルを用いて、前記音色指定操作子から出力されるバンク番号およびバンク内音色番号を変換し、変換後のバンク番号およびバンク内音色番号で前記音色メモリから音色データを読み出して前記楽音発生手段に送出する音色設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
なお、請求項2における「バンク番号およびバンク内音色番号」は、必ずしも2つの番号でなくともよく、バンクおよびバンク内音色を特定できる順序付けられた識別子であればよい。例えば、後述する発明の実施の形態では、128個の音色を16個ごとに8つのバンクA〜Hに分けた例において、バンクAの第1番音色に0、バンクAの第2音色に1、バンクAの第3音色に2、…、バンクAの第16音色に15、バンクBの第1音色に16、…、バンクHの第16音色に127というように音色番号を付け、変換テーブルでこの音色番号を変換して音色データを読み出しているが、この0〜127の音色番号を指定するということはバンク番号およびバンク内音色番号を指定することと同意である。したがって、請求項2に係る発明は、音色をこのような音色番号で特定する場合も含むものとする。
【0011】
また、請求項2における「音色指定操作子から出力されるバンク番号およびバンク内音色番号」は、音色指定操作子から出力される情報が音色を指定するための情報である点に着目した表現であるが、音色指定操作子から出力される情報は操作された操作子を特定する情報であると見ることもできる。したがって、音色指定操作子はユーザにより操作された操作子を特定する情報を出力し、変換テーブルによってその操作子を特定する情報をバンク番号およびバンク内音色番号に変換して音色データを読み出す、というような電子楽器も請求項2に含まれるものである。
【0012】
請求項3に記載の電子楽器は、請求項2において、バンク番号の順、かつ、各バンク内はバンク内音色番号の順で、前記テーブル指定操作子で選択指定された変換テーブルをアクセスし、これにより取得した変換後のバンク番号およびバンク内音色番号の順で、前記音色メモリの音色データを順次出力し、それらの一連の音色データを外部の各種機器で記録させる手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の電子楽器は、請求項2において、指定されたバンクにおけるバンク内音色番号の順で、前記テーブル指定操作子で選択指定された変換テーブルをアクセスし、これにより取得した変換後のバンク番号およびバンク内音色番号の順で、前記音色メモリの音色データを順次出力し、それらの一連の音色データを外部の各種機器で記録させる手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の電子楽器は、請求項1〜4において、前記変換テーブルをユーザが設定変更する手段を、さらに備えたことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いてこの発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、この発明に係る電子楽器のブロック構成図を示す。この電子楽器は、中央処理装置(CPU)101、リードオンリメモリ(ROM)102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103、鍵盤およびスイッチ104、楽音合成回路105、サウンドシステム106、フロッピーディスク装置(FDD)107、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)インターフェイス108、および各部を接続するバスライン109を備える。
【0017】
CPU101は、この電子楽器全体の動作を制御する。ROM102は、CPU101が実行する制御プログラムおよび各種の定数データなどを格納する。RAM103は、CPU101が制御プログラムを実行する際に必要な各種のワーク領域などを設ける記憶装置である。図3で後述する音色メモリ領域および変換テーブル領域もRAM103上に確保される。
【0018】
鍵盤およびスイッチ104は、ユーザが演奏操作を行なうための複数の鍵を備えた鍵盤、およびユーザがこの電子楽器に各種の指示を与えるためのスイッチ類である。鍵盤およびスイッチ104は、図2で後述する音色選択を行なうためのスイッチ群も含む。楽音合成回路105は、CPU101からの指示に基づいて楽音信号を合成し、サウンドシステム106に出力する。サウンドシステム106は楽音合成回路105からの楽音信号を放音する。CPU101は、鍵盤およびスイッチ104の操作を検出して、その操作に応じた指示(例えば、楽音発音指示、あるいは音色変更指示)を楽音合成回路105に出力する。
【0019】
FDD107は、この電子楽器の音色データをフロッピーディスクに書き込みあるいはフロッピーディスクから音色データを読み出して音色メモリに格納するためのフロッピーディスク装置である。MIDIインターフェイス108は、外部のMIDI機器に音色データを送信したり、外部のMIDI機器から音色データを受信するためのインターフェイスである。
【0020】
図2は、音色選択を行なうためのスイッチ群を示す。220は8個のバンクA〜Hを指定するためのバンクスイッチ、230はバンク内の16個の音色のうち1つを指定するための16個のバンク内音色スイッチ(以下、個々の音色スイッチを、第1音色スイッチ、第2音色スイッチ、・・・、第16音色スイッチと呼ぶものとする)である。音色の指定は、バンクスイッチ220によりバンクを1つ指定し、バンク内音色スイッチ230によりバンク内の音色を1つ指定することにより行なう。バンクスイッチ220が8個、バンク内音色スイッチ230が16個あるので、8×16=128より、128個の音色が指定できる。
【0021】
この電子楽器では、これらのスイッチに対する音色の割り当てをテーブル指定スイッチ201,211〜214を用いて切り換えることができる。テーブル指定スイッチ201がオンされているときは、図3(b)で後述するデフォルトテーブルDEFに基づく音色割り当て(ファクトリ・プリセットされているもの)が採用される。すなわち、例えばバンクAはピアノ系の16個の音色、バンクBはブラス系の16個の音色、…というようにデフォルトで割り当てられているとすると、テーブル指定スイッチ201がオンされているときは、バンクスイッチ220と音色スイッチ230により当該割り当てに応じた音色指定操作を行なうことができる。
【0022】
一方、テーブル指定スイッチ211〜214の何れかがオンされているときは、それぞれ、図3(b)で後述する変換テーブルTBL1〜TBL4に基づく音色割り当てが採用される。変換テーブルTBL1〜TBL4の内容は、ユーザが自由にカスタマイズできる。したがって、例えばユーザが変換テーブルTBL1をカスタマイズして、当該ユーザがジャズ演奏するときに使いたい16個の音色をジャズ系の音色としてバンクAに割り当て、ロック演奏するときに使いたい16個の音色をロック系の音色としてバンクBに割り当てたとすると、テーブル指定スイッチ211がオンされているときは、バンクAを指定するスイッチをオンすれば上記ジャズ系の16音色をバンク内音色スイッチ230により指定できるし、バンクBを指定するスイッチをオンすれば上記ロック系の16音色をバンク内音色スイッチ230により指定できるようになる。
【0023】
図3(a)は、RAM103内に確保される音色メモリ領域を示す。この音色メモリ領域に128個の音色データが用意される。これらの音色データは、電子楽器の電源がオンされたときにROM102あるいはFDD107から読み出してこの音色メモリ領域に設定する。図3(a)において、301は1つの音色データを特定するための音色番号(0から127)を示す。各音色データは、音色名302、波形番号303、エンベロープ(ENV)パラメータ304、およびその他パラメータ305からなる。
【0024】
音色番号301は、デフォルトの状態(変換テーブルとして、後述するデフォルトテーブルDEFが選択されている状態)におけるバンクおよびバンク内音色を特定する数値になっている。すなわち、デフォルトの状態では、音色番号とバンクおよびバンク内音色との対応関係は以下のようになる。要するに、音色全体をバンクA〜Hの順で大きく分けるとともに各バンク内の16個の音色をそれぞれ順序付けておき、その順に音色番号0〜127を付けたものである。
Figure 0003646823
【0025】
図3(b)は、各バンクへの音色の割り当て方を規定する変換テーブルを格納する領域を示す。用意されている変換テーブルは、デフォルトテーブルDEF、およびテーブルTBL1〜TBL4の5つの変換テーブルである。左側に記載したインデックスは、これらのテーブルを参照する際のインデックス(変換前の音色番号)である。図2のテーブル指定スイッチ201,211〜214により、これらの変換テーブルDEF,TBL1〜TBL4のうちの1つを選択する。すなわち、デフォルトテーブルDEF指定スイッチ201がオンされたときは、デフォルトテーブルDEFが選択される。また、テーブル指定スイッチ211〜214がオンされたときは、それぞれ、変換テーブルTBL1〜TBL4が選択される。
【0026】
変換テーブルとしてどのテーブルが選択されているかにかかわらず、図2のバンクスイッチ220およびバンク内音色スイッチ230が操作されると、デフォルトの状態で対応するバンク番号およびバンク内音色番号を特定する下記のような音色番号が(図1の鍵盤およびスイッチ104から)出力される。この音色番号が、変換テーブルを参照する際のインデックスになる。
Figure 0003646823
【0027】
図3(b)において、デフォルトテーブルDEFはインデックスの1〜128の数値と同じ数値を返す変換テーブルになっている。したがって、デフォルトテーブルDEFが選択されていた場合は、上記のようにスイッチ220,230の操作に応じて出力される音色番号がそのままデフォルトテーブルDEFによる変換後の音色番号となる。この変換後の音色番号で図3(a)の音色メモリ領域から音色データを読み出しその音色が設定される。
【0028】
一方、変換テーブルTBL1〜TBL4は、ユーザが定義できる変換テーブルである。例えば、図3(b)の変換テーブルTBL1では、インデックス1,2,3,4の位置に順に93,6,12,64が設定されているが、これらの設定はユーザが行なったものである。変換テーブルTBL1が選択されていた場合は、上記のようにスイッチ220,230の操作に応じて出力される音色番号が、この変換テーブルTBL1により変換されて出力される。そして、変換後の音色番号で図3(a)の音色メモリ領域から音色データを読み出しその音色が設定される。
【0029】
したがって、図3(b)のように変換テーブルTBL1が設定されており、テーブル指定スイッチ211がオンされていた場合、スイッチ220,230でバンクAの第1音色スイッチがオンされると、スイッチ104から出力された音色番号「1」が変換テーブルTBL1で音色番号「93」に変換され、その音色番号「93」の音色データが設定されることになる。同様に、バンクAの第2音色スイッチで音色番号「6」の音色が設定され、バンクAの第3音色スイッチで音色番号「12」の音色が設定され、バンクBの第1音色スイッチで音色番号「93」の音色が設定される。したがって、ユーザは、あらかじめ変換テーブルTBL1のインデックス1〜16の位置に自分がバンクAで使用したい音色の音色番号を設定し、インデックス17〜32の位置に自分がバンクBで使用したい音色の音色番号を設定し、以下同様に他のバンクについても設定を行なえば、演奏時には変換テーブルTBL1を選択するテーブル指定スイッチ211をオンするだけで、所望の通りの音色の割り当てで音色指定できることになる。他の変換テーブルTBL2〜TBL4についても同じである。なお、変換テーブル上の異なる位置に同じ音色番号を設定してもよい。例えば、図3(b)の変換テーブルTBL1では、インデックス1(バンクAの第1音色スイッチに対応する位置)とインデックス17(バンクBの第1音色スイッチに対応する位置)に同じ音色番号「93」が設定されている。
【0030】
また、この電子楽器は、一連の音色データをMIDIインターフェイス108から送信する機能およびMIDIインターフェイス108から一連の音色データを受信する機能を備えている。これは、いわゆるバルクダンプと呼ばれる機能である。バルクダンプにより一連の音色データをMIDIインターフェイス108から送信する場合、送信する音色データの順序はその時点で選択されている変換テーブルに記載された順序とする。例えば、デフォルトテーブルDEFが選択されているときは、図3(a)の音色メモリ領域の音色データはデフォルトテーブルDEFに記載されている順、すなわち音色番号1,2,…,128の順に送出される。また変換テーブルTBL1が選択されていたときは、図3(b)のテーブルTBL1の内容にしたがって音色番号93,6,12,64,…,103,35の順で、音色メモリ領域の音色データが連続して送信される。
【0031】
そのようにバルクダンプで送信される一連の音色データを受信したMIDI機器では、音色データを受信した順に音色メモリ領域に書き込む。送信時に変換テーブルの順で送信しているから、その変換テーブルの設定した音色の割り当て状態がそのまま受信したMIDI機器に設定されることになる。したがって、例えば、送信側において、変換テーブルTBL1にバンクAにジャズ演奏で使いたい音色を割り当てバンクBにロック演奏で使いたい音色を割り当て、その変換テーブルTBL1が選択された状態でバルクダンプで音色データを送信した場合、受信した側でもバンクAにジャズ演奏で使いたい音色が割り当てられバンクBにロック演奏で使いたい音色が割り当てられていることになる。すなわち、音色データそのものとともに、それらの音色の割り当て順についても他の電子楽器に移すことができるようになる。
【0032】
さらにこの電子楽器は、音色データの一部分(バンク単位)をフロッピーディスク(以下、FDと呼ぶ)にセーブし、逆にFDの音色データを音色メモリ領域にロードする機能を備えている。音色データをFDにセーブする場合、セーブすべきバンクを指定する。そして、セーブを指示された時点で選択されている変換テーブルで指定されている順に音色データをセーブする。例えば、デフォルトテーブルDEFが選択されている状態で、バンクAのFDへのセーブを指示すると音色番号1〜16の音色データが順に音色メモリ領域から読み出されてFDに書き込まれ、バンクBのFDへのセーブを指示すると音色番号17〜32の音色データが順に音色メモリ領域から読み出されてFDに書き込まれる。また、変換テーブルTBL1が選択されている状態で、バンクAのFDへのセーブを指示すると、変換テーブルTBL1のインデックス1〜16の音色番号の順、すなわち音色番号93,6,12,64,…の音色データが順に音色メモリ領域から読み出されてFDに書き込まれる。
【0033】
そのようにFDにセーブされた一連の音色データを逆にロードする場合は、ロードするバンクを指定する。ロードする場合も、その時点で選択されている変換テーブルの指定されたバンクに対応するインデックスの位置から音色番号を読み出し、音色メモリ領域上のその音色番号の位置に音色データを書き込む。例えば、デフォルトテーブルDEFが選択されている状態では、バンクAへのロードが指示されたときはFDから読み出した16個の音色データは順に音色メモリ領域の音色番号1〜16の位置に書き込まれ、バンクBへのロードが指示されたときはFDから読み出した16個の音色データは順に音色メモリ領域の音色番号17〜32の位置に書き込まれる。また、変換テーブルTBL1が選択されている状態でバンクAへのロードが指示されたときは、FDから読み出した16個の音色データは、変換テーブルTBL1のインデックス1〜16の音色番号の順、すなわち音色番号93,6,12,64,…の順に音色メモリ領域の当該音色番号の位置に書き込まれる。これにより、ユーザがバンクに集めた所望の音色の音色データを、FD経由で、その割り当て順序とともに、他の電子楽器に移すことができる。
【0034】
次に、この電子楽器の動作(図1のCPU101の動作)を説明する。
【0035】
図4(a)は、この電子楽器の電源がオンされたときにCPU101が実行するメインルーチンのフローチャートである。まず、ステップ401で各種の初期設定をおこなう。次に、ステップ402で、MIDIインターフェイス108や鍵盤およびスイッチ104からのイベントを検出し、楽音イベントを生成する。具体的には、鍵盤の鍵が演奏操作されたときは、楽音イベントとしてその操作に応じた楽音発生イベントを生成する。また、MIDIインターフェイス108からプログラムチェンジ(音色変更)を受信したときには、楽音イベントとしてプログラムチェンジを生成する。さらに、図2および図3で説明したような音色選択のためのスイッチ220,230が操作されたときには、その操作に応じたプログラムチェンジ(すなわち、上記(2)に示した音色番号に変更するという内容のプログラムチェンジ)を生成する。
【0036】
次に、ステップ403で楽音イベントがあるかないかを判別する。楽音イベントがあるときは、ステップ404で楽音イベント処理(図4(b))を行ない、楽音イベントがないときはそのままステップ405に進む。ステップ405では、パネルスイッチの各種の操作に基づいて対応する処理を実行する。図2のテーブル指定スイッチ201,211〜214が操作されたときにその操作に応じて選択されている変換テーブルを変更する処理は、このステップ405内で行なう。次に、ステップ406で、発音処理ルーチンを実行し、発音すべき楽音があれば発音を行なう。すなわち、後述する図4(b)のステップ413から楽音発生イベントが渡されているとき、その楽音発生イベントに応じた発音を行なう。また、後述する図4(b)のステップ413からプログラムチェンジが渡されているとき、そのプログラムチェンジに応じた音色の変更(プログラムチェンジ情報で指定されている音色番号の音色データを読み出して楽音合成回路105に送出する処理)を行なう。ステップ406の後、ステップ402に戻る。
【0037】
図4(b)は、図4(a)のステップ404の楽音イベント処理を示すフローチャートである。ステップ411で、楽音イベントがプログラムチェンジであるか否かを判別する。プログラムチェンジであるときは、ステップ412で、現在選択されている変換テーブルをもとに、プログラムチェンジ情報(音色番号)を書き換える。この音色番号の書き換え処理については、図2および図3で説明したとおりである。次に、ステップ413で、当該楽音イベントを発音処理ルーチンに渡す。ステップ411でプログラムチェンジでないときは、ステップ413に進む。
【0038】
図5(a)は、テーブル作成処理ルーチンのフローチャートである。このテーブル作成処理ルーチンは、図4(a)のステップ405においてユーザにより変換テーブル作成が指定されたとき実行される。
【0039】
まず、ステップ501で設定すべき変換テーブルを選択する。ここではデフォルトテーブルDEF以外の4つの変換テーブルTBL1〜TBL4のうち1つを選択する。次にステップ502で、その変換テーブルの内容をユーザの指定にしたがって書き替える。そして、ステップ503でその変換テーブルに名称を付与して、処理を終了する。
【0040】
図5(b)は、音色バルクダンプ処理ルーチンのフローチャートである。音色バルクダンプ処理ルーチンは、図4(a)のステップ405において音色データのバルクダンプが指示されたときに実行される。
【0041】
まずステップ511で、ワークレジスタiを1に初期化する。次に、ステップ512で、現在選択されている変換テーブルの第i番目のプログラムチェンジに対応する音色の情報(すなわち、当該変換テーブルのインデックスiの位置の音色番号)を得る。そして、ステップ513で、MIDIインターフェイス108から当該音色番号の音色データを出力する。次に、ステップ514でiを歩進し、ステップ515でワークレジスタiの値が128以下であるか否かを判別し、そうであるときは次の音色データを出力すべく、ステップ512に戻る。ステップ515でワークレジスタiの値が128を超えたときは、処理を終了する。
【0042】
図6(a)は、音色データの一部分(バンク単位)をFDにセーブする一部セーブ処理ルーチンのフローチャートを示す。一部セーブ処理ルーチンは、図4(a)のステップ405においてバンクを指定したFDへの音色データのセーブを指示されたときに実行される。
【0043】
まずステップ601で、現在選択されている変換テーブルと一部セーブを指定されたバンクの名称に基づいて、音色データをセーブするファイルのファイル名を生成し、当該ファイルをFD上に作成する。次に、ステップ602でワークレジスタiを1に初期化する。次に、ステップ603で、現在選択されている変換テーブルにおいて指定されたバンクの第i番目のプログラムチェンジに対応する音色データを取得する。次に、ステップ604で取得した音色データを前記ファイルに記録し、ステップ605でワークレジスタiを歩進して、ステップ606に進む。ステップ606でワークレジスタiの値が16以下であるか否かを判定し、そうであるときは次の音色データを記録すべくステップ603に戻る。ステップ606でワークレジスタiの値が16を超えたときは、指定されたバンクの16個の音色データをすべてFDに記録したということだから、処理を終了する。
【0044】
図6(b)は、音色データの一部分(バンク単位)をFDからロードする一部ロード処理ルーチンのフローチャートを示す。一部ロード処理ルーチンは、図4(a)のステップ405において音色データの一部分をロードする指定がなされたときに実行される。
【0045】
まずステップ611で、ロード先のバンクを選択する。ステップ612で、ロードするFD上のファイルを選択する。次にステップ613で、選択されたファイルの音色データを読み出し、選択されたバンクの先頭から音色メモリ領域にロードし、処理を終了する。なお、ステップ613の音色データのロードは、その時点で選択されている変換テーブルに基づく。すなわち、選択されている変換テーブルの指定されたバンクに対応するインデックスの位置から音色番号を読み出し、音色メモリ領域上のその音色番号の位置に、FDから読み出した一連の音色データを順次書き込む。
【0046】
なお、上記実施例ではバルクダンプおよびFDへのセーブ/ロードにおいて、音色データのみをやりとりしているが、変換テーブルそのものについてもバルクダンプあるいはセーブ/ロードする情報に含ませるようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、ユーザの音色指定操作により出力された音色指定情報を、選択された変換テーブルで音色識別子に変換し音色データを読み出して設定するようにしているので、ユーザにとって簡単で使い勝手のよい音色指定を行なうことができる。また、請求項2に係る発明によれば、選択された変換テーブルでバンク番号とバンク内音色番号を変換して得た変換後のバンク番号とバンク内音色番号で音色設定するので、やはりユーザにとって簡単で使い勝手のよい音色指定を行なうことができる。
【0048】
また、現在選択されている変換テーブルに基づく順序で音色データをバルクダンプしたりFDとの間でセーブ/ロードしたりできるので、ユーザが設定した割り当てをそのまま他の機器に移し替えることができる。変換テーブルはユーザが自由に設定できるので、ユーザはスイッチへの音色の割り当てを自由に設定することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電子楽器のブロック構成図
【図2】音色選択を行なうためのスイッチ群を示す図
【図3】音色メモリ領域および変換テーブルを示す図
【図4】メインルーチンおよび楽音イベント処理ルーチンのフローチャート図
【図5】テーブル作成処理ルーチンおよび音色バルクダンプ処理ルーチンのフローチャート図
【図6】一部セーブ処理ルーチンおよび一部ロード処理ルーチンのフローチャート図
【符号の説明】
101…中央処理装置(CPU)、102…リードオンリメモリ(ROM)、103…ランダムアクセスメモリ(RAM)、104…鍵盤およびスイッチ、105…楽音合成回路、106…サウンドシステム、107…フロッピーディスク装置(FDD)、108…MIDIインターフェイス、109…バスライン、201,211〜214…テーブル指定スイッチ、220…バンクスイッチ、230…バンク内音色スイッチ。

Claims (5)

  1. 音色識別子でアクセスできる複数の音色データを記憶した音色メモリと、
    与えられた音色データに基づく音色で楽音を発生する楽音発生手段と、
    ユーザの音色指定操作に応じて、音色を指定するための音色指定情報を出力する音色指定操作子と、
    前記音色指定操作子から出力される音色指定情報を音色識別子に変換するための複数の変換テーブルと、
    該複数の変換テーブルのうちの1つを選択指定するためのテーブル指定操作子と、
    前記テーブル指定操作子で選択指定された1つの変換テーブルを用いて、前記音色指定操作子から出力される音色指定情報を音色識別子に変換し、該音色識別子で前記音色メモリから音色データを読み出して前記楽音発生手段に送出する音色設定手段と
    を備えたことを特徴とする電子楽器。
  2. 音色全体が複数のバンクに分けられ、かつ各バンクが複数の音色からなる場合の各音色に対応する音色データであって、バンク番号およびバンク内音色番号でアクセスできる複数の音色データを記憶した音色メモリと、
    与えられた音色データに基づく音色で楽音を発生する楽音発生手段と、
    ユーザの音色指定操作に応じて、音色を指定するためのバンク番号およびバンク内音色番号を出力する音色指定操作子と、
    前記音色指定操作子から出力されるバンク番号およびバンク内音色番号を変換するための複数の変換テーブルと、
    該複数の変換テーブルのうちの1つを選択指定するためのテーブル指定操作子と、
    前記テーブル指定操作子で選択指定された1つの変換テーブルを用いて、前記音色指定操作子から出力されるバンク番号およびバンク内音色番号を変換し、変換後のバンク番号およびバンク内音色番号で前記音色メモリから音色データを読み出して前記楽音発生手段に送出する音色設定手段と
    を備えたことを特徴とする電子楽器。
  3. バンク番号の順、かつ、各バンク内はバンク内音色番号の順で、前記テーブル指定操作子で選択指定された変換テーブルをアクセスし、これにより取得した変換後のバンク番号およびバンク内音色番号の順で、前記音色メモリの音色データを順次出力し、それらの一連の音色データを外部の各種機器で記録させる手段を、さらに備えた請求項2に記載の電子楽器。
  4. 指定されたバンクにおけるバンク内音色番号の順で、前記テーブル指定操作子で選択指定された変換テーブルをアクセスし、これにより取得した変換後のバンク番号およびバンク内音色番号の順で、前記音色メモリの音色データを順次出力し、それらの一連の音色データを外部の各種機器で記録させる手段を、さらに備えた請求項2に記載の電子楽器。
  5. 前記変換テーブルをユーザが設定変更する手段を、さらに備えた請求項1〜4のいずれか1つに記載の電子楽器。
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