JP3646184B2 - 走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダ - Google Patents

走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダ Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、自動車の安全走行用の車載レーダに関し、特に送受信アンテナの切り換えにより連続波(CW)信号により障害物等を探知する走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとを使用し、両者の組み合わせにより探知範囲に対する電波の送受信を行い反射物体(目標物体)等を計測するホログラフィックレーダが知られている(特開2000-155171号公報、特開昭63-256879号公報米国特許第628872号、特開平6-68542号公報、特開2001-91641号公報、特開2000-235073号公報、電子情報通信学会論文誌B-II Vol.J81-B-II No.805-813 1998年8月p805〜814)。
【0003】
図6は、前記特開2000-155171号公報記載のホログラフィックレーダの基本構成を示す図である。発振器A10から出力される高周波信号を分配器A12を介して送信側スイッチA14により複数の送信アンテナT1、T2、T3に順次供給して電波として放射し、目標物から反射された反射波を複数の受信アンテナR1、R2を介して順次受信し、受信側スイッチA16を介してミキサA18に供給する。ミキサA18は分配器A12からの高周波信号が供給されており、ここで復調された信号成分はA/DコンバータA20でディジタル信号に変換され信号処理回路A22で処理される。
【0004】
複数の送信アンテナT1、T2、T3と受信アンテナR1、R2を切り換えることにより、1個の送信アンテナと、送受信アンテナの組み合わせの個数(図7の場合は6つ)の受信アンテナを用いたものと等価なアンテナ配列のレーダを構成することができ、少ないアンテナ数及び限られた範囲でのアンテナ配置でより多くの探知情報を取得することを可能としている。
【0005】
更に、複数の送信アンテナ及び受信アンテナを使用した車載レーダに適用可能なホログラフィック方位解像法が電子情報通信学会論文誌(B-II Vol.J81-B-II No.805-813 1998年8月)に記載されており、当該論文誌には、「エコー振幅の記録から伝送線路の遅延位相φbの寄与分を取り除くため、別途計測した遅延位相φb値を用いて、位相の補正処理をする。」(第806頁)旨記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000-155171号公報記載のレーダのように複数の送受信アンテナの使用により、等価的に送信及び受信の各アンテナ数を掛けた個数のアンテナによる受信信号を得ることが可能であり、少ないアンテナ素子により多くの方位算出データを取得することが可能である。
【0007】
しかしながら、複数の送受信アンテナを切り換える構成の走査型車載レーダでは、送信側スイッチと複数の送信アンテナ間及び複数の受信側アンテナと受信側スイッチ間の線路長(位相長)にバラツキが生じることが避けられず、このバラツキによる相互の位相差は方位算出結果に誤差をもたらすことから、これを最小限にすることが必要となる。
【0008】
この点、前記ホログラフィック方位解像法が電子情報通信学会論文誌(B-II Vol.J81-B- II No.805-813 1998年8月)によれば、エコー振幅から別途計測した遅延位相φb値を用いてこれを取り除く処理をすることが記載されているが、このレーダ装置では、レーダ装置の送受信信号の伝送回路の遅延位相をなくすることで位相を一致させるだけのものである。そして通常、車両の車軸と車載レーダの軸とのずれ等に関しては、その取り付け時に車両の軸との機械的な調整により行わざるをえなかった。
【0009】
以上のように、従来、送信アンテナ及び受信アンテナとそれぞれのスイッチ間の位相差の調整及び車軸を合わせて方位測定等の精度を高める調整はそれぞれ独立に行っていたが、このような機械的調整を含むそれぞれの調整では充分な精度を実現することが困難であるのみならず、経時的なくるいを伴うこと等にもより、常時充分な測定精度を実現することは困難であり、再調整等を考慮すると結果的に車載レーダとしてのコストを高めることともなっていた。
【0010】
(目的)
本発明は、以上の問題を解決するものであり、その目的は、走査型車載レーダの送受信アンテナに対する線路長の調整及び車両への取り付け時の機械的な軸調整による高精度な調整を不要とし、車両への取り付けに関連するコストをも低減させることが可能な走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、走査型車載レーダの使用による経時変化等により生じる計測方位のくるいを適宜容易に修正することを可能とする走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査型車載レーダの方位補正方法は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの組み合わせを切り替え、CW信号を送受信する走査型車載レーダの方位補正方法において、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の車軸方向の方位の測定誤差に対する補正情報(位相補正データ)を予め記憶手段に記憶しておき、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の受信信号に対する補正値として使用することを特徴とする。また、前記補正情報は、車軸上に目標物体を設置し、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の当該目標物体での反射による受信信号の複素スペクトラム信号から当該複素スペクトラム信号を正規化した共役の複素スペクトラム信号(例えば、図4の複素数(a−jb)/(a+b1/2)とすることを特徴とする。更に、方位の測定は、受信信号を時間方向にフーリエ変換し、該フーリエ変換結果に前記共役の複素スペクトラム信号を乗算した後、空間軸方向にフーリエ逆変換することにより行うことを特徴とする。
【0013】
本発明の走査型車載レーダは、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの組み合わせを切り替え、CW信号を送受信する走査型車載レーダにおいて、複数の受信アンテナから順次切り換えて受信した複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の受信信号を出力する受信部(例えば、図1の混合器)と、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の前記受信信号に対する補正情報を記憶する記憶手段(例えば、図1のメモリ21)と、前記受信信号と前記記憶手段からの補正情報とにより位相誤差を抑制して方位情報を算出する信号処理部(例えば、図1の信号処理部3)と、を備えることを特徴とする。また、前記信号処理部は、受信信号を時間軸方向にフーリエ変換して複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の複素スペクトラム信号を出力する第1の演算部(例えば、図1の演算部20)と、前記複素スペクトラム信号に対して前記記憶手段から読み出した補正情報を乗算した後、空間軸方向にフーリエ逆変換する第2の演算部(例えば、図1の演算部22)と、を備えることを特徴とする。
【0014】
そして、第2の演算部は、方位情報の算出に重み付け重心処理を行うことを特徴とする。更に、前記補正情報は、車軸上に反射器を配置し、当該反射器からの受信信号の位相から算出することを特徴とする。更に、前記補正情報は、反射器からの受信信号の複素スペクトラム信号から算出した当該複素スペクトラム信号を正規化した共役の複素スペクトラム信号とすることを特徴とする。
【0015】
また、前記送信アンテナは、1つの受信アンテナが選択されているとき所定の順序に従って切り換えられること、又は前記受信アンテナは、1つの送信アンテナが選択されているとき所定の順序に従って切り換えられることを特徴とする。
より具体的には、本発明の走査型車載レーダは、複数の送信アンテナと、前記複数の送信アンテナにCW信号を所定の周期で順次切り換えて供給する送信側スイッチと、前記複数の送信アンテナから送信された電波の反射波を受信する複数の受信アンテナと、前記複数の受信アンテナで受信した受信信号を前記周期に同期して順次切り換えて出力する受信側スイッチと、前記受信スイッチの出力を入力とする受信部と、受信部の出力をディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ディジタル信号を送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎に記憶する第1のメモリと、車軸方向の方位の測定誤差に対する補正情報を予め第2のメモリと、前記第1のメモリに記憶された前記ディジタル信号について送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎に時間軸に対してフーリエ変換を行い複素スペクトラム信号を求める第1の演算部と、前記複素スペクトラム信号に対し前記第2のメモリに記憶された補正情報と演算し、演算後の前記送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の複素スペクトラム信号について、同一周波数成分についてフーリエ逆変換して方位情報を出力する第2の演算部と、を有することを特徴とする。
【0016】
(作用)
複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの個々の組み合わせにおける線路長差及び車軸とレーダ軸のずれによる位相の補正値を予め記憶手段に記憶しておき、方位測定動作により得られた複素スペクトラム信号に対し前記補正値による補正を行うことにより、両者に起因する位相差による計測方位への影響を排除するものである。前記記憶手段に記憶する補正値は、車軸上に反射器をおいてレーダを動作させることにより、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの個々の組み合わせ毎に補正情報として取得する。方位の算出は、複数の送信アンテナから時分割でCW波の電波を送信し、前記複数の送信アンテナで反射波を時分割で受信し、複数の送信アンテナと前記複数の受信アンテナの切り替えによってできるその組み合わせ毎に受信信号をAD変換を行い、前記組み合わせ毎に所定メモリに記憶し、時間軸に対して高速フーリエ変換を行い複素スペクトラム信号を求め、前記組み合わせ毎の同一周波数成分について、複素スペクトラム信号をもとに空間軸方向にフーリエ逆変換して目標の方位情報を求める。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダの一実施の形態について、以下図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の走査型車載レーダの構成を示す図である。本実施の形態の走査型車載レーダの構成は、装置全体を制御する制御部1と、目標探知用のCW信号を送受信し、受信した信号を増幅し周波数変換(復調)して受信信号を出力する送受信部2と、受信信号の信号処理を行いレーダ探知空間の目標を検出し、当該目標の方位の情報等を演算して出力する信号処理部3と、から構成される。
【0019】
送受信部2は、CW信号の信号源としての高周波信号を発振する発振器11と、発振器11からの高周波信号を送信アンテナ側及び受信側に分配出力する方向性結合器等により構成された分配器12と、分配器12の送信側の出力を送信用の信号として複数の出力端子に供給する送信側切替スイッチ(送信側スイッチ)13と、前記送信側スイッチ13の複数の出力端子からの信号を電波としてレーダ探知空間に放射する複数の送信アンテナ14と、レーダ探知空間から受信される電波を受信する複数の受信用アンテナ15と、前記受信アンテナ15の複数の出力を順次切り替えて1系列の時分割信号として出力する受信側切替スイッチ(受信側スイッチ)16と、前記受信側スイッチ16の時分割信号及び前記分配器12から分配された高周波信号とをミキシングして復調信号又はビート信号(受信信号)を出力する混合器(ミキサ)17を含む受信部と、から構成される。
【0020】
更に、信号処理部3は、前記混合器17からの受信信号をサンプリングしAD変換するA/D変換器18と、AD変換されたディジタル信号を送信アンテナ14と受信アンテナ15の組み合わせ別(以下、送信アンテナと受信アンテナの組み合わせでなる受信アンテナ毎の受信の経路又はその組み合わせを「チャネル」という。)に、時系列の計測データとして記憶する第1のメモリ19と、メモリの記憶データをチャネル別に時間軸方向にフーリエ変換する第1の演算部20と、チャネル別の線路長差及び車軸とレーダ軸のずれによる位相差を補正する補正情報(位相補正データ)を保持する第2のメモリ21と、第1の演算部20のフーリエ変換を行った結果に対して第2のメモリ21の位相補正データを補正値として演算した後、送信アンテナ14及び受信アンテナ15の距離(空間軸)方向のついてフーリエ逆変換し方位(方位の正弦)を算出する第2の演算部22と、から構成される。
【0021】
ここで、第2のメモリ21に保持する位相補正データは、走査型車載レーダを車両に搭載した後、走査型車載レーダの基準となる軸上に反射物体を配置して当該走査型車載レーダを動作させて送受信を行い、受信信号の各チャネルのフーリエ変換結果の中からそれぞれ絶対値がピークとなる複素数データを検出し、該複素数データをその絶対値で正規化した共役の複素数データとして算出したデータ(数値)である。この共役の複素数データは第1の演算部20においてチャネル別にフーリエ変換を行った結果に対して乗算することにより各チャネルの線路長差等による方位の算出誤差を除くにとができる位相補正データである。
【0022】
(動作の説明)
以下、本実施の形態の動作について説明する。
制御部1は、送信側スイッチ13と受信側スイッチ16の切り替えタイミングを制御するとともに、信号処理部3の動作タイミングを制御する。本実施の形態では、制御部1は、送信側スイッチ13を順次切り替える動作を繰り返し、受信側スイッチ16が送信側スイッチ13の切り替えの1周期(1巡の周期)の期間毎に、順次切り替える動作を繰り返すように、送信側スイッチ13及び受信側スイッチ16を制御する。
【0023】
図2は、送信アンテナが3個(TX1、TX2、TX3)、受信アンテナが3個(RX1、RX2、RX3)の場合の切り換え例を示す図である。図2から分かるように本実施の形態では、3個の送信アンテナ(TX1、TX2、TX3)は、1周期T毎に高周波信号が順次切り換え供給され、3個の受信アンテナ(RX1、RX2、RX3)は、送信アンテナ(TX1、TX2、TX3)の切り換えの一巡の周期である周期3T期間毎に順次切り換える。
【0024】
A/D変換器18は、受信側スイッチ16からの時系列な信号と分配器12からの送信信号(高周波信号)とを混合器17でミキシングした結果である受信信号を各受信アンテナの選択時点に、該受信信号に含まれる必要とする最高周波数の2倍程度でサンプリングしてディジタル信号の受信信号に変換する。
【0025】
メモリ19は、A/D変換器18でAD変換された受信信号について、各チャネル別に論理的に異なるメモリ領域に分けて記録する。つまり、送信のスイッチ13と受信側スイッチ16を切り替えながら送受信を行い、各送信アンテナ(TX1、TX2、TX3)と各受信アンテナ(RX1、RX2、RX3)の組み合わせを一巡する動作を繰り返し、各組み合わせ別(チャネル別)の受信信号としてメモリ19に記憶する。
【0026】
第1の演算部20は、受信信号の所定範囲のデジタル信号をメモリ19に全て格納された後、チャネル別にメモリ19に記録されたディジタル信号を読み出し、チャネル毎のディジタル信号(時系列データ)を時間軸方向にフーリエ変換を行い周波数領域の複素スペクトラム信号を出力する。次にフーリエ変換後の複素スペクトラム信号についてチャネル(送信アンテナ(TX1、TX2、TX3)と受信アンテナ(RX1、RX2、RX3)組み合わせ)方向、つまり、空間軸方向(距離方向dtr)についてフーリエ逆変換を行い、方位情報のデータを出力する。
【0027】
図3は、本実施の形態の走査型車載レーダの方位の算出方法を示す図である。同図において、走査型車載レーダのアンテナ配列の中心から角度θ(走査型車載レーダの軸方向からの角度)、距離rの位置に目標が存在するとし、アンテナ配列の特定の送信アンテナTXと受信アンテナRXが前記中心位置からそれぞれxt、xrにあるとすると、送信アンテナからの送信信号が目標で反射して受信アンテナRXで受信される複素信号(複素振幅)ex1は、送信源から受信部までの伝送線路による遅延位相がないと仮定すると次式(1)のようになる。
【0028】
ex1=Uexp(−j2πfτ)
≒Uexp[−j(2π/λ){2r−(xt+xr)sinθ}] (1)
ここで、Uは定数、f、λは送信CW波の周波数と波長を示す。また、τは目標の位置と送信アンテナと受信アンテナの位置(チャネル)で決まる反射信号の遅延時間であるが、r>>xt、xrと仮定すると、τは、
τ≒(1/c){2r−(xt−xr)sinθ} (2)
と近似することができる。ここでcは光速である。
【0029】
xt−xr→xtrと変数変換して、xtrを座標軸とする1次元空間の分布ex2に変換すると次式(3)となる。
【0030】
Figure 0003646184
式(3)は、変数xtrに対して目標方位θの正弦に比例する周波数で変化する分布になっていることが分かる。
【0031】
従って、式(3)を変数xtrについて、つまり空間軸方向(アンテナ方向、チャネル方向)にフーリエ逆変換することにより、方位(角度)θの正弦(sinθ)を求めることができる。
【0032】
ここで、受信アンテナRXで受信される信号の複素信号ex1について、伝送回路の線路長による遅延位相がないと仮定したが、実際にはこの遅延位相がチャネル毎に存在し、且つ車両の車軸と走査型車載レーダのレーダ軸とは取り付け時に一致せず、経時変化によってもずれることがある。かかる場合、走査型車載レーダにより計測される車軸方向の目標が零以外の所定方位を示す、つまり方位の計測誤差を生じることになる。
【0033】
本実施の形態においては、走査型車載レーダを車両に取り付けた後に車軸上に反射器等の反射物体を設置し、走査型車載レーダを動作させて当該反射物体の複素信号をチャネル毎に計測し、当該チャネル毎の複素信号の絶対値をそれぞれ求め、当該複素信号を絶対値で正規化した共役の複素数を算出し、これをチャネル毎の位相補正データとして予め第2のメモリ21に記憶しておき、走査型車載レーダの実際の運用時にはチャネル毎の複素スペクトラム信号に対して第2のメモリ21に記憶した各チャネルの位相補正データを読み出して乗算し、乗算後の複素スペクトラム信号に基づいて方位の算出を行う。
【0034】
図4は、本実施の形態の補正情報(位相補正データ)を示す図である。走査型車載レーダの車両に取り付け時に、車軸上に設置した反射物体により計測された受信信号が方位角零を示さず角度αを示す複素数(a+jb)で表される場合、当該(a+jb)の絶対値(a+b1/2を算出し、複素数を(a+b1/2により正規化を行った共役の複素数(a−jb)/(a+b1/2を位相補正データとしてチャネル毎に第2のメモリ21に記憶する。複素スペクトラム信号に対して前記位相補正データを乗算することにより、車軸と走査型車載レーダのレーダー軸とのずれは補正される。例えば、実際の運用において車軸上の目標からの受信信号は(a+jb)の所定数(V)倍の大きさの複素信号として得られるので、当該受信信号は、V・(a+jb)×(a−jb)/(a+b1/2=V・(a+b)/(a+b1/2=V・(a+b1/2となり、レーダー軸のずれによる方位角の誤差は補正される。
【0035】
第2の演算部22における処理においては、走査型車載レーダの動作時に実際の反射物体からの受信信号を第1の演算部20において時間(t)についてフーリエ変換したチャネル毎の複素スペクトラム信号を入力し、第2のメモリ21の対応するチャネル毎の位相補正データとの乗算を行った後、該複素スペクトラム信号に対して空間軸方向にフーリエ逆変換し、その結果の振幅の絶対値がピークとなる値sinθ(方位の正弦)を求め、そのSin−1の演算を行うことにより方位情報を算出して出力する。また、第2の演算部22における処理として、前記空間軸方向のフーリエ逆変換の結果の振幅の絶対値の重み付け重心処理によって方位の正弦を求めて方位情報を出力するように構成することができる。ここで重み付け重心処理は、空間軸方向のフーリエ逆変換の結果の個数がn個であるとし、1番目からn番目までのsinθをそれぞれsinθ1、sinθ2、sinθ3、…、sinθnとし、それぞれの対応するフーリエ変換の結果の値をそれぞれA1、A2、A3、…、Anとすると、次式のsinθを求め、そのθを算出する処理である。
sinθ=(sinθ1×A1+sinθ2×A2+sinθ3×A3+…+sinθn×An)/(A1+A2+A3+…+An)
(他の実施の形態)
以上の実施の形態では、受信信号のサンプルのための送受信アンテナの切り換え方法として、複数の送信アンテナの切り換えに対して、1つの受信アンテナを継続的に使用するように切り換える例により説明したが、この送受信アンテナの切り換えは、前記実施の形態とは逆に1つの送信アンテナの選択切り換えに対して複数の受信アンテナの1順する切り換えを行うように構成することが可能である。
【0036】
図5は、このような送信アンテナと受信アンテナの切り換えを行う実施の形態を示す図である。
送受信アンテナは4つの送信アンテナと5つの受信アンテナで構成した例を示しており、受信信号のサンプル法としては1つの送信アンテナからの送信信号に対する受信信号を5つの受信アンテナで順次サンプルして受信するように送受信アンテナの切り換えを制御する方法である。
【0037】
図5において上段の4波形は送信アンテナTX1〜TX4がこの順に送信するパルスのタイミングを表している。中段の2波形はそれぞれ観測範囲の最小距離0mと最大距離γmaxに仮想した目標からの反射信号のタイミングであり、観測範囲にあるすべての目標の反射信号を観測できるのは両反射信号が重なるTr1、Tr2、Tr3、TR4の各区間に限られる。そこで下段に示すように、これらの区間中に受信アンテナRX1〜RX4の各出力をサンプリングし、送、受信アンテナの各組み合わせに対応するサンプル値を得る。得られたデータを前述の実施の形態と同様なフーリエ変換等の信号処理を行うことにより目標の方位情報を算出する。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の車軸方向の方位測定誤差に対する補正情報を予め記憶手段に記憶しておき、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の受信信号(複素スペクトラム信号)に対する補正値として使用するものであり、この補正情報は、車軸上に反射器を配置し、受信信号の位相から算出することにより走査型車載レーダ自体を使用して予め取得、設定することが可能であるから、送信アンテナ及び受信アンテナとそれぞれの切替スイッチ間の位相差の調整と車軸合わせが同時に実現され、方位測定精度を十分に向上させることができる。
【0039】
また、記憶手段に記憶しておく補正情報は反射器等の反射物体を車軸上に設置するのみで走査型車載レーダ自体で取得できるから、機械的調整を不要とし、車軸とレーダ軸との経時的なくるいが生じたとしても容易に補正情報を電子的に更新することが可能であり、初期設定した高い精度が半永久的に維持することが可能である。
【0040】
このように本発明の走査型車載レーダによれば送受信アンテナに対する線路長の調整及び車両への取り付け時の機械的な軸調整について高精度な調整を不要とするから、車両への取り付けに関連するコストをも低減させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の走査型車載レーダの方位補正方法及び走査型車載レーダの実施の形態を示す図である。
【図2】 本実施の形態の3個の送信及び受信アンテナを使用した場合のアンテナ切り換え方法を示す図である。
【図3】 本実施の形態の走査型車載レーダの方位の算出方法を示す図である。
【図4】 本実施の形態の位相補正データを示す図である。
【図5】 送信アンテナと受信アンテナの切り換えを行う実施の形態を示す図である。
【図6】 従来例を示す図である。
【符号の説明】
1 制御部
2 送受信部
3 信号処理部
11 発振器
12 分配器
13 送信側スイッチ
14 送信アンテナ
15 受信アンテナ
16 受信側スイッチ
17 混合器(ミキサ)
18 A/D変換器
19 第1のメモリ
20 第1の演算部(フーリエ変換)
21 第2のメモリ
22 第2の演算部

Claims (10)

  1. 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの組み合わせを切り替え、CW信号を送受信する走査型車載レーダの方位補正方法において、
    車軸上に目標物体を設置し、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の当該目標物体での反射による受信信号の位相から算出した車軸方向の方位の測定誤差に対する補正情報を予め記憶手段に記憶しておき、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の受信信号に対する補正値として使用することを特徴とする走査型車載レーダの方位補正方法。
  2. 前記補正情報は、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせ毎の前記目標物体での反射による受信信号の複素スペクトラム信号から当該複素スペクトラム信号を正規化した共役の複素スペクトラム信号とすることを特徴とする請求項1記載の走査型車載レーダの方位補正方法。
  3. 方位の測定は、受信信号を時間方向にフーリエ変換し、該フーリエ変換結果に前記共役の複素スペクトラム信号を乗算した後、空間軸方向にフーリエ逆変換することにより行うことを特徴とする請求項2記載の走査型車載レーダの方位補正方法。
  4. 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの組み合わせを切り替え、CW信号を送受信する走査型車載レーダにおいて、
    複数の受信アンテナから順次切り換えて受信した複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の受信信号を出力する受信部と、車軸上に目標物体を設置し、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の当該目標物体での反射による受信信号の位相から算出した前記受信信号に対する補正情報を記憶する記憶手段と、前記受信信号と前記記憶手段からの補正情報とにより位相誤差を抑制して方位情報を算出する信号処理部と、を備えることを特徴とする走査型車載レーダ。
  5. 前記信号処理部は、受信信号を時間軸方向にフーリエ変換して複数の送信アンテナと複数の受信アンテナの組み合わせ毎の複素スペクトラム信号を出力する第1の演算部と、前記複素スペクトラム信号に対して前記記憶手段から読み出した補正情報を乗算した後、空間軸方向にフーリエ逆変換する第2の演算部と、を備えることを特徴とする請求項4記載の走査型車載レーダ。
  6. 第2の演算部は、方位情報の算出に重み付け重心処理を行うことを特徴とする請求項5記載の走査型車載レーダ。
  7. 前記目標物体は反射器であることを特徴とする請求項4、5又は6記載の走査型車載レーダ。
  8. 前記補正情報は、反射器からの受信信号の複素スペクトラム信号から算出した当該複素スペクトラム信号を正規化した共役の複素スペクトラム信号とすることを特徴とする請求項7記載の走査型車載レーダ。
  9. 前記送信アンテナは、1つの受信アンテナが選択されているとき所定の順序に従って切り換えられることを特徴とする請求項4ないし8の何れか1つの請求項記載の走査型車載レーダ。
  10. 前記受信アンテナは、1つの送信アンテナが選択されているとき所定の順序に従って切り換えられることを特徴とする請求項4ないし8の何れか1つの請求項記載の走査型車載レーダ。
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