JP3645943B2 - 円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置 - Google Patents

円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置に関するものであり、詳しくは、装置構成を小型化することが出来、かつ、塗布工程において省力化を図ることが出来る円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、感光体ドラムは、周知の通り、平滑化加工を施したアルミニウム等からなる円筒状基体の表面に光導電性物質を塗布して製造される。また、感光体ドラムの両端には、その形状を保持し且つ駆動用歯車を取り付けて複写機などの装置内に配置するためのフランジが装着される。斯かるフランジの装着は、感光体ドラムの両端近傍の内周面に接着剤を塗布した後、各端部にフランジを嵌入してこれを固定する。
【0003】
感光体ドラムの従来の組立ラインでは、例えば、直線的に配置されたコンベヤに沿って接着剤塗布工程、フランジ取付け工程、検査工程などなどが順次設けられ、コンベヤの一端に供給した感光体ドラムの半完成品を搬送しつつ上記の組立を行う。また、従来の組立ラインにおいて、自動化された装置は主に接着剤塗布装置であり、通常、感光体ドラムのコンベヤ上への供給、フランジの取付け、組立品の検査およびコンベヤからの搬出などは作業者によって行っている。
【0004】
一方、感光体ドラム内面へ接着剤を塗布する従来の装置は、互いに接近離間可能な同軸配置された一対の円盤体と、これら円盤体の中心から突出する回転可能なノズルとを備えており、軸線が水平に位置する様に保持した感光体ドラムの両端に各円盤体を当接させて当該感光体ドラムを把持すると共に、前記各ノズルを感光体ドラムの両端へ挿入し、これらを回転させつつ接着剤を塗布する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の組立ラインは、感光体ドラムの半完成品供給工程から完成品搬出工程までが順次に配列されており、特に直線的なコンベヤの配置の場合には広範なスペースを必要とする。また、上記の組立ラインにおいては、作業者を必要とする工程が各場所に分散するため、それが仮に簡易な作業であっても集約することが難しく、省力化を図れないという問題もある。
【0006】
また、従来の接着剤塗布装置においては、円盤体によって感光体ドラムを把持する際、軸合わせを正確に行うのが難しく、把持した感光体ドラムが円盤体に対して偏心する。その結果、ノズルから感光体ドラムの内周面までの接着剤の塗布距離が変動するため、感光体ドラム内面に接着剤を均一に塗布できないという問題があり、フランジの接着不良が懸念される。しかも、従来の接着材塗布装置においては、各ノズルを回転させるため、接着剤の流量によってはノズル部分にて糸引現象を惹起し、延いては、感光体ドラムの両端を汚す恐れがあるため、ノズル部分を頻繁に清掃しなければならないという問題がある。そして、斯かる問題は、感光体ドラムの内面に接着剤を塗布する場合のみならず、円筒状ワークの内面に液状物質を塗布するその他の場合についても同様である。
【0007】
本発明は、上記の実情に鑑みなされたものであり、その第1の目的は、円筒状ワークの両端近傍の内周面に液状物質を塗布する方法および装置であって、装置構成を小型化することが出来、かつ、円筒状ワークの組立工程において省力化を図ることが出来る円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、円筒状ワークの内周面に液状物質を均一に塗布することが出来、しかも、特に、液状物質が接着剤の様に粘性を有する場合には、塗布用ノズルにおける液状物質の糸引現象をなくす様に改良された円筒状ワーク内面の塗布方法および塗布装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1の要旨は、供給排出位置と塗布位置との間にて円筒状ワークバケットに収容して往復移動させ、かつ、塗布位置にて円筒状ワークの両端近傍の内周面へ液状物質を塗布する方法であって、塗布位置において円筒状ワークの両端を保持すると共に円筒状ワークの両端から各々ノズルを挿入して液状物質を塗布し、供給排出位置においてバケットに対する円筒状ワークの供給排出を行うことを特徴とする円筒状ワーク内面の塗布方法に存する。
【0009】
また、本発明の第2の要旨は、水平な支軸(3)の周りにそれぞれ平行かつ並列に配設されて円筒状ワーク(W)を水平に収容する複数のバケット(2)、(2)と、支軸(3)を中心として、これらのバケット(2)、(2)を旋回させて供給排出位置と塗布位置との間で往復移動させる駆動機構(4)と、各バケット(2)、(2)のうち塗布位置にある一のバケット(2)に収容された円筒状ワーク(W)の両端近傍の内周面(W1)に液状物質を塗布する塗布機構(1)とから構成され、塗布機構(1)は、互いに接近離間可能に構成されて円筒状ワーク(W)の両端を把持する一対の把持部材(10)、(10)と、これら各把持部材(10)、(10)の中心に突設されて円筒状ワーク(W)を把持した際に当該円筒状ワークの両端に挿入される液状物質吐出用のノズル(11)、(11)とを備えていることを特徴とする円筒状ワーク内面の塗布装置に存する。
【0010】
そして、上記の第2の要旨の装置において、各把持部材は、互いに対向するそれらの端面に円筒状ワークの端部が嵌入し得る程度に外方に向けて拡径された凹部が形成され且つ回転可能に構成され、各ノズルは、その吐出口を略下方に向けて配置されているのが好ましい。
【0011】
上記の第2の要旨の装置において、円筒状ワークを収容したバケットは、駆動機構により、塗布機構による液状物質の塗布が可能な塗布位置供給排出位置との間を支軸を中心に旋回移動するため、1箇所での円筒状ワークの供給と搬出を可能にする。
【0012】
また、上記の好ましい態様において、各把持部材の端面に形成された凹部は、把持した円筒状ワークを当該凹部の内周面に倣わせ、その中心側へ移動させて当該把持部材と同軸に位置させるため、ノズルの噴射口から円筒状ワーク内周面までの液状物質吐出距離を一定とする。そして、各把持部材が円筒状ワークを回転させる間、吐出口を下方に向けて配置されたノズルは、円筒状ワークの下方側の内周面に液状物質を塗布するため、粘性を有する液状物質の場合、当該円筒状ワーク内の上下方向に渡って液状物質を引き回すことがない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、電子写真感光体のフランジ取付け工程への応用例として、本発明を詳細に説明する。電子写真感光体のフランジ取付け工程においては、円筒状ワークとして感光体ドラム、液状物質として接着剤が使用され、本発明は、接着剤の塗布方法および装置として利用される。本発明の接着剤塗布方法は、以下に説明する本発明の接着剤塗布装置によって実施可能である。
【0014】
図1は、本発明に係る感光体ドラム内面の接着剤塗布装置を示す平面断面図である。図2は、図1におけるII−II矢視図であり、主に接着剤塗布機構を示す正面断面図である。図3は、図1における III−III 矢視図であり、バケット端部の開放構造を示す側面断面図である。図4は、図3と同様の側面断面図であり、バケットの作動を示す説明図である。なお、本実施例においては、感光体ドラム内面の接着剤塗布装置を「塗布装置」と略記する。
【0015】
本発明の塗布装置は、図1に示す様に、水平な支軸(3)の周りにそれぞれ平行かつ並列に配設されて円筒状の感光体ドラム(W)を水平に収容する複数のバケット(2)、(2)と、支軸(3)を中心として、これらのバケット(2)、(2)を旋回させる駆動機構(4)と、各バケット(2)、(2)のうち所定位置にある一のバケット(2)に収容された感光体ドラム(W)の両端近傍の内周面(W1 )に接着剤を塗布する接着剤塗布機構(1)とから構成される。そして、接着剤塗布機構(1)は、図2に示す様に、互いに接近離間可能に構成されて感光体ドラム(W)の両端を把持する一対の把持部材(10)、(10)と、これら各把持部材(10)、(10)の中心に突設されて感光体ドラム(W)を把持した際に当該感光体ドラムの両端に挿入される接着剤吐出用のノズル(11)、(11)とを備えている。
【0016】
上記の支軸(3)は、図1に示す様に、例えば、適宜に離間して配置された一対の架台(5)、(5)の各垂直な支持板間に水平に掛け渡され、かつ、これらの支持板に軸受(51)、(51)を介して回動自在に取り付けられる。バケット(2)は、略円筒体であって且つその周面の略半周に相当する部分が感光体ドラム(W)を出し入れし得る程度に切り欠かれている。バケット(2)の数は、通常は2基とされるが、斯かるバケットの数は適宜に設定することが出来る。
【0017】
また、各バケット(2)、(2)の内周側の底部には、感光体ドラム(W)を支持するための支持座(24)、(24)が設けられており、当該支持座は、上端縁が感光体ドラム(W)の外径に等しい直径の半円弧状の板状体にて形成され、後述する接着剤塗布機構(1)の把持位置よりも僅かに低い位置にて感光体ドラム(W)を支持する。
【0018】
2基のバケット(2)、(2)は、支軸(3)に対して平行かつ並列に、そして、当該支軸に対して対称な位置に配置される。具体的には、バケット(2)、(2)の各端部は、支軸(3)の両端近傍に取り付けられたプレート(22)、(22)によって支持されている。しかも、バケット(2)、(2)の各端部には、リング(23)、(23)…が当該バケットに対して同軸に設けられ、かつ、リング(23)、(23)…は、プレート(22)、(22)に対し、ブッシュ(21)、(21)…を介して回動自在に取り付けられている。
【0019】
なお、各リング(23)、(23)…は、後述する接着剤塗布機構(1)の把持部材(10)がバケット(2)の内部に進入し得る程度の内径とされ、そして、バケット(2)、(2)の各一方のリング(23a)、(23a)の外周には、後述するバケット反転機構(6)の一部を構成する歯車が形成されている。
【0020】
上記の駆動機構(4)は、モーター(41)及びこれと支軸(3)を結合するベルト機構とから構成される。すなわち、支軸(3)の一端側には、プーリー(43)が取り付けられており、斯かるプーリー(43)は、正逆回転可能なモーター(41)のスピンドルに設けられたプーリー(42)とベルト(44)によって連結されている。従って、モーター(41)が回転した場合には、支軸(3)と共にプレート(22)、(22)が回転し、バケット(2)、(2)が支持(3)の周りに旋回する。
【0021】
本発明の装置においては、バケット(2)、(2)が旋回した際、これらバケットの切欠が常時上方へ向く様にバケット反転機構(6)が備えられており、斯かる機構は、バケット(2)、(2)の旋回方向と反対方向に各バケット(2)、(2)を自転させる機能を有する。具体的には、バケット反転機構(6)は、図1に示す様な幾つかの歯車対によって構成される。すなわち、支軸(3)の一端側に設けられた歯車(45)、(65)及び(67)と、一方の架台(5)に設けられた歯車(62)及び(63)と、上記リング(23a)、(23a)の外周側の歯車とから構成されている。
【0022】
歯車(45)は、支軸(3)に同軸に取り付けられている。また、歯車(65)及び(67)は、一体的に構成されており、支軸(3)と同軸に且つ支軸(3)に対してブッシュ(66)を介して回動自在に取り付けられている。歯車(62)及び(63)は、一体的に構成されており、支軸(3)と平行に架台(5)に突設された軸(61)に対してブッシュ(64)を介して回動自在に取り付けられている。そして、歯車(45)は歯車(62)に、歯車(63)は歯車(65)に、また、歯車(67)は各リング(23a)、(23a)の外周側の歯車にそれぞれ歯合している。
【0023】
これにより、支軸(3)が回転した場合には、当該支軸と共に回転する歯車(45)により、歯車(62)及び(63)を介し、歯車(65)が支軸(3)と同一方向で且つ当該支軸から独立して回転させられる。そして、歯車(65)に伴って回転する歯車(67)により、各リング(23a)、(23a)の歯車(43)が歯車(67)の遊星歯車として支軸(3)と反対方向に回転させられる。なお、バケット反転機構(6)の各歯車対におけるギア比は、各バケット(2)、(2)の旋回に伴ってこれらバケットの切欠が常時上方へ向く様に適宜に設定される。
【0024】
上記の接着剤塗布機構(1)は、図1に示す様に、バケット(2)、(2)の配置が水平な場合において、一方のバケット(2)に収容された感光体ドラム(W)に対して接着剤を塗布し得る様に配置される。すなわち、本発明の装置においては、図3に示す様に、バケット(2)、(2)の位置関係が水平の場合、一方のバケット(2)の位置(図1中の上方)が接着剤塗布位置とされ、また、他方のバケット(2)の位置(図1中の下方)が例えばドラム供給および排出位置とされる。
【0025】
接着剤塗布機構(1)は、図2に示す様に、バケット(2)両端の上記のリング(21)、(21)の開口を通過してバケット(2)の内部に進入する一対の把持部材(10)、(10)を備えている。各把持部材(10)、(10)は、処理を施す感光体ドラム(W)の外径よりも大きな直径の略円柱体であり、互いに軸線を水平かつ同軸に配置される。そして、各把持部材(10)、(10)は、互いに対向配置された移動架台(14)、(14)の各垂直な支持板に取り付けられている。この移動架台(14)、(14)は、本装置内においてリニアガイド(15)、(15)に取り付けられており、各把持部材(10)、(10)は、移動架台(14)、(14)の水平移動により、互いに同期して接近離間する様になされている。
【0026】
各ノズル(11)、(11)は、各把持部材(10)、(10)の軸芯に挿通され、かつ、互いに対向する状態で配置される。各ノズル(11)、(11)は、具体的な図示を省略するが、各架台(14)、(14)に付設されたシリンダー装置(16)、(16)により、こららノズルの軸線方向に進退可能に構成される。これにより、接着剤の塗布においては、塗布終了後、一旦、ノズル(11)、(11)を感光体ドラム(W)の内部まで挿入することが出来、ノズルの吐出口(12)、(12)に残留している接着剤が仮にぼた落ちした場合でもドラム内部に落ちるため、感光体ドラム(W)の端部や塗布機構を汚すことがない。なお、これらのノズル(11)、(11)には、別途備えられたポンプを通じて液状の接着剤が各々同流量で供給される。
【0027】
接着剤の塗布においては、各ノズル(11)、(11)を回転させることも出来るが、ノズル(11)、(11)を固定し、把持した感光体ドラム(W)を回転させて塗布するのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様において、接着剤塗布機構(1)の各把持部材(10)、(10)は、互いに対向するそれらの端面に感光体ドラム(W)の端部が嵌入し得る程度に外方に向けて拡径された凹部(10c)が形成され且つ回転可能に構成される。しかも、各ノズル(11)、(11)は、その吐出口(12)、(12)を略下方に向けて配置される。これにより、接着剤のより均一な塗布が可能となり、かつ、各ノズル(11)、(11)における接着剤の糸引現象を防止することが出来る。
【0028】
各把持部材(10)、(10)の凹部(10c)は、外方に向けて拡径されたテーパーの内周面を備えており、斯かる凹部(10c)によって感光体ドラム(W)を把持部材(10)、(10)と同軸に把持することが出来る。しかも、凹部(10c)の大径部は感光体ドラム(W)の外径よりも大きな直径であり、かつ、凹部(10c)の小径部は感光体ドラム(W)の外径よりも小さな直径である。従って、感光体ドラム(W)を把持した際、当該感光体ドラムは、凹部(10c)の内周面にてその両端縁が支持される。
【0029】
各把持部材(10)、(10)の回転は、図2に示す様に、一方の移動架台(14)に設けられたモーター(18)によって行われる。すなわち、各把持部材(10)、(10)は、移動架台(14)、(14)に対してブッシュ(13)、(13)を介して回動自在に取り付けられており、上記の一方の移動架台(14)に取り付けられた把持部材(1)の基端部には、歯車(17)が設けられている。そして、歯車(17)には、モーター(18)のスピンドルに取り付けられた歯車(19)が歯合している。従って、モーター(18)を駆動させた場合には、把持部材(10)、(10)によって把持した感光体ドラム(W)を回転させることが出来る。なお、上記ノズル(11)、(11)は、ブッシュ(13)、(13)の軸芯に挿通されている。
【0030】
次に、本発明の塗布装置における感光体ドラム(W)内面への接着剤の塗布方法を説明する。先ず、フランジの取り付けられていない感光体ドラム(W)を図3中の右方(図1中の下方)に示されるバケット(2)に供給して当該塗布装置を駆動させる。駆動機構(4)のモーター(41)は、一方向へ回転し、支軸(3)と共に各プレート(22)、(22)を回転させ、図4に示す様に、バケット(2)、(2)を支軸(3)周りに旋回させる。その際、バケット反転機構(6)は、各バケット(2)、(2)をそれらの切欠部が常に上方に向く様に支軸(3)と反対の方向に自転させる。すなわち、上記の構成のバケット反転機構(6)は、バケット(2)、(2)の旋回中、収容された感光体ドラム(W)の転動を防止することが出来る。
【0031】
駆動機構(4)はバケット(2)、(2)が半周旋回した位置で停止し、これらバケットの位置関係は再び図3に示す様な水平な状態となる。すなわち、感光体ドラム(W)を当初供給したバケット(2)は、図1中の上方のバケットに相当する位置に停止する。バケット(2)が所定位置で停止すると接着剤塗布機構(1)が作動する。接着剤塗布機構(1)においては、図2に示す様に、移動架台(14)、(14)が接近することにより、把持部材(10)、(10)が各リング(23)、(23)の開口を通過してバケット(2)内に進入し、支持座(24)、(24)に搭載された感光体ドラム(W)の両端を把持する。
【0032】
その際、把持部材(10)、(10)の端面に形成された凹部(10c)は、感光体ドラム(W)をテーパーの内周面に倣わせて当該凹部の中心側へ移動させ、感光体ドラム(W)を当該把持部材と同軸に位置させる。また、把持された感光体ドラム(W)は、各バケット(2)、(2)内において支持座(24)、(24)の上方に持ち上げられる。
【0033】
一方、感光体ドラム(W)が把持されると同時に、シリンダー装置(16)、(16)が作動し、各把持部材(10)、(10)の中心から突出するノズル(11)、(11)が感光体ドラム(W)の両端から挿入される。また、感光体ドラム(W)が把持されると同時に、移動架台(14)に設けられたモーター(18)が駆動し、把持部材(10)と共に感光体ドラム(W)がその軸線を中心に回転する。
【0034】
次いで、感光体ドラム(W)の両端から挿入された各ノズル(11)、(11)には接着剤が供給され、吐出口(12)、(12)から吐出される。そして、把持部材(10)が感光体ドラム(W)を回転させる間、吐出口(12)、(12)から噴射された接着剤が感光体ドラム(W)の各端部近傍の内周面(W1 )、(W1 )に塗布される。
【0035】
塗布終了後、各ノズル(11)、(11)は、一旦、感光体ドラム(W)の内部へ例えば5〜10mm程度更に前進して数秒間停止し、次いで、当該感光体ドラムの筒内から後退する。従って、本発明の塗布装置においては、吐出口(12)、(12)に残留する接着剤のぼた落ちによる感光体ドラム(W)端部の汚れを防止することが出来る。
【0036】
本発明の好ましい態様においては、感光体ドラム(W)を上記の把持部材(10)、(10)によってこれらと同軸に把持するため、ノズル(11)の吐出口(12)から感光体ドラム(W)の内周面(W1 )までの吐出距離を一定に保持することが出来、感光体ドラム(W)の両端近傍の内周面(W1 )、(W1 )へ接着剤を均一に塗布することが出来る。しかも、吐出口(12)を略下方に向けて配置されたノズル(11)、(11)は、回転する感光体ドラム(W)の下方に位置する内周面(W1 )、(W1 )に接着剤を塗布するため、ドラム内の上下方向に渡って接着剤を引き回すことがない。
【0037】
感光体ドラム(W)内面に接着剤が塗布された後は、各把持部材(10)、(10)が回転を停止して互いに離間し、感光体ドラム(W)が再び支持座(24)、(24)へ搭載される。次いで、駆動機構(4)のモーター(41)が当初の方向または逆方向に回転し、接着剤の塗布を終えた感光体ドラム(W)が収容したバケット(2)は、再び当初の供給位置(図1中の下方のバケットの位置)まで旋回させられる。
【0038】
従って、本発明の塗布装置においては、接着剤が塗布された感光体ドラム(W)を、当初の供給位置にてバケット(2)から取り出し、そして、当該感光体ドラムの両端にフランジを取り付けることが出来る。換言すれば、本発明の塗布装置では、感光体ドラム(W)の供給、排出およびフランジの取付けを1箇所で且つ1人の作業者によって行うことが出来る。なお、本発明の塗布装置においては、接着剤塗布機構(4)にて一の感光体ドラム(W)に接着剤を塗布する間、他方のバケット(2)に次の回分の感光体ドラム(W)を供給することにより、連続的作業が可能である。
【0039】
上記の様に、本発明の塗布装置においては、感光体ドラム(W)の供給排出位置と接着剤塗布位置との間をバケット(2)が往復(旋回)移動するだけであり、従来の組立ラインの様に、ドラム供給、接着剤塗布、フランジ取付け、ドラム搬出、(検査)という各工程をコンベヤにて接続する必要がないため、装置構成を小型化することが出来、占有面積を極めて小さくすることが出来る。しかも、上記の様に、1人の作業者によってドラム供給からドラム搬出(検査)までを行うことが出来るため、省力化を図ることが出来る。
【0040】
また、本発明の好ましい態様においては、接着剤の糸引現象を防止することが出来、ノズル(11)、(11)周辺への接着剤の付着を防止することが出来る。その結果、本発明の塗布装置においては、感光体ドラム(W)を汚す恐れがなく、しかも、吐出口(12)、(12)を頻繁に清掃する必要がないため、保守管理が容易である。
【0041】
本発明は、前述の通り、感光体ドラム内面の接着剤塗布方法および接着剤塗布装置として特に有用であるが、それに限らず、例えば、自動組立工程におけるマーキング用塗料の塗布、大径円筒状ワークとこれに嵌合する小径円筒状ワークとの接合工程における接合用接着剤の塗布などにも利用することが出来る。また、液状物質として潤滑剤や塗料を使用することにより、円筒状ワークの内面に潤滑性を付与したり、保護塗膜を設けることも出来る。
【0042】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、円筒状ワークの供給排出位置と液状物質塗布位置との間でバケットが移動するだけであり、装置構成を小型化することが出来、占有面積を極めて小さくすることが出来る。しかも、円筒状ワークの供給から搬出までを1人の作業者によって行うことが出来るため、省力化を図ることが出来る。また、本発明の好ましい態様によれば、液状物質を均一に塗布することが出来、かつ、液状物質が接着剤の場合においてはノズルにおける接着剤の糸引現象を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円筒状ワーク内面の液状物質塗布装置を示す平面断面図である。
【図2】図1におけるII−II矢視図であり、主に液状物質塗布機構を示す正面断面図である。
【図3】図1における III−III 矢視図であり、バケット端部の開放構造を示す側面断面図である。
【図4】図3と同様の側面断面図であり、バケットの作動を示す説明図である。
【符号の説明】
1:液状物質(例えば接着剤)塗布機構
2:バケット
3:支軸
4:駆動機構
10:把持部材
10c:凹部
11:ノズル
12:吐出口
W:円筒状ワーク(例えば感光体ドラム)
W1 :円筒状ワーク(例えば感光体ドラム)の両端近傍の内周面

Claims (6)

  1. 供給排出位置と塗布位置との間にて円筒状ワークバケットに収容して往復移動させ、かつ、塗布位置にて円筒状ワークの両端近傍の内周面へ液状物質を塗布する方法であって、塗布位置において円筒状ワークの両端を保持すると共に円筒状ワークの両端から各々ノズルを挿入して液状物質を塗布し、供給排出位置においてバケットに対する円筒状ワークの供給排出を行うことを特徴とする円筒状ワーク内面の塗布方法。
  2. 円筒状ワークを回転させつつ液状物質を塗布する請求項1に記載の円筒状ワーク内面の塗布方法。
  3. 液状物質の塗布が終了した後、円筒状ワークの両端から挿入したノズルを一旦当該円筒状ワークの内部へ進入させ、次いで、前記ノズルを当該円筒状ワークから後退させる請求項2に記載の円筒状ワーク内面の塗布方法。
  4. 水平な支軸(3)の周りにそれぞれ平行かつ並列に配設されて円筒状ワーク(W)を水平に収容する複数のバケット(2)、(2)と、支軸(3)を中心として、これらのバケット(2)、(2)を旋回させて供給排出位置と塗布位置との間で往復移動させる駆動機構(4)と、各バケット(2)、(2)のうち塗布位置にある一のバケット(2)に収容された円筒状ワーク(W)の両端近傍の内周面(W1)に液状物質を塗布する塗布機構(1)とから構成され、塗布機構(1)は、互いに接近離間可能に構成されて円筒状ワーク(W)の両端を把持する一対の把持部材(10)、(10)と、これら各把持部材(10)、(10)の中心に突設されて円筒状ワーク(W)を把持した際に当該円筒状ワークの両端に挿入される液状物質吐出用のノズル(11)、(11)とを備えていることを特徴とする円筒状ワーク内面の塗布装置。
  5. 各把持部材(10)、(10)は、互いに対向するそれらの端面に円筒状ワーク(W)の端部が嵌入し得る程度に外方に向けて拡径された凹部(10c)が形成され且つ回転可能に構成され、各ノズル(11)、(11)は、その吐出口(12)、(12)を略下方に向けて配置されている請求項4に記載の円筒状ワーク内面の塗布装置。
  6. 各ノズル(11)、(11)が円筒状ワーク(W)の内部へ進入可能に構成されている請求項5に記載の円筒状ワーク内面の塗布装置。
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