JP3645095B2 - バーンインボード、バンプ付きメンブレンリング及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボード、及びバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリング及びその製造方法等に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウエハ上に多数形成された半導体ディバイスの検査は、プローブカードによる製品検査(電気的特性試験)と、その後に行われる信頼性試験であるバーンイン試験に大別される。
バーンイン試験は、固有欠陥のある半導体ディバイス、あるいは製造上のばらつきから、時間とストレスに依存する故障を起こすディバイスを除くために行われるスクリーニング試験の一つである。プローブカードによる検査が製造したディバイスの電気的特性試験であるのに対し、バーンイン試験は熱加速試験と言える。
【0003】
バーンイン試験は、プローブカードによって1チップ毎に行われる電気的特性試験の後に、ウエハをダイシングによりチップに切断し、パッケージングしたものについて一つずつバーンイン試験を行う通常の方法(1チップバーンインシステム)ではコスト的に実現性に乏しい。そこで、ウエハ上に多数形成された半導体ディバイスのバーンイン試験を一括して行うためのバーンインボード(コンタクトボード)の開発及び実用化が進められている(特開平7−231019号公報)。バーンインボードを用いたウエハ・一括バーンインシステムは、コスト的に実現可能性が高い他に、ベアチップ出荷及びベアチップ搭載といった最新の技術的な流れを実現可能にするためにも重要な技術である。
【0004】
図4にバーンインボードの具体例を示す。
バーンインボードは、図4に示すように、多層配線基盤30上に、異方性導電ゴムシート20を介して、バンプ付きメンブレンリング10を固定した構造を有する。
バンプ付きメンブレンリング10は、被検査素子と直接接触するコンタクト部分を受け持つ。バンプ付きメンブレンリング10においては、リング1に張り渡されたメンブレン2の一方の面にはバンプ3が、他方の面にはパッド4が形成されている。バンプ付きメンブレンリング10においては、ウエハ40上の各半導体チップの周縁又はセンターライン上に形成されたパッド(約600〜1000ピン程度)に対応して、この数にチップ数を乗じた数のバンプ3がメンブレン2上に形成されている。
多層配線基盤30はメンブレン2上に孤立する各バンプ3にパッド4を介して所定のバーンイン試験信号を付与するための配線をムライト系セラミクス基板等の上に有する。多層配線基盤30は配線が複雑であるため多層配線構造を有する。
異方性導電ゴムシート20は、主面と垂直な方向にのみ導電性を有する弾性体であり、多層配線基盤30上の端子とメンブレン2上のパッド4とを電気的に接続する。異方性導電ゴムシート20は、その表面に形成された凸部でメンブレン2上のパッド4に当接することで、半導体ウエハ40表面の凹凸及びバンプ3の高さのバラツキを吸収し、半導体ウエハ上のパッドとメンブレン2上のバンプ3とを確実に接続する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようなバンプ付きメンブレンリングにいては、現段階では、パッド及びバンプの機械的強度、電気的コンタクトの耐久性、及び信頼性などの面で十分でない。
【0006】
本発明は上述した背景の下になされたものであり、パッド及びバンプの機械的強度、電気的コンタクトの耐久性、及び信頼性などの面で優れたバンプ付きメンブレンリング及びその製造方法等の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、以下に示す構成としてある。
【0008】
(構成1)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリングであって、リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面に多層配線基盤に接触させるパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するバンプ付きメンブレンリングにおいて、前記パッドの表面部に、金属バインダー層を介して、酸化しない金属を含む膜を形成したことを特徴とするバンプ付きメンブレンリング。
【0009】
(構成2)前記メンブレンと前記パッドとの間に、金属バインダー層を形成したことを特徴とする構成1に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0010】
(構成3)前記パッドがCuからなり、前記バンプがNi又はNi合金からなり、前記メンブレンがポリイミドからなることを特徴とする構成1又は2に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0011】
(構成4)前記金属バインダー層が、Ni、Crもしくはそれらを含む合金又は導電性接着剤からなることを特徴とする構成1乃至3に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0012】
(構成5)前記酸化しない金属を含む膜が、金、Au−Co合金、ロジウム、パラジウム及びこれらを含む合金のうちのいずれかからなることを特徴とする構成1乃至4に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0013】
(構成6)前記パッドの表面部に形成した前記酸化しない金属を含む膜の膜厚が、100〜1000オングストロームであることを特徴とする構成1乃至5に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0014】
(構成7)前記パッドの表面部に形成した前記酸化しない金属を含む膜の膜厚が、0.1〜10μmであることを特徴とする構成1乃至5に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0015】
(構成8)前記バンプ表面に、酸化しない金属を含む膜を形成したことを特徴とする構成1乃至7に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0016】
(構成9)前記バンプの表面部に形成した前記酸化しない金属を含む膜の膜厚が、1〜2μmであることを特徴とする構成8に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0017】
(構成10)前記パッドにおける前記酸化しない金属を含む膜よりも、前記バンプ上における前記酸化しない金属を含む膜の方が膜厚が大きいことを特徴とする構成1乃至9に記載のバンプ付きメンブレンリング。
【0018】
(構成11)構成1乃至10のいずれかに記載のバンプ付きメンブレンリングと、多層配線基盤とを具備することを特徴とするバーンインボード。
【0019】
(構成12)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリングの製造方法であって、フィルムの一方の面に導電性金属層を形成した構造のもの作製する工程と、前記導電性金属層を形成したフィルムを展開した状態でリングに固着してメンブレンリングを形成する工程と、前記導電性金属層上に、電気めっきにて、金属バインダー層、及び酸化しない金属を含む膜を順次形成する工程と、フィルムの他方の面の所定位置にレーザ又はフォトリソグラフィー法を用いてバンプホールを形成し、導電性金属層側の表面を保護した後、導電性金属層にめっき用の電極の一方を接続して電気めっきを行い、バンプを形成する工程と、前記酸化しない金属を含む膜上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして、酸化しない金属を含む膜/金属バインダー層/導電性金属層をエッチングによりパターニングしてパッドを形成する工程と、を有することを特徴とするバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0020】
(構成13)ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリングの製造方法であって、フィルムの一方の面に導電性金属層を形成した構造のもの作製する工程と、前記導電性金属層を形成したフィルムを展開した状態でリングに固着してメンブレンリングを形成する工程と、前記導電性金属層上に、金属バインダー層を形成する工程と、フィルムの他方の面の所定位置にレーザ又はフォトリソグラフィー法を用いてバンプホールを形成し、導電性金属層側の表面を保護した後、導電性金属層にめっき用の電極の一方を接続して電気めっきを行い、バンプを形成する工程と、前記金属バインダー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして、金属バインダー層/導電性金属層をエッチングによりパターニングしてパッドを形成する工程と、前記パッドの表面に、酸化しない金属を含む膜を形成する工程と、を有することを特徴とするバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0021】
(構成14)前記フィルムと前記導電性金属層との間に、金属バインダー層を形成する工程を有することを特徴とする構成12又は13に記載のバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0022】
(構成15)前記バンプを形成した直後に、バンプ表面に酸化しない金属を含む膜を電気めっきにて形成する工程を有することを特徴とする構成12乃至14に記載のバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0023】
(構成16)前記パッドがCuからなり、前記バンプがNi又はNi合金からなり、前記メンブレンがポリイミドからなることを特徴とする構成12乃至15に記載のバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0024】
(構成17)前記金属バインダー層が、Ni、Crもしくはそれらを含む合金又は導電性接着剤からなることを特徴とする構成12乃至16に記載のバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0025】
(構成18)前記酸化しない金属を含む膜が、金、Au−Co合金、ロジウム、バラジウム及びこれらを含む合金のうちのいずれかからなる膜であることを特徴とする構成12乃至16に記載のバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
【0026】
【作用】
構成1によれば、パッドの表面部に、金属バインダー層を介して、酸化しない金属を含む膜を形成することで、酸化しない金属を含む膜の付着を強固にし、剥がれにくくする。
パッドの表面部に酸化しない金属を含む膜を形成することでパッドの表面部の酸化を回避し、コンタクト抵抗の低下を回避する。
【0027】
構成2によれば、メンブレンとパッドとの間に金属バインダー層を形成することで、両者の接着性を向上させ、また、膜汚染を回避する。
【0028】
構成3では、パッド、バンプ、メンブレンについて現在のところ好ましい材料を示している。
【0029】
構成4では、金属バインダー層について現在のところ好ましい材料を示している。
【0030】
構成5では、酸化しない金属を含む膜について現在のところ好ましい材料を示している。なお、これらの膜は酸化せず、導電性も良い。
【0031】
構成6では、パッドの表面部に無電界めっきで形成する酸化しない金属を含む膜の好ましい膜厚を示している。この膜厚とすることで、バンプの化学的耐久性を確保できる。
【0032】
構成7では、パッドの表面部に電気めっきで形成する酸化しない金属を含む膜の他の好ましい膜厚を示している。
【0033】
構成8によれば、バンプの表面に酸化しない金属を含む膜を形成することで、バンプの化学的耐久性が向上する。また、バンプの表面の酸化を回避し、コンタクト抵抗の低下を回避する。
【0034】
構成9では、バンプの表面部に形成する酸化しない金属を含む膜の好ましい膜厚を示している。膜厚を厚くすることで被接触部分との付着性(コンタクト性)を良くする。
【0035】
構成10によれば、パッドにおける酸化しない金属を含む膜よりも、バンプ上における酸化しない金属を含む膜の膜厚を大きくすることで、バンプの電気的コンタクトの耐性を向上させる。
【0036】
構成11によれば、構成1乃至10記載のバンプ付きメンブレンリングを用いることで、パッド及びバンプの機械的強度、電気的コンタクトの耐久性、及び信頼性の向上へのニーズに応えることができるバーンインボードを提供できる。
【0037】
構成12によれば、導電性金属層上に、電気めっきにて、金属バインダー層及び酸化しない金属を含む膜を順次形成することで、酸化しない金属を含む膜によって導電性金属層や金属バインダー層の酸化の問題が解消できると共に、金属バインダー層によって密着性を向上でき、さらに、電気めっきにて、これらの層を一度に形成できる。
また、酸化しない金属を含む膜/金属バインダー層/導電性金属層をエッチングによりパターニングすることで、一度にパッドを形成できる。
さらに、電気めっきによると、Au等の膜厚を厚く形成することができるため被接触部分との付着性(コンタクト性)が良い。また、パッドのパターニング前に電気めっきにて均等の厚膜めっきを行うので、パッドの機械的強度、密着力を増すことができる。
【0038】
構成13によれば、導電性金属層からなるパッドとパッドの表面部の酸化しない金属を含む膜との間に、金属バインダー層を介在させることができる。
【0039】
構成14の工程によれば、フィルムと導電性金属層との間に、金属バインダー層を形成できる。
【0040】
構成15の工程によれば、バンプを形成した直後にバンプ表面に酸化しない金属を含む膜を形成することで、バンプ表面の酸化を回避し、酸化膜の除去工程が不要となる。また、電気めっきによると、Au等の膜厚を厚く形成することができるため被接触部分との付着性(コンタクト性)が良い。また、厚膜めっきにより、バンプの機械的強度、密着力を増すことができる。
【0041】
構成16では、パッド、バンプ、メンブレンについて現在のところ好ましい材料を示している。
【0042】
構成17では、金属バインダー層について現在のところ好ましい材料を示している。
【0043】
構成18では、酸化しない金属を含む膜について現在のところ好ましい材料を示している。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0045】
実施の形態1
(1)メンブレンリングの作成
メンブレンリングの作成方法について、図1を用いて説明する。
【0046】
まず、図1(a)に示すように、平坦度の高いアルミニウム板11上に厚さ5mmの均一の厚さのシリコンゴムシート12を置く。
その一方で、例えば、厚さ18μmの銅箔と、厚さ25μmのポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルム13、あるいは厚さ25μmのポリイミドフィルム上に、スパッタ法又はめっき法で銅を厚さ18μmで成膜したフィルム13を準備する。
なお、フィルム13の材料、形成方法、厚さ等は適宜選択できる。例えば、厚さ25μm(12〜50μm)程度のポリイミドフィルムや、厚さ0.3mm(0.1〜0.5mm)程度のシリコンゴムシートを使用できる。フィルムの形成方法もコーティング法で形成したり、市販のフィルム又はシートを利用したりできる。さらに、銅箔にポリイミド前駆体をキャスティングした後、ポリイミド前駆体を加熱して乾燥及び硬化させて、銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルムを形成することもできる。また、フィルムの一方の面に複数の導電性金属を順次成膜して、フィルムの一方の面に積層構造を有する導電性金属層を形成した構造のものを使用することもできる。
【0047】
次いで、上記シリコンゴムシート12上に、銅箔とポリイミドフィルムを貼り合せた構造のフィルム13を銅箔側を下にして均一に展開した状態で吸着させる。この際、シリコンゴムシート12にフィルム13が吸着する性質を利用し、しわやたわみが生じないように、空気層を追い出しつつ吸着させることで、均一に展開した状態で吸着させる。
【0048】
次に、直径約8インチ、厚さ約2mmの円形のSiCリング1の接着面に熱硬化性接着剤14を薄く均一に、50〜100μm程度の厚さで塗布し、フィルム13上に置く。ここで、熱硬化性接着剤14としては、バーンイン試験の設定温度80〜150℃よりも0〜50℃高い温度で硬化するものを使用する。本実施の形態では、ボンドハイチップHT−100L(主剤:硬化剤=4:1)(コニシ(株)社製)を使用した。
さらに、平坦性の高いアルミニウム板(重さ約2.5kg)を重石として、リング11上に載せる(図示せず)。
【0049】
上記準備工程を終えたものをバーンイン試験の設定温度(80〜150℃)以上の温度(例えば200℃、2.5時間)で加熱して前記フィルム13と前記リング1を接着する(図(1b))。
この際、シリコンゴムシート12の熱膨張率はフィルム13の熱膨張率よりも大きいので、シリコンゴムシート12に吸着したフィルム13はシリコンゴムシート12と同じだけ熱膨張する。すなわち、フィルム13を単にバーンイン試験の設定温度(80〜150℃)以上の温度で加熱した場合に比べ、より熱膨張する。このようにテンションの大きい状態で、熱硬化性接着剤14が硬化し、フィルム13とリング1が接着される。また、シリコンゴムシート12上のフィルム13は、しわやたわみ、ゆるみなく均一に展開した状態で吸着されているので、フィルム13にしわやたわみ、ゆるみなく、リング1にフィルム13を接着することができる。さらに、シリコンゴムシート12は平坦性が高く、弾力性を有するので、リング1の接着面に、均一にむらなくフィルム13を接着することができる。
なお、熱硬化性接着剤を使用しない場合、フィルムが収縮し、張力が弱まる他に、接着剤の硬化時期が場所によってばらつくため、リングの接着面に均一にむらなく接着ができない。
【0050】
上記加熱接着工程を終えたものを常温まで冷却し、加熱前の状態まで収縮させる。その後、カッターでリング1の外周に沿ってリング1の外側のフィルム13を切断除去する(図1(c))。
表面を良く洗浄した後、以下に説明するバンプ付きメンブレンの製造方法に基づいてバンプ付きメンブレンを作成することにより、バンプ付きメンブレンリングが完成する。
【0051】
なお、SiCリングの代わりに、SiN、SiCN、インバーニッケルや、その他のSiに近い熱膨張率を有し強度の高いセラミクス、低膨張ガラス、金属、その他の材料からなるリングを用いてもよい。
また、アルミニウム板の代わりに、テフロン板を用いてもよい。
さらに、シリコンゴムシートの代わりに、粘着性を持たせたフッ素ゴムを用いてもよい。
また、熱硬化性接着剤として、他の市販の各種熱硬化性接着剤を用いてもよい。例えば、エイブルボンド736等を使用できる。
【0052】
(2)バンプ付きメンブレンの製造方法
バンプ付きメンブレンの各製造工程における要部断面の概略を図2に示す。以下、図2を用いて実施の形態1のバンプ付きメンブレンの製造方法について説明する。なお、図2におけるCu/ポリイミドフィルムには、図1にて説明したように、すでにメンブレンにリングが接着されているが、リングの図示は省略してある。
【0053】
まず、図2(a)に示すCu/ポリイミドフィルムのCu上に、図2(b)に示すように、更に上層にNiを、膜厚0.1〜0.5μmにてめっき(電気めっき又は無電界めっき)して、Ni/Cu/ポリイミドフィルムを作製する。
なお、前記ポリイミドフィルムとCuの間には、両者の接着性を向上させること、及び膜汚染を防止することを目的として、特に図示しないが0.01〜1μm程度の膜厚を有するNi膜もしくはCr膜、及びこれらの金属を含む合金膜を形成してもよい。
【0054】
次に、図2(c)に示すように、ポリイミドフィルムの所定位置に、エキシマレーザを用いて、直径が約30μmのバンプホールを形成する。
次いで、図2(d)に示すように、最上層のNi膜の表面がめっきされないようにするために、保護膜(レジスト、その他の樹脂等)を、電極として使用する前記Ni膜の一部を除く全面に約2〜3μmの厚さで塗布することにより、前記Ni膜を保護する。
そして、前記最上層のNi膜に電極の一方を接続し、ポリイミドフィルム側に対してNiの電気めっきを行う。なお、前記最上層のNi膜上へのさらなるNi膜の形成を防止するためには、保護膜を塗布する以外にも、治具を使用して前記Ni膜を保護することもできる。
電気めっきによって、バンプホールのある所定の位置において、図2(d)に示すように、前記バンプホール内をNiで埋めるように成長した後、ポリイミドフィルムの表面に達すると、等方的に広がって、ほば半球状に成長し、前記ポリイミドフィルム上に選択的にバンプが形成される。
その後、特に図示しないが、保護膜を剥離する。
なお、特に図示しないが、前記保護膜の剥離前に、Niからなるバンプの表面に無電解めっきにより100〜1000(好ましくは100〜500)オングストロームの膜厚のAu膜等を形成することもでき、この場合、バンプの化学的耐久性を向上させることができる。
【0055】
次に、最上層のNi膜上に、新たにレジストを厚さ約2〜3μmで全面に塗布し、露光、現像により、図2(e)に示すようにレジストパターンを選択的にパッド形成部に形成する。
【0056】
次に、特に図示しないが、図2(d)の工程と同様の手段すなわち保護膜もしくは治具を使用してバンプを保護した状態で、図2(f)に示すように、金属膜(Ni/Cu/ポリイミドフィルム)をウェットエッチングし、所望の形状に加工することによって、直径約150μm□のパッドを形成する。
【0057】
レジスト剥離後、図2(h)に示すように、コンタクト抵抗を下げるために、パッド表面の前記Ni膜上に無電解Auめっきにより厚さ約100〜1000(好ましくは100〜500)オングストロームのAuめっきを行い、前記Ni上にAu膜を形成する。Au膜は酸化されないので、パッド表面に酸化膜が形成されることはない。
【0058】
以上説明した図2(a)〜(b)の工程を経て、バンプ付きメンブレンリングが製造される。
このバンプ付きメンブレンリングは、パッドの機械的強度、電気的コンタクトの耐久性、及び信頼性などの面で優れている。
【0059】
なお、上記の工程を経て製造されたバンプ付きメンブレンリングは、パッドを先に形成した後にバンプを形成する工程を経て製造されたバンプ付きメンブレンリングと比べると、バンプめっきの均一性、孤立パターンの形成し易さという点で有利である。すなわち、パッドを形成した後に、バンプホールを形成してバンプを電気めっきで形成する工程の場合、まず、パッドとなる孤立パターンから細いパターンを引き回して電流経路(配線パターン)を形成し、その後バンプホールを形成しバンプメッキを行っているので、配線長のバラッキ、バンプ付近の抵抗値のバラツキによって、バンプめっきが不均一となってしまい、形成されるバンプが不均一なものとなってしまう。また、孤立したパッドを得るために、配線パターンをエッチングにより除去する必要があるので手間がかかってしまい、孤立パターンの形成し易さという点で不利であるという問題点があった。
これに対し、実施の形態1に示す製造工程では、バンプ形成を先に行っているので上記問題がない。
また、実施の形態1に示す製造工程では、バンプ付きメンブレンリングの機能を重視しており、位置精度を鑑みて、リングに均一な張力をもってフィルムに接着した後に、メンブレンの加工を行っているので、加工し易く、その状態にてバンプを形成しているので、位置精度的にも優れた均一なバンプを形成することができ、また、バンプ形成後のCu/ポリイミドメンブレンの方が均一な張力をもっているので加工し易く、さらに実施の形態1に示す製造工程では製造工程に起因した狂いがなく良品を生産できる。
したがって、実施の形態1に示す製造工程によれば、効率よく、信頼性の良い、ウエハバーンイン試験に用いられる装置としてのバンプ付きメンブレンリングを製造することができる。
【0060】
(3)ガラス多層配線基盤の作成
次に、ガラス多層配線基盤の作成について説明する。
ガラス多層配線基盤は、例えば、低膨張無アルカリガラス(例えば、NA40:HOYA(株)社製)等の基板上に、Cr(約200オングストローム)/Cu(約2.5μm)/Ni(約0.2μm)層をスパッタ法で順次形成し、その上に、ポリイミド樹脂をコートし、これを周知のリソグラフィー法でパターニングし1層日の絶縁層を形成する。これらの工程を繰り返し配線層及び絶縁層を積層して、4層構造の多層配線基盤を作成した。なお、最上層のCu層は機械的強度を考慮し10μm以上の厚さとした。
なお、基板としては、Siと膨張率が同じか又はSiと膨張率が近いガラス基板、セラミクス基板、ガラスセラミクス基板等を使用できる。
【0061】
(4)バーンイン試験
次に、バーンイン試験について説明する。
バーンイン試験は、図4に示すように、バキュームチャック(図示せず)上に載せたSiウエハ40上に、バンプ付きメンブレンリング10、異方性導電ゴムシート20、ガラス多層配線基盤30の順に載せ、全体を吸着固定してウエハ40上の各デバイスをガラス多層基盤30にプリントボード(図示せず)を介して接続したテスターに評価していく。
その結果、パッドの機械強度が大きく、接触抵抗が低く、1万個形成してあるパッド、バンプの電気的抵抗のバラツキが見られなくなり、1000回以上の耐久性も確認されたので、充分に実用性があることが確認された。
【0062】
実施の形態2
しかしながら、実施の形態1によるバンプ付きメンブレンの製造方法においては、図2(a)に示すポリイミド上のCu膜や、図2(b)に示すNi膜上に酸化膜を作ってしまい、酸化膜の除去工程が必要となる。
また、パッド及びバンプのAuめっきにおいても、無電解めっきを行っており、膜を厚付けすることができない。無電解Auめっきにより形成されるAuは純金であるため、機械的強度及び密着力はきわめて弱く、実用性に劣る。
さらには、バーンイン試験の加熱は120℃程度にて長時間行っているため、Ni膜が薄いことに起因して、Au膜形成後のバンプ付きメンブレンにおいて、NiがAu膜中に拡散され、酸化が起こりコンタクト抵抗が上昇してしまうという問題がある。
実施の形態1のメンブレンリングの製造方法においては、これらの点で改善の余地を残している。
そこで、実施の形態2は、上述した点を改善したバンプ付きメンブレンリングの製造方法を提供する。
【0063】
図3に実施の形態2のバンプ付きメンブレンリングの各製造工程における要部断面図を示す。以下、実施の形態2のバンプ付きメンブレンリングの製造方法について図3を用いて説明する。
なお、図3では、実施の形態1と同様に、メンブレンにリングが接着されているが、リングの図示は省略する。また、ガラス多層配線基盤の作成、ウエハバーンイン試験については、実施の形態2に記載したものと同様であるため、実施の形態2においては、説明を省略し、実施の形態1と同様の事項については説明を省略する。
【0064】
まず、図3(a)に示すCu/ポリイミドフィルムを準備する。ここで、Cu膜上に酸化膜が形成されている場合は、希硫酸に浸漬してCu膜上の酸化膜の除去処理を行った上で、次に示す図3(b)の工程へ移行させる。酸洗浄直後などのようにCu膜上に酸化膜が形成されていない場合は、直ちに次の図3(b)工程へ移行させる。
なお、ポリイミドとCuの間には、両者の接着性を向上させること、及び膜汚染を防止することを目的として、特に図示しないが薄いNi膜を形成してもよい
。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、電気めっきによりCu上にNiを0.2〜0.5μmめっきした後、その上にAuを0.1〜0.2μmで形成して、Au/Ni/Cu/ポリイミドフィルム積層膜構造を形成する。ここで、Cu膜とAu膜との間の薄いNi膜は、両者の接着性を向上させることを目的として形成している。
なお、無電解めっきでNiを0.2〜0.3μm、ついでAuを0.1μm以下で形成することもできるが、無電解めっきは膜を厚付けできず、密着力及び強度が弱いため、電気めっきを適用してNi膜、Au膜を形成するのが好ましい。
【0066】
次いで、図3(c)に示すように、ポリイミドフィルムの所定位置に、エキシマレーザを用いて、直径が約30μmのバンプホールを形成する。
【0067】
次に、図3(d)に示すように、最上層のAu膜の表面がめっきされないようにするために、保護膜等を、電極として使用するAu膜の一部を除く全面に約2〜3μmの厚さで塗布して、Au膜を保護する。
なお、最上層のAu膜上へのNi膜形成を防止するために、Au膜上に保護膜を塗布する以外にも、治具を使用してNi膜を保護することもできる。
【0068】
次いで、前記最上層のAu膜に電極の一方を接続し、ポリイミドフィルム側にNiあるいはNi合金の電気めっきを行う。この電気めっきにより、めっきは図3(d)に示すバンプホールを埋めるようにして成長した後、ポリイミドフィルムの表面に達すると、等方的に広がってほぼ半球状に成長し、NiまたはNi合金からなるバンプが形成される。
続いて、バンプの表面に膜厚1〜2μmのAuからなる電気めっき層を形成する。このように、バンプを形成した直後にバンプ表面に酸化しない金属を含む膜を形成することで、バンプ表面の酸化を回避し、酸化膜の除去工程が不要となる。
その後、特に図示しないが、前記保護膜を剥離する。
【0069】
そして、図3(e)に示すように、最上層のAu上に新たにレジストを全面に塗布し、パッドを形成する部分以外のレジストを露光、現像によって除去し、パッド形成部に図3(f)に示すように、レジストパターンを形成する。
【0070】
次いで、Auをヨウ素、ヨウ化カリウム水溶液にてエッチングし、AuとCu間に存在する薄いNi膜及びCu膜を塩化第二鉄水溶液にてエッチングを行い、よくリンスした後、前記レジストを剥離する。この時、エッチングはスプレー方式を使用するとサイドエッチングが少なく、望ましい。
【0071】
以上の工程を経て、バンプ付きメンブレンリングが製造される。
【0072】
なお、実施の形態2においては、AuめっきのかわりにAu−Co合金による電気めっきをパッド表面、及びバンプ表面にめっきすることによっても同様な効果を得ることができる。この場合、AuよりもAu−Co合金の方がバンプ及びパッド表面の摩耗が少ない。すなわち、バンプのAuめっきは電気めっきなので、合金を形成することができ、純金ではやわらかすぎるので、合金にすることにより硬度を上げて最上層膜を形成することができる。また、Au、Au−Co合金のかわりに、バラジウム、ロジウムもしくはそれら金属を含む合金を形成しても同様の効果を得ることができる。
実施の形態2のバンプ付きメンブレンリングは、実施の形態1と比較すると、パッド部の金を電気めっきにて形成しているので、めっきを短時間で行うことができ、さらには剥がれにくくすることができる。さらに、実施の形態2においては、金の膜厚を厚く形成することができるため、被接触部分との付着性(コンタクト性)が良い。
また、実施の形態2のバンプ付きメンブレンリングの製造方法は、パッドのパターニング前に電気めっきにて均等の厚膜めっきを行うので、パッドの機械的強度、密着力を増すことができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の態様に限定されず、本発明の範囲内で適宜変形実施できる。
例えば、パッド、バンプ、メンブレン等の材料は、上記実施の態様で使用したものに限定されない。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、パッド及びバンプの機械的強度、電気的コンタクトの耐久性、及び信頼性の向上へのニーズに応えることができるバンプ付きメンブレンリング及びバーンインボードを提供できる。
また、本発明のバンプ付きメンブレンリングの製造方法によれば、効率よく安定して本発明のバンプ付きメンブレンリングを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の態様におけるメンブレンリングの形成工程を説明するための断面図である。
【図2】本発明の一実施態様に係るバンプ付きメンブレンリングの形成工程を説明するための断面図である。
【図3】本発明の他の実施態様に係るバンプ付きメンブレンリングの形成工程を説明するための断面図である。
【図4】バーンインボードを模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 リング
2 メンブレン
3 バンプ
4 パッド
10 バンプ付きメンブレンリング
11 アルミニウム板
12 シリコンゴムシート
13 フィルム
14 熱硬化性接着剤
20 異方性導電ゴムシート
30 多層配線基盤
40 シリコンウエハ
Claims (7)
- ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリングであって、
リングに張り渡されたメンブレンの一方の面に各半導体デバイスに接触させるバンプを有するとともに、メンブレンの他方の面に多層配線基盤に接触させるパッドを有し、メンブレンを貫通して形成されたバンプホールを介して前記バンプと前記パッドとを接続した構造を有するバンプ付きメンブレンリングにおいて、
前記パッドの表面部に、金属バインダー層を介して、酸化しない金属を含む膜が形成されており、
前記酸化しない金属を含む膜は、無電解めっきにより形成したものであることを特徴とするバンプ付きメンブレンリング。 - 前記酸化しない金属を含む膜が、金、Au−Co合金、ロジウム、パラジウム及びこれらを含む合金のうちのいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載のバンプ付きメンブレンリング。
- 前記パッドは、Cuからなり、
前記酸化しない金属を含む膜は、金からなり、
前記金属バインダー層は、Niからなることを特徴とする請求項1に記載のバンプ付きメンブレンリング。 - 前記パッドの表面部に形成した前記酸化しない金属を含む膜の膜厚が、100〜1000オングストロームであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバンプ付きメンブレンリング。
- 前記パッドの表面部に形成した前記酸化しない金属を含む膜の膜厚が、100〜500オングストロームであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のバンプ付きメンブレンリング。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のバンプ付きメンブレンリングと、多層配線基盤とを具備することを特徴とするバーンインボード。
- ウエハ上に多数形成された半導体デバイスのバーンイン試験を一括して行うために使用されるバーンインボードにおけるコンタクト部分を受け持つバンプ付きメンブレンリングの製造方法であって、
導電性金属層を形成したフィルムを準備する工程と、
前記導電性金属層を形成したフィルムを展開した状態でリングに固着してメンブレンリングを形成する工程と、
前記導電性金属層上に、金属バインダー層を形成する工程と、
フィルムの他方の面の所定位置にレーザ又はフォトリソグラフィー法を用いてバンプホールを形成し、導電性金属層側の表面を保護した後、導電性金属層にめっき用の電極の一方を接続して電気めっきを行い、バンプを形成する工程と、
前記金属バインダー層上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして、金属バインダー層/導電性金属層をエッチングによりパターニングしてパッドを形成する工程と、
前記パッドの表面に、無電解めっきにより酸化しない金属を含む膜を形成する工程と、
を有することを特徴とするバンプ付きメンブレンリングの製造方法。
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