JP3644856B2 - 高炉への補助燃料吹込み操業方法 - Google Patents

高炉への補助燃料吹込み操業方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉への補助燃料吹込み操業方法に関し、詳細には補助燃料として燃焼性に優れる微粉炭を、ラバール(Laval) 型式の羽口を用いて高炉へ吹込む、高炉への補助燃料吹込み操業方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように従来、高炉では、鉄鉱石(ペレット、焼結鉱を含む)、コークス、石灰石などを上部から装入する一方、下部の羽口から高温の空気を供給することで、コークスを燃料(熱源)及び還元剤として鉄鉱石を還元、溶解し、銑鉄の製造がなされてきたが、その後、製造コストの高いコークスの使用量を低減するため、またコークス炉の老朽化対策としてコークス炉の稼働率を軽減するため、等の理由から、コークスに換わる燃料として高炉羽口から補助燃料を吹込む高炉への補助燃料吹込み操業方法が広く実施されるようになってきた。
【0003】
補助燃料としては、当初、燃焼性に優れる重油等の液体燃料が用いられたが、先のオイルショック以降、重油価格が高騰し、近年では、石炭を粉砕した微粉炭をコークスの一部代替燃料として羽口から吹込む所謂微粉炭吹込み操業(以下PCI操業と言う)が一般的となりつつある。また更に、最近になって、環境問題への対応の一環として、廃プラスチックに代表される廃棄合成樹脂材並びに廃棄物由来の固形燃料を羽口を介して高炉内に供給し、熱源及び還元剤として供することが提案されてもいる。
【0004】
ところで、溶銑コストの低減を進めるためには、微粉炭、重油等の補助燃料の吹込み比を増量しコークスを減量することが最も効果的な方法であるが、従来よりブローパイプに接続して普通に用いられてきた羽口〔例えば第3版鉄鋼便覧第II巻製銑・製鋼(第 306頁図 5・170)、特開昭64−4410号公報、特開平 3−240908号公報参照〕(以下通常羽口と称す)では、羽口からの補助燃料吹込み比を増大した場合には、補助燃料が羽口内で燃焼ガス化するためにガス体積が増し羽口圧損が上昇すること、更には羽口先のレースウエイ内での燃焼性が悪化するためコークスとの置換率が悪化すること、等が確認され、これらが補助燃料吹込み比増量を律速すると言われている。
【0005】
そこで、上記問題を改善するために、上記通常羽口を用い補助燃料として微粉炭を吹込む場合において、例えば、微粉炭の吹込みランスの先端位置を最適位置に設定する、あるいは揮発分の高い微粉炭や粒度構成を細粒よりに移行した微粉炭を用いる、等々の改善が図られてきたが、これらの改善がなされても上記通常羽口より安定して吹き込める微粉炭の量は微粉炭吹込み比で 150kg/銑鉄t程度である。
【0006】
一方、特公昭53− 19442号公報、特公平 1− 28804号公報、特開平 2−104604号公報には溶鉱炉(高炉)の羽口として用いられるラバール(Laval) 型式の羽口(以下ラバール羽口と称す)の提案がされている。
【0007】
例えば、特公昭53− 19442号公報(特に第1頁第2コラム第8行〜第2頁第3コラム第1行)には、溶鉱炉などシャフト炉において使用されるコークス等の固体燃料の価格が高いことから、その1部を液体状の炭化水素補助燃料に代え、その補助燃料をシャフト炉に開口する送風管内に噴射して行う技術に用いる羽口としてラバール羽口が提案されている。このラバール羽口は、音速炉口を構成する先細部と末広部及び羽口内で燃料を噴射する噴射管を有する取換え可能な第1部材と、この第1部材に連なり第1部材の末広部に延長して末広部を構成する固定の第2部材とで基本的に構成されている。そして、このラバール羽口では、羽口の末広部において超音速流の状態から亜音速の状態に推移する条件すなわち、末広部において衝撃波が形成されるような条件をつくり、その衝撃波の上流に燃料を噴射することで、噴射された燃料が衝撃波帯域を通過するときに、燃焼媒体中への分散作用が効果的になり、煤を生成することなく燃料の噴射率を高くすることができる。と説明されている。なお、このラバール羽口においては、末広部内に衝撃波を生じさせるためには、そのシャフト炉の燃焼媒体の供給速度に応じた、炉口(縮流部)の設計が必要であることから、この点に着目し、燃焼媒体供給速度により、炉口の形状を変化できるように、第1部材を取換え可能としている。
【0008】
また、特公平 1− 28804号公報には、高炉に用いられる送風羽口自体を、中央部が入口径及び出口径より小径に形成された所謂ラバール羽口とすることが提案されている。そして同公報には「このラバール羽口においては、羽口の入側で亜音速の風は中央部(喉部)ではマッハ数M=1となり、羽口の出口側では超音速の流れとなるもので、この出口側の風速を超音速とするには羽口の入口と出口の風の圧力によって決定される。そして、このラバール羽口よりの超音速流は乱流圧縮性自由噴流となり、ラバール羽口の出口の速度が保持されて高炉の奥深くまでそのエネルギーが伝えられるものであり、その速度コアはマッハ数が大きい程長いのである。」と大要説明され、そして更に、このラバール羽口によれば、次の如き効果があると説明されている。▲1▼:デッドマンと称される不活性な炉芯が狭小化し、稼働内容積の増大による送風量を増加することができ出銑量が増加する。▲2▼:高炉下部の反応性が増大し、直接還元率の上昇による燃料比を低減できる。▲3▼:高炉の中心操業化ができ、炉体熱損失減少による燃料比低減と炉床銑滓流の中心流化により炉体保護及び炉底保護ができる。▲4▼:羽口前運動エネルギーの増大及びレースウエイの深化により羽口破損回数が減少する。▲5▼:劣性コークス使用下ではレースウエイが浅くなるといわれているが、レースウエイ維持が可能となる。
【0009】
また、特開平 2−104604号公報には、微粉炭を多量に吹き込む高炉の羽口構造に係わり、スロート部(喉部)を境として前部管と後部管とし、その前部管の長さを羽口長さの0.2 乃至0.6 とする所謂ラバール羽口が提案されている。そして同公報には「微粉炭が混合された熱風は後部管から前部管に入るがスロート部を通るとき流速を105m/s 以上とされ、前部管の先端から高炉内に吹き込まれる。」、また「スロート部でのガス流速は逆火限界速度である105m/s 以上としてあるので、微粉炭の燃焼は後部管より内部で生じことはない。」、更に「このラバール羽口によれば、前部管の長さを羽口長さの0.2 乃至0.6 としているので、羽口先の流速を高めて逆火現象が防止され、また前部管の摩耗を減少することができる。」と説明されている。
【0010】
ところで、上述したラバール羽口の場合、例えば、特公昭53− 19442号公報に説明されたラバール羽口では、燃焼媒体(熱風)を末広部内において衝撃波を生じる条件で供給するとともに、その衝撃波の上流に燃料(補助燃料)を噴射するので、噴射された補助燃料が衝撃波帯域を通過するときに熱風中へ分散供給されることが期待でき、更に煤を生成することなく燃料の噴射率を高めることが期待できる反面、次のような問題が懸念される。すなわち、▲1▼:第1、第2部材の2つの部材を必要とするため、従来の通常羽口に比して羽口破損等のトラブル時には、取り換え・復旧作業が煩雑化し、長時間を要する可能性から炉冷え等の危険性が増す。▲2▼:補助燃料吹込み時に、末広部内で衝撃波を形成するために、その時々で衝風条件(生産条件)に適した先細部と末広部、音速炉口径を有する第1部材に設置し直す必要がある。▲3▼:また、近年の主流である炉頂圧力を高く保つ高圧高炉操業では、第1部材入口での圧力を、末広部で衝撃波を形成させるに必要な圧力にまで、燃焼媒体を昇圧させる必要があるため、ブロワー、配管等の設備負荷が増大する。▲4▼:補助燃料の噴射孔がラバール羽口の内周面に形成されているため、補助燃料が必ずしも熱風中へ分散供給されるとは限らない。▲5▼:第1部材は、音速炉口を構成する先細部と末広部及び羽口内で燃料を噴射する噴射管を有し取換え可能に構成されているため、形状が複雑である上に末広部において衝撃波を生じる形状に構成されなければならず、実用性が懸念される。
【0011】
また、特公平 1− 28804号公報に説明されたラバール羽口では、ラバール羽口からの超音速流は乱流圧縮性自由噴流となり、ラバール羽口の出口の速度が保持されて高炉の奥深くまでそのエネルギーが伝えられるものの、このラバール羽口を用いて補助燃料を併せて吹込むことについては記載がされていない。
【0012】
また、特開平 2−104604号公報に説明された微粉炭吹込みラバール羽口では、羽口先の流速を高めて逆火現象を防止し得ることで多量の微粉炭の吹込みが期待できるものの、その微粉炭の供給は、同公報の第2頁下段左第9〜13行に「微粉炭が混合された熱風は後部管から前部管に入るが、スロート部を通るガスは流速を105m/s 以上とされ、前部管の先端から高炉内に吹き込まれる。」と大要説明されているように、微粉炭はラバール羽口の上流側で熱風に混合されてラバール羽口より供給されるため、逆火現象は防止できても、前部管内及び前部管を出たところで激しく燃焼が起こり背圧が高くなるため、良好な衝風条件(生産条件)が期待できない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述したように通常羽口を用いたのでは、補助燃料として安価な微粉炭を用いた場合に安定して吹き込める微粉炭量が微粉炭吹込み比でせいぜい 150kg/銑鉄t程度であって、これ以上の微粉炭吹込み量の増大が難しく高価なコークスの使用量の低減(コークス比の低減)が期待できにくいこと、及び本出願人も特公平 1− 28804号公報に提案しているように、ラバール羽口を用いると衝風条件(生産条件)によっては高炉内深く熱風が供給できること、に着目してなしたものであって、その目的は、微粉炭吹込み比 150kg/銑鉄t以上の微粉炭を高炉へ安定して吹込み、高価なコークスの使用を極力抑制した高炉への補助燃料吹込み操業方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するために、鋭意調査、検討を重ね、従来技術の項で説明したような現状を把握し、更に本出願人が先に特公平 1− 28804号公報に提案したラバール羽口に着目するとともに、通常羽口に用いられている補助燃料吹込みランスに着目して本発明をなしたものである。そして、その要旨(請求項1)は、羽口に接続されたブローパイプの接続部近傍から羽口先端に至る間の管内に、ブローパイプの内径及び羽口先端の内径より小径の縮径部を有し、且つ、補助燃料吹込みランスの先端位置が前記縮径部より羽口先端側に配設されてなる補助燃料吹込み羽口より補助燃料を吹込む高炉への補助燃料吹込み操業方法であって、前記補助燃料吹込み羽口より、揮発分の平均値が25%以上である微粉炭を吹込む、高炉への補助燃料吹込み操業方法とするものである。
【0015】
上記構成では、先願のラバール羽口の構造を利用するものであるが、羽口の内径が大径であったり、あるいは羽口の全長が比較的短い場合なども考慮して、羽口に接続されたブローパイプの接続部近傍を含めてラバール羽口に構成してもよいとしたもので、羽口自体でラバール羽口が構成できる場合には羽口自体でラバール羽口を構成してもよい。このラバール羽口では縮径部を出た流れは高速の中心流と縮径部の下流側の末広部に沿った拡がりのある流れとができ、これによって高炉深く深度のある且つ拡がりのあるレースウエイが形成できる。そして、上記構成では、このラバール羽口に対して補助燃料吹込みランスの先端位置を、縮径部より羽口先端側に配設するものである。すなわち、補助燃料吹込みランスの先端位置がラバール羽口の縮径部より後方(送風方向の上流側)に配設した場合には、補助燃料が縮径部の上流側で混合されてしまい、その結果、縮径部より下流側の末広部内で、あるいはその末広部を出た近傍で激しく燃焼し羽口内圧損が高くなり、良好な衝風条件(生産条件)が期待できなくなる。これに対して、補助燃料吹込みランスの先端位置を、ラバール羽口の縮径部より羽口先端側に配設した場合には、縮径部を経た熱風が補助燃料吹込みランスの先端部によって攪拌されるので、吹込まれた補助燃料が熱風中に攪拌分散されながら高速で高炉内に吹込め、これにより、縮径部より下流側の末広部内で、あるいはその末広部を出た近傍で激しく燃焼することがなく羽口内圧損を低くして高炉内深く補助燃料を吹き込んで燃焼させることができる。
【0016】
ところで、ラバール羽口に対して補助燃料吹込みランスの先端位置を、縮径部より羽口先端側に配設しても、補助燃料吹込みランスより吹込まれる補助燃料が微粉炭の場合には、補助燃料が重油のような液体、天然ガスのような気体の吹込みと比較して末広部内で、あるいはレースウエイ内での燃焼率が低いため、未燃物がレースウエイから排出されることが懸念される。もし、未燃物がレースウエイから排出された場合には、その未燃物が高炉の軟化融着帯で軟化した鉄鉱石に吸着され、直接還元反応でガス化(例えばFeO +C =Fe+CO)することになるが、ガス化が不十分で、この未燃物が高炉内をガスと共に上昇するとき、この未燃物が通気抵抗になる。あるいはそのまま炉外に排出され有効に利用されない。一方、特許第 2675403号公報には、通常羽口において揮発分が23%以上、流動度指数が0.80以下の微粉炭を用いて高炉へ吹込む、高炉の微粉炭吹込み操業方法が提案されているが、この提案の操業方法では、高炉内に吹込まれた微粉炭の燃焼性は高まるものの、上記従来技術の項で説明したように通常羽口内での燃焼性も高くなるため羽口内圧力損失が増大し効果的な微粉炭吹込みができにくい。事実、同公報の第2頁第4コラム第2〜4行に記載されているように 120kg/銑鉄t程度の微粉炭吹込みでしかない。
【0017】
そこで本発明では、ラバール羽口の縮径部より羽口先端側に配設した補助燃料吹込みランスより、揮発分の平均値が25%以上である微粉炭を吹込むことにしたものである。すなわち、このような特性の微粉炭は詳細を後記するように燃焼性が高いため、通常羽口で吹込んだ場合には、羽口内での燃焼性を高め羽口内圧損を高めるが、ラバール羽口では吹込み位置が末広に形成されているので羽口内圧損の増大はほとんどなく、むしろ燃焼圧がレースウエイに向かうため幅のある深度のあるレースウエイが形成できるとともに、そのレースウエイ内での燃焼性が得られるため未燃物の発生が抑制でき、これにより、高炉への微粉炭吹込みが、微粉炭吹込み比 150kg/銑鉄t以上、更には微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t乃至 300kg/銑鉄t以上を安定して吹込むことができるようになり、従って高価なコークスの使用を低減できコークス比を下げることができる。
【0018】
また、上記のように、補助燃料吹込みランスの先端位置をラバール羽口の縮径部より羽口先端側に配設することで、縮径部を経た熱風が補助燃料吹込みランスの先端部によって攪拌され、その結果、吹込まれた補助燃料がラバール羽口の縮径部より先で熱風中に攪拌分散されるので、縮径部の先の末広部での熱風速度を、特公昭53− 19442号公報に説明されているような衝撃波を発生させるような超音速(M>1)にしてまでも攪拌分散させる必要がなく、亜音速(0.3<M<0.8)程度で、十分補助燃料を分散させ、しかも幅のある且つ長さのある良好なレースウエイを形成させて補助燃料を高炉内に吹込むことができる。また、亜音速の場合には、超音速の場合に比較して送風圧力が低くてよいことから、ブロワーや送風管などの送風設備のコストを低く抑えることができる。
【0019】
次に、本発明で、揮発分の平均値が25%以上である微粉炭を用いる理由を以下に説明する。
本発明者等は、詳細を後記する図1に示すラバール羽口を全羽口の50%について高炉に装備した場合と、比較のため全羽口を従来より用いられている先細り型羽口(通常羽口)のままとした場合の、それぞれにおいて揮発分の平均値を変化させた微粉炭を準備して吹込み、その時の風圧変動を調査した。その調査結果を図2に示す。なお、使用した微粉炭の平均粒径は70μm 、そのときの微粉炭吹込み比は 200kg/銑鉄tである。また、図2には調査した風圧変動を通常羽口に対する相対値で示す。
【0020】
図2から明らかなように、微粉炭の平均揮発分(VM)が25%以上の微粉炭では、羽口からレースウエイ内でのガス化が活発に生じ、通常羽口では、羽口内圧損の上昇に起因する風圧変動の増加が極めて大きくなり、高炉の安定操業継続が困難となるのに対して、本発明では、微粉炭の平均揮発分が25%以上より多くなっても風圧変動の増加は極めて少なく高炉の安定操業ができる。
【0021】
また、上記構成の本発明では、微粉炭の平均粒径は 100μm 以下とすることが好ましく、その理由は、揮発分の平均値がVM=32%の微粉炭を準備して上記と同要領で高炉に吹込み、その時の風圧変動と平均粒度との関係を調査した結果に基づくもので、図3にその調査結果を示す。すなわち、図3から明らかなように、微粉炭の平均粒径が 100μm 以下の条件では、反応比表面積が大きく通常の衝風条件(生産条件)下においては、ガス発生、燃焼が羽口内部で開始されるため、羽口出口を通過するガス体積が増大することなどから、通常羽口においては羽口内圧損が大きくなり風圧変動の増大が顕著である。これに対して、本発明では風圧変動の増大はわずかであり羽口内圧損が小さいことが窺える。
【0022】
以上のように羽口内での燃焼性が優れる微粉炭を使用したときの本発明方法の風圧変動抑制効果については次のように説明できる。すなわち、通常羽口ではガスの流路が狭小化する過程でガスの膨張が生じるため羽口内での圧損増大及び、レースウエイへの噴出時の背圧が増大し風圧変動を生じる。これに対して、本発明のラバール羽口の場合は微粉炭吹込みランスから吹き込まれた微粉炭は主として、ラバール羽口の末広部において着熱・ガス化するため流路の拡大方向にガス膨張が生じることになり、背圧の影響を受けにくく羽口内圧損に起因する風圧変動が抑制されるうえに、レースウエイ噴出時の渦スケールも通常羽口より小さく、乱流渦発生に起因する風圧変動も減少する。
【0023】
更に、上記構成の本発明では、微粉炭として複数炭種の配合炭を用いる場合には、その配合の15%以上が揮発分40%以上の高揮発分炭とすることが好ましい。その理由は、揮発分の平均値がVM=32%となるように高揮発分炭の配合率を変えて準備した微粉炭を、上記と同要領で高炉に吹込み、その配合率に対する実炉レースウエイ奥での微粉炭燃焼効率の関係及び風圧変動への影響をそれぞれ調査した結果に基づくもので、その調査結果を図4、図5にそれぞれ示す。すなわち、図4から明らかなように、高揮発分炭の配合率が15%以上では、従来の通常羽口を用いた場合、本発明共に微粉炭燃焼効率が顕著に向上する。これは、補助燃料吹込みランスの先端では、混合状態で吹き込まれた微粉炭が羽口内を分散、昇温する過程で高揮発分炭が先行してガス化・着火・燃焼し、周囲の微粉炭に対する着熱を促進すると同時に、燃焼媒体中への分散効果を高め、酸素との接触効率を上昇させるためと推測される。また、本発明の方が通常羽口に比べて燃焼効率が優れる理由は、ラバール羽口の縮径部より羽口先端側に設置した微粉炭吹込みランスによる乱流攪拌効果により微粉炭粒子の羽口末広部内での分散効率が優れること、また、微粉炭粒子の羽口内滞留時間が末広部で増加し、気流との対流伝熱、微粉炭火炎及びレースウエイ燃焼空間からの輻射伝熱により、着熱が効果的に進行した結果、燃焼効率を高く維持することができたものと考えられる。
【0024】
また、図5から明らかなように、通常羽口においては、上記の理由から、高揮発分炭の配合率を増加させることで微粉炭の燃焼率は向上するが、羽口内燃焼量が増加するため、風圧の変動量も増加する。これに対して、本発明では、上述したメカニズムにより、通常羽口よりも微粉炭燃焼率はむしろ高いにも関わらず、風圧変動の増加が抑制されている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の高炉への補助燃料吹込み操業方法に適用するラバール羽口の概要を示す断面説明図であって、この図1において、1はラバール羽口、2は補助燃料吹込みランス、3はブローパイプである。
【0026】
ラバール羽口1は、本例では羽口自体にラバール型が形成された例で、中央部に縮径部4が形成され、その縮径部4の上流側(ブローパイプ3側)に先細りに形成された入口部5、下流側に末広に形成された出口部6を有し、縮径部4の内径D2、入口部5の内径D1、出口部6の内径D3とした場合に、D1>D2<D3の関係を満たす形状に形成されている。そして、ラバール羽口1の入口部5側にはブローパイプ3が接続され、またブローパイプ3を貫通させて微粉炭吹込みランス2が対称位置に2本、且つその先端7の位置を縮径部4より僅かに出口部6側に出して装着されている。
【0027】
そして、上記図1に示す構成のラバール羽口を高炉全体の通常羽口の内の10%以上装備し、これらラバール羽口及び通常羽口より、揮発分の平均値が25%以上である微粉炭を高炉内に吹込み、高炉の操業を行う。
【0028】
【実施例】
内容積4500m3、出銑量 9000t/d の大型高炉の通常羽口の内の半分(50%)を円周方向にバランスを取って上記図1に示す構成のラバール羽口1に換えて装備し、この大型高炉内に、揮発分42%の高揮発分炭を32%配合し全体の平均揮発分を31.5%に調整し、平均粒径約73μm の微粉炭を補助燃料吹込みランス2より吹込み操業した。また、比較のため、揮発分40%以上の高揮発分炭を配合せずに全体の平均揮発分を32%、平均粒径約70μm の微粉炭を用い、これを通常羽口のみで微粉炭吹込み操業した。また、この時の微粉炭の吹込み量は比較例と発明例共に微粉炭吹込み比で 200kg/銑鉄tとした。このようにして吹込み操業した際の操業諸元は表1に示す通りである。
【0029】
【表1】
Figure 0003644856
【0030】
表1から明らかなように、本発明方法を用いることで、微粉炭吹込み比で 200kg/銑鉄t以上の高微粉炭比操業を何ら支障無く実施することができた。特に、羽口部での微粉炭燃焼性状の安定化と、風圧変動、装入物降下の安定化が顕著であり、スリップ等の頻度が激減した。これは、ラバール羽口を半分装備したことにより、微粉炭を、微粉炭の燃焼性を損なうことなく羽口内からレースウエイ内に攪拌分散させて高炉内深く吹込むことができたためであって、このようなラバール羽口の作用により、高炉の圧力損失を抑え、通気性を高め、送風圧変動や装入物のスリップなどの発生の少ない高炉操業が可能となったためと考えられる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る高炉への補助燃料吹込み操業方法によれば、高炉への微粉炭吹込みを、従来よりも大量に、微粉炭吹込み比 150kg/銑鉄t以上、更には微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t乃至 300kg/銑鉄t以上を安定して吹込むことができるようになり、高価なコークスの使用が低減できる。
【0032】
また、補助燃料吹込みランスの先端位置を、ラバール羽口の縮径部より羽口先端側に配設することで、縮径部を経た熱風が補助燃料吹込みランスの先端部によって攪拌されるので、吹込まれた微粉炭が熱風中に攪拌分散されるため、縮径部の先の末広部での熱風の速度を亜音速(0.3<M<0.8)程度で十分微粉炭を分散させて操業することができ、ブロワーや送風管などの送風設備のコストを低く抑えて操業できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に適用するラバール羽口の概要を示す断面図である。
【図2】微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t、微粉炭平均粒径70μm における通常羽口のみの場合(従来法)と50%ラバール羽口に換えた場合(本発明)の、吹込み炭(微粉炭)平均揮発分(VM)と風圧変動(相対値)との関係を示すグラフ図である。
【図3】微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t、微粉炭の平均揮発分32%における通常羽口のみの場合(従来法)と50%ラバール羽口に換えた場合(本発明)の、吹込み炭(微粉炭)平均粒度と風圧変動(相対値)との関係を示すグラフ図である。
【図4】微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t、微粉炭の平均揮発分32%、微粉炭平均粒径70μm における通常羽口のみの場合(従来法)と50%ラバール羽口に換えた場合(本発明)の、高揮発分炭配合率と微粉炭燃焼率との関係を示すグラフ図である。
【図5】微粉炭吹込み比 200kg/銑鉄t、微粉炭の平均揮発分32%、微粉炭平均粒径70μm における通常羽口のみの場合(従来法)と50%ラバール羽口に換えた場合(本発明)の、高揮発分炭配合率と風圧変動(相対値)との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1:ラバール羽口 2:補助燃料吹込みランス
3:ブローパイプ 4:縮径部 5:入口部
6:出口部 7:ランス先端

Claims (3)

  1. 羽口に接続されたブローパイプの接続部近傍から羽口先端に至る間の管内に、ブローパイプの内径及び羽口先端の内径より小径の縮径部を有し、且つ、補助燃料吹込みランスの先端位置が前記縮径部より羽口先端側に配設されてなる補助燃料吹込み羽口より補助燃料を吹込む高炉への補助燃料吹込み操業方法であって、前記補助燃料吹込み羽口より、揮発分の平均値が25%以上である微粉炭を吹込むことを特徴とする高炉への補助燃料吹込み操業方法。
  2. 微粉炭の平均粒径が 100μm 以下である請求項1記載の高炉への補助燃料吹込み操業方法。
  3. 微粉炭が複数炭種の配合炭からなり、その配合の15%以上が揮発分40%以上の高揮発分炭である請求項1又は2記載の高炉への補助燃料吹込み操業方法。
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