JP3644510B2 - 高粘性ダンパ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は斜張橋のケーブル制振用などに使用される高粘性ダンパに係り、特に、簡単な構造で高くかつ安定した効果を得られるようにした高粘性ダンパに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、斜張橋は図4に示すように、塔Tから多数のケーブルcを介して橋桁bを吊す構成を採るが、近年における斜張橋は長径間化し、ケーブルが長大化すると共にポリエチレン管被覆の大径ケーブルが採用され、これに伴い風や雨滴等に起因するケーブルの振動が問題となっている。尚ケーブルの振動は3Hz程度の低い周波数のものである。
【0003】
特開平3−96506号公報には、このケーブルの制振を行うための制振装置即ちダンパが報告されている。図5乃至図7に示すように、このダンパaは、橋桁b上においてこれとケーブルcとをケーブルcの長手方向に対し直角に掛け渡して設置される。ダンパaは、ケーブルc側に固定される上部構造体dと、橋桁b側に固定される下部構造体eとから主に構成される。上部構造体dは、その蓋板fの下面に互いに平行となるよう溶接固定された抵抗板gを有し、これら抵抗板gは、下部構造体eの箱体hと隔壁iとによって区画された独立室jにそれぞれ挿入される。独立室jには高粘性体kが充填され、これに抵抗板gが没入され、これによりケーブルcの振動に伴う抵抗板gの振動を高粘性体kの粘性せん断抵抗を利用して減衰させるようになっている。特にケーブルc振動時にあって、下部構造体eは橋桁b側に固定されるため不動とみなされ、よって抵抗板gは独立室j内で相対運動を行うことになり、かつその運動は高粘性体kにより減衰される。尚高粘性体は高分子化合物で、常温で数百万ストークス程度の動粘度を有するものである。
【0004】
ケーブルcの振動は、主に上下方向、即ち長手方向と直交する方向の成分が支配的であり、従って抵抗板gの下方には充分な隙間が設けられ、そのストローク量を十分確保できるようになっている。また抵抗板gの振動を実質的に減衰させるのは、これの対向面、即ち箱体hの内壁及び隔壁iとの間に存在する高粘性体kの粘性せん断抵抗であり、この抵抗は二面間の間隔に密接に関係するので、抵抗板gを蓋板fに正確に位置決めすると共に、抵抗板gと箱体hの内壁及び隔壁iとが平行かつ一定間隔となるよう注意を払う必要がある。
【0005】
またケーブルcの振動は、僅かではあるが上下方向以外の成分もあり、即ち三次元的に振動するため、これを許容すべく抵抗板gの側方にも隙間が設けられている。つまり抵抗板gは三次元的な運動が許容されており、かつそのあらゆる方向の運動は高粘性体kによって減衰されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ダンパの設置時、抵抗板gを蓋板fに対し完全に直角とし、かつ互いの抵抗板gが完全に平行となるよう正確に位置決めしなければならず、抵抗板gがある程度の長さを持つ平板であることからそれが面倒であり、設置に手間がかかる欠点がある。
【0007】
また抵抗板gは平板状であるため上下以外の振動たとえば抵抗板gの面に直角方向の振動や抵抗板gが回転するような捩り振動に対しては、高粘性体kは上下振動のような純粋の粘性せん断抵抗を生じないので振動を効果的に抑制する能力が低い。
【0008】
一方、粘性せん断抵抗力Fは速度勾配(V/D)の関数で表される。即ち
F=f(V/D)
ここでVは図8に示されるように固定板と抵抗板との間の相対速度でありDは固定板と抵抗板との間の距離である。従ってFを大きくするためにはDを小さくせねばならない。
【0009】
ところが図6および図7に示される従来のダンパでは抵抗板gは一部が高粘性体内に没入し、一部は空気中に露出しているので、抵抗板gの表面と固定板の表面(箱体hの内壁または隔壁iの表面)との間には図7に示すように高粘性体の自由表面mが存在する。この自由表面mは固定板近傍では停止しているのに対し、抵抗板g近傍では抵抗板gの運動に引きづられて同じ運動をする。従って自由表面mは抵抗板gの振動の一周期毎に、図9に示すように固定板側を起点としてm、m′の間でαの角度で揺動する。ところで抵抗板gが大きな速度で振動すると、抵抗板gの近傍で自由表面mが抵抗板gから剥離し、剥離した部分から空気を巻き込み、剥離部分が増々拡大することになる。そうすると抵抗板gと高粘性体kとの接触面積が低下し、ダンパの制振能力が低下する。この傾向は角度αが大きいほど、また速度Vが大きいほど著しいので、先に述べたようにDが小さく、振巾X周波数の数値が大きいときに特に問題となる。
【0010】
本発明は従来技術のかかる問題点に鑑み案出されたもので、製作据付が容易で、振動体の捩り振動にも対応でき、かつ制振能力の安定した高粘性ダンパを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の高粘性ダンパは振動体と固定体との間に介設されて上記振動体の制振を行う高粘性ダンパであって、上記固定体に固定される有底の外円筒と、振動体側より上記外円筒に向って延出されるロッドと、上記ロッド先端側に設けられ上記外円筒内に挿入される内円筒と、上記ロッドと上記内円筒とを連結するリブと、上記外円筒内に充填される高粘性体とよりなり、上記外円筒、ロッド、および内円筒とは略同心に設けられており、かつ上記外円筒はダンパの傾斜した取付角度に対応して上記内円筒が高粘性体内に全体が没入した状態で作動し得る量の高粘性体を収容し得る形状を有している。
【0012】
【作用】
上記構成によれば、振動体の振動に伴い外円筒と内円筒が相対運動を行い、この運動は外円筒内に充填される高粘性体の粘性せん断抵抗hより減衰される。特に減衰力を生じさせる面が同心状の2つの円筒体の内外面なので円筒体の軸心方向の振動減衰は勿論のことその回転方向の振動も効果的に減衰させることができる。
【0013】
さらに内円筒は高粘性体内に全体が完全に没入した状態で振動しているので振動に伴って高粘性体内に空気を巻き込むことがなく、ダンパは安定した制振能力を発揮する。
【0014】
【実施例】
以下本発明の一実施例について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の高粘性ダンパの正面断面図であり図2は図1のA−A矢視図である。図において1は斜張橋のケーブル等の振動体である。2は橋桁などの固定体である。振動体1と固定体2との間に高粘性ダンパ3が介設されていて、振動体の制振を行う。固定体2には有底の外円筒が、底を兼ねる盲フランジ4aにより固定されている。振動体1には取付金物10を介してロッド5が振動体1の軸心に対して、略直角方向に取りつけられている。ロッド5は上記外円筒4に向かって延出しており、その先端側には内円筒6がリブ7を介して取り付けられている。尚ロッド5と内円筒6とを連結するリブ7は本例では3枚である。内円筒6は外円筒4内に挿入されている。外円筒4内には高粘性体8が充填されている。高粘性体8は高分子有機化合物である。外円筒4、ロッド5および内円筒6は略同心に設けられている。9はそれらの軸心である。図に示すように内円筒6は全体が高粘性体8中に没入している。
【0015】
図3は高粘性ダンパを傾斜して取り付けた場合を示す正面断面図である。図に示すように高粘性体8の自由表面は水平面なので、高粘性体8が外円筒4から流出じないように、外円筒4はその直径との関係で十分な長さとしなければならない。尚斜張橋のケーブルcは塔Tに近いものほど立ち上がり角が大きいので高粘性ダンパ3は大きく斜いた状態で使用することになるが、実際には垂直から60°(即ち水平から30°)まで傾けて使用する場合がある。
【0016】
以下本実施例の作用を説明する。振動体1が斜張橋のケーブルcである場合に、ケーブルcは風等に起用して振動する。この場合振動の方向はケーブル軸心に対して直角方向即ちロッド5の軸心方向であるが、わずかではあるがロッド5の回転方向の振動成分も存在する。振動体1の振動にともないロッド5、リブ7を介して振動が内円筒6に伝わり、内円筒6が振動する。一方外円筒4は固定体2に固定されており不動であるので外円筒4と内円筒6との間に主に軸方向の相対運動を行うことになる。外円筒4内には高粘性体8が充填されているので、内円筒6は高粘性体8の粘性せん断抵抗を受ける。即ち内円筒6の外周面と外円筒4の内周面との面で、先に図8を参照して説明した粘性せん断抵抗力Fが発生し、振動体1の振動を減衰させる。回転方向の振動も同様である。尚振動力Fは内円筒6の外周面の面積に比例する。
【0017】
この際外円筒4と内円筒6とは同心になっているので軸方向および回転方向の振動に対して両円筒間の間隔の変化がなく一定の粘性せん断抵抗力を生じる。そしてダンパ据付時に両円筒の周方向の相対変位は全く問題ないので、図5ないし図7に示す従来の平板状のダンパに比して据付けが楽である。
【0018】
さらに内円筒6は高粘性体8内に完全に没入しているので、内円筒6が軸方向に振動しても、高粘性体8内に空気を巻き込むおそれがなく、安定した減衰効果が得られる。
【0019】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の高粘性ダンパば内外両円筒間の相対変位により、減衰作用が行われると共に内筒が高粘性体内に没入した状態で作用するので以下の如き優れた効果がある。
(1)組立てや据付けが容易である。
(2)捩り振動も効果的に抑制できる。
(3)高粘性体内に空気の巻き込みがないので安定した制振能力を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高粘性ダンパの正面断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】本発明の高粘性ダンパを斜めに据付けた状態を示す正面断面図である。
【図4】斜張橋を示す側面図である。
【図5】従来例を示し、ダンパの設置状態を示す側面図である。
【図6】従来例を示し、ダンパの平断面図である。
【図7】従来例を示し、ダンパの側断面図である。
【図8】粘性せん断抵抗力の発生メカニズムを示す説明図である。
【図9】固定板と振動板との間の高粘性体の自由表面の動きを示す説明図である。
【符号の説明】
1 振動体
2 固定体
3 高粘性ダンパ
4 外円筒
5 ロッド
6 内円筒
7 リブ
8 高粘性体
Claims (1)
- 振動体と固定体との間に介設されて上記振動体の制振を行う高粘性ダンパであって、上記固定体に固定される有底の外円筒と、振動体側より上記外円筒に向かって延出されるロッドと、上記ロッド先端側に設けられ上記外円筒内に所要の粘性せん断抵抗力が発生するような隙間を介して挿入される内円筒と、上記ロッドと上記内円筒とを連結する複数のリブと、上記外円筒内に充填される高粘性体とよりなり、上記外円筒、ロッド、および内円筒とは略同心に設けられており、かつ、上記外円筒はダンパの傾斜した取付角度に対応して上記内円筒が高粘性体の自由表面下に全体が没入した状態で作動し得る量の高粘性体を収容し得る形状を有しており、上記リブは上記ロッドの外面から上記内円筒の内面に向かって放射状に伸びる平板であり、上記高粘性体は常温で数百万ストークス程度の動粘度を有するものであることを特徴とする高粘性ダンパ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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- 1995-04-07 JP JP08220495A patent/JP3644510B2/ja not_active Expired - Fee Related
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