JP3644426B2 - 核酸の精製分離方法および装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,核酸を有する生体試料から核酸を溶出させて,核酸を精製して分離する核酸の精製分離方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術に於ける有効な核酸の精製分離方法は,カオトロピック塩の存在下で核酸をガラスやシリカゲル粒子へ吸着させ核酸を回収する原理に基づいている(従来技術−1:Vogelstein,B. and Gillespie,D.(1979);「アガロースからのDNAの調製的及び分解的精製」,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:615-619,従来技術−2:Boom,R.(1990);「核酸の迅速で簡易な精製法」,J.Clin.Microbiol.28:495-503)。従来技術−1,2によれば,ヨウ化ナトリウム,過塩素酸ナトリウム,又はグアニジンチオシアン酸塩等の高濃度のカオトロピック塩を用いると,DNAがアガロースから単離,精製され,あるいは,RNA又はDNAが種々の混合物から単離,精製される。
【0003】
核酸は精製の後に,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(Polymerase chain reaction)に使用されることが多い。PCRでは,核酸は配列に特異的に増幅できるので,遺伝子診断等に広く応用されている。PCR法を日常的に臨床で使用する際に,いくつかの問題がある。核酸の精製時に除去できなかった阻害物質の影響で,PCRが阻害される事が知られている。阻害物質として,ヘモグロビン,核酸の抽出工程で使用される界面活性剤等が知られている。このため,核酸の抽出,精製工程は,重要であることが指摘されている(従来技術−3:大島他,JJCL A,22(2),145-150(1997))。
【0004】
従来,抽出工程は手作業でなされてきたが,操作が煩雑で熟練性を要することから,装置による自動化が望まれている。また,自動化に適した抽出法(使用する試薬を含む)の開発が要求されている。
【0005】
特開平11−127854号公報(従来技術−4),特開平11−266864号公報(従来技術−5)に,自動化に適した核酸の抽出法,核酸捕捉用チップが記載されている。また,特表平8−501321号公報(従来技術−6)に,自動化装置による核酸の抽出に適した試薬の記載があり,高濃度の塩(イオン強度が大)及び高濃度のアルコールを含む溶液中に存在する分離精製すべき核酸を,抽出用チップ内の吸着担体に接触させて吸着させ,次いで,より低濃度の塩(イオン強度が小)を含む溶液を用いて,吸着担体から核酸を遊離させて,目的の核酸を得ている。
【0006】
全血からの核酸の抽出は,以下のようにして行われる。蛋白分解酵素と血球溶解のためのバッファーを全血に加え攪拌後,56°C又は70°Cで10分間インキュベーションする。インキュベーション後,エタノールを添加し,核酸を含む溶液を吸着カラムに通す。エタノールを含むバッファーでカラムを洗浄した後,核酸回収用バッファーにより,カラムに吸着した核酸を回収する(従来技術−7:QIAamp DNA Mini Kit and QIAamp DNA Blood Mini Kit Handbook,及び,QIAamp DNA Blood Midi/Maxi Kit Handbook,QIAGEN)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術−6に記載の試薬を用いた核酸の精製分離方法では,核酸の回収の収率が低いという課題があった。また,従来技術−4に記載の抽出用チップを用いた方法では,核酸回収量のばらつきが大きいという課題があった。
【0008】
本発明の目的は,核酸回収量のばらつきが小さく,安定して高い核酸回収量が得られる核酸の精製分離方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の核酸の精製分離方法では,(工程1)核酸と高濃度の塩とを含む溶液(以下,核酸遊離溶液という)に有機溶剤を添加し,(工程2)有機又は無機の担体に核酸を吸着させ,(工程3)水溶液からなる回収液を用いて,有機又は無機担体から核酸を脱離させて回収する。必要に応じて,(工程3)の前に,洗浄液を用いて担体を洗浄して核酸以外の成分を取り除く工程を実行する。有機溶剤の添加直前の核酸遊離溶液の温度を有機溶剤の温度にほぼ同じくして,温度T(°C)の有機溶剤の添加直前の核酸遊離溶液の温度をT±(2〜3)°Cとする。なお,以下の説明で,温度T(°C)とほぼ同じ温度とは,T±(2〜3)°Cの温度をいう。また,核酸遊離溶液の温度と有機溶剤の温度とを異ならせても良い。核酸は,例えば,全血の白血球に由来する。
【0010】
核酸収量は,最大核酸収量を100%とする相対核酸収量により比較される。
【0011】
本発明では,(工程1)で,−5°C〜55°Cの範囲の温度に保持された,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ジエチレングリコールジメチルエーテル,乳酸エチルの何れかを添加することにより,80%以上の相対核酸収量が得られ,また,(工程1)で,0°C〜50°Cの範囲の温度に保持された,ジエチレングリコールジメチルエーテル又は乳酸エチルを添加することにより,80%以上の相対核酸収量が得られる。
【0012】
より好ましくは,(工程1)で,0°C〜50°Cの範囲の温度に保持された,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,乳酸エチルの何れかを添加することにより,90%以上の相対核酸収量が得られ,また,(工程1)で,0°C〜40°Cの範囲の温度に保持された,ジエチレングリコールジメチルエーテル又は乳酸エチルを添加することにより,90%以上の相対核酸収量が得られる。
【0013】
更に好ましくは,(工程1)で,10°C〜35°Cの範囲の温度に保持された,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,ジエチレングリコールジメチルエーテル,乳酸エチルの何れかを添加することにより,95%以上の相対核酸収量が得られる。
【0014】
本発明の核酸の精製分離方法では,(工程1)核酸と高濃度の塩とを含み,0°C〜50°Cの範囲の温度Tに保持された溶液に,温度Tとほぼ同じ温度に保持された有機溶剤を添加し,(工程2)担体に核酸を吸着させる。有機溶剤として,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,乳酸エチルの何れかを用いることにより,90%以上の相対核酸収量が得られる。
【0015】
本発明の核酸の精製分離方法では,(工程1)核酸と高濃度の塩とを含み,0°C〜40°Cの範囲の温度Tに保持された溶液に,温度Tとほぼ同じ温度に保持された有機溶剤を添加し,(工程2)担体に核酸を吸着させる。有機溶剤として,ジエチレングリコールジメチルエーテル又は乳酸エチルを使用することにより,90%以上の相対核酸収量が得られる。
【0016】
本発明の核酸の精製分離方法は,以下の特徴を有する。
(A)(1)核酸と高濃度の塩とを含み,10°C〜40°Cの範囲の温度Tに保持された溶液に,前記温度Tとほぼ同じ温度に保持された有機溶剤を添加する工程と,(2)担体に前記核酸を吸着させる工程とを有することを特徴とする核酸の分離精製方法。
(B)(A)に記載の核酸の分離精製方法に於いて,前記有機溶剤が,エタノール,ジエチレングリコールジメチルエーテル,乳酸エチルの何れかであることを特徴とする核酸の分離精製方法。(A)及び(B)の方法では,95%以上の相対核酸収量が得られる。
(C)(1)核酸と高濃度の塩とを含み,20°C〜36°Cの範囲の温度Tに保持された溶液に,前記温度Tとほぼ同じ温度に保持された有機溶剤を添加する工程と,(2)前記温度Tとほぼ同じ温度で担体に前記核酸を吸着させる工程とを有することを特徴とする。
(D)(C)に記載の核酸の分離精製方法に於いて,前記温度Tが22°C〜32°Cの範囲の温度に設定されることを特徴とする核酸の分離精製方法。
(C)の方法では,80%以上の相対核酸収量が得られ,(D)の方法では,95%以上の相対核酸収量が得られる。
【0017】
本発明の精製分離方法を自動的に実行する核酸の精製分離装置は,以下の特徴を有する。
(1)核酸と高濃度の塩とを含む溶液に有機溶剤を添加した後,担体に前記核酸を吸着させる核酸の分離精製装置に於いて,前記溶液を0°C〜40°Cの範囲の温度に保持する手段を有することを特徴とする核酸の分離精製装置。
(2)(1)に記載の核酸の分離精製装置に於いて,前記有機溶剤が0°C〜40°Cの範囲の温度に保持されることを特徴とする核酸の分離精製装置。
(3)(1)に記載の核酸の分離精製装置に於いて,前記溶液の温度と前記有機溶剤の温度がほぼ同じであることを特徴とする核酸の分離精製装置。
(4)(1)に記載の核酸の分離精製装置に於いて,前記溶液の温度と前記有機溶剤の温度が異なることを特徴とする核酸の分離精製装置。
(1)から(4)の装置では,90%以上の相対核酸収量が得られる。
(5)核酸と高濃度の塩とを含む溶液に有機溶剤を添加した後,担体に前記核酸を吸着させる核酸の分離精製装置に於いて,前記有機溶剤及び前記溶液の温度を,20°C〜36°Cの範囲の温度Tに保持する手段を有し,前記温度Tの前記溶液に,前記温度Tの前記有機溶剤を添加した後に,前記温度Tとほぼ同じ温度で前記担体に前記核酸を吸着させることを特徴とする核酸の分離精製装置。
(6)(5)に記載の核酸の分離精製装置に於いて,前記温度Tが22°C〜32°Cの範囲の温度に設定されることを特徴とする核酸の分離精製装置。
(5)の装置では,80%以上の相対核酸収量が得られ,(6)の装置では,95%以上の相対核酸収量が得られる。
【0018】
本発明の装置では,Tを−20°Cから80°Cの間において任意の温度として,核酸遊離溶液を温度Tに保持する手段,及び,温度Tとほぼ同じ温度に有機又は無機の担体を保持する手段ととして,共通の加熱冷却温度制御回路を使用する。加熱冷却温度制御回路は,温度センサ,ペルチェ素子,及びペルチェ素子の制御回路を組み合わせて構成され,温度制御対象を一定の温度に保持する。このような構成によれば,温度制御を高速に行なうことができる。また,加熱冷却温度制御回路を,温度センサ,循環水冷装置,及び循環水冷装置の制御回路を組み合わせて構成してもよい。
【0019】
また,PCRを行うサーマルサイクラ部が組み込まれた本発明の装置では,核酸の精製分離の後,直ちに,自動的にPCRを実行させることができるので,例えば,遺伝子検査を高速に行なうことが可能となる。
【0020】
以下,本発明の核酸の精製分離方法,及び装置で好適に使用される試薬,構成要素について説明する。
【0021】
塩としてカオトロピック塩を1M〜8Mの濃度範囲で使用する。例えば,グアニジン塩酸塩,グアニジンチオシアン酸塩,ヨウ化カリウムの何れかを使用する。
【0022】
有機溶剤として,2から10の範囲の炭素数を持つ化合物を使用する。化合物は,脂肪族アルコール,脂肪族エーテル,脂肪族エステル,脂肪族ケトンから選択される。1つの化合物,又は,複数の化合物の混合物が,有機溶剤として使用される。有機溶剤は,その濃度が5容量%〜50容量%となるように添加すると良い。
【0023】
脂肪族アルコールの代表的な例として,エタノール(EtOH),1−プロパノール(PrOH),2−プロパノール(i−PrOH)がある。
【0024】
脂肪族エーテルの代表的な例として,エチレングリコールジメチルエーテル,エチレングリコールジエチルエーテル(EGDE),プロピレングリコールジメチルエーテル(PGDME),プロピレングリコールジメチルエーテル,プロピレングリコールジエチルエーテル(PGDEE),ジエチレングリコールジメチルエーテル(DIGLYME),ジエチレングリコールジエチルエーテル(DGDEE),テトラヒドロフラン(THF),1,4−ジオキサン(DX)がある。
【0025】
脂肪族エステルの代表的な例として,プロピレングリコールモノメチルアセテート(PGMEA),乳酸エチル(EL)がある。
【0026】
脂肪族ケトンの代表的な例として,ヒドロキシアセトン(HAC),アセトン(AC),メチルエチルケトン(MEK)がある。
【0027】
無機担体として,シリカ,アルミナ,ゼオライト,二酸化チタンからなる多孔性材料又は非多孔性材料を使用する。
【0028】
洗浄液は,アルコール等の有機溶剤を高濃度に含み,吸引又は遠心分離操作により,有機又は無機の担体を複数回洗浄して,核酸以外の成分を取り除く。
【0029】
回収液は,低濃度の塩を含む水溶液であり,有機又は無機の担体と接触させることにより,有機又は無機の担体に吸着していた核酸を溶出させる。
【0030】
本発明では,核酸と高濃度の塩とを含む溶液に,0.1容量%〜50容量%の界面活性剤を添加する。好ましくは,界面活性剤として,0.1容量%〜5容量%の消泡剤を使用すると良い。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は,本発明の実施例での核酸の抽出プロセスを説明する図である。図2は,本発明の実施例で用いる全血の構成を説明する図である。図3から図5は,従来技術−4に記載される図1の方法に基づく,本発明の核酸の精製分離方法に於ける,核酸抽出試薬を用いた全血からの核酸抽出の手順を説明する図である。以下の説明では,100μLのヒト全血からの核酸抽出を例にとる。
【0032】
図1に示す核酸の抽出プロセスは,従来技術−4に記載される6つの工程から構成される。核酸抽出の手順は,核酸を含有する材料(試料)から核酸を遊離させる第1工程501,第1工程501で得られる遊離した核酸を含む核酸遊離溶液に,核酸の固相への結合を促進させる添加液(アルコール系,エステル系,エーテル系等の有機溶剤)を添加して混合する第2工程502,第2工程502で得られた混合液と核酸結合性固相(核酸を吸着する担体)とを接触させる第3工程503,核酸が結合した固相と液体とを分離する第4工程504,核酸が結合した固相を塩を含む溶液により洗浄する第5工程,核酸が結合した固相から核酸を遊離させる第6工程から構成される。以上の工程により,核酸を含有する材料(試料)から,精製状態の核酸が得られる。
【0033】
以下,第1工程と第2工程を合わせて分解工程と呼び,第3工程と第4工程を合わせて吸着工程と呼ぶ。
【0034】
図2に示すように,ヒト全血1の中には,赤血球2,白血球3等の成分が含まれており,核酸は主に白血球3の核4に存在している。
【0035】
図3は,本発明の実施例での,全血からの核酸抽出の手順を説明する図である。先ず,チューブ5に10μLのProteinase K(6)を注入する。次に,チューブ5に100μLの全血1を加える(全血の添加101)。次に,100μLの反応液(1M〜8Mのカオトロピック塩と50%以下の界面活性剤を含む)を加えて攪拌する(反応液の添加及び攪拌102)。チューブ5の溶液を70°Cで10分間インキュベートする(インキュベート103)ことにより,白血球が破壊され,核4内の核酸が溶液内に出る(添加液の添加前の核酸遊離溶液を得る)。その後,この核酸遊離溶液に,核酸の固相への結合を促進させる添加液(アルコール系,エステル系,エーテル系等の有機溶剤)を100μL加えて攪拌する(添加液の添加と攪拌104)と,混合液7が得られる。混合液7を得るまでの工程が分解工程である。
【0036】
この分解工程以降に行なう数種類の核酸回収法がある。何れの方法も,吸着工程,洗浄工程,回収工程からなる。代表的な例として,スピンカラム法,吸引吐出法がある。
【0037】
図4は,本発明の実施例での,全血からの第1の核酸回収方法(スピンカラム法)の手順を説明する図である。先ず,チューブ5中の混合液7を,スピンカラム8の中へ移す。スピンカラム8の底部には非常に細かいシリカ又はガラス繊維からなる濾紙状の吸着担体9が充填されている。
【0038】
添加液を含む混合液7を,吸引により吸着担体9内を通過させて,核酸を吸着担体9に吸着させる(吸着工程7:吸引による核酸吸着工程105)。その後,アルコール等の有機溶剤を20%〜80%含む500μLの洗浄液11を,スピンカラム8に注入する(洗浄液のカラムへの添加106)。
【0039】
次に,吸引により吸着担体9を洗浄し,核酸以外の成分を取り除く(洗浄工程107)。この洗浄工程は2回繰り返すが,吸着担体に吸着した核酸は洗浄工程により溶離しない。その後,低塩濃度の溶出液12を添加して2分間から5分間静置する(溶出液の添加と静置108)。核酸を吸着担体から溶離させ,最後に,吸引により,チューブ10に回収する(溶出工程:核酸の回収109)。代表的な溶出液12の組成は,50mmol/LのTris/HCl(pH8.5)+0.1mmol/LのEDTA・2Naである。
【0040】
図5は,本発明の実施例での,全血からの第2の核酸回収方法(吸引吐出法)の手順を説明する図である。吸引吐出法では,吸着担体13としてガラス,石英等の繊維を低密度に充填した円筒型中空カラム14を使用する。カラム14を使用して,チューブ5中の混合液7の吸引吐出を,複数回繰り返し,吸着担体13に核酸を吸着させる(吸着工程:吸引吐出による核酸吸着110)。続いて,500μLのアルコール等の有機溶剤を20%〜80%含む洗浄液15を入れた別のチューブ16を使用して,吸引吐出を行ない,核酸以外の成分を取り除く(洗浄工程)。この洗浄工程は,2回以上行う。その後,予め70°Cに加熱したチューブ17内の溶出液16(100μL)を,カラム14内の吸着担体13に接触する位置まで吸い上げた状態で約2分間静止する(溶出液の吸上げと静置111)。この操作により,核酸が吸着担体13から溶出液18に溶離する。溶出液18を吐出させて,チューブ17に核酸を回収する(核酸の回収112)。代表的な溶出液の組成は,50mmol/LのTris/HCl(pH8.5)+0.1mmol/LのEDTA・2Naである。
【0041】
以下,実施例で使用する材料,薬品,試料について詳細に説明する。
1. 核酸吸着材料及びカラム
1.1 スピンカラム:例えば,3層のガラス繊維濾紙(Whatman社製)を,遠心分離クロマトグラフィカラム(スピンカラム)に固定した。スピンカラムは,図3,図4に示すスピンカラム法のプロトコルにて使用した。
1.2 核酸捕捉用カラム:従来技術−5に記載の核酸捕捉用チップ(カラム)に,直径0.5μm〜30μmの石英繊維(東ソー・クオーツ株式会社製又は東芝セラミックス株式会社製)を充填した。核酸捕捉用チップは,図3,図5に示す吸引吐出法のプロトコルにて使用した。
2. 核酸を含有する試料
2.1 血液(ヒト):採血直後の血液,又は,−20°Cで凍結保存した血液を使用した。
2.2 組織:新鮮組織又は凍結保存した組織を使用した。
2.3 植物:植物を液体窒素下で乳鉢ですりつぶし直接使用,又は,凍結保存した後用いた。
2.4 細胞:単離,又は単離/培養された細胞を直接使用,又は凍結保存していた細胞を用いた。
3. 試薬
3.1 反応液:反応液は,以下に示すカオトロピック塩,界面活性剤,消泡剤,その他塩成分を含む。
3.1.1 カオトロピック塩:ヨウ化カリウム(KI),グアニジン塩酸塩(GuHCl),グアニジンチオシアン酸塩(GuHSCN)の何れかを使用した。
3.1.2 界面活性剤:ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート(Tween20),ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミレート(Tween40),ポリオキシエチレン(10)イソオクチルフェニルエーテル(TritonX−100)の何れかを使用した。
3.1.3 消泡剤:CE−457(日本油脂株式会社製の消泡剤ディスホーム,ポリアルキレングリコール誘導体)
3.1.4 その他の塩:エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩(EDTA・2Na),トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)
3.2 添加液:PGDME,PGDEE,DIGLYME,DGDEE,THF,DX,PGMEA,EL,HAC,AC,MEK,EtOH,PrOH,i−PrOHの何れかの有機溶剤を使用した。
3.3 洗浄液:25mmol/Lの酢酸カリウム+70容量%エタノール(W1),25mmol/Lの酢酸カリウム+50容量%エタノール(W2),10mmol/LのTris/HCl(pH8.5)+0.1mmol/LのEDTA・2Na+50容量%エタノール(W3)の何れかの組成を用いた。
3.4 溶出液:水(100%,pH8.0)(E1),10mmol/LのTris/HCl(pH8.5)+0.1mmolのEDTA・2Na(E2),50mmol/LのTris/HCl(pH8.5)+0.1mmol/LのEDTA・2Na(E3)の何れかの組成を用いた。
3.5. 酵素:タンパク分解酵素プロテアーゼ(protease),アルカリ性プロテイナーゼK(proteinase K)の何れかの酵素を用いた。
実施例1:全血からの核酸抽出(その1)
図3及び図5に示された方法に従って,100μLのヒト全血1から核酸抽出を行った。分解工程では,10μLのproteinase K(6)を入れたチューブ5に,100μLの全血1及び100μLの反応液(濃度3Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTween40を含む)を添加,攪拌した。チューブ5の溶液を70°Cで10分間インキュベートして,核酸遊離溶液を得た。核酸遊離溶液に,EL,DIGLYME,EtOH,PrOH,i−PrOHから選ばれた添加液(100μL)を加え攪拌して,混合液7を得た。
【0042】
吸着工程では,石英ウール吸着担体13(東芝セラミックス株式会社製)を充填したカラム14を用いて,混合液7の吸引及び吐出の操作を,温度25°Cにて10回繰り返し行った。
【0043】
洗浄工程では,別のチューブ16に入れた洗浄液(W1)15の吸引吐出の操作を3回繰り返し行った。
【0044】
回収工程では,別のチューブ17に入れた溶出液18を,吸着担体13の全体が浸漬する位置まで吸上げて2分間静止した。その後,溶出液18を吐出し,核酸を含む溶液を回収した。回収した核酸は,良好な純度を有し,沈殿,精製等の工程無しで,次のPCR等の反応や分析に使用できた。
【0045】
図6は,本発明の実施例1に於いて,添加液としてELを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。
【0046】
以下の説明では,温度Tと相対核酸収量の関係を求める場合には,温度T以外の化学反応条件を同一として,温度Tを変化させた時の核酸収量を,最大核酸収量を100%とする相対核酸収量により比較する。
【0047】
図6,図7,図8,図11に於いて,横軸の温度は,温度T(°C)の添加液をほぼ同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加する時の温度Tを示し,縦軸は,温度Tを変化させた時に得られた相対核酸収量を示す。
【0048】
図6に示すように,温度Tが−5°C〜55°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜50°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,温度Iが10°C〜40°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0049】
ELと同様に使用できるエステル系有機溶剤として,PGMEAがある。
【0050】
図7は,本発明の実施例1に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。図7に示すように,温度Tが−5°C〜55°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜45°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,温度Tが10°C〜40°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0051】
DIGLYMEと同様に使用できるエーテル系有機溶剤として,EGDME,EGDEE,PGDME,PGDEE,DGDEE,THF,DXがある。
【0052】
図8は,本発明の実施例1に於いて,添加液としてEtOHを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。図8に示すように,温度Tが−5°C〜55°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜50°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,温度Tが10°C〜40°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0053】
EtOHと同様に使用できるアルコール系有機溶剤として,PrOH,i−PrOHがある。添加液としてPrOH,i−PrOHの何れかを使用して,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を調べた結果,温度Tが−5°C〜55°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜50°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。
【0054】
アルコール系有機溶剤を用いた場合には,エーテル系有機溶剤を用いた場合よりも,やや広い温度範囲で高い相対核酸収量が得られた。
実施例2:全血からの核酸抽出(その2)
図3及び図5に示された方法に従って,1mLのヒト全血1から核酸抽出を行った。分解工程では,100μLのprotease(6)を入れたチューブ5に,1mLの全血1及び1mLの反応液(濃度3Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTritonX−100を含む)を添加,攪拌した。チューブ5の溶液を70°Cで10分間インキュベートした後,20°Cまで冷却して核酸遊離溶液を得た。EGDME,EGDEE,PGDME,PGDEE,DIGLYME,DGDEE,THF,DX,PGMEA,EL,HAC,AC,MEK,EtOH,PrOH,i−PrOHから選ばれた添加液8(1mL)をチューブ5に加え,攪拌して,混合液7を得た。
【0055】
吸着工程では,20°Cに於いて,スピンカラム8に混合液7を注ぎ,卓上遠心機を用いて1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0056】
洗浄工程では,スピンカラム8に500μLの洗浄液(W2)11を注ぎ,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0057】
回収工程では,スピンカラム8に100μLの溶出液(E2)12を注ぎ,2分間室温(25°C)で放置した後,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行って,核酸を回収し,定量,純度評価を行った。回収した核酸は,PCRに使用することが可能であった。
【0058】
図9は,本発明の実施例2に於いて,異なる種類の添加液を加えた時に得られた核酸収量を示す図である。核酸遊離溶液の温度を20°Cとして,核酸遊離溶液に20°Cの添加液を添加した。吸着工程は20°Cで行なった。目標とする核酸収量は15μgであるが,何れの種類の添加液を用いた場合にも,目標とする核酸収量以上の値が得られた。
実施例3:全血からの核酸抽出(その3)
100μLのヒト全血1からの核酸抽出を行った。
【0059】
分解工程では,10μLのproteinase K(6)を入れたチューブ5に,100μLの全血1及び100μLの反応液(濃度4Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTween20を含む)を分注,攪拌した。チューブ5の溶液を70°Cで10分間インキュベートした。
【0060】
図10は,本発明の実施例3で,インキュベートに用いた反応槽の構造を示す図である。全血1及び反応液が入ったサンプルチューブ251は,ヒートブロック254上で加熱される。温度センサ259により計測された温度に基づいて温度制御回路255により生成される,加熱冷却基板256のための温度制御信号が,制御線260を通して加熱冷却基板256に付与され,ヒートブロック254の温度が,調整される。加熱冷却基板256の下部に,加熱,冷却を加速するために,放熱ファン257が取り付けられている。放熱ファン257の動作は,制御線261を通して,温度制御回路255により制御されている。ヒートブロック254の外側は,温度制御を安定して行なうために,断熱材253で覆われている。断熱材253はカバー252で覆われている。反応槽の全体は支柱258によって支えられている。
【0061】
インキュベート後,サンプルチューブ251の溶液の温度を20°Cまで冷却して,核酸遊離溶液を得た。サンプルチューブ251に,EL,DIGLYME,EtOH,PrOH,i−PrOHから選ばれた添加液(100μL)を加え,振とう攪拌して,混合液7を得た。
【0062】
吸着工程では,スピンカラム8を用いて混合液7を真空ポンプにより吸引濾過した。
【0063】
洗浄工程では,スピンカラム8に500μLの洗浄液(W3)11を注ぎ,真空ポンプにより吸引濾過した。
【0064】
回収工程では,スピンカラム8に溶出液(E3)18を注ぎ2分間静置した。その後,真空ポンプを用いて吸引濾過し,核酸を含む溶液を回収した。回収した核酸は,十分な収量であり,純度も良好であり,PCRに使用することが可能であった。
【0065】
図11は,本発明の実施例3に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。図11に示すように,温度Tが−5°C〜45°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜40°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,温度Tが10°C〜35°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0066】
また,添加液としてELを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を調べた結果,温度Tが−5°C〜45°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜40°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。
【0067】
更に,添加液としてEtOH,PrOH,i−PrOHの何れかを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を調べた結果,温度Tが−5°C〜55°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,温度Tが0°C〜50°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。
【0068】
アルコール系有機溶剤を用いた場合には,エステル系有機溶剤又はエーテル系有機溶剤を用いた場合よりも,やや広い温度範囲で高い相対核酸収量が得られた。
実施例4:自動化された装置による全血からの核酸抽出(その1)
図12は,本発明の実施例4での自動化された核酸の精製分離装置206の構成を示すブロック図である。図12に示す装置206では,実施例1で説明した方法を自動的に実行する。制御部201によって,装置の運転を制御する。装置206は,抽出カラムを備え,核酸を分離する分離部202,試薬の分注を行なう分注部204,検体,反応容器,保存容器,核酸捕捉用チップ,試薬容器等が配置される架設部203,反応容器内の液の温度を制御してPCRを行なうサーマルサイクラ部205を有している。核酸抽出の操作手順は図3及び図5に従って,自動的に実行される。
【0069】
図13は,本発明の実施例4での自動化された核酸の精製分離装置206の構成要素の配置を示す平面図である。検体架設部223には,血液等の検体が置かれる。反応容器架設部224,225には,反応容器が置かれている。保存容器架設部226,227,228,229には,反応後の溶液を保存する保存容器が置かれている。試薬架設部218には,装置206で使用する薬品が置かれている。サーマルサイクラ部222,230では,反応容器内の液の温度を制御してPCRを行なう。エタノール等の洗浄液は,廃液口212,221から廃液用容器に排出される。チップ架設部213,214,215,216,217,219には,チップ又はカラムが置かれている。使用済のチップ又はカラムは,チップ廃棄口211,220から廃棄用の容器に廃棄される。
【0070】
検体の血液は検体架設部223に設置されている。装置206では,分解工程及び吸着工程は同じ温度で実行される。図12,図13に示す装置206を用いて,100μLのヒト全血1からの核酸抽出を行った。核酸抽出に使用する試薬は,実施例1で説明した試薬と同様である。
【0071】
分解工程は,反応容器架設部224で行った。分注部204で,100μLのproteinase K(6)を分注したチューブ5に,1mLの全血1及び1mLの反応液を添加,攪拌した。チューブ5の溶液を30°Cで10分間インキュベートして,核酸遊離溶液を得た。チューブ5に,EL,EtOH,DIGLYMEから選ばれた添加液(1mL)を加え,攪拌して,混合液7を得た。
【0072】
吸着工程は,反応容器架設部224で行った。分離部202には,石英ウール製の吸着担体13(東芝セラミックス株式会社製)を充填したカラム14が装着されている。駆動ポンプによる混合液7の吸引及び吐出の操作を30°Cで10回繰り返し行った。
【0073】
洗浄工程は,分離部202を反応容器架設部225に移動して行った。別のチューブ16が反応容器架設部225に設置されている。チューブ16に入れた1mLの洗浄液(W1)15の吸引吐出の操作を3回繰り返し行った。
【0074】
回収工程は,分離部202を保存容器架設部227に移動して行った。保存容器架設部227にはヒータが配置されている。保存容器架設部227に設置されたチューブ17には1mLの溶出液18が分注されており,予め70°Cに加熱された。チューブ17に入れた溶出液18を,吸着担体13の全体が浸漬する位置まで吸上げて2分間静止した。その後,溶出液18を吐出し,核酸を含む溶液を回収した。
【0075】
次に,保存容器架設部228で核酸を含む溶出液18の分注を行ない,分注さた核酸を含む溶出液に,dNTP,塩化マグネシウム,DNAポリメラーゼ,及びPCR用緩衝溶液を調合した後,反応容器をサーマルサイクラ部230に移し,PCRを行うことができた。
【0076】
図14は,本発明の実施例4に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した後に,同じ温度Tで吸着工程を実行した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。分解工程及び吸着工程は,反応容器架設部224で実行され,反応容器架設部224の温度は温度Tに保持されている。図14は,温度T(図14の横軸)を変化させた時の相対核酸収量(図14の縦軸)を調べた結果を示す。分解工程及び吸着工程に於ける反応容器架設部の温度が20°C〜35°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。
【0077】
図15は,本発明の実施例4に於いて得られた核酸を鋳型として,p53遺伝子のエキソン8部位のPCRを行って得られたPCR産物のアガロース電気泳動の結果を示す図である。レーン−1(301),及びレーン−2(302)でPCR産物の泳動を泳動方向304で行なった。レーン−3(303)でDNA分子量マーカーの泳動を行なった。図15から明らかなように,鎖長200塩基対のPCR産物が確認できた。
実施例5:自動化された装置による全血からの核酸抽出(その2)
実施例4と同様に,図12,図13に示す装置206を用いて,100μLのヒト全血1からの核酸抽出を行った。核酸抽出に使用する試薬は,実施例1で説明した試薬と同様である。検体の血液は検体架設部223に設置されている。
【0078】
分解工程は,反応容器架設部224で行った。分注部204で,100μLのproteinase K(6)を分注したチューブ5に,1mLの全血1及び1mLの反応液を添加,攪拌した。チューブ5の溶液を70℃で10分間インキュベートした後,25°Cに冷却して核酸遊離溶液を得た。
【0079】
図16は,本発明の実施例5で使用する反応容器架設部224の構成を示す図である。反応容器架設部224では,温度センサにより検知された温度に基づいて,自動的に有機溶剤の供給を行なう。
【0080】
全血1及び反応液を含む溶液403が入ったチューブ5は,ヒートブロック414に設置されている。温度制御プログラムが組み込まれた計測制御部407は,支持台420に組み込まれている。計測制御部407は,ヒートブロック414に組み込まれた温度センサ406により検出された温度に基づいて,ヒートブロック414に組み込まれたペルチェ素子405を駆動して,ヒートブロック414の温度制御を行なう。
【0081】
チューブ5の溶液403の70°Cでのインキュベート終了後,ペルチェ素子405によりヒートブロック414を冷却する。温度センサ406が,ヒートブロック414の温度が25°Cになった時点を検知すると,有機溶剤(添加液)409の添加を開始を行なう試薬供給命令が,コントロールライン415を経由してポンプ410に送られ,支柱421に組み込まれたポンプ410が駆動される。ノズル408から吸上げられた有機溶剤409は,試薬供給路411を経由して,アーム422に配置された試薬供給ノズル402よりチューブ5に添加される。
【0082】
図16に示す構成により,反応容器架設部224の温度を25°Cに下げた後,添加液として1mLのDIGLYMEを自動で加え,混合液7を得た。
【0083】
吸着工程は,反応容器架設部224上で行った。分離部202には,石英ウール製の吸着担体13(東芝セラミックス株式会社製)を充填したカラム14が装着されている。駆動ポンプによる混合液7の吸引及び吐出の操作を25°Cで10回繰り返し行った。
【0084】
洗浄工程は,分離部202を反応容器架設部225に移動して行った。別のチューブ16が反応容器架設部225に設置されている。チューブ16に入れた1mLの洗浄液(W2)15の吸引吐出の操作を3回繰り返し行った。
【0085】
回収工程は,分離部202を保存容器架設部227に移動して行った。保存容器架設部227にはヒータが配置されている。保存容器架設部227に設置されたチューブ17には,1mLの溶出液18が分注されており,予め70°Cに加熱された。チューブ17に入れた溶出液18を,吸着担体13の全体が浸漬する位置まで吸上げて2分間静止した。その後,溶出液18を吐出,回収し,25μgの核酸を得た。
【0086】
次に,保存容器架設部228で核酸を含む溶出液18の分注を行ない,分注さた核酸を含む溶出液に,dNTP,塩化マグネシウム,DNAポリメラーゼ,及びPCR用緩衝溶液を調合した後,反応容器をサーマルサイクラ部230に移し,PCRを行うことができた。
実施例6:組織からの核酸抽出1
チューブ内で,25mgの肝臓組織(ラット)と80μLのPBS(phosphate buffered saline)を混合し,機械的にホモジナイズした。チューブに,20μLのProteinase Kを添加して攪拌した後,チューブの溶液を,組織が溶解するまで56°Cに加熱した。チューブに,200μLの反応液(濃度3Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTween80を含む)を添加して攪拌した後,チューブの溶液を,70°Cで10分間加熱した。水冷により,チューブの溶液を25°Cに冷却して,核酸遊離溶液を得た。チューブに200μLのDIGLYMEを添加し混合して,混合液7を得た。以上が分解工程である。
【0087】
吸着工程では,スピンカラム8に混合液7を注ぎ,卓上遠心機を用いて,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0088】
洗浄工程では,スピンカラム8に500μLの洗浄液(W3)を注ぎ,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0089】
回収工程では,スピンカラム8に,E1,E2及びE3から選ばれた溶出液13(100μL)を注ぎ,2分間室温(25℃)で放置した後,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行って核酸を回収し,定量して純度の評価を行った。その結果,A260/A280が1.8の高純度の核酸が得られ,PCRに使用することが可能であった。なお,A260は,核酸を含む溶液の波長260nmに於ける吸光度を示し,A280は,核酸を含む溶液の波長280nmに於ける吸光度を示す。
実施例7:組織からの核酸抽出2
20mgのぼうこう組織(ラット)から,実施例6と同様の方法により,核酸抽出を行った。その結果,A260/A280が1.7の高純度の核酸が得られ,PCRに使用することが可能であった。
実施例8:尿からの核酸抽出
20mLの尿検体を含むチューブを,5分間の遠心処理(回転数14000rpm)した。チューブから上清を除去し,尿沈査を分離した。チューブ内に得られた尿沈査に,20μLのproteinase Kと,200μLの反応液(濃度3Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTritonX−100を含む)を添加し,攪拌した。チューブの溶液を70℃で10分間加熱した後,放により25℃に冷却して核酸遊離溶液を得た。チューブに,200μLのEtOHを添加し,混合して,混合液7を得た。以上が分解工程である。
【0090】
吸着工程では,スピンカラム8に混合液7を注ぎ,卓上遠心機を用いて,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0091】
洗浄工程では,スピンカラム8に,500μLの洗浄液(W4)12を注ぎ,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0092】
回収工程では,スピンカラム8に,100μLの溶出液(E3)13を注ぎ,2分間室温(25°C)で放置した後,1分間の遠心処理を行って核酸を回収し,定量し,純度の評価を行った。その結果,A260/A280が1.8の高純度の核酸が得られ,PCRに使用することが可能であった。
実施例9:細胞からの核酸抽出
チューブ内で,10個のHeLa細胞を,100μLのPBSに分散させた後,チューブに,20μLのproteinase Kと,200μLの反応液(濃度3Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTritonX−100を含む)を添加し,攪拌した。チューブの溶液を70°Cで10分間加熱した後,水冷により,25°Cに冷却して核酸遊離溶液を得た。チューブに,200μLのDIGLYMEを添加し,混合して,混合液7を得た。以上が分解工程である。
【0093】
吸着工程では,スピンカラム8に混合液7を注ぎ,卓上遠心機を用いて,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0094】
洗浄工程では,スピンカラム8に,500μLの洗浄液(W2)11を注ぎ,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行った。
【0095】
回収工程では,スピンカラム8に,100μLの溶出液(E1)12を注ぎ,2分間室温(25°C)で放置した後,1分間の遠心処理(回転数6000rpm)を行って核酸を回収し,定量して,純度の評価を行った。その結果,A260/A280が1.8の高純度の核酸が得られ,PCRに使用することが可能であった。
実施例10:全血からの核酸抽出(その4)
図3及び図5に示された方法に従って,100μLのヒト全血1から核酸抽出を行った。分解工程では,10μLのproteinase K(6)を入れたチューブ5に,100μLの全血1及び100μLの反応液(濃度4Mのグアニジン塩酸塩,5容量%のTween20を含む)を添加,攪拌した。チューブ5の溶液を70°Cで10分間インキュベートして,核酸遊離溶液を得た。チューブ5に,EL,EtOH,DIGLYMEの中から選ばれた添加液(100μL)を加え,攪拌して,混合液7を得た。
【0096】
吸着工程では,石英ウール吸着担体13(東芝セラミックス株式会社製)を充填したカラム14を用いて,混合液7の吸引及び吐出の操作を,温度25°Cにて10回繰り返し行った。
【0097】
洗浄工程では,別のチューブ16に入れた洗浄液(W1)15の吸引吐出の操作を3回繰り返し行った。
【0098】
回収工程では,別のチューブ17に入れた溶出液18を,吸着担体13の全体が浸漬する位置まで吸上げて2分間静止した。その後,溶出液18を吐出し,核酸を含む溶液を回収した。回収した核酸は,良好な純度を有し,沈殿,精製等の工程無しで,次のPCR等の反応や分析に使用できた。
【0099】
図17は,本発明の実施例10に於いて,添加液としてEtOHを用いて,20°Cの添加液を温度T(°C)の核酸遊離溶液に添加した時の温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。温度Tの核酸遊離溶液に,20°CのEtOHが添加されて混合液7が調製される。図17,図18に於いて,横軸は,添加液が添加される核酸遊離溶液の温度Tを示し,縦軸は,最大核酸収量を100%として相対核酸収量を示す。図17に示すように,核酸遊離溶液の温度Tが−5°C〜60°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,核酸遊離溶液の温度Tが0°C〜50°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,核酸遊離溶液の温度Tが10°C〜45°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0100】
EtOHと同様に使用できるアルコール系有機溶剤として,PrOH,i−PrOHがある。
【0101】
図18は,本発明の実施例10に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,20°Cの添加液を温度T(°C)の核酸遊離溶液に添加した時の温度Tと相対核酸収量の関係を示す図である。温度Tの核酸遊離溶液に,20°CのDIGLYMEが添加されて混合液7が調製される。図18に示すように,核酸遊離溶液の温度Tが−5°C〜50°Cの時,目標とした80%以上の相対核酸収量が得られた。また,核酸遊離溶液の温度Tが,温度が10°C〜45°Cの時,90%以上の好適な相対核酸収量が得られた。更に,核酸遊離溶液の温度Tが,温度が20°C〜40°Cの時,95%以上のより好適な相対核酸収量が得られた。
【0102】
本発明では,以上説明した実験結果に基づいて,核酸と高濃度の塩とを含む核酸遊離溶液に添加するエタノール等の有機溶媒の温度,及び,核酸遊離溶液と有機溶媒との混合液の温度が,核酸の回収量に及ぼす影響を検討した結果,これら温度と核酸の回収量との間に密接な関係が存在することを見い出した。核酸の回収量のばらつきを低減させるには,これらの温度の制御が重要であるとの結論に至った。
【0103】
【発明の効果】
発明の方法によれば,核酸の回収の収率を向上でき,核酸回収量のばらつきが小さく,安定して高い核酸回収量が得られる核酸の精製分離方法及び装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例での核酸の抽出プロセスを説明する図。
【図2】本発明の実施例で用いる全血の構成を説明する図。
【図3】本発明の実施例での,全血からの核酸抽出の手順を説明する図。
【図4】本発明の実施例での,全血からの第1の核酸回収方法の手順を説明する図。
【図5】本発明の実施例での,全血からの第2の核酸回収方法の手順を説明する図。
【図6】本発明の実施例1に於いて,添加液としてELを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図7】本発明の実施例1に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図8】本発明の実施例1に於いて,添加液としてEtOHを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図9】本発明の実施例2に於いて,異なる種類の添加液を加えた時に得られた核酸収量を示す図。
【図10】本発明の実施例3で用いた反応槽の構造を示す図。
【図11】本発明の実施例3に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図12】本発明の実施例4での自動化された核酸の精製分離装置の構成を示すブロック図。
【図13】本発明の実施例4での自動化された核酸の精製分離装置の構成要素の配置を示す平面図。
【図14】本発明の実施例4に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,温度T(°C)の添加液を同じ温度Tの核酸遊離溶液に添加した後に,同じ温度Tで吸着工程を実行した時の,温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図15】本発明の実施例4に於けるアガロース電気泳動の結果を示す図。
【図16】本発明の実施例5で使用する反応容器架設部224の構成を示す図。
【図17】本発明の実施例10に於いて,添加液としてEtOHを用いて,20°Cの添加液を温度T(°C)の核酸遊離溶液に添加した時の温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【図18】本発明の実施例10に於いて,添加液としてDIGLYMEを用いて,20°Cの添加液を温度T(°C)の核酸遊離溶液に添加した時の温度Tと相対核酸収量の関係を示す図。
【符号の説明】
1…ヒト全血,2…赤血球,3…白血球,4…核,5,10,16,17…チューブ,6…Proteinase K,7…混合液,8…スピンカラム,9,13…吸着担体,11,15…洗浄液,12,18…溶出液,14…カラム,101…全血の添加,102…反応液の添加及び攪拌,103…インキュベート,104…添加液の添加と攪拌,105…吸引による核酸吸着,106…洗浄液のカラムへの添加,107…洗浄工程,108…溶出液の添加と静置,109…核酸の回収,110…吸引吐出による核酸吸着,111…溶出液の吸上げと静置,112…核酸の回収,201…制御部,202…分離部,203…架設部,204…分注部,205…サーマルサイクラ部,206…核酸の精製分離装置,211,220…チップ廃棄口,212,221…廃液口,213,214,215,216,217,219…チップ架設部,218…試薬架設部,222,230…サーマルサイクラ部,223…検体架設部,224,225…反応容器架設部,226,227,228,229…保存容器架設部,251…サンプルチューブ,252…カバー,253…断熱材,254…ヒートブロック,255…温度制御回路,256…加熱冷却基板,257…放熱ファン,258…支柱,259…温度センサ,260,261…制御線,301…レーン−1,302…レーン−2,303…レーン−3,304…泳動方向,305…鎖長200塩基対のバンド,402…試薬供給ノズル,403…全血及び反応液を含む溶液,405…ペルチェ素子,406…温度センサ,407…計測制御部,408…ノズル,409…有機溶剤,410…ポンプ,411…試薬供給路,414…ヒートブロック,415…コントロールライン,420…支持台,421…支柱,422…アーム,501…第1工程,502…第2工程,503…第3工程,504…第4工程,505…第5工程,506…第6工程。

Claims (24)

  1. 試料から核酸を遊離させて前記核酸を含む第1の液体とし、
    前記第1の液体に、前記第1の液体の温度を−5℃〜55℃の範囲の温度に下げた後に、前記範囲の温度の脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加して第2の液体とし、
    前記第2の液体を担体に接触させて前記核酸を吸着させ、
    前記核酸が吸着した前記担体を洗浄し、
    前記核酸が吸着した前記担体から前記核酸を遊離することを特徴とする核酸の分離精製方法。
  2. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加するときに前記溶液の温度と前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかの温度がほぼ同じであることを特徴とする請求項1に記載の核酸の分離精製方法。
  3. 前記試料は血液であることを特徴とする請求項1に記載の核酸の分離精製方法。
  4. 前記試料は組織であることを特徴とする請求項1に記載の核酸の分離精製方法。
  5. 前記試料は細胞であることを特徴とする請求項1に記載の核酸の分離精製方法。
  6. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加するときの前記第1の液体の温度が、10℃〜40℃の範囲の温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の核酸の分離精製方法。
  7. 前記第1の液体は前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加する前に放冷されることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の核酸の分離精製方法。
  8. 前記担体としてスピンカラムを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の核酸の分離精製方法。
  9. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかが、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする請求項1乃至請求項8に記載の核酸の分離精製方法。
  10. プロテアーゼと、
    カオトロピック塩と界面活性剤とを含む第1の液体と
    −5℃〜55℃の範囲の温度の第1の液体に添加するための脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかの有機溶剤と、
    核酸を吸着させるための担体と、
    前記担体を洗浄するための洗浄液と、
    前記担体に吸着した核酸を、前記担体から遊離させるための溶出液とを有することを特徴とする核酸抽出キット。
  11. 前記担体はスピンカラムであることを特徴とする請求項1に記載の核酸抽出キット。
  12. 試料及びカオトロピック塩と界面活性剤とを含む第1の液体とを収める容器の温度を制御する温度制御部と、
    前記温度制御部によって設定された温度を計測する温度センサと、
    前記温度センサで検知された温度に基づいて前記容器に脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを供給する供給部とを有し、
    前記温度制御部は、前記容器の温度を前記容器前記試料から核酸を遊離させるときの第1の温度、前記核酸を含む液体に前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを供給するときの第2の温度とするための制御を行うことを特徴とする核酸精製分離装置。
  13. 試料から核酸を遊離させて前記核酸を含む第1の液体とし、
    前記第1の液体に、前記第1の液体の温度を−5℃〜55℃の範囲の温度に下げた後に、前記範囲の温度の脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加して第2の液体とし、
    前記第2の液体を担体を収めるカラムに吸引及び吐出させて前記担体に前記核酸を吸着させ、
    前記核酸が吸着した前記担体を洗浄し、
    前記核酸が吸着した前記担体から前記核酸を遊離することを特徴とする核酸の分離精製方法。
  14. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかが、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする請求項13に記載の核酸の分離精製方法。
  15. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加するときの前記第1の液体の温度が、10℃〜40℃の範囲の温度であることを特徴とする請求項13乃至請求項14に記載の核酸の分離精製方法。
  16. プロテアーゼと、
    カオトロピック塩と界面活性剤とを含む第1の液体と
    −5℃〜55℃の範囲の温度の第1の液体に添加するための添加剤と、
    核酸を吸着させるための担体と、
    前記担体を洗浄するための洗浄液と、
    前記担体に吸着した核酸を、前記担体から遊離させるための溶出液とを有し、
    前記添加剤は、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする核酸抽出キット。
  17. 試料から核酸を遊離させて前記核酸を含む第1の液体とし、
    前記第1の液体に、前記第1の液体の温度を−5℃〜55℃の範囲の温度に下げた後にエタノールを添加して第2の液体とし、
    前記第2の液体を担体に接触させて前記核酸を吸着させ、
    前記核酸が吸着した前記担体を洗浄し、
    前記核酸が吸着した前記担体から前記核酸を遊離することを特徴とする核酸の分離精製方法。
  18. 前記エタノールを添加するときの前記第1の液体の温度が、10℃〜40℃の範囲の温度であることを特徴とする請求項17に記載の核酸の分離精製方法。
  19. 前記第1の液体の温度を下げた後の第1の液体の温度を第1の温度としたときに、前記担体に前記核酸を吸着させるときの前記第2の液体の温度が第1の温度であることを特徴とする請求項1、請求項13及び請求項17に記載の核酸の分離精製方法。
  20. プロテアーゼと、
    カオトロピック塩と界面活性剤とを含む第1の液体と
    −5℃〜55℃の範囲の温度の第1の液体に添加するための添加剤と、
    核酸を吸着させるための担体と、
    前記担体を洗浄するための洗浄液と、
    前記担体に吸着した核酸を、前記担体から遊離させるための溶出液とを有し、
    前記添加剤は、エタノールであることを特徴とする核酸抽出キット。
  21. 前記担体はスピンカラムであることを特徴とする請求項20に記載の核酸抽出キット。
  22. 試料から核酸を遊離させて前記核酸を含む第1の液体とし、
    前記第1の液体を温度制御手段によって所定の温度に冷却し、
    冷却された第1の液体に脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加して第2の液体とし、
    前記第2の液体を担体に接触させて前記核酸を吸着させ、
    前記核酸が吸着した前記担体を洗浄し、
    前記核酸が吸着した前記担体から前記核酸を遊離することを特徴とする核酸の分離精製方法。
  23. 試料から核酸を遊離させて前記核酸を含む第1の液体とし、
    前記第1の液体を水冷によって所定の温度に冷却し、
    冷却された第1の液体に脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかを添加して第2の液体とし、
    前記第2の液体を担体に接触させて前記核酸を吸着させ、
    前記核酸が吸着した前記担体を洗浄し、
    前記核酸が吸着した前記担体から前記核酸を遊離することを特徴とする核酸の分離精製方法。
  24. 前記脂肪族エーテル、脂肪族エステル、及び脂肪族アルコールのいずれかが、ジエチレングリコールジメチルエーテルであることを特徴とする請求項22乃至請求項23に記載の核酸の分離精製方法。
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