JP3643964B2 - 型枠のセパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型枠のセパレータ、すなわち、建物の基礎や壁などをコンクリートにより打設する際に用いられるコンクリート打設用の1対の型枠を、一定の間隔に保持するセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコンクリート製フーチング付き布基礎の施工方法の代表的なものが、例えば特開平6−330531号公報に記載されている。
【0003】
この施工方法は、地盤に掘削した根切溝内の適所に支持具を配置し、この支持具により、発泡合成樹脂製の互いに平行な1対の型枠を、根切溝の底部より所要の高さに保持し、両型枠間にコンクリートを打設して、フーチング部と布基礎部とを、1回のコンクリートの打設だけで同時に成形し得るようになっている。発泡合成樹脂製の型枠は、断熱材として残置される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような施工方法において、1対の型枠は、セパレータによって、互いに平行に保持される。セパレータは、ボルト締めにより型枠に取り付けられるのが通常であるが、この取付には手間がかかる。そのため、1対の型枠を、連結部材により予め互いに平行に連結したものが提案されているが、これでは、布基礎の配筋が面倒で手間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、簡単な動作で取り付け、取り外しが可能な型枠用のセパレータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)コンクリート打設用の1対の型枠を互いに平行に保持するセパレータであって、前記型枠に挿置され、かつ前記型枠の外面寄りの端部に前記型枠の外面に接するか、または型枠内に埋設されるフランジを有するとともに、前記型枠の内面寄りの端部に、両型枠の内方に向かって開口する孔を有する受け部材と、この受け部材の孔内に挿入される外径を有し、前記受け部材に係止される係止部分を有する連結杆とを備え、前記受け部材のフランジ側端部に開口する孔の縁部に、外広がりの斜面を形成するとともに、連結杆の端部を若干拡径させ、かつこの端部に、放射状の切れ目を入れる。
【0007】
(2) 上記(1)項において、型枠の内面に接する位置において、連結杆にフランジを形成する。
【0008】
(3) 上記(1)または(2)項において、受け部材の型枠内面側端部の孔の開口縁部に、外広がりの斜面を設ける。
【0009】
( 4 ) 上記(1)〜( 3 )項のいずれかにおいて、連結杆の先端を、先細状とする。
【0010】
( 5 ) 上記(1)〜 ( 4 ) 項のいずれかにおいて、受け部材の孔と、この孔に挿入される連結杆の端部との間に、その一方に突設された突出部分と、他方に切設されて前記突出部分と係合するL字状の切り欠きとからなるバヨネット機構を設ける。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のセパレータを用いて型枠を組み付けた、コンクリート打設直前の状態のフーチング付布基礎の縦断正面図であり、これを参照して、その施工の要領とともに型枠の組付けについて概略を述べる。
【0012】
まず、地盤(1)に、根切り溝(2)を図面前後方向に掘削する。この根切り溝(2)の底部に捨コンクリート(3)を打設し、根切り溝(2)の両側縁に、板状の型枠(4)を立設する。
【0013】
捨コンクリート(3)の上面の中心線上には、複数の支持具(5)を、適宜の前後間隔をもって載置し、図示を省略したボルトにより固定する。
【0014】
支持具(5)の左右上部に形成した上向きの縁部を備える支承部(5a)に、発泡合成樹脂から成る左右1対の型枠(6)(6)を載置する。この1対の型枠(6)(6)が、本発明のセパレータ(7)により連結される。この連結は、支承部(5a)への載置後または、載置前のいずれに行ってもよい。
【0015】
ついで、フーチング基礎及び布基礎の鉄筋(8)を配置して固定し、最後に、生コンクリートを、1対の型枠(6)(6)の間から流し込んで、フーチング基礎と布基礎とを同時に打設する。
【0016】
上述の左右1対の発泡合成樹脂製の型枠(6)(6)の間の間隔を一定に保持して固定するセパレータは、従来は、ボルト締めによってそれぞれの型枠(6)に取り付けられていた。しかし、セパレータの数が多く、このボルト締めの作業に手間が掛かっていた。
【0017】
本発明のセパレータ(7)は、この作業をワンタッチの動作により可能とするものである。
【0018】
図2に示す本発明によれば、セパレータ(7)は、型枠(6)を貫いて設置される受け部材(9)と、この受け部材(9)にはめ込まれる連結杆(11)とからなっている。
【0019】
受け部材(9)は、例えば硬質の合成樹脂材料の成型品または金属製品であり、孔(10)があけられた円筒部(9a)と、その一端部に形成されたフランジ(9b)とを有している。フランジ(9b)の内面は、外広がりすなわち外方に開く円錐状の斜面(9c)に形成されており、その内側は、僅かに内方に突出した突部(9d)となっている。円筒部(9a)のフランジ(9b)と反対側の端部の孔(10)の内面には、外広がりに斜截された斜面(9e)が形成されている。
【0020】
この受け部材(9)は、型枠(6)に開けた孔に、フランジ(9b)を外側にして挿入するか、あるいは、型枠(6)の発泡成型時に成形型に取り付けて、型枠(6)に一体的に埋設される。
この埋設に当たって、図示のように、フランジ(9b)を型枠(6)の外面に接するように設定するばかりでなく、フランジ(9b)が型枠(6)の内部に埋め込んで取り付けられるように設定することもできる。
【0021】
連結杆(11)は、例えば硬質の合成樹脂材料製のパイプ状の成型品または金属製品であり、両端部から、型枠(6)の厚さ分の距離を隔てた内方位置にフランジ(12)が、一体的に形成されている。連結杆(11)の先端部(11a)は、外広がりに拡径され、中央に、半割れのV字形の切り込みまたはX字形の切れ目等の放射状の切れ目(11b)が設けられている。
左右のフランジ(12)(12)間の間隔は、1対の型枠(6)(6)間の間隔に合わせて設定されている。
【0022】
このような連結杆(11)の端部を、図2の左側の矢印に示すように、型枠(6)の受け部材(9)の孔(10)に挿入する。連結杆(11)の外広がりの先端部(11a)は、孔(10)の斜面(9e)の案内により縮径するように弾性変形されながら、孔(10)内に進入する。この弾性変形による縮径は、切れ目(11b)の存在により可能となる。
【0023】
先端部(11a)は、突部(9d)を乗り越えて、外広がりの斜面(9c)に至って、弾性により広がる。このように、斜面(9c)及び先端部(11a)が、係止部分を形成している。連結杆(11)のフランジ(12)は、型枠(6)の内面に当接する。この状態を、図面右側に示している。
【0024】
図2に想像線で示すように、連結杆(11)の中間部適所には、必要に応じて、横筋を位置決めするための鍔部(12a)を設けてもよい。
【0025】
図3に示す連結杆(11)の変形例では、端部に、外広がりの先端部(11a)の他に、先細の斜面(11c)が形成されている。受け部材 ( 9 ) に挿入されている連結杆(11)は、この斜面(11c)を、外側から工具により摘んで縮径させるか、または強力な力で引張ることにより、容易に受け部材(9)から引き抜くことができる。
【0026】
図4に示す実施例では、円筒部(9a)とフランジ(9b)とを有する受け部材(9)は、孔(10)内に、その軸線に達する扇形断面の内方に突出する部分的な突出部分(13)を有する。これに対応して、フランジ(12)付きの連結杆(11)は、棒材から成るものとされ、その端部から、上記突出部分(13)と補形をなす切り欠き部分(14)が形成されている。
【0027】
この切り欠き部分(14)の根元の部分の側方には、突出部分(13)の軸線方向の長さに見合う長さにわたって、側部切り欠き部分(15)が形成されている。
この突出部分(13)と、切り欠き部分(14)及び側部切り欠き部分(15)とにより、バヨネット機構が形成されている。なお、このバヨネット機構は、他の公知の構造のものとしてもよく、また、突出部分(13)に相当するものを連結杆(11)の外周に設け、かつ切り欠き部分(14)及び側部切り欠き部分(15)に相当するL字状の切り欠きを受け部材(9)の孔(10)の内面に設けてもよい。
【0028】
従って、図4の矢印に示すように、まず突出部分(13)が切り欠き部分(14)に合致するようにして、連結杆(11)を受け部材(9)の孔(10)に挿入し、次いで突出部分(13)が側部切り欠き部分(15)に合致した時点で、連結杆(11)を反時計方向に回動させると、突出部分(13)が側部切り欠き部分(15)に嵌り込んで、連結杆(11)は受け部材(9)に固定される。
【0029】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、型枠の受け部材に連結杆を挿入することにより、セパレータをワンタッチ式に簡単に取り付けることができる。
【0030】
また、受け部材のフランジ側端部に開口する孔の縁部に、外広がりの斜面を形成するとともに、連結杆の端部を若干拡径し、かつ同端部に放射状の切れ目を入れてあるから、放射状の切れ目の存在により、連結杆の端部は、弾性的な屈従により一旦縮径され、外広がりの斜面に至って再び広がり、連結杆を自動的に係止することができる。
【0031】
請求項2記載の発明のように、型枠の内面に接する位置において、連結杆にフランジを形成すると、セパレータが型枠をその両側から保持することができる。
【0032】
請求項3記載の発明のように、受け部材の型枠内面側端部の孔の開口縁部に、外広がりの斜面を設けると、連結杆の挿入に当たり、その先端部がこの斜面に案内されて自動的につぼんで孔内に挿入される。
【0033】
請求項4記載の発明のように、連結杆の先端を先細状にすると、この部分をつまんで、容易に連結杆を受け部材から引き出すことができる。
【0034】
請求項5記載の発明のように、受け部材の孔と、該孔に挿入される連結杆の端部との間に、その一方に突設された突出部分と、他方に切設されて前記突出部分と係合するL字状の切り欠きとからなるバヨネット機構を設けると、連結杆の挿入、回動により、連結杆を確実に受け部材に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセパレータを使って組み付けた型枠によるフーチング及び布基礎のコンクリート打設直前の状態を示す縦断正面図である。
【図2】 本発明のセパレータの第1の実施例を説明する型枠とセパレータとの拡大縦断正面図である。
【図3】 本発明のセパレータの変形例の一部の正面図である。
【図4】 本発明のセパレータの第2の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
(1)地盤
(2)根切り溝
(3)捨コンクリート
(4)板状の型枠
(5)支持具
(5a)支承部
(6)型枠
(7)セパレータ
(8)鉄筋
(9)受け部材
(9a)円筒部
(9b)フランジ
(9c)外広がりの斜面
(9d)突部
(9e)斜面
(10)孔
(11)連結杆
(11a)先端部
(11b)切れ目
(11c)先細の斜面
(12)フランジ
(12a)鍔部
(13)突出部分
(14)切り欠き部分
(15)側部切り欠き部分
Claims (5)
- コンクリート打設用の1対の型枠を互いに平行に保持するセパレータであって、
前記型枠に挿置され、かつ前記型枠の外面寄りの端部に前記型枠の外面に接するか、または型枠内に埋設されるフランジを有するとともに、前記型枠の内面寄りの端部に、両型枠の内方に向かって開口する孔を有する受け部材と、この受け部材の孔内に挿入される外径を有し、前記受け部材に係止される係止部分を有する連結杆とを備え、前記受け部材のフランジ側端部に開口する孔の縁部に、外広がりの斜面を形成するとともに、連結杆の端部を若干拡径させ、かつこの端部に、放射状の切れ目を入れたことを特徴とする型枠のセパレータ。 - 型枠の内面に接する位置において、連結杆にフランジを形成したことを特徴とする請求項1記載の型枠のセパレータ。
- 受け部材の型枠内面側端部の孔の開口縁部に、外広がりの斜面を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の型枠のセパレータ。
- 連結杆の先端を、先細状としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の型枠のセパレータ。
- 受け部材の孔と、この孔に挿入される連結杆の端部との間に、その一方に突設された突出部分と、他方に切設されて前記突出部分と係合するL字状の切り欠きとからなるバヨネット機構を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の型枠のセパレータ。
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