JP3643739B2 - 電動車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータによって走行する走行モードと、ブレーキの制動を解除して手押しを可能にする手押しモードとの切り換えが可能な電動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電動車、例えば電動三輪車においては、特開平8−172704号公報(B60L7/24)に記載の如く、通常の電動三輪車の回路に電磁ブレーキ開放スイッチを設け、電磁ブレーキ開放スイッチを操作したときに電磁ブレーキ及び発電制動を解除して、手押しが可能になるものが知られている。即ち、電磁ブレーキ開放スイッチを操作したときは手押しモード、操作していないときは走行モードで通常走行するようになっている。
【0003】
しかしながら、上述する構成であれば、電磁ブレーキ開放スイッチを押したとき、即ち手押しモードを選択したとき、発電制動、電磁ブレーキを共に解除して手押し可能になるのであるが、この時、坂道で手押しモードに切り替えた場合、切り替えると同時に自然に電動車が転がってしまうといった問題があった。即ち、坂道でこのスイッチを操作したときに、自然に転がってしまい、停止させようとしたときに止められないといった問題があった。
【0004】
また、所定の速度に制限したとしても、使用者の状態によってその速度が遅く感じられたり、早く感じられたりして、使い勝手が悪いものとなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、走行モードを手押しモードに切り替える動作を行っても、安全に取り扱え、また使い勝手がよい電動車を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、モータを駆動源として走行する電動車本体と、該電動車本体を制動するためのブレーキと、前記モータの駆動によって走行する走行モードと、前記ブレーキを解除して手押し可能にする手押しモードとを切り替えるモード切替スイッチと、前記走行モード時の最高速度が複数個設定してありそれぞれ選択可能な速度切替スイッチとを備え、前記手押しモード選択時においても前記速度切替スイッチによって最高速度が制限される制御回路を設けたことを特徴とする。
【0007】
上記構成により、モード切替スイッチが走行モードを選択しているとき、モータを駆動源として走行する。次に、モード切替スイッチによって手押しモードが選択されると、ブレーキが解除されて手押し可能な状態になる。この時、走行モード時に使用される最高速度を設定する速度切替スイッチによって、手押しモード時の最高速度を設定し、使用者の選択によって上限速度を変え、発電制動等のブレーキの動作によって速度を制限することによって、使い勝手が良く、安全な電動車を提供することができる。
【0008】
また、速度切替スイッチによる最高速度は、前記モード切替スイッチで選択される走行モード時よりも手押しモード時の方を小さく設定したことを特徴とすることで、モータによる走行モードよりも走行速度の遅い手押しモードの最高速度を規制することで、手押し走行にあった最高速度が設定でき、使い勝手と安全性を向上させることができる。
【0009】
更に、電動車本体の走行方向を検出する走行方向検出手段を設け、前記手押しモードでの最高速度は、前記電動車本体が前進しているときよりも後進しているときの方を小さく設定することで、通常不慣れな後進方向への最高速度を低く設定することができ、安全性が向上する。
【0010】
また、走行方向検出手段は、車輪の回転を検出するエンコーダーによって検出することを特徴とするので、簡単な構成によって走行方向と走行速度を検出することができる。
【0011】
そして、手押しモードでの後進時の最高速度は、前記速度切替スイッチの選択に係わらず、前記電動車本体が前進しているときの最低の最高速度が選択されることを特徴とするので、使用者の選択に係わらず低速の最高速度が選択され、安全性が向上する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、電動三輪車を例に図面に基づき詳述する。
【0013】
図1は、実施例の電動三輪車の後方からみた全体斜視図、図2は、走行と手押しモードとを切り替える切替スイッチを示す斜視図、図3は本実施例の制御回路を示すブロック図である。
【0014】
1は、自由輪である1つの前輪(図示せず)と後述するモータ22の駆動力を伝達して回転する駆動輪となる後輪2が設けられた電動車本体で、該本体1は、前記前輪と連結したハンドルポスト3の先端に取り付けられた走行方向の向きを変えことのできるハンドル4が設けられ、該ハンドル4の中央には電源スイッチ5と、走行状態などを示すパネル6、例えば走行速度、バッテリの残量、前後進を切り替えるスイッチなどが設けられている。
【0015】
7は、前記パネル6の側方から延設して設けられたポテンシヨメータなどからなるアクセルレバーで、使用者は、その後方にある座席8に乗車した状態で操作し、アクセルレバー7の操作量に応じて走行速度が変わるようになっている。
【0016】
9は、前記前輪に設けた、常用ブレーキ、即ちドラムブレーキ(図示せず)をワイヤーを介して動作するブレーキレバーである。
【0017】
10は、前記座席8下方のモータやギヤ、バッテリを覆う、本体カバーである。
【0018】
11は、本体8の座席下方に設けられたモード切替スイッチで、該モード切替スイッチ11は、「走行モード」と「手押しモード」とを有してなり、走行モードはアクセルレバー7の操作によってモータ22を駆動し、その操作量に応じて走行速度を変化させるモードである。また、手押しモードは、発電制動、及び電磁ブレーキ26等のブレーキを解除し、使用者の手押しによって走行が可能になるモードである。このモード切替スイッチ11は、自己復帰型のプッシュスイッチからなっており、このスイッチの上下に設けられているものは、現在どちらのモードに入っているかを示すLEDで、上が手押しモード時に点灯する手押しモード用LED12で、下が走行モード時に点灯する走行モード用LED13である。
【0019】
本実施例では、座席8の下方にモード切替スイッチ11を設けたが、特にこの場所に限定する必要はなく、パネル6の全面に設けてもかまわない。また、本実施例ではモード切替スイッチ11にプッシュスイッチを採用したが、トグルスイッチなど、他の自己復帰型でないスイッチを使用してもかまわない。
【0020】
次に、図3に基づき、本実施例の制御回路について説明をする。
【0021】
14は、前記座席8の下方に収納され、鉛蓄電池を使用したバッテリである。
【0022】
15は、前記電源スイッチ5のスイッチで、該スイッチ15は前記バッテリ14に接続され、また、リレー16に接続されており、スイッチ15をONしたときに、このスイッチ15とは別のスイッチ17が入るようになっている。
【0023】
18は、バッテリ14の電圧を降圧して制御回路、即ちマイコン19に電源供給する電源回路である。
【0024】
20は、前記アクセルレバー7の操作量に応じたポテンシヨメータ21からの電気信号をマイコン19に入力するアクセル入力回路で、該アクセル入力回路20の入力信号に基づいてマイコン19からモータ22を駆動するためのPWM信号が出力され、モータ駆動回路23によってスイッチング回路24を動作し、モータ22を駆動して後輪2が回転するようになっている。また、モータ22を前進方向、後進方向に切り替えるために、通電方向の異なるスイッチング素子(図示せず)を設けており、それらのスイッチング素子の切替によってモータ22の回転方向を異ならせるようにしている。また、駆動輪である後輪2は、車輪の回転を回転させることによってモータ22の出力軸が回転するようになっており、スイッチング素子をOFFすることで発電制動をかけずに後輪2を回転させることができ、また、スイッチング素子をONすることで発電制動をかけることもでき、ONするスイッチング素子を選択することで前進時、後進時のいずれかにおいて発電制動をかけることができる。
【0025】
25は、前記後輪2の回転数と走行方向を検出する走行方向検出手段、即ちエンコーダであり、該エンコーダ25からの信号はマイコン19に入力される。このエンコーダ25は、本実施例では後輪2の回転を検出しているが、モータ22や前輪の回転を検出してもかまわない。
【0026】
26は、前記後輪2の回転を制動し、駐車するときに動作する駐車ブレーキ、即ち電磁ブレーキで、該電磁ブレーキ26はマイコン19からの信号が出力されたときに、電磁ブレーキ駆動回路27からの信号出力で動作するようになっている。また、電磁ブレーキ26は、後輪2にバネの付勢力によって円盤等を圧接して車輪を停止するものであり、通電しているときはバネの付勢力よりも強い力で円盤の圧接を解除し、非通電時にはバネの力によって制動がかかるようになっている。
【0027】
28は、前記ブレーキレバー9の操作に連動して動作するプッシュスイッチからなるブレーキスイッチで、該ブレーキスイッチ28からの信号は、ブレーキレバー9を操作しているかどうかをマイコン19に入力している。
【0028】
29は、前記アクセル入力回路20からの信号でモータ22を駆動して走行する走行モードと、前記電磁ブレーキ26、及びモータ22による発電制動とを解除して、後輪2を開放状態にする手押しモードとの2つのモードを切り替えるモード切替スイッチで、該モード切替スイッチ29は、マイコン19に信号が入力されることでモードが切り替わるようになっている。
【0029】
30は、前記モード切替スイッチ29の操作によって、現在どちらのモードになっているのかを示すLEDを駆動するLED駆動回路で、このLED駆動回路30はマイコン19からの出力によっていづれかのLEDを点灯させるようになっている。
【0030】
31は、走行モード時の走行方向を、前進又は後進を選択する走行方向切替スイッチ32からの信号を入力してマイコン19に出力する走行方向切替回路で、該走行方向切替回路31は前記マイコン19に接続されて信号入力されている。また、走行方向切替スイッチ32は、前記パネル6にトグルスイッチ等によって設けてあり、使用者の希望によって切り替えられる。
【0031】
34は、速度切替回路35に接続され走行モード選択時における最高速度を切り替える速度切替スイッチで、該速度切替スイッチ34は、3段階に切替が可能で、高速で時速6km、中速で時速4km、低速で時速2kmと設定されており、前記アクセル21の最大の操作で選択された速度が出るように設定されている。また、該速度切替スイッチ34は、電源投入時の手押しモード時にもマイコン19にその選択速度が入力されており、その選択速度に応じて手押しモード時の最高速度が規制されるようになっている。この時の最高速度は、例えば高速で時速4km、中速で時速3km、低速で時速2kmに設定してある。
【0032】
次に、上記構成における動作についての第1の実施例について、図4のフローチャートに基づき説明する。
【0033】
まず、アクセル7が動作しているかどうかアクセル7からの信号を入力することでマイコン19にて検知し、アクセル7操作されている場合はアクセル7操作が無くなるまで次のステップには移らない(S1)。
【0034】
そして、上記の状態で電源スイッチ5が投入されると次のステップに進む(S2)。電源投入時は、走行、あるいは手押しのモードは、自動的に走行モードになっている。次に、モード切替スイッチ29からの入力があるかどうかを検知し(S3)、もしも入力があれば、現在手押しモードであれば、手押しモードから走行モードが設定されて切り替わり、電磁ブレーキ26を動作して走行モードに切り替わる(S4)。モード切替スイッチ29からの信号があって、現在走行モードであれば手押しモードが設定されてモードが切り替わる(S5)。
【0035】
手押しモードに切り換わると、速度切替スイッチ34からの信号を入力して、高速モードであるかどうかが判断され(S6)、高速モードであれば最高速度がAに設定され(S7)、中速モードであれば(S8)、Aよりも小さいBに最高速度が設定される(S9)。また、高速でもなく中速でもない低速に設定されている場合は(S8)、最高速度がBよりも小さいCに設定される(S10)。
【0036】
そして、手押しモードで走行が開始されると、手押しで走行する方向と走行速度とがエンコーダ25から入力され(S11)、前進しているかが判断される(S12)。前進していると判断されるとマイコン19内でS7、S9、S10のそれぞれで設定された速度に基づいて行われるのであるが、エンコーダ25からの信号が後進を検出すると最高速度がCに変更して設定される(S13)。
【0037】
そして、エンコーダ25からの走行速度の入力により、前のステップで設定された最高速度を上回らないか判断する(S14)。そして、最高速度を上回った場合は、モータ駆動回路23による発電制動や電磁ブレーキ26等の動作によるブレーキを動作し、設定された最高速度以下になるように制御する(S15)。
【0038】
以上のように、手押しモードでの最高速度が、走行モードで使用する速度切替スイッチの設定に基づいて設定されるので、使用者の希望の速度を上限として最高速度を設定することができ、手押しモードでの使い勝手と安全性を向上させることができる。また、そのとき設定される最高速度が走行モード時の最高速度よりも低く設定されるので、通常走行速度の小さくなる手押しモードの最高速度の上限値を抑えることができ、使い勝手が良くなると共に安全性が向上する。
【0039】
また、手押しモードにおいて走行される走行方向が、エンコーダ25からの検出値に基づいて前進の場合と後進の場合とで最高速度を異なるように設定し、更に前進時の最高速度よりも後進時の最高速度の方が小さくなるように設定したので、安全性が向上するという効果がある。
【0040】
更に、手押し後進時の最高速度は、走行モード時の最低速度が設定されるので、手押し時に速度切替スイッチの選択を忘れても最低速度での手押し走行しかできず、非常に安全性が向上する。
【0041】
【発明の効果】
本発明の請求項1によると、モータを駆動源として走行する電動車本体と、該電動車本体を制動するためのブレーキと、前記モータの駆動によって走行する走行モードと、前記ブレーキを解除して手押し可能にする手押しモードとを切り替えるモード切替スイッチと、前記走行モード時の最高速度が複数個設定してありそれぞれ選択可能な速度切替イッチとを備え、前記手押しモード選択時においても前記速度切替スイッチによって最高速度が制限される制御回路を設けたので、走行モード時に使用される最高速度を設定する速度切替スイッチによって、手押しモード時の最高速度を設定し、使用者の選択によって上限速度を変えることができるので、使用者の希望上限速度で手押しができ、使い勝手が良く、安全性が向上する等の効果を奏する。
【0042】
また、請求項2によると、速度切替スイッチによる最高速度は、前記モード切替スイッチで選択される走行モード時よりも手押しモード時の方を小さく設定したので、モータによる走行モードよりも走行速度の遅い手押しモードの最高速度を規制することで、手押し走行にあった最高速度が設定でき、使い勝手と安全性を向上させることができる等の効果を奏する。
【0043】
更に、請求項3によると、電動車本体の走行方向を検出する走行方向検出手段を設け、前記手押しモードでの最高走行速度は、前記電動車本体が前進しているときよりも後進しているときの方を小さく設定することで、通常不慣れな後進方向への最高速度を低く設定することができ、安全性が向上する等の効果を奏する。
【0044】
また、請求項4によると、走行方向検出手段は、車輪の回転を検出するエンコーダーによって検出することを特徴とするので、簡単な構成によって走行方向と走行速度を検出することができる等の効果を奏する。
【0045】
そして、請求項5によると、手押しモードでの後進時の最高走行速度は、前記速度切替スイッチの選択に係わらず、前記電動車本体が前進しているときの最低の最高速度が選択されることを特徴とするので、使用者の選択に係わらず低速の最高速度が選択され、安全性が向上する等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す電動三輪車の全体斜視図である。
【図2】同モード切替スイッチの全体斜視図である。
【図3】同制御回路のブロック図である。
【図4】同制御回路の実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
22 モータ
1 本体
26 電磁ブレーキ(駐車ブレーキ)
29 モード切替スイッチ
34 速度切替スイッチ
19 マイコン(制御回路)
25 エンコーダ(走行方向検出手段)
Claims (5)
- モータを駆動源として走行する電動車本体と、該電動車本体を制動するためのブレーキと、前記モータの駆動によって走行する走行モードと、前記ブレーキを解除して手押し可能にする手押しモードとを切り替えるモード切替スイッチと、前記走行モード時の最高速度が複数個設定してありそれぞれ選択可能な速度切替スイッチとを備え、前記手押しモード選択時においても前記速度切替スイッチによって最高速度が制限される制御回路を設けたことを特徴とする電動車。
- 前記速度切替スイッチによる最高速度は、前記モード切替スイッチで選択される走行モード時よりも手押しモード時の方を小さく設定したことを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の電動車。
- 前記電動車本体の走行方向を検出する走行方向検出手段を設け、前記手押しモードでの最高速度は、前記電動車本体が前進しているときよりも後進しているときの方を小さく設定することを特徴とする請求項1記載の電動車。
- 前記走行方向検出手段は、車輪の回転を検出するエンコーダーによって検出することを特徴とする請求項3記載の電動車。
- 前記手押しモードでの後進時の最高速度は、前記速度切替スイッチの選択に係わらず、前記電動車本体が前進しているときの最低の最高速度が選択されることを特徴とする請求項2記載の電動車。
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